JP3481368B2 - フェライト系ステンレス鋼用フラックス入りワイヤ - Google Patents

フェライト系ステンレス鋼用フラックス入りワイヤ

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JP3481368B2
JP3481368B2 JP24210695A JP24210695A JP3481368B2 JP 3481368 B2 JP3481368 B2 JP 3481368B2 JP 24210695 A JP24210695 A JP 24210695A JP 24210695 A JP24210695 A JP 24210695A JP 3481368 B2 JP3481368 B2 JP 3481368B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車排気系部材等の溶
接に使用され、溶接金属の耐酸化性が優れていると共
に、溶接コストを低減することができ、ワイヤの生産性
が向上したフェライト系ステンレス鋼用フラックス入り
ワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車排気系部材の溶接において
は、主にソリッドワイヤが使用されていたが、近時、優
れた能率性及び良好な溶接作業性を有するフェライト系
ステンレス鋼用フラックス入りワイヤの適用が拡大しつ
つある。このようなフラックス入りワイヤは、従来のソ
リッドワイヤによる溶接と比較して、スラグの発生量が
多いという問題点があった。自動車排気系部材の溶接に
フラックス入りワイヤを使用すると、溶接対象となるパ
イプ等の中にスラグが残存することがあり、これが排気
系部材の閉塞等の原因となる。
【0003】このような問題点を解決するために、ワイ
ヤ全重量に対する化学成分を適正量に規定することによ
り、溶接時のスラグの発生量を抑制できることが提案さ
れている(特公平5−30557)。これはスラグ造滓
剤の含有量を制限し、それによって発生する溶接作業性
の低下を、他の金属成分の含有量を適正量に規定するこ
とにより改善したものである。そして、フラックス入り
ワイヤを使用することによる能率の向上によって、溶接
コストが低減されたものとなっている。そして、この溶
接コストの低減に伴って、溶接材料においても、低コス
ト化に対する要求が強くなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶接材
料のコストを低減するために、ワイヤ中における高価な
金属成分であるCr含有量を低くすると、耐酸化性が劣
化してしまうという問題点がある。
【0005】一方、エンジンの高性能化及び排気ガスの
浄化効率向上に伴って、排気ガス温度が高温になってき
ている。例えば、エンジン直下のエキゾーストマニホー
ルドにおいては、従来、約850℃であったものに対し
て、現在では約950℃という高温になっている。この
ような被溶接物である自動車排気系部材の適用温度の変
化に対応して、より優れた耐酸化性が溶接金属に対して
要求されている。このため、溶接材料コストの低減及び
溶接品質の確保という相反する要求を満足できるフラッ
クス入りワイヤの開発が要求されている。
【0006】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、溶接金属の耐酸化性が優れていると共に、
溶接材料のコストを低減することができ、ワイヤの生産
性が向上したフェライト系ステンレス鋼用フラックス入
りワイヤを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係るフェライト
系ステンレス鋼用フラックス入りワイヤは、金属外皮中
スラグ造滓剤を含むフラックスが充填されているフラ
ックス入りワイヤにおいて、前記金属外皮中の成分並び
にフラックス中に金属、合金、金属炭化物、金属窒化物
及び金属フッ化物として添加された成分により構成され
る組成が、ワイヤ全重量に対してSi:0.07乃至
2.0重量%、Cr:14.5乃至17.0重量%、A
l:0.01乃至1.0重量%、Ti:0.05乃至
2.0重量%、N:0.02乃至0.1重量%及びF:
0.005乃至0.5重量%を含有し、残部がFe及び
不可避的不純物からなるものであり、前記不可避的不純
物は、C:0.10重量%以下、Nb:0.2重量%以
下及びMn:0.5重量%以下に規制することを特徴と
する。
【0008】この金属外皮は軟鋼製であると好ましい。
【0009】また、フラックス中のスラグ造滓剤は2.
