JPH08267273A - 高張力鋼用ガスメタルアーク溶接用ワイヤ - Google Patents
高張力鋼用ガスメタルアーク溶接用ワイヤInfo
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- JPH08267273A JPH08267273A JP9413695A JP9413695A JPH08267273A JP H08267273 A JPH08267273 A JP H08267273A JP 9413695 A JP9413695 A JP 9413695A JP 9413695 A JP9413695 A JP 9413695A JP H08267273 A JPH08267273 A JP H08267273A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高張力鋼（ＨＴ９０〜ＨＴ１００系）を母材
とし、ガスメタルアーク溶接を実施したときに、耐力お
よび靱性が母材と同等以上で硫化物による欠陥がなく作
業性が良好なワイヤを提供する。 【構成】 Ｃ、Ｓｉ、Ｍｎ、Ｃｕを規定範囲とするほ
か、Ｎｉ：１．００〜４．００％、Ｃｒ：０．４０〜
０．８５％、Ｍｏ：０．４０〜０．８５％、Ｖ：０．０
１〜０．１５％、Ｎｂ：０．００１〜０．０１５％、Ｔ
ｉ：０．０１〜０．１０％を含有し、Ｐ、Ｓ、Ａｌ、
Ｎ、Ｏを制限するとともに、Ｃａ＋Ｍｇ＋Ａｓ：０．０
１％以下に制限した高張力鋼用ガスメタルアーク溶接用
ワイヤである。
とし、ガスメタルアーク溶接を実施したときに、耐力お
よび靱性が母材と同等以上で硫化物による欠陥がなく作
業性が良好なワイヤを提供する。 【構成】 Ｃ、Ｓｉ、Ｍｎ、Ｃｕを規定範囲とするほ
か、Ｎｉ：１．００〜４．００％、Ｃｒ：０．４０〜
０．８５％、Ｍｏ：０．４０〜０．８５％、Ｖ：０．０
１〜０．１５％、Ｎｂ：０．００１〜０．０１５％、Ｔ
ｉ：０．０１〜０．１０％を含有し、Ｐ、Ｓ、Ａｌ、
Ｎ、Ｏを制限するとともに、Ｃａ＋Ｍｇ＋Ａｓ：０．０
１％以下に制限した高張力鋼用ガスメタルアーク溶接用
ワイヤである。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は強度および衝撃靱性の優
れた高張力鋼のガスメタルアーク溶接に使用される高張
力鋼（ＨＴ−９０〜１００等に使用される）用ガスメタ
ルアーク溶接用ワイヤに関するものである。
れた高張力鋼のガスメタルアーク溶接に使用される高張
力鋼（ＨＴ−９０〜１００等に使用される）用ガスメタ
ルアーク溶接用ワイヤに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】高張力鋼は、圧力容器、水圧鉄管、造
船、鉄骨橋梁、建設用機器等で使用されている。近年、
構造物の大型化および軽量化に伴い需要が伸びており、
構造物の安全性の観点から溶接材料については所定の耐
力や衝撃靱性特性の保証が要求される。しかし、耐力と
衝撃靱性を両立させることは問題であった。耐力を向上
させるため通常は合金元素を添加するが、過剰添加は耐
力および衝撃靱性を低下させるのが現状であった。
船、鉄骨橋梁、建設用機器等で使用されている。近年、
構造物の大型化および軽量化に伴い需要が伸びており、
構造物の安全性の観点から溶接材料については所定の耐
力や衝撃靱性特性の保証が要求される。しかし、耐力と
衝撃靱性を両立させることは問題であった。耐力を向上
させるため通常は合金元素を添加するが、過剰添加は耐
力および衝撃靱性を低下させるのが現状であった。
【０００３】特開昭５２−１２９６４６号公報にはＮ
ｉ，Ｃｒ，Ｍｏ等の合金元素を添加し、溶接部の強度を
母材同等以上にした溶材が示されている。また、特開昭
