JP2009127104A - 溶接熱影響部の靭性が優れた鋼およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶接熱影響部の靭性が優れた鋼を提供する。
【解決手段】 質量%で、C:0.01〜0.07%、Si:0.05〜0.20%、Mn:1.5〜2.0%、Cu:0.25〜0.50、Ni:0.5〜1.50、P:≦0.015%、S:≦0.010%、Ti:0.005〜0.015%、N:0.0020〜0.0060%、Mg:0.0003〜0.003%、Ca:0.0003〜0.003、O:0.0010〜0.0045%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、不純物としての混入量がNb:≦0.010%、V:≦0.020%であり、(A)式で表されるCeHが0.05以下の範囲であることを特徴とする溶接熱影響部の靭性に優れた鋼。
CeH=C+1/4Si−1/24Mn+1/48Cu+1/32Ni+1/0.4Nb+1/2V ・・・ (A)
但し、C、Si、Mn、Cu、Ni、Nb、Vは、それぞれ鋼成分(質量%)を示す。
【選択図】 図1

Description

本発明は小入熱溶接から中入熱溶接における溶接熱影響部(HAZ)の靭性に優れた鋼およびその製造法に関し、特に、高強度で溶接時に最も靱性が劣化する溶接溶け込み線(FL)部のCTOD(Crack Tip Opening Displacement)特性が極めて良好で優れた靱性を示す溶接熱影響部の靭性が優れた鋼およびその製造方法に関する。
低合金鋼のHAZ靱性は、(1)結晶粒のサイズ、(2)高炭素マルテンサイト(M*)、上部ベイナイト(Bu)およびフェライトサイドプレート(FSP)などの硬化相の分散状態、(3)析出硬化状態、(4)粒界脆化の有無、(5)元素のミクロ偏析など種々の要因に支配される。これらの要因は靱性に大きな影響を与えることが知られており、HAZ靱性を改善するために多くの技術が実用化されている。
このような靭性阻害要因は添加元素によって引き起こされるといってもあながち間違いではなく、合金元素含有量の低減により靭性は向上する。しかしながら、構造用鋼には、常に高強度化が求められており、そのためには合金元素の添加が必要である。すなわち、強度と靭性の要求は合金元素含有量の観点から相反するものであり、合金元素によらない靭性向上技術が求められてきた。
特に優れている技術として、Alを実質的に含まない鋼でTi酸化物を用いてミクロ組織を微細化し、これに加えTi、O、Nのバランスを適正化してTiCの析出を抑制して析出硬化を低減し、靱性を向上させることが知られている(例えば、特許文献1参照)。この場合、溶接熱影響部の靭性はミクロ組織の影響と高炭素マルテンサイト(以下、M*と称する)を含む硬化層の影響のバランスによりきまることになり、従来の技術ではNi等による母材マトリックスの靭性向上により解決が図られていた。しかしながら、本技術においては、より低温でのHAZ靱性を向上させるために不可欠なMn、Cu、Ni等の合金添加元素の最適化が必ずしもなされていないため、−40℃以下のような極低温におけるCTOD特性が優れた高強度鋼を製造するための指針が得られていなかった。
この発明にかかる鋼の、Al、Nbを実質的に含まない点は、本願発明にも活用されている。しかし、この発明においては、C含有量が高いため、CuやNi以外の添加元素として有益なMnの含有量を増加した場合の靭性低下という課題が解決されていない。また、不純物としてのNb、Vが靭性に悪影響を及ぼすことが懸念されていた。
また、特許文献1の思想を踏襲し、Ti酸化物を用いつつ、Nbを添加し、かつMn含有量を高める発明が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この発明ではそのことにより、オーステナイト−フェライト変態開始温度を低下させて硬化相の生成を抑え、同時に適正なミクロ組織を得て、−10℃のCTOD特性を満足するものである。しかしながら、更に厳しいレベルとなる−40℃以下での溶接継手の要求CTOD特性を十分満足するものではなかった。
特開平5−247531号公報 特開2003−147484号公報
