JP3211984B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、永久的な帯電防止性を
有し、落錘衝撃強度、曲げ弾性率及び加熱変形温度等の
物性バランスも良好な熱可塑性樹脂組成物に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般に、プラスチックの多くは、電気絶
縁性が高く、摩擦等により帯電しやすく、そのためにゴ
ミやほこりが付着して成形品、シート及びフィルム等の
外観を損ねる等の問題があった。また、プラスチック成
形品は、最近ビデオ、コンピューター及びOA機器等に
代表されるエレクトロニクス製品への著しい発展にとも
ない、静電気によるノイズあるいはIC部品の破損等が
重要な問題となっている。そして、プラスチック成形品
の静電気による障害を防止するためには、帯電防止の処
理方法として帯電防止剤の内部練り込み法、帯電防
止剤の外部塗布法及び除電器を用いる方法等が実施さ
れている。
【0003】帯電防止剤の内部練り込み法では、一般
的に低分子量の界面活性剤が用いられているが、この方
法では、成形品の表面を水洗や摩擦等を行うことによっ
て界面活性剤が除去されてしまうために、帯電防止効果
が失われて永久的な帯電防止性を付与させることが困難
である。また、帯電防止剤の表面塗布法については、
成形品等の表面の水洗や摩擦等により帯電防止剤が容易
に除かれ、帯電防止効果が失われてしまう。更に、この
方法は、内部練り込み法と異なり表面塗布工程を必要と
するのでコスト高となってしまう。更に、除電器を用
いる方法では、コロナ放電式とラジオアイソトープ式が
あるが、前者は、火花放電による引火の危険性、後者
は、放射線を用いることによる使用上の制限があり実用
化されている例は少ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特別な工程を必要
とせず、少量の帯電防止剤添加量で良好な帯電防止性を
永久的に示し、かつ樹脂本来の物性も低下させない物性
バランスに優れた熱可塑性樹脂組成物を見出し本発明を
得るに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、
(イ)ビニル化合物の重合体(A)成分(以下(A)成
分という)と、ビニル化合物とエポキシ基を含有するビ
ニル化合物との共重合体(B)成分(以下(B)成分と
いう)からなる組成物70〜95重量%並びに(ロ)ポ
リエチレングリコールアミンおよびポリエチレングリコ
ールジアミンから選ばれた1種以上の重合体で、かつそ
れぞれの重合体100重量%中、アミノ基量が0.1〜
10重量%である重合体(以下(C)成分という)5〜
30重量%であり、しかも、前記エポキシ基を含有する
ビニル化合物の含有量が、前記(A)成分及び(B)成
分合計量100重量部中、0.1〜20重量%含有して
なることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。
【0006】以下に本発明を更に詳しく説明する。本発
明の(A)成分及び(B)成分で用いるビニル化合物の
具体例としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル及びメタクリル酸プロピル等のメタクリル
酸アルキルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル及びアクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエス
テル、アクリル酸並びにメタクリル酸がある。
【0007】また、他のビニル化合物の具体例として
は、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のシアン
化ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトル
エン、t−ブチルスチレン及びクロルスチレン等の芳香
族ビニル、無水マレイン酸並びに塩化ビニル等がある。
【0008】これらのビニル化合物は、単独あるいは共
重合可能な化合物を併用して用いることができる。ま
た、上記ビニル化合物は、ポリブタジエン、ポリイソプ
レン、スチレン−ブタジエン共重合体及びエチレン−プ
ロピレン−ジエン三元共重合体等のゴム状物質との混合
物、及び前記各種ゴム状物質の少量を均一に溶解したビ
ニル化合物溶液を重合して得られる共重合体であっても
何ら差し支えない。
【0009】更に、本発明に用いる(A)成分と(B)
成分は、同一及び相溶性があれば異種の化合物成分であ
ってもかまわない。
【0010】次に、本発明で用いるエポキシ基を含有す
るビニル化合物の具体例としては、例えば、グリシジル
メタクリレートやグリシジルメチルメタクリレート等が
ある。
【0011】本発明で用いる(C)成分とは、エチレン
グリコール単位とアミノ基を有する重合体を指し、ポリ
エチレングリコールアミンやポリエチレングリコールジ
アミン等がある。
【0012】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)成
分と、(B)成分とからなり、しかも、エポキシ基を含
有するビニル化合物の含有量が、(A)成分及び(B)
成分合計量100重量部中、0.1〜20重量%である
組成物70〜95重量%並びに(C)成分5〜30重量
%を混合したものである。
【0013】そして、エポキシ基を含有するビニル化合
物の含有量が、(A)成分及び(B)成分合計量100
重量部中、0.1重量%未満では、得られる樹脂組成物の
機械的強度が低下し、20重量%を越えると、流動性が
著しく低下して、ビニル化合物重合体本来の特性を低下
させるので好ましくない。
【0014】また、(C)成分の含有量が5重量%未満
では、永久的な帯電防止性を有する樹脂組成物が得られ
ず、30重量%を越えると、得られる樹脂組成物の機械
的強度及び耐熱性が低下する等物性バランスが崩れ、ビ
ニル化合物重合体本来の特性を失ってしまい好ましくな
い。
【0015】更に、(C)成分中のアミノ基の含有量が
0.1重量%未満では、得られる樹脂組成物の機械的強度
及び耐熱性が低下し、10重量%を越えると、永久的な
帯電防止性を得るために、多量の変性ポリエチレングリ
