JP3356771B2 - アグリカナーゼ活性を有する新規な金属プロテアーゼ - Google Patents

アグリカナーゼ活性を有する新規な金属プロテアーゼ

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耕一 西村
邦威 阿部
収 小原
隆弘 長瀬
信夫 野村
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、関節疾患の原因となるアグリカナーゼ活性
を有する新規金属プロテアーゼ(以下、「関節疾患アグ
リカナーゼ」とする)、該「関節疾患アグリカナーゼ」
をコードする遺伝子、該「関節疾患アグリカナーゼ」の
製造方法、該「関節疾患アグリカナーゼ」を用いた、ア
グリカナーゼ活性を阻害する物質のスクリーニング方
法、該アグリカナーゼ活性を阻害する物質を有効成分と
するプロテオグリカン分解抑制用医薬組成物、及び該
「関節疾患アグリカナーゼ」のプロモーター遺伝子に関
するものである。
背景技術 関節疾患は、関節軟骨の損傷・変性を主病変とする疾
患である。関節疾患の中で最も患者数の多い疾患は変形
性関節症(OA)であるが、現行の治療法においては鎮
痛消炎剤やヒアルロン酸製剤が軟骨変性・軟骨下骨破壊
に伴う痛みを軽減する目的で対症療法的に用いられてい
るに過ぎず、十分な治療効果を上げているとは言えない
状況にある。
関節軟骨は主に II 型コラーゲンと軟骨特異的プロテ
オグリカンであるアグリカンから構成される組織であ
り、関節疾患では両者の分解・変性が観察されている。
そのため、古くよりこれら細胞外マトリクス成分の分解
・変性の制御が関節疾患の治療に繋がると考えられてお
り、分解に関与するプロテアーゼ(コラゲナーゼ、アグリ
カナーゼ)の同定、そして、それらに対する阻害剤の探
索、医薬品としての開発の試みが精力的に行われてき
た。
コラゲナーゼ活性を有するプロテアーゼとしてはマト
リックスメタロプロテアーゼ(MMP1、MMP8、MMP13、MMP
14等)が同定され、それぞれの選択的阻害剤が発見され
ていた。しかしながら、多数のコラゲナーゼ阻害活性を
有する MMP 阻害剤をOA、リューマチ性関節炎(R
A)を含む関節疾患治療薬として開発する動きがあった
にもかかわらず、これらの疾患を適応症とする MMP 阻
害剤は上市されていなかった。このような状況下、関節
軟骨のもう一つの主要構成成分であるアグリカンを選択
的に分解するアグリカナーゼが注目された。
アグリカンの Glu373-Ala374 の間を切断する酵素ア
グリカナーゼが関節疾患に関与することは、Sandy らや
Lohmander らのヒト関節疾患患者の滑液中に検出される
主要なアグリカン分解断片がいずれもアグリカナーゼ切
断部位での切断により生じているとした論文で明らかに
されていた(Sandy J. D. et al, JClin. Invest. 89,
1512-1516, 1992;:Lohmander L. S. et al, Arthritis
Rheum.36, 1214-1222, 1993)。一方、関節軟骨の体外
移植培養系において、IL-1 誘導により、まずアグリカ
ンの分解が起こり、続いて II 型コラーゲンの分解が亢
進することが知られていた(Dingle L. T. et al.,Ann.
Rheum. Dis. 34, 303-311,1975;Cawston T. E. et al.,
Biochem. Biophys. Res. Comm. 215, 377-385, 1995;K
ozaci L. D. et al., Arthritis Rheum. 40, 164-174,
1997)。マウス関節炎モデルにおいてもアグリカン分解
が II 型コラーゲン分解に先行することが報告されてい
た(van Meurs J. B. et al., Arthritis Rheum., 42, 1
128-1139, 1999)。これらのことは、先行するアグリカン
分解を阻害することにより II 型コラーゲン分解をも制
御しうる可能性を示唆していた。
ところが、金属プロテアーゼであること、細胞外に存
在すること、基質認識に糖鎖の関与があること、IL-1、
TNF、レチノイン酸で活性が誘導されること等の生化学
的性質が分かっていたにも係わらず、関節疾患の原因と
なるアグリカナーゼ(「関節疾患アグリカナーゼ」)の
本体は長い間不明のままであった。最近になり、ADAMTS
4 (aggrecanase-1:Tortorella M.D. et al., Scienc
e., 284,1664-1666, 1999)、ADAMTS11 (aggrecanase-
2: Abbaszade I, et al., J. Biol.Chem., 274, 23443-
23450, 1999)がアグリカナーゼ活性を有するプロテア
ーゼとして報告された。しかし、これらはヒトOA軟骨
で遺伝子発現増強されておらず、また、ヒト膝関節軟骨
の体外移植培養系において、関節疾患の原因となるアグ
リカナーゼ活性を誘導する IL-1、TNF、レチノイン酸で
遺伝子発現誘導されないことから、「関節疾患アグリカ
ナーゼ」ではないことが判明した。(Flannery C. R. e
t al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 260, 318-32
2,1999)。上述の通り、「関節疾患アグリカナーゼ」
は、未だ取得されていない。
本発明の開示 このような状況下、本発明者らは鋭意検討した結果、
「関節疾患アグリカナーゼ」である、アグリカナーゼ活
性を有する新規な金属プロテアーゼをコードする遺伝子
を単離し、全長 ORF 配列を決定して、組み換え蛋白の
生産を可能にすることに成功した。
さらにまた、該遺伝子を含むベクター、該ベクターを
含む宿主細胞、該宿主細胞を用いた同新規蛋白の製造法
を確立した。
また、本発明者らは、該蛋白を用いたスクリーニング
法を提供し、当該スクリーニング法を実施し、選択され
た化合物が「アグリカナーゼ活性」(即ち、該蛋白が有
する細胞外基質アグリカンを Glu373-Ala374 の間で選
択的に切断する活性)を有意に阻害し、関節疾患の予防
及びまたは治療に有用な医療品となり得ることを見出し
た。
さらに関節疾患の予防及びまたは治療用医療品のスク
リーニングに有用な、該蛋白のプロモーター遺伝子を単
離し、本発明を完成させた。
即ち本発明は、 [1]配列番号1で表されるアミノ酸配列の第 213 番
から第 583 番のアミノ酸配列を含むアグリカナーゼ活
性を有する金属プロテアーゼ、又は、該金属プロテアー
ゼの同効物、 [2]配列番号1で表されるアミノ酸配列の第1番から
第 583 番のアミノ酸配列を含むアグリカナーゼ活性を
有する金属プロテアーゼ、又は、該金属プロテアーゼの
同効物、 [3]配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号1
で表されるアミノ酸配列の第1番から第 687 番のアミ
ノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列の第1番
から第 583 番のアミノ酸配列、配列番号1で表される
アミノ酸配列の第 213 番から第 950 番のアミノ酸配
列、配列番号1で表されるアミノ酸配列の第 213 番か
ら第 687 番のアミノ酸配列、若しくは、配列番号1で
表されるアミノ酸配列の第 213 番から第 583 番のアミ
ノ酸配列を有するアグリカナーゼ活性を有する金属プロ
テアーゼ、又は、該金属プロテアーゼの同効物、 [4][1]乃至[3]の何れかに記載のアグリカナー
ゼ活性を有する金属プロテアーゼ、又は、該金属プロテ
アーゼの同効物のアミノ酸配列をコードする遺伝子、 [5][4]に記載の遺伝子を含むベクター、 [6][5]に記載のベクターを含む宿主細胞、 [7][6]に記載の宿主細胞を用いることを特徴とす
る、[1]乃至[3]の何れかに記載のアグリカナーゼ
活性を有する金属プロテアーゼ、又は、該金属プロテア
ーゼの同効物の製造方法、 [8][1]乃至[3]の何れかに記載のアグリカナー
ゼ活性を有する金属プロテアーゼ、又は、該金属プロテ
アーゼの同効物に対する抗体、 [9][1]乃至[3]の何れかに記載のアグリカナー
ゼ活性を有する金属プロテアーゼ、又は、該金属プロテ
アーゼの同効物と被験化合物とを接触させることを特徴
とする、当該金属プロテアーゼのアグリカナーゼ活性を
阻害する物質をスクリーニングする方法、 [10][1]乃至[3]に記載のアグリカナーゼ活性
を有する金属プロテアーゼ、又は、該金属プロテアーゼ
の同効物を阻害する物質を有効成分とするプロテオグリ
カン分解抑制用医薬組成物、 [11]配列番号 24、25、26、27、28、29、30 若しく
は 31 で表される遺伝子、又は該遺伝子の同効物、 に関する。