６０−１５８９９５号公報では−１００℃程度の低温に
おいても優れた靱性を示し、かつ強度も十分に満足する
溶接金属を得ることのできるような高張力鋼（７０ｋｇ
ｆ／ｍｍ2 級および８０ｋｇｆ／ｍｍ2 級等）を溶接対
象とした高張力鋼用ＭＩＧ溶接ワイヤが開発されてい
る。また、特開平３−７７０３４号公報ではワイヤ中に
Ｃａが０．０００３〜０．００１０％未満が含有され、
連続鋳造工程を経て製造されてなる溶接作業性が良好な
ＣＯ2 またＡｒ−ＣＯ2 溶接用ソリッドワイヤが開発さ
れている。しかし、硫化物による溶接欠陥を防ぎ、溶接
作業性を良好にすることを考慮した高張力鋼（ＨＴ−９
０〜１００）用ガスメタルアーク溶接用ワイヤは未だ開
発されていない。
ｉ，Ｃｒ，Ｍｏ等の合金元素を添加し、溶接部の強度を
母材同等以上にした溶材が示されている。また、特開昭
６０−１５８９９５号公報では−１００℃程度の低温に
おいても優れた靱性を示し、かつ強度も十分に満足する
溶接金属を得ることのできるような高張力鋼（７０ｋｇ
ｆ／ｍｍ2 級および８０ｋｇｆ／ｍｍ2 級等）を溶接対
象とした高張力鋼用ＭＩＧ溶接ワイヤが開発されてい
る。また、特開平３−７７０３４号公報ではワイヤ中に
Ｃａが０．０００３〜０．００１０％未満が含有され、
連続鋳造工程を経て製造されてなる溶接作業性が良好な
ＣＯ2 またＡｒ−ＣＯ2 溶接用ソリッドワイヤが開発さ
れている。しかし、硫化物による溶接欠陥を防ぎ、溶接
作業性を良好にすることを考慮した高張力鋼（ＨＴ−９
０〜１００）用ガスメタルアーク溶接用ワイヤは未だ開
発されていない。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような現
状を把握し検討されたものであって、耐力と衝撃靱性が
優れ、しかも硫化物による溶接欠陥を防ぎ、溶接作業性
の良好な高張力鋼用ガスメタルアーク溶接用ワイヤを提
供するのが本発明の目的である。
状を把握し検討されたものであって、耐力と衝撃靱性が
優れ、しかも硫化物による溶接欠陥を防ぎ、溶接作業性
の良好な高張力鋼用ガスメタルアーク溶接用ワイヤを提
供するのが本発明の目的である。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するものであって、重量％で（以下同じ）、Ｃ：０．
０４〜０．０９％、Ｓｉ：０．３０〜０．６０％、Ｍ
ｎ：１．５０〜２．５０％、Ｃｕ：０．１５〜０．３０
％、Ｎｉ：１．００〜４．００％、Ｃｒ：０．４０〜
０．８５％、Ｍｏ：０．４０〜０．８５％、Ｖ：０．０
１〜０．１５％、Ｎｂ：０．００１〜０．０１５％、Ｔ
ｉ：０．０１〜０．１０％を含有し、Ｐ：０．００５％
以下、Ｓ：０．００５％以下、Ａｌ：０．００７％以
下、Ｎ：０．００７％以下、Ｏ：０．０１０％以下に規
制するとともに、さらにＰ＋Ｓ：０．００７％以下、Ｃ
ａ＋Ｍｇ＋Ａｓ：０．０１％以下に規制し、残部がＦｅ
および不可避的不純物からなることを特徴とする高張力
鋼用ガスメタルアーク溶接用ワイヤである。
決するものであって、重量％で（以下同じ）、Ｃ：０．
０４〜０．０９％、Ｓｉ：０．３０〜０．６０％、Ｍ
ｎ：１．５０〜２．５０％、Ｃｕ：０．１５〜０．３０
％、Ｎｉ：１．００〜４．００％、Ｃｒ：０．４０〜
０．８５％、Ｍｏ：０．４０〜０．８５％、Ｖ：０．０
１〜０．１５％、Ｎｂ：０．００１〜０．０１５％、Ｔ
ｉ：０．０１〜０．１０％を含有し、Ｐ：０．００５％
以下、Ｓ：０．００５％以下、Ａｌ：０．００７％以
下、Ｎ：０．００７％以下、Ｏ：０．０１０％以下に規
制するとともに、さらにＰ＋Ｓ：０．００７％以下、Ｃ
ａ＋Ｍｇ＋Ａｓ：０．０１％以下に規制し、残部がＦｅ
および不可避的不純物からなることを特徴とする高張力
