JP3366018B2 - ポリフェニレンエーテル共重合体及びこれを含む樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンエーテル共重合体及びこれを含む樹脂組成物

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JP3366018B2
JP3366018B2 JP12928392A JP12928392A JP3366018B2 JP 3366018 B2 JP3366018 B2 JP 3366018B2 JP 12928392 A JP12928392 A JP 12928392A JP 12928392 A JP12928392 A JP 12928392A JP 3366018 B2 JP3366018 B2 JP 3366018B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、熱安定
性、機械的強度、成形性、耐溶剤性に優れたポリフェニ
レンエーテル−ポリオレフィン共重合体、及び該共重合
体を含む熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐熱
性、機械的強度、電気特性、寸法安定性、耐水性に優れ
た性質があるが、耐溶剤性に劣り、また、成形加工性が
悪いという欠点を有している。ポリフェニレンエーテル
の耐溶剤性と成形加工性を改良するための技術として、
ポリフェニレンエーテルにポリオレフィンを配合する種
々の試みがなされている。例えば、特公昭42−706
9号公報には、ポリフェニレンエーテル樹脂にポリオレ
フィン樹脂を混合することが提案されているが、ポリフ
ェニレンエーテルとポリオレフィンは相溶性が乏しく、
ポリオレフィンを大量に添加すると成形物が層状剥離を
起こしてしまう。また、特開昭63−83149号公報
には、ポリフェニレンエーテルとポリオレフィンと部分
水素添加アルケニル芳香族化合物−共役ジエンブロック
共重合体からなる樹脂組成物が、特願昭63−2763
14号(WO 9105016号)には、連続相をポリ
フェニレンエーテルとし、特定粒径で分散したポリオレ
フィン外層にビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共
重合体及びその水素添加物から選ばれる少なくとも一種
の共重合体が凝集した樹脂成形体が提案されているが、
アルケニル芳香族化合物を含有するために耐熱性が不充
分であり、且つ厳しい成形条件下では、フローマークを
生じてしまうという問題点がある。
【0003】また、特開昭61−53355号公報に
は、グリシジル基を有するポリオレフィンとポリフェニ
レンエーテルからなる組成物が提案されているが、機械
的強度、耐熱性の改良は不充分である。特開昭63−1
28056号公報(USP4914153号、EP26
8486号)には、酸無水物で変性したポリフェニレン
エーテルと、グリシジルメタクリレート等とビニルまた
はビニリデン化合物で変性したポリオレフィンと、ジア
ミン等の結合剤からなる樹脂組成物が提案されている。
この組成物では、機械的強度や耐溶剤性は或る程度改良
されているが、変性ポリオレフィンが必須成分として、
例えばスチレン等を含有するため、耐熱性は不充分であ
る。特開平2−173137号公報には、ポリフェニレ
ンエーテル、アミノ基含有変性ポリオレフィン、極性基
含有ポリフェニレンエーテル、ポリオレフィンからる樹
脂組成物が提案されているが、機械的強度は不十分であ
る。また、公表平2−500283号公報(WO 88
08433号)には、ポリフェニレンエーテルと官能基
を有する置換オレフィンとの反応生成物と、これと反応
性のポリオレフィンとからなる組成物が提案されている
が、十分な機械的強度を示していない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
フェニレンエーテルの成形性、及び耐溶剤性を改良する
と共に、耐熱性、熱安定性、機械的強度に優れた、新規
な熱可塑性樹脂材料を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリフェ
ニレンエーテル及びポリオレフィンを基本成分とする耐
熱性、熱安定性、耐溶剤性、成形加工性、機械的強度に
優れた熱可塑性樹脂を開発すべく鋭意検討を重ねた結
果、特定の溶融粘度をそれぞれ有するポリフェニレンエ
ーテルとポリオレフィンが、特定の構造で共有結合した
重合体を形成することで、その目的を達成しうることを
見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。
【0006】すなわち、本発明は; (A) MI(280℃、10kg荷重)が0.01
〜10g/10分の変性ポリフェニレンエーテルとMI
(230℃、2.16kg荷重)が1.0〜50g/1
0分である変性ポリオレフィンとを、結合剤の存在下ま
たは非存在下に反応させて得られる、ポリフェニレンエ
ーテルブロックとポリオレフィンブロックが下記式(1)
の形で共有結合していることを特徴とする、ポリフェニ
レンエーテル−ポリオレフィン共重合体を提供する。ま
た、 P−Z1 −R1 −Z2 −Q ・・・・(1) 〔式中、Pはポリフェニレンエーテル成分、Qはポリオ
レフィン成分であり、Z1 酸イミド残基酸アミド残
、式(2)または式(3)で表される結合基であり、
【化7】 (Xはアルキレン基、アリレン基、シクロアルキレン
基、イソシアナートの二量体または三量体からなる環化
物を表す。)
【化8】 2 酸イミド残基酸アミド残基または式(4) で表
される結合基であり、
【化9】 1 はアルキレン基、アリレン基、シクロアルキレン基
である。〕
【0007】 (A)成分と、 (B) ポリフェニレンエーテルおよび/またはカルボン酸
基、そのエステル誘導体基、酸無水物基、エポキシ基、
アミノ基、イソシアネート基から選ばれる官能基を有す
る変性ポリフェニレンエーテル、 (C) ポリオレフィンおよび/またはカルボン酸基、その
エステル誘導体基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基
から選ばれる官能基を有する変性ポリオレフィン、 (D) エラストマー、からなり、(A)、(B) 、(C) の合計
100重量部に対して (A) 1〜99重量部、 (B) 0〜95重量部、 (C) 0〜95重量部、 (D) 0〜30重量部含むことを特徴とする、熱可塑性樹
脂組成物である。好ましくは、
【0008】 (A) 成分、(B) 成分、(C) 成分 からなり、(A) 、(B) 、(C) の合計100重量部、但
し、 (A)1〜99重量部、 (B) 0〜95重量部、 (C) 0〜95重量部、 の熱可塑性樹脂(組成物)にも特徴を有し、また、
【0009】 (A) 成分、(D) 成分とからなり、 (A) 100重量部に対して、 (D) 1〜30重量部、 を含む熱可塑性樹脂組成物にも特徴を有する。
に、(A) 、(B) 、(C) 、(D) 成分からなり (A) 、(B) 、(C) の合計100重量部に対して、 (A) 1〜99重量部、 (B) 0〜95重量部、 (C) 0〜95重量部、 (D) 1〜30重量部、 を含む熱可塑性樹脂組成物にも特徴を有する。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて用いられるポリフェニレンエーテル(A)は、 一般式(5):
【化10】 (式中のR2 及びR3 の少なくとも一方は直鎖状又は第
