JP2007319910A - フラックス入りワイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】極薄鋼板での耐溶落ち性に優れ、不良を発生し難いフェライト系ステンレス鋼用ガスシールド溶接に用いるフラックス入りワイヤを提供することを目的とする。
【解決手段】フェライト系ステンレス鋼用ガスシールド溶接に用いるフラックス入りワイヤにおいて、フラックス入りワイヤが鋼合金製のワイヤ素線からなるものであり、ワイヤ全質量に対するSi、Mn、S、Crの含有量および、フラックス全質量中のスラグ造宰剤の含有量を所定範囲に規定し、残部がFeおよび不可避的不純物であり、不可避的不純物のうちC、P、Niを抑制し、かつ、下記式(1)
X=0.32R eq−3.86−Neq、 X≧0 ・・・(1)
(式中、Neq=Ni質量%+30C質量%+0.5Mn質量%、R eq=Cr質量%+1.5Si質量%である)を満足することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、フェライト系ステンレス鋼用ガスシールド溶接に用いられるフラックス入りワイヤに係り、特に、自動車等の排気系部品に使われるフェライト系ステンレス鋼のアーク溶接に用いられる耐溶落ち性に優れたフラックス入りワイヤに関する。
従来より、自動車のエンジンから排出される高温のガスを誘導するエキゾーストマニホールドやマフラといった排気系部品には、高温での耐酸化性を重視して、SUS430、SUS409、SUS410L、SUS444等のフェライト系ステンレス鋼が多く使われている。これらのフェライト系ステンレス鋼には、軽量化のため、その板厚が薄いもので1.0mm未満のものや、0.5mm程度まで極薄のものもある。
これらのフェライト系ステンレス鋼に使用する溶接ワイヤとしては、一般的には、17〜19質量%程度のCrを添加し、溶接金属がフェライト単相を呈するようにC、Si、Mnを調整したソリッドワイヤまたはメタル系フラックス入りワイヤが多く実用化されている。また、高温割れを防止すべく、結晶粒微細化のためにNbを適量添加したものも実用化されている。
具体的には、耐割れ性や高温強度の改善を目的として、C、Si、Mn、Crの基本元素の他に、Nb、Ti、Ca、Mo等を含有させたソリッドワイヤが提案されており(例えば、特許文献1)、また、延性、靭性を改善する目的で、Mgを添加したワイヤが提案されている(例えば、特許文献2)。
一方、フラックス入りワイヤとしては、高い入熱で割れを防止すべく、Mo、Nb、Alを添加したワイヤや(例えば、特許文献3)、耐溶接割れ性を改善する目的でNb、Al、Ti、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩等を添加したワイヤが提案されている(例えば、特許文献4)。また、スラグ剥離性、耐割れ性、靭性の改善を目的としたCr系ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤが提案されている(例えば、特許文献5)。さらに、耐溶落ち性に着目し、溶接作業性の向上を図ったフラックス入りワイヤが提案されている(例えば、特許文献6、7)。
特開2002−35988号公報(段落0011〜0028) 特開平9−225680号公報(段落0006〜0020) 特開平6−691号公報(段落0008、0013〜0022) 特開2004−358552号公報(段落0014〜0034) 特開平3−42195号公報(第2頁右上欄7行目〜13行目) 特公平5−30557号公報(第2頁右欄33行目〜第4頁右欄30行目) 特開2001−293596号公報(段落0007、0009〜0030)
しかしながら、従来より使用されているステンレス鋼用ワイヤでは、以下に示す問題があった。
自動車の排気系部品等に使用されるSUS鋼板は、その薄さによって、アーク溶接時に溶落ちが発生しやすいため、その改善が望まれていることから、使用するワイヤにおいても、耐溶落ち性が必要とされている。
そこで、耐溶落ち性に優れたTIG(Tungsten Inert Gas)溶接法やプラズマ溶接法が用いられているが、これらの溶接法では、能率が悪くコストも高いという問題がある。そのため、溶接能率とコストに優れる消耗電極式ガスシールドアーク溶接法、いわゆるMAG(Metal Active Gas)溶接法やMIG(Metal Inert Gas)溶接法での耐溶落ち性改善が望まれていた。
しかし、特許文献1〜4に記載のワイヤは、フェライト系ステンレス鋼での耐溶落ち性の改善に着目したものではないため、これらのワイヤでは、耐溶落ち性の向上を図ることができないという問題があった。
