JP3363204B2 - 樹脂組成物 - Google Patents
樹脂組成物Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は樹脂組成物に関するもの
である。更に詳しくは紙管用接着剤、コルゲーター用接
着剤等に使用すると硬仕上げや接着力に優れ、また洗濯
糊剤として使用すると織物に対し有効に吸着し、硬仕上
げ、糊落ち性、分散性および溶液の貯蔵安定性の優れた
性質を賦与できる樹脂組成物に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来から使用されている紙関係の接着剤
組成物には澱粉の誘導体、ポリ酢酸ビニルエマルショ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルション、ポリ
ビニルアルコールおよびSBRラテックス等を主成分と
するものがある。また洗濯糊剤には澱粉系を主成分とす
るもの、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルエマル
ション等を主成分とするもの等がある。これらの樹脂組
成物はそれぞれ一長一短であるのが実情である。澱粉系
を主成分とするものは低価格であり、広く使用されてい
る。ポリ酢酸ビニルエマルション等を主成分とする組成
物は、接着性、作業性が良いことおよび腐敗やかびの発
生がないことから澱粉と同じように広く使用されてい
る。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ポリ酢酸ビニルやエチ
レン−酢酸ビニル共重合体は接着力は強いが、乾燥後の
硬さがでない。一方澱粉を主成分とするものは硬さはで
るが、接着力が低く、初期接着力不足や乾燥後の剥がれ
が起こる。 【0004】また洗濯糊剤としてポリ酢酸ビニルを主成
分とするものは、織物への吸着性は良いが、不均一な付
着性であるために糊ムラが生じる。また合成高分子であ
るために生分解性が悪く、水質汚染の問題も心配されて
いる。 【0005】澱粉を主成分とする糊剤は澱粉を90〜1
50℃の高温でアルファー化されたものが使用されてい
るが、粉末であるが故に溶解時にゲル状態になり易く、
均一な溶液が造りにくい。そのために糊ムラがでる。液
状型ではアルファー澱粉が老化により、水に溶けにくく
なったり、腐敗するなどの問題が生じる。このように種
々の接着剤や糊剤がこのように解決すべき問題を有して
いるが、これらの問題を解決すべくいくつかの提案がな
されている。 【0006】紙管用接着剤として特公平2−33072
号にはアクリルアミド系ポリマーを保護コロイドとして
使用した酢酸ビニルとアクリル酸の共重合体エマルショ
ンが提案されており、初期接着力、作業性、耐圧縮強
度、折曲げ強さ、寸法安定性が良いとされている。紙管
用接着剤としての性能は良いが、成分が合成高分子だけ
であるので、硬さがでない、価格が高い、リサイクルの
適応性がない等の問題がある。 【0007】また糊剤としては特開平1−139871
号に酢酸ビニルとエチレン性不飽和結合を有するカルボ
ン酸の共重合体の水性エマルションとカチオン性澱粉の
水溶液を少量混合してなるものが提案されているが、糊
剤としての性能は良いが、相溶性が悪く溶液にしておく
と、分離およびゲル化が起こるので保存性に問題があ
る。従って工業的には使用しずらいものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる問
題点を解決すべく鋭意研究の結果、ヒドロキシ化澱粉を
保護コロイドとしてビニル系単量体を重合することによ
って、澱粉系と合成高分子系の長所を生かし、従来の接
着剤や洗濯糊剤の欠点を解決する方法を見出し、本発明
を完成した。 【0009】即ち本発明はヒドロキシ化澱粉の存在下で
ビニル系単量体を重合し、重合反応後に相溶性の悪いヒ
ドロキシ化澱粉を混合させ安定性の優れた樹脂組成物を
つくることにある。 【0010】一般にビニル系単量体を重合する際には、
乳化剤としてポリビニルアルコールや界面活性剤の単独
使用や、両者の併用で行なっている。しかし、これらの
ポリビニル系エマルションはヒドロキシ化澱粉との相溶
性が悪く、混合するとゲル化、分離などを起こす。しか