コールを使用することになり、樹脂組成物の機械的強度
が著しく低下してしまう。
【0016】本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造するた
めの混合は、通常の溶融混練装置を用いて行うことがで
きるが、好適に使用できる溶融混練装置としては、例え
ば、1軸又は2軸のスクリュー押出機、バンバリーミキ
サー、コニーダー及び混合ロール等がある。
【0017】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、用途に
応じて他の添加剤あるいは改質剤を加えることが可能で
あり、具体的には、難燃剤、滑剤及び着色剤等がある。
また、本発明は、帯電防止剤を加えることにより、更
に、良好な永久帯電防止性を向上させることができる。
【0018】帯電防止剤としては、グリセリン脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキ
シエチレンアルキルアミンの脂肪酸エステル、アルキル
スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩及び第4
級アンモニウム塩等が使用できる。
【0019】
【実施例】以下に実施例をもって本発明を更に詳細に説
明するが、本発明は、これらの例によって限定されるも
のではない。なお、(A)成分〜(C)成分として使用
した各重合体は以下のとおりである。 1) (A)成分:ポリスチレン樹脂(電気化学工業
(株)製、商品名 デンカスチロール GP)(以下a
−1という)、ゴム変成ポリスチレン樹脂(電気化学工
業(株)製、商品名 デンカスチロール HI)(以下
a−2という) 2) (B)成分:スチレン−グリシジルメタクリレート
共重合体 スチレンとグリシジルメタクリレートの重量比が95/
5(以下b−1という)、90/10(以下b−2とい
う)及び75/25(以下b−3という)
【0020】3) (C)成分:ポリエチレングリコール
(ジ)アミンエチレングリコール単位とアミノ基単位
の重量比が99.2/0.8(以下c−1という)、95
/5(以下c−2という)、85/15(以下c−3と
いう)及び100/0(以下c−4という) 4) 帯電防止剤:花王(株)製、商品名 エレクトロ
ストリッパーEA(以下d−1という)
【0021】実施例1〜9 表1及び表2に示す配合割合として20l容量のヘンシ
ェルミキサーに投入しブレンドした後、2軸同方向押出
機(東芝機械(株)製、TEM35B)にて押出しを行
いペレットを得た。このペレットを使用して射出成形機
により物性測定用試験片を作製し、帯電防止性及び各種
物性等を測定した。試験結果を表1及び表2に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】比較例1〜14 表3〜表5に示す配合割合とした以外は、実施例1と同
様な操作を行った。このペレットを使用して射出成形機
により物性測定用試験片を作製し、帯電防止性及び各種
物性等を測定した。試験結果を表3〜表5に示す。
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】実施例10及び11、比較例15及び16 表6に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様な操
作を行った。このペレットを使用して射出成形機により
物性測定用試験片を作製し、帯電防止性及び各種物性等
を測定した。試験結果を表6に示す。
【0029】
【表6】
【0030】なお、上記物性は、次の方法により測定し
た。 1) 落錘強度:射出成形によるステッププレート板
(1,2,3mm)の3mm部に、錘先端5R及び錘径
14mmφで重量50gの錘を落下させ、割れの発生し
ない高さで強度を示す。ステッププレート板の成形は、
新潟鉄工所(株)製、2オンスインラインスクリュー射
出成形機を用い、230℃で成形を行った。なお、射出
成形品は、樹脂の流れによる方向性を受けやすく、外部
からの力によって割れる際も、成形流れの方向に割れや
すい。この点落錘強度は、最もその方向性を見出しやす
いので、本発明では実際の状況にあった機械的強度の表
し方として、落錘強度を採用した。
【0031】2) 剛性:ASTM D−790に従
い、厚さ1/8”の射出成形品を用いて曲げ弾性率を測
定した。 3) 耐熱性:ASTM D−648に従い、厚さ1/
4”の射出成形品を用いて荷重18.6kg/cm2 で加熱変
形温度を測定した。 4) 流動性:ASTM D−1238に準拠して、温
度200℃、荷重5kgでメルトフローレート(MFR)
を測定した。
【0032】5) 帯電防止効果: <水洗無し>JIS K−6911に準拠して温度23
℃、湿度60%RHで表面固有抵抗値を測定した。 <水洗有り>成形品を水中で洗浄し、充分乾燥させた
後、JIS K−6911に準拠して温度23℃、湿度
60%RHで表面固有抵抗値を測定した。すなわち、永
久帯電防止効果の評価である。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、従来の帯電防止性樹脂
と比較して永久帯電防止性に優れ、経時劣化も起こさな
い、物性バランスにも優れた熱可塑性樹脂組成物を得る
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)ビニル化合物の重合体(A)成分
    と、ビニル化合物とエポキシ基を含有するビニル化合物
    との共重合体(B)成分からなる組成物70〜95重量
    並びに(ロ)ポリエチレングリコールアミンおよびポ
    リエチレングリコールジアミンから選ばれた1種以上の
    重合体で、かつそれぞれの重合体100重量%中、アミ
    ノ基量が0.1〜10重量%である重合体の(C)成分
    5〜30重量%であり、 しかも、前記エポキシ基を含有するビニル化合物の含有
    量が、前記重合体(A)成分及び共重合体(B)成分合
    計量100重量部中、0.1〜20重量%含有してなるこ
    とを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
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