JP3367150B2 - フッ素及び過酸化水素含有水の処理方法 - Google Patents

フッ素及び過酸化水素含有水の処理方法

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直人 一柳
征弘 古川
利広 岡部
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Kurita Water Industries Ltd
NEC Corp
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NEC Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフッ素及び過酸化水素
有水の処理方法に係り、特に、半導体製造工程等から排
出される、過酸化水素を含むフッ素含有水をフッ素吸着
樹脂を用いて処理する方法において、フッ素吸着樹脂の
劣化を有効に防止して、効率的な処理を行なう方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】フッ素含有排水の処理方法として、フッ
素吸着樹脂(フッ素キレート樹脂など)を用いる方法
は、フッ素イオンを選択的に除去することができ、良好
な処理水質を得ることができることから、近年、多く採
用されている。
【0003】しかし、被処理排水中に過酸化水素等が含
有される場合、フッ素吸着樹脂は、当該過酸化水素の影
響を受けて劣化し、処理能力(フッ素除去能力)が低下
するという問題がある。例えば、水和酸化セリウムを含
むフッ素吸着樹脂は、そのセリウムイオンの酸化数によ
り水に対する溶解度が異なることから、過酸化水素との
接触により、吸着樹脂からセリウムイオンが溶出し、吸
着樹脂のフッ素吸着容量が低下することが確認されてい
る。
【0004】ところで、半導体製造工程から排出される
排水中には、フッ素と過酸化水素が含有されているた
め、フッ素吸着樹脂を用いる方法で、該排水の処理を行
なうためには、予め過酸化水素を除去する必要がある。
【0005】従来、過酸化水素の除去方法としては、重
亜硫酸ソーダ(NaHSO3 )をORP制御方式で添加
する方法が採用されている。また、活性炭の触媒作用で
過酸化水素を除去する方法も知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】重亜硫酸ソーダによる
過酸化水素の除去において、過剰の重亜硫酸ソーダが排
水中に残留すると、この重亜硫酸ソーダがフッ素吸着樹
脂を劣化させる原因となることから、重亜硫酸ソーダの
注入制御は正確に行なう必要がある。
【0007】しかしながら、ORP測定による重亜硫酸
ソーダ注入の終点を正確に求めることが困難であること
から、従来においては、残留重亜硫酸ソーダが生じない
ように、従って、未反応の過酸化水素が残留するように
重亜硫酸ソーダの注入制御が行なわれているのが現状で
あり、この結果、過酸化水素によるフッ素吸着樹脂の吸
着能力の低下は十分に防止されていない。
【0008】一方、活性炭による過酸化水素の除去方法
では、反応時間が長い上に、過酸化水素濃度1mg/l
以下の低濃度にまで過酸化水素を除去することが困難で
あるという欠点がある。
【0009】本発明は上記従来の問題点を解決し、フッ
及び過酸化水素含有水を、フッ素吸着樹脂で処理して
フッ素の除去を行なう方法において、フッ素吸着樹脂に
よる処理に先立ち、過酸化水素を効率的に除去すること
により、該過酸化水素によるフッ素吸着樹脂の吸着能力
の低下を有効に防止して、高水質の処理水を効率的に得
ることを可能とするフッ素含有水の処理方法を提供する
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のフッ素及び過酸
化水素含有水の処理方法は、フッ素含有水をフッ素吸着
樹脂と接触させて該水中からフッ素を除去する方法にお
いて、前記水に次亜塩素酸塩を添加した後、活性炭と接
触させて残留する次亜塩素酸塩を活性炭で吸着除去し、
次いでフッ素吸着樹脂と接触させることを特徴とする
【0011】
【作用】過酸化水素は次亜塩素酸塩との反応により極低
濃度にまで分解除去することができる。しかも、次亜塩
素酸塩はORP注入制御等により、正確に注入制御する
ことが可能である上に、過剰の次亜塩素酸塩は活性炭に
より極低濃度にまで吸着除去することができる。
【0012】従って、本発明の方法によれば、フッ素
