JP4522042B2 - 高パス間温度溶接性に優れた鋼材およびその溶接継手 - Google Patents

高パス間温度溶接性に優れた鋼材およびその溶接継手 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高いパス間温度で多層溶接ができる鋼材に関する。また、その鋼材を溶接して得た溶接継手に関する。さらに詳しくは、建築分野などで用いられる極厚H形鋼のフランジ部の溶接のように、溶接部ビード長さが比較的短い溶接においても、パス間温度制限を高く設定することができて、多層溶接を能率良く行うことができる鋼材、およびその溶接継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築鉄骨構造などにおける極厚H形鋼のフランジ部の溶接のように、溶接部長さが比較的短い部位の多層溶接を行う場合には、溶接ビードが冷える前に次の溶接ビードを置くため、溶接パス間温度が高くなる。そうすると溶接部の冷却速度が遅くなるため、溶接部の機械的特性に重大な影響を与える危険性があった。従って、JIS Z 3312(1999)の解説において、溶着金属の引張強さは母材規格下限値以上、シャルピー衝撃吸収エネルギーは0℃で47J以上であることを前提として、1.5〜3kJ/mmの入熱制限と溶接パス間温度に250℃ないし350℃の上限を設けている。これは、溶接時の溶接部の温度がその上限温度より高くなった場合は、溶接作業を中断し、上限温度以下に冷却するまで待ってから溶接作業を再開しなければならないという規定である。しかしながら、このように溶接部のパス間温度を250℃ないし350℃に管理する従来の溶接方法では、良好な継手特性は確保できるものの、溶接部が冷却するまでの待ち時間が長くなり、作業効率を大幅に落とすため、溶接作業性および能率の点で問題があった。
【0003】
パス間温度が高い場合の溶接部の強度低下の問題を解決するために、鋼材や溶接材料の添加成分を多くして焼入性を上げるなどの方法が考えられる。しかし、初層の溶接は予熱せずに行う必要があるため、上記のように焼入性を上げることは初層の低温割れの可能性を大きくする。また、多層溶接部において良好な溶接部靱性を得るためにも好ましくない。添加成分を多くして焼入性を上げると、溶接部の高温割れの危険性も増し、またコスト増大になるため、実際の溶接ではこの対策は広く採用されてはいなかった。
【0004】
このような課題に対し、特開2002−1533号公報のように、ワイヤの突き出し長さを制御することで、能率を上げる工夫もある。しかし、この方法は必ずしも一般的でなく、また600℃までの高パス間溶接において、0℃でのシャルピー衝撃試験値(vE0)として70J以上を達成しようとすると鋼材やワイヤ成分についての本質的な工夫が必要になる。
【0005】
次に、パス間温度管理についての最近の学術論文について説明する。
【0006】
1)鉄構技術 2001、No.5、p.18の「溶着金属の機械的性質に及ぼす溶接入熱・パス間温度の影響(上)」では、溶接金属の特性について詳しく記述されている。しかし、鋼構造物としては、母材、溶接金属部、溶接熱影響部のすべてを含めた総合的な性能が要求される。上記の報告には母材と熱影響部を含めた対策は開示されていない。また、パス間温度についてもせいぜい450℃ないし490℃までしか想定されていない。溶接入熱についても、4kJ/mmまでであり、本発明で想定するように高い温度までに及ぶパス間温度、広い溶接入熱範囲を想定した技術の開示もない。さらに付け加えれば、シャルピー衝撃試験特性は、非常にバラツキの大きい特性であり、そのバラツキの中にたまたま現れた良い値だけを実際の大規模工事に適用できるのものではない。実際の工事では安定性を裏付ける技術思想の説明が求められる場合が多い。
【0007】
2)鉄構技術、2001、No.8、p.24の「建築鉄骨における溶接施工管理…パス間温度管理ツールの比較評価」では、250℃ないし350℃のパス間温度管理するツールを紹介しており、現実にはこの温度が広く採用されていることを示している。
【0008】
3)鉄構技術、2002、No.5、p.28の「多層盛溶接金属の靭性支配要因について…入熱・パス間温度規定の冶金的考察」では、溶接金属の特性について冶金的検討を加えている。しかし、鋼構造物として母材、溶接金属部および溶接熱影響部の全体を含めた総合的特性として要求される性能をどのようにして達成するかという点については開示されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、溶接部長さが短く、溶接パス間温度の上昇に起因する溶接部の機械的特性の劣化が起こりやすい条件で多層溶接を行う場合、パス間温度制限を従来よりも高く、例えば600℃に設定できれば、多層溶接を能率良く行うことができる。
【0010】
本発明の第1の目的は、パス間温度を高して多層溶接を行っても溶接部の機械的特性が損なわれない鋼材を提供することにある。
【0011】
本発明の第2の目的は、上記の鋼材を母材とし、適正な化学組成の溶接ワイヤーを用いて作製した機械的性質の優れた溶接継手を提供することにある。なお、本発明では溶接入熱として1.5〜7.5 kJ/mmの範囲を想定している。これは、実用的な溶接条件がほぼこの範囲に納まるからであるが、本発明によれば、実際には7.5 kJ/mmを超える溶接入熱においても良好な継手特性が得られる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述のように、従来の技術においては、250℃ないし350℃のパス間温度に管理することにより、溶接金属の特性や溶接継手の特性を満足させようとしている。冶金的な研究はあるものの、溶接継手全体として420℃を超えるような高パス間温度の溶接まで想定した溶接によって、高能率な溶接施工を可能にする技術は知られていない。また、それに適した鋼材も知られていない。本発明は、このような従来技術の不備を解消するものである。
【0013】
本発明の要旨は、下記(1)〜()の鋼材、および()の溶接継手にある。以下、成分含有量に関する%は「質量%」を意味する。
(1)C:0.05〜0.20%、Si:0.001〜0.55%、Mn:0.8〜1.6%、Ti:0.005〜0.035%、sol.Al:0.001〜0.060%、N:0.0005〜0.010%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物のPが0.025%以下、Sが0.010%以下、O(酸素)が0.0050%以下であり、下記(1)式のfHAZが0.518%以下、下記(2)-1式のCeq'が0.30〜0.45%、下記(3)-1式のPcm'が0.10〜0.29%で、かつ、JIS G0555(1998)の「鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法」の表1の点算法による顕微鏡試験方法によって測定された鋼の清浄度が下記のとおりである鋼材。
