JP3375218B2 - 永久帯電防止性樹脂組成物 - Google Patents

永久帯電防止性樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、永久帯電防止性を有し
物性バランスも良好な樹脂組成物に関するものである。
さらに成形品とした場合層状剥離等を生じない樹脂組成
物である。
【0002】
【従来の技術】一般に、プラスチックの多くは、電気絶
縁性が高く、摩擦等により帯電しやすいため、ゴミやほ
こりが付着して成形品、シート、フィルム等の外観を損
ねる等の問題があった。又、最近ではビデオ、コンピュ
ーター、OA機器等に代表されるエレクトロニクス製品
の著しい発展にともない、これらにはプラスチック品が
用いられるため、その製品では静電気に起因するノイズ
の発生あるいはIC部品の破損等が重要な問題となって
いる。
【0003】このような、静電気によるプラスチックへ
の障害を防止するために、(1)帯電防止剤の内部練り
込み法、(2)帯電防止剤の外部塗布法、(3)除電器
を用いる方法等の帯電防止の処理方法がいろいろと実施
されてきている。
【0004】しかし、(1)の帯電防止剤の内部練り込
み法では、一般に帯電防止剤として用いられている低分
子量の界面活性剤が、成形品表面の水洗あるいは摩擦等
により除かれるため帯電防止効果が失われてしまい、永
久的な帯電防止性を保持させることが困難である。
【0005】又、(2)の帯電防止剤の外部塗布法につ
いても、塗布された帯電防止剤が成形品表面の水洗、摩
擦等により容易に除かれ、先の帯電防止剤の内部練り込
み法と同様、帯電防止効果が失われ、永久的な帯電防止
性能を持たせることは難しい。又、この方法は内部練り
込み法と異なり表面塗布工程を必要とするのでコストも
高いものとなってしまう。
【0006】さらに、(3)の除電器を用いる方法に
は、コロナ放電式とラジオアイソトープ式があるが、前
者は火花放電による引火の危険性、後者は放射線を用い
ることによる使用上の制限があり実用化されている例は
少ない。又、この方法は、単に帯電を除去するだけの機
能で永久的な帯電防止性能を有していない。
【0007】又、その他の永久的な帯電防止性を付与す
る方法として、多量のカーボンブラック、金属粉及び金
属繊維等を練り込む方法もあるが、この方法は、十分な
帯電防止効果を付与させることができる反面、成形品の
外観性、成形加工性、耐衝撃性等が低下する欠点を有し
ている。
【0008】一方、特開昭61−73753号公報、特
開昭61−73765号公報、特開昭61−24624
4号公報のように、ポリエーテルエステルアミドエラス
トマーを熱可塑性樹脂に混合して永久帯電防止性を付与
する方法も知られているが、相溶性が劣るために成形品
の強度低下や層状剥離等を発生させる問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このような現状から、
本発明の目的は、水洗しても優れた帯電防止効果が失わ
れず、樹脂本来の衝撃強度、耐熱性及び成形加工性等の
物性を低下させることなく、かつ、成形品にした際に層
状剥離のない永久帯電防止性に優れた熱可塑性樹脂組成
物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、この目的で
鋭意研究を重ねた結果、水洗しても優れた永久的な帯電
防止性を保持し、物性バランスも良好な熱可塑性樹脂組
成物を特定のスチレン系樹脂に特定の熱可塑性ポリエチ
レンオキシド及び特定量のアミン系界面活性剤を配合す
ることによって到達した。
【0011】すなわち、本発明は、スチレン系樹脂
(A)と、水溶性樹脂ポリエチレンオキシドにモノ又は
ポリイソシアネート基を有する少なくとも一種類の化合
物を反応させて得られる熱可塑性ポリエチレンオキシド
(B)及びアミン系界面活性剤(C)からなり、スチレ
ン系樹脂(A)と熱可塑性ポリエチレンオキシド(B)
の合計を100重量%とすると、スチレン系樹脂(A)
が85〜98重量%であり熱可塑性ポリエチレンオキシ
(B)が2〜15重量%であって、スチレン系樹脂
(A)と熱可塑性ポリエチレンオキシド(B)の合計の
100重量部に対し、アミン系界面活性剤(C)が0.