あるいは本発明は、プロテオグリカン分解抑制用医薬
の製造における、[1]乃至[3]の何れかに記載のア
グリカナーゼ活性を有する金属プロテアーゼ、又は、該
金属プロテアーゼの同効物のアグリカナーゼ活性を阻害
する物質の使用に関する。
さらに本発明は、[9]に記載のスクリーニング方法
によって得ることができる、当該アグリカナーゼ活性を
有する金属プロテアーゼ、又は、該金属プロテアーゼの
同効物を阻害する物質の、関節疾患治療における使用に
関する。
また、本発明は[11]に記載の遺伝子を用い、当該
遺伝子のプロモーター活性を修飾する物質のスクリーニ
ング方法に関する。
発明の実施の形態 以下、本発明で使用される用語につき説明する。本明
細書中で使用される「アグリカナーゼ」は、亜鉛配位コ
ンセンサス配列(HExxH)を有し、かつ、関節軟骨に存在
するアグリカンを Glu373-Ala374 の間で選択的に切断
する活性、即ち「アグリカナーゼ活性」を有する金属プロ
テアーゼを意味する。また、「アグリカナーゼ」は断り
がない限り、「蛋白」を表す。
本発明の「関節疾患アグリカナーゼ」は、配列番号1
で表されるアミノ酸配列の第 213 番から第 583 番のア
ミノ酸配列を含むアグリカナーゼ活性を有する金属プロ
テアーゼ、又は、該金属プロテアーゼの同効物ならいず
れでもよい。
また、好ましくは本発明の「関節疾患アグリカナー
ゼ」は、配列番号1で表されるアミノ酸配列の第1番か
ら第 583 番のアミノ酸配列を含むアグリカナーゼ活性
を有する金属プロテアーゼ、又は、該金属プロテアーゼ
の同効物である。
さらに好ましくは、配列番号1で表されるアミノ酸配
列、配列番号1で表されるアミノ酸配列の第1番から第
687 番のアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ
酸配列の第1番から第 583 番のアミノ酸配列、配列番
号1で表されるアミノ酸配列の第 213 番から第 950 番
のアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列の
第 213 番から第 687 番のアミノ酸配列、若しくは、配
列番号1で表されるアミノ酸配列の第 213 番から第 58
3 番のアミノ酸配列を有するアグリカナーゼ活性を有す
る金属プロテアーゼ、又は、該金属プロテアーゼの同効
物である。
ここで、「金属プロテアーゼの同効物」とは、(1)
配列番号1で表されるアミノ酸配列の第 213 番から第
583 番のアミノ酸配列を含む金属プロテアーゼの同効物
の場合、第 213 番から第 583 番のアミノ酸配列の中の
いずれかの1乃至複数個(好ましくは1〜10個、より
好ましくは1〜5個)の部位において、1乃至複数個
(好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個)の
アミノ酸残基が置換、欠失、及び/または挿入されてい
て、かつ、アグリカナーゼ活性を有する金属プロテアー
ゼ、(2)配列番号1で表されるアミノ酸配列の第1番
から第 583 番のアミノ酸配列を含む金属プロテアーゼ
の同効物の場合、第1番から第 583 番のアミノ酸配列
の中のいずれかの1乃至複数個(好ましくは1〜10
個、より好ましくは1〜5個)の部位において、1乃至
複数個(好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5
個)のアミノ酸残基が置換、欠失、及び/または挿入さ
れていて、かつ、アグリカナーゼ活性を有する金属プロ
テアーゼ、(3)配列番号1で表されるアミノ酸配列、
配列番号1で表されるアミノ酸配列の第1番から第 687
番のアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配
列の第1番から第 583 番のアミノ酸配列、配列番号1
で表されるアミノ酸配列の第 213 番から第 950 番のア
ミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列の第 2
13 番から第 687 番のアミノ酸配列、若しくは、配列番
号1で表されるアミノ酸配列の第 213 番から第 583 番
のアミノ酸配列を有する金属プロテアーゼの同効物の場
合、それぞれの配列の中のいずれかの1乃至複数個(好
ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個)の部位に
おいて、1乃至複数個(好ましくは1〜10個、より好
ましくは1〜5個)のアミノ酸残基が置換、欠失、及び
/または挿入されていて、かつ、アグリカナーゼ活性を
有する金属プロテアーゼである。
本発明の「関節疾患アグリカナーゼ」の起源はヒトに
限定されない。例えば、ヒト以外の生物(例えば、マウ
ス、ラット、ハムスター、又はイヌ)由来の関節疾患の
原因となるアグリカナーゼ活性を有する金属プロテアー
ゼが含まれる。また、配列番号1に記載した「関節疾患
アグリカナーゼ」の配列を基にして、遺伝子工学的に人
為的に改変した蛋白などが含まれる。
また、本発明の「関節疾患アグリカナーゼ」をコード
する遺伝子は、上記の「関節疾患アグリカナーゼ」をコ
ードする遺伝子、即ち、配列番号1で表されるアミノ酸
配列の第 213 番から第 583 番のアミノ酸配列を含むア
グリカナーゼ活性を有する金属プロテアーゼ、又は、該
金属プロテアーゼの同効物をコードする遺伝子ならいず
れでもよい。
また、本発明の「関節疾患アグリカナーゼ」をコード
する遺伝子は、配列番号1で表されるアミノ酸配列の第
1番から第 583 番のアミノ酸配列を含むアグリカナー
ゼ活性を有する金属プロテアーゼ、又は、該金属プロテ
アーゼの同効物をコードする遺伝子ならいずれでもよ
い。
さらに、配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番
号1で表されるアミノ酸配列の第1番から第 687 番の
アミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列の第
1番から第 583 番のアミノ酸配列、配列番号1で表さ
れるアミノ酸配列の第 213 番から第 950 番のアミノ酸
配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列の第 213 番
から第 687 番のアミノ酸配列、若しくは、配列番号1
で表されるアミノ酸配列の第 213 番から第 583 番のア
ミノ酸配列を有するを含むアグリカナーゼ活性を有する
金属プロテアーゼ、又は、該金属プロテアーゼの同効物
をコードする遺伝子ならいずれでもよい。
ここで、「金属プロテアーゼの同効物をコードする遺
伝子」とは、(1)配列番号1で表されるアミノ酸配列
の第 213 番から第 583 番のアミノ酸配列を含むアグリ
カナーゼ活性を有する金属プロテアーゼの同効物をコー
ドする遺伝子の場合、第 213 番から第 583 番のアミノ
酸配列の中のいずれかの1乃至複数個(好ましくは1〜
10個、より好ましくは1〜5個)の部位において、1
乃至複数個(好ましくは1〜10個、より好ましくは1
〜5個)のアミノ酸残基が置換、欠失、及び/または挿
入されていてかつ、アグリカナーゼ活性を有する金属プ
ロテアーゼをコードする遺伝子、(2)配列番号1で表
されるアミノ酸配列の第1番から第 583 番のアミノ酸
配列を含むアグリカナーゼ活性を有する金属プロテアー
ゼの同効物をコードする遺伝子の場合、第1番から第 5
83 番のアミノ酸配列の中のいずれかの1乃至複数個
(好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個)の
部位において、1乃至複数個(好ましくは1〜10個、
より好ましくは1〜5個)のアミノ酸残基が置換、欠
失、及び/または挿入されていてかつ、アグリカナーゼ
活性を有する金属プロテアーゼをコードする遺伝子、
(3)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号1
で表されるアミノ酸配列の第1番から第 687 番のアミ
ノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列の第1番
から第 583 番のアミノ酸配列、配列番号1で表される
アミノ酸配列の第 213 番から第 950 番のアミノ酸配
列、配列番号1で表されるアミノ酸配列の第 213 番か
ら第 687 番のアミノ酸配列、若しくは、配列番号1で
表されるアミノ酸配列の第 213 番から第 583 番のアミ
ノ酸配列を有する金属プロテアーゼの同効物をコードす
る遺伝子の場合、それぞれの配列の中のいずれかの1乃
至複数個(好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜
5個)の部位において、1乃至複数個(好ましくは1〜
