JPH0248327B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は走行ストリツプの熱処理方法並びに装
置に係り、特に走行するストリツプの反りやひず
みにもとづいて、熱処理炉内にて熱風噴出ノズル
等に該ストリツプが接触して生ずるすり傷を効果
的に防止し得る方法及び装置に関するものであ
る。

従来より、熱風吹付け方式の如き熱処理炉内に
無接触の状態で所定の金属ストリツプを連続的に
走行せしめ、そこで所定の熱処理を施すようにし
た場合において、走行する金属ストリツプの巻き
ぐせ、反り又はひずみ等によつて炉内において熱
風噴出ノズル等に該ストリツプが接触してすれ傷
が生じ、該ストリツプの商品価値が低下せしめら
れることが多かつた。特に、ストリツプの板厚が
或る範囲内にある場合には、熱処理炉の上流側に
おいて通過させられるレベラーによつても、該ス
トリツプの反りやひずみは矯正されずに残り、ま
た炉内の噴出熱風によつても矯正されることがな
いために、該ストリツプは炉内走行時に、その反
りやひずみによつて、炉内の熱風噴出ノズル等と
接触し、そのためにすり傷の発生が避けられず、
それ故に見ばえが悪く、商品価値が甚しく低下せ
しめられたのであつた。

ここにおいて、本発明は、かかる事情に鑑みて
為されたものであつて、熱処理炉内を連続的に走
行せしめられる金属ストリツプに対して、すり傷
の発生を効果的に防止し得るストリツプの熱処理
方法及び装置を提供することを目的とし、その要
旨とするところは、所定の熱処理炉内へ連続的に
走行せしめられる金属ストリツプに対し、その幅
方向に延びる波形形状部をその走行方向に断続的
に形成せしめた後、該熱処理炉内に導くようにし
たことにある。

そして、また、かかる熱処理方法を効果的に実
施するために、本発明は、走行ストリツプの一方
の側で、該ストリツプの幅方向に並列配置された
ｎ個の第１のロールと、該ストリツプの他方の側
で、該第１のロールのロール間に位置するように
該ストリツプの幅方向に配置された（ｎ−１）個
の第２のロールと、該ストリツプを該第１のロー
ルと第２のロールとの間で挟圧して、その幅方向
に延びる波形形状部を該ストリツプに付与するよ
うに、該第１のロールと第２のロールとの間に断
続的な押圧作用を惹起せしめる押圧機構とを含む
前加工装置を用い、該前加工装置にて幅方向に延
びる波形形状部が形成された前記金属ストリツプ
が熱処理炉内へ連続的に導かれるようにしたもの
である。

かくして、かくの如き本発明に従えば、加工ス
トリツプに対し、その幅方向に延びる波形形状部
（コルゲート部）が断続的に形成せしめられて炉
内に導かれることとなるため、従来そのたわみ、
ひずみ等のために該炉内にてすれ傷が発生するこ
とにより、該炉の使用が不適とされた板厚範囲の
ストリツプに対しても、すれ傷の発生を効果的に
防止し得て、該熱処理炉の使用を可能としたもの
であり、従つて、そのための商品価値の低下の虞
も全くなくなつたのである。

以下、本発明の実施に好適に用いられ得る装置
を示す図面に基づいて更に詳細に説明する。

先ず、第１図，第２図に示される熱処理前加工
装置２は、ストリツプ走行路の両側に立設される
１組のスタンド４及び６が４本のパイプ状のステ
ー８によつて結合されて骨組が構成されている。

そして、スタンド４は、第１図に示されるよう
に、上部フレーム１０、下部フレーム１２及び両
側の側部フレーム１４，１４が枠体として結合さ
れたものである。このフレーム１４の上部内側に
は上下方向に案内部材１６がそれぞれ相対向して
設けられ、軸受ブロツク１８の左右両縁部の凹溝
が前記案内部材１６に嵌合させられ、且つ軸受ブ
ロツク１８の上端部２０が上部フレーム１０の上
面に固定の油圧シリンダ２２（押圧機構）に連結
されて、油圧シリンダ２２の伸縮によつて軸受ブ
ロツク１８が案内部材１６に沿つて上下に摺動せ
しめられるようになつている。