dA60×400で、0.040%以下
dB60×400で、0.030%以下
dC60×400で、0.030%以下
fHAZ=C+(Mn/8)+6P+6S+12N−4Ti ・・・(1)
Ceq'=C+(Si/24)+(Mn/6) ・・・(2)-1
Pcm'=C+(Si/30)+(Mn/20) ・・・(3)-1
但し、各式中の元素記号はその元素の含有量(質量%)を意味する。
【0014】
(2)質量%で、C:0.05〜0.20%、Si:0.001〜0.55%、Mn:0.8〜1.6%、Ti:0.005〜0.035%、sol.Al:0.001〜0.060%、N:0.0005〜0.010%、ならびにCu:0.05〜0.6%、Ni:0.05〜1.0%、Cr:0.05〜0.5%、Mo:0.02〜0.5%、V:0.01〜0.10%、Nb:0.005〜0.06%およびB:0.0005〜0.0030%の中の少なくとも1種を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物のPが0.025%以下、Sが0.010%以下、O(酸素)が0.0050%以下であり、下記(1)式のfHAZが0.518%以下、下記(2)-2式のCeqが0.30〜0.45%、下記(3)-2式のPcmが0.10〜0.29%で、かつ、JIS G0555(1998)の「鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法」の表1の点算法による顕微鏡試験方法によって測定された鋼の清浄度が下記のとおりである、パス間温度として600℃まで許容できる多層溶接用鋼材。
dA60×400で、0.040%以下
dB60×400で、0.030%以下
dC60×400で、0.030%以下
fHAZ=C+(Mn/8)+6P+6S+12N−4Ti ・・・(1)
Ceq=C+(Si/24)+(Mn/6)+(Ni/40)+(Cr/5)+(Mo/4)+(V/14)・・・(2)-2
Pcm=C+(Si/30)+{(Mn+Cu+Cr)/20}+(Ni/60)+(Mo/15)+(V/10)+5B
・・(3)-2
但し、各式中の元素記号はその元素の含有量(質量%)を意味する。
【0015】
)質量%で、C:0.05〜0.20%、Si:0.001〜0.55%、Mn:0.8〜1.6%、Ti:0.005〜0.035%、sol.Al:0.001〜0.060%、N:0.0005〜0.010%、ならびにCu:0.05〜0.6%、Ni:0.05〜1.0%、Cr:0.05〜0.5%、Mo:0.02〜0.5%、V:0.01〜0.10%、Nb:0.005〜0.06%およびB:0.0005〜0.0030%の中の少なくとも1種とCa:0.0007〜0.0050%およびMg:0.0007〜0.0050%の中の1種または2種を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物のPが0.025%以下、Sが0.010%以下、O(酸素)が0.0050%以下であり、下記(1)式のfHAZが0.518%以下、下記(2)-2式のCeqが0.30〜0.45%、下記(3)-2式のPcmが0.10〜0.29%で、かつ、JIS G0555(1998)の「鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法」の表1の点算法による顕微鏡試験方法によって測定された鋼の清浄度が下記のとおりである、パス間温度として600℃まで許容できる多層溶接用鋼材。
dA60×400で、0.040%以下
dB60×400で、0.030%以下
dC60×400で、0.030%以下
fHAZ=C+(Mn/8)+6P+6S+12N−4Ti ・・・(1)
Ceq=C+(Si/24)+(Mn/6)+(Ni/40)+(Cr/5)+(Mo/4)+(V/14)・・・(2)-2
Pcm=C+(Si/30)+{(Mn+Cu+Cr)/20}+(Ni/60)+(Mo/15)+(V/10)+5B
・・・(3)-2
但し、各式中の元素記号はその元素の含有量(質量%)を意味する。
【0016】
上記(1)〜()の鋼材には、厚鋼板、熱延切り板、H形鋼、鋼管などが含まれる。
)上記(1)〜()の鋼材を母材とし、質量%で、C:0.03〜0.13%、Si:0.60〜1.10%、Mn:1.60〜2.60%、但し、Si/Mn≦0.55、P:0.015%以下、S:0.015%以下、Cu:0.50%以下、Mo:0.10〜0.40%、sol.Al:0.10%以下、Ti+Zr:0.10〜0.30%、Nb:0.050%以下、B:0.001〜0.012%、残部Feおよび不純物からなるワイヤを使用してガスシールドアーク溶接法による多層溶接で作製した溶接継手。この溶接継手は、靭性に優れ、0℃でのシャルピー衝撃試験値vEが 70J以上に達する。
【0017】
上記の溶接継手を得る溶接においては、パス間温度として600℃まで許容できる。少なくとも1パスのパス間温度が420℃を超える溶接条件であっても、優れた機械的性質の継手が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
初めに、本発明の基礎となった技術思想について述べる。
【0019】
溶接部の継手特性を決定する要因は、主に三つある。第一には鋼材、第二には溶接材料、第三には溶接条件等によって決定される溶接時の熱履歴である。従って、継手特性を改善するためには、鋼材および溶接材料の成分設計を適切に行う方法と、溶接時の熱履歴を適切に設定する方法とが考えられる。
【0020】
後者の溶接時の熱履歴を適切に管理する方法については、既に述べたように、従来は JIS Z3312(1999)の解説の溶接基準に従って溶接時の溶接入熱量およびパス間温度に制限を設け、パス間温度が250ないし350℃の所定管理値になった場合には溶接作業を中断して溶接部を冷却していたため、溶接作業効率の点で問題があった。
【0021】
さらに、特開2002−1533号公報で提案されるように、ワイヤの突き出し長さを制御することで能率を上げる工夫もあるが、必ずしも一般的でなく、また600℃までの高パス間溶接において0℃でのシャルピー衝撃試験値vEとして 70J以上を達成しようとすると鋼材やワイヤ成分についての本質的な工夫が必要になる。