また、特許文献5のフラックス入りワイヤは、スラグが大量に発生するタイプであり、溶接後にスラグ除去工程が組まれない自動車分野では適用することはできないという問題があった。
特許文献6、7に記載のフラックス入りワイヤは、ステンレス鋼用ソリッドワイヤでの耐溶落ち性の改善に着目しているが、最近では、軽量化の要求が益々高まり、溶接する板の厚みをさらに薄くする方向で設計が行われ始めていることから、さらなる耐溶落ち性の改善が望まれている。しかし、これらのステンレス鋼用ソリッドワイヤは、主にスラグ造宰剤やフラックスの添加量を制限することで溶接作業性を向上させることを目的としているものであり、未だステンレス鋼の極薄化に対応した十分な耐溶落ち性を得るには至っていない。
本発明はこれらの状況を鑑みて開発した技術であり、極薄鋼板での耐溶落ち性に優れ、不良を発生し難いフェライト系ステンレス鋼用ガスシールド溶接に用いるフラックス入りワイヤを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、請求項1に係るフラックス入りワイヤは、金属外皮中にフラックスを充填して、フェライト系ステンレス鋼用ガスシールド溶接に用いるフラックス入りワイヤにおいて、前記フラックス入りワイヤが鋼合金製のワイヤ素線からなるものであって、ワイヤ全質量に対するフラックス充填率が5〜30質量%であり、ワイヤ全質量に対し、Si:0.60〜1.50質量%、Mn:0.40〜2.00質量%、S:0.012〜0.100質量%、Cr:16.0〜20.0質量%含有し、更に、フラックス全質量中のスラグ造宰剤を5質量%以下に抑制し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうち、C:0.07質量%以下、P:0.025質量%以下、Ni:0.30質量%以下であり、かつ、下記式(1)
X=0.32R eq−3.86−Neq、 X≧0 ・・・(1)
(式中、Neq=Ni質量%+30C質量%+0.5Mn質量%、R eq=Cr質量%+1.5Si質量%である)
を満足することを特徴とする。
このような構成によれば、Si、Mnを所定量含有することで、ワイヤ自身の電気抵抗が高まり、チップ/ワイヤ通電点(主にチップ先端)からアーク発生点までのいわゆる突出し部分および先端に形成される溶滴自体の抵抗発熱が高まることで温度が上昇し、アーク熱による溶融が低減することにより溶接入熱が減少する。
また、Sを所定量含有することで、アーク直下から溶接線後方に形成される溶融池の粘性、表面張力が低下し、アーク力+表面張力による溶融池の押し上げが小さくなることで、溶融池自体の重力が勝り、溶融池がアーク直下に落ち込みやすくなる。これにより、アーク直下での溶融池の深さが大きくなり、溶込み深さが低減する。
これらの作用により、耐溶落ち性が向上する。
その他、フラックス、スラグ造宰剤、所定の元素等を所定範囲に規定することで、耐溶落ち性、耐高温酸化性、耐割れ性等が向上する。
請求項2に係るフラックス入りワイヤは、金属外皮中にフラックスを充填して、フェライト系ステンレス鋼用ガスシールド溶接に用いるフラックス入りワイヤにおいて、前記フラックス入りワイヤが鋼合金製のワイヤ素線の表面にCuメッキ層を設けたものであって、ワイヤ全質量に対するフラックス充填率が5〜30質量%であり、ワイヤ全質量に対し、Si:0.60〜1.50質量%、Mn:0.40〜2.00質量%、S:0.012〜0.100質量%、Cr:16.0〜20.0質量%含有し、更に、フラックス全質量中のスラグ造宰剤を5質量%以下に抑制し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうち、C:0.07質量%以下、P:0.025質量%以下、Ni:0.30質量%以下であり、前記Cuメッキ層がCu:0.24質量%以下であり、かつ、下記式(1)
X=0.32R eq−3.86−Neq、 X≧0 ・・・(1)
(式中、Neq=Ni質量%+30C質量%+0.5Mn質量%、R eq=Cr質量%+1.5Si質量%である)
を満足することを特徴とする。
このような構成によれば、ワイヤ素線の表面にCuメッキ層を設けることで、チップ磨耗が抑制され、また、耐錆性、製造時の伸線性等が向上する。
請求項3に係るフラックス入りワイヤは、前記記載のフラックス入りワイヤにおいて、更に、N:0.050質量%以下、Nb:1.00質量%以下、V:1.00質量%以下、Al:0.60質量%以下、Ti:0.60質量%以下、Mo:2.50質量%以下、F:0.3質量%以下のうち1種以上を含有し、かつ、下記式(2)
X=0.32R eq−3.86−Neq、 X≧0 ・・・(2)