2〜3重量部である永久帯電防止樹脂組成物にすること
で達成できる。
【0012】以下に本発明をさらに詳しく説明する。本
発明で用いられるスチレン系樹脂(A)とはスチレン系
単量体単独あるいはその単量体の混合物を重合して得ら
れる樹脂、スチレン系単量体とこれら単量体と共重合可
能な単量体とからなる共重合体樹脂、ゴム質重合体を分
散粒子として含有する上記のスチレン系樹脂及びゴム質
重合体に、スチレン系単量体又はスチレン系単量体及び
共重合可能な単量体をグラフト重合させたグラフト共重
合樹脂を指し、もちろん、ここで用いる単量体は単独又
は二種以上を混合して使用することもできる。又、得ら
れた樹脂は単独又は二種以上を混合して使用することも
できる。
【0013】ここで言うスチレン系単量体としては、例
えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、
エチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が
あげられる。又、スチレン系単量体と共重合可能な単量
体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸メチル等
の(メタ)アクリル酸エステル単量体、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、マ
レイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイ
ミド等のマレイミド系単量体等があげられる。ゴム質重
合体としては、例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブ
タジエン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポ
リスチレン三元ブロック共重合体、アクリロニトリル−
ブタジエン共重合体等のジエン系ゴム、ポリイソプレ
ン、ポリクロロブタン、ポリアクリル酸ブチル等のアク
リル系ゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマー
三元共重合体等があげられる。
【0014】具体的には、ポリスチレン、ハイインパク
トポリスチレン(ゴム強化ポリスチレン)、AS樹脂
(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、ABS樹脂
(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合
体)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレン/プロ
ピレン系ゴム−スチレン共重合体)、MBS(メチルメ
タクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体)、MA
BS(メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン共重合体)、SBS(スチレン−ブタ
ジエン−スチレン共重合体)等の名称で取引きされてい
る樹脂等があげられる。
【0015】又、本発明で用いられる熱可塑性ポリエチ
レンオキシド(B)は、水溶性樹脂ポリエチレンオキシ
ドに対し、少量のモノ又はポリイソシアネート基を有す
る少なくとも一種類の化合物を反応させることによって
得られる。
【0016】水溶性樹脂ポリエチレンオキシドは、エチ
レンオキシドにプロピレンオキシド、ブチレンオキシド
その他共重合可能成分を水溶性を失わない限り共重合す
ることができ、水溶性を失わない範囲内では、主鎖中又
は側鎖にアルキレン基やアルキル基を含有してもよい。
又、これらは単独でも二種以上の混合物で用いてもよ
い。又、水溶性樹脂ポリエチレンオキシドの数平均分子
量は、2000以上100000未満の時、樹脂組成物
の永久帯電防止性能、及び強度等の機械的特性が優れ、
さらに好ましくは数平均分子量が5000〜80000
の時、特に、優れた特性を得る。数平均分子量が200
0未満では水に対する膨潤性、アミン系界面活性剤の捕
獲性が低下するため永久帯電防止性の保持力が低下し、
100000以上ではスチレン系樹脂との相溶性が低下
し、成形品の強度低下や層状剥離等を招く傾向となる。
【0017】一方、モノ又はポリイソシアネート基を有
する少なくとも一種類の化合物としては、同一分子量内
にイソシアネート基を一個又は二個あるいはそれ以上を
含有する有機化合物であって、例えばn−プロピルイソ
シアネート、n−ブチルイソシアネート、n−ヘキシル
イソシアネート、ドデシルイソシアネート、オクタデシ
ルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、メ
チルシクロヘキシルイソシアネート、ベンジルイソシア
ネート、フェニルイソシアネート、p−クロルフェニル