【0022】
本発明者らは、上記従来法の問題点を解決するために、溶接作業を中断せずに優れた溶接継手特性を維持できる溶接作業効率の高い多層盛り溶接技術を探求した。
【0023】
一般に、パス間温度は、各溶接ビードの溶接入熱量のみならず、溶接パス数にも依存するが、250ないし350℃を上限とする規制では溶接能率の低下が著しい。これを、600℃まで緩和できれば、殆どの溶接で冷却待ちをせずに溶接を継続でき、溶接能率の向上に大きな効果がある。本発明者らは、この点に着目し、鋼材および溶接材料を調整することにより溶接部の強度、靱性等の機械的特性に優れた多層盛り溶接方法について詳細に検討した。
【0024】
その結果、鋼材の成分を適切に選択することにより、パス間温度を600℃まで緩和しても溶接熱影響部の特性を良好に保つことができた。また、この鋼材と組み合わせる溶接ワイヤーについても検討し、それを用いて作製した溶接部特性に優れた溶接継手を見出した。
【0025】
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、従来法のようにパス間温度を低くするために溶接作業を中断する必要はなく、あるいはごく短時間の中断で、溶接部の機械的特性および溶接効率に優れた連続多層溶接の技術に関するものである。本発明によれば、先に掲げた特開2002−1533号公報で提案されるような溶接ワイヤの突き出し長の特殊な制御も不要である。
【0026】
以下に、本発明の鋼材および溶接継手について順次説明する。
【0027】
1.本発明の鋼材について
広い入熱範囲で高パス間温度での溶接においては、その溶接により鋼材に加えられる溶接熱履歴は、低パス間温度での溶接による熱履歴よりも実質的に大入熱溶接の熱履歴となる。即ち、高温にさらされ、熱影響部の組織が粗大化する領域が広がる。また、冷却速度が遅くなり、これら両者の影響で靱性が劣化する。さらに、高パス間温度での多層溶接の特徴として、高パス間温度溶接の多重熱サイクルにより、溶接熱影響部の組織粗大化と軟化が生じる。従って、鋼材の成分としては、従来の大入熱対策技術に加え、高パス間温度の多重熱サイクルへの対策という観点から成分を規定する必要がある。以下、成分の限定理由について述べる。
【0028】
C:0.05〜0.20%
Cは強度を確保する上で必要な元素である。その含有量が0.05%未満であると、必要な強度が得られない。好ましい下限は0.06%である。一方、0.20%を超えると素材および溶接継手部の靱性が劣化するので、上限は0.20%とした。好ましい上限は0.18%である。
【0029】
Si:0.001〜0.55%
Siは、鋼の溶製時に脱酸剤として作用するとともに強度の向上にも有効である。一方、0.55%を超えると島状マルテンサイトの生成が促進され溶接熱影響部靱性の劣化をもたらすので、その上限は0.55%とした。好ましい上限は0.35%である。他の元素で代用する場合は、積極的に添加する必要はないが、鋼中不純物として検出される下限として、0.001%と規定した。好ましい下限は0.05%である。
【0030】
Mn:0.8〜1.6%
Mnは脱酸剤として、または素材の強度と靱性を向上させるのに有効である。鋼材の強度を確保するには0.8%以上のMn含有量が必要である。一方、1.6%を超えると連続鋳造における中心偏析部のMn偏析が顕著になり鋼材靭性の劣化が生じるので上限は1.6%とした。好ましくは、下限0.9%である。好ましくは、上限1.5%である。
【0031】
Ti:0.005〜0.035%
Tiは、微細な窒化物(TiN)を形成することによって溶接熱影響部のオーステナイト粒の粗大化を防止し、靱性を向上させるのに有効である。0.005%未満では、その効果が少ない。一方、0.035%を超えるとTiNが粗大化し、かえって靱性が低下する。好ましい上限は0.025%である。
【0032】
sol.Al:0.001〜0.060%
Alは、脱酸材として効果があり、sol.Alとして鋼中に0.001%以上存在するよう添加することが、連続鋳造を健全に行う上で有効である。一方、過剰に含有させられた場合、Al系酸化物を形成するため、過剰な添加は行ってはならない。そのため、0.060%を上限とする。本発明においてはTiも添加され、これが脱酸剤としても作用するから、sol.Alの上限を0.015%としてもよい。
【0033】
N:0.0005〜0.010%
Nは多量に存在する場合、母材、溶接熱影響部共に靱性を悪化させる。通常は、鋼にTiを添加してTiNの形で固定して無害化しているが、Nが0.010%を超えて鋼中に存在する場合は、溶接熱影響部の靭性劣化を招く。このため、Nは0.010%を上限とする。より好ましい上限は0.0080%である。また、Nを0.0005%未満にまで低減することは、実際の生産の上では非常に難しく、経済性の観点からこの値を下限値とする。
【0034】
第1群成分のCu、Ni、Cr、Mo、V、NbおよびBは、いずれも鋼板の強度向上に寄与する。これらは、必要に応じて1種または2種以上含有させることができる。それぞれの作用効果は次のとおりである。
Cu:0.05〜0.6%
Cuは強度上昇に有効な元素であるが、0.6%を超えると溶接性を劣化させるため、これを上限とした。より好ましい上限は0.45%である。他の元素で代用する場合は、積極的に添加する必要はない。0.05%未満ではその効果が小さいので、0.05%を下限とした。
【0035】
Ni:0.05〜1.0%
Niは強度向上に加えて靱性の向上に有効な元素である。しかし、1.0%を超えると経済性を損なう。経済面からより好ましい上限は0.8%である。0.05%未満では、その効果が小さい。なお、他の元素で代用する場合は、積極的に添加する必要はない。
【0036】
Cr:0.05〜0.5%
Crは強度上昇に有効な元素であるが、0.5%を超えると溶接性を劣化させる。より好ましい上限は0.2%である。0.05%未満では効果が小さいので、0.05%を下限とした。Crも他の元素で代用できる場合は、積極的に添加する必要はない。
【0037】
Mo:0.02〜0.5%
Moは、焼入れ性の向上とオーステナイトの再結晶抑制の効果を通して制御圧延の効果を増大させることによって、強度を上昇させるのに有効である。しかし、0.5%を超えると靱性の劣化をもたらすため、上限は0.5%とした。より好ましい上限は0.2%である。0.02%未満ではその効果が小さい。他の元素で代用する場合は、Moは積極的に添加する必要はない。
【0038】
V:0.01〜0.10%
Vは、焼入れ性の向上と微細な炭窒化物を形成し、強度を上昇させる効果を有する。しかし、0.10%を超えると脆化の弊害の方が大きくなるため、0.10%を上限とした。好ましい上限は0.08%である。0.01%未満では効果が小さい。
