JP7092571B2 - メタル系フラックス入りワイヤおよびメタル系フラックス入りワイヤの製造方法 - Google Patents
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Description
ワイヤ全質量に対するフラックスの充填率が14.0質量%以上、20.0質量%以下であり、
ワイヤ全質量あたり、フラックス中に
Cr:19.0質量%以下(0質量%含む)、
スラグ造さい剤:0.20質量%以上、1.00質量%以下を含有し、
ワイヤ全質量あたり、鋼製外皮とフラックスの合計で、
Cr:10.0質量%以上、19.0質量%以下、
Si:0.1質量%以上、1.0質量%以下、
Al:0.1質量%以上、1.0質量%以下、
Ti:0.1質量%以上、1.0質量%以下、
N:0.002質量%以上、0.100質量%以下、
アルカリ金属の合計:0.01質量%以上、0.10質量%以下、
フッ化物(F換算値):0.002質量%以上、0.050質量%以下、
Mo:0.002質量%以上、1.30質量%以下、
Nb:0.002質量%以上、0.90質量%以下を含有し、
S:0.040質量%以下(0質量%含む)に規制することを特徴とする。
Cu:0.30質量%以下(0質量%含む)、
Ni:0.30質量%以下(0質量%含む)に規制することが好ましい。
本発明者らは、ワイヤ製造時と溶接時のワイヤの断線や折れには、ワイヤ全質量あたりのフラックスの充填率とフラックス中のCr含有量が関与していることを見出した。具体的には、鋼製外皮の鋼種にかかわらずフラックス充填率が高いほど製品ワイヤ径となったときの鋼製外皮が過度に薄肉化して断線や折れが発生しやすくなること、フラックス中のCr含有量が多いほど鋼製外皮の内面側にフラックス中のCrによる食い込みが増加して断線や折れが発生しやすくなることが分かった。
すなわち、ワイヤ全質量あたりのフラックスの充填率を所定範囲に規定し、かつ、フラックス中のCr含有量を所定量以下に制限するとともに鋼製外皮とフラックスを含むワイヤ全体に占めるCr含有量を所定範囲に規定することが、ワイヤ製造時と溶接時のワイヤの断線や折れの発生を抑制する上で効果的であることを見出した。ここで、ワイヤ全質量は、鋼製外皮の全質量+フラックスの全質量を指し、フラックスの充填率はフラックス全質量/ワイヤ全質量×100を意味する。
また本発明者らは、ワイヤの製造方法として、ベーキングや焼鈍などの熱処理は行わず、ワイヤ線径の仕上げをローラーダイスによる圧延仕上げ(仕上げ伸線加工)とすることで、製品ワイヤ径となったときの鋼製外皮の過度の薄肉化が緩和され、ワイヤ製造時および溶接時のワイヤの断線や折れをより一層抑制できることを見出した。なお、本実施形態において、ベーキングとは、酸化雰囲気下でワイヤを加熱して、ワイヤの潤滑剤を分解燃焼して除去したり、水分を除去したりする処理のことを意味する。また、焼鈍とは、非酸化性雰囲気下でワイヤを加熱して、ワイヤの加工硬化を緩和したり、水分を除去したりする処理のことを意味する。
本発明者らは、溶落ちには、溶滴の移行性が関与していることを見出した。具体的には、溶接時にワイヤ先端に形成された溶滴が速やかかつ均一な頻度で母材に移行する、すなわち溶滴の移行時間が短くかつ均一な場合は、溶着速度が速くなりアークが母材に直接当たることが回避されて溶落ちの発生を抑制できることが分かった。そこで溶滴の移行時間を短くかつ均一化させるべく鋼製外皮、フラックス原料を種々検討した結果、SiとNは溶滴の粒径を細かくして、Alは溶滴の形成を促進して、溶滴の移行時間を短くかつ均一にすること、一方、Moは溶着速度を減少させて溶滴の移行時間を長くかつ不均一にすることが分かった。またアークの安定性も溶滴の移行性に対して重要な因子であり、Tiとアルカリ金属、Fはアークの安定性を高めて溶滴の移行を安定化させることが分かった。すなわちワイヤ全質量あたりに所定量のSi、N、Al、Ti、アルカリ金属、Fを含有させ、さらにMoを制限することが、溶落ちの発生を防止するうえで効果的であることを見出した。
本発明者らは、スラグ発生量には、ワイヤ中のスラグ造さい剤とTiが関与していることを見出した。具体的には、スラグ造さい剤が多いほど、Tiが多いほどスラグ発生量が増加することが分かった。Tiは溶接中に酸化されてスラグとなり、これがスラグ発生量を増加させる原因になっていた。また、本発明者らは、ワイヤ中のNbとSがスラグの焼き付きに関与し、剥離に影響を及ぼしていることを見出した。具体的には、Nbはスラグを焼き付かせ、Sはスラグを焼き付かせにくくすることが分かった。すなわちワイヤ全質量あたりのスラグ造さい剤とTiを所定範囲とし、Nbを所定量含有させ、Sを規制することが、スラグ発生量を減らし、わずかに生じたスラグも焼き付かせて剥離を抑制するうえで効果的であることを見出した。
