JP3199656B2 - ガスシールドアーク溶接用ワイヤ - Google Patents

ガスシールドアーク溶接用ワイヤ

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JP3199656B2
JP3199656B2 JP03493497A JP3493497A JP3199656B2 JP 3199656 B2 JP3199656 B2 JP 3199656B2 JP 03493497 A JP03493497 A JP 03493497A JP 3493497 A JP3493497 A JP 3493497A JP 3199656 B2 JP3199656 B2 JP 3199656B2
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励一 鈴木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は軟鋼又は490(N
/mm2)級の高張力鋼を炭酸ガスシールドアーク溶接
する際に適用されるガスシールドアーク溶接用ワイヤに
関し、特に、溶接部の機械的性能を向上させることがで
きるガスシールドアーク溶接用ワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】CO2等をシールドガスとして使用する
ガスシールドアーク溶接法は、被覆アーク溶接法と比較
して溶接能率が高いので、急速に普及しており、現在、
最も使用量が多い溶接方法となっている。更に、溶接装
置に関しても、高性能溶接ロボット及び簡易ロボットが
開発されており、より一層溶接能率が高まっている。こ
れらの溶接機器を使用して溶接する場合、手動で溶接す
る場合と異なって、人体に疲労が発生しないか又は緩和
されるという利点を有する。従って、溶接機器を使用す
ると、溶接電流を増加させることができると共に、連続
溶接を実施することが可能となる。
【0003】しかしながら、現状においては、これらの
溶接機器の性能を十分に利用した高能率溶接が実施され
ることは少ない。これは、従来の溶接用ワイヤを使用し
た場合、大入熱及び高いパス間温度で溶接すると、溶接
金属の強度及び靱性が低下してしまい、所望の機械的性
能を得ることができないからである。そのため、実際の
溶接時においては、入熱量及びパス間温度の上限を低く
設定する必要があるので、溶接能率を十分に向上させる
ことができない。
【0004】そこで、高能率溶接に好適であるアーク溶
接用鋼ワイヤとして、ワイヤ中のC、Si、Mn、A
l、Ti、Zr及びV等の含有量を規制すると共に、所
定量のBを含有したものが開示されている(特公昭43
−12258号公報)。また、ワイヤ中のTi、B、
C、Si及びMnの含有量を規定し、高能率自動溶接時
に低温靱性を向上させることができるガスシールドアー
ク溶接用ワイヤも提案されている(特開昭54−402
50号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
いずれのワイヤを使用しても、大入熱及び高パス間温度
で溶接した場合、未だ、溶接金属の機械的性能が不十分
であるという問題点がある。更に、ワイヤ中にBを添加
すると、溶接金属を微細化する効果を得ることはできる
が、一方、耐高温割れ性が極めて低いものとなるという
難点が発生する。上述の従来のワイヤはいずれも、所定
量のBを含有しているので、大入熱で溶接した場合に、
割れが発生することがある。
【0006】他に、入熱量及びパス間温度を高くして
も、機械的性能が低下することを防止することができる
ガスシールドアーク溶接用ワイヤが提案されている(特
公昭54−32623号公報)。これは、耐高温割れ性
を低下させる元素であるBを含有しないものである。こ
のワイヤを使用した場合、大入熱溶接時においても、溶
接金属の機械的性能を若干向上させることはできるが、
高いパス間温度で連続溶接すると、靱性が極めて低いも
のになるという問題点が発生する。
【0007】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、大入熱及び高いパス間温度で溶接した場合
であっても、溶接金属の強度及び靱性等を確保すること
ができると共に、耐割れ性を向上させることができるガ
スシールドアーク溶接用ワイヤを提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るガスシール
ドアーク溶接用ワイヤは、C:0.02乃至0.10重
量%、Si:0.65乃至1.10重量%、Mn:1.