しながら本発明で得られたポリビニル系エマルション
は、ヒドロキシ化澱粉との相溶性が良いので澱粉割合を
任意に変え、特徴を生かすことができる。 【0011】本発明の樹脂組成物に使用されている澱粉
は、トウモロコシ、馬鈴しょ、小麦、タピオカ等の通常
のもので良い。これらの澱粉をヒドロキシ化するに当た
っては一般の方法で良いが、例えばエチレンオキサイド
又はプロピレンオキサイドと澱粉を水に懸濁し、アルカ
リ性液中で攪拌しつつ、密閉器中で40〜80℃で反応
させるとそれぞれヒドロオキシエチル化及びヒドロオキ
シプロピル化する。 【0012】一般には大別してエーテル価度0.05〜
0.1程度のものと0.11〜1.0の高置換度のもの
に分けられ、低エーテル化度のものは水に溶けない。本
発明で使用されるヒドロキシ化澱粉は低エーテル価度の
ヒドロオキシエチル化澱粉又はヒドロオキシプロピル化
澱粉である。 【0013】低エーテル化度のヒドロオキシ化澱粉は水
を加え加熱すると糊化する。糊化したものは水に溶解す
るが、水を失った状態で時間の経過および熱を加えると
不溶になる。このような性質を有するので接着剤として
使用した場合は、吸湿性がないために、硬仕上げや、耐
水性を要求される用途に応用できる。しかしながら洗濯
時の洗剤には弱く織物に付着した糊剤は洗濯時に洗剤に
より取り除くことができる。ここで用いられるヒドロオ
キシ化澱粉のエーテル化度は0.05〜0.1程度のも
のが、乾燥皮膜の吸水性がなく、硬仕上げが良いものが
できるので好ましい。 【0014】本発明の樹脂組成物を構成するビニル系単
量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ルなどの脂肪酸ビニルエステル類、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸
エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸エステル類
などがあげられ、これらは単独であるいは2種以上の混
合物として使用することができ、更にこれらの単量体と
共重合可能なスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、2
−ヒドロキシアクリレート、アクリルアマイド、ジビニ
ルベンゼン等も共重合体成分として使用できる。 【0015】本発明は、ヒドロキシ化澱粉の存在下でビ
ニル系単量体を重合反応するものであるが、組成によっ
ては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、
カチオン系界面活性剤を必要に応じて使用することがで
きる。特にノニオン系界面活性剤を少量使うことが、重
合反応時の凝集物生成を防ぐのに効果がある。 【0016】重合反応時に使用する触媒は、過酸化水
素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の一般的な
乳化重合用触媒でも良い。またpH調整剤の無機塩類や
重合調整剤は適宜使用しても良い。 【0017】重合反応時に使用されるヒドロキシ化澱粉
の量はビニル系モノマー100重量部に対して、5〜1
00重量部、好ましくは10〜50重量部が良い。5重
量部より少ない時は反応性が悪く、反応後に加えるヒド
ロキシ化澱粉水溶液との相溶性に効果がでない。100
重量部より多いときは、生成されるエマルションの粒子
径が小さくなり、放置しておくとゲル状になる。 【0018】このようにして得られたヒドロキシ化澱粉
を保護コロイドにした樹脂エマルションに後から加える
ヒドロキシ化澱粉は樹脂エマルションの蒸発残分換算で
100重量部に対してヒドロキシ化澱粉は50〜500
重量部の範囲が良く、接着剤として使用する場合は、5
0〜200重量部で、洗濯糊剤としては100〜300
重量部使用するのが好ましい。特に硬仕上げを要求され
る場合はヒドロキシ化澱粉の配合割合を多くすることに
よって効果を高めることができる。 【0019】 【実施例】以下に実施例をもって本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限を
うけるものではない。尚実施例中、部及び%は重量基準