本発明者らは、スパッタ発生量には、溶落ちと同様、溶滴の移行性とアークの安定性が関与していることを見出した。具体的には、溶滴の移行時間が短くかつ均一で、アークの安定性が高い場合は、スパッタ発生量が減少することが分かった。鋼製外皮、フラックス原料を種々検討した結果、SiとNは溶滴の粒径を細かくして、Alは溶滴の形成を促進して、溶滴の移行性を安定化させ、アルカリ金属とFはアークの安定性を高めて、スパッタ発生量を減少させることが分かった。さらに、検討の中でNbがスパッタ発生量を減少することも見出した。Nbによるスパッタ低減のメカニズムは、溶接時のワイヤ先端に形成される溶滴と移行中の溶滴のガス放出(炭素や窒素の解離ガス)による破裂が、Nbによって抑制されたためと考えられる。
すなわちワイヤ全質量あたりに所定量のSi、N、Al、アルカリ金属、F、さらにNbを含有させることが、スパッタ発生量を低減するうえで効果的であることを見出した。またCuとNiはアークの安定性を損なう傾向があり、これを制限することでアークの安定性を維持して、結果としてスパッタ発生量の減少を補完することが分かった。
本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤは、鋼製外皮にフラックスを充填してなる構造である。ここで、フラックスの充填率が14.0質量%未満であるとフラックス充填の均一性が損なわれてワイヤ中で粗密が生じ、溶接時にアークの安定性が劣化してスパッタ発生量が増加する。
一方、フラックス充填率が20.0質量%を超えると鋼製外皮が薄肉化して延性が低下し、ワイヤ製造時と溶接時にワイヤの断線や折れが発生しやすくなる。したがって、ワイヤ全質量に対するフラックスの充填率は、20.0質量%以下、好ましくは19.0質量%以下、より好ましくは18.0質量%未満とする。
Crは高硬度で粉化しにくいため、フラックス中のCrがワイヤ製造工程中に鋼製外皮の内面に食い込みやすい。鋼製外皮にこのような食い込みが生じると、ワイヤ製造時と溶接時のワイヤの断線や折れが発生しやすくなる。ワイヤ全質量あたりのフラックス中のCr含有量が19.0質量%超では、鋼製外皮への食い込みが増加してワイヤの製造時と溶接時のワイヤの断線や折れが発生しやすくなる。従ってワイヤ全質量あたりのフラックス中のCr含有量を19.0質量%以下、好ましくは18.0質量%以下、より好ましくは17.4質量%以下とする。
スラグ造さい剤は、溶接時にスラグとなってビード形状を整える効果がある。しかし、0.20質量%未満ではその効果が得られず、1.00質量%を超えるとスラグ発生量が過剰となる。したがって、ワイヤ全質量あたりのフラックス中のスラグ造さい剤の合計を0.20質量%以上、1.00質量%以下、好ましくは0.90質量%以下とする。なお、本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤのスラグ造さい剤は、フラックス中の酸化物、炭酸塩、フッ化物を指し、例えばTiO2、SiO2、Al2O3、ZrO2、MgO、MnO、Na2O、K2O、Li2O、CaO、Liフェライトなどの酸化物、Li2CO3等の炭酸塩、LiF、NaF、K2SiF6などのフッ化物があり、本実施形態においては、これら酸化物、炭酸塩、フッ化物の合計を規定する。
前述のようにCrは、溶着金属の耐食性や耐酸化性を得るために有効な元素である。ワイヤ全質量あたりの鋼製外皮とフラックス中のCr含有量の合計が10.0質量%未満では、溶着金属の耐食性・耐酸化性の劣化が懸念される。
一方、ワイヤ全質量あたりの鋼製外皮とフラックスのCr含有量の合計が19.0質量%超では、溶着金属の延性低下が懸念されるとともに、材料コストが上昇する。また、フラックス中のCr含有量を19.0質量%以下に制限しているため、鋼製外皮およびフラックス全体のCr含有量が19.0質量%超とする場合には、鋼製外皮のCr含有量の割合を高くせざるをえない。その結果、鋼製外皮が高強度となりワイヤの製造性が劣化する。したがって、ワイヤ全質量あたりの鋼製外皮とフラックスのCr含有量の合計を10.0質量%以上、19.0質量%以下、好ましくは18.0質量%以下とする。なお、本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤにおけるCr源は、鋼製外皮の合金成分や、フラックスに含まれ得る金属Cr、Fe-Cr合金、Fe-Si-Cr合金等があり、本実施形態においては、これらのCr含有量の合計を規定する。