本発明は、小入熱溶接から中入熱溶接における溶接熱影響部(HAZ)の靭性に優れた鋼およびその製造法を提供することを目的とし、溶接熱影響部靭性のうち、特に、小〜中入熱の多層溶接部のCTOD特性が極めて良好である溶接熱影響部(HAZ)の靭性に優れた鋼およびその製造法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、小〜中入熱(板厚50mmで1.5〜6.0kJ/mm)溶接時のHAZのCTOD特性(−40℃以下の温度に於けるCTOD特性)について鋭意研究し、その結果、極めて局部的な領域の靱性(シャルピー試験による破壊性能指標)が支配的であり、この部分のミクロ組織の制御と脆化元素の低減、さらには応力集中源となり靭性を低下させる介在物の制御をすることによって、CTOD特性が極めて良好となることを知見した。
すなわち、
1)小〜中入熱HAZでは、一般に溶接後の冷却時間がおよそ60s以内である。このような冷却条件では、C含有量が十分低ければ、その他の脆化元素を適切に制御することにより、Mnを2.0%程度まで添加しても、靭性に悪影響を及ぼすM*が生成しなくなること、
2)Alを実質的に含まない鋼でTi酸化物を用いてミクロ組織を微細化する技術に代
えて、MgとCaによる複合脱酸技術を用いて結晶粒を微細化させることにより、鋼の焼入れ性を低く抑えることが可能となり、鋼成分をより適正化できること、
3)更に、鋼中に不純物として存在するNb、Vを一定限界以下に、制限することによ
り予期せぬ靭性低下を除去できること、を見出して本発明を完成した。
本発明の要旨は、次の通りである。
(1) 質量%で、
C:0.01〜0.07%、
Si:0.05〜0.20%、
Mn:1.50〜2.0%、
Cu:0.25〜0.50%、
Ni:0.50〜1.50%、
P:≦0.015%、
S:≦0.010%、
Ti:0.005〜0.015%、
N:0.0020〜0.0060%、
Mg:0.0003〜0.003%、
Ca:0.0003〜0.003%、
O:0.0010〜0.0045%
を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、不純物としての混入量がNb:≦0.010%、V:≦0.020%であり、下記(A)式で表されるCeHが0.05以下の範囲であることを特徴とする溶接熱影響部の靭性に優れた鋼。
CeH=C+1/4Si−1/24Mn+1/48Cu+1/32Ni+1/0.4Nb+1/2V ・・・(A)
但し、C、Si、Mn、Cu、Ni、Nb、Vは、それぞれ鋼成分量(質量%)を示す。
(2) CeHが0.02以下の範囲であることを特徴とする前記(1)記載の溶接熱影響部の靭性に優れた鋼。
(3) MgとCaの合計量が0.005%以下であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の溶接熱影響部の靭性に優れた鋼。
(4) 前記(1)〜(3)記載の鋼成分とCeHとを満足する鋼片を1100℃以下の温度に加熱後、加工熱処理することを特徴とする溶接熱影響部の靭性に優れた鋼の製造方法。
本発明によれば、小入熱溶接から中入熱溶接における溶接熱影響部の靭性に優れた鋼を提供することができ、特に、高強度で溶接時に最も靱性が劣化するFL部のCTOD特性が極めて良好で優れた靱性を示す溶接熱影響部の靭性に優れた鋼を提供することができる。これにより、海洋構造物、耐震性建築物等の厳しい環境で使用される高強度の鋼材を得ることを可能とすることができるという顕著な効果を奏するものである。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明者らの研究によれば、小〜中入熱(板厚50mmで1.5〜6.0kJ/mm)溶接時のHAZのCTOD特性(−40℃以下の温度に於けるCTOD特性)に対しては、極めて局部的な領域の靱性(シャルピー試験による破壊性能指標)が支配的であり、この部分のミクロ組織の制御と脆化元素の低減、さらには応力集中源となり靭性を低下させる介在物の制御が重要となる。換言すれば、CTOD特性は、材料の平均的特性ではなく局所的な脆化域や介在物の存在に支配され、鋼材中にごく一部分でも脆化をもたらす領域があれば、鋼板のCTOD特性は著しく損なわれる。
具体的には、CTOD特性に最も大きな影響を及ぼす局所的な領域はM*、フェライトサイドプレート(FSP)などの硬化相である。このような硬化相の生成を抑えるため、従来は、鋼の焼入れ性を低く抑える必要があり、高強度化の阻害要因となっていた。
本発明は、次の1)〜3)のことを見出し、HAZ靭性の高い鋼を具現化したものである。すなわち、
