JPH0813432B2 - Cr−Mo鋼用炭酸ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents
Cr−Mo鋼用炭酸ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤInfo
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- JPH0813432B2 JPH0813432B2 JP3089597A JP8959791A JPH0813432B2 JP H0813432 B2 JPH0813432 B2 JP H0813432B2 JP 3089597 A JP3089597 A JP 3089597A JP 8959791 A JP8959791 A JP 8959791A JP H0813432 B2 JPH0813432 B2 JP H0813432B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フラックス入りワイヤ
の優れた特徴を活かしたCr−Mo鋼用炭酸ガスシールド
アーク溶接用フラックス入りワイヤに係り、より詳細に
は、長時間の溶接後熱処理(以下、PWHTと称する)
を行っても、フェライト粒の粗大化やフェライトバンド
の発生の程度が小さく、優れた機械的性能を示す溶接金
属を得ることのできるCr−Mo鋼用炭酸ガスシールドア
ーク溶接用フラックス入りワイヤに関するものである。
の優れた特徴を活かしたCr−Mo鋼用炭酸ガスシールド
アーク溶接用フラックス入りワイヤに係り、より詳細に
は、長時間の溶接後熱処理(以下、PWHTと称する)
を行っても、フェライト粒の粗大化やフェライトバンド
の発生の程度が小さく、優れた機械的性能を示す溶接金
属を得ることのできるCr−Mo鋼用炭酸ガスシールドア
ーク溶接用フラックス入りワイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】炭酸ガ
スシールドアーク溶接用ワイヤは、被覆アーク溶接棒に
比較して、高能率で溶接でき、経済性も良く、Cr−Mo
鋼の溶接においても、その採用の割合が益々増加してき
ている。
スシールドアーク溶接用ワイヤは、被覆アーク溶接棒に
比較して、高能率で溶接でき、経済性も良く、Cr−Mo
鋼の溶接においても、その採用の割合が益々増加してき
ている。
【0003】炭酸ガスシールドアーク溶接用ワイヤに
は、ソリッドワイヤとフラックス入りワイヤがあるが、
フラックス入りワイヤは、ソリッドワイヤに比較して溶
接作業性に優れ、スラグがビード表面を覆うことにより
ビード形状及び外観が良好であるという長所がある。し
かしながら、軟鋼を金属外皮としたフラックス入りワイ
ヤは、フラックス中にSi、Mn、Cr、Mo等の脱酸剤及
び合金剤を多量に含むため、長時間のPWHTを行う
と、溶接金属中に粗大フェライトが多量発生し、機械的
性能が低下することが指摘され、その対応策も検討され
ているが(特開昭63−2592号参照)、未だ十分と
はいえない。そのため、長時間のPWHTを行っても安
定した溶接金属組織及び優れた機械的性能が得られるフ
ラックス入りワイヤが切望されている。
は、ソリッドワイヤとフラックス入りワイヤがあるが、
フラックス入りワイヤは、ソリッドワイヤに比較して溶
接作業性に優れ、スラグがビード表面を覆うことにより
ビード形状及び外観が良好であるという長所がある。し
かしながら、軟鋼を金属外皮としたフラックス入りワイ
ヤは、フラックス中にSi、Mn、Cr、Mo等の脱酸剤及
び合金剤を多量に含むため、長時間のPWHTを行う
と、溶接金属中に粗大フェライトが多量発生し、機械的
性能が低下することが指摘され、その対応策も検討され
ているが(特開昭63−2592号参照)、未だ十分と
はいえない。そのため、長時間のPWHTを行っても安
定した溶接金属組織及び優れた機械的性能が得られるフ
ラックス入りワイヤが切望されている。
【0004】本発明は、上記事情に鑑みて、長時間のP
WHTを行っても溶接金属中のフェライト粒の粗大化や
フェライトバイドの発生の程度が小さく、優れた機械的
性能の溶接金属を得ることができるCr−Mo鋼用炭酸ガ
スシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供す
ることを目的とするものである。
WHTを行っても溶接金属中のフェライト粒の粗大化や
フェライトバイドの発生の程度が小さく、優れた機械的
性能の溶接金属を得ることができるCr−Mo鋼用炭酸ガ
スシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供す
ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決するため鋭意研究を重ねた結果、ここに本発明を完
成したものである。
解決するため鋭意研究を重ねた結果、ここに本発明を完
成したものである。
【0006】本発明に係るCr−Mo鋼用炭酸ガスシー
ルドアーク溶接用フラックス入りワイヤは、金属外皮内
にフラックスを充填したフラックス入りワイヤにおい
て、フラックスは、ワイヤ全重量に対する重量%で(以
下、同じ)、TiO2:1.8〜7.5%、C:0.0
05〜0.2%、Si:0.01〜1.0%、Mn:
1.0〜8.0%、Cr:1.0〜4.0%、Mo:
0.4〜1.5%、Nb:0.005〜0.05%及び
V:0.005〜0.05%を含み、更にTi;0.0
5〜0.3%、B:0.005〜0.015%及びN
i:0.1〜0.7%のうちの少なくとも1種以上を含
み、残部が鉄粉及びアーク安定剤を含めたスラグ生成剤
からなり、該フラックスを充填率(ワイヤ全重量に対す
る重量比)が10〜20%となるように金属外皮内に充
填し、金属外皮及びフラックス中に添加される全N量を
0.015%以下に規制したことを特徴とする。
ルドアーク溶接用フラックス入りワイヤは、金属外皮内
にフラックスを充填したフラックス入りワイヤにおい
て、フラックスは、ワイヤ全重量に対する重量%で(以
下、同じ)、TiO2:1.8〜7.5%、C:0.0
05〜0.2%、Si:0.01〜1.0%、Mn:
1.0〜8.0%、Cr:1.0〜4.0%、Mo:
0.4〜1.5%、Nb:0.005〜0.05%及び
V:0.005〜0.05%を含み、更にTi;0.0
5〜0.3%、B:0.005〜0.015%及びN
i:0.1〜0.7%のうちの少なくとも1種以上を含
み、残部が鉄粉及びアーク安定剤を含めたスラグ生成剤
からなり、該フラックスを充填率(ワイヤ全重量に対す
る重量比)が10〜20%となるように金属外皮内に充
填し、金属外皮及びフラックス中に添加される全N量を
0.015%以下に規制したことを特徴とする。
【0007】
【0008】以下に本発明を更に詳述する。
【0009】
【0010】本発明は、上述のように、金属外皮内に各
種成分からなるフラックスを充填したCr−Mo鋼用炭酸
ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤであ
る。以下にフラックスに添加する各種成分とその作用並
びに成分量の限定理由について説明する。
種成分からなるフラックスを充填したCr−Mo鋼用炭酸
ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤであ
る。以下にフラックスに添加する各種成分とその作用並
びに成分量の限定理由について説明する。
【0011】TiO2:1.8〜7.5% TiO2はスラグ形成剤及びアーク安定剤として添加す
る。しかし、1.8%未満ではスラグの被包性が悪く、
溶接作業性が実用に耐えない。また、7.5%を超える
とスラグの粘性が極端に大きくなり、スラグの巻き込み
等の問題が生じる。したがって、フラックス中のTiO2
量は1.8〜7.5%の範囲とする。
る。しかし、1.8%未満ではスラグの被包性が悪く、
溶接作業性が実用に耐えない。また、7.5%を超える
とスラグの粘性が極端に大きくなり、スラグの巻き込み
等の問題が生じる。したがって、フラックス中のTiO2
量は1.8〜7.5%の範囲とする。
【0012】C:0.005〜0.2% Cは溶接金属の強度及び靭性の調整の目的でフラックス
に添加する。しかし、0.005%未満では十分な強度
及び靭性が得られない。また、0.2%を超えると溶接
金属の耐割れ性が低下し、靭性の低下が大きくなる。し
