JP3361130B2 - 排気ガス浄化用触媒に用いられるzsm−5の製造方法 - Google Patents
排気ガス浄化用触媒に用いられるzsm−5の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、排気ガス浄化用触媒に
用いられるZSM−5の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】エンジンの排気ガス浄化用触媒として、
CO(一酸化炭素)及びHC(炭化水素)の酸化と、N
Ox(窒素酸化物)の還元とを同時に行う三元触媒が知
られている。三元触媒は、γ−アルミナにPt(白
金)、Pd(パラジウム)、Rh(ロジウム)を担持さ
せてなるものが知られており、エンジンの空燃比(A/
F)が理論空燃比である14.7付近である場合に高い
浄化効率が得られる。 【0003】上記エンジンの排気ガスの中でもNOx
は、人体及び生態系に悪影響を及ぼす懸念が大きいため
大気中へ排出されることは極力防止されなければならな
い。その排出防止対策にはいくつかの方法があるが、移
動式エンジンの場合エンジン排気系に設置した触媒によ
って浄化することが現実的である。 【0004】一方、自動車の分野ではエンジンに関して
の燃料規制に対応するため、希薄燃焼エンジン、いわゆ
るリーンバーンエンジンが実用化されている。しかし、
上記希薄燃焼エンジンの場合には空燃比が高いことによ
り排気ガスは酸素高濃度雰囲気となっているため、上記
したような三元触媒ではCO及びHCは酸化浄化するこ
とができても、NOxの還元浄化はできない。 【0005】そこで、排気ガスの酸素高濃度雰囲気下に
おいても、NOxを直接、或いは還元剤(例えば、C
O,HC等)の存在によってN2とO2とに接触分解させ
ることができる触媒として、遷移金属を例えばイオン交
換によって担持させたゼオライトよりなる触媒が有望視
されている。 【0006】活性種として遷移金属中のCuを始め貴金
属等を担持する活性種担持母材にはゼオライトはもとよ
り、かかる触媒においてはゼオライトにおけるアルミニ
ウムに代えて又はアルミニウムと共に他の金属が含有さ
れてなる金属含有シリケートを担持母材として用いるこ
とも可能である。 【0007】排気ガス浄化用触媒に適用される上記金属
含有シリケートは、そのほとんどが合成品であり、その
合成方法は、例えば、特開昭64−15142号公報に
記載されているように、水ガラス等のシリカ源と所要の
金属塩とを必須の組成成分として有する水和ゲルを前駆
体として合成されている。すなわち、この前駆体として
のゲルは、容器に入れられてオートクレーブに仕込ま
れ、撹拌されつつ水熱反応によって微細孔を有する結晶
性の金属含有シリケートとなる。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明者は、金属活性
種が担持されることによって、優れたNOx浄化特性を
発現することが可能となるような適性を有する金属含有
シリケートの一種であるZSM−5を得るために、その
製造方法について鋭意研究を進めた。その結果、上記Z
SM−5は、その結晶構造によって活性種担持後の触媒
性能が特徴づけられることはいうまでもないが、同様の
構造となされたZSM−5に、活性種として同一の金属
が同一のプロセスで担持されて触媒が構成される場合で
あっても、最終的に得られる触媒の性能、特に当該触媒
の加熱後の性能に著しい差異が認められるという問題点
のあることに着目した。そしてZSM−5の水熱合成時
の条件について種々の実験を行い、上記水熱合成の行わ
れる態様によって、合成の進行する段階で結晶化する挙
動に差異が生じていることを見出だした。 【0009】すなわち、上記ゲルが結晶化する段階で水
熱合成が行われる雰囲気から受ける作用は、上記水熱合
成が行われるオートクレーブに仕込まれるゲルの仕込み
量の多少、換言すればオートクレーブ内の空間比によっ
て差異を生じている。そして、この差異によってもたら
されるZSM−5の適性の差が、上記したような最終的
な触媒の性能に影響を及ぼしているとの知見を得た。 【0010】上記に鑑みて、本発明は、活性種が担持さ
れることによって触媒に構成されるに際し、並びに当該
触媒が加熱された後においても、優れた触媒性能が安定
して得られるような、活性種担持母材としてのZSM−
5を得ることを目的としている。 【0011】 【課題を解決するための手段及びその作用】本発明者
は、上記ゲルの仕込み量が特定の範囲内にあるように仕