によるものである。 【0020】参考例1 トウモロコシ澱粉100部、水酸化カルシウム2.0
部、酸化エチレン2.0部、水120部からなる混合物
を四つ口フラスコに入れ、40℃で10時間反応した後
塩酸を加えてpH2.0にして得られた生成物を瀘過し
て水洗いした。乾燥して得られたヒドロキシ化澱粉粉末
はエーテル価度0.05であった。 【0021】参考例2 ユニークガムM−820(トウモロコシ澱粉ヒドロキシ
化品、エーテル価度0.1松谷化学(株)製)30部を
水70部に加え、90℃で60分間攪拌しヒドロキシ化
澱粉水溶液を得た。 【0022】実施例1 参考例1で得られたヒドロキシ化澱粉を30部、水12
4部、酢酸ソーダ1部及びノニオン系界面活性剤(生分
解性のある)1部を四つ口フラスコに入れ、90℃で6
0分間攪拌し溶解した。このものを78℃迄冷却し攪拌
を続けた。別の容器に酢酸ビニルモノマー98部とメタ
クリル酸メチル2部の混合液をとり、3時間かけてフラ
スコ内に滴下した。反応触媒として過硫酸カリウムの1
0パーセント水溶液5部を3時間反応中に数回に分けて
滴下した。 【0023】生成したエマルションに消泡剤、防腐剤を
加えた。得られたエマルションベースは蒸発残分50
%、粘度5200cP、pH4.5であった。次に参考
例1で得られたヒドロキシ化澱粉を370部、水860
部を混合して樹脂組成物を得た。得られたエマルション
は蒸発残分34%、粘度1800cp、pH4.5であ
った。 【0024】実施例2 参考例2で得れたヒドロキシ化澱粉水溶液を23部、水
115部、リン酸ソーダー1部を四つ口フラスコに入
れ、50℃で30分間攪拌し溶解した。その後75℃迄
昇温し攪拌を続けた。別の容器に酢酸ビニル100部を
とり、3時間かけてフラスコ内に滴下した。 【0025】また重合反応触媒として過硫酸アンモニウ
ムの10パーセント水溶液5部を3時間反応中に分割し
て滴下した。生成したエマルションベースに消泡剤、防
腐剤を加えた。得れたエマルションベースは蒸発残分4
3%、粘度1200cP、pH4.0であった。次に得
られたエマルションベース100部に参考例2で得られ
たヒドロキシ化澱粉水溶液の500部を混合して樹脂組
成物を得た。得られた樹脂組成物は蒸発残分30.5
%、粘度1200cp、pH4.3であった。 【0026】比較例 部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度1400)5
部、水150部、リン酸ソーダー1部を四つ口フラスコ
に入れ90℃で30分間攪拌し溶解した。その後75℃
迄下げて攪拌を続けた。別の容器に酢酸ビニル100部
をとり、3時間かけてフラスコ内に滴下した。 【0027】また重合反応触媒として過硫酸アンモニウ
ムの10パーセント水溶液の5部を3時間の反応中に分
割して滴下した。生成したエマルションベースに消泡
剤、防腐剤を加えて得られたエマルションベースは蒸発
残分40.2%、粘度5500cp、pH4.3であっ
た。 【0028】次に得られたエマルションベース100部
に参考例2で得られたヒドロキシ化澱粉水溶液の500
部を混合して樹脂組成物を得た。得られたエマルション
は蒸発残分30.6%、粘度4200cp、pH4.5
であった。次に各実施例で得られた組成物を次の試験方
法により、各性能を評価した。 【0029】試験方法及び評価結果 (イ)エマルション安定性 実施例1、実施例2、比較例で得られた組成物を500
mLのガラス容器にとり、25℃の雰囲気内に放置し、分
離、沈澱の状態を調べた。 【0030】(ロ)布の張りの評価 通常の家庭用洗濯機を用い30Lの水道水に、実施例
1、実施例2の組成物を有効成分で20g添加し、よく
分散させ100gの木綿スーツを添加し、5分間攪拌し
て糊付けをする。その後脱水機で30秒脱水した後、風
乾する。 【0031】上記の方法で糊付け処理した布の張りにつ
いて15名による触感テストを行ない性能を評価したと
ころ、酢酸ビニルエマルションを主成分としたものに比
べ、ほぼ全員が実施例1、実施例2の組成物のものが張
りがあると評価をした。 【0032】(ハ)接着力の評価 実施例1、実施例2及び比較例で得られた組成物をライ
ナー紙(秤量200g)の表面に塗布し、(塗布量約2
0g/m2)直ちに裏面と貼り合わせる。その後1Kgの