たがって、フラックス中のC量は0.005〜0.2%の
範囲とする。
に添加する。しかし、0.005%未満では十分な強度
及び靭性が得られない。また、0.2%を超えると溶接
金属の耐割れ性が低下し、靭性の低下が大きくなる。し
たがって、フラックス中のC量は0.005〜0.2%の
範囲とする。
【0013】Si:0.01〜1.0、Mn:1.0〜8.0
% Si、Mnはいずれも溶接金属の脱酸及び強度・靭性の調
整のためにフラックスに添加する。しかし、Siが0.0
1%未満、Mnが1.0%未満では十分な添加効果がな
い。また、Siが1.0%を超え、Mnが8.0%を超える
と溶接金属の靭性が低下する。したがって、フラックス
中のSi量は0.01〜1.0、Mn量は1.0〜8.0%の
範囲とする。
% Si、Mnはいずれも溶接金属の脱酸及び強度・靭性の調
整のためにフラックスに添加する。しかし、Siが0.0
1%未満、Mnが1.0%未満では十分な添加効果がな
い。また、Siが1.0%を超え、Mnが8.0%を超える
と溶接金属の靭性が低下する。したがって、フラックス
中のSi量は0.01〜1.0、Mn量は1.0〜8.0%の
範囲とする。
【0014】Cr:1.0〜4.0%、Mo:0.4〜1.5
% Cr、Moはいずれも溶接金属の耐食性及び強度・靭性の
調整のためにフラックスに添加するが、これらの成分は
溶接金属が被溶接物と同一成分系になるように添加す
る。しかし、Crが1.0%未満、Moが0.4%未満では
十分な強度が得られない。また、Crが4.0%を超え、
Moが1.5%を超えると靭性の低下が大きくなる。した
がって、フラックス中のCr量は1.0〜4.0%、Mo量
は0.4〜1.5%の範囲とする。
% Cr、Moはいずれも溶接金属の耐食性及び強度・靭性の
調整のためにフラックスに添加するが、これらの成分は
溶接金属が被溶接物と同一成分系になるように添加す
る。しかし、Crが1.0%未満、Moが0.4%未満では
十分な強度が得られない。また、Crが4.0%を超え、
Moが1.5%を超えると靭性の低下が大きくなる。した
がって、フラックス中のCr量は1.0〜4.0%、Mo量
は0.4〜1.5%の範囲とする。
【0015】Nb:0.005〜0.05%、V:0.00
5〜0.05% Nb及びVは強い炭化物形成元素であり、適量の添加で
ビードとビードの境目付近の炭素を固定し、フェライト
粒の粗大化及びフェライトバンドの発生を低く抑えるこ
とができる。しかし、Nbが0.005%未満及びVが
0.005%未満では十分な効果が得られない。また、
Nbが0.05%を超え及びVが0.05%を超えると、
強度が高くなり、靭性が低下する。したがって、フラッ
クス中のNb量は0.005〜0.05%、V量は0.00
5〜0.05%の範囲とする。
5〜0.05% Nb及びVは強い炭化物形成元素であり、適量の添加で
ビードとビードの境目付近の炭素を固定し、フェライト
粒の粗大化及びフェライトバンドの発生を低く抑えるこ
とができる。しかし、Nbが0.005%未満及びVが
0.005%未満では十分な効果が得られない。また、
Nbが0.05%を超え及びVが0.05%を超えると、
強度が高くなり、靭性が低下する。したがって、フラッ
クス中のNb量は0.005〜0.05%、V量は0.00
5〜0.05%の範囲とする。
【0016】上記成分のほか、Ti、B、Niの少なく
とも1種を適量にてフラックス中に添加する。
とも1種を適量にてフラックス中に添加する。
【0017】Ti:0.05〜0.3% Tiはアークの安定化及び溶接金属の脱酸を目的として
添加することができる。添加する場合、0.05%未満
では十分な効果が得られず、また0.3%を超えて添加
すると強度が高くなり靭性が低下する。したがって、フ
ラックス中のTi量は0.05〜0.3%の範囲とする。
添加することができる。添加する場合、0.05%未満
では十分な効果が得られず、また0.3%を超えて添加
すると強度が高くなり靭性が低下する。したがって、フ
ラックス中のTi量は0.05〜0.3%の範囲とする。
【0018】B:0.005〜0.015% Bは溶接金属の靭性向上のためにフラックスに添加する
ことができる。添加する場合、0.005%未満では十