10個、より好ましくは1〜5個)のアミノ酸残基が置
換、欠失、及び/または挿入されていてかつ、アグリカ
ナーゼ活性を有する金属プロテアーゼをコードする遺伝
子、である。
本発明の「関節疾患アグリカナーゼ」をコードする遺
伝子として好ましくは、配列番号2記載の塩基配列の1
番から 1749 番、1番から 2061 番、1番から 2850番、
637 番から 1749 番、 637 番から 2061 番、若しくは
637 番から 2850 番を有する遺伝子であり、特に好まし
くは配列番号2記載の塩基配列の 637 番から1749 番、
637 番から 2061 番、637 番から 2850 番を有する遺伝
子である。
本発明のプロモーター遺伝子は、好ましくは、配列番
号 24、25、26、27、28、29、30 若しくは 31 記載の塩
基配列を有する遺伝子である。「配列番号 24、25、2
6、27、28、29、30 若しくは 31 記載の遺伝子の同効
物」とは、配列番号 24、25、26、27、28、29、30 若し
くは 31 記載の塩基配列の中のいずれかの1乃至複数個
(好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個)の
部位において、1乃至複数個(好ましくは1〜10個、
より好ましくは1〜5個)の塩基が置換、欠失、及び/
又は挿入されていて、かつ、「関節疾患アグリカナー
ゼ」プロモーター活性を有する遺伝子である。「プロモ
ーター活性」とは DNA 鎖の情報を RNA 鎖に転写するた
めの開始部位として働く活性を意味する。
GENBANK 及びSwissProt の BLAST(Basic local ajig
ment search tool)(S. F.Altschul et al.,(1990)
J. Mol. Biol., 215, 403-410)検索結果によれば、本発
明の「関節疾患アグリカナーゼ」の1つであるMDST
6のアミノ酸配列(配列番号1)(950アミノ酸)、及
び、当該アミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号
2)(2853塩基対)は新規である。前述の ADAMTS4、AD
AMTS11とアミノ酸配列でのホモロジー検索を行ったとこ
ろ、配列同一性は50%以下であった。
また、本発明の「関節疾患アグリカナーゼ」には、配
列番号1で表されるアミノ酸配列を有する金属プロテア
ーゼと相同性の高い、アグリカナーゼ活性を有する金属
プロテアーゼが含まれる。相同性の高い、アグリカナー
ゼ活性を有する金属プロテアーゼとは、配列番号1で表
されるアミノ酸配列と少なくとも70%以上の配列同一性
を示すアグリカナーゼ活性を有する金属プロテアーゼ、
好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ま
しくは95%以上、特に好ましくは99%以上の配列同一性を
示すアグリカナーゼ活性を有する金属プロテアーゼであ
る。相同性は前述の BLAST 検索アルゴリズムを用いて
特定することができる。
さらに、本発明の「関節疾患アグリカナーゼ」は、関
節疾患の原因となるアグリカナーゼ活性を阻害する物質
のスクリーニングに使用することができる。該アグリカ
ナーゼ活性を阻害する物質は、プロテオグリカン分解抑
制用組成物として有用である。
加えて、本発明の「関節疾患アグリカナーゼ」のプロ
モーター遺伝子はプロモーター活性を阻害する物質のス
クリーニングに使用することができる点が注目される。
本明細書において「プロモーター活性を阻害する物質」
とは、プロモーターとしての働きを加え、「関節疾患ア
グリカナーゼ」の発現を抑制する物質を意味する。本発
明には該アグリカナーゼのプロモーター遺伝子を用いた
プロモーター活性を阻害する物質をスクリーニングする
方法、及び当該プロモーター活性を阻害する物質の関節
疾患予防及びまたは治療のための使用が含まれる。さら
には、「関節疾患アグリカナーゼ」のプロモーター遺伝
子には複数の変異体、すなわち遺伝子多型が存在する。
したがって、該遺伝子多型と関節疾患を含む該アグリカ
ナーゼの関与が想定される疾患との相関解析に用いら
れ、結果として、遺伝子診断のマーカーとして用いられ
る可能性がある。
ここで、本発明の「関節疾患アグリカナーゼ」をコー
ドする遺伝子、本発明のベクター、本発明の宿主細胞、
本発明の「関節疾患アグリカナーゼ」の製造方法、本発
明の「関節疾患アグリカナーゼ」のアグリカナーゼ活性
を検出する方法、本発明の「関節疾患アグリカナーゼ」
に反応する抗体の製造方法、本発明の「関節疾患アグリ
カナーゼ」のアグリカナーゼ活性を阻害する物質のスク
リーニング方法、プロモーター活性を検出する方法、プ
ロモーター活性を修飾する物質のスクリーニング方法を
以下の1)〜7)に記載する。本発明には1)〜7)に
記載する事項全てを包含する。以下、1)〜7)では
「関節疾患アグリカナーゼ」を「蛋白」として説明す
る。
1)蛋白遺伝子の製造方法 a) 第1製造法−PCR を用いた方法 本発明の新規蛋白を産生する能力を有するヒト細胞あ
るいは組織から mRNAを抽出する。次いでこの mRNA を
鋳型として該新規蛋白 mRNA または一部の mRNA 領域を
はさんだ2種類のプライマーを作製する。denature 温
度、変性剤添加条件などを改良し、本発明の配列番号1
で表されるアミノ酸配列の一部を含む蛋白のそれぞれに
適した逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(以下 RT-PC
R という)を行うことにより、該新規蛋白の全長 cDNA
またはその一部を得ることができる。もしくは、本発明
の新規蛋白を産生する能力を有するヒト細胞あるいは組
織から調製した mRNA から逆転写酵素により作製した c
DNA あるいは市販の該ヒト細胞あるいは組織由来の cDN
A を鋳型とした、ポリメラーゼ連鎖反応(以下、PCRと
いう)を行うことにより、該新規蛋白の全長 cDNA また
はその一部を得ることができる。さらに、得られた新規
蛋白の全長 cDNA またはその一部を適当な発現ベクター
に組み込むことにより、宿主細胞で発現させ、該新規蛋
白を製造することができる。
まず、本発明の新規蛋白の産生能力を有する細胞ある
いは組織から該プロテアーゼをコードするものを包含す
る mRNA を既知の方法により抽出する。抽出法として
は、グアニジン・チオシアネート・ホット・フェノール
法、グアニジン・チオシアネート−グアニジン・塩酸法
等が挙げられるが、好ましくはグアニジン・チオシアネ
ート塩化セシウム法が挙げられる。該プロテアーゼの産
生能力を有する細胞あるいは組織は、該プロテアーゼを
コードする塩基配列を有する遺伝子あるいはその一部を
用いたノーザンブロッティング法、該プロテアーゼに特
異的な抗体を用いたウエスタンブロッティング法などに
より特定することができる。
mRNA の精製は常法に従えばよく、例えば mRNA をオ
リゴ(dT)セルロースカラムに吸着・溶出させ、精製
することができる、さらに、ショ糖密度勾配遠心法等に
より mRNA をさらに分画することもできる。また、mRNA
を抽出せずとも、市販されている抽出精製済みの mRNA
を用いても良い。
次に、精製された mRNA をランダムプライマー、オリ
ゴdTプライマーまたはカスタム合成したプライマーの
存在下で、逆転写酵素反応を行い第1鎖 cDNAを合成す
る。この合成は常法によって行うことができる。得られ
た第1鎖 cDNAを用い、目的遺伝子の一部の領域をはさ
んだ2種類のプライマーを用いて PCRに供し、目的とす
る新規蛋白 DNA を増幅する。また、cDNA を合成せずと
も、市販の cDNA を用いてもよい。得られた DNA をアガ
ロースゲル電気泳動等により分画する。所望により、上
記 DNA を制限酵素等で切断し、接続することによって
目的とする DNA 断片を得ることもできる。
b)第2製造法 本発明の遺伝子は上述の製造法の他、常法の遺伝子工
学的手法を用いて製造することもできる。まず、前述の
方法で得た mRNA を鋳型として逆転写酵素を用いて1本
鎖 cDNA を合成した後、この1本鎖 cDNA から2本鎖 c
DNA を合成する。その方法としてはS1ヌクレアーゼ法
(Efstratiadis, A. et al., Cell, 7, 279-288, 197
6)、Land 法(Land. H. et al., Nucleic Acids Res.,
9, 2251-2266,1981)、O. Joon Yoo 法(Yoo, O. J. et a
l., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79,1049-1053, 198
3)、Okayama-Berg 法(Okayama, H. and Berg, P., Mol.
