JP3362422B2 - エラストマー加硫組成物 - Google Patents

エラストマー加硫組成物

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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明はエポキシ基含有エラスト
マー加硫組成物に関するものである。さらに詳しくは、
第4級アンモニウムチオシアナートを加硫剤として用
い、さらに尿素誘導体を併用することにより、圧縮永久
ひずみ性、耐熱老化性を損なわずに耐スコーチ性、貯蔵
安定性に優れたエポキシ基含有エラストマー加硫組成物
に関するものである。 【0002】 【従来の技術】エポキシ基を架橋点とするエポキシ基含
有エラストマーの加硫系としては、ポリアミン、ジアミ
ンカーバメート、有機カルボン酸アンモニウム、ジチオ
カルバミン酸塩あるいはイミダゾール類などが広く用い
られている。しかしながらポリアミン、ジアミンカーバ
メートを用いた場合、早期加硫の抑制が困難であり、耐
スコーチ性に問題点があり、また、有機カルボン酸アン
モニウム、ジチオカルバミン酸塩あるいはイミダゾール
類を用いた場合、加硫速度が遅く満足な物性を有する加
硫物を得るには長時間の後加硫が必要であり、さらに圧
縮永久ひずみおよび耐熱老化性が劣るといった問題点が
ある。 【0003】加硫速度が早く、圧縮永久ひずみおよび耐
熱老化性が優れ、なおかつ耐スコーチ性、貯蔵安定性の
優れた加硫系の出現が望まれているのが現状である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、加硫
速度が早く、圧縮永久ひずみおよび耐熱老化性が優れ、
なおかつ耐スコーチ性、貯蔵安定性の優れたエポキシ基
含有エラストマー加硫組成物を提供することである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決すべく種々検討を行った結果、エポキシ基含有
エラストマーに、第四級アンモニウムチオシアナートお
よび尿素類化合物を使用することにより、圧縮永久ひず
み性が優れ、耐スコーチ性、貯蔵安定性に優れる加硫組
成物を与えることを見出だした。 【0006】したがって、エポキシ基含有エラストマー
に、下記一般式 【0007】 【化3】 【0008】(式中のR1 〜R4 は炭素数1〜25のア
ルキル基、アルコキシアルキル基、アリール基、アルキ
ルアリール基、ポリオキシアルキレン基であり、これら
の少なくとも1つが不飽和基を含有しているか、水酸基
で置換されていてもよい)で示される第四級アンモニウ
ムチオシアナートおよび下記一般式で示される尿素結合
を有する尿素誘導体化合物から選ばれる少なくとも1種
の化合物 【0009】 【化4】 【0010】(式中のR5 〜R8 は水素原子または炭素
数1〜11のアルキル基、フェニル基、であり、R5
よびR6 は窒素原子を共有した尿素結合で環状構造に結
合されてもよい)を配合してなるエラストマー加硫組成
物を用いることにより、本発明の目的は達成される。 【0011】本発明において用いられる(A)エポキシ
基含有エラストマーとしては、(1)エポキシ化エラス
トマーおよび、(2)末端ビニルまたはビニリデン基を
有する少なくとも一種の単量体90〜99.9重量%と
エポキシ基含有共重合性単量体0.1〜10重量%とを
乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合などの公知の
重合法により共重合することにより得られるエラストマ
ーである。 【0012】末端ビニルおよびビニリデン基を有する単
量体の例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アク
リル酸iso−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、
アクリル酸n−オクチル、アクリル酸エチルヘキシル、
アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリルなどのアル
キル基の炭素数が1〜20のアクリル酸アルキルエステ
ルおよびこれらに対応するメタクリル酸アルキルエステ
ル;アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸メトキシエ
チル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸ブトキシ
エチル、アクリル酸メトキシエトキシエチルなどのアル
コキシル基あるいはアルキレン基の炭素数が1〜4のア
クリル酸アルコキシアルキルエステルおよびこれらに対
応するメタクリル酸アルコキシアルキルエステル;アク
リル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキ
シプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどのア
クリル酸ヒドロキシアルキルエステルおよびこれらに対
応するメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;アク
リル酸2−シアノエチル、アクリル酸3−シアノプロピ