込まれた場合に、活性種を担持させることによって排気
ガス浄化特性の優れた触媒が構成可能となる適性を有す
るZSM−5が得られることを確認し、本発明を完成す
るに至った。 【0012】したがって上記したような目的を達成する
ため、本発明の講じた解決手段は、排気ガス浄化用触媒
に用いられるZSM−5の製造方法を対象とし、上記Z
SM−5の原料を混合撹拌して水和ゲルを得る工程と、
上記水和ゲルの体積1に対するオートクレーブ内の空間
比が1.5〜4となるように当該オートクレーブに水和
ゲルを仕込む工程と、上記仕込み後の水和ゲルを水熱反
応によって結晶化させる工程とを包含する構成とするも
のである。 【0013】本発明の構成により、オートクレーブへ水
和ゲルを仕込む工程におけるゲルと空間との比率が上記
範囲内となる場合に所要の適性を有するZSM−5が得
られることに関しては、オートクレーブに仕込まれた水
和ゲルが水熱反応時の水蒸気による加熱で結晶化する段
階で、ゲルがどのような経過をたどって結晶組織に変化
するのかについて未だ充分に解明されていないが、本発
明者の実験に基づく検討結果によれば以下のように考え
られる。 【0014】すなわち、オートクレーブ内は、オートク
レーブの空間を満たす水蒸気とゲル中の水との二相系で
あるため、水熱反応は上記水の気−液平衡のもとで行わ
れる。また、このオートクレーブ内での水熱反応におけ
る気−液平衡は、ゲルの仕込み量(体積)と空間との容
積比に変動があればその変動に応じて気−液平衡は多様
なものとなることが予測される。 【0015】したがって、上記ゲルの体積と空間との比
が、本発明の構成におけるような比率となされている場
合にゲルが結晶組織に形成されるために最も好ましい条
件となり、このような条件のもとで結晶化されたZSM
−5は、活性種が担持されることによって触媒に構成さ
れたときに、優れたNOx浄化特性を発現する適性を有
するようになるものと推定される。 【0016】本発明に係るZSM−5の製造方法におけ
るZSM−5の水熱合成に際して、水熱反応時のゲルの
体積に対するオートクレーブ内の空間の比率が上記範囲
外となり、オートクレーブ内の空間過大又は空間過少の
もとでの水熱反応が行われた場合には、活性種の担持に
よる触媒構成後、特に当該触媒の加熱後において効果的
にNOxを除去することが可能となるような適性を有す
るZSM−5は得られない。さらに、上記オートクレー
ブ内の空間過大のときには、オートクレーブ中に張り込
まれている水が上記ゲル中に混入し、当該ゲルの結晶化
が著しく阻害される懸念がある。 【0017】 【実施例】以下、本発明の実施例につき説明する。 【0018】−ZSM−5の前駆体ゲルの合成− 表1に示すような各混合成分となされた第1液、第2
液、第3液をそれぞれ調製した。尚、表1においてTP
ABはテトラ−N−プロピレンアンモニウムブロミドの
略であり、当該TPABはZSM−5の水熱合成時のテ
ンプレートとなるものである。 【0019】 【表1】 【0020】上記表1中の注1で示される第1液の金属
塩の混合量(g)と、注2で示される第2液の水ガラス
の混合量(g)とは各々を適量に選択することによって
上記第1〜3液がゲルに合成され、さらに下記に詳述す
るように水熱合成されて得られるZSM−5における、
例えばケイバン比に代表されるようなSiとAlとの各
酸化物の比を策定することができるものである。 【0021】注3で示される第2液のTPABの混合量
(g)は、上記ゲルが同じく下記水熱合成によりZSM
−5に合成される際の結晶構造との関連で策定する。 【0022】先ず、上記第3液を氷冷し激しく撹拌しな
がら、当該第3液中に上記第1液及び第2液を約6分か
けて滴下した。その際、混合中の溶液のpHが9〜11
に保持できるようにNaOH水溶液又は硫酸水溶液を適
宜加えた。第3液へ第1液及び第2液を滴下し終ってか
ら約2分撹拌を続け、ZSM−5の前駆体としてのゲル
(水和ゲル)を合成した。 【0023】尚、上記ゲルの組成に関する限りは、従来
の製造方法において採用されているゲルの組成とほぼ同
じである。 【0024】このゲルの合成において、第1液中の金属
塩として硫酸アルミニウムを用いるとゼオライトZSM
−5を合成するための出発組成となる。ケイバン比は1
5〜2000の間で自由に設定可能である。特にケイバ
ン比が15〜200となるように設定したZSM−5
は、活性種担持後のNOx浄化特性が良好となる。 【0025】−水熱合成− 上記第1液、第2液、第3液の混合により合成されたゲ
