JP2797981B2 - 高強度オーステナイト鋼溶接材料およびその製造方法 - Google Patents

高強度オーステナイト鋼溶接材料およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発電用ボイラ、化学反
応装置などの高温強度が要求される用途に使用されるオ
ーステナイト鋼を溶接するための溶接材料およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、高温で使用される発電用ボイ
ラ、化学反応装置等には、主として18−8系のオース
テナイト系ステンレス鋼が使用されてきた。しかし、例
えばボイラ等では、最近のエネルギー効率の改善要求の
高まりから、運転条件が非常に苛酷化しており、18−
8系のオーステナイト系ステンレス鋼よりも更に高温強
度の高い材料が要求されるようになった。
【0003】このような要求に対し、Cr量およびNi
量を高めたボイラ用の新材料は多く開発されている。し
かし、それらは性能的には問題がないものの、経済的に
は18−8系のオーステナイト系ステンレス鋼に比べて
非常に高コストとなる。そこで、18−8系のオーステ
ナイト系ステンレス鋼をベースとしてこれにCu,N
b,NおよびBを添加することにより高温強度の改善を
図ったオーステナイト鋼が、特開昭62−133048
号公報により提示されている。
【0004】この18−8系ベースの高強度オーステナ
イト鋼は、CrおよびNiの増量によらずに高温強度を
高めているので経済性が良く、高強度化による薄肉化と
合わせて、溶接構造物の製造コスト低減に大きな効果を
発揮するものと期待されている。
【0005】一方、このようなオーステナイト鋼を溶接
するための溶接材料としては、その母材をそのまま溶接
材料として使用すること、高Ni合金用の溶接材料を使
用することが通常考えられる。しかし、高Ni合金用の
溶接材料は高価である。また後で詳しく説明するが、高
温で高強度のオーステナイト鋼をそのまま溶接材料とし
て使用しても溶接金属に母材と同等の性能を与えること
ができない。
【0006】そこで例えば、オーステナイト鋼にV,N
を共存させ、更に、Mo,W,Ti,Ni,V,Bを複
合添加することにより、高クリープ強度の溶接金属を得
る比較的低コストな溶接材料が、特開昭63−3093
92号公報に開示されている。
【0007】また、高Ni合金用の溶接材料が高価なこ
と、母材をそのまま溶接材料として用いた場合に溶接金
属の性能が母材より劣ることなどを考慮して、オーステ
ナイト鋼にNb,Nを添加し、NbC,NbCrNの析
出により凝固組織の微細化を図ることにより、凝固のま
まの溶接金属に高い高温強度を付与する溶接材料が、特
開平6−142980号公報に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】特開昭62−1330
48号公報に示されているような高温で高強度のオース
テナイト鋼は、高Ni合金より安価であるが、これをそ
のまま溶接材料に使用すると、母材は溶製後、圧延熱処
理により組織の調整を受けて高温強度の確保が図られて
いるのに対し、溶接金属は殆どの場合、凝固のままの組
織で使用されるため、溶接金属の高温強度を高めること
が本質的に困難である。
【0009】また、オーステナイト組織では、本質的に
溶接高温割れが発生しやすく、溶接金属では、特に、凝
固時に発生する凝固割れが問題となる。その上、この種
鋼材の高温強度を高めるために添加される一部の成分
は、溶接高温割れに悪影響を与え、その防止を一層困難
にしている。
【0010】例えば、母材の高温強度改善に有効なB
は、溶接金属の溶接高温割れ感受性を高める。また、溶
接高温割れ感受性の低減には、Ni量を減じてδフェラ
イトを数%晶出させることが有効であるが、このδフェ
ライトは高温での使用中にシグマ相へ変態して脆化の原
因になるため、δフェライトの晶出は抑えなければなら
ない。
【0011】特開昭63−309392号公報に開示さ
れている溶接材料では、クリープ強度を確保するための
成分設計に関連して、TiとNb,VとNbが複合添加