75乃至2.50重量%、Ti:0.16乃至0.45
重量%、B:0.003乃至0.010重量%及びS:
0.020重量%以下を含有し、残部がFe及び不可避
的不純物であって、前記不可避的不純物のうち、Alが
0.03重量%以下、Crが0.10重量%未満、Mo
が0.5重量%以下、Cuが1.0重量%以下、Pが
0.016重量%以下に規制されており、前記Bの含有
量を[B]、前記Tiの含有量を[Ti]、前記Sの含
有量を[S]としたとき、数式PBT=[B]×103
[Ti]によって算出されるPBTが12乃至40である
と共に、数式PBS=[B]×[S]×105によって算
出されるPBSが10以下であることを特徴とする。
【0009】このワイヤ中のMoは0.1重量%以下で
あることが好ましく、0.01重量%以下であることが
より一層望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本願発明者等が前記課題を解決す
るために、種々のワイヤを作製して、このワイヤによっ
て大入熱及び高いパス間温度で溶接し、これにより得ら
れた溶接金属の機械的性能を系統的に評価した。その結
果、溶接金属の靱性及び耐割れ性を低下させない範囲と
して、ワイヤ中のTiとBとの間、及びSとBとの間の
相関関係を見い出した。
【0011】図1は縦軸にワイヤ中のB含有量をとり、
横軸にワイヤ中のTi含有量をとって、良好な機械的性
質を有する溶接金属を得ることができるB及びTi含有
量の範囲を示すグラフ図である。本発明においては、B
及びTiの含有量の範囲を規定すると共に、両者の関係
を適切に限定している。Bは結晶粒の微細化を促進し、
靱性を向上させる効果を有するが、Bが窒化物又は酸化
物となると、その効果は失われる。そこで、強脱酸剤及
び強脱窒剤としての作用を有するTiをBと共存させる
ことにより、Bが酸化又は窒化することを防止すること
ができ、Bの添加効果を十分に得ることができる。
【0012】本願発明者等は、従来、提案されていなか
ったワイヤ中へのBの添加量に対する適切なTi添加量
を見い出し、BとTiとの関係をパラメータPBTとして
表した。ワイヤ中のB含有量を[B]、ワイヤ中のTi
含有量を[Ti]としたとき、PBT(PBT=[B]×1
3/[Ti])が12乃至40であるとき、BとTi
との関係が適正化され、良好な機械的性質を得ることが
できる。PBTが40を超えると、Bの添加量に対してT
iの添加量が不足して、Bの酸化及び窒化を抑制するこ
とができなくなり、溶接金属の靱性を向上させることが
できない。一方、PBTが12未満であると、Ti含有量
が過剰となり、Bの添加効果が飽和すると共に、Tiの
酸化物、窒化物及び炭化物等が溶接金属中に過多に存在
することになり、脆化しやすくなる。従って、BとTi
とは比例的にワイヤ中に添加されることが好ましく、P
BT(PBT=[B]×103/[Ti])を12乃至40
とする。即ち、図1中に斜線で示す範囲が本発明におい
て規定するB及びTiの範囲となる。
【0013】図2は縦軸にワイヤ中のB含有量をとり、
横軸にワイヤ中のS含有量をとって、優れた耐高温割れ
性を有する溶接金属を得ることができるB及びS含有量
の範囲を示すグラフ図である。本発明においては、B及
びSの含有量の範囲を規定すると共に、両者の関係を適
切に限定している。一般的に、Sは溶接金属中において
有害な元素とされている。これは、SはBと同様に、溶
接金属の耐割れ性を低下させると共に、靱性を低下させ
る元素であるからである。しかし、Sは溶融プールの表
面張力を低下させ、ビード形状を平坦化させたり、スラ
グ量を低減する効果を有している。従って、溶接金属の
耐割れ性及び靱性に悪影響を与え難い条件において使用
されるワイヤには、Sを添加することがある。
【0014】本発明においては、大入熱及び高いパス間
温度で溶接する場合に、優れた靱性を有する溶接金属を
得ることを目的としている。また、大入熱溶接時におい