(式中、Neq=Ni質量%+30C質量%+0.5Mn質量%、R eq=Cr質量%+1.5Si質量%+0.5(Nb質量%+V質量%)である)
を満足することを特徴とする。
このような構成によれば、さらに所定の元素を所定量含有することにより、耐割れ性、耐腐食性・耐酸化性、アーク安定性等がさらに向上する。
請求項4に係るフラックス入りワイヤは、前記Nが0.0040〜0.050質量%、前記Nbが0.10〜1.00質量%、前記Vが0.10〜1.00質量%、前記Alが0.05〜0.60質量%、前記Tiが0.05〜0.60質量%、前記Moが0.05〜2.50質量%、前記Fが0.01〜0.3質量%であることを特徴とする。
このような構成によれば、所定の元素の含有量の範囲をさらに規定することで、耐割れ性、耐腐食性・耐酸化性、アーク安定性等がさらに向上する。
請求項5に係るフラックス入りワイヤは、前記記載のフラックス入りワイヤにおいて、更に、K、Na、Liの1種以上を合計0.30質量%以下含有することを特徴とする。
このような構成によれば、K、Na、Liを所定量含有することで、アーク安定性が向上し、耐溶落ち性がさらに向上する。
請求項6に係るフラックス入りワイヤは、前記K、Na、Liの1種以上の合計が0.002〜0.30質量%であることを特徴とする。
このような構成によれば、K、Na、Liの含有量の範囲をさらに規定することで、アーク安定性が向上し、耐溶落ち性がさらに向上する。
本発明に係るフラックス入りワイヤによれば、ワイヤの諸成分を適正範囲に規定することにより、耐高温酸化性に加え、耐溶落ち性が極めて良好となると共に、金属組織状態、耐割れ性、アーク安定性、曲げ性能(延性)等も良好となる。そのため、自動車の軽量化を図るために、排気系部品の板厚を薄くしても、当該ワイヤの適用によって、溶落ち不良が低減し、溶接工程における生産性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、フラックス入りワイヤの成分を所定範囲に規定することを特徴とするフェライト系ステンレス鋼用ガスシールド溶接に用いるフラックス入りワイヤである。
前記フラックス入りワイヤは、鋼合金製のワイヤ素線からなるものであり、所定量のSi、Mn、S、Crを含有し、スラグ造宰剤を所定量以下に抑制し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、不可避的不純物として、C、P、Niを所定量以下に抑制したものである。
また、このワイヤ素線の表面に、Cuメッキ層を設けてもよい。
まず、図を参照して、従来のワイヤを用いた場合および本発明に係るワイヤを用いた場合のアーク溶接について説明する。
図1は、アーク溶接の様子を模式的に示した模式図であり、(a)は、従来のワイヤを用いた場合を示す模式図、(b)は、本発明に係るワイヤを用いた場合を示す模式図である。
図1(a)に示すように、従来のワイヤ31を用いたアーク溶接では、溶融池6の粘性、表面張力が大きいため、アーク力+表面張力による溶融池6の押し上げPが、重力Pに対して大きく、よって、溶融池6自体の重力Pによる降下が小さい。また、アーク直下での溶融池6の深さLが小さく、溶込み深さLが大きい。
また、チップ2/ワイヤ31通電点(主にチップ2先端)からアーク5の発生点までのいわゆる突出し部分Aおよび先端に形成される溶滴4自体の抵抗発熱が低い。
そこで、本発明者らは、図1(b)に示すように、(1)ワイヤ3自身の電気抵抗を高めることにより、突出し部分Aおよび溶滴4自体の抵抗発熱を高めて温度を上昇させ、アーク熱による溶融を低減することにより溶接入熱を減らす、(2)アーク5直下から溶接線後方に形成される溶融池6の粘性、表面張力を低下させ、Pが小さくなることで、Pが勝り、溶融池6をアーク直下に落とし込ませる。これにより、アーク直下での溶融池6の深さLを大きくし、アーク力の作用を防御させることで、溶込み深さLを低減させる、という(1)(2)の2つの手段を組み合わせることで、極薄板の耐溶落ち性を改善することに成功した。
ちなみに、ソリッドワイヤよりもフラックス入りワイヤのほうが一般的に耐溶落ち性に優れるが、その理由は、形状的にワイヤ3自身の電気抵抗が高まることと、熱容量が小さくなるからである。本発明ではその効果に加え、組成的にワイヤ3自身の電気抵抗のみならず、溶滴4の電気抵抗をも高め、かつ溶融池6の粘性と表面張力の調整によって、鋼材(母材)1へのアーク力の影響力を緩和させることを手段としている。
具体的には(1)の電気抵抗増大にはSi、Mn、必要に応じてNb、Vの増大を、(2)の溶融池の表面張力と粘性の低下にはSの増大を図ることで達成した。
以下、ワイヤの成分の限定理由について説明する。
<フラックス充填率:5〜30質量%>