Cell.Biol., 2,161-170, 1982)などが挙げられる。
次に、上述の方法で得られる組換えプラスミドを大腸
菌、例えば DH5 α株、HB101 株、JM109 株等に導入し
て形質転換させて、テトラサイクリン、アンピシリン、
カナマイシン等に対する薬剤耐性を指標として組換体を
選択することができる。宿主細胞の形質転換は、例え
ば、宿主細胞が大腸菌の場合には Hanahanの方法(Hanah
an, D. J., Mol. Biol., 166, 557-580, 1983)、すなわ
ち CaCl2やMgCl2または RbCl を共存させて調製したコ
ンピテント細胞に該組換え DNA 体を加える方法により
実施することができる。もちろん、市販のコンピテント
細胞を使用しても構わない。なお、ベクターとしてはプ
ラスミド以外にもランダム系などのファージベクターも
用いることができる。
上記により得られる形質転換株から、目的の新規蛋白
の DNA を有する株を選択する方法としては、例えば以
下に示す各種方法を採用できる。
合成オリゴヌクレオチドプローブを用いるスクリーニ
ング法 本発明の新規蛋白の全部または一部に対応するオリゴ
ヌクレオチドを合成し(この場合コドン使用頻度を用い
て導いたヌクレオチド配列または考えられるヌクレオチ
ド配列を組合せた複数個のヌクレオチド配列のどちらで
もよく、また後者の場合、イノシンを含ませてその種類
を減らすこともできる)、これをプローブ(32P 又は33
P で標識する)として、形質転換株の DNA を変性固定
したニトロセルロースフィルターやナイロンフィルター
とハイブリダイズさせ、得られた陽性株を検索して、こ
れを選択する。
ポリメラーゼ連鎖反応により作製したプローブを用い
るスクリーニング法 本発明の新規蛋白の一部に対応するセンスプライマー
とアンチセンスプライマーのオリゴヌクレオチドを合成
し、これらを組合せてポリメラーゼ連鎖反応(Saiki, R.
K. et al., Science 239, 487-491, 1988)を行い、目
的の新規蛋白の全部又は一部をコードする DNA 断片を
増幅する。ここで用いる鋳型 DNA としては、該新規蛋
白を産生する細胞の mRNA より逆転写反応にて合成した
cDNA、またはゲノム DNA を用いることができる。この
ようにして調製した DNA を断片を32P 又は32P で標識
し、これをプローブとして用いてコロニーハイブリダイ
ゼーションまたはプラークハイブリダイゼーションを行
うことにより目的のクローンを選択する。
他の動物細胞で新規蛋白を産生させてスクリーニング
する方法 形質転換株を培養し、遺伝子を増幅させ、その遺伝子
を動物細胞にトランスフェクトし(この場合、自己複製
可能で転写プロモーター領域を含むプラスミドもしくは
動物細胞の染色体に組み込まれ得るようなプラスミドの
いずれでもよい)、遺伝子にコードされた蛋白を細胞外
に産生させる。本発明の新規蛋白に対する抗体を用いて
該新規蛋白を検出することにより、元の形質転換株より
目的の新規蛋白をコードする cDNA を有する株を選択す
る。
本発明の新規蛋白に対する抗体を用いて選択する方法 あらかじめ、 cDNA を発現ベクターに組込み、形質転
換株の培養上清、細胞内もしくは細胞表面に蛋白を産生
させ、本発明の新規蛋白に対する抗体および該抗体に対
する2次抗体を用いて、所望の新規蛋白産生株を検出
し、目的の株を選択する。
セレクティブ・ハイブリダイゼーション・トランスレ
ーションの系を用いる方法 形質転換株から得られる cDNA を、ニトロセルロース
フィルター等にブロットし、本発明の新規蛋白産生細胞
からの mRNA をハイブリダイズさせた後、cDNAに結合し
た mRNA を解離させ、回収する。回収された mRNA を蛋
白翻訳系、例えばアフリカツメガエルの卵母細胞への注
入や、ウサギ網状赤血球ライゼートや小麦胚芽等の無細
胞系で蛋白に翻訳させる。本発明の新規蛋白に対する抗
体を用いて検出して、目的の株を選択する。
得られた目的の形質転換株より本発明の新規蛋白をコ
ードする DNA を採取する方法は、公知の方法(Sambroo
k, J. et al.,“Molecular Cloning-A Laboratory Manu
al", Cold Spring Harbor Laboratory, NY, 1989)等の
遺伝子操作実験マニュアルに従い実施できる。例えば細
胞よりプラスミド DNA に相当する画分を分離し、該プ
ラスミド DNA より cDNA 領域を切り出すことにより行
ない得る。
c)第3製造法 本発明の新規蛋白遺伝子は、化学合成法によって製造
した DNA 断片を結合することによっても製造できる。
各 DNA は、 DNA 合成機[例えば、Oligo 1000M DNA Syn
thesizer (Backman社製)、あるいは、394 DNA/RNA Synt
hesizer (Applied Biosystems 社製)など]を用いて合
成することができる。
d)第4製造法 本発明の新規蛋白遺伝子は、新規蛋白の情報に基づい
て、例えばホスファイト・トリエステル法(Hunkapille
r, M. et al., Nature, 10, 105-111,1984)等の常法に
従い、核酸の化学合成により製造することもできる。な
お、所望アミノ酸に対するコドンはそれ自体公知であ
り、その選択も任意でよく、例えば利用する宿主のコド
ン使用頻度を考慮して常法に従い決定できる(Crantham,
R.et al., Nucleic Acids Res., 9, r43-r74, 1981)。
さらに、これら塩基配列のコドンの一部改変は、常法に
従い、所望の改変をコードする合成オリゴヌクレオチド
からなるプライマーを利用したサイトスペシフィック・
ミュータジェネシス(site specific mutagenesis)(Mar
k, D. F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci.USA, 81,566
2-5666, 1984)等に従うことができる。
以上、a)乃至d)により得られる DNA の配列決定
は、例えばマキサム−ギルバートの化学修飾法(Maxam,
A. M. and Gilbert,W.,“Methods in Enzymology",65,
499-559, 1980)やジデオキシヌクレオチド鎖終結法(Mes
sing, J.and Vieira, J., Gene, 19, 269-276, 1982)等
により行うことができる。
2)本発明のベクター、本発明の宿主細胞、本発明の組
み換え蛋白の製造方法 単離された本発明の新規蛋白をコードする遺伝子を含
む断片は、適当なベクターDNA に再び組込むことによ
り、真核生物および原核生物の宿主細胞を形質転換させ
ることができる。さらに、これらのベクターに適当なプ
ロモーターおよび形質発現にかかわる配列を導入するこ
とにより、それぞれの宿主細胞において遺伝子を発現さ
せることが可能である。
例えば、真核生物の宿主細胞には、脊椎動物、昆虫、
酵母等の細胞が含まれ、脊椎動物細胞としては、サルの
細胞である COS 細胞(Gluzman, Y. Cell. 23,175-182,
