JP3362305B2 - 電磁式ロック装置の凍結防止方法 - Google Patents

電磁式ロック装置の凍結防止方法

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JP3362305B2
JP3362305B2 JP26432598A JP26432598A JP3362305B2 JP 3362305 B2 JP3362305 B2 JP 3362305B2 JP 26432598 A JP26432598 A JP 26432598A JP 26432598 A JP26432598 A JP 26432598A JP 3362305 B2 JP3362305 B2 JP 3362305B2
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博 後藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は電磁式ロック装置
の凍結防止に関し、さらに2つのコイルを有して凍結防
止を容易に行なえる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の電磁式ロック装置は、立
体駐車場の昇降装置等に落下防止用として使用されてい
る。
【0003】このような電磁式ロック装置50は、例え
ば、図7に示すように、筒形ボビン51に巻回された励
磁コイル52と、励磁コイル52中心へ円すい台状に突
出した固定磁極53を有する固定鉄心54と、出入する
ロック端部55および固定磁極53に対向する側に円す
い台穴を有する磁極部56を備えた可動鉄心57と、固
定磁極53と可動鉄心57との間に設けられた復帰用の
コイルばね58と、可動鉄心57の位置検出スイッチ5
9とを備え、水密構造の本体容器60に覆われて構成さ
れていた。
【0004】この電磁式ロック装置50は、一般には、
可動鉄心57の直線移動距離(ストローク)が大きく、
例えば、40mm程度のストロークに形成され、可動鉄
心57の軸線を水平にして、屋外、または屋内の立体駐
車場の支柱,桁材等に取り付けられていた。そして、可
動鉄心57のロック端部55の突出時に、ロック端部5
5が、何らかの原因によって落下する昇降パレットを支
持可能に配設されて、昇降パレットの落下防止用として
使用されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のロック
装置においては、励磁コイルは、通常通電されておら
ず、可動鉄心をケース内に吸着移動するときに通電され
るため、寒い日や、特に寒冷地で使用する場合には可動
鉄心が凍結して、励磁コイルが励磁されても可動鉄心が
吸着移動されなかったり、あるいは励磁コイルの励磁が
解除されたときでも、可動鉄心が所定の位置に突出しな
い恐れを生じてしまう。可動鉄心が凍結すると作動不良
につながり、立体駐車場の落下防止として使用されるに
も係らずその機能が果たせなくなる。そのため、凍結防
止対策として外部取付のヒータが必要になり複雑になる
だけでなくコストアップになっていた。
【0006】この発明は、上記にかんがみてなされたも
のであり、その目的とするところは、凍結防止を容易に
行なうことのできる電磁式ロック装置の凍結防止方法を
提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明における電磁式
ロック装置の凍結防止方法は、上記課題を解決するため
に以下のように行なうものである。即ち、ケース体内に
配設され筒形ボビンに巻回された励磁コイルと、前記ボ
ビン内に配設される可動鉄心と、を有し、前記可動鉄心
が前記励磁コイルにより前記ケース体から突出するロッ
ク位置と前記ケース体内に収納される吸着位置間を軸方
向に移動するように構成される電磁式ロック装置の凍結
防止方法であって、前記励磁コイルが、第1コイルと第
2コイルと、を有して構成され、前記第1コイルと前記
第2コイルとの励磁で前記可動鉄心が吸着移動するよう
に構成されるとともに、前記可動鉄心がロック位置にあ
る際、前記第1コイルと前記第2コイルに起磁力の等し
くなる電圧をお互いに逆方向になるように印加すること
によって、前記可動鉄心を吸着移動することなく前記第
1コイルと前機台2コイルとに発熱させることを特徴と
するものである。
【0008】また好ましくは、前記ボビンが、筒状の底
壁と前記底壁から外径方向に向かって延設する前壁、中
間壁、後壁とを有して2室を形成し、それぞれの室に前
記第1コイルと前記第2コイルとが巻回され、それぞれ