される。TiとNb,VとNbの複合添加は溶接高温割
れ感受性を高めるので、この溶接材料では溶接高温割れ
が問題になる。クリープ強度についても、長時間域まで
考慮すると、600〜700℃の温度域においては必ず
しも高いクリープ強度を得ることができない。
【0012】特開平6−142980号公報に開示され
ている溶接材料では、Ti,V、特にVを使用しないの
で、溶接金属の溶接高温割れ感受性は比較的低い。高温
での強度も優れるが、650℃での105 時間クリープ
強度は約10kgf/mm2が限界であり、これより高
い高温強度の母材に使用した場合は、溶接部でクリープ
強度が不足する。そのため、溶接高温割れ感受性を抑え
たままで更に高い高温強度を確保することが必要にな
る。
【0013】また、いずれの溶接材料についても、クリ
ープ強度を高めるためにCuが添加されているために、
熱間加工性が悪く、溶接材料とするための線材加工が容
易でなく、仮に高温強度が優れたものであって、熱間加
工で割れが生じ、線材に加工できない場合も考えられ
る。
【0014】本発明の目的は、溶接高温割れ感受性を高
めずに溶接金属に高い高温強度を付与し、且つ熱間加工
性が良好な高強度オーステナイト鋼溶接材料を提供する
ことにある。
【0015】本発明の他の目的は、その溶接材料を熱間
加工で割れを生じることなく製造し得る溶接材料の製造
方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】特開昭62−13304
8号公報に開示されているような高温強度の優れたオー
ステナイト鋼の溶接においては、溶接高温割れ感受性を
高めずに、溶接金属の高温強度を高めることが必要であ
る。この手段として、本発明者らは高N化、Cu添加、
W添加に加えて、高温での使用時にLaves 相等の金属間
化合物が微細分散するように合金設計しておくのが有効
なことを種々の実験から知見した。
【0017】高N化は固溶強化およびNbCrNとして
微細析出することによる強化により、溶接金属の高温強
度を高める。Cu添加は析出強化により溶接金属の高温
強度を高める。W添加は固溶強化により高温強度を高め
ると共に、Laves 相等の生成源となる。そして、これら
の強化の相乗と、高温での使用時にLaves 相等の金属間
化合物を微細分散させることによる強化とにより、耐溶
接高温割れ性低下の原因となるTi, Vを添加すること
なく、溶接金属のクリープ強度を著しく向上させること
が可能となる。
【0018】更に、ここで重要な高温での使用時に金属
間化合物を微細分散させ、これをクリープ強度向上に有
効に寄与させることについては、金属組織のオーステナ
イト形成ポテンシャルを適正にコントロールすることが
必要であることも判明した。具体的には次式にて合金成
分、主にNi量を規制することにより、これが実現され
る。 −8≦AP ≦2 AP =Ni+0.5Mn+30(C+N)−1.1(Cr+
1.5Si+Mo+0.5W)
【0019】これらを実現した溶接材料は、耐溶接高温
割れ性および溶接金属の高温強度に優れ、溶接金属の高
温強度については、650℃での105 時間クリープ強
度が10kgf/mm2 を超えることも可能であり、特
開平6−142980号公報に記載された溶接材料を凌
ぐ。その理由としては、W添加によりLaves 相を生成さ
せた上で、AP 値の適正化によりW含有の微細Laves 相
を析出させることにより、その析出強化がクリープ強度
の向上に有効に寄与することが考えられる。
【0020】また、溶接材料とするために必要な熱間加
工性の改善については、次のような事実が判明した。ク
リープ強度確保のために必須元素として添加されるCu
が鋼中のOと結合して、低融点相を生じる。Cuと共に
Nを必須元素としているために、熱間変形抵抗が増大す
る。その結果、鋼塊から丸棒鋼および粗線材に熱間加工
する過程で割れが生じる。この対策として、O量を低く
すると共にCaを添加して、Cuによる低融点相の生成
を抑えることが有効なことを本発明者らは知見した。
【0021】更に、そのような溶接材料を製造する際の
適正な熱間加工条件も、本発明者らによる調査から判明
した。