前記のとおり、ソリッドワイヤよりもフラックス入りワイヤのほうが一般的に耐溶落ち性に優れる。
しかし、フラックスの充填率(ワイヤ全質量に対するフラックスの質量)が5質量%未満の場合は金属外皮により形成される円筒部分に多くの空隙が生じ、フラックスが均一に配分されず、ワイヤを安定して製造することが困難となり、アーク安定性が低下する。したがって、フラックス充填率は5質量%以上とする。一方、フラックスの充填率が30質量%を超えると、相対的に金属外皮の厚さが薄くなり、ワイヤの強度が著しく損なわれ、折れやすくなるため、ワイヤを安定して製造することが困難となる。したがって、フラックス充填率は、30質量%以下とする。
<Si:0.60〜1.50質量%>
Siは脱酸反応に必要で、かつ突出し部分と溶滴の電気抵抗上昇に効果的である。耐溶落ち性向上に対して最低0.60質量%が必要であるため、Siの含有量は、0.60質量%以上、好ましくは0.80質量%以上とする。一方、1.50質量%を超えると溶滴が大粒化し、スパッタが増加すると共に、延性が低下する。したがって、Siの含有量は、1.50質量%以下、好ましくは1.30質量%以下とする。
<Mn:0.40〜2.00質量%>
Mnもまた脱酸反応に必要な元素であり、かつ突出し部分と溶滴の電気抵抗上昇に効果的である。しかし、マルテンサイトを生成しやすくする元素のため、通常は0.40質量%未満に抑えられているのが一般的である。本発明ではC含有量の低減、Si含有量の増加等によるフェライト相の安定化を図ることによりマルテンサイト生成を抑制しつつ、Mn含有量の増大を図っている。0.40質量%以上で耐溶落ち性向上に有効であるため、Mnの含有量は0.40質量%以上、好ましくは0.75質量%以上、さらに好ましくは、1.00質量%以上とする。一方、2.00質量%を超えると溶滴が大粒化し、スパッタが増加すると共に、延性が低下する。したがって、Mnの含有量は、2.00質量%以下とする。
<S:0.012〜0.100質量%以下>
Sは溶融池の粘性と表面張力を低下させる効果がある。それによってアーク後方からアーク直下に溶湯が流れ込み、深い溶融池を形成する。これによって溶込み深さが低減され、耐溶落ち性が向上する。この溶湯の流れ込みによる耐溶落ち性向上の効果を得るには、最低0.012質量%の含有が必要である。したがって、Sの含有量は、0.012質量%以上、好ましくは0.016質量%以上、より好ましくは0.025質量%以上とする。さらに、0.050質量%以上とすると、より効果的である。一方、0.100質量%を超えると耐高温割れ性が発生し、また、延性が低下するため、Sの含有量は、0.100質量%以下とする。
<Cr:16.0〜20.0質量%>
Crはステンレス鋼用としての耐食性や耐酸化性を得るために必須な元素である。SUS430等の排気系部品に使われる鋼材と同等の耐食性・耐酸化性とするためにはCr含有量も同等であることが好ましい。16.0質量%以上であれば耐食性・耐酸化性に問題は無いため、Crの含有量は、16.0質量%以上とする。一方20.0質量%を超えると高コスト化し、スパッタが増加すると共に、延性が低下するため、Crの含有量は、20.0質量%以下とする。
<ワイヤ中のスラグ造宰剤の質量の合計:5質量%以下>
スラグ発生量を減少させるにはワイヤ中のスラグ造宰剤を減らすことが不可欠である。
ここでスラグ造宰剤とは金属粉末以外を指し、TiO、SiO、NaO、KO、CaO、Al、LiO、MnO、MgO等の酸化物、LiF、NaF、CaF、KF、AlF等のフッ化物が挙げられる。
5質量%を超えるとスラグ過剰で後工程の塗装に問題が生じ、また、アーク安定性が低下することからワイヤ中のスラグ造宰剤の質量の合計は、5質量%以下とし、好ましくは3質量%以下とする。なお、スラグ造宰剤は、本発明の効果を妨げない範囲において含有することは許容されるが、スラグ造宰剤は少ないほうが好ましい。そのため、下限は設定しないが0質量%でもよい。
以下、不可避的不純物として含まれる元素であるC、P、Niの含有量を制限した理由について説明する。これらの不可避的不純物は含有しないこと(すなわち、0質量%)が好ましいが、本発明の効果を妨げない範囲においてこれらを含有することは許容され、以下に示す含有量以下であれば問題なく使用することができる。
<C:0.07質量%以下>
Cは耐食性・耐酸化性を低下させ、マルテンサイトを生成させやすくし、また、延性の低下や、割れを発生しやすくするため、極力少ない方が好ましい。上限としては0.07質量%まで許容可能である。好ましくは0.03質量%以下である。下限は設けないが、溶製が困難なため、現実的には0.001質量%程度が工業的に下限となる。
<P:0.025質量%以下>