鋼用ガスメタルアーク溶接用ワイヤである。
【０００６】
【作用】本発明の溶接用ワイヤにおける成分限定理由を
以下に述べる。
以下に述べる。
【０００７】Ｃ：０．０４〜０．０９％ Ｃは、溶接金属の強度および耐力を確保するための必須
の元素である。０．０９％を超えると割れ感受性が高く
なり、０．０４％未満では強度および耐力が確保できな
い。したがって０．０４〜０．０９％とした。
の元素である。０．０９％を超えると割れ感受性が高く
なり、０．０４％未満では強度および耐力が確保できな
い。したがって０．０４〜０．０９％とした。
【０００８】Ｓｉ：０．３０〜０．６０％ Ｓｉは、脱酸元素であり衝撃靱性を確保するために添加
する。０．６０％を超えると衝撃靱性が低下し、０．３
０％未満では溶接金属中の脱酸が困難になり溶接作業性
に悪影響を及ぼす。したがって０．３０〜０．６０％と
した。
する。０．６０％を超えると衝撃靱性が低下し、０．３
０％未満では溶接金属中の脱酸が困難になり溶接作業性
に悪影響を及ぼす。したがって０．３０〜０．６０％と
した。
【０００９】Ｍｎ：１．５０〜２．５０％ Ｍｎは、脱酸元素であり衝撃靱性を確保、強度および耐
力向上のために添加する。また、硫化物をＭｎＳとし、
粒界に晶出して衝撃靱性に有害なＦｅＳを抑制する。
２．５０％を超えると耐力に悪影響を及ぼす。一方、
１．５０％未満では溶接金属中の脱酸が困難になり耐力
および溶接作業性に悪影響を及ぼす。また、ＭｎＳの硫
化物によりＦｅＳを抑制し、衝撃靱性を向上させるには
少なすぎる。したがって１．５０〜２．５０％とした。
力向上のために添加する。また、硫化物をＭｎＳとし、
粒界に晶出して衝撃靱性に有害なＦｅＳを抑制する。
２．５０％を超えると耐力に悪影響を及ぼす。一方、
１．５０％未満では溶接金属中の脱酸が困難になり耐力
および溶接作業性に悪影響を及ぼす。また、ＭｎＳの硫
化物によりＦｅＳを抑制し、衝撃靱性を向上させるには
少なすぎる。したがって１．５０〜２．５０％とした。
【００１０】Ｃｕ：０．１５〜０．３０％ Ｃｕはワイヤの耐銹性を考慮しＣｕめっきを施したこと
により入るものである。Ｃｕは耐銹性を考慮すると０．
１５％以上必要である。一方、０．３０％を超えると衝
撃靱性に悪影響を及ぼす。したがって０．１５〜０．３
０％とした。
により入るものである。Ｃｕは耐銹性を考慮すると０．
１５％以上必要である。一方、０．３０％を超えると衝
撃靱性に悪影響を及ぼす。したがって０．１５〜０．３
０％とした。
【００１１】Ｎｉ：１．００〜４．００％ Ｎｉは、目的の衝撃靱性および耐力を両立させるために
添加する。４．００％を超えると耐力に悪影響を及ぼ
し、目的の衝撃靱性を得ることができない。１．００％
未満では耐力は向上するが目的の衝撃靱性を満足するこ
とができない。したがって１．００〜４．００％とし
た。
添加する。４．００％を超えると耐力に悪影響を及ぼ
し、目的の衝撃靱性を得ることができない。１．００％
未満では耐力は向上するが目的の衝撃靱性を満足するこ
とができない。したがって１．００〜４．００％とし
た。
【００１２】Ｃｒ：０．４０〜０．８５％ Ｃｒは、強度、耐力および耐蝕耐酸化性向上のため添加
する。０．８５％を超えると耐蝕耐酸化には効果がある
が、耐力は悪化し目的の耐力を得ることができない。
０．４０％未満では目的の強度、耐力および耐蝕耐酸化
に効果がない。したがって０．４０〜０．８５％とし
た。
する。０．８５％を超えると耐蝕耐酸化には効果がある
が、耐力は悪化し目的の耐力を得ることができない。
０．４０％未満では目的の強度、耐力および耐蝕耐酸化
に効果がない。したがって０．４０〜０．８５％とし
た。
【００１３】Ｍｏ：０．４０〜０．８５％ Ｍｏは、強度および耐力向上のため添加する。０．８５