ル、アクリル酸4−シアノブチル、アクリル酸4−(2
−シアノエトキシ)ブチルなどのアクリル酸シアノアル
キルエステルおよびこれらに対応するメタクリル酸シア
ノアルキルエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、酪酸ビニルなどのビニルエステル;メチルビニルケ
トン、エチルビニルケトンなどのビニルケトン;アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有ビ
ニルあるいはビニリデン化合物;スチレン、α−メチル
スチレンなどのビニル芳香族化合物;ブタジエン、イソ
プレンなどの共役ジエン;エチレン、プロピレン、1−
ブテンなどのα−モノオレフィン;マレイン酸ジエチ
ル、マレイン酸ジn−ブチル、マレイン酸ジメチル、フ
マル酸ジエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジn−ブ
チルなどのアルキル基の炭素数が1〜20の不飽和ジカ
ルボン酸のジアルキルエステル、マレイン酸ジメトキシ
エチル、フマル酸ジメトキシエチルなどの不飽和ジカル
ボン酸のジアルコキシアルキルエステルなどが挙げられ
る。これらは単独あるいは2種以上組み合わせて使用す
ることができる。末端ビニルおよびビニリデン基を有す
る単量体と共重合可能なエポキシ基含有単量体の例とし
ては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジ
ル、ビニルグリシジルエ−テル、アリルグリシジルエー
テルなどが挙げられる。 【0013】エポキシ基含有エラストマーの具体例とし
ては、エポキシ基含有アクリレート共重合体エラストマ
ー、エポキシ基含有エチレン−酢酸ビニル共重合体エラ
ストマー、エポキシ基含有エチレン−アクリレート共重
合体エラストマー、エポキシ基含有エチレン−酢酸ビニ
ル−アクリレート共重合体エラストマー、エポキシ基含
有エチレン−プロピレン共重合体エラストマー、エポキ
シ基含有アクリレート−アクリロニトリル共重合体エラ
ストマー、エポキシ基含有ブタジエン−アクリロニトリ
ル共重合体エラストマー、エポキシ基含有ブタジエン−
スチレン共重合体エラストマー、エポキシ基含有ブタジ
エン−アクリロニトリル−アクリレート共重合体エラス
トマ−などが挙げられるが、エポキシ基含有単量体との
共重合によって、あるいはエポキシ化して得られるエポ
キシ基を架橋点とするエラストマーであれば特に制限さ
れない。 【0014】本発明で使用する(B)第四級アンモニウ
ムチオシアナートは下記一般式で示される化合物であ
る。 【0015】 【化5】 【0016】式中のR1 〜R4 は炭素数1〜25のアル
キル基、アルコキシアルキル基、アリール基、アルキル
アリール基、ポリオキシアルキレン基であり、これらの
少なくとも1つが不飽和基を含有しているか、水酸基で
置換されていてもよい。 【0017】第四級アンモニウムチオシアナートとして
は、テトラメチルアンモニウムチオシアナート、テトラ
エチルアンモニウムチオシアナート、テトラn−ブチル
アンモニウムチオシアナート、デシルトリメチルアンモ
ニウムチオシアナート、ドデシルトリメチルアンモニウ
ムチオシアナート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウ
ムチオシアナート、オクタデシルトリメチルアンモニウ
ムチオシアナート、ベンジルトリメチルアンモニウムチ
オシアナート、ベンジルトリエチルアンモニウムチオシ
アナート、ベンジルヘキサデシルジメチルアンモニウム
チオシアナート、フェニルトリエチルアンモニウムチオ
シアナート、ベンジルジメチルエチルアンモニウムチオ
シアナート、(2ーメトキシエトキシエチル)アンモニ
ウムチオシアナート、コリンチオシアナートなどが例示
される。 【0018】第四級アンモニウムチオシアナートの使用
量は、エポキシ基含有エラストマー100重量部に対し
て0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部で
ある。使用量が0.1重量部未満の場合には、加硫速度
が遅く満足な物性の加硫物が得られないかあるいは満足
な物性の加硫物を得るのに長時間の後加硫を必要とし、
10重量部を越える場合には、加硫速度が極端に早くな
り、加工安定性、貯蔵安定性が損なわれる。 【0019】本発明で使用する(C)尿素誘導体化合物
とは下記一般式で示される尿素結合を有する尿素誘導体
化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である。 【0020】 【化6】 【0021】式中のR5 〜R8 は水素原子または炭素数
1〜11のアルキル基、フェニル基、であり、R5 およ
びR6 は窒素原子を共有した尿素結合で環状構造に結合
されてもよい。尿素誘導体化合物とは尿素、メチル尿
素、エチル尿素、プロピル尿素、N,N′−ジメチル尿
素、N,N′−ジエチル尿素、N,N′−ジプロピル尿
素N,N′−ジフェニル尿素、イソシアヌル酸などが例
示される。 【0022】尿素誘導体化合物の使用量は、エポキシ基
含有エラストマー100重量部に対して0.1〜10重
量部、好ましくは0.5〜5重量部である。使用量が