Siは、溶滴の粒径を細かくして溶滴の移行時間を短くし、溶着速度を速めることで耐溶落ち性を向上する。しかし、0.1質量%未満ではこの効果は得られず、1.0質量%を超えるとスパッタ発生量が増加する。したがって、ワイヤ全質量あたりの鋼製外皮とフラックス中のSi含有量の合計を0.1質量%以上、1.0質量%以下、好ましくは0.8質量%以下とする。なお、本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤにおけるSi源は、鋼製外皮中の合金成分や、フラックスに含まれ得るFe-Si、Fe-Si-Zr等のSi合金等があり、本実施形態においては、これらのSi含有量の合計を規定する。
Alは、溶滴の形成を促進して溶着速度を速め、溶落ちを防止する効果を有する。しかし、0.1質量%未満では効果が得られず、1.0質量%を超えるとスパッタ発生量が増加する。したがって、ワイヤ全質量あたりの鋼製外皮とフラックス中のAl含有量の合計を0.1質量%以上、1.0質量%以下、好ましくは0.8質量%以下とする。なお、本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤにおけるAl源は、鋼製外皮の合金成分や、フラックスに含まれ得る金属Al、Fe-Al合金等があり、本実施形態においては、これらのAl含有量の合計を規定する。
Tiは、アークの安定性を向上させて溶落ちを防止する効果を有する。しかし、0.1質量%未満ではその効果は得られず、1.0質量%を超えるとスラグの発生量が増加する。したがって、ワイヤ全質量あたりの鋼製外皮とフラックス中のTi含有量の合計を0.1質量%以上、1.0質量%以下、好ましくは0.8質量%以下とする。なお、本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤにおけるTi源は、鋼製外皮の合金成分や、フラックスに含まれ得るFe-Ti合金等があり、本実施形態においては、これらのTi含有量の合計を規定する。
Nは、溶滴の粒径を細かくして溶滴の移行時間を短くし、溶着速度を高めることで耐溶落ち性を向上させる効果を有する。しかし、0.002質量%未満ではこの効果は得られず、0.100質量%を超えるとスパッタの発生量が増加する。したがって、ワイヤ全質量あたりの鋼製外皮とフラックス中のN含有量の合計を0.002質量%以上、0.100質量%以下、好ましくは0.080質量%以下とする。なお、本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤにおけるN源は、鋼製外皮中の合金成分や、フラックスに含まれうる窒化Cr、窒化Mn等の金属窒化物があり、本実施形態においては、これらの含有量の合計を規定する。
アルカリ金属はイオン化しやすく、特に、低電流域でのアークの集中性を高めて溶滴移行を安定化させ耐溶落ち性を向上させる。しかし、0.01質量%未満ではこの効果は得られず、0.10質量%を超えるとアーク安定性が不安定となりスパッタ発生量が増加する。したがって、ワイヤ全質量あたりのフラックス中のアルカリ金属の合計を0.01量%以上、0.10質量%以下とする。なお、本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤにおけるアルカリ金属源は、フラックスに含まれ得るLi2O、Na2O、K2O、Liフェライト等の酸化物、Li2CO3等の炭酸塩があり、本実施形態においては、これらのアルカリ金属の合計を規定する。
Fは、アークの集中性を高め、溶滴移行を安定化させ耐溶落ち性を向上させる。しかし0.002質量%未満ではこの効果は得られず、0.050質量%を超えると、かえってアークの安定性が劣化してスパッタが増加する。したがって、ワイヤ全質量あたりのフラックス中のフッ化物含有量(F換算値)の合計を0.002質量%以上、0.050質量%以下とする。なお、本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤにおけるF源は、フラックスから含有しうる各種フッ化物、例えばLiF、NaF、K2SiF6、CeF3等があり、本実施形態においてはこれらフッ化物のF換算値の合計を規定する。