1981)やチャイニーズ・ハムスター卵巣細胞(CHO)のジヒ
ドロ葉酸レダクターゼ欠損株(Urlaub, G. and Chasin,
L. A., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,77, 4216-4220,
1980)、ヒト胎児腎臓由来 HEK293 細胞および同細胞に
Epstein Barr Virus の EBNA-1 遺伝子を導入した 293-
EBNA 細胞(Inviirogen 社製)等がよく用いられるが、
これらに限定されるわけではない。
脊椎動物細胞の発現ベクターとしては、通常発現しよ
うとする遺伝子の上流に位置するプロモーター、RNA の
スプライス部位、ポリアデニル化部位および転写終結配
列等を有するものを使用でき、これはさらに必要により
複製起点を有してもよい。該発現ベクターの例として
は、SV40 の初期プロモーターを有する pSV2dhfr (Subr
amani, S., et al. Mol. Cell. Biol., 1,854-864, 198
1)、ヒトの elongation factor プロモーターを有する p
EF-BOS(Mizushima, S. and Nagata, S.,Nucleic Acids
Res., 18, 5322, 1990)、cytomegalovirus プロモータ
ーを有する pCEP4(Jnvitrogen 社製)等を例示できる
が、これらに限定されない。
宿主細胞として、COS 細胞を用いる場合を例に挙げる
と、発現ベクターとしては、SV40 複製起点を有し、COS
細胞において自律増殖が可能であり、さらに転写プロ
モーター、転写終結シグナルおよびRNA スプライス部位
を備えたものを用いることができ、例えば、 pME18S(M
aruyama, K. and Takebe,Y., Med.Immunol.,20,27-32,1
990)、pEF-BOS(Mizushima, S. and Nagata, S.,Nuclei
c Acids Res., 18, 5322, 1990)、 pCDM8(Seed,B., Nat
ure, 329, 840-842, 1987)等が挙げられる。該発現ベク
ターは DEAE−デキストラン法(Luthman, H. and Magnus
son, G.,, Nucleic Acids Res., 11、 1295-1308, 198
3)、リン酸カルシウム−DNA 共沈殿法(Graham, F. L. a
nd van der Ed, A. J.,, Virology, 52,456-457, 197
3)、FuGENETM6 Transfection Regant(Boeringer Mannhe
im 社製)を用いた方法、および電気パルス穿孔法(Neuma
nn, E. et al.,, EMBO J., 1, 841-845, 1982)等により
COS 細胞に取り込ませることができ、かくして所望の
形質転換細胞を得ることができる。
また、宿主細胞として CHO 細胞を用いる場合には、
発現ベクターと共に、G418耐性マーカーとして機能する
neo 遺伝子を発現し得るベクター、例えばpRSVneo(Sam
brook, J. et al.,“Molecular Cloning-A Laboratory
Manual",Cold Spring Harbor Laboratory, NY, 1989)や
pSV2-neo(Southern, P. J. and Berg,P.,J.,Mol. Appl.
Genet., 1, 327-341, 1982)等をコ・トランスフェクト
し、G418耐性のコロニーを選択することにより新規蛋白
を安定に産生する形質転換細胞を得ることができる。ま
た、宿主細胞として 293-EBNA 細胞を用いる場合には、E
pstein Barr Virus の複製起点を有し、293-EBNA 細胞
で自己増殖が可能なpCEP4(Invitrogen 社製)などの発
現ベクターを用いて所望の形質転換細胞を得ることがで
きる。
上記で得られる所望の形質転換細胞は、常法に従い培
養することができ、該培養により細胞外に本発明の新規
蛋白が生産される。該培養に用いられる培地としては、
採用した宿主細胞に応じて慣用される各種のものを適宜
選択でき、例えば上記 COS 細胞であれば RPMI-1640 培
地やダルベッコ修飾イーグル最小必須培地(DMEM)等の培
地に必要に応じ牛胎児血清(FBS)等の血清成分を添加し
たものを使用できる。また、上記 293-EBNA 細胞であれ
ば牛胎児血清(FBS)等の血清成分を添加したダルベッコ
修飾イーグル最小必須培地(DMEM)等の培地にG418 を加
えたものを使用できる。
上記により、形質転換細胞の細胞外に生産される本発
明の新規蛋白は、該新規蛋白の物理的性質や生化学的性
質等を利用した各種の公知の分離操作法により、分離・
精製することができる。該方法としては、具体的には例
えば該新規蛋白を含む培養液を通常の蛋白沈殿剤による
処理、限外濾過、分子ふるいクロマトグラフィー(ゲル
濾過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換体クロマ
トグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、高速
液体クロマトグラフィー(HPLC)等の各種液体クロマトグ
ラフィー、透析法、これらの組合せ等を例示できる。
本発明の新規蛋白はマーカー配列とインフレームで融
合して発現させることで、該新規蛋白の発現の確認、精
製等が可能になる。マーカー配列としては、例えば、FL
AG epitope、Hexa-Histidine tag、Hemagglutinin ta
g、myc epitopeなどがある。また、マーカー配列と該新
規蛋白の間にエンテロキナーゼ、ファクターXa、トロン
ビンなどのプロテアーゼが認識する特異的なアミノ酸配
列を挿入することにより、マーカー配列部分をこれらの
プロテアーゼにより切断除去する事が可能である。
3)本発明の蛋白のアグリカナーゼ活性を検出する方法 本発明の蛋白のアグリカナーゼ活性は、本発明の関節
疾患アグリカナーゼと以下に挙げる基質とを適当な緩衝
液中で混合し、反応させた後、それぞれの基質にあった
方法で検出することができる。
基質としては、ヒトもしくは他の動物の軟骨・組織よ
り精製したアグリカン、あるいは遺伝子組換えアグリカ
ン、市販のアグリカン(生化学工業製)、もしくはそれ
らの部分蛋白を用いることができる。これらの基質と被
試験プロテアーゼを含む細胞・組織培養液、細胞・組織
抽出液もしくは(部分)精製標品を反応させ、Glu373-A
la374 の間で切断された断片を検出することによりアグ
リカナーゼ活性を測定することができる。Glu373-Ala
374 の間で切断された断片の検出には、常法に従い分解
断片のN末端配列もしくはC末端配列を決定する手法
や、より簡便に Glu373-Ala374 の間で切断されること
により生じるC末端の NITGE373、N末端の 374ARGSV
を特異的に認識する抗ネオエピトープ抗体(Hughes C.
