JP3379365B2 - 異形断面条の幅反り矯正方法及びその装置 - Google Patents

異形断面条の幅反り矯正方法及びその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、異形断面条の反り
を矯正して本来の形状にする矯正方法及びその装置に係
り、特に、幅反りを矯正することが可能な異形断面条の
幅反り矯正方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】異形断面条は、幅方向に沿って厚みの相
違がある断面形状を有し、その断面形状が長手方向に一
様に連続するよう形成されたものである。例えば、半導
体部品のリードフレームの材料は異形断面条になってい
る。図4に示される異形断面条1は、幅方向(Z方向)
の中央に厚みが厚く平坦な厚板部3を有し、その両側に
厚みが薄く平坦な薄板部4を有し、これら厚板部3と薄
板部4とは片面が共通平面を形成しているので、その反
対面では厚板部3が凸状に隆起している。
【0003】異形断面条は、加工中の巻癖やロールによ
る曲げにより、長手方向に沿って厚みの方向に変形する
ことがある。これを長手方向の反りという。
【0004】このような長手方向の反りに対する異形断
面条の矯正装置として、従来、図13に示されるよう
に、繰出し装置131、矯正機構133、巻取装置13
2からなる矯正装置がある。この矯正装置では異形断面
条1が繰出し装置131から矯正機構133へ間欠的に
送られる。その異形断面条1の送りが停止したときに矯
正機構133において、クランプシリンダ134,13
4により固定クランプ135及び引張りクランプ137
が駆動され、異形断面条1は固定クランプ135により
固定保持され、引張りクランプ137にも保持される。
次いで、引張りシリンダ136により引張りクランプ1
37が駆動され、この引張りクランプ137は異形断面
条1を保持したまま繰出し装置131側に移動される。
このようにして異形断面条1が長手方向に引張られるこ
とにより、長手方向の反りが矯正される。矯正終了後、
固定クランプ135及び引張りクランプ137より異形
断面条1が解放され、異形断面条1の送り及び巻き取り
が再開される。異形断面条1の未矯正部分が矯正機構1
33まで送り出されたとき送りが停止され、上記の矯正
動作が行われる。このように送り及び巻き取りと矯正動
作とが交互に繰り返され、異形断面条1の全長の矯正が
行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】異形断面条は、前述の
ように加工中の巻癖やロールによる曲げにより長手方向
の反りが発生するが、このとき曲げや張力により異形断
面条がロールの表面に押し付けられて、幅方向に沿って
厚み方向に変形することがある。このような幅方向に沿
った厚み方向の変形のことを幅方向の反り、或いは幅反
りという。図4に示した本来の断面形状に対し、図5に
示した幅反りのある断面形状は、幅方向に沿って厚み方
向に湾曲するように変形しているのがわかる。
【0006】幅反りが生じた異形断面条は、メッキやプ
レスの工程に供給する以前に矯正して本来の断面形状に
戻す必要がある。しかし、従来のように異形断面条を長
手方向に引張る方法では、長手方向の反りは矯正できて
も、幅方向の反りは矯正できない。
【0007】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決
し、幅反りを矯正することが可能な異形断面条の幅反り
矯正方法及びその装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決すための手段】上記目的を達成するために
本発明の方法は、繰出された幅反りのある異形断面条
を、その幅反りの内側となる面を内側にしてロールに巻
き掛けて長手方向に連続して曲げることにより、該異形
断面条の幅反りを矯正するものである。
【0009】
【0010】前記ロールによる曲げの外側から前記異形
断面条に抑えロールを押し当てて前記ロールと抑えロー