Pは耐割れ性を劣化させる元素のため、極力低減する。上限としては0.025質量%までであれば実用上問題ないため、これを上限とする。なお、Pは少ないほうが好ましいため下限は設定しないが0質量%でもよい。
<Ni:0.30質量%以下>
Niはフェライト系ステンレス鋼には不要な元素である。Niが多いほどフェライト層が不安定化し耐高温酸化性が低下するのでNiの含有量は少ない方が好ましい。工業的に0.30質量%以下に抑制してあれば問題ないので、Niの含有量は0.30質量%以下とする。なお、Niは少ないほうが好ましいため下限は設定しないが0質量%でもよい。
不可避的不純物として、C、P、Niの他、例えば、O、Zr等を含有することが考えられるが、本発明の効果を妨げない範囲においてこれらを含有することは許容され、これらの含有量は、それぞれ0.050質量%以下が好ましい。
<X=0.32R eq−3.86−Neq、 X≧0>
(式中、Neq=Ni質量%+30C質量%+0.5Mn質量%、R eq=Cr質量%+1.5Si質量%である)
ここで、NeqはNi当量を表し、R eqはCr当量を表す。X≧0の時に形成される溶接金属はフェライト層となる。逆にX<0の場合はマルテンサイト層が析出し、耐腐食性・耐酸化性の低下、熱サイクルに対する疲労性能低下、延性の低下が発生するのでX≧0を必須とする。
本発明に係るフラックス入りワイヤにおいては、ワイヤ素線の表面にCuメッキ層を設けてもよい。
<メッキ層のCu:0.24質量%以下>
チップ磨耗の抑制、耐錆性の向上、製造時の伸線性の向上といった目的でCuメッキを施しても良いが、ワイヤ通電点の電気抵抗を低下させ、ワイヤの発熱効果が低下して耐溶落ち性が低下しやすい。したがって、Cuメッキを施す場合、フラックス入りワイヤでは、0.24質量%以下であれば許容範囲であるため、メッキ層のCu含有量は、0.24質量%以下とする。
本発明に係るフラックス入りワイヤは、前記成分に加えて、更に、N、Nb、V、Al、Ti、Mo、Fのうち1種以上を含有することが好ましい。以下、これらの限定理由について説明する。
<N:0.050質量%以下>
Nは無添加でも問題ないが、少量の添加で焼入れ性を高め、結晶粒を微細化して耐高温割れ性を向上させる。しかし、0.050質量%を超えるとブローホールが発生し、また、延性が低下するため、Nの含有量は、0.050質量%以下とする。また、この効果は0.0040質量%以上で顕著となるため、Nの含有量は、0.0040質量%以上とするのが好ましい。
<Nb:1.00質量%以下、V:1.00質量%以下>
Nb、Vは無添加でも問題ないが、添加することによりフェライトを安定化し、耐割れ性を向上させると共に、耐腐食性・耐酸化性も向上させることが出来る。しかし、それぞれ1.00質量%を超えると延性が低下するので、Nb、Vの含有量は、それぞれ1.00質量%以下とする。また、この効果はそれぞれ0.10質量%以上で顕著となるため、Nb、Vの含有量は、それぞれ0.10質量%以上とするのが好ましい。
なお、Nb、Vを含む場合には、「X=0.32R eq−3.86−Neq、 X≧0」(式中、Neq=Ni質量%+30C質量%+0.5Mn質量%、R eq=Cr質量%+1.5Si質量%+0.5(Nb質量%+V質量%))である。
ここで、NeqはNi当量を表し、R eqはCr当量を表す。X≧0の時に形成される溶接金属はフェライト層となる。逆にX<0の場合はマルテンサイト層が析出し、耐腐食性・耐酸化性の低下、熱サイクルに対する疲労性能低下、延性の低下が発生するのでX≧0を必須とする。
<Al:0.60質量%以下、Ti:0.60質量%以下>
Al、Tiは無添加でも問題ないが、Nb、Vと同様に添加することにより結晶粒を微細化し、耐割れ性を向上させると共に、耐腐食性・耐酸化性も向上させることが出来る。しかし、それぞれ0.60質量%を超えると延性が低下すると共に、スラグが多く発生して塗装性を低下させるので、Al、Tiの含有量は、それぞれ0.60質量%以下とする。また、この効果はそれぞれ0.05質量%以上で顕著となるため、Al、Tiの含有量は、それぞれ0.05質量%以上とするのが好ましい。
<Mo:2.50質量%以下>
Moは無添加でも問題ないが、添加することにより結晶粒を微細化し、耐割れ性を向上させると共に、耐腐食性・耐酸化性も向上させることが出来る。しかし、2.50質量%を超えると延性が低下するので、Moの含有量は、2.50質量%以下とする。また、この効果は0.05質量%以上で顕著となるため、Moの含有量は、0.05質量%以上とするのが好ましい。特に、鋼板がMoを必須添加とするSUS444等に適用する場合は、溶接金属にも必須となるため、この場合は、同程度添加させる。
<F:0.3質量%以下>