1)小〜中入熱HAZでは、一般に溶接後の冷却時間がおよそ60s以内である。このような冷却条件では、C含有量が十分低ければ、その他の脆化元素を適切に制御することにより、Mnを2.0%程度まで添加しても、靭性に悪影響を及ぼすM*が生成しなくなることを見出した。特に、−40℃以下のような極低温のCTOD特性を高いレベルで安定して得るためにはCuとNiをそれぞれCu:0.25〜0.5%、Ni:0.5〜1.5%に制御することが極めて有効である。これについては後述する。この結果、従来靭性を劣化させることから多量の添加はできないと考えられていたMnの含有量を高めることが可能となった。
2)Alを実質的に含まない鋼でTi酸化物を用いてミクロ組織を微細化する技術に代
えて、MgとCaによる複合脱酸技術を用いて結晶粒を微細化させることにより、鋼の焼入れ性を低く抑えることが可能となり、鋼成分をより適正化できることを知見した。これにより、M*以外の硬化相(BuやFSPなど)の生成も抑制することが可能となり、HAZ靱性劣化の要因を取り除くことができる。このとき、介在物の制御〔個数の低減〕の観点から、MgとCaのそれぞれの上限を0.003%にすることが良好なCTOD特性を得る上で不可欠である。なお、以上に示した1)の高Mn化と、2)のMgとCaの複合脱酸を用いた細粒化技術の組合せにとよるCTOD向上技術は従来全く報告されていない。
3)更に、鋼中に不純物として存在するNb、Vを一定限界以下に、制限することによ
り予期せぬ靭性低下を除去した。これら元素は硬化相の生成を促進する効果を有することから、含有量を制限することで靭性を向上させることが可能となる。
以上の3点を組み合せることにより、これまで達成できなかった小〜中入熱溶接HAZにおける−40℃以下の厳しい温度条件下での良好なCTOD特性を実現することが可能となる。特に、M*の生成が極めて少ない場合であっても、脆化元素であるC、Si、Cu、Ni、Nb、V等の制御が必須である。
具体的には、脆化に影響する合金元素のパラメータ(CeH)としてのC+1/4Si−1/24Mn+1/48Cu+1/32Ni+1/0.4Nb+1/2Vの値(CeH)を所定の範囲に制御することが重要である。この脆化元素パラメータの式は、各脆化元素の脆化に寄与する割合に応じた値を合算したものである。本発明者らは種々の条件にて溶接部のCTOD試験を実施し、各試験温度で3本のCTOD試験の最低値が0.1mmを示す温度である、Tδc(CTOD特性)とCeHの値には直線関係があり、Tδcが良好となるCeHの適正範囲を見出した。そのTδc(CTOD特性)とCeHの値との関係を図1に示した。
具体的には、Cu:0.25〜0.50%、Ni:0.5〜1.50%の範囲では、CeHが0.02程度のときに、Tδcが−60℃に達する。また、CeHが0.05より小さい場合にはTδcが−40℃を満足する。CuとNiはCTOD値の安定に不可欠であり、他の合金添加量の制御(CeH)との組合せによりCTOD値を向上させる。本発明では、前述したように2)の効果とこのCuとNi量の適正化によりCeHの増加の悪影響を小さくすることができる。
以上のように、本発明鋼の要件を満たし、CeHを制御することにより、所望のCTOD特性が得られる。本発明鋼では、CeHの値を、要求されるCTOD特性に応じて制御することが発明の特徴の一つである。CeHの値の制御に加え、その他の合金元素の含有量を適正化することが、高強度と優れたCTOD特性を兼ね備えた鋼の具現化に必要である。以下に鋼成分の限定範囲と理由を述べる。なお、ここで記載の%は、質量%を意味する。
C:0.01〜0.07%、
Cは強度を得るため0.01%以上は必要であるが、0.07%超では溶接HAZの靭性を劣化させ、良好なCTOD特性を満足できないため0.07%を上限とする。
Si:0.05〜0.20%、
SiはHAZ靱性を阻害するため、良好なHAZ靭性を得るためには少ない方が好ましい。しかし、発明鋼ではAlを添加してないため、脱酸のため0.05%以上の添加が必要である。しかしながら、含有量が0.20%を超えるとHAZ靱性を害するため、0.20%を上限とする。
Mn:1.5〜2.0%、
Mnは本発明の主たる合金元素であり、ミクロ組織を適正化する効果が大きく、しかも他の元素に比べて安価であることが特徴である。特に、前出のCeHを低下させることができるため、小〜中入熱のHAZ靭性を害することなく、高強度化のために多量の添加を行なうことが可能となる。しかし、2.0%超ではスラブの偏析を助長し、靭性に有害なBuを生成し易くするため、含有量は2.0%を上限とした。また、1.5%未満では効果が少ないので下限を1.5%とした。