ルとで前記異形断面条をその厚み方向に拘束するとよ
【0011】また、本発明の装置は、異形断面条を長手
方向に連続させて繰り出す繰出し装置と、繰り出された
異形断面条をその幅反りの内側となる面を内側にして巻
き掛けるローラを有する幅反り矯正機構と、幅反り矯正
された異形断面条を巻き取る巻取装置とを有し、前記幅
反り矯正機構は、前記ロールに対向して配置され、前記
ロールと共同して前記異形断面条をその厚み方向に拘束
する抑えロールを備えているものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付
図面に基づいて詳述する。
【0013】図1に示されるように、本発明の幅反り矯
正方法にあっては、異形断面条1に対し、長手方向(X
方向)に沿って厚みの方向(Y方向)に変形を与えるよ
うな曲げ力を加えて所定の曲率で曲げることにより、異
形断面条1の幅反り、即ち幅方向(Z方向;図1を見る
方向)に沿った厚み方向の変形を矯正する。この原理を
説明するために、図2に断面形状が示された平条1aに
ついて本発明を適用してみる。平条1aは、幅方向(Z
方向)に沿って厚みが一定、即ち矩形の断面形状を有す
る。この平条1aに対し、長手方向(X方向;図2を見
る方向)に沿って厚みの方向(Y方向)に変形を与える
ような曲げ力を加えて曲げる。このことを長手方向に曲
げるという。平条1aを長手方向に曲げると、A−A断
面内に発生する内部応力は、曲げの外側が引張り力1
1、曲げの内側が圧縮力12となるため、この平条1a
には上記曲げ力を取り去った後も幅方向に沿った厚み方
向の変形が残り、図3に示されるように、幅方向(Z方
向)の両端で上記長手方向の曲げの外側(図3の上方)
に反る断面形状となる。従って、当初に図3とは逆の反
りを持った平条に対し長手方向の曲げを適用すると、図
2のような本来の断面形状を持った平条に矯正すること
ができる。
【0014】異形断面条1の場合も平条1aの場合と原
理は同じである。異形断面条1が図4に示すような本来
の断面形状ではなく、図5に示すように、幅反りがあっ
て薄板部4が厚板部3の隆起している面側に湾曲してい
るものとする。このような幅反りのある異形断面条1
を、その幅反りの内側となる面5を内側にしてロール2
に巻き掛けて長手方向に曲げることになる。これにより
異形断面条1は幅方向全体にわたって共通平面側6に展
開され、湾曲が解消されて図4に示す本来の断面形状に
戻る。
【0015】このとき、ロール2として図6に示すよう
に、薄板部4と厚板部3との堺の段差部7に曲りが残る
ことが危惧される。ここで、段差部7の曲りとは、薄板
部4自体は平坦で厚板部3に対して傾斜が見られるこ
と、即ち折れ曲がりのことであり、薄板部4が湾曲して
いる反りとは区別される。そのような場合には、ロール
2による曲げの外側を別のロールで抑えるとよい。
【0016】図7はそのような押えロールを用いた場合
を示しており、異形断面条1を巻きかけて長手方向に曲
げるロールとして薄板部4に当てられる大径部21と厚
板部3に当てられる小径部22とを有するロール(これ
を幅反り矯正ロールと呼ぶ)23であり、この幅反り矯
正ロール23に異形断面条1の幅反りの内側となる凸状
面側を向ける。そして、その曲げの外側となる共通平
面側6に平面押えロール81を押し当てる。これにより
異形断面条1は厚み方向に拘束され、共通平面側が正し
く平面に規制される。このようにして異形断面条1を厚
み方向に拘束して曲げると、幅反りが矯正されるだけで
なく、同時に段差部7における曲がりも矯正されること
になる。
【0017】なお、平面押えロール81は必ずしも軸方
向に径が一定でなくともよく、図8に示されるように、
軸方向の両端で径が小さくなるようにテーパを付けても
よい。また、これに対応させて幅反り矯正ロール23に
もテーパを付けてもよい。このようにすると段差部7で
の曲りの矯正力を調整することができる。
【0018】次に、本発明の幅反り矯正装置を説明す
る。
【0019】図9に示されるように、本発明の幅反り矯
正装置は、少なくとも、異形断面条1を長手方向に連続