0重量%以下であることが好ましい。
【0010】
【作用】本願発明者等が前記課題を解決するために鋭意
実験研究を重ねた結果、耐酸化性に寄与するCr含有量
を低減しても、C、Nb、Al、Ti及びN等の含有量
を適切に調整することにより、溶接金属の耐酸化性が向
上されることを見い出した。即ち、C及びNbは耐酸化
性を劣化させる元素であり、これらのワイヤ中における
含有量を規制することにより、溶接金属の耐酸化性が改
善される。また、Al、Ti及びNを複合添加すること
によりフェライト結晶粒が微細化され、耐酸化性が向上
する。従って、ワイヤに対するCrの含有量を最低で1
4.5重量%にまで低減しても、従来と同等以上の耐酸
化性が得られる。更に、本願発明者等は、Cr及びNb
等のフェライト生成元素の含有量を抑制すると、溶接金
属のミクロ組織中に、溶接金属の機械的性能を劣化させ
るマルテンサイト相が析出することを見い出した。この
マルテンサイト相の析出は、オーステナイト生成元素で
あるMn含有量を抑制することにより防止することがで
きる。
【0011】また、アークの安定性及びスパッタの発生
に示される溶接作業性については、Si及びフッ化物の
添加量を制限することにより改善することができる。
【0012】更に、金属外皮として軟鋼を使用すると、
軟鋼はフェライト系ステンレス鋼と比較して伸線性が優
れているため、伸線工程時の断線回数を低減することが
でき、生産性が向上する。
【0013】以下、本発明におけるフラックス入りワイ
ヤ全重量に対する含有成分の組成限定理由について説明
する。
【0014】Cr(クロム):14.5乃至17.0重
量% Crはフェライト系ステンレス鋼の主要元素であると共
に、耐酸化性に寄与するCr23を形成するために必要
不可欠の元素である。しかしながら、後述するAl、T
i及びNの適正量添加による結晶粒微細化並びにNb含
有量の規制によって、Cr含有量の下限を低くすること
ができる。即ち、Cr含有量が14.5重量%以上であ
れば、十分な耐酸化性を得ることができる。一方、Cr
添加量が多いと、前述の如く、材料コストが上昇する原
因となる。従って、ワイヤ全重量に対するCr含有量は
14.5乃至17.0重量%とする。なお、Crは金属
外皮又はフラックスのいずれか一方又は両方から添加さ
れるものであり、フラックスから添加される場合は、金
属Cr又はFe−Cr及びN−Cr等のCr合金が使用
される。このようなCr合金から添加されるときには、
Cr含有量はそれらに含有されるCr換算値とする。ま
た、金属外皮としてCrを含有しない軟鋼を使用して、
Crをフラックスのみから添加することにより、更に低
コスト化することができ、前述の如く、ワイヤの生産性
も向上する。
【0015】C(炭素):0.10重量%以下 Cは金属外皮又はフラックスから不純物として混入する
ものであるが、耐酸化性に寄与するCrと結合して有効
Cr量を低減させる元素である。ワイヤ全重量に対する
C含有量が0.10重量%を超えると、耐酸化性が劣化
する。従って、ワイヤ全重量に対するC含有量は0.1
0重量%以下に規制する。好ましくは、C含有量は0.
05重量%以下である。
【0016】Nb(ニオブ):0.2重量%以下 Nbは金属外皮又はフラックスから不純物として混入す
るものであるが、耐酸化性の効果を有するCr23の緻
密なネットワークを破壊し、耐酸化性を著しく劣化させ
る元素である。特に本発明においては、Cr含有量を1
4.5乃至17.0としており、Cr23の形成能力が
弱いので、耐酸化性を劣化させるNb含有量の増加によ
って溶接金属に致命的な悪影響をもたらす。Nb含有量
が0.2重量%を超えると、その影響が大きくなる。従
って、ワイヤ全重量に対するNb含有量は0.2重量%
以下に規制する。好ましくは、Nb含有量は0.05重
量%以下である。
【0017】Si(ケイ素):0.07乃至2.0重量
Siは溶滴の粒径を微細化する効果を有する。Si含有
量が0.07重量%未満であると、その効果が低下す
る。一方、Si含有量が2.0重量%を超えると、スパ
ッタの発生量が増加する。従って、ワイヤ全重量に対す
るSi含有量は0.07乃至2.0重量%とする。な
お、Siは金属外皮又はフラックスのいずれか一方又は
両方から添加されるものであり、フラックスから添加さ
れる場合は、Fe−Si、Al−Si及びNi−Si等
のSi合金が使用される。このようなSi合金から添加
されるときには、Si含有量はSi合金に含有されるS
i換算値とする。
【0018】Mn(マンガン):0.5重量%以下 Mnはオーステナイトを生成する元素であり、前述の如
く、Cr及びNb等のフェライトを生成する元素を低減
した状態で、Mn含有量が0.5重量%を超えると、マ
ルテンサイト相が析出して、溶接金属の機械的性能が低
下する。従って、ワイヤ全重量に対するMn含有量は
0.5重量%以下とする。なお、Mnは金属外皮又はフ
ラックスのいずれか一方又は両方から添加されるもので
あり、フラックスから添加される場合は、金属Mn又は
Fe−Mn等のMn合金が使用される。このようなMn
合金から添加されるときには、Mn含有量はMn合金に
含有されるMn換算値とする。
【0019】Al(アルミニウム):0.01乃至1.