び過酸化水素含有水から、過酸化水素を容易かつ効率的
に除去すると共に、過酸化水素の除去に用いた次亜塩素
酸塩の残留分をも容易かつ効率的に除去することができ
る。
【0013】このため、フッ素吸着樹脂による処理に供
される水には、過酸化水素及び次亜塩素酸塩が殆ど含ま
れることはなく、フッ素吸着樹脂の吸着能力の低下を防
止して、フッ素を効率的に除去して、高水質の処理水を
得ることが可能とされる。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照して本発明のフッ素及び過
酸化水素含有水の処理方法の実施例について詳細に説明
する。
【0015】図1は本発明のフッ素及び過酸化水素含有
水の処理方法の一実施例方法を説明する系統図である。
【0016】図中、1は調整槽であり、撹拌機1AとO
RP計1BとpH計1Cとを備える。2は活性炭吸着塔
であり、3はフッ素吸着樹脂塔である。
【0017】原水であるフッ素及び過酸化水素を含む水
は、配管11より調整槽1に導入され、配管12より次
亜塩素酸ナトリウム(NaClO)等の次亜塩素酸塩
と、必要に応じて塩酸(HCl),苛性ソーダ(NaO
H)等のpH調整剤が添加混合される。
【0018】本実施例において、次亜塩素酸ナトリウム
の注入制御はORP計によるORP電位の測定値に基い
て行なわれ、通常の場合、ORP値+350mV以上、
好ましくは+400〜+600mV程度となるように次
亜塩素酸ナトリウムの注入が行なわれる。
【0019】このような次亜塩素酸ナトリウムの注入制
御により、原水中の過酸化水素は1mg/l以下にまで
除去される。
【0020】調整槽1内で次亜塩素酸ナトリウムの添加
による過酸化水素の除去とpH調整を行なった水は、次
いで定量ポンプ13Aを備える配管13より活性炭吸着
塔2に導入され、活性炭と接触処理される。この処理に
より、調整槽からの水に、過剰の次亜塩素酸ナトリウム
が残留する場合であっても、残留次亜塩素酸ナトリウム
は、活性炭により1mg/l以下の低濃度にまで容易に
吸着除去される。
【0021】なお、この活性炭吸着塔の活性炭として
は、予め酸と接触させて不純物を溶出させたものを用い
るのが好ましい。この不純物溶出処理は、例えば、活性
炭を硫酸等の酸で洗浄することにより行なうことができ
る。
【0022】活性炭吸着塔2の処理水は、次いで配管1
4よりフッ素吸着樹脂塔3に送給され、含有されるフッ
素がフッ素吸着樹脂により効率的に吸着除去され、処理
水は配管15より系外へ排出される。この処理水は、通
常の場合、pH3〜7の酸〜中性であるため、放流する
場合には、必要に応じてpH調整を行なった後放流す
る。
【0023】本発明においては、このフッ素吸着樹脂に
よる処理にあたり、フッ素吸着樹脂塔3に導入される水
には、過酸化水素も次亜塩素酸ナトリウムも殆ど含有さ
れていないため、フッ素吸着樹脂の劣化を防止して、効
率的なフッ素吸着除去処理を行なえる。
【0024】なお、図示の方法において、次亜塩素酸ナ
トリウムの添加にあたり、調整槽を設置しているが、次
亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素との反応は化学反応で
あり、極めて短い時間で終了するため、次亜塩素酸ナト
リウムはライン注入方式で添加しても良い。また、添加
する次亜塩素酸塩としては、NaClOの他、Ca(C
lO)2 等を用いることができる。
【0025】以下に具体的な実施例、比較例及び参考例
を挙げて本発明をより詳細に説明する。
【0026】実施例1 フッ素186mg/l、過酸化水素112mg/lを含
む半導体工場の排水(pH2.3)に消石灰、ポリ塩化
アルミニウムを添加し、pH6.8に調整した後、沈殿
物を除去した。この上澄液はフッ素37mg/l及び過
酸化水素89mg/lを含むものであった。この液を原
水として用い、図1に示す方法に従って、原水の処理を
行なった。
【0027】なお、定量ポンプの吐出量は1リットル/
hrとし、活性炭としては「クラレコールKW10/3
0」((株)クラレ製)100mlを硫酸(H2 SO4
)と20分間渣浸接触させることにより酸洗浄したも
のを用い、フッ素吸着樹脂としては水和酸化セリウム5
0mlを用いた。
【0028】調整槽のpHが3、ORP電位が+600
mVとなるように、塩酸及び次亜塩素酸ナトリウムの注
入制御を行ない、20時間通水処理したところ、処理水
中のフッ素濃度は1mg/l以下、セリウム濃度は0.
