JP3374132B2 - ダイオキシン類無害化除去剤およびその使用方法 - Google Patents
ダイオキシン類無害化除去剤およびその使用方法Info
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Description
出される汚濁水および排ガスに含まれるダイオキシン類
を無害化除去することができる処理剤および該処理剤を
担持した濾過剤並びにそれらの使用法に関する。
濁水中のダイオキシン類や排ガス中に含まれるダイオキ
シン類は環境衛生上、重大な社会問題となっている。
て、従来には大きく分けて物理化学的処理と生物処理が
ある。物理化学的処理としては、汚濁水中のダイオキシ
ン類を含んだ浮遊物質やコロイド物質を凝集剤でフロッ
クとして沈降分離し、加圧濾過を行なって水と汚泥に分
離し、その汚泥を焼却処理する方法がある。この処理法
は、1500℃以上での高温処理が必要となるために多
大な費用が掛かる。その為に、これらの汚泥は、焼却処
理をせずに最終処分場で廃棄処分されているのが現状で
ある。
解能力や代謝反応を利用し、汚濁水中のダイオキシン類
を無害化除去する処理法である。この処理法は微生物へ
の酸素の供給が不可欠であるため動力費がかさみ、また
処理に時間がかかるという問題がある。
気集塵機および、バグフィルターの設置が、いまだに主
流であり、他にはガス化溶融炉といった新たなシステム
も登場してきている。しかしいずれもダイオキシン類の
除去率、費用の面から考えると根本的な解決に至ってい
ないのが現状である。
は、焼却場や工場などから排出される汚濁水および排ガ
スに含まれるダイオキシン類を経済的にかつ簡単に無害
化除去することである。
塩、3価のアルミニウム塩、1 価のカリウム塩、硫酸ア
ルミニウムカリウム、塩化マグネシウム及び硫酸マンガ
ンを水に溶解含有させてなるダイオキシン類無害化除去
剤をダイオキシン含有の汚濁水に少量添加し攪拌するだ
けで汚濁水中のダイオキシン類を無害化除去でき、かつ
該剤を開放孔を有する多孔質無機物質に付着(担持)さ
せそして乾燥させて得られる濾過剤に、ダイオキシン類
を含んだ排ガスを通過接触させるだけで、環境基準値
(0.1 mg−TEQ/m3N)を大幅にクリアーすることを可能と
することを見出した。
ているのは、Fe2(SO4)3 、Fe(NO3)3、FeCl3 、FeBr3 等
の化合物である。
として適しているのは、Al2(SO4)3、Al(NO3)3、AlC
l3 、AlBr3 等の化合物である。
て適しているのは、例えば塩化カリウム(KCl)等であ
る。
ウムはKAl(SO4 )2 で表され、カリウムミョウバ
ンとも称される。排ガス中のダイオキシン類を無害化除
去する場合、硫酸アルミニウムカリウムのアルミン酸が
解離してイオン化し、凝集作用を発揮し、カリウム塩は
ダイオキシン類の粒子を疎水化させる作用を果たし、正
荷電が排ガス中のダイオキシン類の粒子に対して凝集剤
として作用し、その際に有機塩素化合物であるダイオキ
シン類の塩素基を分断し、解離させる。
Cl2)は本剤中において凝結、凝集作用を向上させる作用
をする。
4 、Mn2(SO4)3 がある。硫酸マンガンは本剤中において
ダイオキシン類の塩素基を分断、解離する作用を助ける
作用をする。
水中には、微細な粒子が浮遊しており、それ自体が電気
を帯びているため粒子同士がお互いに反発しあってお
り、これが汚濁の原因となっている。
3価の鉄塩と1価のカリウム塩はこの水中に浮遊してい
るダイオキシン類を含んだ粒子間に電気的に働いている
斥力を減じファンデルワールス力による粒子間の相互引
力を強力にし、フロックとして、沈降分離させる作用を
果たし、1価のカリウム塩は凝集沈降した粒子を疎水化
させる働きをする。硫酸アルミニウムカリウムは、汚濁
水に添加することにより、アルミン酸が解離してイオン
化し、浮遊粒子に対して凝集作用を果たす。
化除去剤は、イオン価の異なる物質を配合し、各成分に
とって溶媒である水に一度に、または段階的に添加して
行なう。溶解の容易さ及び製造された剤の取扱の容易さ
から溶液全体を基準として25重量%まで、特に好まし
くは5〜10重量%の濃度で製造するのが好ましい。
害化除去に使用する場合には、必要に応じてキトサン等
のカリオン系高分子凝集剤、アルギン酸またはナトリウ
ム塩等のアニオン系高分子凝集剤、pH調整剤を助剤と
して添加してもよい。これらのカチオン−及びアニオン
系高分子凝集剤は、本発明の主成分である金属塩に反応
し難い浮遊粒子をこれらの剤の長い鎖状の分子が捕らえ
結合、凝集する働きをするため助剤として使用すること
ができる。pH調整剤は、汚濁水中の溶在物質を水酸化
物や硫化物として析出させ、フロックとして沈降分離さ
せる働きをするため、本発明の剤との反応をより円滑に
行なわせるために使用するものである。
類の無害化除去のメカニズムは明確にはわかっていない
が、本剤を汚濁水に添加、攪拌し、汚濁水中の浮遊粒子
を電気的に反応させ、粒子間のファンデルワールス力に
よる引力を強化することによって凝集結合させる過程で
ダイオキシン類の塩素基を分断、解離し、無害な類似塩
素化合物に変化させると考えられる。
際に使用する、本剤を付着させる開放孔を有する多孔質
無機物質は、本剤の主成分である上記の各種塩が多孔質
無機物質の多孔質内を含めた表面に多量に付着し得るも
のであればよく、例えばゼオライト、セピオライト等の