％を超えると耐力は低下し、０．４０％未満では目的の
強度および耐力が得られない。したがって０．４０〜
０．８５％とした。
％を超えると耐力は低下し、０．４０％未満では目的の
強度および耐力が得られない。したがって０．４０〜
０．８５％とした。
【００１４】Ｖ：０．０１〜０．１５％ ＶもＭｏ同様に強度および耐力向上のため添加する。
０．１５％を超えると耐力は低下し、０．０１％未満で
は目的の耐力が得られない。したがって０．０１〜０．
１５％とした。
０．１５％を超えると耐力は低下し、０．０１％未満で
は目的の耐力が得られない。したがって０．０１〜０．
１５％とした。
【００１５】Ｎｂ：０．００１〜０．０１５％ ＮｂもＣｒ，Ｍｏ同様強度および耐力向上のため添加す
る。０．０１５％を超えると耐力は低下し、０．００１
％未満では目的の耐力を得ることができない。したがっ
て０．００１〜０．０１５％とした。
る。０．０１５％を超えると耐力は低下し、０．００１
％未満では目的の耐力を得ることができない。したがっ
て０．００１〜０．０１５％とした。
【００１６】Ｔｉ：０．０１〜０．１０％ Ｔｉは、衝撃靱性および溶接作業性向上のため添加す
る。０．１０％を超えると溶接作業性が悪化し、０．０
１％未満では目的の衝撃靱性を得ることができない。し
たがって０．０１〜０．１０％とした。
る。０．１０％を超えると溶接作業性が悪化し、０．０
１％未満では目的の衝撃靱性を得ることができない。し
たがって０．０１〜０．１０％とした。
【００１７】ＰおよびＳ：０．００５％以下 ＰおよびＳは目的の衝撃靱性を得るために少なければ少
ないほど良い。したがって０．００５％以下とした。
ないほど良い。したがって０．００５％以下とした。
【００１８】Ａｌ：０．００７％以下 Ａｌは脱酸元素で衝撃靱性向上のため添加される元素で
あるが、試験結果よりＴｉほど衝撃靱性の向上が余り望
めず、また耐力が低下し溶接作業性が悪化した。したが
って０．００７％以下とした。
あるが、試験結果よりＴｉほど衝撃靱性の向上が余り望
めず、また耐力が低下し溶接作業性が悪化した。したが
って０．００７％以下とした。
【００１９】Ｎ：０．００７％以下 Ｎは衝撃靱性に悪影響を及ぼす。したがって許容できる
範囲として０．００７％以下が望ましい。
範囲として０．００７％以下が望ましい。
【００２０】Ｏ：０．０１０％以下 ＯもＮ同様衝撃靱性に悪影響を及ぼす。したがって許容
できる範囲として０．０１０％以下が望ましい。
できる範囲として０．０１０％以下が望ましい。
【００２１】Ｐ＋Ｓ：０．００７％以下 当鋼種において不純物元素であるＰおよびＳをふり試験
したところ、ＰおよびＳの総重量が０．００７％以下で
あれば衝撃靱性が良好なことがわかった。したがってＰ
およびＳの総重量を０．００７％以下に抑制することが
望ましい。
したところ、ＰおよびＳの総重量が０．００７％以下で
あれば衝撃靱性が良好なことがわかった。したがってＰ
およびＳの総重量を０．００７％以下に抑制することが
望ましい。
【００２２】Ｃａ＋Ｍｇ＋Ａｓ：０．０１％以下 Ｃａ，ＭｇおよびＡｓを抑制するのは本ワイヤの特徴で
ある。Ｃａは、溶鋼の脱硫に用いられ、鋼中のＳとの反
応性が強く、硫化物を生成させる。Ｍｇは、通常高温下
で燃焼し、空気中では酸化物を生成する。Ａｓの化学的
性質はＰと類似しており、Ｓと反応し硫化物を生成す
る。そこでこれらの問題に着目しワイヤ中にＣａ，Ｍｇ
およびＡｓを添加し実験を繰り返したところＣａ，Ｍｇ
およびＡｓは硫化物による溶接欠陥を助長することが実
験よりわかった。それゆえにＣａ，ＭｇおよびＡｓを規
制することが望ましい。また、ＣａとＭｇおよびＡｓ
は、アーク安定性に悪影響を及ぼしスラグおよびスパッ
タが増加したため規制することが望ましい。以上のこと