分な効果がなく、また0.015%を超えると強度が高
くなり、靭性が低下する。したがって、フラックス中に
添加するB量は0.005〜0.015%の範囲とする。
ことができる。添加する場合、0.005%未満では十
分な効果がなく、また0.015%を超えると強度が高
くなり、靭性が低下する。したがって、フラックス中に
添加するB量は0.005〜0.015%の範囲とする。
【0019】Ni:0.1〜0.7% Niを0.1〜0.7%の範囲でフラックスに添加する
と、溶接金属のマトリックスが強化され、靭性が向上す
る。しかし、0.1%未満では効果がなく、また0.7%
を超えると強度が高くなり、靭性が低下すると共に、耐
高温割れ性能も低下する。
と、溶接金属のマトリックスが強化され、靭性が向上す
る。しかし、0.1%未満では効果がなく、また0.7%
を超えると強度が高くなり、靭性が低下すると共に、耐
高温割れ性能も低下する。
【0020】N:0.015%以下 金属外皮及びフラックス中に添加される全N量を0.0
15%以下にすると、靭性が飛躍的に向上することが判
明した。しかし、全N量が0.015%を超えると靭性
が低下し始め、溶接金属中にブローホール等の欠陥が多
数発生し、機械的性能が極端に悪くなるので好ましくな
い。
15%以下にすると、靭性が飛躍的に向上することが判
明した。しかし、全N量が0.015%を超えると靭性
が低下し始め、溶接金属中にブローホール等の欠陥が多
数発生し、機械的性能が極端に悪くなるので好ましくな
い。
【0021】鉄粉及びスラグ生成剤(アーク安定剤含
む):フラックスの残部は鉄粉とアーク安定剤を含めた
スラグ生成剤である。鉄粉はアークの安定と溶接効率向
上のために添加するものであり、10%以下が望まし
い。アーク安定剤を含めたスラグ生成剤としては種々の
ものが可能であり、ZrO2、SiO2、鉄酸化物(Fe
O、Fe2O3など)、MgOのほか、Al2O3、K2O、N
a2O、MnO2、CaF2、NaF等々が挙げられ、適宜選
択して添加される。
む):フラックスの残部は鉄粉とアーク安定剤を含めた
スラグ生成剤である。鉄粉はアークの安定と溶接効率向
上のために添加するものであり、10%以下が望まし
い。アーク安定剤を含めたスラグ生成剤としては種々の
ものが可能であり、ZrO2、SiO2、鉄酸化物(Fe
O、Fe2O3など)、MgOのほか、Al2O3、K2O、N
a2O、MnO2、CaF2、NaF等々が挙げられ、適宜選
択して添加される。
【0022】なお、上述のNb、V及びBの添加方法
は、金属単体、合金及び酸化物のいずれの形でも可能で
ある。また、金属外皮は軟鋼及び合金鋼のいずれも使用
でき、その断面形状は特に規定されず、合わせ目があっ
てもなくても何れでも良い。勿論、Cr−Mo鋼母材の材
質に制限がないことは云うまでもない。
は、金属単体、合金及び酸化物のいずれの形でも可能で
ある。また、金属外皮は軟鋼及び合金鋼のいずれも使用
でき、その断面形状は特に規定されず、合わせ目があっ
てもなくても何れでも良い。勿論、Cr−Mo鋼母材の材
質に制限がないことは云うまでもない。
【0023】次に本発明の実施例を示す。
【0024】 表1に示す金属外皮(軟鋼)内に、表
2、表3及び表4に示す成分組成のフラックスを充填し
た1.2mmφのフラックス入りワイヤを製作し、図1に
示す開先形状(供試鋼板:ASTM A387 Gr.2
2 Cl.2、A387 Gr.22 Cl.2及びA387
Gr.21 Cl.2)、表5に示す溶接条件で試験板を
作成した後、各種PWHTを施した。なお、ワイヤNo.
1〜No.22は1.25Cr−0.5Mo系母材に、No.2
3は2.25Cr−1Mo系母材に、No.24は3Cr−1
Mo系母材にそれぞれ適用した例であり、本発明範囲内
のワイヤ(本発明例)はNo.10、No.18、No.2
0、No.21、No.23及びNo.24である。
2、表3及び表4に示す成分組成のフラックスを充填し
た1.2mmφのフラックス入りワイヤを製作し、図1に
示す開先形状(供試鋼板:ASTM A387 Gr.2
2 Cl.2、A387 Gr.22 Cl.2及びA387
Gr.21 Cl.2)、表5に示す溶接条件で試験板を
作成した後、各種PWHTを施した。なお、ワイヤNo.