静荷重をのせ、所定時間後に手で剥がし紙破状態をみ
る。 【0033】 接着2秒後 同4秒後 同6秒後 24時間後 実施例1 15% 80% 100% 100% 実施例2 15% 80% 100% 100% 比較例 10% 60% 80% 100% (%は破断率を示す。) 【0034】 【発明の効果】本発明の新規な樹脂組成物はヒドロキシ
化澱粉とビニル系樹脂とが任意の割合で混合分散された
水性分散液であるが、貯蔵安定性にすぐれている。そし
て紙管用あるいはコルゲーター用等の接着剤として使用
すると硬仕上げや接着力にすぐれ、また洗濯糊剤として
使用すると織物に対し有効に吸着して硬仕上げができる
と同時にその糊落ち性、分散性等をも賦与されたもので
ある。
である。更に詳しくは紙管用接着剤、コルゲーター用接
着剤等に使用すると硬仕上げや接着力に優れ、また洗濯
糊剤として使用すると織物に対し有効に吸着し、硬仕上
げ、糊落ち性、分散性および溶液の貯蔵安定性の優れた
性質を賦与できる樹脂組成物に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来から使用されている紙関係の接着剤
組成物には澱粉の誘導体、ポリ酢酸ビニルエマルショ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルション、ポリ
ビニルアルコールおよびSBRラテックス等を主成分と
するものがある。また洗濯糊剤には澱粉系を主成分とす
るもの、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルエマル
ション等を主成分とするもの等がある。これらの樹脂組
成物はそれぞれ一長一短であるのが実情である。澱粉系
を主成分とするものは低価格であり、広く使用されてい
る。ポリ酢酸ビニルエマルション等を主成分とする組成
物は、接着性、作業性が良いことおよび腐敗やかびの発
生がないことから澱粉と同じように広く使用されてい
る。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ポリ酢酸ビニルやエチ
レン−酢酸ビニル共重合体は接着力は強いが、乾燥後の
硬さがでない。一方澱粉を主成分とするものは硬さはで
るが、接着力が低く、初期接着力不足や乾燥後の剥がれ
が起こる。 【0004】また洗濯糊剤としてポリ酢酸ビニルを主成
分とするものは、織物への吸着性は良いが、不均一な付
着性であるために糊ムラが生じる。また合成高分子であ
るために生分解性が悪く、水質汚染の問題も心配されて
いる。 【0005】澱粉を主成分とする糊剤は澱粉を90〜1
50℃の高温でアルファー化されたものが使用されてい
るが、粉末であるが故に溶解時にゲル状態になり易く、
均一な溶液が造りにくい。そのために糊ムラがでる。液
状型ではアルファー澱粉が老化により、水に溶けにくく
なったり、腐敗するなどの問題が生じる。このように種
々の接着剤や糊剤がこのように解決すべき問題を有して
いるが、これらの問題を解決すべくいくつかの提案がな
されている。 【0006】紙管用接着剤として特公平2−33072
号にはアクリルアミド系ポリマーを保護コロイドとして
使用した酢酸ビニルとアクリル酸の共重合体エマルショ
ンが提案されており、初期接着力、作業性、耐圧縮強
度、折曲げ強さ、寸法安定性が良いとされている。紙管
用接着剤としての性能は良いが、成分が合成高分子だけ
であるので、硬さがでない、価格が高い、リサイクルの
適応性がない等の問題がある。 【0007】また糊剤としては特開平1−139871
号に酢酸ビニルとエチレン性不飽和結合を有するカルボ
ン酸の共重合体の水性エマルションとカチオン性澱粉の
水溶液を少量混合してなるものが提案されているが、糊
剤としての性能は良いが、相溶性が悪く溶液にしておく
と、分離およびゲル化が起こるので保存性に問題があ
る。従って工業的には使用しずらいものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる問
題点を解決すべく鋭意研究の結果、ヒドロキシ化澱粉を
保護コロイドとしてビニル系単量体を重合することによ
って、澱粉系と合成高分子系の長所を生かし、従来の接
着剤や洗濯糊剤の欠点を解決する方法を見出し、本発明