【0022】本発明の溶接材料は、重量%でC:0.03
〜0.13%、Si:0.1〜0.5%、Mn:0.6〜6%、
Cr:20〜24%、Ni:6〜21%、Nb:0.01
〜0.7%、Mo:0.5〜1.5%、W:1〜3%、Cu1
〜4%、N:0.2〜0.4%、Al:0.5%以下、Ca:
0.002〜0.02%、Mg:0.02%以下、O:0.01
%以下、P:0.01%以下、P+S:0.02%以下と、
更に必要に応じてB:0.01%以下を含み、 −8≦AP ≦2 AP =Ni+0.5Mn+30(C+N)−1.1(Cr+
1.5Si+Mo+0.5W) を満足し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるこ
とを特徴とする。
【0023】本発明の溶接材料の製造方法は、上記成分
組成の素材を1100℃〜1250℃にて鍛造後、10
50〜1250℃にて外径6mm以上の粗線材に熱間圧
延し、更に40%以下の冷間加工と1000〜1250
℃での熱処理とを繰り返して線材に加工することを特徴
とする。
【0024】
【作用】以下に本発明における条件限定理由について述
べる。
【0025】〔溶接材料の成分〕 C:高温での引張強さ、クリープ強度の向上に寄与す
る。ただし、過剰の添加は、炭窒化物として析出し強度
の低下を招く。そのため、0.03〜0.13%とした。好
ましくは0.04〜0.12%、更に好ましくは0.05〜0.
10%である。
【0026】Si:脱酸剤として添加されるが、過度の
添加は凝固割れ感受性を高めるので、0.1〜0.5%とし
た。
【0027】Mn:脱酸剤として添加されるが、Sを固
定するため、溶接高温割れ感受性の低減にも寄与する。
ただし、過度の添加は脆化を招く。そのため0.6〜6%
とした。
【0028】Cr:高温強度、耐酸化性、耐食性の確保
のために不可欠の元素であるが、過度の添加は熱間加工
性を損なう。そのため、20〜24%とした。
【0029】Ni:オーステナイト組織の安定化、高温
強度の確保のために不可欠であり、6〜21%とした。
6%未満では溶接金属にフェライト相が生成し、使用中
に有害なシグマ相の析出を促進することにより、クリー
プ強度の低下を招く。一方21%を超えると溶接高温割
れ感受性の増大を招く。
【0030】そして、Ni量を6〜21%とした上で、
P が−8〜2となるように、主にNi量を調整する。
これはNi量の調整が高温強度を向上させる上で重要な
ポイントとなるからである。
【0031】AP を−8〜2とすることにより高温での
使用中に金属間化合物(Γ相)が微細析出し、クリープ
強度を向上させる。AP が−8未満では高温での使用中
に粗大な金属間化合物の析出成長が進み、結果としてク
リープ強度の低下を招く。一方、2を超えると高温でオ
ーステナイト相が安定となり、金属間化合物の微細析出
によるクリープ強度の向上が期待できなくなる。AP
下限としては−6以上が望ましく、−4以上が更に望ま
しい。またその上限としては1以下が望ましく、0以下
が更に望ましい。
【0032】Nb:炭窒化物を微細析出させることによ
り、高温強度の向上に寄与する。しかし、過度の添加
は、溶接高温割れ感受性を低下させ、特に、δフェライ
トを晶出させない条件下では、この割れ感受性に大きく
影響する。そのため、0.01〜0.7%とした。
【0033】W:固溶強化と高温で使用中に微細な金属
間化合物(Γ相) を析出させることとにより、クリープ
強度の向上に寄与する。ただし過度の添加は、金属間化
合物の粗大化を促進し、かえってクリープ強度を低下さ
せる。そのため、1〜3%とした。
【0034】Al:脱酸剤として使用されるが、過剰の
添加は溶接金属中に介在物として残存し、クリープ延性
の低下を招くため、0.03%以下とした。
【0035】Mg:溶接高温割れ感受性低減および線材
加工時の熱間加工性改善に有効である。ただし、過度の
添加は、溶接金属中の介在物を増加させるため好ましく
ない。そのため、0.02%以下とした。
【0036】N:溶接金属の高温強度の確保に不可欠で
ある。即ち、Nは凝固組織のマトリックス中に固溶して
これを強化すると共に、一部は窒化物として析出するこ