1〜No.22は1.25Cr−0.5Mo系母材に、No.2
3は2.25Cr−1Mo系母材に、No.24は3Cr−1
Mo系母材にそれぞれ適用した例であり、本発明範囲内
のワイヤ(本発明例)はNo.10、No.18、No.2
0、No.21、No.23及びNo.24である。
【0025】 その後、試験板の板厚中央からJIS
Z 3111 A1号引張試験片とJIS Z 311
1 4号シャルピー衝撃試験片(2mmVノッチ)を採取
し、機械試験を行った。その結果、得られた溶接金属の
化学成分(表6及び表7)、作業性及び機械的性能(表
8)、並びに溶接金属のミクロ組織(図2及び図3)か
ら、次のように考察できる。
Z 3111 A1号引張試験片とJIS Z 311
1 4号シャルピー衝撃試験片(2mmVノッチ)を採取
し、機械試験を行った。その結果、得られた溶接金属の
化学成分(表6及び表7)、作業性及び機械的性能(表
8)、並びに溶接金属のミクロ組織(図2及び図3)か
ら、次のように考察できる。
【0026】No.1及びNo.2(比較例):No.1及び
No.2は溶接作業性を左右するTiO2量の成分範囲を調
査するために試作したワイヤである。No.1はTiO2量
が1.8%未満であり、スラグの被包性が悪いため、溶
接作業性やビード外観が悪かった。No.2はTiO2量が
7.5%を超えるものであり、スラグの粘性が極端に大
きく、ビード外観が悪くなり、またスラグの巻き込み等
も生じた。なお、溶接金属の化学分析及び機械試験は行
っていない。
No.2は溶接作業性を左右するTiO2量の成分範囲を調
査するために試作したワイヤである。No.1はTiO2量
が1.8%未満であり、スラグの被包性が悪いため、溶
接作業性やビード外観が悪かった。No.2はTiO2量が
7.5%を超えるものであり、スラグの粘性が極端に大
きく、ビード外観が悪くなり、またスラグの巻き込み等
も生じた。なお、溶接金属の化学分析及び機械試験は行
っていない。
【0027】No.3及びNo.4(比較例):No.3はC
量が0.005%未満のため、焼入れ性が悪く、強度及
び靭性とも十分な結果が得られない。No.4はC量が
0.2%を超えるため、強度が大きくなり、靭性が悪
い。
量が0.005%未満のため、焼入れ性が悪く、強度及
び靭性とも十分な結果が得られない。No.4はC量が
0.2%を超えるため、強度が大きくなり、靭性が悪
い。
【0028】No.5及びNo.6(比較例):No.5はS
i及びMn量がそれぞれ0.01及び1.0%未満であり、
十分な脱酸効果がなく、靭性が悪い。No.6はSi及び
Mn量がそれぞれ1.0及び8.0%を超えるため、強度
が高くなり、靭性が悪い。
i及びMn量がそれぞれ0.01及び1.0%未満であり、
十分な脱酸効果がなく、靭性が悪い。No.6はSi及び
Mn量がそれぞれ1.0及び8.0%を超えるため、強度
が高くなり、靭性が悪い。
【0029】No.7及びNo.8(比較例):No.7はC
r及びMo量がそれぞれ1.0及び0.4%未満であり、強
度・靭性とも十分でない。No.8はCr及びMo量がそれ
ぞれ4.0及び1.5%を超えるため、強度が高くなり、
靭性が悪い。
r及びMo量がそれぞれ1.0及び0.4%未満であり、強
度・靭性とも十分でない。No.8はCr及びMo量がそれ
ぞれ4.0及び1.5%を超えるため、強度が高くなり、
靭性が悪い。
【0030】No.9(比較例)、No.10(本発明
例)、No.11〜No.12(比較例):No.9はNb及
びV量がいずれも0.005%未満であり、図2に示す
ように、長時間のPWHT(690℃×24h)で既に
フェライトバンドが生じている。No.10はNb及びV
量が本発明範囲内のため、図3に示すように、長時間の