ルを、図1にその概要が示されるようなオートクレーブ
装置を用いて水熱合成した。 【0026】容器1中に、ゲル2の体積と当該容器1が
装てんされるオートクレーブ3内の空間3aとの比が
1:4となるようにゲル2を仕込んだ後、当該容器1を
オートクレーブ3内に装てんした。容器1の外壁面とオ
ートクレーブ3の内壁面との間には所要量の水4が張り
込まれており、上記ゲル2が撹拌装置5によって撹拌さ
れることが可能な状態でオートクレーブ3を密封した。 【0027】次いで、オートクレーブ3内雰囲気を窒素
で置換し、窒素分圧が3kgf/cm2となるようにし
た。ゲル2を撹拌しながらオートクレーブ3を加熱し、
内部の温度を160分間で160℃まで上昇させ、引き
続き800分間で200℃まで上昇させて水熱合成を行
った。 【0028】室温まで冷却後、合成生成物を取り出して
純水で洗浄した。洗浄後乾燥し、600℃にて3時間焼
成し、本発明方法に係るZSM−5を製造した。 【0029】−ZSM−5の特性の評価− NOx浄化特性の評価 上記のようにして製造されたZSM−5を150g秤量
し、これに酢酸銅69g及び水3リットルを加え50℃
に保って8時間撹拌することによってCuイオン交換し
た。室温まで冷却した後、瀘過及び洗浄を行い、イオン
交換率が100%程度のCuイオン交換ZSM−5触媒
を調製した。この触媒を実施例触媒と称する。 【0030】尚、イオン交換種は上記Cuの他、Co,
Ni,Pt,Pd,Rh,Ir等が適宜触媒活性種とし
て担持可能なことはいうまでもない。 【0031】一方、上記前駆体ゲルと同様な組成のゲル
を従来方法(ゲルと上記空間との比が1:0.3程度の
ゲルの仕込み量)によって水熱合成して得られるZSM
−5に上記実施例触媒の調製時と同様の手段によってC
uイオン交換を行って触媒を調製した。この触媒を従来
例触媒と称する。 【0032】上記実施例触媒及び従来例触媒を、O2:
10%,H2O:10%,He:残部の雰囲気下で60
0℃×8時間それぞれ加熱した。加熱を経た後の実施例
触媒及び従来例触媒について、モデルガス評価装置によ
ってNOx浄化特性を評価し、その結果を図2に示し
た。尚、モデルガスの組成はNOx:2000ppm,
CO:0.18%,HC:6000ppmC,CO2:
8.4%,O2:8.0%,N2:残部とし、また、SV
=90000h-1とした。 【0033】図2に示される結果によれば、本発明方法
により製造されたZSM−5は、活性種が担持されるこ
とによって触媒に構成された場合には、加熱を経た後も
優れたNOx浄化特性を有する触媒となることが明らか
である。 【0034】仕込み量の多少による評価 表2に示すような種々の仕込み量でオートクレーブに上
記ゲルを仕込んだ。尚、表2における仕込み量は、ゲル
の体積とオートクレーブの空間との比率として表されて
いる。 【0035】 【表2】 【0036】すなわち、表2に示されるような仕込み量
となされたゲルの水熱合成によって得られる各ZSM−
5に、それぞれ活性種を担持(Cuイオン交換)せしめ
てNOx浄化用触媒を構成し、さらに加熱(例えば、O
2:10%,H2O:10%,He:残部の雰囲気で60
0℃×8時間)した。しかる後、SV=90000h-1
のモデルガス(例えば、NOx:2000ppm,C
O:0.18%,HC:6000ppmC,CO2:
8.4%,O2:8.0%,N2:残部の組成)によって
最高NOx浄化率を評価した。その評価結果は、上記表
2に併せ示すとおりであった。 【0037】この評価結果から、ゲルの仕込み量がゲ
ル:空間=1:4ないしゲル:空間=1:1.5の範囲
となされ、その仕込量での水熱合成によって得られるゼ
オライトは、活性種が担持されることによって触媒に構
成されたときには、比較的低い温度域において優れたN
Ox浄化特性を発現することが可能になる適性を有する
ことが確認された。 【0038】比表面積の評価 上記水熱合成によって得られたZSM−5がCuイオン
交換(イオン交換率が100%程度)されてなる触媒に
おける、上記水熱合成時におけるゲルの仕込み量の多少
と、それぞれ触媒に構成される前の当該ZSM−5の比
表面積との関係を評価した。その評価結果を表3に示し
た。 【0039】 【表3】 【0040】表3に示される結果によれば、上記評価し
た各ZSM−5間で大きな差は認められないが、本発明
に係る構成の仕込み量の範囲に含まれるゲルと空間との
比率=1:4〜2にて水熱合成されたZSM−5は比較