5mg/l以下であり、フッ素吸着樹脂からのフッ素吸
着材であるセリウムイオンの溶出を抑えて、即ち、フッ
素吸着樹脂の劣化を防止して、フッ素を効率的に吸着除
去することができることが確認された。
【0029】比較例1 実施例1において、次亜塩素酸ナトリウムの添加を行な
わず(ORP電位は+160mVであった。)、また、
活性炭吸着塔を設けず、次亜塩素酸ナトリウムの添加及
び活性炭による処理を行なわなかったこと以外は同様に
して原水の処理を行なった。
【0030】その結果、処理水中のフッ素濃度は1mg
/l以下であったが、フッ素吸着樹脂のフッ素吸着材で
あるセリウムイオンが処理水中に7.4mg/l溶出し
ており、長時間の運転では、フッ素吸着樹脂中のセリウ
ム含有量が低下し、フッ素吸着能力が確実に低下するこ
とが予想された。
【0031】比較例2 実施例1において、活性炭吸着塔を設けず、活性炭によ
る処理を行なわなかったこと以外は同様にして原水の処
理を行なった。その結果、処理水中のフッ素濃度は1m
g/l以下であったが、セリウム濃度は1.6mg/l
であり、やはり、セリウムイオンの溶出が起こることが
確認された。
【0032】参考例1 実施例1において、酸処理を行なっていない活性炭を用
いたこと以外は同様にして処理を行なった。その結果、
処理水のフッ素濃度は1〜3mg/lであった。これ
は、活性炭溶出物と思われる物質がフッ素吸着を妨害し
たためと考えられた。
【0033】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のフッ素及び
過酸化水素含有水の処理方法によれば、フッ素及び過酸
化水素含有水を、フッ素吸着樹脂で処理してフッ素の除
去を行なう方法において、フッ素吸着樹脂による処理に
先立ち、過酸化水素を効率的に除去することにより、該
過酸化水素によるフッ素吸着樹脂の吸着能力の低下を有
効に防止して、高水質の処理水を効率的に得ることが可
能とされる。
【0034】本発明のフッ素及び過酸化水素含有水の処
理方法は、特に、半導体工程から排出されるフッ素と過
酸化水素とを含む水の処理に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフッ素及び過酸化水素含有水の処理方
法の一実施例方法を説明する系統図である。
【符号の説明】
1 調整槽 1A 撹拌機 1B ORP計 1C pH計 2 活性炭吸着塔 3 フッ素吸着樹脂塔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡部 利広 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−106887(JP,A) 特開 平5−92187(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/28 C02F 1/58

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素及び過酸化水素含有水をフッ素吸
    着樹脂と接触させて該水中からフッ素を除去する方法に
    おいて、前記水に次亜塩素酸塩を添加した後、活性炭と
    接触させて残留する次亜塩素酸塩を活性炭で吸着除去
    し、次いでフッ素吸着樹脂と接触させることを特徴とす
    るフッ素及び過酸化水素含有水の処理方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、ORP
    計によって前記水への次亜塩素酸塩の注入制御を行うこ
    とを特徴とするフッ素及び過酸化水素含有水の処理方
    法。
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