Cu:0.25〜0.5、Ni:0.5〜1.5%、
Cu、Niは添加によるHAZ靭性の劣化が少なく、前述したように、高Mn鋼においても極低温のCTOD特性を改善させると共に、良好な値を安定して得ることができるため、本発明の重要な合金元素である。また、母材の強度を向上させる効果があり、特性のさらなる向上にCu:0.25以上、Ni:0.5以上とすることが有効であるが、それぞれの含有量がCu:0.5%、Ni:1.5%を超えると焼入れ性の増大から靱性が劣化する傾向となるため、これらの値を上限とした。したがって、Cu:0.25〜0.5、Ni:0.5〜1.5%とした。
P:≦0.015%、S:≦0.010%、
P、Sは、不可避的不純物として含有される元素であり、母材靱性、HAZ靱性の観点から少ない方が良いが、その低減には工業生産的な制約もあり、それぞれ0.015%、0.010%を上限としたが、それぞれ0.008%、0.005%を上限とすることが望ましい。
Ti:0.005〜0.015%、
Tiは0.005%以上含有することで、Ti窒化物を生成させミクロ組織を微細化させることにより靭性向上に大きく寄与するが、含有量が0.015%を超え多すぎるとTiCを生成し、これがHAZ靭性を著しく劣化させるため、0.005〜0.015%が適正範囲である。
Mg:0.0003〜0.003%、
Mgは本発明の主たる合金元素であり、主に脱酸剤あるいは硫化物生成元素として添加されるが、0.003%を越えて添加されると、粗大な酸化物あるいは硫化物が生成し易くなり、母材およびHAZ靱性の低下をもたらす。しかしながら、0.0003%未満の添加では、ピニング粒子として必要な酸化物の生成が十分に期待できなくなるため、その添加範囲を0.0003〜0.003%と限定する。
Ca:0.0003〜0.003%、
Caは硫化物を生成することにより伸長MnSの生成を抑制し、鋼材の板厚方向の特性、特に耐ラメラティアー性を改善する。さらに、CaはMgと同様な効果を有していることから、本発明の重要な元素である。Caは0.0003%未満では、十分な効果が得られないので下限値を0.0003%にした。逆に、Caが0.003%を超えるとCaの粗大酸化物個数が増加し、超微細な酸化物あるいは硫化物の個数が低下するため、その上限を0.003%とする。
以上のMgとCaは同時に添加され、いずれも強力な脱酸元素であることから、粗大な介在物を生成する危険が大きく靭性が劣化するため、その合計量としては最大でも0.005%が望ましい。
O:0.001〜0.0045%
Oは酸化物の生成に必要で、0.001%未満では効果が少なく、一方、0.0045%超では粗大な酸化物を生成し、靱性を極端に劣化させるため、含有範囲を0.001〜0.0045%とした。
N:0.002〜0.006%、
Nは微細なTi窒化物を形成して母材靭性やHAZ靭性を改善するために必要であるが、0.002%未満では効果が少なく、0.006%超では鋼片製造時に表面疵が発生するため上限を0.006%とした。
また、Nb、Vは、本質的に脆化元素であり、(A)式における大きな係数が示すようにその存在によりCeHを著しく高め、HAZ靭性を顕著に低下させるので、本発明では意図的に添加しない。不純物として鋼中に混入する場合も、靭性確保のためNbは0.02%以下に制限する必要がある。また、Vは0.03%以下、望ましくは0.02%以下に制限する必要がある。
また、靭性確保のためには、脆化元素パラメータ(CeH)としての下記(A)式の値を所定の範囲に制御することが重要である。
CeH=C+1/4Si−1/24Mn+1/48Cu+1/32Ni+1/0.4Nb+1/2V・・・・・(A)
但し、上記式において、C、Si、Mn、Cu、Ni、Nb、Vは、それぞれ鋼成分量(質量%)を意味する。
本発明においては、CeHが0.05より小さい場合にはTδcが−40℃を満足し、CeHが0.02以下のときに、Tδcが−60℃を満足させることができる。したがって、本発明ではCeHを0.05以下、又は、より低温靭性が要求されるものについては
CeHを0.02以下と限定した。
次に、本発明鋼の製造方法について説明する。