的大きな比表面積となっている。 【0041】 【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る排気
ガス浄化用触媒に用いられるZSM−5の製造方法によ
れば、オートクレーブ内の水の気−液平衡がZSM−5
の結晶成長に適切な状態となるように、水熱合成におけ
るZSM−5の前駆体であるゲルの仕込み量が設定され
ることになるので、NOx浄化用触媒の活性種担持母材
として良好な適性を有するZSM−5が得られる。
用いられるZSM−5の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】エンジンの排気ガス浄化用触媒として、
CO(一酸化炭素)及びHC(炭化水素)の酸化と、N
Ox(窒素酸化物)の還元とを同時に行う三元触媒が知
られている。三元触媒は、γ−アルミナにPt(白
金)、Pd(パラジウム)、Rh(ロジウム)を担持さ
せてなるものが知られており、エンジンの空燃比(A/
F)が理論空燃比である14.7付近である場合に高い
浄化効率が得られる。 【0003】上記エンジンの排気ガスの中でもNOx
は、人体及び生態系に悪影響を及ぼす懸念が大きいため
大気中へ排出されることは極力防止されなければならな
い。その排出防止対策にはいくつかの方法があるが、移
動式エンジンの場合エンジン排気系に設置した触媒によ
って浄化することが現実的である。 【0004】一方、自動車の分野ではエンジンに関して
の燃料規制に対応するため、希薄燃焼エンジン、いわゆ
るリーンバーンエンジンが実用化されている。しかし、
上記希薄燃焼エンジンの場合には空燃比が高いことによ
り排気ガスは酸素高濃度雰囲気となっているため、上記
したような三元触媒ではCO及びHCは酸化浄化するこ
とができても、NOxの還元浄化はできない。 【0005】そこで、排気ガスの酸素高濃度雰囲気下に
おいても、NOxを直接、或いは還元剤(例えば、C
O,HC等)の存在によってN2とO2とに接触分解させ
ることができる触媒として、遷移金属を例えばイオン交
換によって担持させたゼオライトよりなる触媒が有望視
されている。 【0006】活性種として遷移金属中のCuを始め貴金
属等を担持する活性種担持母材にはゼオライトはもとよ
り、かかる触媒においてはゼオライトにおけるアルミニ
ウムに代えて又はアルミニウムと共に他の金属が含有さ
れてなる金属含有シリケートを担持母材として用いるこ
とも可能である。 【0007】排気ガス浄化用触媒に適用される上記金属
含有シリケートは、そのほとんどが合成品であり、その
合成方法は、例えば、特開昭64−15142号公報に
記載されているように、水ガラス等のシリカ源と所要の
金属塩とを必須の組成成分として有する水和ゲルを前駆
体として合成されている。すなわち、この前駆体として
のゲルは、容器に入れられてオートクレーブに仕込ま
れ、撹拌されつつ水熱反応によって微細孔を有する結晶
性の金属含有シリケートとなる。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明者は、金属活性
種が担持されることによって、優れたNOx浄化特性を
発現することが可能となるような適性を有する金属含有
シリケートの一種であるZSM−5を得るために、その
製造方法について鋭意研究を進めた。その結果、上記Z
SM−5は、その結晶構造によって活性種担持後の触媒
性能が特徴づけられることはいうまでもないが、同様の
構造となされたZSM−5に、活性種として同一の金属
が同一のプロセスで担持されて触媒が構成される場合で
あっても、最終的に得られる触媒の性能、特に当該触媒
の加熱後の性能に著しい差異が認められるという問題点
のあることに着目した。そしてZSM−5の水熱合成時
の条件について種々の実験を行い、上記水熱合成の行わ
れる態様によって、合成の進行する段階で結晶化する挙
動に差異が生じていることを見出だした。 【0009】すなわち、上記ゲルが結晶化する段階で水
熱合成が行われる雰囲気から受ける作用は、上記水熱合
成が行われるオートクレーブに仕込まれるゲルの仕込み
量の多少、換言すればオートクレーブ内の空間比によっ
て差異を生じている。そして、この差異によってもたら
されるZSM−5の適性の差が、上記したような最終的
な触媒の性能に影響を及ぼしているとの知見を得た。 【0010】上記に鑑みて、本発明は、活性種が担持さ
れることによって触媒に構成されるに際し、並びに当該