を完成した。 【0009】即ち本発明はヒドロキシ化澱粉の存在下で
ビニル系単量体を重合し、重合反応後に相溶性の悪いヒ
ドロキシ化澱粉を混合させ安定性の優れた樹脂組成物を
つくることにある。 【0010】一般にビニル系単量体を重合する際には、
乳化剤としてポリビニルアルコールや界面活性剤の単独
使用や、両者の併用で行なっている。しかし、これらの
ポリビニル系エマルションはヒドロキシ化澱粉との相溶
性が悪く、混合するとゲル化、分離などを起こす。しか
しながら本発明で得られたポリビニル系エマルション
は、ヒドロキシ化澱粉との相溶性が良いので澱粉割合を
任意に変え、特徴を生かすことができる。 【0011】本発明の樹脂組成物に使用されている澱粉
は、トウモロコシ、馬鈴しょ、小麦、タピオカ等の通常
のもので良い。これらの澱粉をヒドロキシ化するに当た
っては一般の方法で良いが、例えばエチレンオキサイド
又はプロピレンオキサイドと澱粉を水に懸濁し、アルカ
リ性液中で攪拌しつつ、密閉器中で40〜80℃で反応
させるとそれぞれヒドロオキシエチル化及びヒドロオキ
シプロピル化する。 【0012】一般には大別してエーテル価度0.05〜
0.1程度のものと0.11〜1.0の高置換度のもの
に分けられ、低エーテル化度のものは水に溶けない。本
発明で使用されるヒドロキシ化澱粉は低エーテル価度の
ヒドロオキシエチル化澱粉又はヒドロオキシプロピル化
澱粉である。 【0013】低エーテル化度のヒドロオキシ化澱粉は水
を加え加熱すると糊化する。糊化したものは水に溶解す
るが、水を失った状態で時間の経過および熱を加えると
不溶になる。このような性質を有するので接着剤として
使用した場合は、吸湿性がないために、硬仕上げや、耐
水性を要求される用途に応用できる。しかしながら洗濯
時の洗剤には弱く織物に付着した糊剤は洗濯時に洗剤に
より取り除くことができる。ここで用いられるヒドロオ
キシ化澱粉のエーテル化度は0.05〜0.1程度のも
のが、乾燥皮膜の吸水性がなく、硬仕上げが良いものが
できるので好ましい。 【0014】本発明の樹脂組成物を構成するビニル系単
量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ルなどの脂肪酸ビニルエステル類、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸
エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸エステル類
などがあげられ、これらは単独であるいは2種以上の混
合物として使用することができ、更にこれらの単量体と
共重合可能なスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、2
−ヒドロキシアクリレート、アクリルアマイド、ジビニ
ルベンゼン等も共重合体成分として使用できる。 【0015】本発明は、ヒドロキシ化澱粉の存在下でビ
ニル系単量体を重合反応するものであるが、組成によっ
ては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、
カチオン系界面活性剤を必要に応じて使用することがで
きる。特にノニオン系界面活性剤を少量使うことが、重
合反応時の凝集物生成を防ぐのに効果がある。 【0016】重合反応時に使用する触媒は、過酸化水
素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の一般的な
乳化重合用触媒でも良い。またpH調整剤の無機塩類や
重合調整剤は適宜使用しても良い。 【0017】重合反応時に使用されるヒドロキシ化澱粉
の量はビニル系モノマー100重量部に対して、5〜1
00重量部、好ましくは10〜50重量部が良い。5重
量部より少ない時は反応性が悪く、反応後に加えるヒド
ロキシ化澱粉水溶液との相溶性に効果がでない。100
重量部より多いときは、生成されるエマルションの粒子
径が小さくなり、放置しておくとゲル状になる。 【0018】このようにして得られたヒドロキシ化澱粉
を保護コロイドにした樹脂エマルションに後から加える
ヒドロキシ化澱粉は樹脂エマルションの蒸発残分換算で
100重量部に対してヒドロキシ化澱粉は50〜500
重量部の範囲が良く、接着剤として使用する場合は、5