0重量% Alはフェライト組織を安定化すると共に、Nと結合す
ることにより結晶粒を微細化し、これによって耐酸化性
を向上させる効果を有する。Al含有量が0.01重量
%未満であると、その効果が低下する。一方、Al含有
量が1.0重量%を超えると、結晶粒の微細化効果が失
われると共に、溶接時にアークの安定性が低下してスパ
ッタの発生量が著しく増加する。従って、ワイヤ全重量
に対するAl含有量は0.01乃至1.0重量%とす
る。なお、Alは金属外皮又はフラックスのいずれか一
方又は両方から添加されるものであり、フラックスから
添加される場合は、金属Al又はFe−Al及びAl−
Mg等のAl合金が使用される。このようなAl合金か
ら添加されるときには、Al含有量はそれらに含有され
るAl換算値とする。
【0020】Ti(チタン):0.05乃至2.0重量
TiはAlと同様に、フェライト組織を安定化すると共
に、Nと結合することにより結晶粒を微細化し、これに
よって耐酸化性を向上させる効果を有する。Ti含有量
が0.05重量%未満であると、その効果が低下する。
一方、Tiの含有量が増加するにつれて、スラグの発生
量も増加して、自動車排気系部材の溶接に対しては不適
となる。これは、前述の如く、多量に発生したスラグが
被溶接部材であるパイプ等の内部に残存し、騒音の発生
源となるか、又は排気効率を低下させるからである。従
って、ワイヤ全重量に対するTi含有量は0.05乃至
2.0重量%とする。なお、Tiは金属外皮又はフラッ
クスのいずれか一方又は両方から添加されるものであ
り、フラックスから添加される場合は、Fe−Ti及び
Ni−Ti等のTi合金又はTiN及びTiC等のTi
化合物が使用される。このようなTi合金又はTi化合
物から添加されるときには、Ti含有量はそれらに含有
されるTi換算値とする。
【0021】N(窒素):0.02乃至0.1重量% Nは前述の如く、Ti又はAlと結合することにより結
晶粒を微細化する効果を有する。N含有量が0.02重
量%未満であると、その効果が低下する。一方、Nの添
加量が増加すると溶接作業性が低下し、スパッタの発生
量が増加する。多量のスパッタが被溶接物に付着した場
合には、被溶接物の外観が著しく損なわれる。従って、
ワイヤ全重量に対するN含有量は0.02乃至0.1重
量%とする。なお、Nは金属外皮又はフラックスのいず
れか一方又は両方から添加されるものであり、フラック
スから添加される場合は、TiN、N−Cr及びMn−
N等の金属窒化物が使用される。このような金属窒化物
から添加されるときには、Nはそれらに含有されるN換
算値とする。
【0022】F(フッ素):0.005乃至0.5重量
Fは溶接アーク中において電子を取り込み、安定した1
価の陰イオンとなるので、アークの安定性及び集中性を
向上させる効果を有する。F含有量が0.005重量%
未満であると、その効果が低下する。一方、F含有量が
0.5重量%を超えると、アークの安定性が低下してス
パッタの発生量が増加する。従って、ワイヤ全重量に対
するF含有量は0.005乃至0.5重量%とする。な
お、Fはフラックス中に含有されるLiF、NaF、B
aF、CaF2及びAlF3等の金属フッ化物から添加さ
れるものであり、F含有量はそれらに含有されるF換算
値とする。
【0023】スラグ造滓剤:2.0重量%以下 スラグ造滓剤はフラックス中の金属粉末以外の成分であ
り、前述の如く、スラグの発生量が増加すると、自動車
排気系部材の溶接に対しては不適となる。従って、ワイ
ヤ全重量に対するスラグ造滓剤は2.0重量%以下とす
る。
【0024】
【実施例】以下、本発明に係るフェライト系ステンレス
鋼用フラックス入りワイヤの実施例についてその比較例
と比較して具体的に説明する。
【0025】先ず、ワイヤ中における全ての含有成分が
本発明の範囲内であるものを実施例とし、少なくとも1
種が本発明の範囲から外れているものを比較例としてフ
ラックス入りワイヤを作製した。
【0026】図1は本発明において使用される種々のフ
ラックス入りワイヤを示す断面図である。図1(a)は
帯板状の鋼製外皮Mの内部にフラックスFを充填しなが
ら、鋼製外皮Mの両端縁を突き合わせるようにして管状
に曲げ加工し、その後、所定の径まで伸線したものであ
る。このワイヤの突き合わせ端面は平坦であるが、図1
(b)はその突き合わせ端面が湾曲したものである。図
1(c)は突き合わせ端部をL字状に屈曲させ、突き合
わせ端面を広くしたものである。また、図1(d)はシ
ームレスの鋼製外皮Mの内部にフラックスFを充填した
ものである。
【0027】本実施例及び比較例においては、図1
(b)の断面形状を有し、直径が1.2mmであるフラ