触媒が加熱された後においても、優れた触媒性能が安定
して得られるような、活性種担持母材としてのZSM−
5を得ることを目的としている。 【0011】 【課題を解決するための手段及びその作用】本発明者
は、上記ゲルの仕込み量が特定の範囲内にあるように仕
込まれた場合に、活性種を担持させることによって排気
ガス浄化特性の優れた触媒が構成可能となる適性を有す
るZSM−5が得られることを確認し、本発明を完成す
るに至った。 【0012】したがって上記したような目的を達成する
ため、本発明の講じた解決手段は、排気ガス浄化用触媒
に用いられるZSM−5の製造方法を対象とし、上記Z
SM−5の原料を混合撹拌して水和ゲルを得る工程と、
上記水和ゲルの体積1に対するオートクレーブ内の空間
比が1.5〜4となるように当該オートクレーブに水和
ゲルを仕込む工程と、上記仕込み後の水和ゲルを水熱反
応によって結晶化させる工程とを包含する構成とするも
のである。 【0013】本発明の構成により、オートクレーブへ水
和ゲルを仕込む工程におけるゲルと空間との比率が上記
範囲内となる場合に所要の適性を有するZSM−5が得
られることに関しては、オートクレーブに仕込まれた水
和ゲルが水熱反応時の水蒸気による加熱で結晶化する段
階で、ゲルがどのような経過をたどって結晶組織に変化
するのかについて未だ充分に解明されていないが、本発
明者の実験に基づく検討結果によれば以下のように考え
られる。 【0014】すなわち、オートクレーブ内は、オートク
レーブの空間を満たす水蒸気とゲル中の水との二相系で
あるため、水熱反応は上記水の気−液平衡のもとで行わ
れる。また、このオートクレーブ内での水熱反応におけ
る気−液平衡は、ゲルの仕込み量(体積)と空間との容
積比に変動があればその変動に応じて気−液平衡は多様
なものとなることが予測される。 【0015】したがって、上記ゲルの体積と空間との比
が、本発明の構成におけるような比率となされている場
合にゲルが結晶組織に形成されるために最も好ましい条
件となり、このような条件のもとで結晶化されたZSM
−5は、活性種が担持されることによって触媒に構成さ
れたときに、優れたNOx浄化特性を発現する適性を有
するようになるものと推定される。 【0016】本発明に係るZSM−5の製造方法におけ
るZSM−5の水熱合成に際して、水熱反応時のゲルの
体積に対するオートクレーブ内の空間の比率が上記範囲
外となり、オートクレーブ内の空間過大又は空間過少の
もとでの水熱反応が行われた場合には、活性種の担持に
よる触媒構成後、特に当該触媒の加熱後において効果的
にNOxを除去することが可能となるような適性を有す
るZSM−5は得られない。さらに、上記オートクレー
ブ内の空間過大のときには、オートクレーブ中に張り込
まれている水が上記ゲル中に混入し、当該ゲルの結晶化
が著しく阻害される懸念がある。 【0017】 【実施例】以下、本発明の実施例につき説明する。 【0018】−ZSM−5の前駆体ゲルの合成− 表1に示すような各混合成分となされた第1液、第2
液、第3液をそれぞれ調製した。尚、表1においてTP
ABはテトラ−N−プロピレンアンモニウムブロミドの
略であり、当該TPABはZSM−5の水熱合成時のテ
ンプレートとなるものである。 【0019】 【表1】 【0020】上記表1中の注1で示される第1液の金属
塩の混合量(g)と、注2で示される第2液の水ガラス
の混合量(g)とは各々を適量に選択することによって
上記第1〜3液がゲルに合成され、さらに下記に詳述す
るように水熱合成されて得られるZSM−5における、
例えばケイバン比に代表されるようなSiとAlとの各
酸化物の比を策定することができるものである。 【0021】注3で示される第2液のTPABの混合量
(g)は、上記ゲルが同じく下記水熱合成によりZSM
−5に合成される際の結晶構造との関連で策定する。 【0022】先ず、上記第3液を氷冷し激しく撹拌しな
がら、当該第3液中に上記第1液及び第2液を約6分か
けて滴下した。その際、混合中の溶液のpHが9〜11
に保持できるようにNaOH水溶液又は硫酸水溶液を適
宜加えた。第3液へ第1液及び第2液を滴下し終ってか
ら約2分撹拌を続け、ZSM−5の前駆体としてのゲル
(水和ゲル)を合成した。 【0023】尚、上記ゲルの組成に関する限りは、従来
の製造方法において採用されているゲルの組成とほぼ同
じである。 【0024】このゲルの合成において、第1液中の金属
塩として硫酸アルミニウムを用いるとゼオライトZSM
−5を合成するための出発組成となる。ケイバン比は1