0.1重量部未満の場合には、耐スコーチ性、貯蔵安定
性に十分の効果が得られず、10重量部を越える場合に
は、加硫速度が極端に遅くなり、圧縮永久ひずみの優れ
た加硫物が得られない。 【0023】本発明の加硫組成物は、エポキシ基含有エ
ラストマーに(B)第四級アンモニウムチオシアナー
ト、(C)尿素類化合物の他に通常ゴム工業で知られて
いる補強剤、充填剤、老化防止剤、安定剤、可塑剤、加
工助剤などを添加してロールあるいはバンバリーなどの
混練機で混合することにより調製される。また必要に応
じて他の加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤などを併用し
てもなんらさしつかえない。得られた組成物は目的に応
じた形状に成型加工され、さらに加硫することにより最
終製品となる。加硫は通常120℃以上の温度、好まし
くは150〜250℃で1〜60分間行われる。また必
要な場合はさらに150〜200℃の温度で1〜240
時間、後加硫を行う。 【0024】本発明の組成物は、圧縮永久ひずみ性、耐
熱老化性を損なわず、なおかつ耐スコーチ性、貯蔵安定
性の優れた性能を有している。本発明の加硫系によって
得られるエポキシ基含有エラストマーの組成物は、耐熱
老化性、圧縮永久ひずみ性などに優れており、パッキ
ン、Oリング、ガスケット、オイルシールなどのシール
材、各種ホース類、ダイヤフラムなどの用途に広く有効
に使用することができる。 【0025】 【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の
記述において部は重量部を表す。 【0026】実施例1〜2および比較例1〜2 表1に示すエポキシ基含有アクリルゴム(市販品 ニポ
ール AR−32 日本ゼオン社製)100部、ステア
リン酸1部、MAFカーボン50部に本発明のテトラn
−ブチルアンモニウムチオシアナート2部およびN,N
´ジフェニル尿素の所定量を8インチオープンロールを
用いて混練し、配合物を調整した。得られた未加硫配合
物の耐スコーチ性を判定するためにJIS K−630
0に従って島津製作所(株)製SMV−200型ムーニ
ースコーチ装置によりスコーチタイムを測定した。さら
に貯蔵安定性を判定するために50℃、ギアーオーブン
中に1日放置後にスコーチタイムを測定した。加硫物は
未加硫配合物を170℃で20分プレス加硫し、さらに
オーブン中、150℃で4時間後加硫することにより加
硫物を得た。得られた加硫物の諸物性をJIS K−6
301に従って評価した。結果を表1に示す。これらの
結果より本発明の加硫系は圧縮永久ひずみが優れ、なお
かつ耐スコーチ性および貯蔵安定性に優れていることが
わかる。 【0027】実施例3〜5および比較例3 実施例1で用いたMAFカーボンブラック50部の代わ
りにMAFカーボンブラック70部を用いたほかは実施
例1と同様の方法で実施した。結果を表2に示す。 【0028】実施例6〜7および比較例4 エポキシ基含有アクリルゴムとして日本ゼオン社製ニポ
ール AR−31を用いたほかは実施例1と同様の方法
で実施した。結果を表3に示す。 【0029】 【表1】【0030】 【表2】【0031】 【表3】【0032】 【発明の効果】以上の結果より明らかなように、本発明
の組成物は、圧縮永久ひずみが優れ、なおかつ耐スコー
チ性および貯蔵安定性に優れたエポキシ基含有エラスト
マー組成物を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−157818(JP,A) 特開 平6−172586(JP,A) 特開 平4−39347(JP,A) 特開 平5−59221(JP,A) 特開 平5−202169(JP,A) 特開 昭63−57629(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 63/00 - 63/10 C08L 19/00 - 19/02

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】(A)エポキシ基含有エラストマー100
    重量部に対し、 (B)下記一般式で示される第四級アンモニウムチオシ
    アナート化合物から選ばれる、少なくとも1種の化合物
    0.1〜10重量部、および 【化1】 (式中のR1 〜R4 は炭素数1〜25のアルキル基、ア
    ルコキシアルキル基、アリール基、アルキルアリール
    基、ポリオキシアルキレン基であり、これらの少なくと
    も1つが不飽和基を含有しているか、水酸基で置換され
    ていてもよい) (C)下記一般式で示される尿素結合を有する尿素誘導
    体化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物0.1〜
    10重量部 【化2】 (式中のR5 〜R8 は水素原子または炭素数1〜11の
    アルキル基、フェニル基、であり、R5 およびR6 は窒
    素原子を共有した尿素結合で環状構造に結合されてもよ
    い)を配合してなることを特徴とするエラストマー加硫
    組成物。
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