イソシアネート、p−ニトロフェニルイソシアネート、
2−クロロエチルイソシアネート、ステアロイルイソシ
アネート、p−トルオルスルフォニルイソシアネート、
イソプロペニルジメチルベンジルイソシアネート、プロ
パンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、デ
カンジイソシアネート、w,w’−ジプロピルエーテル
ジイソシアネート、チオジエチルジイソシアネート、ヘ
キサフルオロプロパンジイソシアネート、1,3−ジメ
チルベンゼン−w,w’−ジイソシアネート、1,4−
ジメチルナフタリン−w,w’−ジイソシアネート、ト
リレン−2,4−ジイソシアネート、1,3−ジメチル
ベンゼン−2,4−ジイソシアネート、3,3’−ジメ
チルジフェニル−4、4’−ジイソシアネート、テトラ
メチルキシレンジイソシアネート、ナフタリン−1,4
−ジイソシアネート、ビフェニル−4,4’−ジイソシ
アネート、2−ニトロビフェニル−4,4’−ジイソシ
アネート、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’
−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジ
イソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ジフ
ェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート、ビトリ
レンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、
リジンジイソシアネートメチルエステル、メタキシリレ
ンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4,4’
−シクロヘキシルイソシアネート)、ダイマー酸ジイソ
シアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、
3,3’−ジクロロジフェニルジメチルメタン−4,
4’−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,
4,6−トリイソシアネート、ナフタリン−1,3,7
−トリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4’−ト
リイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,
4”−トリイソシアネート、4,4’,4”−トリイソ
シアネートフェニルチオフォスフェート、ポリメリック
ジフェニルメタンジイソシアネート等があげられる。こ
れらは、単独又は二種以上を混合して反応に供すること
もできる。
【0018】ポリエチレンオキシド樹脂にモノ又はポリ
イソシアネート基を有する少なくとも一種類の化合物を
反応させる一般的な方法としては、ニトロメタン等の溶
媒中で50〜150℃の温度下で溶液状で反応させる方
法があげられる。
【0019】又、本発明で用いられるアミン系界面活性
剤(C)としては、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエ
チル)アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルア
ミン、ポリオキシエチレンアルキルアミンの脂肪酸エス
テル等のアミン系界面活性剤を用いたときには、樹脂組
成物の永久帯電防止性能及び強度等の機械的特性が優れ
るために好ましい。
【0020】本発明の樹脂組成物は、スチレン系樹脂
(A)と、水溶性樹脂ポリエチレンオキシドに、モノ又
はポリイソシアネート基を有する少なくとも一種類の化
合物を反応させて得られる熱可塑性ポリエチレンオキシ
(B)及び、アミン系界面活性剤(C)からなり、ス
チレン系樹脂(A)と熱可塑性ポリエチレンオキシド
(B)の合計を100重量%とすると、スチレン系樹脂
(A)が85〜98重量%であり、熱可塑性ポリエチレ
ンオキシド(B)が2〜15重量%であって、スチレン
系樹脂(A)と熱可塑性ポリエチレンオキシド(B)の
合計が100重量部に対し、アミン界面活性剤(C)が
0.2〜3重量部である。スチレン系樹脂(A)と熱可
塑性ポリエチレンオキシド(B)の合計100重量部中
熱可塑性ポリエチレンオキシド(B)の配合量は、2
〜15重量部であり、特に、4〜10重量部が好まし
い。2重量部未満では優れた永久帯電防止性を付与する
ことができず、15重量部を越えると成形品の強度低
下、耐熱性の低下及び成形品に層状剥離を招き好ましく
ない。
【0021】本発明で用いられるアミン系界面活性剤
(C)の配合量は、スチレン系樹脂(A)と熱可塑性ポ
リエチレンオキシド(B)の合計100重量部に対し
て、0.2〜3重量部であり、好ましくは0.5〜1.