PWHT(690℃×24h)でもフェライトバンドは
発生していない。また、機械的性能も良好である。な
お、No.11及びNo.12の順にNb及びVをいずれも
0.05%を超えてフラックスに添加すると、強度が高
くなり、靭性が低下する。したがって、フラックスにN
b及びVを0.005〜0.05%で添加すると、フェラ
イトバンドの発生の程度を低く抑えることができ、溶接
金属の機械的性能も良好であることが確認された。
例)、No.11〜No.12(比較例):No.9はNb及
びV量がいずれも0.005%未満であり、図2に示す
ように、長時間のPWHT(690℃×24h)で既に
フェライトバンドが生じている。No.10はNb及びV
量が本発明範囲内のため、図3に示すように、長時間の
PWHT(690℃×24h)でもフェライトバンドは
発生していない。また、機械的性能も良好である。な
お、No.11及びNo.12の順にNb及びVをいずれも
0.05%を超えてフラックスに添加すると、強度が高
くなり、靭性が低下する。したがって、フラックスにN
b及びVを0.005〜0.05%で添加すると、フェラ
イトバンドの発生の程度を低く抑えることができ、溶接
金属の機械的性能も良好であることが確認された。
【0031】No.13及びNo.14(比較例):No.1
3はTi量が0.05%未満であり、十分な脱酸効果がな
く、機械的性能も悪い。No.14はTi量が0.3%を超
えるため、強度が高くなり、靭性が低下する。
3はTi量が0.05%未満であり、十分な脱酸効果がな
く、機械的性能も悪い。No.14はTi量が0.3%を超
えるため、強度が高くなり、靭性が低下する。
【0032】No.15及びNo.16(比較例): No.15はV量が0.05%を超えているため、靱性
が悪い。No.16はB量が0.015%を超えるた
め、強度が高くなり、靱性が低下する。
が悪い。No.16はB量が0.015%を超えるた
め、強度が高くなり、靱性が低下する。
【0033】No.17(比較例)、No.18(本発明
例)、No.19(比較例):No.17〜No.19はNi
の靭性向上への寄与を調査したものである。No.17は
Ni量が0.1%未満のため、靭性への寄与は認められな
い。No.18はNi量が本発明範囲内であり、No.10
と比較するとNiの添加により靭性の向上が認められ
る。No.19はNi量が0.7%を超えるため、強度が高
くなり、靭性が低下する。
例)、No.19(比較例):No.17〜No.19はNi
の靭性向上への寄与を調査したものである。No.17は
Ni量が0.1%未満のため、靭性への寄与は認められな
い。No.18はNi量が本発明範囲内であり、No.10
と比較するとNiの添加により靭性の向上が認められ
る。No.19はNi量が0.7%を超えるため、強度が高
くなり、靭性が低下する。
【0034】No.20及びNo.21(本発明例)、No.
22(比較例):No.20は金属外皮及びフラックス中
に含まれる全N量が0.015%以下であり、靭性は良
好である。No.21は全N量が0.015%であり、靭
性は若干低下傾向を示している。No.22は全N量が
0.023%であり、溶接金属中に多数のブローホール
等の欠陥が観察され、引張試験に際しては伸びがなく、
脆性破断し、靭性も極端に悪い。
22(比較例):No.20は金属外皮及びフラックス中
に含まれる全N量が0.015%以下であり、靭性は良
好である。No.21は全N量が0.015%であり、靭
性は若干低下傾向を示している。No.22は全N量が
0.023%であり、溶接金属中に多数のブローホール
等の欠陥が観察され、引張試験に際しては伸びがなく、
脆性破断し、靭性も極端に悪い。
【0035】No.23及びNo.24(本発明例):No.