0〜200重量部で、洗濯糊剤としては100〜300
重量部使用するのが好ましい。特に硬仕上げを要求され
る場合はヒドロキシ化澱粉の配合割合を多くすることに
よって効果を高めることができる。 【0019】 【実施例】以下に実施例をもって本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限を
うけるものではない。尚実施例中、部及び%は重量基準
によるものである。 【0020】参考例1 トウモロコシ澱粉100部、水酸化カルシウム2.0
部、酸化エチレン2.0部、水120部からなる混合物
を四つ口フラスコに入れ、40℃で10時間反応した後
塩酸を加えてpH2.0にして得られた生成物を瀘過し
て水洗いした。乾燥して得られたヒドロキシ化澱粉粉末
はエーテル価度0.05であった。 【0021】参考例2 ユニークガムM−820(トウモロコシ澱粉ヒドロキシ
化品、エーテル価度0.1松谷化学(株)製)30部を
水70部に加え、90℃で60分間攪拌しヒドロキシ化
澱粉水溶液を得た。 【0022】実施例1 参考例1で得られたヒドロキシ化澱粉を30部、水12
4部、酢酸ソーダ1部及びノニオン系界面活性剤(生分
解性のある)1部を四つ口フラスコに入れ、90℃で6
0分間攪拌し溶解した。このものを78℃迄冷却し攪拌
を続けた。別の容器に酢酸ビニルモノマー98部とメタ
クリル酸メチル2部の混合液をとり、3時間かけてフラ
スコ内に滴下した。反応触媒として過硫酸カリウムの1
0パーセント水溶液5部を3時間反応中に数回に分けて
滴下した。 【0023】生成したエマルションに消泡剤、防腐剤を
加えた。得られたエマルションベースは蒸発残分50
%、粘度5200cP、pH4.5であった。次に参考
例1で得られたヒドロキシ化澱粉を370部、水860
部を混合して樹脂組成物を得た。得られたエマルション
は蒸発残分34%、粘度1800cp、pH4.5であ
った。 【0024】実施例2 参考例2で得れたヒドロキシ化澱粉水溶液を23部、水
115部、リン酸ソーダー1部を四つ口フラスコに入
れ、50℃で30分間攪拌し溶解した。その後75℃迄
昇温し攪拌を続けた。別の容器に酢酸ビニル100部を
とり、3時間かけてフラスコ内に滴下した。 【0025】また重合反応触媒として過硫酸アンモニウ
ムの10パーセント水溶液5部を3時間反応中に分割し
て滴下した。生成したエマルションベースに消泡剤、防
腐剤を加えた。得れたエマルションベースは蒸発残分4
3%、粘度1200cP、pH4.0であった。次に得
られたエマルションベース100部に参考例2で得られ
たヒドロキシ化澱粉水溶液の500部を混合して樹脂組
成物を得た。得られた樹脂組成物は蒸発残分30.5
%、粘度1200cp、pH4.3であった。 【0026】比較例 部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度1400)5
部、水150部、リン酸ソーダー1部を四つ口フラスコ
に入れ90℃で30分間攪拌し溶解した。その後75℃
迄下げて攪拌を続けた。別の容器に酢酸ビニル100部
をとり、3時間かけてフラスコ内に滴下した。 【0027】また重合反応触媒として過硫酸アンモニウ
ムの10パーセント水溶液の5部を3時間の反応中に分
割して滴下した。生成したエマルションベースに消泡
剤、防腐剤を加えて得られたエマルションベースは蒸発
残分40.2%、粘度5500cp、pH4.3であっ
た。 【0028】次に得られたエマルションベース100部
に参考例2で得られたヒドロキシ化澱粉水溶液の500
部を混合して樹脂組成物を得た。得られたエマルション
は蒸発残分30.6%、粘度4200cp、pH4.5
であった。次に各実施例で得られた組成物を次の試験方
法により、各性能を評価した。 【0029】試験方法及び評価結果 (イ)エマルション安定性 実施例1、実施例2、比較例で得られた組成物を500
mLのガラス容器にとり、25℃の雰囲気内に放置し、分
離、沈澱の状態を調べた。 【0030】(ロ)布の張りの評価 通常の家庭用洗濯機を用い30Lの水道水に、実施例
1、実施例2の組成物を有効成分で20g添加し、よく
分散させ100gの木綿スーツを添加し、5分間攪拌し
て糊付けをする。その後脱水機で30秒脱水した後、風