【0039】
Nb:0.005〜0.06%
Nbは、微細な炭窒化物を形成し、強度を上昇させる効果を有する。しかし、0.06%を超えると脆化の弊害の方が大きくなるため、上限は0.06%とした。より好ましい上限は0.045%である。0.005%未満ではその効果が小さい。
【0040】
B:0.0005〜0.0030%
Bは、微量でもオーステナイト粒界からのフェライト生成を抑制し、母材強度を高めるために有効な元素である。しかし、溶接熱影響部では、靱性の低い硬化組織を形成するため、通常、溶接熱影響部の靱性確保の観点からは好まれない。
【0041】
しかしながら、前記のように本発明の鋼材中にはTiNが分散しており、これが、Bの有無に関わらず、溶接熱影響部のオーステナイト粒粗大化抑制因子として機能する。このため、Bの添加が容認される。そして、その含有量が0.0030%を超えなければ、溶接熱影響部の靱性は、たとえ劣化したとしても、許容できるレベルに留まる。
【0042】
また、Bは、オーステナイト粒界からのフェライト生成を抑制し、溶接熱影響部の鋼中にTiNを形成する以外のフリーNが存在している場合は、BNの形成により粒内析出のフェライト量を増して組織を微細化するため、微量であれば溶接熱影響部の靱性を改善する効果がある。さらに、600℃までというような高いパス間温度で溶接を行う場合、溶接熱影響部の冷却速度は遅くなり焼きが入らなくなるため、溶接熱影響部の強度が低下し、継手強度を確保できなくなる。溶接熱影響部の焼入れ性を高めるBは、溶接熱影響部の強度低下を防ぐことに効果がある。
【0043】
以上のような理由により、本発明では、B含有量の上限を0.0030%とした。より好ましい上限は0.0020%である。一方、0.0005%未満では上記の効果が小さい。なお、Bも他の元素で代用できる場合は、積極的に添加する必要はない。
【0044】
第2群成分のCaとMgは、鋼の清浄度を向上させる元素である。この効果を得ようとする場合には一方または両方を含有させることができる。
【0045】
Ca:0.0007〜0.0050%
Caは、強力な脱酸元素でもあり、Sと結合しCaSを形成することにより脱Sにも有効である。MnよりもSとの結合力が強いためにMnSの形成を防ぎ、鋼の清浄度を上げる効果がある。但し、Caの過剰添加はかえって鋼の清浄度を悪化させ、コストも増加するので、0.0050%を上限とした。0.0007%未満では、その効果が小さいので、これを下限とした。
【0046】
Mg:0.0007〜0.0050%
Mgも、強力な脱酸元素でもある。鋼中のO(酸素)と結合しMg系酸化物を形成する。Mg系酸化物は、必ずしもMgとOのみからなる酸化物ではなく、同時に添加されるAl、Caなどと複合した複雑な酸化物を含む場合もある。また、Oの一部がSによって置換された複合Mg系硫酸化物を形成する場合もある。これら、Mg系酸化物ないし複合Mg系硫酸化物は、溶接熱で高温に加熱される鋼の熱影響部において、安定な粒子として存在することで溶接熱影響部の結晶粒の粗大化を防止し、熱影響部組織を細粒化して熱影響部の靭性を向上させる効果がある。他方、Mgの過剰添加はかえって鋼の清浄度を悪化させ、コストも増加するので、0.0050%を上限とした。0.0007%未満では上記の効果が小さい。
【0047】
本発明鋼材の不純物としては、特にP、SおよびO(酸素)の含有量を下記のように低減することが重要である。
【0048】
P:0.030%以下
Pは不可避的不純物であるが、中心偏析を助長するなど鋼材靭性を劣化させるため、本発明においては0.030%を許容上限とする。望ましいのは0.018%以下である。
【0049】
S:0.010%以下
Sも不可避的不純物であり、多量に存在する場合、溶接割れの原因となり、MnS等の溶接部の拡散性水素による割れの起点となり得る介在物を形成するため、0.010%以下に抑えるべきである。望ましいのは0.008%以下である。
【0050】
O(酸素):0.0050%以下
鋼中にOが多量に存在すると、鋼の清浄度を劣化させ、高靭性の鋼を得ることができない。従って、Oはできるだけ少ない方がよい。0.0050%は許容上限であり、より好ましいのは0.0030%以下である。
【0051】
次に、fHAZ、Ceq'、Ceq、Pcm'およびPcmについて述べる。
【0052】
fHAZ:0.518%以下
fHAZは、前記の(1)式で定義される指数である。(1)式自体は「鋼構造論文集」No.8、Vol.32(2001)p.17−31によって公知である。本発明者らは600℃までの高パス間温度溶接の解析に(1)式を適用し、図1に示すようなVノッチシャルピー衝撃試験の最低値の包絡線(図中に示す曲線)を得た。この包絡線は下記の式(a)で表される。
【0053】
vE0=300/{exp(8fHAZ−2.96)+1} ・・・(a)
ここに、関数expは、よく知られた指数関数を表し、exp(x)はeのx乗を表す。また、eは自然対数の底であり、e=2.718・・・である。vE0は、溶接熱影響部におけるVノッチシャルピー衝撃試験の0℃での吸収エネルギー(単位:J)で表したものである。
【0054】
式(a)から、600℃までの高パス間温度溶接のVノッチシャルピー衝撃試験の0℃における吸収エネルギーの予想下限値が得られる。即ち、実際の継手での値は、式(a)で得られる値より大きいと期待される。
【0055】
表1に、幾つかの鋼板の組成から(1)式によって算出したfHAZの値と、その値を用いて(a)式から計算したvE0の値を示す。この表1に示すように、vE0=70Jとなる臨界値がfHAZ=0.518%であり、vE0=100Jとなる臨界値がfHAZ=0.456%である。それぞれfHAZの値をこの臨界値以下にすることにより、高いvE0を得ることができる。そこで、fHAZの上限を0.518%とした。なお、fHAZを0.456%以下とすれば、100J以上のvE0を得ることができるので、fHAZを0.456%以下とするのが一層好ましい。
【0056】
【表1】
Figure 0004522042
【0057】
Ceq'またはCeq:0.30〜0.45%
Ceq'およびCeqは、それぞれ前記の(2)-1式および(2)-2式で定義される。なお、CeqはJIS G 3136に規定されている「炭素当量」の式と同じである。Ceq'またはCeqが0.30%を下回ると600℃までの高パス間温度溶接において、溶接熱影響部の強度低下が大きいため下限を0.30%とした。また、0.45%を超えると溶接性が悪くなるため、0.45%を上限とした。なお、Ceq'は、本発明(1)の鋼板に適用されるものであり、式(2)-1にはCu,Ni,Cr,MoおよびVが含まれていない。これらの元素は、本発明(1)の鋼材には添加されない元素だからである。