E. et al., Biochem J., 305 , 799-804, 1995)を用い
た ELISA(Enzyme Linked Immuno Solvent Assay)やウ
エスタンブロティング等の免疫学的手法を用いることが
できる。好ましくは、実施例7および9記載の方法で実
施することができる。
4)本発明の新規蛋白に反応する抗体の作製方法 本発明の新規蛋白に反応する抗体、例えばポリクロー
ナル抗体、モノクローナル抗体は、各種動物に該新規蛋
白や該新規蛋白の断片を直接投与することで得ることが
できる。また、本発明新規蛋白をコードする遺伝子を導
入したプラスミドを用いて DNA ワクチン法(Raz, E. e
t al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,91, 9519-9523, 1
994;Donnelly、 J. J. et al., J. Infect. Dis., 173,
314-320,1996)によっても得ることができる。
ポリクローナル抗体は該新規蛋白またはその断片をフ
ロイント完全アジュバントなどの適当なアジュバントに
乳濁し、腹腔、皮下また静脈等に免疫して感作した動
物、例えばウサギ、ラット、ヤギ、またはニワトリ等の
血清または卵から製造される。このように製造されたポ
リクローナル抗体は常法の蛋白質単離精製法により、分
離精製することができ、常法の蛋白質単離精製法として
は例えば、遠心分離、透析、硫酸アンモニウムによる塩
析、DEAE-セルロース、ハイドロキシアパタイト、プロ
テインAアガロース等によるクロマトグラフィー法が挙
げられる。
モノクローナル抗体は、ケーラーとミルスタインの細
胞融合法(Kohler, G.and Milstein, C., Nature, 256,
495-497, 1975)により当業者が容易に製造することが
可能である。
すなわち、本発明新規蛋白またはその断片をフロイン
ト完全アジュバントなどの適当なアジュバントに乳濁し
た乳濁液を数週間おきにマウスの腹腔、皮下または静脈
に数回繰り返し接種することにより免疫する。最終免疫
後、脾臓細胞を取り出し、ミエローマ細胞と融合してハ
イブリドーマを作製する。
ハイブリドーマを得るためのミエローマ細胞として
は、ヒポキサンチン−グアニン−ホスホリポシルトラン
スフェラーゼ欠損やチミジンキナーゼ欠損のようなマー
カーを持つミエローマ細胞、例えば、マウスミエローマ
細胞株P3X63Ag8.U1、を利用する。また、融合剤として
はポリエチレングリコールを利用する。さらにはハイブ
リドーマ作製における培地として、イーグル最小必須培
地、ダルベッコ修飾最小必須培地、RPMI-1640 などの通
常よく用いられているものに適宜 10〜30%の牛胎児血清
を加えて用いる。融合株は HAT 選択法により選択す
る。ハイブリドーマのスクリーニングは培養上清を用
い、ELISA 法、免疫組織染色法などの周知の方法または
前記のスクリーニング法により行い、目的の抗体を分泌
しているハイブリドーマのクローンを選択する。また、
限界希釈法によって、サブクローニングを繰り返すこと
によりハイブリドーマの単クローン性を保証する。この
ようにして得られるハイブリドーマは培地中で数日間、
あるいはプリスタンで前処理した BALB/c 系マウスの腹
腔内で 10〜20 日培養することで精製可能な量の抗体が
産生される。このように製造されたモノクローナル抗体
は培養上清あるいは腹水から常法の蛋白質単離精製法に
より分離精製することができる。
以上のように分離精製された抗体につき、常法によ
り、ペプシン、パパイン等の蛋白質分解酵素によって消
化を行い、引い続き常法の蛋白質単離精製法により分離
精製することで、活性のある抗体の一部分を含む抗体断
片、例えば、F(ab')2、Fab、Fab'、Fv を得ることがで
きる。
さらには、本発明新規蛋白に反応する抗体を、クラク
ソンらやゼベデらの方法(Clackson、 T. et al., Natur
e, 352, 624-628, 1991;Zebedee, S. et al.,Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA, 89, 3175-3179, 1992)により si
ngle chain Fvや Fab として得ることも可能である。ま
た、マウスの抗体遺伝子をヒト抗体遺伝子に置き換えた
トランスジェニックマウス(Lonberg, N. et al., Natur
e, 368,856-859, 1994)に免疫することでヒト抗体を得
ることも可能である。
5)本発明の「関節疾患アグリカナーゼ」のアグリカナ
ーゼ活性を阻害する物質のスクリーニング方法 3)に示したアグリカナーゼ活性の検出法と同様の方
法でスクリーニングが可能である。また、本発明の新規
蛋白と反応させることにより分解され消滅・減少する添
加したアグリカン、組換えアグリカン、市販のアグリカ
ン、もしくはそれらの部分蛋白質を、アグリカナーゼで
切断される部位のN側およびC側部分のポリペプチドを
特異的に認識する抗体を用いて計測する実施例 10-2 に
例示するような ELISA などの方法を用いることができ
る。さらには、本発明の新規蛋白と実施例 7-1 に例示
するようなN末に FLAG タグ、C末に His タグが付加
した組換えアグリカンを反応させて分解され消滅・減少
する添加した組換えアグリカン量を抗 FLAG タグ、抗 HI
S タグ抗体を用いた ELISA 等で計測する方法が用いら
れる。この場合のタグは FLAG タグおよび His タグに
限定されず、また、組換えアグリカンは実施例 7-1 に限
定されず、本蛋白によりアグリカナーゼ切断部位で切断
されるアグリカンの部分蛋白もしくは改変蛋白であれば
よい。アグリカナーゼ活性に用いる被験物質は、被験物
質としては従来金属プロテアーゼ阻害活性を有すること
は知られているが該新規蛋白のアグリカナーゼ活性に対
して阻害するかが不明な化合物またはペプチド、あるい
は種々の公知化合物やペプチド、コンビナトリアル・ケ
ミストリー技術(Terrett, N. K. et al.,Tetrahedron,
51, 8135-8137, 1995)や通常の合成技術を用いて合成
された化合物群やファージ・ディスプレイ法(Felici,
F. et al., J.Mol. Biol., 222,301-310, 1991)などを
応用して作製されたランダム・ペプチド群を用いること
ができる。また、微生物の抽出物や培養上清、植物、海
洋生物由来の天然成分、動物組織抽出物などもスクリー
ニングの対象となる。あるいは本発明のスクリーニング
法により選択された化合物またはペプチドを化学的また
は生物学的に構造修飾した化合物またはペプチドを用い
うる。
本発明の新規蛋白のアグリカナーゼ活性を阻害する物
質(化合物、ペプチド、抗体及び抗体断片)のスクリー
ニングには、本発明の新規蛋白またはその部分ペプチド
の基質となるものであればいずれのものでも使用可能で
あり、好ましくは前記3)に記載の基質である。
6)プロテオグリカンの分解・遊離検出方法 軟骨プルテオグリカンの分解・遊離の検出、計測に
は、実施例 11-2 に例示される35SO4 2-をトレーサーと
して用いる方法、プロテオグリカン抗体を用いる方法、
ゲルろ過により分解断片を検出する方法(Methods in C
artilage Research,Academic Press Limited., 1990; J
oint Cartilage Degradation, Marcel Dekker,Inc., 19
93)や、1,9-dimethylmethylene blue(DMMB)を用いた
比色法(Goldberg R. L. and Kolibas L. M., Connect.