一級若しくは第二級分枝鎖状の炭素数1〜4のアルキル
基、ヒドロキシアルキル基又はハロアルキル基、アリー
ル基、ハロゲン原子、残りは水素原子であって、これは
同一であってもよいし、互いに異なってもよい) で示される繰り返し単位からなる単独重合体、前記一般
(5) で示される繰り返し単位と一般式(6) :
【化11】 (式中のR4 、R5 、R6 及びR7 は、それぞれ直鎖状
又は第一級若しくは第二級分枝鎖状の炭素数1〜4のア
ルキル基、ヒドロキシアルキル基又はハロアルキル基、
アリール基、ハロゲン原子、水素原子などであって、こ
れらは同一であってもよいし、互いに異なってもよい
が、R4 及びR5 は同時に水素原子になることはない) で示される繰り返し単位とからなる共重合体である。
【0011】ポリフェニレンエーテルの単独重合体の代
表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェ
ニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−
1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチ
ル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル
−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、
ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレ
ン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−
1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6
−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ
(2−メチル−6−クロロ−1,4−フェニレン)エー
テル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,
4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ク
ロロエチル−1,4−フェニレン)エーテルなどのホモ
ポリマーが挙げられる。ポリフェニレンエーテル共重合
体は、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾール又
は一般式(7) ;
【化12】 (式中のR4 、R5 、R6 及びR7 は、前記と同じ意味
をもつ) で表される2,3,6−トリメチルフェノールなどのア
ルキル置換フェノールと共重合して得られるポリフェニ
レンエーテル共重合体を包含する。これらのうちで好ま
しいものは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニ
レン)エーテルである。
【0012】また、本件発明の変性ポリフェニレンエー
テル共重合体を製造するための原料となるポリフェニレ
ンエーテルは、その重合度が単独重合体、共重合体とも
に固有粘度〔η〕(クロロホルム溶液、30℃)で0.
30〜1.5、好ましくは0.4〜1.0の範囲のもの
が好適に用いられる。
【0013】本発明において、用いられるポリオレフィ
ンは、炭素数2〜20のα−オレフィン、例えばエチレ
ン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチ
ルペンテン−1、イソブチレン等からなる単独重合体ま
たは、これらのα−オレフィンの二種類以上からなる共
重合体があり、さらに、これらと1,4−ヘキサジエ
ン、ジシクロペンタジエン、2,5−ノルボナジエン、
5−エチル−2,5−ノルボナジエン、5−エチリデン
ノルボルネン、ブタジエン等のジエンとの共重合体、酢
酸ビニル、アクリル酸エステル等のオレフィン誘導体と
の共重合体が含まれる。これらのポリオレフィンのう
ち、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレンであ
り、特に好ましいものはポリプロピレンである。
【0014】式(1)で示されている結合基Z1 は、酸イ
ミド残基酸アミド残基、式(2) または式(3)で表され
る結合基であり、
【化13】
【化14】 酸イミド残基はアミンと酸無水物との反応、酸アミド残
はアミンとカルボン酸との反応、式(2) で表される結
合残基はポリイソシアネート化合物と−OH基及びアミ
ンとの反応、
【化15】 、式(3) で表される結合残基はエポキシとアミンとの反
応によって形成されうる。
【化16】
【0015】具体的には、酸イミド残基しては、以下
の式(8) 構造を挙げることができる。
【化17】
【0016】酸アミド残基しては、以下の式(9)
造を挙げることができ
【化18】
【0017】式(3)で表される結合基としては、式(1
0)等の構造を挙げることができ
【化19】
【0018】式(2) 中のXは、アルキレン基、アリレン
基、シクロアルキレン基、イソシアネートの二量体また
三量体からなる環化物基を表し、
【化20】 具体的には、式(11)等の構造が挙げられ
【化21】 結合基Z2 は、酸イミド残基酸アミド残基または
(4) で表される結合基であり、具体的には、前述と同
様である。
【化22】
【0019】R1 は、具体的には、エチレン、プロピレ
ン、ヘキサメチレン、ドデシレンなどの炭素数1〜12
のアルキレン基、フェニレン基、ジフェニレン基、シク
ロヘキシレン基等のアリレン基、シクロアルキレン基を
挙げることができ。本発明の目的のためには、前
如く、ポリフェニレンエーテルブロックとポリオレフィ
ンブロックからなる共重合体を得るものであり、この共
重合体を含むポリフェニレンエーテル、ポリオレフィン
等との組成物が耐熱性、機械的特性に優れ且つ厳しい成
形条件で成形された成形物に剥離あるいはフローマーク
等を生じないことを見出した。更に、上記の特性をより
高めるためには、共重合体を得るための原料となる変性
ポリフェニレンエーテル、変性ポリオレフィンの溶融粘
性の間に最適範囲があることを見出した。
【0020】以下、変性ポリフェニレンエーテル、変性
ポリオレフィンについて先ず説明する。本発明に用いら
れる変性ポリフェニレンエーテルとは、MI(280
℃、10kg荷重)が0.01〜10g/10分、好ま
しくは0.1〜8g/10分の変性ポリフェニレンエー
テルである。MIが0.01g/10分より小さい場合
は、ポリフェニレンエーテルとポリオレフィンの結合が
十分進まず、望ましい共重合体とはならない。即ち、該
共重合体を用いポリフェニレンエーテルとポリオレフィ
ンとの組成物とした場合、層剥離が生じたりフローマー
クが起こり易い。例えば、比較例6に示すように、MI
が0.01g/10分より小さい変性ポリフェニレンエ
ーテルを用いると剥離が生じてしまう。10g/10分
を越える場合は機械的強度が低下したり、ウエルドライ
ンが目立ったりしてくる。
【0021】具体的な変性ポリフェニレンエーテルを製
造する手段として以下の方法を挙げることができるが、
これらに限定されるものでない。例えば、(変性法A−
1):無水マレイン酸、トリメリット酸無水物クロライ
ド、クロルエタノイルこはく酸無水物、クロルホルミル
こはく酸無水物等の酸無水物;フマール酸、アクリル
酸、ブテン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸等の不飽和カ