【0058】
Pcm'またはPcm:0.10〜0.29%
Pcm'およびPcmは、それぞれ前記(3)-1式および(3)-2式で定義される。なお、Pcmの定義式は、JIS G 3136に規定されている「溶接割れ感受性組成」の式と同じである。 Pcm'またはPcmが、0.10%を下回ると600℃までの高パス間温度溶接において、溶接熱影響部の強度低下が大きいため、下限を0.10%とした。また、0.29%を超えると溶接性が悪くなるため、0.29%を上限とした。
【0059】
Pcm'は本発明(1)鋼板に適用されるものであり、その定義式(3)-1にはCu,Ni,Cr,MoおよびVが含まれていない。これらの元素は、本発明(1)鋼材には添加されない元素だからである。
【0060】
鋼の非金属介在物について:
非金属介在物に関して使用する記号dA60、dB60およびdC60は、JIS G 0555(1998)「鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法」の表1の点算法による顕微鏡試験方法によって測定された鋼の清浄度を表し、その「5.6 表示」に例示されているとおりである。鋼の非金属介在物の低減は、鋼のシャルピー衝撃試験において高い吸収エネルギーを得るために有効な手段である。
【0061】
dA60×400:0.040%以下
これは、A系介在物について、測定視野数が60、倍率が400倍で、清浄度が0.040%以下であることを表す。A系介在物は、主に圧延によって伸延した介在物であり、MnSが主体である。このA系介在物は、鋼の圧延によって伸延するため、圧延方向に直角に試験片を採取した場合の鋼の靭性を大きく劣化させ、溶接熱影響部の靭性をも同様に劣化させる傾向がある。また、溶接金属部から拡散して来る水素のトラップサイトとして作用し、伸延したA系介在物の応力集中効果によって溶接欠陥を生ずる。したがって、A系介在物の存在は厳しく制限する必要があり、0.040%以下とした。さらに好ましいのは0.030%以下である。
【0062】
dB60×400:0.030%以下
dB60×400は、B系介在物に関する先のdA60×400と同じくJISによって定義されるものである。B系介在物は、主に圧延方向に集団をなして不連続に粒状の介在物が並んだもので、アルミナなどが主体である。
【0063】
B系介在物は、鋼の圧延方向に集団をなして不連続に粒状の介在物が並ぶので、A系介在物同様、圧延方向に直角に試験片を採取した場合の鋼の靭性を大きく劣化させ、溶接熱影響部の靭性をも同様に劣化させる傾向がある。
【0064】
dC60×400:0.030%以下
dC60×400は、C系介在物に関する先のdA60X400およびdB60×400と同じく、JISに規定されるものである。C系介在物は、圧延により変形をしないで不規則に分散するものをいい、酸化物系と炭窒化物系がある。Ca(O,S)やTi(N,C)などが主体である。C系介在物は、鋼中に不規則に分散するので、機械的性質への悪影響は小さい。
【0065】
鋼のシャルピー衝撃試験において、高い吸収エネルギー、例えば、vE0で 70Jないし100Jが鋼に要求された場合、鋼中介在物を低減することは、Niなどの高価な合金元素を節約する上でも有利である。また、溶接継手の場合、圧延方向に直角な方向のシャルピー衝撃試験を要求される場合があり、そのような場合には、鋼中の介在物を低減することはさらに有効である。
【0066】
当然ながら熱間圧延ままの鋼材のみならず、圧延後に焼きならしや焼入れ・焼戻しなどの熱処理を施したもの、あるいは熱間圧延後にオンラインでの水冷、あるいはそのオンライン水冷後に焼戻しを施した鋼材などにおいてもこの事情は同じである。
本発明の鋼材の圧延は通常の方法で行うことができる。鋼板の場合は、950〜1250℃に加熱して圧延を行い、圧延終了後は空冷または水冷する。なお、水冷材にはテンパー処理を施してもよい。仕上げ温度や冷却条件等は鋼板に求められる機械的性質に応じて選定すればよい。H形鋼は、ユニバーサルミルを用いて圧延する。スラブ加熱温度は、例えば1270℃である。圧延終了後の冷却等も鋼板に準じて行えばよい。なお、建築用鋼材としては490MPa以上の引張強度の鋼材としての適用を想定しているが、本発明の鋼材ではこの強度が確保できる。
【0067】
2.本発明の溶接継手について
次に本発明の溶接継手について説明する。この継手は、前記(1)または(2)の鋼板を特定組成の溶接ワイヤーを使用してガスシールドアーク溶接法で作製するものである。
【0068】
まず、溶接ワイヤーの組成の限定理由について述べる。
【0069】
C:0.03〜0.13%
Cは、溶接金属の強度を確保する上で必要な元素である。その含有量が0.03%未満であると、溶接金属の必要な強度が得られない。より好ましい含有量は0.05%以上である。一方、0.13%を超えると溶接金属部の靱性が劣化するので上限は0.13%とした。好ましい上限は0.10%である。
Si:0.60〜1.10%
Siは溶接性を確保するために重要な添加元素である。溶接時に溶接金属の脱酸剤として、炭素の酸化を防止するとともに溶接スラグを形成し、溶接金属を溶接雰囲気に含まれる酸素から遮断し、過剰な酸化を防止する作用がある。また、脱酸により消耗する以外のSiは、溶接金属中に合金元素として止まり、溶接金属の強度の向上に有効に作用する。これらの効果を得るために、その下限は0.60%とする。好ましい含有量は0.80%以上である。一方、1.10%を超えると溶接金属部の靱性劣化をもたらすので、その上限は1.10%とした。
Mn:1.60〜2.60%
Mnも、Siと同様に溶接性を確保するために重要な元素である。溶接時にSiと同様に溶接金属の脱酸剤として炭素の酸化を防止するとともに溶接スラグを形成し、溶接金属を溶接雰囲気に含まれる酸素から遮断し、過剰な酸化を防止する作用がある。また、脱酸により消耗する以外のMnは、溶接金属中に合金元素として止まり、溶接金属の強度の向上に有効に寄与する。これらの効果を得るために、その下限は1.60%とする。好ましいのは2.10%以上である。一方、2.60%を超えると溶接金属部靱性の劣化をもたらすので、その上限は2.60%とした。より好ましい上限は2.50%である。
【0070】
Si/Mn≦0.55