とにより析出強化を行う。しかし、過度の添加は、高温
での使用中に多量の炭窒化物を析出させて脆化の原因と
なる。そのため、0.2〜0.4%とした。
【0037】Mo:凝固ままの組織のマトリックス中に
固溶して高温強度を高めることができる。しかし、0.5
%未満ではその効果が小さく、1.5%超ではその効果が
緩和してしまうばかりか、耐食性の低下を招く。従っ
て、Moを添加する場合は、その量を0.5〜1.5%とし
た。
【0038】Cu:高温引張強さ、クリープ強さに有効
に寄与する。Cu富化相として微細析出するためであ
る。効果を十分に発揮させるため、1%以上とする。過
剰の添加は延性の低下を招くため、4%以下とする。
【0039】B:粒界に偏析して、粒界の強度を高める
ため、クリープ強度の向上に有効である。ただし、溶接
高温割れを助長するため、添加する場合は0.01%以下
とする。
【0040】P,S:凝固時に低融点の共晶物を生成
し、溶接高温割れを発生させるので、P<0.01%でか
つP+S<0.02%とする。これにより、Nb,Bの添
加に伴う溶接高温割れ感受性を抑えることができ、N
b,B添加鋼であっても、十分な溶接性が確保され、N
b,Bの添加による高温強度の確保も容易になる。
【0041】O:Cu添加を必須としているため、Cu
と結合して低融点共晶を形成し、熱間加工時に割れ性を
生じる原因になる。そのため、0.007%以下として、
ビレットから線材への加工性を確保する。
【0042】Ca:クリープ強度を損なわずにOを固定
して、熱間加工時に発生する割れを防ぐ。しかし、過剰
の添加は溶接時の溶接アークの不安定を誘発し、結果と
して溶接欠陥が生じやすくなる。そのため、0.002〜
0.02%とした。
【0043】〔溶接材料の製造条件〕製造プロセスとし
ては、まず鋳塊を熱間鍛造により丸棒とし、さらにこれ
を熱間圧延により粗線材となす。
【0044】鍛造温度は1100〜1250℃とする。
1100℃未満では、結晶粒内の変形抵抗が結晶粒界の
強度を上回り、粒界割れを生ずる。一方、1250℃を
超えると、粒界が一部液化し、割れを生ずる。
【0045】熱間圧延温度は1050℃〜1250℃と
する。理由は鍛造温度の場合と同じであるが、圧延では
粒界割れが生じにくいため、下限が50℃低くなってい
る。
【0046】熱延後の外径は6mm以上とする。6mm
未満になると外表面の冷却が早くなり、上述の下限温度
を保持することが困難となる。
【0047】熱延後は、所定の外径の線材を得るため冷
間圧延により外径を減ずるが、加工硬化による破断を防
ぐため、加工度は40%以下とする。加工硬化した線材
に対しては、熱処理により軟化処理を行うが、1000
℃未満ではその効果は小さく、1250℃を超えると表
面の酸化が著しくなるので、熱処理温度は1000〜1
250℃とする。
【0048】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、比較例と対比
することにより、本発明の効果を明らかにする。
【0049】母材として、表1に示す化学組成のオース
テナイト鋼を用いて、溶接材料の性能比較を行った。こ
の母材は、22Crで、且つCu,Mo,W,Nb,B
を含み、その700℃での100,000時間(105
間)クリープ強度が9kgf/mm2 である。溶接材料
は、表2および表3に示す6種類とし、いずれも実験室
にて真空溶製後、外径2mmの線材に加工することによ
り作製した。
【0050】比較試験では、まず、図1に示すように、
所定の開先4を設けた管母材1,1を、鋼からなる拘束
棒2に拘束溶接した。3は拘束溶接部である。次いで、
その開先4に対して供試溶接材料により多層溶接を行っ
た。拘束溶接により、開先に対する溶接の際に熱応力が
生じて割れが発生しやすくなる。溶接にはTIG法を用
いた。
【0051】溶接後、機械加工により図2(A)に示す
側曲げ試験片を採取し、これを板厚の2倍の曲げ半径
(10mm)で180度曲げて、溶接金属5における溶
接高温割れの有無を調べた。また、図2(B)に示す試
験片により高温引張試験およびクリープ試験を行った。
【0052】クリープ試験では、母材での破断時間が約