ルボン酸;或いはこれらの不飽和カルボン酸のエステ
ル;グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレ
ートなどのエポキシ化合物;ヘキサメチレンジイソシア
ネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、ジシクロ
ヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシ
アネート、フェニレンジイソシアネート、トルエンジイ
ソシアネート、キシレンジイソシアネート、ナフタレン
ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、ジメ
チルジフェニレンジイソシアネート等のジイソシアネー
ト化合物;或いはトリフェニルメタントリイソシアネー
ト、ベンゼントリイソシアネート等のトリイソシアネー
ト化合物;或いは上記ジイソシアネート化合物の2量
体、3量体等の多量体化物或いは上記イソシアネート化
合物のアルキル基、アリル基、アリール基、ヘテロ原子
を含む置換基等による置換体、或いは上記イソシアネー
ト化合物の異性体、或いは上記イソシアネート化合物と
分子量3,000以下のアルコール、カルボン酸を持つ
化合物との反応生成物(イソシアネート基が残っている
もの)等から選ばれる化合物とポリフェニレンエーテル
とを反応させる方法。
【0022】或いは、(変性法A−2):上記酸無水
物、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のエステル、
エポキシ化合物、イソシアネート化合物から選ばれる化
合物と、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、
キシリレンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミ
ン、1,3−シクロヘキサンジアミン等の脂肪族、芳香
族、脂環族ジアミンとの反応生成物(アミノ基が残って
いるもの)とポリフェニレンエーテルとを反応させる方
法。
【0023】或いは、(変性法A−):上記酸無水
物、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のエステル、
エポキシ化合物、イソシアネート化合物等から選ばれる
化合物とポリフェニレンエーテルとを反応させた後、上
記脂肪族、芳香族、脂環族ジアミンを反応させる方法を
挙げることができる。これらの化合物のポリフェニレン
エーテルへの好ましい結合量は;1.5×10-5モル/
g〜20.0×10-5モル/g、より好ましくは2.5
×10-5モル/g〜18.0×10-5モル/gである。
【0024】本発明に用いられる変性ポリオレフィンと
は、MI(230℃、2.16kg荷重)が1.0〜5
0g/10分、好ましくは3.0〜40g/10分の変
性ポリオレフィンである。これにより、本発明の範囲外
の低粘度の変性ポリオレフィンを用いた変性ポリフェニ
レンエールとのブロック共重合体ではなし得なかった機
械的強度の向上、層剥離の改善を成し遂げることができ
るものである。即ち、変性ポリオレフィンのMIが50
g/10分を越える場合は、ポリフェニレンエーテルと
ポリオレフィンの結合が十分進まず、ポリフェニレンエ
ーテルとポリオレフィンとの組成物とした場合、層剥離
やフローマークが起こり易く、1.0g/10分より下
回る場合は機械的強度が低下したり、ウエルドラインが
目立ったりしてくる。例えば、比較例5及び7に示すよ
うに、MIが60g/10分及び200g/10分のも
のは、成形品に剥離が生じてしまう。具体的なポリオレ
フィンの変性手段として以下の方法を挙げることができ
るが、これらに限定されるものではない。
【0025】例えば、(変性法B−1):フマール酸、
アクリル酸、ブテン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸等の
不飽和カルボン酸;あるいはこれらの不飽和カルボン酸
のエステル;無水マレイン酸等の酸無水物;グリシジル
アクリレート、グリシジルメタアクリレートなどのエポ
キシ化合物等から選ばれる化合物とポリオレフィンとを
反応させる方法。或いは、(変性法B−2):上記酸無
水物、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のエステ
ル、エポキシ化合物から選ばれる化合物と、エチレンジ
アミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミ
ン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロ
ヘキサンジアミン等の脂肪族、芳香族、脂環族ジアミン
との反応生成物(アミノ基が残っているもの)とポリオ
レフィンとを反応させる方法。或いは、(変性法B−
3):上記酸無水物、不飽和カルボン酸、不飽和カルボ
ン酸のエステル、エポキシ化合物から選ばれる化合物と
ポリオレフィンとを反応させた後、上記脂肪族、芳香
族、脂環族ジアミンを反応させる方法を挙げることがで
きる。
【0026】これらの反応は、溶融状態で混練する方法
或いは溶液状態で攪拌によって混合する方法が採られ
る。溶融混練法で行う場合、混練温度に特に制限はない
が、一般には150〜350℃の温度が好適であり、混
練機としては、具体的には、押出機、バンバリーミキサ
ー、ロールニーダー等が挙げられる。溶液法としては、
例えば熱キシレンの還流下に攪拌を行う方法が挙げられ
る。溶融法、溶液法共に、必要によっては、パーオキサ
イド等の反応助剤を添加してもよい。このうち、溶融混
練によって行う方法が好ましい。これらの変性に用いる
原料たるポリオレフィンの好ましいMI(230℃、
2.16kg荷重)は0.5〜40g/10分、より好
ましくは0.5〜30g/10分である。ポリオレフィ
ンを変性することにより、分子量の低下を伴うため、原
料のポリオレフィンのMIが40g/10分を越える場
合には、MIが50g/10分以下の変性ポリオレフィ
ンを製造しにくくなるので好ましいものとはならない。
【0027】これらの化合物のポリオレフィンへの好ま
しい結合量は、3.0×10-5モル/g〜25.5×1
-5モル/gの範囲、好ましくは4.0×10-5モル/
g〜20.0×10-5モル/gである。結合量が3.0
×10-5モル/gより少ない場合は、変性ポリフェニレ
ンエーテルとの結合が十分行われない。また、25.5
×10-5モル/gより多い場合はMIが50g/10分
以下の変性ポリオレフィンを得るのが難しくなり、この
ため、層剥離やフローマークが起こり易くなる。
【0028】本発明に用いる結合剤とは、上記(変性法
A−1)で得られる変性ポリフェニレンエーテルと、
(変性法B−1)で得られる変性ポリオレフィンとを溶
融混練して(1) 式の共重合体を得るために用いる化合物
であって、具体的には、エチレンジアミン、ヘキサメチ
レンジアミン、キシリレンジアミン、1,2−シクロヘ
キサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン等の
脂肪族、芳香族、脂環族ジアミンが挙げられる。結合剤
の添加量は、(変性法A−1)で得られる変性ポリフェ
ニレンエーテルと、(変性法B−1)で得られる変性ポ
リオレフィンの配合量比、及び変性ポリマーへの変性剤
の量によって異なるが、好ましくは配合物中の変性剤含
量に対し0.1〜2.0倍モル量、より好ましくは0.