また、このフレーム１４の下部内側には、上下
方向に案内部材２６がそれぞれ相対向して設けら
れ、軸受ブロツク２８を支持するアーム３０の左
右両縁部の凹溝が前記案内部材２６に嵌合させら
れ、且つアーム３０の下端部３４が下部フレーム
１２の上面に固定のウオームジヤツキ３２に連結
されており、該ウオームジヤツキ３２の伸縮によ
つてアーム３０が案内板２６に沿つて上下に摺動
せしめられるようになつている。

一方、スタンド６も、上記スタンド４と同様
に、上部フレーム４０、下部フレーム４２、側部
フレーム４４，４４からなり、フレーム４４の上
部内側には案内部材４６が、下部内側には案内部
材５６がそれぞれ相対向して設けられ、上方の軸
受ブロツク４８が案内部材４６に嵌合させられ、
下方の軸受ブロツク５８を支持するアーム６０が
案内部材５６に嵌合させられ、且つ軸受ブロツク
４８の上端部５０が上部フレーム４０の上面に固
定の油圧シリンダ５２（押圧機構）に連結され
て、油圧シリンダ５２の伸縮によつて軸受ブロツ
ク４８が案内部材４６に沿つて上下に摺動される
ようになつている。また、アーム６０の下端部６
４が下部フレーム４２上面に固定のウオームジヤ
ツキ６２に連結されており、該ウオームジヤツキ
６２の伸縮によつてアーム６０が案内板５６に沿
つて上下に摺動せしめられるようになつている。

そして、平行に配置された上方の２本のワーク
ロール７０，７０（第１のロール）は一方のスタ
ンド４の軸受ブロツク１８と他方のスタンド６の
軸受ブロツク４８とにその両端の小径部を回転自
在に支持されており、また該２本のワークロール
７０，７０の間に位置せしめられた、それらと平
行な下方の１本のワークロール７２（第２のロー
ル）も同様に軸受ブロツク２８と５８とに回転自
在に支持されている。

また、スタンド４の下部フレーム１２に固定さ
れた減速機付モータ７４は、その延長軸７６がス
タンド６の下部フレーム４２まで延長されて枢支
され、スプロケツト７８及びチエーン８０により
ウオームジヤツキ３２及び６２をそれぞれ駆動
し、アーム３０，６０を同時に同量だけ昇降せし
め、軸受ブロツク２８，５８、ひいてはワークロ
ール７２の位置決めを行ない得るようになつてい
る。

このような構成から成る前加工装置２は、第３
図に示されるように、熱風吹付け方式の連続熱処
理炉８２の上流側に、且つ走行ストリツプ８４に
駆動力を付与するブライドルロール８６の下流側
に配置される。

ここで加工せしめられる金属ストリツプ８４
は、例えば、アルミ板又はアルミ合金板であつ
て、板厚は0.3〜５mm、板巾は600〜2500mm程度と
され、100m／min程度のライン速度で走行せし
められる。そして、走行中のストリツプ８４には
第５図に示されるような板幅方向の大きなたわみ
が生起するのが普通である。このたわみが熱処理
炉８２の入口又は炉内のノズル等に接触してすれ
傷の原因となるのであるから、これを防止する手
段として、本発明に従つてストリツプ８４に対し
て、その幅方向に延びる波形形状部（コルゲート
状凸部）８８をその走行方向に断続的に形成せし
めた後、熱処理炉８２内に導くようにするのであ
る。更に詳しくは、ストリツプ８４の材質、板
厚、巻きぐせ等の性状に応じて１秒に１回乃至は
５秒に１回等所定の間隔をもつて油圧シリンダ２
２と５２とに同時に圧力油を供給し、これらを伸
長させれば、軸受ブロツク１８，４８は案内部材
１６，４６にそれぞれ案内されて下降するので、
２本のワークロール７０も互いに平行に下降させ
られ、下方に位置決めされた１本のワークロール
７２との間において、該ストリツプ８４が挟圧さ
れて、ストリツプ８４に円弧状断面の凸条８８が
板幅方向に形成されるのである。

そして、このような凸条（コルゲート）８８が
断続的にストリツプ８４の幅方向に形成せしめら
れることにより、第５図の如き反り乃至はたわみ
等の存在するストリツプ８４は効果的な平坦化作
用を受けることとなるのである。