5重量部である。0.2重量部未満では優れた永久帯電
防止性を付与することができず、3重量部を越えると樹
脂本来の耐熱性が低下し好ましくない。
【0022】さらに、本発明の樹脂組成物には、他の熱
可塑性樹脂、例えば、ポリフェニレンオキシド、ポリカ
ーボネート、ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレー
ト等を混合し、成形用樹脂としての性能を改良すること
もできる。
【0023】又、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必
要に応じて安定剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、充填
剤、可塑剤、滑剤及び着色剤等を添加することができ
る。
【0024】本発明の樹脂組成物は、通常の溶融混練装
置を用いて製造することができる。好適に使用できる溶
融混練装置としては、例えば、スクリュー押出機、バン
バリーミキサー、コニーダー、混合ロール等がある。
尚、スチレン系樹脂(A)、熱可塑性ポリエチレンオキ
シド(B)及びアミン系界面活性剤(C)の仕込順番に
は特に規定はなく、一括仕込みでも良い。
【0025】
【実施例】以下に、実施例によって本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明の範囲は、その主旨を越えない限
り実施例によって限定されるものではない。なお、使用
したスチレン系樹脂(A)、熱可塑性ポリエチレンオキ
シド(B)及びアミン系界面活性剤(C)は以下の通り
である。
【0026】スチレン系樹脂(A) (1)ゴム変性ポリスチレン重合体である電気化学工業
(株)製、商品名デンカスチロールHI−R−5を用い
た(以下A−1とする)。 (2)ポリスチレン樹脂である電気化学工業(株)製、
商品名デンカスチロールMT−5を用いた(以下A−2
とする)。 (3)AS樹脂である電気化学工業(株)製、商品名デ
ンカAS−Sを用いた(以下A−3とする)。 (4)ABS樹脂である電気化学工業(株)製、商品名
デンカABS GR−2000を用いた(以下A−4と
する)。 (5)パドル翼を有する撹拌機、温度計、還流冷却器を
付した反応容器中で、スチレン含有37重量%のスチレ
ン−ブタジエン共重合体(旭化成社製 商品名タフデン
4003)6重量部をスチレン単量体48重量部及びM
MA単量体46重量部に溶解し、これに分子量調整剤と
してt−ドデシルメルカプタン0.2重量部、重合開始
剤としてベンゾイルパーオキシド0.04重量部を添加
し、この均一混合物を撹拌しながら90℃に加熱した。
重合転化率が30%に達した時に、反応を一旦停止する
ため反応混合物を冷却した。次いで、該反応混合物に新
たに重合開始剤としてジクミルパーオキシド0.2重量
部を添加した後、懸濁安定剤として第三リン酸カルシウ
ム1重量部を含有する水溶液200重量部中に撹拌分散
させ、100℃で2時間、115℃で3.5時間、13
0℃で2.5時間加熱重合させた。反応終了後、脱水、
洗浄した後乾燥してMBS樹脂ビーズを得た(以下A−
5とする)。 (6)スチレン含量37重量%のスチレン−ブタジエン
共重合体(旭化成社製商品名タフデン4003)6重量
部をスチレン単量体48重量部及びMMA単量体44重
量部、アクリロニトリル2重量部に溶解した以外は上記
の(5)と同様にしてMABS樹脂ビーズを得た(以下
A−6とする)。
【0027】熱可塑性ポリエチレンオキシド(B) (1)数平均分子量60000のポリエチレンオキシド
100重量部及びトリエチレンジアミン0.25重量部
をニトロメタン2400重量部中に加え窒素雰囲気中3
0〜40℃にて完全に溶解させた後、トリレン−2,4
−ジイソシアネート0.5重量部を加え、70℃にて5
時間反応を行い、熱可塑性ポリエチレンオキシドを得た
(以下B−1とする)。 (2)数平均分子量2500のポリエチレンオキシドを
用いた以外は、上記の(1)と同様にして熱可塑性ポリ
エチレンオキシドを得た(以下B−2とする)。 (3)数平均分子量90000のポリエチレンオキシド
を用いた以外は、上記の(1)と同様にして熱可塑性ポ
リエチレンオキシドを得た(以下B−3とする)。 (4)トリレン−2,4−ジイソシアネート0.4重量
部とフェニルイソシアネート0.1重量部を用いた以外
は上記の(1)と同様にして熱可塑性ポリエチレンオキ
シドを得た(以下B−4とする)。
【0028】界面活性剤(C) (1)アミン系界面活性剤 N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミ
ンはミヨシ油脂(株)製、商品名ミヨシコール324
(以下C−1とする)。 (2)非アミン系界面活性剤 アルキルスルホン酸ナトリウム(非アミン系界面活性
剤)はミヨシ油脂(株)製、商品名ダスパー802D