ックス入りワイヤを使用し、金属外皮としては、下記表
1に示す化学成分を有する軟鋼又はフェライト系ステン
レス鋼を使用した。各実施例及び比較例について、使用
した金属外皮記号及びワイヤ中の化学成分の含有量を下
記表2に示す。
【0028】次に、これらのワイヤを使用して溶接金属
を形成し、溶接作業性を評価した。
【0029】図2は溶接金属の形成方法を示す模式的断
面図である。図2に示すように、軟鋼製の溶接母材1
は、溶接金属が形成される表面に供試ワイヤで3層バタ
リングの処理が施されてV形状の開先部を有しており、
V形状の開先部の下部には、裏当材2が配置されてい
る。この開先部に溶接金属3を形成した。溶接金属形成
用の溶接条件を下記表3に示す。
【0030】次に、このようにして形成した溶接金属か
ら試験片を採取して、耐酸化性を評価すると共に、ミク
ロ組織を観察した。
【0031】図3は耐酸化性試験用の試験片の溶接金属
からの採取位置を示す模式的断面図である。本実施例及
び比較例においては、図3に示すように、このV形状の
開先角度を45°として、その下部の裏当材が配置され
ている部分の開先幅を10mmとした。また、開先部の
先端から裏当材までの距離を12mmとした。
【0032】耐酸化性試験用の試験片4は、その直径が
10mm、長さが15mmの円柱形状であり、溶接金属
3の中央部が試験片断面の円の中心となるように、試験
片4を採取した。また、試験片4の表面は#400程度
に仕上げた。耐酸化性試験は、試験片4を950℃の大
気中において200時間の連続酸化処理を施した後に、
試験前後の重量変化を測定することによって評価し、酸
化増量値が5mg/cm2 未満のものを◎(極めて良
好)、酸化増量値が5乃至10mg/cm2 のものを○
(良好)、酸化増量値が10mg/cm2 を超えるもの
を×(不良)とした。
【0033】図4はミクロ組織観察用の試験片の溶接金
属からの採取位置を示す模式的断面図である。図4に示
すように、ミクロ組織観察用の試験片5は、10mm×
10mm×5mmの直方体形状であり、耐酸化性試験用
の試験片4と同様に、溶接金属の中央部が直方体試験片
の中心となるように、試験片5を採取した。この試験片
5は断面図と平行な面をミクロ組織観察面とした。ミク
ロ組織は、試験片5のミクロ組織観察面を研磨した後、
王水によってエッチング処理を施したものを検鏡するこ
とによって評価し、マルテンサイト相が確認されないも
のを○(良好)とし、マルテンサイト相の発生が確認で
きたものを×(不良)とした。
【0034】図5は溶接作業性の試験方法を示す模式的
断面図である。図5に示すように、厚さが1.5mmで
ある2枚のステンレス性の鋼板6a及び6bを、上方の
鋼板6aの端部が下方の鋼板6bの中央部に位置するよ
うに、それらの位置をずらして配置した。そして、鋼板
6aの端部に、チップ8で保持されたワイヤ7を鋼板に
対して直角となるように向け、チップ先端と鋼板との距
離が15mmとなる状態で重ね隅肉溶接を行い、アーク
安定性、スパッタ発生量及びスラグ発生量の3点につい
て溶接作業性を評価した。溶接作業性試験用の溶接条件
を下記表3に併せて示す。
【0035】アーク安定性の評価基準は、アークの安定
性が良好なものを○、不良のものを×とした。スパッタ
発生量の評価基準は、1分間当たりのスパッタの発生量
が3g以下のものを○(良好)、スパッタの発生量が3
gを超えるものを×(不良)とした。スラグ発生量の評
価基準は、溶接ビード長300mm当たりのスラグの発
生量が400mg以下のものを○(良好)、スラグの発
生量が400mgを超えるものを×(不良)とした。
【0036】また、生産性の評価基準は、仕上がりワイ
ヤの直径を1.2mmとする伸線工程において、ワイヤ
100kgに対して1度も断線が発生しなかったものを
○(優)、断線が1回発生したものを△(良)とした。
これらの評価結果を下記表4に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】上記表2及び4に示すように、ワイヤ中の
全ての含有成分が本発明の範囲内である実施例について
は、耐酸化性及び溶接作業性が良好であり、マルテンサ
イトも確認されなかった。また、軟鋼製の金属外皮(金
属外皮記号a)を使用した実施例No.1乃至4、6及
び8乃至9については、ワイヤの生産性が極めて優れた
ものとなった。
【0042】一方、比較例No.15はC含有量が本発
明範囲の上限を超えているので、耐酸化性が低下した。
比較例No.16及び17は、共に、Si含有量が本発
明の範囲から外れているので、スパッタが多量に発生し
た。比較例No.18はMn含有量が本発明範囲の上限
を超えているので、多量のマルテンサイトが発生した。