別々に電圧が印加されることを特徴とするものであれば
よい。
【0009】また、前記ボビンが、筒状の底壁と前記底
壁から外径方向に向かって延設する前壁、後壁とを有し
て形成され、前記前壁と前記後壁間に、前記第1コイル
と前記第2コイルとが、前記第1コイルと前記第2コイ
ルとの間にスぺーサを介在させて巻回され、それぞれ別
々に電圧が印加されることを特徴とするものであっても
よい。
【0010】さらに好ましくは、前記可動鉄心を吸着す
る際には、前記第1コイルと前記第2コイルに同方向の
電圧が印加されるとともに、前記第1コイルの起磁力が
前記第2コイルの起磁力より大きく設定され、前記可動
鉄心が吸着された状態で前記第2コイルの電圧だけが印
加され続けるように設定されることを特徴とするもので
あればなおよい。
【0011】また、前記第1コイルと前記第2コイルが
並列に構成された回路を有し、それぞれのコイルが選択
的に凍結防止用リレーに接続されることを特徴とするも
のであればなおよい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施態様を図
面に基づいて説明する。
【0013】以下の説明においては、電磁式ロック装置
(以下、ロック装置という)は2つのコイルを設けて別
々に電圧を印加することによって凍結防止を行なうもの
であり、2つのコイルは吸着作用と凍結防止作用以外に
も別の作用するものであってもよい。
【0014】例えば、第1の形態の電磁式ロック装置1
は、吸着作用と凍結防止作用に加えてコンパクトに構成
されるとともに消費電力を低減する働きを持つ2つのコ
イルを有しているものでり、図1に示すように、円筒状
に形成されたケース体2と、ケース体2内に配置され中
空状でしかも外向きに中間壁を有して2室に形成される
ボビン3と、ボビン3のそれぞれの室に巻回する第1コ
イルとしての起動コイル5及び第2コイルとしての保持
コイル6とで構成される励磁コイル4と、ボビン3内を
摺動可能に配置され先端部がケース体2から突出可能に
形成される可動鉄心10とを有して構成されている。な
お、第1コイルと第2コイルとが以下に説明する起動コ
イル5、保持コイル6に限定するものでなく、2つのコ
イルを配設するものであればいずれでもよい。さらに以
下に説明するロック装置も下記に限定するものではな
い。
【0015】また、以下の説明では、可動鉄心10がケ
ース体2より突出した位置にあるときをロック位置とい
い、ケース体2内に収納された位置にあるときを吸着位
置という。
【0016】ケース体2は、先端側(図1における左
側)に被取付体に装着するために段部を有し可動鉄心1
0が出入するように形成されるケース前部21と、後端
側(図1における右側)に円板状に形成されるケース後
部22と、ケース前部21とケース後部22を接続し円
筒状に形成されるケース本体部23とからなり、ケース
前部21とケース後部22の内周面には可動鉄心10を
摺動案内するパイプ8が固着支持されている。ケース前
部21、ケース後部22及びケース本体部23はいずれ
も磁性体で形成され励磁コイル4の通電によりケース体
2と可動鉄心10間に磁路を形成している。また、ケー
ス前部21には可動鉄心10が出入するための孔21a
が形成されるとともに、段部に軸方向に沿って被取付体
に装着するための雌ねじ21bが前端側から後端側に向
かって複数個形成されている。
【0017】ボビン3は、円筒状の底壁31に前壁32
・中間壁33・後壁34を有して2室のコイル室を形成
し、前壁32がケース前部21の後端面に当接支持する
ように配置されるとともに2室のコイル室のうち、前方
側のコイル室に起動コイル5が巻回され後方側のコイル
室に保持用コイル6が巻回される。
【0018】可動鉄心10を吸引する際には、起動コイ
ル5は可動鉄心10の始動時に大きな吸引力を引き出す
ために配設され保持コイル6に比べてその起磁力を大き
く設定している。起動コイル5の起磁力を保持コイル6
の起磁力より大きくすることによって、後述のように、
起動コイル5の回りに発生する磁束と保持コイル6の回
りに発生する磁束との間に漏洩磁束Φ1を発生させ、こ
の漏洩磁束Φ1を起動コイル5の回りに流すことができ
る。
【0019】可動鉄心10がロック位置にある時には、
凍結防止を行なう場合、起動コイル5と保持コイル6と
は起磁力の等しくなる電圧を逆向きに印加するように設
定され、凍結防止を行なわない場合、起動コイル5と保
持コイル6には電圧が印加されないように設定されてい
る。
【0020】また、ボビン3の後壁34からケース後部
22に向かって軸方向に1個のリミットスイッチ用壁3