鉱物、活性炭、活性アルミナ、活性白土、多孔質セラミ
ックス、珪藻土を1000℃以上の高温で焼成して得ら
れる多孔質ソフトセラミックス等がある。この内、安価
で、かつ著しく多孔質である点から多孔質セラミックス
または活性炭が特に有利である。
化濾過剤は、上述の通り上記の各塩を配合し、各塩にと
って溶媒である水に溶解可能な濃度で溶解配合し、これ
を多孔質物質に含浸、乾燥させることによって製造され
る。溶解は、水に一度にまたは段階的に添加して行な
う。溶解の容易さ及び取扱の容易さから、溶液全体を基
準として25重量%まで、特に好ましくは、5〜10重
量%の濃度の水溶液を製造するのが好ましい。この水溶
液を開放孔多孔質の無機物質に付着(担持)させて得ら
れた物質をフィルター状として、ガス体をこれに通気さ
せた場合に、含まれるダイオキシン類が除去される。本
発明の濾過剤によるダイオキシン無害化除去の理論は明
確にはわかっていないが、以下のような過程で無害化除
去されるていると考えられる。
過させた時に正電荷を帯びたフィルターに付着している
無機金属塩が負電荷をおびたダイオキシン類の微粒子と
電気的に結合することにより、お互いが電気的に中和し
て電荷を失い、ファンデルワールスによる粒子間の引力
が強化され、ダイオキシン類の微粒子が物理的に無機金
属塩に吸着される。そして該無機金属塩による触媒作用
により有機塩素化合物であるダイオキシン類の塩素基を
分断し、解離し無害化な類似塩素化合物に変化させるも
のと考えられる。
場合に使用される本発明の濾過剤は、該濾過剤を実際に
使用する際に、増量剤として多孔質無機物質、例えばゼ
オライト、セピオライト等の鉱物、活性炭、活性アルミ
ナ、活性白土、多孔質セラミックス、多孔質ソフトセラ
ミックス等と混合して使用してもよい。この多孔質無機
物質の使用量は使用目的およびダイオキシン類の濃度お
よび規模に応じて変更することができる。
説明するが、本発明は実施例に限定されない。
処理剤水溶液を得る: Fe2(SO4)3 29g Al2(SO4)3 35g KCl 11g KAl(SO4)2 15g MgCl2 10g MnSO4 10g実施例2: 処理剤の製造 水1Lに対して下記の通りの各成分を配合し、攪拌して
処理剤水溶液を得る: Fe2(SO4)3 42g Al2(SO4)3 45g KCl 35g KAl(SO4)2 10g MgCl2 35g MnSO4 10g実施例3: 汚濁水中のダイオキシン類無害化除去処理:
ダイオキシン類の濃度が500ng−TEQ(毒性当量)/L
の汚濁水を検体としてビーカーに採取し、実施例1で製
造された15〜21mLの処理剤を添加、攪拌した。さら
に助剤として4 g のキトサンを、次いで5gのアルギン酸
を添加し、攪拌し汚濁水中のダイオキシン類の無害化除
去を行なった。
−TEQ(毒性当量:2,3,7,8 −テトラクロロジベンゾ−p
−ジオキシンを毒性当量1とする)/Lの高濃度で含有
していた汚濁水を以下のデータが示す通り無害化除去す
ることに成功した。処理後のダイオキシン類濃度の分析
は、水と、凝集沈降処理した微粒子残さの両方について
行なった。結果データを以下に示す。
キシン類を無害化除去するのに非常に有効である。
化除去処理:表2に記載のダイオキシン類濃度を有する
汚濁水(処理前の水)を、実施例1に記載した処理剤を
使用して実施例3と同様に無害化処理した。処理結果を
「処理後の水」として表2に掲載した。
トセラミックを得る。これの500gに、実施例2で製
造された処理剤250gを含浸させ乾燥する。520g
の嵩密度0.33〜0.32g/mLの濾過剤を得る。
化除去処理:千葉県千葉市のS焼却炉場(日量450t
処理)から排出される排ガス中のダイオキシン類を、除
去するために煙道を通過してきた排ガスをブロアーで吸
引し、実施例5の方法で製造された濾過剤を5m3 充填
したフィルター層に送り込み、通過、接触させた。その
結果、以下のデータが示す通り、基準値の0.1ng/
m3 を大幅にクリアーした。除去処理前後の比較データ
を以下に示す。
除去剤は該ガス中のダイオキシン類に対して触媒として
作用して無害な類似塩素化合物とする。
焼却施設をはじめとするあらゆる産業分野で発生するダ
イオキシン含有の廃水および排ガスのダイオキシン類を
経済的にかつ簡単に無害化除去するのに非常に有効であ
り、産業界に多大な貢献をするものである。
Claims (5)
- 【請求項1】 3価の鉄塩、3価のアルミニウム塩、1
価のカリウム塩、硫酸アルミニウムカリウム、塩化マグ
ネシウム及び硫酸マンガンを水に溶解含有させてなるダ
イオキシン類無害化除去剤。 - 【請求項2】 請求項1に記載のダイオキシン無害化除
去剤をダイオキシン類に汚染された汚濁水に少量添加
し、攪拌することを特徴とする、ダイオキシン類の無害
化除去方法。 - 【請求項3】 請求項1に記載のダイオキシン無害化除
去剤を、開放孔を有する多孔質無機物質に付着させそし
て乾燥させて得られるダイオキシン類無害化濾過剤。 - 【請求項4】 多孔質無機物質が珪藻土を1000℃以
上の高温で焼成することによって得られるソフトセラミ
ック、または活性炭である請求項3に記載の濾過剤。 - 【請求項5】 請求項3または4に記載の濾過剤をガス
体のダイオキシン類の無害化に使用する方法。
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