(以下C−2とする)。
【0029】<実施例1〜11>上記の方法で得られた
スチレン系樹脂(A−1、A−2、A−3、A−4、A
−5及びA−6)、熱可塑性ポリエチレンオキシド(B
−1、B−2、B−3及びB−4)、及びアミン系界面
活性剤(C−1)を表1に示す配合処方により、20リ
ットル容積のヘンシェルミキサーに投入しブレンドした
後、東芝機械(株)製2軸押出機(TEM35B)を用
いて220℃で溶融、混練してペレットを作製した。得
られたペレットを東芝機械(株)製射出成形機(IS−
80CNB)を用い評価用の試験片を作成し、各種の評
価を行こなった実施例の結果を表1及び表2に示した。
【0030】<比較例1〜5>上記の方法で得られたス
チレン系樹脂A−1、熱可塑性ポリエチレンオキシド
(B−1)、及び界面活性剤(C−1及びC−2)を表
2に示す配合処方により、実施例と同様にペレットを作
製、評価用の試験片の成形及び各種評価を行こなった比
較例の結果を表3に示した。
【0031】なお、物性は下記の方法により測定した。 (1)機械的物性、耐熱性及び流動性 (a)アイゾット衝撃強度:ASTM D−256に準
じて測定した。 (b)曲げ弾性率:ASTM D−790に準じて測定
した。 (c)加熱変形温度:JIS K−6871に準じて測
定した。 (d)流動性:ASTM D−1238に準じて、温度
200℃、荷重5kgにて、メルトフローレート(MF
R)を測定した。
【0032】(2)帯電防止効果 帯電防止効果は、射出成形した厚さ2mmの角板を用
い、次の二条件で測定した表面固有抵抗値で評価した。 (a)成形直後:成形直後の角板を純水中で1分間洗浄
し、充分乾燥させた後、JIS K−6911に準拠し
て温度23℃、湿度50%RHで24時間調湿して表面
固有抵抗値を測定した。 (b)300日間放置後:成形後の角板を温度23℃、
湿度50%RH中に300日間放置した後、純水中で1
分間洗浄し充分乾燥させ、JIS K−6911に準拠
して温度23℃、湿度50%RHで24時間調湿して表
面固有抵抗値を測定した。尚、表面固有抵抗(Ω)と帯
電防止効果の相関は、表面固有抵抗が1010以下であれ
ば帯電防止効果は優れている。表面固有抵抗が1010
こえ1013以下では、帯電防止効果は良好であるが、表
面固有抵抗が1013をこえ1014未満では帯電防止効果
が弱く、表面固有抵抗が1015以上では帯電防止効果は
無い。 (3)層状剥離性 層状剥離性の評価は、射出成形した厚み2mmの角板を
手で折ったときの、切断面を観察し、層状剥離のあるも
のについては×、ないものについては○で示した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、スチレン系樹脂と、水
溶性樹脂ポリエチレンオキシドにイソシアネート化合物
を反応させて得られた熱可塑性ポリエチレンオキシド
及び、アミン系界面活性剤からなる組成物は、従来の帯
電防止性樹脂と比較して永久帯電防止性に優れ、経時劣
化も起こさず、かつ物性バランスにも優れたものであ
る。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−84316(JP,A) 特開 昭58−157861(JP,A) 特開 平5−310863(JP,A) 特開 平5−222289(JP,A) 特開 平4−13771(JP,A) 特開 平3−259947(JP,A) 特開 平3−188147(JP,A) 特開 昭53−65340(JP,A) 特公 昭47−35300(JP,B1) 特公 昭44−8730(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スチレン系樹脂(A)と、水溶性樹脂ポリ
    エチレンオキシドに、モノ又はポリイソシアネート基を
    有する少なくとも一種類の化合物を反応させて得られる
    熱可塑性ポリエチレンオキシド(B)及び、アミン系界
    面活性剤(C)からなり、スチレン系樹脂(A)と熱可
    塑性ポリエチレンオキシド(B)の合計を100重量%
    とすると、スチレン系樹脂(A)が85〜98重量%で
    あり、熱可塑性ポリエチレンオキシド(B)が2〜15
    重量%であって、スチレン系樹脂(A)と熱可塑性ポリ
    エチレンオキシド(B)の合計の100重量部に対し、
    アミン系界面活性剤(C)が0.2〜3重量部である永
    久帯電防止性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】熱可塑性ポリエチレンオキシドをつくる水
    溶性ポリエチレンオキシドの数平均分子量が2000以
    上であり100000未満である請求項1記載の永久帯
    電防止性樹脂組成物。
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