5が形成され、リミットスイッチ36が可動鉄心10を
検知できるように装着されている。リミットスイッチ3
6には作動子36aが配置され、作動子36aの先端は
パイプ8に形成された切欠孔8aを貫通してパイプ8内
に位置される。
【0021】可動鉄心10は、小径のロック部11と大
径の摺動部12を有する2段の円柱状に形成され、ロッ
ク部11はケース体2から外方に突出するように配置さ
れ40〜50ミリのストロークを有するように長尺に形
成されるとともにケース前部21の孔21aに装着され
るパッキン25に移動可能に嵌合される。摺動部12は
ロック部11より短く形成されるとともにパイプ8内を
摺動し、内部に中空部12aが形成される。摺動部12
の摺動ストロークを確保するために摺動部12とケース
後部22との隙間(ギャップ)は大きくする必要があ
り、本形態においては可動鉄心10のロック部11がケ
ース体2外のロック位置にある時、つまり励磁コイル4
が通電されない状態では、可動鉄心10の摺動部12の
後端面からケース後部22の前端面との距離(軸方向の
ギャップ)S1は、摺動部12の外周面からケース本体
部23の内周面(径方向のギャップ)S2より大きく設
定している。従って、可動鉄心10を起動する際におい
ては起動コイル5と保持コイル6との励磁によって発生
する磁束は軸方向よりギャップの小さい径方向に流れる
ことになる。
【0022】一方ケース後部22の内側端面に、軸心中
央部が突起されたゴム状弾性体のストッパが26が固着
され、可動鉄心10の摺動部12の後端面がストッパ2
6に当接される。また、可動鉄心10の摺動部12の中
空部12aとストッパ26との間に可動鉄心10のロッ
ク部11をケース前部21から外方に突出する方向に付
勢する戻りばね27が配置されている。さらに、可動鉄
心10の前方へのストローク端位置に、ケース前部21
の内側端面に弾性状の緩衝部材28が固着され、可動鉄
心10が最先端位置に達した時に摺動部12の前端面が
緩衝部材28に当接する。
【0023】従って上記の構成のロック装置1は可動鉄
心10の摺動部12が短く、その分、装置全体をコンパ
クトにできる。しかも可動鉄心10のストロークは変わ
ることがない。さらに、従来の可動鉄心と比べてテーパ
部が形成されていないので加工費を下げることができ、
また、従来のテーパ状の固定磁極も形成されていないの
でケース後部22においても加工費を下げることができ
る。
【0024】次に、このように構成されたロック装置1
の動作を説明する。
【0025】凍結防止を行なわない通常時において、起
動コイル5と保持コイル6の非通電状態においては、可
動鉄心10は、戻りばね27の付勢力により、摺動部1
2の前端面が緩衝部材28に当接して位置決めされ、ロ
ック部11がケース前部21より突出したロック位置に
ある。
【0026】凍結防止を行なう場合には、図示しない制
御盤で「凍結防止」の作動スイッチを動作することによ
って、起動コイル5と保持コイル6には起磁力の等しく
なる電圧がお互いに逆方向になるように印加される。起
動コイル5と保持コイル6の起磁力がそれぞれ打ち消し
合うため、ロック部11がケース前部21より突出した
ロック位置に保持されたままにある。しかし起動コイル
5と保持コイル6の2つのコイルは通電されているので
2つのコイルは発熱し、可動鉄心10に伝導されて可動
鉄心10が温められる。従って外部の温度が低くても可
動鉄心10自体が温められているので凍結することがな
い。そして、いずれの場合においても、リミットスイッ
チ36は、可動鉄心10が作動子36aから離隔して非
押圧状態にあり、ロック部11がロック位置にあること
を検出している。
【0027】次に、可動鉄心を吸引する場合には、起動
コイル5と保持コイル6とに同方向でしかも起動コイル
5が保持コイル6より大きな起磁力を有する電圧を印加
する。これにより、ケース体2と可動鉄心10間に磁気
回路が構成され可動鉄心10を吸着位置側に吸引する磁
力が働く。この際に発生する磁束Φは、図1に示すよう
に、起動コイル5の回りに発生する磁束と保持コイル6
の回りに発生する磁束が合成されケース体2と可動鉄心
10間を流れる磁束Φ2と、前述の起動コイル5と保持
コイル6との起磁力の大きさの差異によって発生した漏
洩磁束Φ1との合成されたものとなり、その吸引力は起
動コイル5と保持コイル6とが同じ大きさの起磁力のも
のに比べて始動時の吸引力が増大する。
【0028】この吸引力は、戻りばね27の付勢力に勝
って、図2に示すように、可動鉄心10をケース後部2
2側に移動させる。この時、可動鉄心10のロック部1