5〜2000の間で自由に設定可能である。特にケイバ
ン比が15〜200となるように設定したZSM−5
は、活性種担持後のNOx浄化特性が良好となる。 【0025】−水熱合成− 上記第1液、第2液、第3液の混合により合成されたゲ
ルを、図1にその概要が示されるようなオートクレーブ
装置を用いて水熱合成した。 【0026】容器1中に、ゲル2の体積と当該容器1が
装てんされるオートクレーブ3内の空間3aとの比が
1:4となるようにゲル2を仕込んだ後、当該容器1を
オートクレーブ3内に装てんした。容器1の外壁面とオ
ートクレーブ3の内壁面との間には所要量の水4が張り
込まれており、上記ゲル2が撹拌装置5によって撹拌さ
れることが可能な状態でオートクレーブ3を密封した。 【0027】次いで、オートクレーブ3内雰囲気を窒素
で置換し、窒素分圧が3kgf/cm2となるようにし
た。ゲル2を撹拌しながらオートクレーブ3を加熱し、
内部の温度を160分間で160℃まで上昇させ、引き
続き800分間で200℃まで上昇させて水熱合成を行
った。 【0028】室温まで冷却後、合成生成物を取り出して
純水で洗浄した。洗浄後乾燥し、600℃にて3時間焼
成し、本発明方法に係るZSM−5を製造した。 【0029】−ZSM−5の特性の評価− NOx浄化特性の評価 上記のようにして製造されたZSM−5を150g秤量
し、これに酢酸銅69g及び水3リットルを加え50℃
に保って8時間撹拌することによってCuイオン交換し
た。室温まで冷却した後、瀘過及び洗浄を行い、イオン
交換率が100%程度のCuイオン交換ZSM−5触媒
を調製した。この触媒を実施例触媒と称する。 【0030】尚、イオン交換種は上記Cuの他、Co,
Ni,Pt,Pd,Rh,Ir等が適宜触媒活性種とし
て担持可能なことはいうまでもない。 【0031】一方、上記前駆体ゲルと同様な組成のゲル
を従来方法(ゲルと上記空間との比が1:0.3程度の
ゲルの仕込み量)によって水熱合成して得られるZSM
−5に上記実施例触媒の調製時と同様の手段によってC
uイオン交換を行って触媒を調製した。この触媒を従来
例触媒と称する。 【0032】上記実施例触媒及び従来例触媒を、O2:
10%,H2O:10%,He:残部の雰囲気下で60
0℃×8時間それぞれ加熱した。加熱を経た後の実施例
触媒及び従来例触媒について、モデルガス評価装置によ
ってNOx浄化特性を評価し、その結果を図2に示し
た。尚、モデルガスの組成はNOx:2000ppm,
CO:0.18%,HC:6000ppmC,CO2:
8.4%,O2:8.0%,N2:残部とし、また、SV
=90000h-1とした。 【0033】図2に示される結果によれば、本発明方法
により製造されたZSM−5は、活性種が担持されるこ
とによって触媒に構成された場合には、加熱を経た後も
優れたNOx浄化特性を有する触媒となることが明らか
である。 【0034】仕込み量の多少による評価 表2に示すような種々の仕込み量でオートクレーブに上
記ゲルを仕込んだ。尚、表2における仕込み量は、ゲル
の体積とオートクレーブの空間との比率として表されて
いる。 【0035】 【表2】 【0036】すなわち、表2に示されるような仕込み量
となされたゲルの水熱合成によって得られる各ZSM−
5に、それぞれ活性種を担持(Cuイオン交換)せしめ
てNOx浄化用触媒を構成し、さらに加熱(例えば、O
2:10%,H2O:10%,He:残部の雰囲気で60
0℃×8時間)した。しかる後、SV=90000h-1
のモデルガス(例えば、NOx:2000ppm,C
O:0.18%,HC:6000ppmC,CO2:
8.4%,O2:8.0%,N2:残部の組成)によって
最高NOx浄化率を評価した。その評価結果は、上記表
2に併せ示すとおりであった。 【0037】この評価結果から、ゲルの仕込み量がゲ
ル:空間=1:4ないしゲル:空間=1:1.5の範囲
となされ、その仕込量での水熱合成によって得られるゼ
オライトは、活性種が担持されることによって触媒に構
成されたときには、比較的低い温度域において優れたN
Ox浄化特性を発現することが可能になる適性を有する
ことが確認された。 【0038】比表面積の評価 上記水熱合成によって得られたZSM−5がCuイオン
交換(イオン交換率が100%程度)されてなる触媒に
おける、上記水熱合成時におけるゲルの仕込み量の多少
と、それぞれ触媒に構成される前の当該ZSM−5の比
表面積との関係を評価した。その評価結果を表3に示し