なお、下方のワークロール７２は前もつて所定
の位置に位置決めされている。即ち、減速機付モ
ータ７４によりウオームジヤツキ３２と６２とが
同時に同量だけ昇降させられ、アーム３０と６０
とが、案内部材２６と５６とによりそれぞれ案内
されて昇降し、従つて軸受ブロツク２８，５８ひ
いてはワークロール７２が所定位置に位置決めさ
れるのである。

このように、第４図に示されるように、金属ス
トリツプ８４に対して板幅方向の凸条８８を所定
間隔に設けることによつて、従来避けることがで
きなかつたたわみの発生を効果的に防止すること
が可能となつたのである。従つて、金属ストリツ
プ８４が熱処理炉８２の入口を通過する際、又は
炉内を通過する際に接触傷を生起せしめる虞は全
く解消されたのである。しかも付与された凸条８
８は熱処理炉８２内にて所定の張力の下に加熱さ
れている間に伸ばされてその凸条８８の形状は実
質的に消失させられ、金属ストリツプ８４は熱処
理炉８２を出る際には前加工装置２によつて凸条
８８を付与される以前の平坦なストリツプの形状
に復帰させられるのである。

かくして、金属ストリツプ８４は使用範囲の板
厚のすべてに対してすれ傷の発生を防止され、熱
風吹付け方式の熱処理炉８２の適用による商品価
値の低下の虞は全く解消されたのである。

なお、上例の本発明に係る熱処理工程に用いら
れる前加工装置では、上方の２本のワークロール
７０と下方の１本のワークロール７２によつて型
押しされる最も一般的な例を示したのであるが、
本発明は必ずしもこれに限定されるものではな
く、上方の１本のワークロールと下方の２本のワ
ークロールの組合せでもよく、一般にはｎ（ｎ≧
２）個のロールと（ｎ−１）個のロールとの組合
せで良いのであり、また上方のロールに対して下
方のロールを昇降せしめて型押しする方式であつ
ても、両者が同時に昇降せしめられる方式であつ
ても、何等差支えないのである。

従つて、ロールによる押し型の形状は１本の凸
条であるのみならず、複数の凸条が同時に形成さ
れる場合もあり、また断続的な型押し操作によつ
て凸条を次々と形成せしめることが必要となる場
合もあるのであり、それ故一般に波形形状のもの
が走行方向に所定の間隔を隔てて断続的に形成さ
れていればよいのである。

また、その他にも、本発明には、その趣旨を逸
脱しない範囲において当業者の知識に基づいて
種々なる変形・改良などを加え得るものであるこ
とは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る走行ストリツプの熱処理
方法の実施に好適に用いられる装置の正面図であ
り、第２図は第１図における−断面図であ
る。第３図は該装置の連続熱処理ラインにおける
配置の説明図であり、第４図は該前加工装置によ
る型押しの前後の金属ストリツプの形状を示す斜
視図、第５図は第４図における−断面図であ
る。 ２：前加工装置、２２，５２：油圧シリンダ、
７０：ワークロール（第１のロール）、７２：ワ
ークロール（第２のロール）、８４：金属ストリ
ツプ、８８：凸条（波形形状部）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 所定の熱処理炉内へ連続的に走行せしめられ
   る金属ストリツプに対し、その幅方向に延びる波
   形形状部を、その走行方向に断続的に形成せしめ
   た後、該熱処理炉内に導くようにしたことを特徴
   とする走行ストリツプの熱処理方法。 ２ 走行せしめられる金属ストリツプの一方の側
   で、該ストリツプの幅方向に並列配置されたｎ個
   の第１のロールと、 該ストリツプの他方の側で、該第１のロールの
   ロール間に位置するように該ストリツプの幅方向
   に配置された（ｎ−１）個の第２のロールと、 該ストリツプを該第１のロールと第２のロール
   との間で挟圧して、その幅方向に延びる波形形状
   部を該ストリツプに付与するように、該第１のロ
   ールと第２のロールとの間に断続的な押圧作用を
   惹起せしめる押圧機構とを、 有する前加工装置を設け、該前加工装置にて幅方
   向に延びる波形形状部が形成された前記金属スト
   リツプが熱処理炉内へ連続的に導かれるようにし
   たことを特徴とする走行ストリツプの熱処理装
   置。