Fは無添加でも問題ないが、添加することによりアークの安定性と集中性の向上に効果がある。しかし、0.3質量%を超えるとかえってアークの安定性が低下し、スパッタが増加する。したがって、Fの含有量は、0.3質量%以下とする。また、この効果は0.01質量%以上で顕著となるため、Fの含有量は、0.01質量%以上とするのが好ましい。なお、一般的にはFは金属外皮から添加することは困難であり、フラックスから添加される。Fを添加するためのフッ化物としては、LiF、NaF、BaF、CaF、AlF等が代表的である。
更に、本発明に係るフラックス入りワイヤは、前記成分に加えて、K、Na、Liの1種以上を合計0.30質量%以下含有することが好ましい。以下、これらの限定理由について説明する。
<K、Na、Li合計:フラックスとして合計0.30質量%以下>
K、Na、Liは無添加でも問題ないが、Ar+酸化性ガス(O、CO)を用いた溶接においてアーク安定剤として働く。アーク不安定時には、アーク長が変化し、アーク力も変動するが、これによって耐溶落ち性が劣化するので、アークはできるだけ安定であることが好ましい。しかし、0.30質量%を超えると逆にアーク安定性が損なわれるのでK、Na、Liの合計は、0.30質量%以下とする。また、アーク安定剤を含有させると耐溶落ち性向上に有効となるが、その効果は0.002質量%以上で有効であるため、K、Na、Liの合計は、0.002質量%以上とするのが好ましい。なお、フラックスとしての添加方法はKO、NaO、LiO等の酸化物、LiCO等の炭酸塩、Liフェライト等の合金を原料として用いるのが一般的である。
<その他>
添加成分は金属外皮から添加するか、フラックスから添加するかは特に問わないが、ワイヤの突出し部分でより発熱させるためには、金属外皮に成分添加し、電気抵抗を高めることが効果的である。
次に、本発明に係るフラックス入りワイヤについて、本発明の要件を満たす実施例と本発明の要件を満たさない比較例とを比較して具体的に説明する。
先ず、表1に示す金属外皮α,βを用いて、1.2mmφのフラックス入りワイヤを試作した。ワイヤの成分組成、使用した鋼板(試験板)を表2、3に示す。なお、表1〜3において成分を含有していないものについては「−」で示し、表3において、本発明の構成を満たさないものについては、数値に下線を引いて示す。なお、表2、3において、FCWは、フラックス入りワイヤのことである。
Figure 2007319910
Figure 2007319910
Figure 2007319910
次に、ワイヤについて、以下に示す、耐溶落ち性、耐高温酸化性、金属組織状態、耐割れ性、アーク安定性、曲げ性能の試験と共に、X線透過試験により、耐ブローホール性、ワイヤ送給性、スラグ発生量等の官能評価を行った。
<耐溶落ち性>
耐溶落ち性については、SUS430または一部SUS444の2.0mm厚さのステンレス鋼板を用いて、開先無し、ルートギャップなしの下向I型突合せを速度80cm/minで行った。シールドガスはAr80体積%+CO20体積%、溶接機は定電圧インバータ制御機(パルス無し)である。ワイヤ送給速度を変化させて、溶落ちが発生しない限界の最大溶着量を限界溶着量として求めた。限界溶着量が大きい方が耐溶落ち性に優れていると評価した。40g/min以上を良好、それ未満は不合格とした。
<耐高温酸化性>
耐高温酸化性については、JIS Z3321に従い全溶着金属試験を行い、その溶接金属中央から厚さ1.5mm、幅10mm、長さ40mmの酸化試験片を採取し、大気中で900℃×200時間保持して試験前後の重量を測定した。その酸化増量が少ない方が耐高温酸化性に優れていると判断した。5g/m以下を良好、それを超えたものは不合格とした。
<金属組織状態>
金属組織状態については、溶接金属のミクロ組織観察により、フェライト単相となっているものを合格、マルテンサイト相が析出しているものはフェライト系マルテンサイト鋼用として不適切と判断した。
<耐割れ性>
JIS Z3155「C型冶具拘束突合せ溶接割れ試験方法」に従い、溶接条件を耐溶落ち性の限界溶着量を求めた時の電流、電圧、溶接速度にて行った。割れが生じたものは不合格、生じないものを合格とした。
<アーク安定性>
アーク安定性については、耐溶落ち性の試験の際に官能にて安定性を評価した。溶滴移行が安定でスパッタが少ない場合やワイヤ送給性が良く、アーク長が乱れない場合は良好とした。溶滴移行が不安定でスパッタが多い場合やワイヤ送給性が悪く、アーク長が乱れる場合は不合格(×)とした。
<曲げ性能(延性)>
曲げ性能については、全溶着金属試験の継手から板厚の表側5mmをスライスして切り出し、JIS Z3122「突合せ溶接継手の曲げ試験方法」に従って表曲げ試験を行った。R10mmで180°曲げを行い、割れの有無を確認した。無欠陥を延性良好として合格、割れが生じたものは不合格(×)とした。