ては、梨形割れ等の高温割れが発生しやすくなるので、
優れた耐高温割れ性も要求される。一般的に、不純物と
してワイヤ中に含有されるS量はワイヤ作製時の原料の
溶解方法によって異なるが、S含有量は0.050重量
%以上となることがある。本発明においては、良好な耐
割れ性及び靱性を得るために、S含有量を0.020重
量%以下に規制している。
【0015】しかしながら、S含有量を厳密に規制して
も、Bの含有量によっては、高温割れが発生することが
ある。即ち、ワイヤ中のB含有量が高い場合、耐割れ性
の低下が助長されるので、B含有量の増加に伴って、S
含有量を低減させる必要がある。本願発明者等は、ワイ
ヤ中へのBの添加量に対する適切なS含有量を見い出
し、BとSとの関係をパラメータPBSとして表した。ワ
イヤ中のB含有量を[B]、ワイヤ中のS含有量を
[S]としたとき、PBS(PBS=[B]×[S]×10
5)が10を超えると、高温割れの発生を防止すること
ができなくなる。従って、B含有量と、S含有量との関
係は、PBS(PBS=[B]×[S]×105)が10以
下となるように規制する。なお、本発明においては、図
2中に斜線で示す範囲でSを添加することにより、優れ
たビード形状及び外観を得ることができる。
【0016】以下、本発明におけるガスシールドアーク
溶接用ワイヤに含有される化学成分及びその組成限定理
由について、更に説明する。
【0017】Ti:0.16乃至0.45重量% 前述の如く、Tiは強力な脱酸効果及び脱窒効果を有し
ている。ワイヤ中のTi含有量が0.16重量%未満で
あると、その効果を十分に得ることができず、Bが酸化
又は窒化してしまうので、Bが有する靱性を向上させる
効果を有効にすることができない。一方、Ti含有量が
0.45重量%を超えると、結晶粒内及び粒界に存在す
るTi量が増加しすぎて、脆化してしまう。また、ワイ
ヤとしての伸線性が著しく劣化するので、生産性が低下
する。従って、ワイヤ中のTi含有量は0.16乃至
0.45重量%とする。
【0018】B:0.003乃至0.010重量% Bは結晶粒を微細化し、靱性を改善する効果を有する元
素である。ワイヤ中のB含有量が0.003重量%未満
であると、その効果を十分に得ることができない。一
方、Bは耐高温割れ性を著しく劣化させる成分でもあ
る。ワイヤ中のB含有量が0.010重量%を超える
と、極めて割れが発生し易くなり、溶接部の健全性が失
われる。従って、ワイヤ中のB含有量は0.003乃至
0.010重量%とする。
【0019】C:0.02乃至0.10重量% Cは溶接金属の強度を確保するために重要な元素であ
る。ワイヤ中のC含有量が0.02重量%未満である
と、大入熱及び高いパス間温度での溶接時に、所望の強
度を得ることができない。一方、Cが0.10重量%を
超えて過剰にワイヤ中に添加されると、靱性が著しく低
下する。従って、ワイヤ中のC含有量は、0.02乃至
0.10重量%とする。
【0020】Si:0.65乃至1.10重量% Siは脱酸効果及び強度を向上させる効果を有する元素
である。大入熱及び高いパス間温度で溶接する場合、溶
融プールの冷却速度の低下に伴って、溶融プールの面積
が拡大化されるので、Siが著しく消費される。ワイヤ
中のSi含有量が0.65重量%未満であると、脱酸効
果を十分に得ることができず、溶接金属が酸化されると
共に、ブローホールが発生する。また、所望の強度を得
ることができない。一方、Si含有量が1.10重量%
を超えると、溶接金属の靱性が低下する。従って、ワイ
ヤ中のSi含有量は0.65乃至1.10重量%とす
る。
【0021】Mn:1.75乃至2.50重量% Mnは脱酸効果を有していると共に、強度及び靱性を向
上させる効果も有する元素である。また、耐高温割れ性
を向上させる効果も有している。ワイヤ中のMn含有量
が1.75重量%未満であると、大入熱及び高いパス間
温度で溶接した場合に、所望の強度を得ることができな
い。また、高温割れを防止する効果も十分に得ることが