5〜1.5倍モル量である。なお、本発明の変性ポリフ
ェニレンエーテルと変性ポリオレフィンとの共重合体の
MIは、変性ポリフェニレンエーテルと変性ポリオレフ
ィンのMIにより本質的に定まり、その上限は50g/
10分となる。
【0029】以下、本発明の変性ポリフェニレンエーテ
ルと変性ポリオレフィンとからなる共重合体を用いた熱
可塑性樹脂組成物(請求項2〜)について説明する。
請求項2〜に記載したエラストマーはヤング率が1,
020kg/cm2 以下であれば特に制限はない。例え
ば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、
スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ス
チレン−ブタジエン共重合体、エチレン−α−オレフィ
ン共重合体、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重
合体、アクリルゴム、ポリイソプレンなどのゴム質重合
体、さらにスチレン−ブタジエンブロック共重合体、ス
チレン−イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン
−ブタジエンブロック共重合体、スチレングラフトエチ
レン−プロピレンエラストマー、エチレン系アイオノマ
ー樹脂などの熱可塑性エラストマーがあり、またこれら
の重合体を、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ
基、ヒドロキシル基、アミノ基などで変性したものでも
よく、これらを重合体の中の2種以上を組合せたもので
も良い。好ましいエラストマーとしては、スチレン−ブ
タジエン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合
体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化ス
チレン−ブタジエンブロック共重合体などが挙げられ、
これらをカルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基など
で変性したものが挙げられる。
【0030】本発明の熱可塑性樹脂組成物において、ポ
リフェニレンエーテル共重合体(A)の配合量は、全成分
の合計に対して1〜99重量部で配合され、好ましくは
30〜99重量部の範囲である。(B) 成分であるポリフ
ェニレンエーテルまたは変性ポリフェニレンエーテルの
配合量は、95重量部以下が好適に用いられる。(B) 成
分が95重量部を超える場合には耐溶剤性が悪くなるた
め、本発明の目的には好ましくない。このポリフェニレ
ンエーテルは前述した変成ポリフェニレンエーテルを製
造するための原料として記載したポリフェニレンエーテ
ルと同一のものでよく、好ましくは、ポリ(2,6−ジ
メチル−1,4−フェニレンエーテル)である。変成ポ
リフェニレンエーテルも前述した変成ポリフェニレンエ
ーテルとして記載した同一のものでよく、それらの変成
手段も同様の方法を用いうる。
【0031】(C) 成分であるポリオレフィンまたは変性
ポリオレフィンの配合量は95重量部以下が好適に用い
られる。(C) 成分が95重量部を超える場合には耐熱性
が不充分となり、本発明の目的に好ましくない。このポ
リオレフィンは前述した変性ポリオレフィンの原料とな
るポリオレフィンとして記載した同一の構造の物が用い
られ、変成ポリオレフィンも同様である。このポリオレ
フィンのMIは0.5〜50、好ましくは1.0〜50
である。本発明の熱可塑性樹脂組成物において、エラス
トマーの配合量は1〜30重量部、好ましくは3〜15
重量部である。この範囲以外、例えば、エラストマーが
1重量部未満では耐衝撃性に劣り、30重量部以上では
剛性が低下し、好ましくない。
【0032】本発明の組成物を構成する各成分の配合方
法は、特に限定されないものであるが、例えば、各成分
を一括配合し、溶融混練する方法;共重合体とポリオレ
フィンを溶融混練後、さらにポリフェニレンエーテルと
エラストマーを配合し、溶融混練する方法;ポリフェニ
レンエーテルとエラストマーを溶融混練した後、共重合
体とポリオレフィンの混合物を配合して溶融混練する方
法;共重合体とポリオレフィンを溶融混練した後、共重
合体とポリフェニレンエーテル、エラストマーの混合物
を配合して溶融混練する方法等があり、またこれに限定
されず、他のいずれの方法で行っても構わない。
【0033】本発明の共重合体及び組成物には、所望に
応じて、可塑剤、帯電防止剤、ハロゲン系、リン系の難
燃剤、酸化防止剤、あるいはガラス繊維、ガラスフレー
ク、カーボンブラック、シリカ、クレー、マイカ、タル
ク、カオリン、ウオラストナイト、炭酸カルシウムなど
の無機充填剤などを、本発明の目的を損なわない範囲内
で添加することができる。
【0034】本発明の共重合体及び樹脂組成物の成形体
においては、連続相を、ポリフェニレンエーテル及び/
又は変性ポリフェニレンエーテルが形成しても、ポリオ
レフィン及び/又は変性ポリオレフィンが形成しても構
わない。いずれの場合でも、分散相の70%以上は、5
μm以下の粒径であることが好ましく、より好ましくは
80%以上が5μm以下であることである。
【0035】但し、ここに言う割合とは、成形体の断面
を電子顕微鏡等の手段で観察した際に見られる、分散相
の総面積S0 に対する粒径5μm以下の粒子の総面積S
1 の 比:S1 /S0 ×100(%)で表す。 例えば、比較例1(電子顕微鏡写真参照)のように5μ
m以下の分散粒子の割合が50%以下の場合は機械的強
度が不十分である。
【0036】
【実施例】次に、実施例により、本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定