「Si/Mn」の比を適正な値にすることは、良好な溶接金属特性を得るために最も重要である。高いパス間温度の条件下で、高強度でかつ靭性に優れた溶接金属を確保するためには、高いパス間温度の作用によって溶接金属の強度が低下しないようにするとともに、粗大なフェライトが出ていないミクロ組織とすることが必要である。この効果を得るためには、SiとMnの含有量をそれぞれ前記のようにコントロールし、かつ「Si/Mn」比を小さくすることが必要である。それによって、溶接金属の強度の低下と靭性の劣化を防ぐことができる。このため、「Si/Mn」の値を0.55以下とした。より好ましいのは0.53以下である。
【0071】
Cu:0.50%以下
Cuは、溶接金属の強度上昇に有効であるから、必要に応じて添加してもよい。強度上昇の効果を期待するばあいは、含有量を0.1%以上とするのがよい。ただし、Cuの含有量が0.50%を超えると高温割れが起こるため、0.50%を上限とした。より好ましいのは0.40%以下である。なお、ワイヤには銅メッキが施されることが多いが、その場合はメッキのCu分も含めてワイヤのCu含有量とする。
【0072】
Mo:0.10〜0.40%
Moは、Bとの相互作用により焼入れ性の向上とオーステナイトの再結晶抑制の効果を通して溶接金属の組織を改善することによって、強度および靭性を上昇させるのに有効である。0.10%未満では効果が少ない。より好ましい下限は0.15%である。一方、0.40%を超えると靱性の劣化をもたらす。より好ましい上限は0.30%である。
【0073】
sol.Al:0.10%以下
Alは、溶接金属の脱酸材として効果があるので必要に応じて含有させてもよい。この効果を期待する場合にはsol.Alとして0.005%以上の含有量とするのがよい。しかし、その含有量が過剰になると、Al系酸化物を形成する。従って、含有量の上限は0.10%とする。より好ましいのは0.050%以下である。
Ti+Zr:0.10〜0.30%
Tiは、強力な脱酸元素として作用し、溶接金属中にTi系酸化物を生成し、これがフェライト生成核として作用することで微細なフェライト組織を形成する。さらに、Ti系窒化物をも形成することによって溶接金属中のフリーNを減少させ、Bの溶接金属に対する焼入れ性を向上させる相乗効果がある。この効果を得るには0.10%以上とする必要がある。好ましいのは、0.18%以上である。一方、0.30%を超えると溶接金属中にTiが過剰に含有され、かえって靱性が低下する。Ti含有量のより好ましい上限は0.25%である。
【0074】
Zrは、周期律表においてTiと同族の元素であり、Tiと同様の作用を有するのでTiの一部または全部をZrで置換することができる。従って、Ti+Zrの含有量で0.10〜0.30%とすればよい。Ti+Zrのより好ましい上限も0.25%である。
Nb:0.050%以下
Nbは、微細な炭窒化物を形成し、溶接金属のフェライト粒の粗大化を防止する効果を有するので必要に応じて添加することができる。他の合金元素により、Nb添加の効果を代用できるが、Nbを添加することで他の合金元素を低減することは、経済面で有利である。添加する場合、0.003%未満の含有量では効果が小さいので0.003%以上とするのが望ましい。一方、0.050%を超えると脆化の弊害の方が大きくなる。より好ましい上限は0.020%である。
【0075】
B:0.001〜0.013%
Bは、微量でもオーステナイト粒界からのフェライト生成を抑制し、溶接金属の強度を高めるためには有効な所望添加元素であるが、溶接金属部ではMoおよびTiとの相互作用によって、焼き入れ性を高め、強度・靭性とも良好な組織を生成する。0.001%未満ではその効果が少ない。より好ましい下限は0.0030%である。一方、0.013%を超えると過剰添加になり、溶接金属に高温割れを生じる。より好ましい上限は0.012%である。
【0076】
溶接ワイヤの不純物の中でPとSは下記のように規制する必要がある。
【0077】
P:0.015%以下
Pは、不可避的不純物であり、溶接金属の高温割れを助長し溶接性を劣化させる。また、溶接金属部の靭性をも劣化させるのでできるだけ少ない方がよい。0.015%は許容上限値である。好ましいのは、0.012%以下である。
S:0.015%以下
Sも、Pと同様に不可避的不純物であり、溶接金属の高温割れを助長し溶接性を劣化させる。また、溶接金属部の靭性をも劣化させる。従って、Sの含有量はできるだけ少ない方がよい。0.015%は許容上限値である。より好ましいのは0.012%以下である。
【0078】
本発明のワイヤはソリッドワイヤでも複合ワイヤ(フラックス入りワイヤとも呼ばれる)でもよい。ソリッドワイヤとは鋼線そのものよりなるワイヤをいう。複合ワイヤとは、薄い鋼帯(フープ材)を管状に成形しその中に合金元素やアーク安定剤などのフラックス成分(溶接スラグ形成剤)を含有させたものをいう。それぞれ一長一短あり、実際の溶接施工では適宜使い分けられているため、本発明では両者を含めて溶接ワイヤと定義することとした。
【0079】
ソリッドワイヤにおいては、ワイヤの素材になる条鋼の組成が前述の組成になるように製綱段階において成分調整することになる。なお、前記のとおり、ワイヤには銅メッキを施す場合があり、このときメッキのCu分が添加元素として働くことになる。
【0080】
一方、複合ワイヤの場合は、フープ材とそのフープ材により形成された管状体の内部に含まれる合金元素(通常は合金粉末)との合計が、前述のワイヤ組成になるように成分調整を行う。
【0081】
次に溶接方法について述べる。
【0082】
本発明の継手を作製するときの溶接法は、ガスシールドアーク溶接である。この溶接法は、通常、100%炭酸ガスのシールドガスを用いて行われることが多いが、100%炭酸ガスでなく、アルゴンなど不活性ガスの一部を炭酸ガスで置換したシールドガスを用いる場合もある。また、これらのシールドガスを用いる溶接においては、ソリッドワイヤーだけでなく、複合ワイヤーを用いる場合がある。複合ワイヤー中にルチール(TiO)などのフラックスを含有させることで、溶接アークを安定させ、溶接能率向上と溶接欠陥率の減少を図る場合がある。また、フラックス中にCaCOのように溶接アークの熱で、炭酸ガスを発生させ、シールドガスなしの大気中でも炭酸ガスシールドと同等の効果を発揮させる複合ワイヤーもある。これらの組合せは種々あるが、いずれを採用するかは施工条件に依存する。
【0083】
通常、複合ワイヤーは、フープ材を除いた重量比で鉄粉と合金粉の混合物が40%以上、ルチール(TiO)を5%以上を含むことを特徴とするが、その残部としては、目的とする溶接に応じ、他のフラックス成分、例えばSiOなどを含有させることができる。また、鉄粉と合金粉の混合割合は、目的とする溶接に応じて決めることができ、鉄粉に含まれる成分によっては合金粉をゼロとすることもできる。逆に、合金粉に鉄成分を含有させることにより全て合金粉とすることも可能である。