できない。一方、Mn含有量が2.50重量%を超える
と、ワイヤの伸線性が低下すると共に、溶接部が硬化し
て、靱性が低下してしまう。従って、ワイヤ中のMn含
有量は1.75乃至2.50重量%とする。
【0022】S:0.020重量%以下 上述の如く、Sは耐割れ性を低下させると共に、靱性を
低下させる元素であるので、一般的にはワイヤ中に添加
されない。本発明においては、ワイヤ中のB含有量が少
ない場合であっても、S含有量が0.020重量%を超
えると、高温割れが極めて発生しやすくなる。従って、
ワイヤ中のS含有量は0.020重量%以下とする。但
し、上述の如く、靱性を向上させるためにBの添加量を
増加させる場合は、本発明に規定するPBSの範囲内とな
るように、S含有量を規制する必要がある。なお、Sは
溶融プールの表面張力を低下させ、ビード形状を平坦化
すると共に、スラグ量を減少させる効果を有しているの
で、本発明に規定する範囲内で、必要に応じてSを添加
することができる。
【0023】Al:0.03重量%以下 ワイヤ中に不可避的不純物として存在するAlは、強脱
酸剤としての効果を有しているが、このAlの殆どは、
酸化物として結晶粒界に歩留まって析出するので、溶接
金属の靱性が著しく低下する。従って、ワイヤ中のAl
は0.03重量%以下に規制する。
【0024】Cr:0.10重量%未満 Crはワイヤ中に不可避的不純物として存在する元素で
あり、Cr含有量が0.10重量%以上であると、溶接
金属の靱性が著しく低下する。従って、ワイヤ中のCr
含有量は0.10重量%未満に規制する。
【0025】Mo:0.5重量%以下 ワイヤ中に不可避的不純物として存在するMoは、溶接
金属の強度を向上させる効果を有しているが、硬化する
ことにより溶接金属の靱性を低下させる。また、ワイヤ
製造時において、伸線性を著しく低下させる。ワイヤ中
のMo含有量が0.5重量%を超えると、このような現
象が顕著に発生する。従って、ワイヤ中のMo含有量は
0.5重量%以下に規制する。なお、好ましくは、0.
1重量%以下であり、更に好ましくは、0.01重量%
以下である。
【0026】Cu:1.0重量%以下 ワイヤ中に不可避的不純物として存在するCuは、溶接
金属を脆化させると共に、耐高温割れ性を低下させる元
素である。ワイヤ中のCu含有量が1.0重量%を超え
ると、このような現象が顕著に発生する。従って、ワイ
ヤ中のCu含有量は1.0重量%以下とする。なお、ワ
イヤにCuメッキを施す場合は、心線中のCu含有量と
メッキのCu量との総量で規定する。
【0027】P:0.016重量%以下 ワイヤ中に不可避的不純物として存在するPは、Sと同
様に、溶接金属の耐割れ性を著しく低下させる元素であ
る。また、Pには添加による有効な効果がないので、ワ
イヤ中のP含有量はできるだけ低減することが好まし
い。ワイヤ中のP含有量が0.016重量%を超える
と、耐割れ性の低下が顕著になる。従って、ワイヤ中の
P含有量は0.016重量%以下に規制する。
【0028】
【実施例】以下、本発明に係るガスシールドアーク溶接
用ワイヤの実施例についてその比較例と比較して具体的
に説明する。
【0029】先ず、下記表1乃至4に示す組成を有する
ワイヤを使用して、下記表5に示す溶接条件によって鋼
板を溶接した。なお、溶接時に使用したセラミクス裏当
て材は、Bを含有したガラステープを使用したものであ
るので、溶接時に溶接金属にBが混入し、これにより、
溶接金属の割れが発生しやすい条件としている。また、
他の溶接条件についても、入熱量及びパス間温度を高く
しており、優れた機械的性質を有する溶接金属が得られ
にくい条件とした。
【0030】次に、得られた溶接金属について、機械的
性質として強度及び靱性を評価すると共に、X線透過試
験によって割れ及びブローホールの有無を調査した。こ
れらの評価結果を下記表6及び7に示す。なお、強度及
び靱性は、0.2%耐力、引張強さ及び0℃におけるシ