されるものではない。 (参考例1) 固有粘度0.55(30℃、クロロホルム中)、MI
(280℃、10kg荷重)が2.3g/10分である
ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテ
ル)(以下、PPEと略称する)100重量部に、無水
マレイン酸(以下、MAHと略称する)1重量部を添加
し、二軸押出機(中谷機械(株)製、AS−30)に供
給し、320℃、120rpmで溶融混練し、ペレット
化した。得られたペレットのうち、2gをトルエン38
gに溶解し、5重量%トルエン溶液とした後、この溶液
にアセトン160gを加えてポリマーを沈澱させた。ポ
リマーを濾別し、アセトンで洗浄後、乾燥した(減圧
下、145℃、1時間)。得られた試料の赤外分光分析
を行い、PPEとMAHとから前もって作成しておいた
検量線を用いて、PPEに結合したMAHの重量%を算
出し、MAHの結合量とした。結合量は0.53重量%
であった。また、このポリマーのMI(280℃、10
kg荷重)は、2.3g/10分であった。
【0037】(参考例2) 参考例1で得られた変性PPE100重量部にヘキサメ
チレンジアミン(以下HMDAと略称する)1重量部を
添加し、二軸押出機(中谷機械(株)製、AS−30)
に供給し、300℃、120rpmで溶融混練し、ペレ
ット化した。得られた樹脂を5重量%トルエン溶液とし
た後、この溶液100重量部に対して300重量部のメ
タノールを加えてポリマーを濾別し、メタノールで洗浄
後、乾燥した(減圧下、145℃、1時間)。このポリ
マーのMI(280℃、10kg荷重)は、1.8g/
10分であった。精製前の試料を赤外分光分析した所、
MAHの吸収は見られなかった。また、精製後の試料の
赤外分光分析を行い、この赤外線吸収スペクトルから、
参考例1で得られた精製試料の赤外線吸収スペクトルを
差し引いた差スペクトルを見た結果、イミドの吸収が観
察され、ジアミンがイミド基を介してPPEと結合した
ことが判った。さらに、精製後の試料の窒素分析を減圧
化学発光方式にて行い、窒素付加量を測定した結果、窒
素付加量(モル数)は、参考例1の試料の無水マレイン
酸付加量(モル数)の1.8倍であった。この試料の固
有粘度(30℃、クロロホルム中)は0.58であり、
参考例1のポリマー同士のカップリングはほとんど起き
ていなかった。以上から参考例2のポリマーは、アルキ
ルアミノ基がイミド結合を介してPPEと結合した構造
をとり、官能基としてアミノ基を有する変性PPEであ
ることが言える。
【0038】(参考例3) ポリプロピレン(MI=0.5g/10分)100重量
部にMAH3.0重量部、(2,5−ジメチル−2,5
−)ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.05重量
部を加え、二軸押出機で190℃の温度で溶融混練して
ペレット化した。得られたペレットを熱キシレンに溶解
後、アセトンにて再沈操作を行い、濾別後、ポリマーを
乾燥し、未反応のMAHを除去した。ポリプロピレンと
MAHより前もって作成しておいた検量線を用いて、ポ
リプロピレンに結合したMAHの重量%を算出し、MA
Hの結合量とした。結合量は0.62重量%であった。
また、このポリマーのMI(230℃、2.16kg荷
重)は、3.0g/10分であった。
【0039】(参考例4) ポリプロピレン(MI=0.5g/10分)100重量
部にMAH3.0重量部、(2,5−ジメチル−2,5
−)ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.15重量
部を加え、二軸押出機で190℃の温度で溶融混練して
ペレット化した。得られたペレットを熱キシレンに溶解
後、アセトンにて再沈操作を行い、濾別後、ポリマーを
乾燥し、未反応のMAHを除去した。ポリプロピレンと
MAHより前もって作成しておいた検量線を用いて、ポ
リプロピレンに結合したMAHの重量%を算出し、MA
Hの結合量とした。結合量は1.38重量%であった。
また、このポリマーのMI(230℃、2.16kg荷
重)は、21.0g/10分であった。
【0040】(実施例1) 参考例2で合成したアミン変性PPE40gと、参考例
3で合成したMAH変性ポリプロピレン40gとを、ロ
ールミルに投入し、250℃、100rpmで、5分間
溶融混練を行った。得られた試料を赤外分光分析し、赤
外線吸収スペクトルから、参考例2で合成したアミン変
性PPE及び参考例3で合成したMAH変性ポリプロピ
レンの赤外線吸収スペクトルを差し引いた差スペクトル
を観察した結果、MAH変性ポリプロピレンの酸無水物
が無くなって、新たにイミド結合が生成したことを示す
強いイミドの吸収が見られた。 (実施例2) 参考例2で合成したアミン変性PPE40gと、参考例
4で合成したMAH変性ポリプロピレン40gとを、ロ
ールミルに投入し、250℃、100rpmで、5分間
溶融混練を行った。
【0041】(比較例1) 参考例2で合成したアミン変性PPE40gと、MI
(230℃、2.16kg荷重)=60.0g/10
分、MAH結合量1.5重量%のMAH変性ポリプロピ
レン(荒川化学株式会社製、KZ−810)40gと
を、ラボプラストミルに投入し、250℃、100rp
mで、5分間溶融混練を行った。
【0042】(実施例3、4) 参考例2で用いたヘキサメチレンジアミンの代わりに、
1,12−ジアミノドデカンを用いて、参考例2と同様
の操作を行い、アミン変性PPEを得、この変性PPE
40gと参考例3または、参考例4で得られたMAH変
性ポリプロピレン40gとを、ラボプラストミルに投入
し、250℃、100rpmで、5分間溶融混練を行っ
た。参考例3のMAH変性ポリプロピレンを用いたも