乾する。 【0031】上記の方法で糊付け処理した布の張りにつ
いて15名による触感テストを行ない性能を評価したと
ころ、酢酸ビニルエマルションを主成分としたものに比
べ、ほぼ全員が実施例1、実施例2の組成物のものが張
りがあると評価をした。 【0032】(ハ)接着力の評価 実施例1、実施例2及び比較例で得られた組成物をライ
ナー紙(秤量200g)の表面に塗布し、(塗布量約2
0g/m2)直ちに裏面と貼り合わせる。その後1Kgの
静荷重をのせ、所定時間後に手で剥がし紙破状態をみ
る。 【0033】 接着2秒後 同4秒後 同6秒後 24時間後 実施例1 15% 80% 100% 100% 実施例2 15% 80% 100% 100% 比較例 10% 60% 80% 100% (%は破断率を示す。) 【0034】 【発明の効果】本発明の新規な樹脂組成物はヒドロキシ
化澱粉とビニル系樹脂とが任意の割合で混合分散された
水性分散液であるが、貯蔵安定性にすぐれている。そし
て紙管用あるいはコルゲーター用等の接着剤として使用
すると硬仕上げや接着力にすぐれ、また洗濯糊剤として
使用すると織物に対し有効に吸着して硬仕上げができる
と同時にその糊落ち性、分散性等をも賦与されたもので
ある。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI
D06M 15/11 D06M 15/11
(56)参考文献 特開 平5−125101(JP,A)
特開 平2−41384(JP,A)
特開 昭58−141268(JP,A)
特開 昭55−127402(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08L 51/02
C08L 3/08
C08L 57/00
C09J 103/08
C09J 151/02
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ヒドロキシ化澱粉の存在下でビニル系単
量体を重合反応させて得られる樹脂エマルションにヒド
ロキシ化澱粉を混合してなる樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12797593A JP3363204B2 (ja) | 1993-04-30 | 1993-04-30 | 樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12797593A JP3363204B2 (ja) | 1993-04-30 | 1993-04-30 | 樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06313090A JPH06313090A (ja) | 1994-11-08 |
JP3363204B2 true JP3363204B2 (ja) | 2003-01-08 |
Family
ID=14973331
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12797593A Expired - Fee Related JP3363204B2 (ja) | 1993-04-30 | 1993-04-30 | 樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3363204B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4587343B2 (ja) * | 1999-12-01 | 2010-11-24 | ヤヨイ化学工業株式会社 | 水性系接着剤 |
CN110093126A (zh) * | 2019-03-27 | 2019-08-06 | 广州市永添生物科技有限公司 | 一种医用水性复合乳液纸塑复膜胶的制备方法 |
-
1993
- 1993-04-30 JP JP12797593A patent/JP3363204B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06313090A (ja) | 1994-11-08 |
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