23は2.25Cr−1Mo系母材に、No.24は3Cr−
1Mo系母材に本発明を適用した例であり、いずれも溶
接作業性及び機械的性能とも良好である。
23は2.25Cr−1Mo系母材に、No.24は3Cr−
1Mo系母材に本発明を適用した例であり、いずれも溶
接作業性及び機械的性能とも良好である。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
【発明の効果】 以上詳述したように、本発明のCr−
Mo鋼用炭酸ガスシールドアーク溶接用フラックス入り
ワイヤによれば、長時間の溶接後熱処理を行っても、フ
ェライト粒の粗大化やフェライトバンドの発生の程度が
小さく、優れた機械的性能を示す溶接金属を得ることが
できる。
Mo鋼用炭酸ガスシールドアーク溶接用フラックス入り
ワイヤによれば、長時間の溶接後熱処理を行っても、フ
ェライト粒の粗大化やフェライトバンドの発生の程度が
小さく、優れた機械的性能を示す溶接金属を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】供試鋼板の開先形状を示す断面図である。
【図2】実施例でのワイヤNo.9(比較例)で得られた
溶接金属(PWHT:690℃×24h)の金属組織を
示す顕微鏡写真である。
溶接金属(PWHT:690℃×24h)の金属組織を
示す顕微鏡写真である。
【図3】実施例でのワイヤNo.10(本発明例)で得ら
れた溶接金属(PWHT:690℃×24h)の金属組
織を示す顕微鏡写真である。
れた溶接金属(PWHT:690℃×24h)の金属組
織を示す顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭41−7206(JP,B1) 特公 平3−3558(JP,B2) 特公 昭62−19959(JP,B2) 特公 昭59−1518(JP,B2) 特公 昭59−40556(JP,B2)
Claims (1)
- 【請求項1】 金属外皮内にフラックスを充填したフラ
ックス入りワイヤにおいて、フラックスは、ワイヤ全重
量に対する重量%で(以下、同じ)、TiO2:1.8
〜7.5%、C:0.005〜0.2%、Si:0.0
1〜1.0%、Mn:1.0〜8.0%、Cr:1.0
〜4.0%、Mo:0.4〜1.5%、Nb:0.00
5〜0.05%及びV:0.005〜0.05%を含
み、更にTi;0.05〜0.3%、B:0.005〜
0.015%及びNi:0.1〜0.7%のうちの少な
くとも1種以上を含み、残部が鉄粉及びアーク安定剤を
含めたスラグ生成剤からなり、該フラックスを充填率
(ワイヤ全重量に対する重量比)が10〜20%となる
ように金属外皮内に充填し、金属外皮及びフラックス中
に添加される全N量を0.015%以下に規制したこと
を特徴とするCr−Mo鋼用炭酸ガスシールドアーク溶
接用フラックス入りワイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3089597A JPH0813432B2 (ja) | 1991-03-28 | 1991-03-28 | Cr−Mo鋼用炭酸ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3089597A JPH0813432B2 (ja) | 1991-03-28 | 1991-03-28 | Cr−Mo鋼用炭酸ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04300092A JPH04300092A (ja) | 1992-10-23 |
JPH0813432B2 true JPH0813432B2 (ja) | 1996-02-14 |
Family
ID=13975184
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3089597A Expired - Fee Related JPH0813432B2 (ja) | 1991-03-28 | 1991-03-28 | Cr−Mo鋼用炭酸ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0813432B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103659045A (zh) * | 2012-09-12 | 2014-03-26 | 昆山京群焊材科技有限公司 | 二氧化碳气体保护焊用含Ti型金属药芯焊丝 |
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JP2756084B2 (ja) * | 1994-06-24 | 1998-05-25 | 株式会社神戸製鋼所 | ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ |
EP0688630B2 (en) * | 1994-06-24 | 2010-06-09 | KABUSHIKI KAISHA KOBE SEIKO SHO also known as Kobe Steel Ltd. | Flux-cored wire for gas shielded arc welding |
KR100502572B1 (ko) * | 2000-07-28 | 2005-07-22 | 현대종합금속 주식회사 | 가스 보호형 내열강용 플럭스 충전 복합와이어 |
JP5005309B2 (ja) * | 2006-10-02 | 2012-08-22 | 株式会社神戸製鋼所 | 高張力鋼用ガスシールドアーク溶接フラックス入りワイヤ |
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JP2019171457A (ja) * | 2018-03-29 | 2019-10-10 | 株式会社神戸製鋼所 | 高速溶接用フラックス入りワイヤ及び高速アーク溶接方法 |
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JPH033558A (ja) * | 1989-05-31 | 1991-01-09 | Ricoh Co Ltd | 画像読取装置の位置調整機構 |
-
1991
- 1991-03-28 JP JP3089597A patent/JPH0813432B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103659045A (zh) * | 2012-09-12 | 2014-03-26 | 昆山京群焊材科技有限公司 | 二氧化碳气体保护焊用含Ti型金属药芯焊丝 |
CN103659045B (zh) * | 2012-09-12 | 2016-01-20 | 昆山京群焊材科技有限公司 | 二氧化碳气体保护焊用含Ti型金属药芯焊丝 |
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---|---|
JPH04300092A (ja) | 1992-10-23 |
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