の、参考例3の,MAH変性ポリプロピレンを用いたも
のをそれぞれ、実施例3、実施例4とした。
【0043】(比較例2) 実施例3で用いたアミン変性PPE40gと、MI(2
30℃、2.16kg荷重)=60.0g/10分、M
AH結合量1.5%のMAH変性ポリプロピレン(荒川
化学株式会社製、KZ−810)40gとを、ラボプラ
ストミルに投入し、250℃、100rpmで、5分間
溶融混練を行った。
【0044】(実施例5、6) 参考例1において、MAHをグリシジルメタクリレート
(以下、GMAと略称する)に変え、さらに、ジクミル
パーオキサイド0.3重量部を加えて参考例1と同様の
操作をした。ただし、赤外分光分析の検量線はPPEと
GMAより作成した。結合量は0.45重量%であっ
た。さらに、ここで得られた変性PPEを、参考例2で
用いた変性PPEにかえて、参考例2と同様の操作を行
い、アミン変性PPEを得た。このアミン変性PPEを
実施例1及び実施例2で用いたアミン変性PPEに変え
て、実施例1及び実施例2と同様の操作を行った。それ
ぞれ、実施例5及び6とした。
【0045】(比較例3) 実施例5で用いたアミン変性PPE40gと、MI(2
30℃、2.16kg荷重)=60.0g/10分、M
AH結合量1.5%のMAH変性ポリプロピレン(荒川
化学株式会社製、KZ−810)40gとを、ラボプラ
ストミルに投入し、250℃、100rpmで、5分間
溶融混練を行った。
【0046】(実施例7、8) 参考例1において、MAHを式(12)
【化23】 の構造を有するトリイソシアネート化合物に変えて、参
考例1と同様の操作をした。得られた変性PPE100
重量部にHMDA1.5重量部を添加し、二軸押出機
(中谷機械(株)製、AS−30)に供給し、300
℃、120rpmで溶融混練し、ペレット化し、アミン
変性PPEを得た。このアミン変性PPEを実施例1及
び実施例2で用いたアミン変性PPEに変えて、実施例
1及び実施例2と同様の操作を行った。それぞれ、実施
例7及び8とした。
【0047】(比較例4) 実施例7で用いたアミン変性PPE40gと、MI(2
30℃、2.16kg荷重)=60.0g/10分、M
AH結合量1.5重量%のMAH変性ポリプロピレン
(荒川化学株式会社製、KZ−810)40gとを、ラ
ボプラストミルに投入し、250℃、100rpmで、
5分間溶融混練を行った。実施例1〜8、比較例1〜4
で得られた試料を270℃、180kg/cm2で1.
0mm厚のダンベル試験片及び、1/8インチ厚のタン
ザクを作成し、引張強度と伸び、及びアイゾット衝撃強
度を測定した。これらの結果を表1に示した。
【0048】
【表1】
【0049】また、実施例1、2及び比較例1につい
て、透過型電子顕微鏡により、モルホロジーを観察した
ところ、実施例1、2は比較例1に比べ、分散粒子径が
著しく小さくなっていることが確認された。また、コン
ビュータ画像解析処理装置(旭化成工業(株)製 IP
−1000)を用い、透過型電子顕微鏡で観察された分
散粒子の面積と等価面積円の直径を算出して、これを分
散粒子径とした。粒径分布計算の結果、分散相の全面積
に対する粒径5μm以下の粒子の面積の割合は、実施例
1,2は、それぞれ、100%、75%であったが、比
較例1では34%しかなかった。変性ポリプロピレンの
MIを特定することで良好なもろモロホロジーが得られ
ることが確認された。
【0050】透過型電子顕微鏡での観察条件は以下の通
りである。実施例1,2及び比較例1で得られたポリマ
ーの小片を切り出し、ウルトラミクロトームを用いて、
ガラスナイフによりトリミングを行った。このサンプル
を2%オスミウム酸水溶液に浸析し、80℃で40分放
置した後、再びウルトラミクロトームに取りつけ、ダイ
ヤモンドナイフを用い、約1500〜2000オングス
トローム厚の超薄切片を作成した。この超薄切片を透過
型電子顕微鏡(日本電子(株)製 JEM−100SX
T型)試料室内に設置し、電子線染色を行って観察撮影
した。撮影倍率は、実施例1,2が2000倍、比較例
1は500倍にて撮影した。特定の範囲の溶融粘度の変
性PPEと変性PPを結合させることにより、機械的強
度の著しい改良が達せられた。
【0051】(参考例5) 参考例4で得られたMAH変性PPを熱キシレンに溶解
し、10%キシレン溶液を得た。この溶液に15重量%
のHMDA/熱キシレン溶液を100重量部加え1時間
反応を行った。反応後、溶液を室温まで冷却し多量のア
セトンを加え、濾別後、更にアセトンで洗浄後、真空乾
燥した。精製試料の赤外分光分析の結果、イミド基の吸
収が観測された。また、窒素分析を減圧化学発光方式に
て行い、窒素付加量を測定した結果、窒素付加量(モル
数)は、参考例4の試料の無水マレイン酸付加量(モル
数)の2.0倍であった。さらに、このポリマーのMI
(230℃、2.16kg荷重)は、21.0g/10
分であり、参考例3のMAH変性PPと変わらなかっ
た。
【0052】(参考例6) 固有粘度0.90(30℃、クロロホルム中)であるP
PE100重量部に、MAH1部を添加し、二軸押出機
(中谷機械(株)製、AS−30)に供給し、320
℃、120rpmで溶融混練し、ペレット化した。得ら
れたペレットの中、2gをトルエン38gに溶解し、5
重量%トルエン溶液とした後、この溶液にアセトン16
0gを加えてポリマーを沈澱させた。ポリマーを濾別
し、アセトンで洗浄後、乾燥した。(減圧下、145
℃、1時間)。得られた試料の赤外分光分析を行い、P
PEとMAHとから前もって作成しておいた検量線を用
いて、PPEに結合したMAHの重量%を算出し、MA
Hの結合量とした。結合量は0.40重量%であった。
また、このポリマーのMI(280℃、10kg荷重)
は、0.01g/10分未満であった。得られた変性P