を考慮し、Ｃａ，ＭｇおよびＡｓの総重量を０．０１％
以下に抑制するとこれらの問題が解決したため、Ｃａ＋
Ｍｇ＋Ａｓ：０．０１％以下とした。
ある。Ｃａは、溶鋼の脱硫に用いられ、鋼中のＳとの反
応性が強く、硫化物を生成させる。Ｍｇは、通常高温下
で燃焼し、空気中では酸化物を生成する。Ａｓの化学的
性質はＰと類似しており、Ｓと反応し硫化物を生成す
る。そこでこれらの問題に着目しワイヤ中にＣａ，Ｍｇ
およびＡｓを添加し実験を繰り返したところＣａ，Ｍｇ
およびＡｓは硫化物による溶接欠陥を助長することが実
験よりわかった。それゆえにＣａ，ＭｇおよびＡｓを規
制することが望ましい。また、ＣａとＭｇおよびＡｓ
は、アーク安定性に悪影響を及ぼしスラグおよびスパッ
タが増加したため規制することが望ましい。以上のこと
を考慮し、Ｃａ，ＭｇおよびＡｓの総重量を０．０１％
以下に抑制するとこれらの問題が解決したため、Ｃａ＋
Ｍｇ＋Ａｓ：０．０１％以下とした。
【００２３】次に溶接施工条件について述べる。本ワイ
ヤを使用し溶接を実施した結果、溶接施工条件は以下の
範囲が好ましい。アークの安定性および溶接作業性を重
視した結果、溶接電流は２５０〜３５０Ａとすることが
好ましい。２５０Ａより低いと、アークが不安定かつビ
ード外観が良くない。３５０Ａを超えるとアークが不安
定になり溶接ワイヤが溶融池に突っ込む現象を生じるた
め、溶接電流を２５０〜３５０Ａとする。
ヤを使用し溶接を実施した結果、溶接施工条件は以下の
範囲が好ましい。アークの安定性および溶接作業性を重
視した結果、溶接電流は２５０〜３５０Ａとすることが
好ましい。２５０Ａより低いと、アークが不安定かつビ
ード外観が良くない。３５０Ａを超えるとアークが不安
定になり溶接ワイヤが溶融池に突っ込む現象を生じるた
め、溶接電流を２５０〜３５０Ａとする。
【００２４】アーク電圧も溶接電流同様にアーク安定性
および溶接作業性を重視した結果、２５〜３５Ｖとする
ことが好ましい。２５Ｖより低い電圧では、アーク長が
短くなりアークが不安定かつビード外観が良くない。３
５Ｖを超えるとアーク長が長くなり、アークが不安定に
なり、アーク切れの現象が生じる。よってアーク電圧を
２５〜３５Ｖとする。
および溶接作業性を重視した結果、２５〜３５Ｖとする
ことが好ましい。２５Ｖより低い電圧では、アーク長が
短くなりアークが不安定かつビード外観が良くない。３
５Ｖを超えるとアーク長が長くなり、アークが不安定に
なり、アーク切れの現象が生じる。よってアーク電圧を
２５〜３５Ｖとする。
【００２５】以下本発明の溶接ワイヤを使用するにあた
って特に好ましいシールドガスの組成について述べる。
前述したように高張力鋼用の溶接材料は、構造物の安全
性の観点から所定の耐力と衝撃靱性の保証が要求され
る。そこで耐力を向上させるためには合金元素を添加す
る。しかし、過剰添加は衝撃靱性が低下するばかりか、
耐力にも悪影響を及ぼす。ゆえに合金元素を適度に添加
するわけだが、溶接施工面からも衝撃靱性を向上させる
方法がある。それはシールドガス（Ａｒ−ＣＯ2系）の
ＣＯ2 の組成を少量にし溶接金属中のＯ源を減らすこと
により靱性の向上が図れる。そこで、本発明では、シー
ルドガスのＣＯ2 の量を５，１０，２０％とそれぞれ実
施した結果、２０％および１０％では目的の靱性が得ら
れなかった。ゆえにシールドガス組成をＡｒ−５％ＣＯ
2 にして溶接するのが好ましい。
って特に好ましいシールドガスの組成について述べる。
前述したように高張力鋼用の溶接材料は、構造物の安全
性の観点から所定の耐力と衝撃靱性の保証が要求され
る。そこで耐力を向上させるためには合金元素を添加す
る。しかし、過剰添加は衝撃靱性が低下するばかりか、
耐力にも悪影響を及ぼす。ゆえに合金元素を適度に添加