1の先端面はケース前部21の先端面と略同一面にあ
る。このストロークは40〜50ミリ程に設定されてい
る。可動鉄心10がケース後部22側に移動すると、リ
ミットスイッチ36の作動子36aが可動鉄心10の摺
動部12の外周面に押圧されてリミットスイッチ36を
作動させる。リミットスイッチ36は常閉回路(b接
点)のため、作動子36aが押圧されて作動されるとO
FFになり、起動コイル5が遮断され非通電になるとと
もに保持コイル6のみが通電される。この際に発生する
磁束はケース前部21から可動鉄心10を通ってケース
後部22に流れ、可動鉄心10を吸着位置で保持するこ
とになる。
【0029】この状態を図3に示す回路図で説明する。
交流電源15は全波整流回路16の入力端子に接続さ
れ、全波整流回路16の出力端子に起動コイル5と保持
コイル6が並列に接続されている。起動コイル5には、
凍結防止作動用リレーR1と凍結防止を行なわない通常
作動用リレーF1が並列状に選択的に接続されるととも
に、通常作動用リレーF1は起動コイル5に順方向に電
流が流れるように接続され、凍結防止用リレーR1には
抵抗rが直列に接続されるとともに凍結防止用リレーR
1に電流が流れるときには、凍結防止用リレーR1は起
動コイル5に流れる電流が通常作動時と逆方向になるよ
うに接続されている。また、保持コイル6には、凍結防
止用リレーR2と通常作動用リレーF2が並列状に選択
的に接続され、凍結防止用リレーR2と通常作動用リレ
ーF2はいずれも保持コイル6に電流が順方向に流れる
ように接続されている。凍結防止用リレーR1、R2と
通常作動用リレーF1、F2は切り替えスイッチSWに
よって切り替わる。
【0030】さらに、起動コイル5と保持コイル6間に
リミットスイッチ36のON、OFFによって作動され
るリレーF3が接続されている。リミットスイッチ36
は、電源ONの状態では回路を閉じてリレーF3がON
になり起動コイル5と保持コイル6に電流が流れ、リミ
ットスイッチ36の作動子36aが可動鉄心10によっ
て押圧されるとリレーF3がOFFになり起動コイル5
の回路を遮断するように接続されている。
【0031】従って、通常作動時の場合、電源15が入
ると交流電流が全波整流回路16によって直流に変換さ
れ、直流電流は通常作動用リレーF1、F2を通って起
動コイル5と保持コイル6に順方向に流れる。起動コイ
ル5と保持コイル6が通電されて可動鉄心10を移動さ
せると、リミットスイッチ36が解放され保持コイル6
の回路は閉じたままで保持コイル6は通電され、起動コ
イル5の回路は解放されるため起動コイル6の励磁が解
除される。なお、保持コイル6の通電による磁力は戻り
ばね27の付勢力より僅かに大きく設定され、その消費
電力及び発熱は従来に比べて少ない。
【0032】なお、このリミットスイッチ36は上述の
ように起動・保持の自己切替の役目をするものである
が、a接点に別の配線をすることによって外部からの動
作確認用のセンサとしての役目を果たすことができる。
例えば、a接点にランプを接続しリミットスイッチ36
が作動子36aの押圧によりb接点からa接点につなが
ってランプを点灯させれば、可動鉄心10のロック部1
1がケース体2内に収納された吸着位置にあることが確
認できる。従って、可動鉄心10のロック位置あるいは
吸着位置を確認するための新たなセンサを設ける必要が
ない。
【0033】保持コイル5への通電を断つと、ケース体
2と可動鉄心10間に発生した磁界は消磁され、可動鉄
心10は戻りばね27の付勢力により、ロック部11が
突出したロック位置へ復帰する。
【0034】この復帰移動は、緩衝部材28により緩衝
的に受け止められ、金属騒音の発生を防止することがで
きる。
【0035】凍結防止を行なう場合、図示しない制御盤
の「凍結防止」をONすると、切り替えスイッチSWに
より凍結防止用リレーR1、R2に切り替わり、全波整
流回路16から直流電流に変換された電流は、一方では
リレーR1を通って起動コイル5に逆方向に流れ、他方
では凍結防止用リレーR2を通って保持コイル6に順方
向に流れる。
【0036】一方、起動コイル5と保持コイル6との2
つのコイルは起磁力が等しくなるように電圧が印加され
ているため、逆方向に発生した2つのコイルの起磁力は
お互いに打ち消しあって可動鉄心10は移動されない。
但し、前述のように起動コイル5・保持コイル6には電
圧が印加されているので、起動コイル5・保持コイル6
は発熱され可動鉄心10に伝導される。
【0037】上記のように構成されたロック装置1は、
例えば、図4に示すように、立体駐車場の昇降パレット