た。 【0039】 【表3】 【0040】表3に示される結果によれば、上記評価し
た各ZSM−5間で大きな差は認められないが、本発明
に係る構成の仕込み量の範囲に含まれるゲルと空間との
比率=1:4〜2にて水熱合成されたZSM−5は比較
的大きな比表面積となっている。 【0041】 【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る排気
ガス浄化用触媒に用いられるZSM−5の製造方法によ
れば、オートクレーブ内の水の気−液平衡がZSM−5
の結晶成長に適切な状態となるように、水熱合成におけ
るZSM−5の前駆体であるゲルの仕込み量が設定され
ることになるので、NOx浄化用触媒の活性種担持母材
として良好な適性を有するZSM−5が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例を説明する断面図である。
【図2】上記実施例における触媒のNOx浄化特性を示
すグラフ図である。 【符号の説明】 1 容器 2 ゲル 3 オートクレーブ 3a 空間 4 水 5 撹拌装置
すグラフ図である。 【符号の説明】 1 容器 2 ゲル 3 オートクレーブ 3a 空間 4 水 5 撹拌装置
─────────────────────────────────────────────────────
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(72)発明者 京極 誠
広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ
ダ株式会社内
(56)参考文献 特開 昭64−15142(JP,A)
特開 平4−4045(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
B01J 21/00 - 37/36
C01B 33/20,39/00
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 排気ガス浄化用触媒に用いられるZSM
−5の製造方法であって、 上記ZSM−5の原料を混合撹拌して水和ゲルを得る工
程と、 上記水和ゲルの体積1に対するオートクレーブ内の空間
比が1.5〜4となるように当該オートクレーブに水和
ゲルを仕込む工程と、 上記仕込み後の水和ゲルを水熱反応によって結晶化させ
る工程とを包含することを特徴とする排気ガス浄化用触
媒に用いられるZSM−5の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29847292A JP3361130B2 (ja) | 1992-11-09 | 1992-11-09 | 排気ガス浄化用触媒に用いられるzsm−5の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP29847292A JP3361130B2 (ja) | 1992-11-09 | 1992-11-09 | 排気ガス浄化用触媒に用いられるzsm−5の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06142518A JPH06142518A (ja) | 1994-05-24 |
JP3361130B2 true JP3361130B2 (ja) | 2003-01-07 |
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ID=17860150
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29847292A Expired - Fee Related JP3361130B2 (ja) | 1992-11-09 | 1992-11-09 | 排気ガス浄化用触媒に用いられるzsm−5の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3361130B2 (ja) |
-
1992
- 1992-11-09 JP JP29847292A patent/JP3361130B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH06142518A (ja) | 1994-05-24 |
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