するわけだが、溶接施工面からも衝撃靱性を向上させる
方法がある。それはシールドガス（Ａｒ−ＣＯ2系）の
ＣＯ2 の組成を少量にし溶接金属中のＯ源を減らすこと
により靱性の向上が図れる。そこで、本発明では、シー
ルドガスのＣＯ2 の量を５，１０，２０％とそれぞれ実
施した結果、２０％および１０％では目的の靱性が得ら
れなかった。ゆえにシールドガス組成をＡｒ−５％ＣＯ
2 にして溶接するのが好ましい。
【００２６】
【実施例】ワイヤ径１．２ｍｍの供試ワイヤの化学組成
を表１に示す。Ａ〜Ｈは本発明ワイヤで、Ｉ〜Ｎは比較
ワイヤである。表２は溶接施工条件を示し、図１に開先
形状を示す。表３に各試験結果を示す。引張試験片（Ｊ
ＩＳＡ１号）およびＶノッチ衝撃試験片（ＪＩＳ４号）
は図２に示すように（１／２）ｔ（ｔ：板厚）から採取
した。図２において１は母材、２は溶着金属、３，４は
それぞれ引張試験、衝撃試験の試験片採集位置を示す。
またこれらの溶着金属の溶接割れを防止するため、予熱
・パス間温度を１００±１０℃で溶接した。また、溶接
後の内部欠陥を防止するため１００℃×２４ｈｒのエー
ジング処理を施した。
を表１に示す。Ａ〜Ｈは本発明ワイヤで、Ｉ〜Ｎは比較
ワイヤである。表２は溶接施工条件を示し、図１に開先
形状を示す。表３に各試験結果を示す。引張試験片（Ｊ
ＩＳＡ１号）およびＶノッチ衝撃試験片（ＪＩＳ４号）
は図２に示すように（１／２）ｔ（ｔ：板厚）から採取
した。図２において１は母材、２は溶着金属、３，４は
それぞれ引張試験、衝撃試験の試験片採集位置を示す。
またこれらの溶着金属の溶接割れを防止するため、予熱
・パス間温度を１００±１０℃で溶接した。また、溶接
後の内部欠陥を防止するため１００℃×２４ｈｒのエー
ジング処理を施した。
【００２７】
【表１】
【００２８】
【表２】
【００２９】
【表３】
【００３０】試験結果より本発明ワイヤは引張強度（１
０１１Ｎ／ｍｍ2 以上合格）、耐力（９３０Ｎ／ｍｍ2
以上合格）、衝撃靱性（５０Ｊ以上を合格）、硫化物に
よる溶接欠陥防止および溶接作業性ともに良好である。
０１１Ｎ／ｍｍ2 以上合格）、耐力（９３０Ｎ／ｍｍ2
以上合格）、衝撃靱性（５０Ｊ以上を合格）、硫化物に
よる溶接欠陥防止および溶接作業性ともに良好である。
【００３１】比較ワイヤＩはＮｂの過剰添加により耐力
が低下し、Ａｌで靱性の向上を図ったがＴｉほどの効果
は望めず、Ａｌ添加により溶接作業性が悪化した。また
Ｃａ，ＭｇおよびＡｓの総重量が０．０１％を超えたた
め硫化物による溶接欠陥が発生し、溶接作業性が悪化し
た。
が低下し、Ａｌで靱性の向上を図ったがＴｉほどの効果
は望めず、Ａｌ添加により溶接作業性が悪化した。また
Ｃａ，ＭｇおよびＡｓの総重量が０．０１％を超えたた
め硫化物による溶接欠陥が発生し、溶接作業性が悪化し
た。
【００３２】比較ワイヤＪはＶの過剰添加のため耐力お
よび衝撃靱性が低下し、Ｃａ，ＭｇおよびＡｓの総重量
が０．０１％を超えたため硫化物による溶接欠陥が発生
した。また、溶接作業性も悪化した。比較ワイヤＫは耐
力および靱性ともに良好であるが、Ｃａ，ＭｇおよびＡ
ｓの総重量が０．０１％を超えたため、硫化物による溶
接欠陥が発生し溶接作業性も悪化した。
よび衝撃靱性が低下し、Ｃａ，ＭｇおよびＡｓの総重量
が０．０１％を超えたため硫化物による溶接欠陥が発生
した。また、溶接作業性も悪化した。比較ワイヤＫは耐
力および靱性ともに良好であるが、Ｃａ，ＭｇおよびＡ
ｓの総重量が０．０１％を超えたため、硫化物による溶
接欠陥が発生し溶接作業性も悪化した。
【００３３】比較ワイヤＬは、硫化物による溶接欠陥防
止および溶接作業性は良好であるが、Ｎｂ，Ｖの過剰添
加のため耐力および衝撃靱性が低下した。比較ワイヤＭ