ャルピー吸収エネルギーを測定することにより評価し、
0.2%耐力が390(N/mm2)以上、引張強さが
490(N/mm2)以上であると共に、シャルピー吸
収エネルギーが47J以上であるものを合格とした。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【0037】
【表7】
【0038】上記表1乃至4、6及び7に示すように、
実施例No.1乃至14はワイヤの化学組成が本発明の
範囲内であると共に、BとTiとの関係PBT及びBとS
との関係PBSが規定範囲内であるので、大入熱及び高い
パス間温度での溶接条件であっても、強度及び靱性が良
好である溶接金属を得ることができた。また、割れが発
生しやすい条件で溶接したものであるが、割れが発生し
たものはなく、耐割れ性が優れた溶接金属を得ることが
できた。
【0039】特に、実施例No.2、5、6及び13は
ワイヤ中のMo含有量が本発明の好ましい範囲内である
ので、実施例No.7乃至10と比較して高いシャルピ
ー吸収エネルギーを得ることができ、実施例No.1、
3、4、11、12及び14は、ワイヤ中のMo含有量
が、更に厳密に管理されているので、より一層シャルピ
ー吸収エネルギーを高めることができた。
【0040】一方、比較例No.15はワイヤ中のC及
びTiの含有量が本発明範囲の上限を超えており、Ti
含有量の過剰によりPBTが本発明範囲の下限未満である
ので、脆化して靱性が低くなった。また、ワイヤ中のS
含有量が本発明範囲の上限を超えており、S含有量の過
剰によりPBSが本発明範囲の上限を超えているので、高
温割れが発生した。比較例No.16はSi含有量が本
発明範囲の上限を超えていると共に、Ti含有量が本発
明範囲の下限未満であって、Ti含有量の不足によりP
BTが本発明範囲の上限を超えているので、靱性が低いも
のとなった。また、B及びS含有量は本発明の範囲内で
あるが、これらの関係を規定するPBSが本発明範囲の上
限を超えているので、溶接金属の耐割れ性が低下して、
割れが発生した。更に、Ti含有量が本発明範囲の下限
未満であるので、アークの安定性も低下し、スパッタが
多量に発生した。
【0041】比較例No.17はMn及びTi含有量が
本発明範囲の下限未満であるので、強度及び靱性が低下
した。また、比較例No.16と同様に、Ti含有量の
不足により、スパッタが多量に発生した。更に、S含有
量が本発明範囲の上限を超えているので、割れが発生し
た。比較例No.18はB含有量が本発明範囲の下限未
満であるので、結晶粒を微細化する効果を十分に得るこ
とができず、靱性が低いものとなった。また、P含有量
が本発明範囲の上限を超えているので、割れが発生し
た。比較例No.19はB含有量が本発明範囲の下限未
満であると共に、Al含有量が本発明範囲の上限を超え
ており、B含有量の不足によりPBTが本発明範囲の下限
未満であるので、酸化物が析出することによって溶接金
属が脆化し、靱性が低下した。また、Alによりアーク
安定性が低下したので、スパッタが多量に発生した。
【0042】比較例No.20はB含有量が本発明範囲
の上限を超えているので、高温割れが発生した。また、
Cr含有量も本発明範囲の上限を超えているので、溶接
金属の靱性が低下した。比較例No.21はTi及びM
oの含有量がいずれも本発明範囲の上限を超えているの
で、組織が硬化すると共に、炭化物及び酸化物が析出し
て靱性が低下した。比較例No.22はB及びCuの含
有量がいずれも本発明範囲の上限を超えているので、耐
高温割れ性が低下して、割れが発生すると共に、靱性が
低下した。
【0043】比較例No.23はC含有量が本発明範囲
の下限未満であるので、所望の強度を得ることができな
かった。また、B及びTiの含有量は本発明範囲内であ
るが、これらの関係を規定するPBTが本発明範囲の下限
未満であるので、Tiが過剰となり、靱性を向上させる
ことができなかった。比較例No.24は比較例No.