<その他>
X線透過試験にて溶接金属にブローホールが発見された場合、ワイヤ送給性が悪い場合、スラグ量が多く塗装性劣化の懸念が高い場合等を記し、不合格とした。
これらの結果を表4、5に示す。なお、表5において、耐溶落ち性および耐高温酸化性が不合格のものについては、数値に下線を引いて示す。
Figure 2007319910
Figure 2007319910
表4に示すように、実施例No.1〜23は、全てのワイヤ成分が本発明の範囲を満足しているため、耐溶落ち性、耐高温酸化性、金属組織状態、耐割れ性、アーク安定性、曲げ性能(延性)、ワイヤ送給性等すべてが優れている。
一方、表5に示すように、No.24はCの含有量が上限を超えるため、マルテンサイトが生成し、かつ割れが生じた。曲げ試験でも割れが生じ、また、耐高温酸化性も劣っていた。No.25はSiの含有量が下限未満のため、突出し部分と溶滴の電気抵抗が不足し、耐溶落ち性が向上しなかった。No.26はSiの含有量が上限を超えるため、溶滴が大きくなりスパッタが過剰となった。また、延性も低下し、曲げ試験で割れが生じた。No.27はMnの含有量が下限未満のため、突出し部分と溶滴の電気抵抗が不足し、耐溶落ち性が向上しなかった。No.28はMnの含有量が上限を超えるため、溶滴が大きくなりスパッタが過剰となった。また、延性も低下し、曲げ試験で割れが生じた。
No.29はPの含有量が上限を超えるため、高温割れが生じた。No.30はSの含有量が下限未満のため、溶融池の粘性が低下せず、アーク直下の溶融池の深さが過少となり耐溶落ち性が向上しなかった。No.31はSの含有量が上限を超えるため、高温割れが生じた。また、延性が低下し、曲げ試験で割れが生じた。No.32はCrの含有量が下限未満のため、耐高温酸化性が低かった。No.33はCrの含有量が上限を超えるため、溶滴の粘性が過剰となり、スパッタが増加した。また、延性が低下し、曲げ試験で割れが生じた。No.34はNiの含有量が上限を超えるため、耐高温酸化性が低かった。No.35はNの含有量が上限を超えるため、溶接中にブローホール欠陥が生じた。また、脆化により延性も低下し、曲げ試験で割れが生じた。
No.36はワイヤにCuメッキが施されているが、そのメッキのCu含有量が上限を超えるため、通電点での電気抵抗が不足し、耐溶落ち性が向上しなかった。No.37、38、39は各元素個々の含有量は問題ないが、パラメータXが0未満となっており、溶接金属がフェライト単相になっていないものである。マルテンサイト相が析出しているため、延性が低下し曲げ試験で割れが生じた。また、耐高温酸化性も劣っていた。No.40、41はそれぞれNb、Vの含有量が上限を超えるため、延性が低下し、曲げ試験で割れが生じた。No.42、43はそれぞれAl、Tiの含有量が上限を超えるため、延性が低下し、曲げ試験で割れが生じた。さらにスラグ発生量も非常に多かった。
No.44はMoの含有量が上限を超えるため、延性が低下し、曲げ試験で割れが生じた。No.45はフッ化物が過剰であり、アーク安定性が悪くスパッタが多かった。No.46はアルカリ金属であるK、Na、Liの含有量の合計が上限を超えるため、アーク安定性が悪くスパッタが多かった。No.47はフラックス充填率が下限未満であるため、フラックスの長さ方向に均一なワイヤを安定して製造することが困難であった。そのため、アーク安定性も悪かった。No.48はフラックス充填率が上限を超えるため、外皮厚さが薄くなりすぎて強度が不足し、伸線中に断線が多発して、ワイヤを安定して製造することが出来なかった。No.49はフラックスにおける造宰剤の比率が上限を超えるため、スラグが過剰に発生した。また、薄板溶接で使われる200A以下の低電流域ではアークの安定性が悪かった。
No.50、51は一般に流通しているSUS430系、SUS444系フラックス入りワイヤの一例である。No.50はSi、Mn、Sが下限未満であるため、突出し部分と溶滴の電気抵抗の不足、溶融池の粘性不足によるアーク直下の溶融池の深さが過少と、両方ともに効果が得られず耐溶落ち性が悪かった。No.51はSi、Mn、Sが下限未満であるため、突出し部分と溶滴の電気抵抗の不足、溶融池の粘性不足によるアーク直下の溶融池の深さが過少と、両方ともに効果が得られず耐溶落ち性が悪かった。さらに、Pが上限を超えるため、割れが発生した。また、Tiが上限を超えるため、スラグ量が薄板用としては過剰であり、延性も低下し、曲げ試験で割れが生じた。また、フラックスにおける造宰剤の比率が上限を超えるため、アーク安定性が悪かった。