およびＮは耐力が良好であるが、Ｃａ，ＭｇおよびＡｓ
の総重量が０．０１％を超えたため硫化物による溶接欠
陥が発生し、溶接作業性も悪化した。また、ＰおよびＳ
の総重量が０．００７％を超えたため靱性が低下した。
止および溶接作業性は良好であるが、Ｎｂ，Ｖの過剰添
加のため耐力および衝撃靱性が低下した。比較ワイヤＭ
およびＮは耐力が良好であるが、Ｃａ，ＭｇおよびＡｓ
の総重量が０．０１％を超えたため硫化物による溶接欠
陥が発生し、溶接作業性も悪化した。また、ＰおよびＳ
の総重量が０．００７％を超えたため靱性が低下した。
【００３４】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
ワイヤは耐力および衝撃靱性に優れ、硫化物による溶接
欠陥が防止でき溶接作業性が良好である。
ワイヤは耐力および衝撃靱性に優れ、硫化物による溶接
欠陥が防止でき溶接作業性が良好である。
【図１】実施例における開先形状を示す図
【図２】試験片採集位置を示す溶接部の断面図
Claims (1)
- 【請求項１】 高張力鋼用ガスメタルアーク溶接用ワイ
ヤにおいてワイヤ全重量に対して、重量％で、 Ｃ ：０．０４〜０．０９％ Ｓｉ：０．３０〜０．６０％ Ｍｎ：１．５０〜２．５０％ Ｃｕ：０．１５〜０．３０％ Ｎｉ：１．００〜４．００％ Ｃｒ：０．４０〜０．８５％ Ｍｏ：０．４０〜０．８５％ Ｖ ：０．０１〜０．１５％ Ｎｂ：０．００１〜０．０１５％ Ｔｉ：０．０１〜０．１０％ を含有し、 Ｐ ：０．００５％以下 Ｓ ：０．００５％以下 Ａｌ：０．００７％以下 Ｎ ：０．００７％以下 Ｏ ：０．０１０％以下 に規制するとともに、さらにＰ＋Ｓ：０．００７％以
下、Ｃａ＋Ｍｇ＋Ａｓ：０．０１％以下に規制し、残部
がＦｅおよび不可避的不純物からなることを特徴とする
高張力鋼用ガスメタルアーク溶接用ワイヤ。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9413695A JPH08267273A (ja) | 1995-03-29 | 1995-03-29 | 高張力鋼用ガスメタルアーク溶接用ワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9413695A JPH08267273A (ja) | 1995-03-29 | 1995-03-29 | 高張力鋼用ガスメタルアーク溶接用ワイヤ |
Publications (1)
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| JPH08267273A true JPH08267273A (ja) | 1996-10-15 |
Family
ID=14101988
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP9413695A Ceased JPH08267273A (ja) | 1995-03-29 | 1995-03-29 | 高張力鋼用ガスメタルアーク溶接用ワイヤ |
Country Status (1)
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|---|---|
| JP (1) | JPH08267273A (ja) |
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- 1995-03-29 JP JP9413695A patent/JPH08267273A/ja not_active Ceased
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