【0084】
本発明の溶接継手は、0℃でのシャルピー衝撃値(vE0)が 70J以上という優れた靱性を有し得る。0℃は、我が国における冬季の代表的な寒冷期温度であり、JIS G 3136「建築構造用圧延鋼材」においても、シャルピー衝撃試験の温度として規定されているため、本発明でもこの温度での評価を採用した。阪神大震災の教訓から、従来のJIS G 3136「建築構造用圧延鋼材」に規定されている 27J や従来のJIS G 3106「溶接構造用圧延鋼材」のC級鋼に規定されている 47J の評価では不十分であるとされているので、70J以上というのは、靱性の基準としてきわめて高く評価できるものである。後述の実施例に示すように、本発明の継手では100J以上のvE0も達成可能である。
【0085】
なお、鋼材のシャルピー衝撃試験は、JIS G 3106 (1999)「溶接構造用圧延鋼材」の規定に準じて行う。例えば鋼板の場合、試験片の中心は板表面から厚さ1/4、かつ幅の縁から1/4の位置になるようにL方向に採取する。
【0086】
本発明の鋼材は、パス間温度が600℃であっても支障無く溶接できる。実際の溶接施工において、600℃のパス間温度であれば、殆ど冷却待ちの時間を必要としない。万一、冷却待ちが必要になっても、600℃までの冷却は早いので、冷却待ちの時間は短く、溶接能率を高く維持できる。このため、パス間温度の上限を600℃にできるということの持つ意義はきわめて大きい。
【0087】
パス間温度は一定ではなく、変動するものである。通常、極厚短溶接長の場合、溶接スタート時点ではパス間温度は低く、最終パスに近づくにつれて温度が上がる(図3参照)。そして、最終パス近く600℃近くの高パス間温度になったとしても本発明の鋼材であれば、健全な溶接部を持つ溶接継手が得られるのである。なお、パス間温度が600℃を超えれば直ちに溶接継手の性能が落ちるわけではなく、600℃を超えても良好な特性が得られる場合もある。言うまでもなく、1パス以上の溶接がパス間温度が420℃を超える条件の多層溶接施工であっても、良好な継手特性が得られる。
【0088】
なお、パス間温度の測定は、図2に示すように、溶接線1の中央の開先から10mmの位置2の温度履歴を熱電対で測定して行った。測定例を図3に示す。実際の現場の溶接管理では、温度チョークなどを用いて行ってもよい。
【0089】
【実施例】
I.鋼材について
表2および表3に示す厚鋼板(記号A1〜A14)、ならびに表4および表5に示すH形鋼(記号H1〜H5)を準備した。製造条件は下記のとおりである。
【0090】
1.溶製および連続鋳造
溶製に際しては鋼中のSを極力低減させるためにトーピードでの脱硫および製鋼段階での脱硫を行った。また、連続鋳造の鋳込み速度を10m/分以下とし、かつ連続鋳造における非金属介在物浮上時間として3分以上を確保した。非金属介在物浮上時間とは、タンディッシュおよびモールド内において非金属介在物が溶鋼表面に浮上しスラグアウトするのに要する時間である。このようにして鋼の清浄度を高めた。
【0091】
2.厚鋼板およびH形鋼の製造条件
厚鋼板およびH形鋼の製造条件を表6に示す。なお、圧延前のスラブ加熱温度は、厚鋼板の場合は1120℃、H形鋼の場合は1270℃とした。表7にH形鋼のサイズを示す。H形鋼のサイズで、例えば H918×303×19/37というのは、H(ウェブ高)が918mm、フランジ幅が303mm、「ウェブ厚/フランジ厚」が19/37(mm)であることを示す。なお、表4に示した「鋼材厚さ」はフランジの厚さである。
【0092】
【表2】
Figure 0004522042
【0093】
【表3】
Figure 0004522042
【0094】
【表4】
Figure 0004522042
【0095】
【表5】
Figure 0004522042
【0096】
【表6】
Figure 0004522042
【0097】
【表7】
Figure 0004522042
【0098】
3.試験方法
溶接金属の試験は、JIS Z 3111(1986)「溶着金属の引張及び衝撃試験方法」に準じて行った。また、溶接継手の試験は、JIS Z3040(1995)「溶接施工方法の確認試験方法」に準じて行った。図4に溶接の開先形状を示す。
【0099】
4.試験結果
表3および表5に厚板およびH形鋼の母材特性と溶接部特性(FL…溶融線、およびFLから1mm母材側のHAZのvE0)を示す。なお、使用した溶接ワイヤは表6に示すSW1である。表3および表5の溶接条件の「P(℃)」は最高パス間温度である。
【0100】
表3の母材特性および溶接部のvE0の値から、次の結論が得られる。即ち、本発明の鋼板(A1〜A5、A13、A14)では、母材の強度、靱性ともに優れており、かつ、溶接部の靱性はパス間温度が610℃に達したものであってもきわめて優れている。
【0101】
一方、Tiを含まないA6、A7およびA8の鋼板では、HAZ靱性が低い。A8はfHAZの値も大きすぎて母材の靱性も劣る。A9の鋼板はS含有量が高く、非金属介在物も多いためにHAZ靱性が不良である。A10の鋼板はC含有量が過多でHAZ靱性が低く、A11の鋼板はMnが過多なうえにfHAZが大きすぎて母材およびHAZとも靱性が不足する。A12の鋼板はO(酸素)過多で非金属介在物も多いためにHAZ靱性不良である。
【0102】
表5の試験結果を見れば、本発明例(H1、H2)では母材および溶接部ともに機械的性質に優れていることが明らかである。一方、Tiを含まず、fHAZの値が過大な母材を使用し、かつ溶接ワイヤも不適切な比較例(H3、H4およびH5)では、いずれもHAZ靱性が劣っている。
II.溶接継手について
1.作製条件
表2および表4に示したいくつかの厚鋼板とH形鋼を母材とし、表8に示すワイヤを使用して溶接継手を作製した。表9に溶接条件を示す。表10と表11に母材、ワイヤおよび溶接条件の組合せ、ならびに溶接金属の組成および溶接部の機械的性質をまとめて示す。なお、開先形状および試験条件は前述のとおりである。
【0103】
表11から、本発明例の継手(WM1〜WM5)では溶接金属特性、継手の強度および靱性のすべてが優れていることが明らかである。他方、比較例のWM6およびWM7の継手では溶接ワイヤの組成が不適切なために、溶接金属の靱性が不足である。またWM6では継手強度も低い。
【0104】
【表8】
Figure 0004522042
【0105】
【表9】
Figure 0004522042
【0106】
【表10】
Figure 0004522042