させて繰り出す繰出し装置131と、繰り出された異形
断面条1をその幅反りの内側が曲げの内側になるようロ
ーラに巻き掛けた幅反り矯正機構91とを備えており、
さらに、幅反り矯正された異形断面条1を巻き取る巻取
装置132と、幅反り矯正機構91の前後で異形断面条
1の張力を解消するテンションカット装置92,92と
を備えている。
【0020】幅反り矯正機構91は、幅反り矯正ロール
93と3つの平面押えロール94とからなる。この幅反
り矯正ロール93は繰出し装置131及び巻取装置13
2の軸と平行な軸を持ち、これら3者の軸が所定角度を
なすように配置され、異形断面条1が幅反り矯正ロール
93の外周に接して上記角度の外角範囲で曲がるように
構成されている。3つの平面押えロール94は、その外
角範囲内に配置されている。なお、幅反り矯正ロール9
3は回転自在に構成されたいわゆるフリーロールでよい
が、ロールが大きく重くなる場合やテンションカット装
置92との間隔が長い場合には駆動されるロールとし、
異形断面条1の送りを補助するようにしてもよい。
【0021】テンションカット装置92は、繰出し装置
131から幅反り矯正機構91に送られる異形断面条1
又は幅反り矯正機構91から巻取装置132に送られる
異形断面条1を所定の長さに亘ってその両側から挟むよ
うに駆動機構付きの無端ベルト(又は無限軌道)を設け
たものである。これは、異形断面条1に加わる張力が幅
反り矯正機構91における幅反り矯正効果の妨げとなら
ないように設けたものである。
【0022】本実施形態による幅反り矯正装置にあって
は、異形断面条1をその幅反りの内側が曲げの内側にな
るよう幅反り矯正ロール93に巻き掛けることによっ
て、幅反り矯正ロール93の曲率に従った長手方向の曲
げを行うと共に、幅反り矯正ロール93に対向させた平
面押えロール94を曲げの外側から異形断面条1に押し
当てることによって、異形断面条1を厚み方向に拘束す
ることができる。従って、幅反りが矯正されると同時に
段差部での曲りも矯正される。また、繰出し装置131
より幅反り矯正機構91に連続的に異形断面条1を供給
することにより、連続的な幅反り矯正が達成される。
【0023】次に、実際に幅反りが発生している異形断
面条のサンプルを長手方向に曲げた場合の形状測定結果
を用いて幅反り矯正効果を考察する。このサンプルは約
400mmの長さのもので、厚板部の両側に薄板部を有
する異形断面条である。図10は、このサンプルを曲げ
る以前、即ち幅反りが発生している状態での断面輪郭を
示している。なお、この断面輪郭は、輪郭形状測定器に
より凸状面の側を測定したものであり、幅方向(Z方
向)の位置に対応して厚み方向(Y方向)に現れる輪郭
の位置を示している。また、本来の断面形状に現れるべ
き薄板部の輪郭を破線で加えてある。以下、図11、図
12も同様である。
【0024】図10に示されるように、このサンプルを
曲げる以前には、薄板部4が凸状面側5に湾曲してい
る。そこで、幅反りの内側、即ち凸状面側5が曲げの内
側となるように曲げる。このとき、曲げ半径を大きくし
た場合(曲率は小さい)の結果が図11に示され、曲げ
半径を小さくした場合(曲率は大きい)の結果が図12
に示されている。図11から判るように、長手方向に曲
げた後には幅反りによる薄板部4の湾曲が解消されてい
る。しかし、図12から判るように、曲げすぎると、そ
れ以前の反りとは逆向きの反りが出てしまう。従って、
幅反り矯正ロール93は適切な径にする必要がある。ま
た、図11及び図12から判るように、長手方向に曲げ
た後にも、段差部7での曲りが残っている。従って、こ
のような場合には、曲げの外側より曲げの型に対向させ
た別の型を押し当てて厚み方向に拘束することにより、
薄板部及び厚板部の共通平面側を正しく平面に規制す
る。
【0025】以上の実施形態では、厚板部3の幅方向両
側に薄板部4を有する異形断面条1において薄板部4が
凸状面側5に湾曲しているような幅反りを矯正する方法
について述べたが、これとは逆に薄板部4が共通平面側
6に湾曲しているような幅反りを矯正するには、共通平