Moは溶着金属の耐食性向上に有効である。しかし、Moが1.30質量%を超えると、溶滴の移行時間を長くし溶着速度を低下させて溶落ちを引き起こす。また、溶着金属の延性低下が懸念され、材料コストも上昇する。したがって、ワイヤ全質量あたりの鋼製外皮とフラックス中のMo含有量の合計を0.002質量%以上、1.30質量%以下とする。Mo含有量の上限は、好ましくは0.90質量%以下、より好ましくは0.50質量%以下とする。Mo含有量の下限は、0.010質量%以上であることが好ましい。なお、本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤにおけるMo源は、鋼製外皮の合金成分や、フラックスに含まれ得るFe-Mo合金等があり、本実施形態においては、これらのMo含有量の合計を規定する。
Nbはスラグを焼き付かせて剥離を防止する効果とスパッタ発生量を低減する効果がある。Nbによるスパッタ低減のメカニズムは、溶接時のワイヤ先端に形成される溶滴と移行中の溶滴のガス放出(炭素や窒素の解離ガス)による破裂が、Nbによって抑制されたためと考えられる。しかし、0.002質量%未満ではこれらの効果が得られず、0.90質量%を超えるとアークが不安定となりかえってスパッタ発生量が増加する。したがって、ワイヤ全質量あたりの鋼製外皮とフラックス中のNbの合計を0.002質量%以上、0.90質量%以下とする。なお、本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤにおけるNb源は、鋼製外皮の合金成分や、フラックスに含まれ得るFe-Nb合金等があり、本実施形態においては、これらのNb含有量の合計を規定する。
Sは、スラグを焼き付かせにくくしてスラグの剥離を引き起こす。Sは鋼製外皮やフラックス原料の不可避不純物として、あるいは溶滴の小粒化によるスパッタ発生量の低減等を企図して含有したとしても所定量以下に抑制すべきである。したがって、ワイヤ全質量あたりの鋼製外皮とフラックスのS含有量の合計を0.040質量%以下(0質量%含む)に規制する。なお、本実施形態に係るフラックス入りワイヤにおけるS含有量は、鋼製外皮の合金成分や、フラックスに含まれ得る前述の金属粉末、合金粉末、酸化物、炭酸塩、フッ化物等があり、本実施形態においてはこれらのS含有量の合計を規定する。
本実施形態に係るフラックス入りワイヤは、その他の成分として、C、Mn、Pなどを含む。例えば、C:0.10質量%以下、Mn:1.00質量%以下、P:0.04質量%以下の範囲で含む。好ましくは、C:0.05質量%以下、Mn:0.50質量%以下、である。本実施形態に係るフラックス入りワイヤの残部は、Feおよび不可避的不純物である。なお、本実施形態に係るフラックス入りワイヤは、上記で規定した各化学成分とFeの合計量は、例えば95%以上、好ましくは98%以上であることが好ましい。また、Fe含有量は、例えば、80~90質量%の範囲で任意に設定することができる。
また、本実施形態にフラックス入りワイヤは、必要に応じて、Cu、Niを含んでも良い。
CuとNiは、これらを制限することでアークの安定性を維持して、結果としてスパッタ発生量の減少を補完する。0.30質量%以下ではスパッタ発生量を抑制できる。したがって、ワイヤ全質量あたりの鋼製外皮とフラックスのCu含有量の合計を0.30質量%以下、Ni含有量の合計を0.30質量%以下に規制すると良い。本実施形態のフラックス入りワイヤにおけるCu含有量、Ni含有量は、鋼製外皮の合金成分や、フラックスに含まれ得る前述の金属粉末、合金粉末があり、本実施形態においてはこれらのCu含有量の合計、Ni含有量の合計をそれぞれ規定する。
鋼製外皮には、特に限定はないが、本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤにおいて、鋼製外皮として、例えばJIS規格やASTM規格、AISI規格等に規定される409、430、436等のフェライト系ステンレス鋼を用いると良い。フェライト系ステンレス鋼を用いることによって、より一層、ワイヤ製造時と溶接時のワイヤの断線や折れを抑制することができる。