3000時間となる700℃、16kgf/mm2 の条
件で試験を行い、溶接金属5の破断時間を調べた。そし
て、母材破断時間の80%を良否の判定基準として、こ
れに達しないものをクリープ強度不足とした。結果を表
3に示す。溶接高温割れ○は割れなし、×は割れ発生を
示し、クリープ強度○は前述の判定基準を超えているこ
とを示し、×は強度不足を示す。
【0053】A1〜A7は本発明の成分条件を満足す
る。これらの溶接材料は良好な耐溶接高温割れ性および
クリープ強度を示した。これに対し、本発明の成分条件
を満足しないものでは、B3,B4のように溶接割れが
生じたり、B1,B2,B5〜B7のようにクリープ強
度が不足した。また、B8,B9のように線材に加工で
きない場合もある。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】表2および表3に示した鋼A1,A2,B
7,B8につき、重量150kg、外径約300mmの
鋳塊を真空溶製し、加熱炉にて所定の温度に4時間保持
後、外径60mmの丸棒に熱間鍛造した。更に得られた
丸棒を加熱炉にて2時間保持後、熱間圧延により所定の
外径に線材加工した。各工程において目視により割れの
有無を調査した。結果を表4に示す。
【0058】
【表4】 *印は本発明範囲外
【0059】WB1〜WB3に示すように、本発明の範
囲外の鍛造条件、圧延条件では割れが生じた。WB4,
5のように、本発明の鍛造条件、圧延条件内であって
も、化学組成が発明範囲外であれば割れを生じる。これ
に対し、WA〜WA4のように、本発明の範囲内の化学
組成、鍛造条件、圧延条件を満足するものは、割れが生
ずることなく、良好に線材加工することができた。
【0060】
【発明の効果】以上に説明した通り、本発明の溶接材料
は、耐溶接高温割れ性を犠牲にすることなく溶接金属に
とりわけ優れた高温強度を付与する。しかも、この種の
溶接材料に欠除しがちな熱間加工性に優れる。
【0061】また、本発明の溶接材料の製造方法は、線
材に加工するための熱間加工での割れを防ぐことによ
り、製品化を図る上での障害を取り除き、高性能な製品
を市場に提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶接試験で用いた拘束溶接の説明図である。
【図2】継手から採取した試験片の説明図である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%でC:0.03〜0.13%、Si:
    0.1〜0.5%、Mn:0.6〜6%、Cr:20〜24
    %、Ni:6〜21%、Nb:0.01〜0.7%、Mo:
    0.5〜1.5%、W:1〜3%、Cu1〜4%、N:0.2
    〜0.4%、Al:0.5%以下、Ca:0.002〜0.02
    %、Mg:0.02%以下、O:0.01%以下、P:0.0
    1%以下、P+S:0.02%以下を含み、 −8≦AP ≦2 AP =Ni+0.5Mn+30(C+N)−1.1(Cr+
    1.5Si+Mo+0.5W) を満足し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるこ
    とを特徴とする高強度オーステナイト鋼溶接材料。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の成分に加えて、更に
    B:0.01%以下を含むことを特徴とする高強度オース
    テナイト鋼溶接材料。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の高強度オース
    テナイト鋼溶接材料を製造する方法であって、素材を1
    100℃〜1250℃にて鍛造後、1050〜1250
    ℃にて外径6mm以上の粗線材に熱間圧延し、更に40
    %以下の冷間加工と1000〜1250℃での熱処理と
    を繰り返して線材に加工することを特徴とする溶接材料
    の製造方法。
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