【0107】
【表11】
Figure 0004522042
【0108】
【発明の効果】
本発明の鋼材を用いれば、パス間温度制限を600℃と従来の350℃より著しく高く設定することができ、これにより、例えば厚さ25〜100mmの鋼材の多層溶接も能率良く実施できる。また、本発明の溶接継手は、強度および靱性が共に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】fHAZとvE0との関係を示す図である。
【図2】パス間温度の測定位置を示す図である。
【図3】多層溶接におけるパス間温度の変化の一例を示す図である。
【図4】溶接継手の開先形状を示す図である。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.20%、Si:0.001〜0.55%、Mn:0.8〜1.6%、Ti:0.005〜0.035%、sol.Al:0.001〜0.060%、N:0.0005〜0.010%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物のPが0.025%以下、Sが0.010%以下、O(酸素)が0.0050%以下であり、下記(1)式のfHAZが0.518%以下、下記(2)-1式のCeq'が0.30〜0.45%、下記(3)-1式のPcm'が0.10〜0.29%で、かつ、JIS G0555(1998)の「鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法」の表1の点算法による顕微鏡試験方法によって測定された鋼の清浄度が下記のとおりである鋼材。
    dA60×400で、0.040%以下
    dB60×400で、0.030%以下
    dC60×400で、0.030%以下
    fHAZ=C+(Mn/8)+6P+6S+12N−4Ti ・・・(1)
    Ceq'=C+(Si/24)+(Mn/6) ・・・(2)-1
    Pcm'=C+(Si/30)+(Mn/20) ・・・(3)-1
    但し、各式中の元素記号はその元素の含有量(質量%)を意味する。
  2. 質量%で、C:0.05〜0.20%、Si:0.001〜0.55%、Mn:0.8〜1.6%、Ti:0.005〜0.035%、sol.Al:0.001〜0.060%、N:0.0005〜0.010%、ならびにCu:0.05〜0.6%、Ni:0.05〜1.0%、Cr:0.05〜0.5%、Mo:0.02〜0.5%、V:0.01〜0.10%、Nb:0.005〜0.06%およびB:0.0005〜0.0030%の中の少なくとも1種を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物のPが0.025%以下、Sが0.010%以下、O(酸素)が0.0050%以下であり、下記(1)式のfHAZが0.518%以下、下記(2)-2式のCeqが0.30〜0.45%、下記(3)-2式のPcmが0.10〜0.29%で、かつ、JIS G0555(1998)の「鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法」の表1の点算法による顕微鏡試験方法によって測定された鋼の清浄度が下記のとおりである、パス間温度として600℃まで許容できる多層溶接用鋼材。
    dA60×400で、0.040%以下
    dB60×400で、0.030%以下
    dC60×400で、0.030%以下
    fHAZ=C+(Mn/8)+6P+6S+12N−4Ti ・・・(1)
    Ceq=C+(Si/24)+(Mn/6)+(Ni/40)+(Cr/5)+(Mo/4)+(V/14)・・・(2)-2
    Pcm=C+(Si/30)+{(Mn+Cu+Cr)/20}+(Ni/60)+(Mo/15)+(V/10)+5B
    ・・・(3)-2
    但し、各式中の元素記号はその元素の含有量(質量%)を意味する。
  3. 質量%で、C:0.05〜0.20%、Si:0.001〜0.55%、Mn:0.8〜1.6%、Ti:0.005〜0.035%、sol.Al:0.001〜0.060%、N:0.0005〜0.010%、ならびにCu:0.05〜0.6%、Ni:0.05〜1.0%、Cr:0.05〜0.5%、Mo:0.02〜0.5%、V:0.01〜0.10%、Nb:0.005〜0.06%およびB:0.0005〜0.0030%の中の少なくとも1種とCa:0.0007〜0.0050%およびMg:0.0007〜0.0050%の中の1種または2種を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物のPが0.025%以下、Sが0.010%以下、O(酸素)が0.0050%以下であり、下記(1)式のfHAZが0.518%以下、下記(2)-2式のCeqが0.30〜0.45%、下記(3)-2式のPcmが0.10〜0.29%で、かつ、JIS G0555(1998)の「鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法」の表1の点算法による顕微鏡試験方法によって測定された鋼の清浄度が下記のとおりである、パス間温度として600℃まで許容できる多層溶接用鋼材。
    dA60×400で、0.040%以下
    dB60×400で、0.030%以下
    dC60×400で、0.030%以下
    fHAZ=C+(Mn/8)+6P+6S+12N−4Ti ・・・(1)
    Ceq=C+(Si/24)+(Mn/6)+(Ni/40)+(Cr/5)+(Mo/4)+(V/14)・・・(2)-2
    Pcm=C+(Si/30)+{(Mn+Cu+Cr)/20}+(Ni/60)+(Mo/15)+(V/10)+5B
    ・・・(3)-2
    但し、各式中の元素記号はその元素の含有量(質量%)を意味する。
  4. 請求項1からまでのいずれかに記載の鋼材を母材とし、質量%で、C:0.03〜0.13%、Si:0.60〜1.10%、Mn:1.60〜2.60%、但し、Si/Mn≦0.55、P:0.015%以下、S:0.015%以下、Cu:0.50%以下、Mo:0.10〜0.40%、sol.Al:0.10%以下、Ti+Zr:0.10〜0.30%、Nb:0.050%以下、B:0.001〜0.012%、残部Feおよび不純物からなるワイヤを使用してガスシールドアーク溶接法による多層溶接で作製した溶接継手。
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