PE100重量部に、HMDA1重量部を添加し、二軸
押出機(中谷機械(株)製、AS−30)に供給し、3
00℃、120rpmで溶融混練し、ペレット化した。
得られた樹脂を5重量%トルエン溶液とした後、この溶
液100重量部に対して300重量部のメタノールを加
えてポリマーを濾別し、メタノールで洗浄後、乾燥し
た。(減圧下、145℃、1時間)。このポリマーのM
I(280℃、10kg荷重)は、0.01g/10分
未満であった。
【0053】(参考例7) MI(230℃、2.16kg荷重)=0.5g/10
分のPP(エースポリプロ E1100、旭化成工業
(株)製)100重量部に、MAH3.5重量部、
(2.5−ジメチル−2.5−)ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキサン1.0重量部を加え、190℃、200
rmpで溶融混練し、ペレット化し、MAH含量2.3
wt%のMAH変性PPを得た。得られたポリマーのM
I(230℃、2.16kg荷重)=200g/10分
であった。
【0054】(参考例8) 固有粘度0.90(30℃、クロロホルム中)であるP
PE100重量部に、MAH2重量部、(2.5−ジメ
チル−2.5−)ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
1.0重量部を添加し、二軸押出機に供給し、300
℃、150rpm滞留時間53秒で溶融混練し、ペレッ
ト化した。このポリマーのMI(280℃、10kg荷
重)は、0.4g/10分であった。
【0055】(実施例9) 固有粘度0.55(30℃、クロロホルム中)であるP
PE、参考例2のアミン変性PPE、未変性のPP(エ
ースポリプロ E1100,旭化成工業(株)製)、及
び参考例3のMAH変性PPを表2〜3に示す組成で配
合し、二軸押出機(30mmΦ)を用いて溶融混練し、
ペレット化した。 (実施例10) 参考例3のMAH変性PPに代えて参考例4のMAH変
成PPを用いる以外は実施例9と同じ方法を行い、これ
を実施例10とした。
【0056】(比較例5) 参考例3のMAH変成PPに代えて比較例1で用いたM
AH変成PPを用いる以外は実施例9と同じ方法を行
い、これを比較例5とした。 (比較例6) 参考例2のアミン変性PPEに代えて参考例6のアミン
変成PPEを用いる以外は実施例9と同じ方法を行ない
比較例6とした。
【0057】(実施例11) 固有粘度0.55(30℃、クロロホルム中)であるP
PE、参考例1のMAH変性PPE、MI(230℃、
2.16kg荷重)=1.5g/10分の未変性のPP
(エースポリプロ E1200、旭化成工業(株)
製)、及び、参考例5のアミン変性PPを表2〜3に示
す組成で配合し、二軸押出機(30mmΦ)を用いて溶
融混練し、ペレット化した。
【0058】(比較例7) 参考例1のMAH変性PPEに代えて参考例8のMAH
変成PPEを、参考例5のアミン変成PPに代えて参考
例7のアミン変成PPを用いる以外は実施例11と同じ
方法を行ない比較例7とした。 (比較例8) 固有粘度0.55(30℃、クロロホルム中)であるP
PE71.5重量部、未変性のPP(エースポリプロ
E1200、旭化成工業(株)製)28.5重量部およ
び、スチレン−ブタジエン共重合体(アサフレックス8
10、旭化成工業(株)製)7.5重量部を配合し、二
軸押出機(30mmΦ)を用いて溶融混練し、ペレット
化した。
【0059】(比較例9) 固有粘度0.55(30℃、クロロホルム中)であるP
PE71.5部、未変性のPP(エースポリプロ E1
200、旭化成工業(株)製)28.5部および、スチ
レン−ブタジエン共重合体(アサフレックス810、旭
化成工業(株)製)20部を配合し、二軸押出機(30
mmΦ)を用いて溶融混練し、ペレット化した。実施例
9〜11及び比較例5〜9で得られたペレットをそれぞ
れシリンダー温度290℃、金型温度80℃にて射出成
形を行い、物性を測定した。各原料のMIと物性測定結
果を表2〜3に示した。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】 注)PPE/変性PPE/PP/変性PP=66.2/
5.3/23.2/5.3重量部 比較例8:PPE/PP/スチレン−ブタジエン共重合
体=71.5/28.5/7.5 比較例9:PPE/PP/スチレン−ブタジエン共重合
体=71.5/28/5/20.0
【0062】(実施例12〜14) 実施例9〜11で配合した原料組成を100重量部と
し、これにエラストマーとして、スチレン−ブタジエン
ブロック共重合体(タフプレン200 旭化成工業
(株)製)を12重量部配合し、二軸押出機(30mm
Φ)を用いて溶融混練し、ペレット化した。
【0063】(比較例10〜12) 比較例5〜7で配合した原料組成を100重量部とし、
これにエラストマーとして、水添スチレン−ブタジエン
ブロック共重合体(タフテックH1271 旭化成工業
(株)製)を12重量部配合し、二軸押出機(30mm
Φ)を用いて溶融混練し、ペレット化した。実施例12
〜14及び比較例10〜12で得られたペレットをそれ
ぞれシリンダー温度290℃、金型温度80℃にて射出
成形を行い、物性を測定した。各原料のMIと物性測定
結果を表4に示した。
【0064】
【表4】 注)(PPE/変性PPE/PP/変性PP)/エラス
トマー=(66.2/5.3/23.2/5.3)/1
2.0重量部
【0065】(実施例15) 実施例1で用いたアミン変性PPE50重量部と、MA
H変性ポリプロピレン50重量部に、さらにエラストマ
ーとして、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体
(タフテックH1271 旭化成工業(株)製)を12