No.52は各元素個々の含有量は問題ないが、パラメータXが0未満となっており、溶接金属がフェライト単相になっていないものである。マルテンサイト相が析出しているため、延性が低下し曲げ試験で割れが生じた。また、耐高温酸化性も劣っていた。No.53はSの含有量が下限未満のため、溶融池の粘性が低下せず、アーク直下の溶融池の深さが過少となり耐溶落ち性が向上しなかった。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく本発明の範囲を逸脱しない範囲で変更することができる。
アーク溶接の様子を模式的に示した模式図であり、(a)は、従来のワイヤを用いた場合を示す模式図、(b)は、本発明に係るワイヤを用いた場合を示す模式図である。
符号の説明
1 鋼材(母材)
2 チップ
3、31 ワイヤ
4 溶滴
5 アーク
6 溶融池

Claims (6)

  1. 金属外皮中にフラックスを充填して、フェライト系ステンレス鋼用ガスシールド溶接に用いるフラックス入りワイヤにおいて、
    前記フラックス入りワイヤが鋼合金製のワイヤ素線からなるものであって、
    ワイヤ全質量に対するフラックス充填率が5〜30質量%であり、ワイヤ全質量に対し、Si:0.60〜1.50質量%、Mn:0.40〜2.00質量%、S:0.012〜0.100質量%、Cr:16.0〜20.0質量%含有し、更に、フラックス全質量中のスラグ造宰剤を5質量%以下に抑制し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうち、C:0.07質量%以下、P:0.025質量%以下、Ni:0.30質量%以下であり、かつ、下記式(1)
    X=0.32R eq−3.86−Neq、 X≧0 ・・・(1)
    (式中、Neq=Ni質量%+30C質量%+0.5Mn質量%、R eq=Cr質量%+1.5Si質量%である)
    を満足することを特徴とするフラックス入りワイヤ。
  2. 金属外皮中にフラックスを充填して、フェライト系ステンレス鋼用ガスシールド溶接に用いるフラックス入りワイヤにおいて、
    前記フラックス入りワイヤが鋼合金製のワイヤ素線の表面にCuメッキ層を設けたものであって、
    ワイヤ全質量に対するフラックス充填率が5〜30質量%であり、ワイヤ全質量に対し、Si:0.60〜1.50質量%、Mn:0.40〜2.00質量%、S:0.012〜0.100質量%、Cr:16.0〜20.0質量%含有し、更に、フラックス全質量中のスラグ造宰剤を5質量%以下に抑制し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうち、C:0.07質量%以下、P:0.025質量%以下、Ni:0.30質量%以下であり、前記Cuメッキ層がCu:0.24質量%以下であり、かつ、下記式(1)
    X=0.32R eq−3.86−Neq、 X≧0 ・・・(1)
    (式中、Neq=Ni質量%+30C質量%+0.5Mn質量%、R eq=Cr質量%+1.5Si質量%である)
    を満足することを特徴とするフラックス入りワイヤ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のフラックス入りワイヤにおいて、更に、N:0.050質量%以下、Nb:1.00質量%以下、V:1.00質量%以下、Al:0.60質量%以下、Ti:0.60質量%以下、Mo:2.50質量%以下、F:0.3質量%以下のうち1種以上を含有し、かつ、下記式(2)
    X=0.32R eq−3.86−Neq、 X≧0 ・・・(2)
    (式中、Neq=Ni質量%+30C質量%+0.5Mn質量%、R eq=Cr質量%+1.5Si質量%+0.5(Nb質量%+V質量%)である)
    を満足することを特徴とするフラックス入りワイヤ。
  4. 前記Nが0.0040〜0.050質量%、前記Nbが0.10〜1.00質量%、前記Vが0.10〜1.00質量%、前記Alが0.05〜0.60質量%、前記Tiが0.05〜0.60質量%、前記Moが0.05〜2.50質量%、前記Fが0.01〜0.3質量%であることを特徴とする請求項3に記載のフラックス入りワイヤ。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のフラックス入りワイヤにおいて、
    更に、K、Na、Liの1種以上を合計0.30質量%以下含有することを特徴とするフラックス入りワイヤ。
  6. 前記K、Na、Liの1種以上の合計が0.002〜0.30質量%であることを特徴とする請求項5に記載のフラックス入りワイヤ。
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