落下防止用のロック装置として使用される。
【0038】図4において、ロック装置1は、立体駐車
場の両側の桁材40へ、ケース前部21の雌ねじ21b
に、ボルト39を用いて固定されるとともに、図示しな
い制御盤に電気的に接続されている。
【0039】起動コイル5と保持コイル6の非通電状態
では、可動鉄心10は、非吸引状態で戻りばね27に付
勢されて、ロック部11が両桁材40の内方へ突出して
いる。そして、特に寒冷地において気温が低下する場合
には凍結防止を作動させて可動鉄心を温めておく。
【0040】左右両側の桁材40,40に配置された、
各2個のロック装置1のロック部11の突出により、何
らかの原因により落下する昇降パレット41の下面が、
各ロック部11上面に当接して停止させることができ
る。
【0041】そして、昇降パレットを昇降する場合に
は、起動コイル5と保持コイル6を通電状態にさせる。
可動鉄心10はケース体2内に吸引され、可動鉄心10
の摺動部12後端面とストッパ26とが当接して、ロッ
ク部11がケース前部21と面一となる位置に移動さ
れ、起動コイル5のみがその通電を解除され保持コイル
6の励磁で吸着状態を保持する。そして、昇降パレット
41は設定された次の作動が開始される。
【0042】図5は、第2の形態のロック装置70を示
すものであり、ボビン71は底壁72と前壁73、後壁
74とを有して形成され、底壁72、前壁73、後壁7
4間に形成される室には、第1コイル77と第2コイル
78から形成される励磁コイル75が巻回され、第1コ
イル77と第2コイル78との間にスぺーサ79が挟持
されている。第1コイル77と第2コイル78は同じ線
径で巻数も等しく形成されて、可動鉄心10を吸着する
場合には第1コイル77と第2コイル78には同方向の
同電圧を印加し、可動鉄心10をロック位置に突出させ
た位置で凍結防止する場合には、第1コイル77と第2
コイル78には、お互い逆方向の同電圧を印加する。な
お、第1コイル77と第2コイル78の巻数と線径は同
じでなくても、それぞれの起磁力が等しくなるように電
圧を印加すればよい。なお、この形態の回路では、図3
に示す抵抗rを除くことができる。
【0043】このロック装置70は特に消費電力を低減
するものでないため、第1コイル77と第2コイル78
は第1の形態における起動コイル5及び保持コイル6に
相当するものでなくてもよい。もちろん起動コイル5及
び保持コイル6と同様の機能をするものであっても構わ
ない。また、このタイプのロック装置70はコンパクト
に構成されている。
【0044】なお、このロック装置70において、図6
に示すように、ボビン71が第1の形態と同様に中間壁
75aを有して2室に形成するものであってもよい。こ
の場合、第1コイル77は一方の室に、第2コイル78
は他方の室に別々に装着されスぺーサ79は省略される
ことになる。
【0045】本発明のロック装置の凍結防止方法は、前
述のように2つのコイルを構成して別々に励磁するもの
であるため、上記第1及び第2の形態のロック装置に限
るものではない。例えば、図に示す従来のロック装置5
0に配設される起動コイル52をスぺーサを介して2つ
に分割して構成してもよい。そして、凍結防止するため
に分割したそれぞれの励磁コイルに、起磁力が等しい電
圧をお互いに逆方向になるように印加すればよい。
【0046】上記それぞれのロック装置は、上述したも
のに限らずその要旨を変更しない範囲で各部の形態を変
更することができる。例えば、ケース後部22に、可動
鉄心10の中空部12aに嵌合する固定磁極をケース内
方に突起するように設けるようにすれば、可動鉄心10
を安定してガイドすることができる。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、電
磁式ロック装置の凍結防止方法は、ケース体内に配設さ
れ筒形ボビンに巻回された励磁コイルと、前記ボビン内
に配設される可動鉄心と、を有し、前記可動鉄心が前記
励磁コイルにより前記ケース体から突出するロック位置
と前記ケース体内に収納される吸着位置間を軸方向に移
動するように構成される電磁式ロック装置に適用するも
のであって、前記励磁コイルが、第1コイルと第2コイ
ルと、を有して構成され、前記第1コイルと前記第2コ
イルとの励磁で前記可動鉄心が吸着移動するように構成
されるとともに、前記可動鉄心がロック位置にある際、
前記第1コイルと前記第2コイルに起磁力の等しくなる
電圧をお互いに逆方向になるように印加することによっ
て、前記可動鉄心を吸着移動することなく前記起動コイ
ルと前記保持コイルを発熱させることができるので、前