23と同様に、PBTが本発明範囲の下限未満であるの
で、靱性が低いものとなった。また、Si含有量が本発
明範囲の下限未満であるので、強度が不足すると共に、
脱酸不足となって、ブローホールが発生した。
【0044】比較例No.25はB、Ti及びS含有量
は本発明範囲内であるが、これらの関係を規定するPBT
及びPBSが本発明範囲の上限を超えているので、靱性が
低下し、割れも発生した。比較例No.26はC含有量
が本発明範囲の上限を超えていると共に、PBTが本発明
範囲の上限を超えているので、靱性が低下した。比較例
No.27はB含有量が本発明範囲の上限を超えてお
り、B含有量の過剰によりPBSが本発明範囲の上限を超
えているので、耐高温割れ性が低下して、割れが発生し
た。
【0045】比較例No.28はSi及びCrの含有量
が本発明範囲の上限を超えているので、溶接金属が脆化
して靱性が低下した。また、B及びSの含有量は本発明
範囲内であるが、これらの関係を規定するPBSが本発明
範囲の上限を超えているので、高温割れが発生した。比
較例No.29は比較例No.28と同様に、PBSが本
発明範囲の上限を超えているので、高温割れが発生し
た。比較例No.30はSが本発明範囲の上限を超えて
いるので、割れが発生した。また、Mn及びBの含有量
が本発明範囲の下限未満であり、B含有量の不足により
BTが本発明範囲の下限未満となっているので、強度及
び靱性が低下した。
【0046】比較例No.31はMn含有量が本発明範
囲の上限を超えていると共に、Ti含有量が本発明範囲
の下限未満であって、Ti含有量の不足によりPBTが本
発明範囲の上限を超えているので、靱性が低下した。ま
た、Ti含有量の不足によりアーク安定性が低下して、
スパッタが多量に発生した。比較例No.32はS含有
量が本発明範囲の上限を超えており、S含有量の過剰に
よりPBSが本発明範囲の上限を超えているので、耐割れ
性が低下して、高温割れが発生した。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
ワイヤの組成を適切に規定していると共に、B含有量と
Ti含有量との関係及びB含有量とS含有量との関係を
適切に規定しているので、大入熱及び高いパス間温度で
溶接した場合であっても、490(N/mm2)級の高
張力鋼として十分な強度及び靱性等を確保することがで
きると共に、耐割れ性が優れた溶接金属を得ることがで
きる。また、ワイヤ中のMo含有量を厳密に規定する
と、溶接金属の靱性をより一層向上させることができ
る。これにより、大入熱溶接による溶接パス数の減少が
可能になると共に、高いパス間温度での溶接によって、
溶接金属の冷却待ち時間の削減が可能となるので、溶接
工程の能率を著しく向上させることができ、多大な工業
的価値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】縦軸にワイヤ中のB含有量をとり、横軸にワイ
ヤ中のTi含有量をとって、良好な機械的性質を有する
溶接金属を得ることができるB及びTi含有量の範囲を
示すグラフ図である。
【図2】縦軸にワイヤ中のB含有量をとり、横軸にワイ
ヤ中のS含有量をとって、優れた耐高温割れ性を有する
溶接金属を得ることができるB及びS含有量の範囲を示
すグラフ図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−96391(JP,A) 特開 昭64−53798(JP,A) 特開 昭54−40250(JP,A) 特公 平4−20720(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 35/30 C22C 38/00 - 38/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.02乃至0.10重量%、S
    i:0.65乃至1.10重量%、Mn:1.75乃至
    2.50重量%、Ti:0.16乃至0.45重量%、
    B:0.003乃至0.010重量%及びS:0.02
    0重量%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物
    であって、前記不可避的不純物のうち、Alが0.03
    重量%以下、Crが0.10重量%未満、Moが0.5
    重量%以下、Cuが1.0重量%以下、Pが0.016
    重量%以下に規制されており、 前記Bの含有量を[B]、前記Tiの含有量を[T
    i]、前記Sの含有量を[S]としたとき、数式PBT
    [B]×103/[Ti]によって算出されるPBTが1
    2乃至40であると共に、数式PBS=[B]×[S]×
    105によって算出されるPBSが10以下であることを
    特徴とするガスシールドアーク溶接用ワイヤ。
  2. 【請求項2】 前記Moは0.1重量%以下であること
    を特徴とする請求項1に記載のガスシールドアーク溶接
    用ワイヤ。
  3. 【請求項3】 前記Moは0.01重量%以下であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のガスシールドアーク溶
    接用ワイヤ。
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