重量部配合し、二軸押出機(30mmΦ)を用いて溶融
混練し、ペレット化した。同様に実施例2〜8で用いた
のと同じ組合わせの変性PPEと変性ポリプロピレン各
50重量部にエラストマーとして、水添スチレン−ブタ
ジエンブロック共重合体(タフテックH1271 旭化
成工業(株)製)を12重量部配合し、二軸押出機(3
0mmΦ)を用いて溶融混練し、ペレット化した。これ
らを順に実施例16〜22とした。
【0066】(比較例13〜16) 比較例1〜4で用いたのと同じ組合わせの変性PPEと
変性ポリプロピレン各50重量部にエラストマーとし
て、水添スチレン−ブタジエンプロック共重合体(タフ
テックH1271 旭化成工業(株)製)を12重量部
配合し、二軸押出機(30mmΦ)を用いて溶融混練
し、ペレット化した。これらを順に比較例13〜16と
した。実施例15〜22及び比較例13〜16で得られ
たペレットをそれぞれシリンダー温度290℃、金型温
度80℃にて射出成形を行い、物性を測定した。各原料
のMIと物性測定結果を表5に示した。
【0067】
【表5】
【0068】以上の実施例より、特定の範囲の溶融粘度
を有する変性PPEと変性PPを特定の様式にて共有結
合させる事により、剥離がなく優れた機械的強度を発揮
させることができた。
【0069】
【発明の効果】本発明のポリフェニレンエーテル−ポリ
オレフィン共重合体、及びこれを含む樹脂組成物は、耐
熱性、熱安定性、機械的強度、耐溶剤性に優れ、自動車
外板、外装部品、電気・電子機器等の用途に有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜2、比較例1で得られた樹脂粒子の
表面形状を示す透過型電子顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 21:00) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 81/02 C08G 65/48 C08L 23/00 C08L 71/12 C08L 21/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)MI(280℃、10kg荷重)が
    0.01〜10g/10分の変性ポリフェニレンエーテ
    ルとMI(230℃、2.16kg荷重)が1.0〜5
    0g/10分である変性ポリオレフィンとを、結合剤の
    存在下または非存在下に反応させて得られる、ポリフェ
    ニレンエーテルブロックとポリオレフィンブロックが
    式(1)の形で共有結合していることを特徴とする、ポ
    リフェニレンエーテル−ポリオレフィン共重合体。 P−Z1 −R1 −Z2 −Q ・・・・(1) 〔式中、Pはポリフェニレンエーテル成分、Qはポリオ
    レフィン成分であり、Z1 酸イミド残基酸アミド残
    、式(2)または式(3)で表される結合基であり、 【化1】 (Xはアルキレン基、アリレン基、シクロアルキレン
    基、イソシアナートの二量体または三量体からなる環化
    物を表す。) 【化2】 2 酸イミド残基酸アミド残基または式(4) で表
    される結合基であり、 【化3】 1 はアルキレン基、アリレン基、シクロアルキレン基
    である。〕
  2. 【請求項2】 (A) MI(280℃、10kg荷重)
    が0.01〜10g/10分の変性ポリフェニレンエー
    テルとMI(230℃、2.16kg荷重)が1.0〜
    50g/10分である変性ポリオレフィンとを、結合剤
    の存在下または非存在下に反応させて得られる、ポリフ
    ェニレンエーテルブロックとポリオレフィンブロックが
    式(1)の形で共有結合していることを特徴とする、ポリ
    フェニレンエーテル−ポリオレフィン共重合体、 P−Z1 −R1 −Z2 −Q ・・・・(1) 〔式中、Pはポリフェニレンエーテル成分Qはポリオ
    レフィン成分であり、Z1 酸イミド残基酸アミド残
    、式(2)または式(3)で表される結合基であり、 【化4】 (Xはアルキレン基、アリレン基、シクロアルキレン
    基、イソシアナートの二量体または三量体からなる環化
    物を表す。) 【化5】 2 酸イミド残基酸アミド残基または式(4) で表
    される結合基であり、 【化6】 1 はアルキレン基、アリレン基、シクロアルキレン基
    である。〕 (B) ポリフェニレンエーテルおよび/またはカルボン酸
    基、そのエステル誘導体基、酸無水物基、エポキシ基、
    アミノ基、イソシアネート基から選ばれる官能基を有す
    る変性ポリフェニレンエーテル、 (C) ポリオレフィンおよび/またはカルボン酸基、その
    エステル誘導体基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基
    から選ばれる官能基を有する変性ポリオレフィン、 (D) エラストマー、 からなり、(A)、(B) 、(C) の合計100重量部に対し
    て (A)1〜99重量部、 (B) 0〜95重量部、 (C) 0〜95重量部、 (D) 0〜30重量部含むことを特徴とする、熱可塑性樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項2において、エラストマー(D) が
    0重量部である熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の(A)ポリフェニレンエー
    テル−ポリオレフィン共重合体100重量部及び(D) が
    1〜30重量部である熱可塑性樹脂組成物。
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