記電磁式ロック装置自体で凍結防止を行なうことができ
る。従って、従来のように外部にヒータを配設する必要
はなく容易でコストの低減されたロック装置を提供でき
る。
【0048】また、この電磁式ロック装置凍結防止方法
では、前記可動鉄心を吸着する際には、前記第1コイル
と前記第2コイルに同方向の電圧が印加されるととも
に、前記第1コイルの起磁力が前記第2コイルの起磁力
より大きく設定され、前記可動鉄心が吸着された状態で
前記第2コイルの電圧だけが印加され続けるように設定
されるタイプの電磁式ロック装置、つまり、消費電力を
低減可能な電磁式ロック装置で容易に凍結防止を行なう
ことができる。
【0049】また、前記第1コイルと前記第2コイルが
並列に構成された回路を有し、それぞれのコイルが選択
的に凍結防止用リレーに接続されているため、容易に凍
結防止作動を行なうことができるとともに、簡易的な起
動保持自己切替回路を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の凍結防止方法を採用する電磁式ロック
装置の正面断面図。
【図2】同電磁式ロック装置の可動鉄心を吸着した状態
を示す正面断面図
【図3】本発明の電磁式ロック装置の励磁コイルを示す
回路図
【図4】本発明の電磁式ロック装置の一使用形態を示す
【図5】本発明の凍結防止方法を採用する別の電磁式ロ
ック装置を示す正面断面図
【図6】図5のボビンの別の形態を示す一部断面図
【図7】従来の電磁式ロック装置を示す正面断面図
【符号の説明】
1…電磁式ロック装置 2…ケース体 3…ボビン 4…励磁コイル 5…起動コイル(第1コイル) 6…保持コイル(第2コイル) 10…可動鉄心 11…ロック部 12…摺動部 21…ケース前部 22…ケース後部 23…ケース本体部 36…リミットスイッチ

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケース体内に配設され筒形ボビンに巻回
    された励磁コイルと、前記ボビン内に配設される可動鉄
    心と、を有し、前記可動鉄心が前記励磁コイルにより前
    記ケース体から突出するロック位置と前記ケース体内に
    収納される吸着位置間を軸方向に移動するように構成さ
    れる電磁式ロック装置の凍結防止方法であって、 前記励磁コイルが、第1コイルと第2コイルと、を有し
    て構成され、 前記第1コイルと前記第2コイルとの励磁で前記可動鉄
    心が吸着移動するように構成されるとともに、 前記可動鉄心がロック位置にある際、前記第1コイルと
    前記第2コイルに起磁力の等しくなる電圧をお互いに逆
    方向になるように印加することによって、前記可動鉄心
    を吸着移動することなく前記第1コイルと前機台2コイ
    ルとに発熱させることを特徴とする電磁式ロック装置の
    凍結防止方法。
  2. 【請求項2】 前記ボビンが、筒状の底壁と前記底壁か
    ら外径方向に向かって延設する前壁、中間壁、後壁とを
    有して2室を形成し、それぞれの室に前記第1コイルと
    前記第2コイルとが巻回され、それぞれ別々に電圧が印
    加されることを特徴とする請求項1記載の電磁式ロック
    装置の凍結防止方法。
  3. 【請求項3】 前記ボビンが、筒状の底壁と前記底壁か
    ら外径方向に向かって延設する前壁、後壁とを有して形
    成され、前記前壁と前記後壁間に、前記第1コイルと前
    記第2コイルとが、前記第1コイルと前記第2コイルと
    の間にスぺーサを介在させて巻回され、それぞれ別々に
    電圧が印加されることを特徴とする請求項1記載の電磁
    式ロック装置の凍結防止方法。
  4. 【請求項4】 前記可動鉄心を吸着する際には、前記第
    1コイルと前記第2コイルに同方向の電圧が印加される
    とともに、前記第1コイルの起磁力が前記第2コイルの
    起磁力より大きく設定され、前記可動鉄心が吸着された
    状態で前記第2コイルの電圧だけが印加され続けるよう
    に設定されることを特徴とする請求項1,2,または3
    記載の電磁式ロック装置の凍結防止方法。
  5. 【請求項5】 前記第1コイルと前記第2コイルが並列
    に構成された回路を有し、それぞれのコイルが選択的に
    凍結防止用リレーに接続されることを特徴とする請求項
    1,2,3または4記載の電磁式ロック装置。
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