面側6が内側となる曲げを行うことになる。この場合、
図7の共通平面側のロール81を幅反り矯正ロールと
し、対向する凸状面側のロール23を押えロールとす
る。
【0026】本発明によれば、従来の異形断面条を長手
方向に引張る方法はできなかった幅反りの矯正ができ
る。また、従来の方法と組み合わせることにより、幅反
りの矯正と長手方向の反り矯正とを続けて行うことがで
きる。この場合、本発明の幅反り矯正装置の後段に従来
の矯正装置を配してラインを構成する。このラインで
は、幅反りの矯正の後に長手方向の反り矯正を行って幅
方向、長手方向共に反りが矯正された異形断面条を得る
ことができる。
【0027】
【発明の効果】本発明は次の如き優れた効果を発揮す
る。
【0028】(1)従来は不可能であった幅反りの矯正
ができるので、本来の断面形状を有する品質のよい異形
断面条を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の幅反り矯正方法を適用中の異形断面条
又は平条の側面図である。
【図2】平条の断面図である。
【図3】曲げによって変形した平条の断面図である。
【図4】異形断面条の断面図である。
【図5】変形(幅反り)した異形断面条の断面図であ
る。
【図6】変形(折れ曲がり)した異形断面条の断面図で
ある。
【図7】異形断面条と型との位置関係を示す異形断面条
の長手方向から見た正面図である。
【図8】異形断面条と型との位置関係を示す異形断面条
の長手方向から見た正面図である。
【図9】本発明の幅反り矯正装置の概略構成を示す側面
図である。
【図10】異形断面条のサンプル(矯正前)の輪郭形状
測定で得られた輪郭図である。
【図11】異形断面条のサンプル(矯正後)の輪郭形状
測定で得られた輪郭図である。
【図12】異形断面条のサンプル(矯正後)の輪郭形状
測定で得られた輪郭図である。
【図13】従来の異形断面条の矯正装置を示す側面図で
ある。
【符号の説明】
1 異形断面条 2 ロール 23 幅反り矯正ロール 81 平面押えロール 91 幅反り矯正機構 92 テンションカット装置 93 幅反り矯正ロール 94 平面押えロール 131 繰出し装置 132 巻取装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−185660(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21D 3/05 B21D 3/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繰り出された幅反りのある異形断面条を、
    その幅反りの内側となる面を内側にしてロールに巻き掛
    けて長手方向に連続して曲げることにより、前記幅反り
    を矯正することを特徴とする異形断面条の幅反り矯正方
    法。
  2. 【請求項2】前記ロールによる曲げの外側から前記異形
    断面条に押えロールを押し当てて前記ロールと押えロー
    ルとで前記異形断面条をその厚み方向に拘束することを
    特徴とする請求項1記載の異形断面条の幅反り矯正方
    法。
  3. 【請求項3】幅反りのある異形断面条を長手方向に連続
    させて繰り出す繰出し装置と、繰出された異形断面条を
    その幅反りの内側となる面を内側にして巻き掛けるロー
    ラを有する幅反り矯正機構と、幅反り矯正された異形断
    面条を巻き取る巻取装置とを有し、前記幅反り矯正機構
    は、前記ロールに対向して配置され、前記ロールと共同
    して前記異形断面条をその厚み方向に拘束する押えロー
    ルを備えていることを特徴とする異形断面条の幅反り矯
    正装置。
  4. 【請求項4】前記幅反り矯正機構の前後に、異形断面条
    の張力を解消するテンションカット装置を備えているこ
    とを特徴とする請求項3に記載の異形断面条の幅反り矯
    正装置。
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