Tissue Res., 24, 265-275, 1990)などが用いられる
が、これらに限定されない。
7)本発明のプロモーター活性を阻害する物質のスクリ
ーニングの方法 本発明のプロモーター活性を阻害する物質をスクリー
ニングする際、そのプロモーター活性を検出する方法と
しては、実施例 13 に示した配列(配列番号24乃至31)
およびその部分配列が有するレポーター遺伝子プラスミ
ドを用いる方法が簡便である。レポーター遺伝子とは通
常の手段(例えば、酵素活性の測定等、当業者に既知の
定量法)によって定量することができる蛋白をコードす
る遺伝子を指し、クロラムフェニコールアセチルトラン
スフェラーゼ、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダー
ゼ、アルカリフォスファターゼ遺伝子がよく用いられて
いるがこれらに限定されない。レポーター遺伝子プラス
ミドを構築する基となるベクターに関しては制限はな
く、市販のプラスミドベクター、例えば、pGV-B2(東洋
インキ社製)や pSEAP2-Basic(Clontech 社製)などを
用いることができる。これらのベクターのレポーター遺
伝子の上流に当該配列を順方向に挿入したレポーター遺
伝子プラスミドを構築し、このプラスミドで形質転換し
た細胞において発現されるレポーター蛋白の量をそれぞ
れに適した方法で測定することにより当該配列のプロモ
ーター活性の有無、強度を知ることができ、また、上記
形質転換細胞の培養液に被験物質を添加することによ
り、被験物質の当該プロモーター活性に及ぼす作用を検
出することができる。
本発明の配列番号の配列およびその部分配列の有する
プロモーター活性を阻害する物質(化合物、ペプチド、
抗体及び抗体断片)のスクリーニングには、上記のプロ
モーター活性を検出する方法と同様の方法を用いること
ができる。被験物質としては従来プロモーター活性を阻
害することは知られているが配列番号 24 乃至 31 の配
列およびその部分配列の有するプロモーター活性を阻害
するかが不明な化合物またはペプチド、あるいは種々の
公知化合物やペプチド、コンビナトリアル・ケミストリ
ー技術(Terrett, N. K. et al., Tetrahedron,51, 813
5-8137, 1995)や通常の合成技術を用いて合成された化
合物群やファージ・ディスプレイ法(Felici, F. et a
l., J. Mol. Biol., 222, 301-310, 1991)などを応用し
て作製されたランダム・ペプチド群、抗体及び抗体断片
を用いることができる。また、微生物の抽出物や培養上
清、植物、海洋生物由来の天然成分、動物組織抽出物な
どもスクリーニングの対象となる。あるいは本発明のス
クリーニング法により選択された化合物またはペプチド
を化学的または生物学的に構造修飾した化合物またはペ
プチドを用い得る。
本発明には、前記スクリーニング法により選択される
「関節疾患アグリカナーゼ」のアグリカナーゼ活性を有
意に阻害する物質(化合物、ペプチド、抗体及び抗体断
片)を有効成分とする医薬が包含され、特に医薬として
好ましくはプロテオグリカン分解抑制用医薬組成物であ
る。「関節疾患アグリカナーゼ」の活性を有意に阻害す
る物質としては、実施例 10-2 で示されるスクリーニン
グ系で選択された、Nα−[2−(1−ヒドロキシカル
バモイル−2−スルファニルエチル)−4−メチルペン
タノイル]−N,O−ジメチルチロシンアミド(以下、
化合物Aとする)、Nα−[2−(1−ヒドロキシカル
バモイル−2−スルファニルエチル)−4−メチルペン
タノイル]−N−メチルフェニルアラニンアミド(以
下、化合物Bとする)、Nα−[2−(1−ヒドロキシ
カルバモイル−2−フェニルスルファニルエチル)4−
メチルペンタノイル]−N,O−ジメチルチロシンアミ
ド(以下、化合物Cとする)、Nα−[2−(1−ヒド
ロキシカルバモイル−2−メチルスルファニルエチル)
−4−メチルペンタノイル]−N,O−ジメチルチロシ
ンアミド(以下、化合物Dとする)などが挙げられる。
上記化合物A、化合物B、化合物C及び化合物Dは、WO90/
05719の請求の範囲に含まれる化合物であるが、本発明
はそれらの化合物を有効成分とする医薬に限らず、「関
節疾患アグリカナーゼ」のアグリカナーゼ活性を有意に
阻害する物質を有効成分とする医薬であれば全て包含さ
れる。尚、上記化合物A、化合物B、化合物C及び化合物
Dは WO90/05719 に収載された製造方法に準じて WO90/
05719 に収載された化合物と同様に合成することができ
る。
本発明の「関節疾患アグリカナーゼ」のアグリカナー
ゼ活性を有意に阻害する物質(化合物、ペプチド、抗体
または抗体断片)を有効成分とする製剤は、該有効成分
のタイプに応じて、それらの製剤化に通常用いられる担
体や賦形剤、その他の添加剤を用いて調製されうる。
投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散
剤、経口用液剤などによる経口投与、あるいは静注、筋
注、関節注などの注射剤、坐剤、経皮投与剤、経粘膜投
与剤などによる非経口投与が挙げられる。特に胃で消化
されるペプチドにあっては静注等の非経口投与が望まれ
る。
本発明による経口投与のための固体組成物は、一つ又
はそれ以上の活性物質が少なくとも一つの不活性な希釈
剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ等、微結晶セル
ロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、ポ
リビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウ
ムなどと混合される。組成物は常法に従って、不活性な
希釈剤以外の添加剤、例えば滑沢剤、崩壊剤、安定化
剤、溶解乃至溶解補助剤などを含有していてもよい。錠
剤や丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物
質などのフィルムで被覆していてもよい。
経口のための液体組成物は、乳濁剤、溶液剤、懸濁
剤、シロップ剤、エリキシル剤を含み、一般的に用いら
れる不活性な希釈剤、例えば精製水、エタノールを含
む。該組成物は不活性な希釈剤以外の添加剤、例えば湿
潤剤、懸濁剤、甘味剤、芳香剤、防腐剤を含有していて
もよい。
非経口のための注射剤としては、無菌の水性または非
水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤を含む。水溶性の溶液剤
や懸濁剤には、希釈剤として例えば注射用蒸留水、生理
用食塩水などが含まれる。非水溶性の溶液剤、懸濁剤の
希釈剤としてはプロピレングリコール、ポリエチレング
リコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのよ
うなアルコール類、ポリソルベート80等を含む。該組
成物はさらに湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解
乃至溶解補助剤、防腐剤などを含んでいてもよい。組成
物は例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌
剤の配合、または照射によって無菌化される。また、無
菌の固体組成物を製造し、使用に際し無菌水その他の無
菌用注射用媒体に溶解し使用することもできる。
投与量は前記スクリーニング法により選択された有効
成分の活性の強さ、症状、投与対象の年齢、性別等を考
慮して適宜決定される。
例えば、経口投与の場合、その投与量は、通常、成人
(体重60kgとして)において、1日につき約0.1〜100
0mg、好ましくは0.1〜100mgである。非経口投与の
場合、注射剤の形では1日につき約0.01〜1000mg、好
ましくは0.01〜100mgである。
図面の簡単な説明 図1は実施例6で得られた、ECL ウエスタンブロッテ
ィング検出システムを用い、MDTS6TSP1 の動物細胞株で
の発現結果を示す写真である。
図2は実施例 7-2 で得られた、ECL ウエスタンブロ
ッティング検出システムを用い、MDTS6TSP1 の組換えア
グリカン G1G2 分解活性の検出結果を示す写真である。
図3は実施例 7-3 で得られた、ウエスタンブロッテ
ィング検出システムを用い、MDTS6TSP1 で分解された組
換えアグリカン G1G2 の抗アグリカナーゼネオエピトー
プ抗体による解析結果を示す写真である。
図4は実施例8で得られた、IL-1 βによるMDTS6 mRN
A の発現誘導を検討した結果を示す電気泳動パターン写
真である。
図5は実施例 9-2 で得られた、MDTS6 蛋白による天
然型アグリカンの分解をウエスタンブロッティング検出
システムを用い、抗アグリカナーゼネオエピトープ抗体
で検出した結果を示す写真である。
図6は実施例 11-2 で得られた、ウサギ膝関節初代培
養細胞からの all-transレチノイン酸および IL-1 βに
よるプロテオグリカンの遊離を検出した結果を示すグラ
フである。
図7は実施例 11-3 で得られた、ウサギ膝関節初代培
養細胞を all-trans レチノイン酸および IL-1 β処理
した場合の MDTS6 の遺伝子発現変動を RT-PCR 法によ
り解析した結果を示す電気泳動パターン写真である。
図8は実施例 12 で得られた、all-trans レチノイン
酸によるウサギ膝関節初代培養細胞からのプロテオグリ
カンの分解・遊離が化合物Aおよび化合物Bにより抑制
されることを示したグラフである。
発明を実施するための最良の形態 以下、本発明を更に具体的に説明する。
特に断りのない限り、公知の方法(Sambrook, J. et a
l., “Molecular Cloning-A Laboratory Manual", Cold
Spring Harbor Laboratory, NY, 1989)等の遺伝子操
作実験マニュアルに従ったが、本発明は実施例に限定さ
れるものではない。
(実施例1)新規 ADAMTS 遺伝子 MDTS6 の部分配列の
発見 ヒト脳由来 cDNA ライブラリーは文献(Obara O. et
al., DNA Res., 4, 53-59,1997)に示すように挿入配列
の大きさによって厳密に分画されたものを構築した。こ
れらのサブライブラリーの cDNA 断片のサイズ分布は 3
kbp-8kbp である。このライブラリーを構成するクロー
ンの 5'-及び3'-末端の配列を解読し、自家製の EST デ
ータバンクを構築した。この中から、MDTS6 の部分配列
を得た。
(実施例2)MDTS6 の全長 ORF 配列の決定 MDTS6 の cDNA クローンの配列を決定することによ
り、配列番号2の 832 番から 2853 番の配列を得た。
配列番号2の1番から 831 番の配列は、Clontech 社製
のヒト脳およびヒト胎盤の Marathon-ReadyTM cDNA を
鋳型、LA-TaqTM(宝酒造社製)を DNA ポリメラーゼと
して、RACE(Rapid Amplification of cDNA Ends)を繰
り返すことにより取得した。その結果、全長 MDTS6
は、配列番号1に示すように 950 アミノ酸からなる新
規蛋白であることが判明した。そのドメイン構造はN末
から、分泌シグナル配列、プロ領域、furin プロテアー
ゼ認識配列、金属プロテアーゼドメイン、ディスインテ
グリンドメイン、トロンボスポンジンI型繰り返し配列
(以下、TSP-1 繰り返し配列という)、Cys 残基に富む
ドメイン、中間領域、TSP-1 繰り返し配列2個であり、
ADAMTS ファミリーに属する分子であった(Kuno. K. et
al., J. Biol. Chem., 272, 556-562, 1997; Tang,B.