以下に、本実施形態のメタル系フラックス入りワイヤの製造方法の一例を示す。まず鋼製外皮を構成する鋼帯を準備し、鋼帯を長手方向に送りながら成形ロールで成形してU字状のオープン管にした後、所定の化学組成となるように各種原料を配合したフラックスをU字状のオープン管に充填する。その後、断面が円形になるように加工した上でさらに複数回の伸線を施して縮径し、例えばワイヤ線径が1.2mmφ、1.0mmφ、0.9mmφ等、JIS規格やAWS規格等に規定されている所定の製品ワイヤ線径とする。
なお、本実施形態のメタル系フラックス入りワイヤには、U字状オープン管の鋼製外皮の合わせ目を突き合わせて溶接した継ぎ目無しワイヤ、あるいは鋼製外皮の合わせ目をラップさせて溶接せずに継ぎ目ありのまま残すワイヤ、いずれの構造も採用することができる。
ワイヤの巻き折れ試験は、直径8mmφのパイプ外面に、5m長のワイヤをスパイラル状に詰めて並列に1層巻き付けてゆき、ワイヤの断線や折れを発生させる試験である。スプールからワイヤを引き出しながら巻き折れ試験を行い、ワイヤの断線や折れの発生個数を評価した。評価基準は、ワイヤの巻き折れ試験はワイヤの断線や折れが50個以上を×(不良)、1個以上、50個未満を〇(良好)、0個を◎(優良)とした。
耐溶落ち性試験の溶接条件は、溶接姿勢は下向き、シールドガス組成(流量)は98%Ar+2%O2(15L/min.)、溶接電源は市販のパルス電源、チップ/母材間距離は12mm、トーチ角度は前進角/後退角を付けず、溶接電流-電圧-速度は製品ワイヤ径1.2mmφのとき140A(パルス有)-20V-60cm/min.、製品ワイヤ径1.0mmφのとき70A(パルス有)-18V-60cm/min.とした。
耐溶落ち試験は、「溶落ち有り」を×(不良)、「溶落ち無し」を〇(良好)とした。スラグ発生量とその剥離は、「多い」を×(不良)、「少ない」を〇(良好)、スパッタ発生量は、「多い」を×(不良)、「少ない」を〇(良好)とした。
本発明例1と本発明例2は、ワイヤ全質量に対するフラックスの充填率と、ワイヤ全質量あたりのフラックス中のCr、ワイヤ全質量あたりの鋼製外皮とフラックス中のCr、Si、Al、Ti、N、アルカリ金属、フッ化物(F換算値)、Mo、スラグ造さい剤、Nb、Sの各含有量が所定範囲を満足したため、巻き折れ性は良好あるいは優良、耐溶落ち性は良好、スラグ発生量とその剥離も少ないものであり(良好)、スパッタ発生量も少なかった(良好)。
Claims (3)
- 鋼製外皮にフラックスが充填されたガスシールドアーク溶接用のメタル系フラックス入りワイヤであって、
ワイヤ全質量に対するフラックスの充填率が14.0質量%以上、20.0質量%以下であり、
ワイヤ全質量あたり、フラックス中に
Cr:19.0質量%以下(0質量%含む)、
スラグ造さい剤:0.20質量%以上、1.00質量%以下を含有し、
ワイヤ全質量あたり、鋼製外皮とフラックスの合計で、
Cr:10.0質量%以上、19.0質量%以下、
Si:0.1質量%以上、1.0質量%以下、
Al:0.1質量%以上、1.0質量%以下、
Ti:0.1質量%以上、1.0質量%以下、
N:0.002質量%以上、0.100質量%以下、
アルカリ金属の合計:0.01質量%以上、0.10質量%以下、
フッ化物(F換算値):0.002質量%以上、0.050質量%以下、
Mo:0.002質量%以上、1.30質量%以下、
Nb:0.002質量%以上、0.90質量%以下を含有し、
S:0.040質量%以下(0質量%含む)、
Cu:0.30質量%以下(0質量%含む)、
Ni:0.30質量%以下(0質量%含む)、
C:0.10質量%以下、
Mn:1.00質量%以下、
P:0.04質量%以下に規制し、
前記Cr、前記スラグ造さい剤、前記Si、前記Al、前記Ti、前記N、前記アルカリ金属の合計、前記フッ化物(F換算値)、前記Mo、前記Nb、前記S、前記C、前記Mn、前記P及びFeの合計量が95質量%以上であることを特徴とするメタル系フラックス入りワイヤ。 - 前記鋼製外皮が、フェライト系ステンレス鋼であることを特徴とする請求項1に記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
- 請求項1または2に記載のメタル系フラックス入りワイヤの製造方法であって、熱処理を行うことなく、ローラーダイスにより仕上げ伸線加工することを特徴とするメタル系フラックス入りワイヤの製造方法。
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