本発明鋼は工業的には連続鋳造法で製造することが望ましい。その理由は溶鋼の凝固冷却速度が速く、スラブ中に微細な酸化物とTi窒化物を多量に生成することが可能なためである。スラブの圧延に際し、その再加熱温度は1100℃以下とする必要がある。再加熱温度が1100℃を超えるとTi窒化物が粗大化して母材の靭性劣化やHAZ靱性改善効果が期待できないためである。再加熱温度の下限は、加工熱処理が可能な温度あればよく、1000℃とすることが好ましい。ついで、再加熱後の製造法は加工熱処理が必須である。その理由は、優れたHAZ靱性が得られても、母材の靱性が劣っていると鋼材としては不十分なためである。加工熱処理の方法としては、1)制御圧延、2)制御圧延−加速冷却、3)圧延後直接焼入れ−焼戻しなどが挙げられるが、好ましい方法は制御圧延−加速冷却法および圧延後直接焼入れ−焼戻し法である。
なお、この鋼を製造後、脱水素などの目的でAr3変態点以下の温度に再加熱しても、本発明の特徴を損なうものでない。
また、上記の方法は本発明鋼の製造方法の一例であり、本発明鋼の製造方法は上記の方法に限定されるものではない。
以下発明例および比較例に基づいて本発明を具体的に説明する。
転炉−連続鋳造−厚板工程で種々の鋼成分の厚鋼板を製造し、母材強度や溶接継手のCTOD試験を実施した。溶接は一般的に試験溶接として用いられている潜弧溶接(SAW)法で、溶接溶け込み線(FL)が垂直になるようにK開先で溶接入熱は4.5〜5.0kJ/mmで実施した。CTOD試験はt(板厚)×2tのサイズでノッチは50%疲労亀裂をFL位置に導入して実施した。表1に本発明の実施例および比較例として、鋼の化学成分およびCeHを示し、表2に製造条件、母材特性及び溶接継ぎ手靭性を示す。
表2に示すように、本発明で製造した鋼板(本発明鋼1〜25)は降伏強度(YS)が420N/mm以上で、−40℃、−60℃のCTOD値がいずれも0.30mm以上の良好な破壊靭性を示した。
これに対し、比較鋼26〜33は、強度やCTOD値が本発明鋼に比べて劣っており、厳しい環境下で使用される鋼板として必要な特性を有していない。比較鋼26はNbが過剰に添加されたため、鋼板のNb含有量が多すぎ、CeHの値も高くなり、CTOD値が低い値であった。比較鋼27はC含有量が多すぎ、CeHの値も高すぎるため、CTOD値がやはり低い値となっている。比較鋼28、29はCeHが低いものの、Al含有量が高すぎ、微細なMg酸化物の生成が不十分であるため、ミクロ組織の微細化が不十分であった。比較鋼30はCeHが発明鋼と同程度であるが、Cが少なく、Oが多いために母材強度が低く、CTOD値も低い値であった。比較鋼31〜33はMgとCaの添加量が少ない場合(比較鋼31)、一方が多い場合(比較鋼32)あるいは両者の合計が多い場合(比較鋼33)に相当し、いずれもCeHが低いにもかかわらず、ミクロ組織の微細化が十分ではないためにCTOD値が低値となった。
Figure 2009127104
Figure 2009127104
Tδc(CTOD特性)とCeHの値との関係を示す図である。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.01〜0.07%、
    Si:0.05〜0.2%、
    Mn:1.5〜2.0%、
    Cu:0.25〜0.5%、
    Ni:0.5〜1.5%、
    P:≦0.015%、
    S:≦0.01%、
    Ti:0.005〜0.015%、
    N:0.002〜0.006%、
    Mg:0.0003〜0.003%、
    Ca:0.0003〜0.003%、
    O:0.001〜0.0045%
    を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、不純物としての混入量がNb:≦0.01%、V:≦0.02%であり、下記(A)式で表されるCeHが0.05以下の範囲であることを特徴とする溶接熱影響部の靭性に優れた鋼。
    CeH=C+1/4Si−1/24Mn+1/48Cu+1/32Ni+1/0.4Nb+1/2V ・・・(A)
    但し、C、Si、Mn、Cu、Ni、Nb、Vは、それぞれ鋼成分(質量%)を示す。
  2. CeHが0.02以下の範囲であることを特徴とする請求項1記載の溶接熱影響部の靭性に優れた鋼。
  3. MgとCaの合計量が0.005%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶接熱影響部の靭性に優れた鋼。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の鋼成分とCeHとを満足する鋼片を1100℃以下の温度に加熱後、加工熱処理することを特徴とする溶接熱影響部の靭性に優れた鋼の製造方法。
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