また、比較例No.19はCr含有量が本発明範囲の下
限未満であるので、耐酸化性が低下した。
【0043】比較例No.20、22及び25について
はAl、Ti又はN含有量が本発明範囲の下限未満であ
るので、フェライト結晶粒の微細化効果が低下すること
によって耐酸化性が低下した。比較例No.21はAl
含有量が本発明範囲の上限を超えているので、耐酸化性
が低下すると共に、アークが不安定となりスパッタが多
量に発生した。
【0044】比較例No.23はTi含有量が本発明範
囲の上限を超えているので、スラグが増加した。比較例
No.24はNb含有量が本発明範囲の上限を超えてい
るので、耐酸化性が低下した。比較例No.26はN含
有量が本発明範囲の上限を超えているので、スパッタの
発生量が増加すると共に、アークが不安定となった。
【0045】比較例No.27及び28はF含有量が本
発明の範囲から外れているため、アークが不安定とな
り、No.28についてはスパッタの発生量も増加し
た。また、全ての比較例についても、軟鋼製の金属外皮
を使用したものはワイヤの生産性が優れ、ステンレス性
の金属外皮(金属外皮記号b及びc)を使用したものに
ついては、ワイヤの伸線工程において断線が生じた。
【0046】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
ワイヤ中のCr含有量を低減する一方でC、Nb、A
l、Ti及びN含有量を適切に制限することによって、
溶接金属の耐酸化性が優れていると共に、溶接材料のコ
ストを低減することができるステンレス鋼用フラックス
入りワイヤを得ることができる。また、Crをフラック
スから添加し、軟鋼製の金属外皮を使用することにより
更に一層低コストになると共に、ワイヤの生産性が向上
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において使用される種々のフラックス入
りワイヤを示す断面図である。
【図2】溶接金属の形成方法を示す模式的断面図であ
る。
【図3】耐酸化性試験用の試験片の溶接金属からの採取
位置を示す模式的断面図である。
【図4】ミクロ組織観察用の試験片の溶接金属からの採
取位置を示す模式的断面図である。
【図5】溶接作業性の試験方法を示す模式的断面図であ
る。
【符号の説明】
1;溶接母材 2;裏当材 3;溶接金属 4、5;試験片 6a、6b;鋼板 7;ワイヤ 8;チップ M;鋼製外皮 F;フラックス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−210891(JP,A) 特開 平5−138394(JP,A) 特開 平6−691(JP,A) 特開 平7−155989(JP,A) 特公 昭53−24899(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 35/368 B23K 35/30

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属外皮中にスラグ造滓剤を含むフラッ
    クスが充填されているフラックス入りワイヤにおいて、
    前記金属外皮中の成分並びにフラックス中に金属、合
    金、金属炭化物、金属窒化物及び金属フッ化物として添
    加された成分により構成される組成が、ワイヤ全重量に
    対してSi:0.07乃至2.0重量%、Cr:1
    4.5乃至17.0重量%、Al:0.01乃至1.0
    重量%、Ti:0.05乃至2.0重量%、N:0.0
    2乃至0.1重量%及びF:0.005乃至0.5重量
    %を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるも
    のであり、前記不可避的不純物は、C:0.10重量%
    以下、Nb:0.2重量%以下及びMn:0.5重量%
    以下に規制することを特徴とするフェライト系ステンレ
    ス鋼用フラックス入りワイヤ。
  2. 【請求項2】 前記金属外皮は軟鋼製であることを特徴
    とする請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼用フ
    ラックス入りワイヤ。
  3. 【請求項3】 前記フラックス中のスラグ造滓剤は2.
    0重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に
    記載のフェライト系ステンレス鋼用フラックス入りワイ
    ヤ。
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