L. et al., FEBS Lett., 445, 223-225, 1999)。
(実施例3)C末 FLAG 付加型発現ベクターの作製 pCEP4(Invitrogen 社製)を制限酵素 ClaI、NsiI で
切断し、平滑末端化後、自己連結反応を行い、EBNA1 発
現ユニットを除去した発現ベクターpCEP4d を作製し
た。このベクターを制限酵素 NheI、BemHI で切断し、
アガロースゲル抽出した約 7.7kbp の断片に、配列番号
3で示される核酸と配列番号4で示される核酸をアニー
ルさせた重鎖オリゴヌクレオチドを挿入して、目的の配
列を有するクローンを選択し、pCEP4d-FLAG と命名し
た。このベクターを鋳型、配列番号5で示されるオリゴ D
NA、 配列番号6で示されるオリゴ DNA をプライマーと
して、PyroBestTM DNA ポリメラーゼを用いて PCR 反応
を行った。生じた約 0.4kbp の DNA 断片を制限酵素 Sp
eI で切断し、XbaI で切断した pCEP4d-FLAG(約 7.7kb
p)に挿入し、目的通りプロモーターよりクローニングサ
イトの XbaI、NheI、NotI、BamHI 認識配列そして FLAG
タグという順になっているクローンを選択して、pCEP4
dE2-FLAG を完成した。
(実施例4)MDTS6 短長蛋白(MDTS6TSP1)発現プラス
ミドの構築 配列番号1の1番から 583 番(MDTS6のN末から TSP
1 繰り返し配列を含む領域(以下 MDTS6TSP1 とする)
に相当する部分)をC末に FLAG を付加した蛋白として
発現するためのプラスミドは以下の如く構築した。
まず、配列番号2の1番から 1749 番の遺伝子を PCR
により取得した。配列番号7と配列番号8で示される
オリゴ DNA をプライマー、ヒト胎盤の Marathon-Ready
TM cDNA(Clontech 社製)を鋳型、LA-TaqTM(宝酒造社
製)を DNA ポリメラーゼとして、94℃1 分の後、98℃
10 秒、68℃2 分のサイクルを 10 回行った。この反応
液を 50 倍希釈した DNA 溶液を鋳型として、PyroBest
TM DNAポリメラーゼを用い、94℃2 分の後、98℃ 10
秒、66℃ 30 秒、74℃4 分のサイクルを 40 回、続いて
72℃10 分の条件で PCR を行った。こうして生成した
5' 側に XbaI 認識配列および Kozak 配列を、3' 側に
NotI 認識配列が付加された目的断片を PCR-Bluntにサ
ブクローンして配列を確認した後、制限酵素 XbaI、Not
I で切断し、pCEP4dE2-FLAG のXbaI、NotI 部位に挿入
して、pCEP-MDTS6TSP1-FLAG を完成した。
(実施例5)MDTS6 全長蛋白発現プラスミドの構築 配列番号1の1番から 950 番をC末に FLAG を付加
した蛋白として発現するためのプラスミドは以下の如く
構築した。
まず、配列番号2の 1534 番から 2850 番の遺伝子を
PCR により取得した。詳しくは、配列番号9と配列番
号 10 で示されるオリゴ DNA をプライマー、EST クロ
ーンのプラスミド DNA を鋳型、PyroBestTM DNA ポリメ
ラーゼを DNA ポリメラーゼとして、94℃1 分の後、98
℃10 秒、50℃15 秒、72℃2 分のサイクルを20回、続い
て 72℃7 分の反応を行った。なお、EST クローンのプ
ラスミド DNA を鋳型とする代わりに、ヒト胎盤の Mara
thon-ReadyTM cDNA(Clontech 社製)を鋳型、配列番号
9と配列番号 10 で示されるオリゴ DNA をプライマー
として、94℃2分の後、98℃10 秒、68℃2 分のサイクル
を 40 回、続いて 72 ℃7 分の反応条件で PCR を行う
ことにより、目的断片を生成することができた。こうし
て生成した3'側に NotI 認識配列が付加された目的断片
を PCR-Blunt にサブクローンして配列を確認し、pCRB-
MDTS6-3H とした。
配列番号2の 1566 番から 1571 番に BamHI 認識配
列があることを利用し、pCEP-MDTS6TSP1-FLAG を制限酵
素 XbaI、BamHI で切断して生じた約 1.6kbp の DNA 断
片と、pCRB-MDTS6-3H を BamHI、NotI で切断して生じ
た約 1.3kp の DNA 断片を連結し、pCEP4dE2-FLAG の X
baI、NotI 部位に挿入して、pCEP-MDTS6F-FLAGを完成し
た。
(実施例6)MDTS6TSP1 及び MDTS6 全長蛋白の動物細
胞株での発現 実施例4において pCEP4dE2-FLAG を骨格として作製
した発現プラスミドをFuGENETM6 Transfection Reagent
(Boeringer Mannheim 社製)を用いて添付指示書に従
い HEK293-EBNA 細胞(invirogen 社製)に導入した。
プラスミド導入後、1-2 日間培養して得た培養上清中に
目的蛋白が存在することを、C末端に付加した FLAG タ
グに対する抗体(マウス抗 FLAG モノクローナル抗体
(M2;Sigma社製)を用いたウエスタンブロッティング
で確認した。すなわち、上記培養上清を SDS/10%〜20%
アクリルアミドゲル(第一化学薬品社製)を用いて電気
泳動後、ブロッティング装置を用いて PVDF 膜に転写し
た。転写後のPVDF 膜に、ブロックエース(大日本製薬
社製)を添加してブロッキングした後、マウス抗FLAG
モノクローナル抗体(M2;Sigma 社製)、西洋わさびパ
ーオキシダーゼ標識ウサギ抗マウス IgG ポリクローナ
ル抗体(Zymed 社製もしくは TAGO 社製)を順次反応さ
せた。または、ブロッキング後、ビオチン化 M2 抗体
(Sigma 社製)、西洋わさびパーオキシダーゼ標識スト
レプトアビジン(Amasham 社製)を順次反応させた。反
応後、ECL ウエスタンブロッティング検出システム(ア
マシャムファルマシア社製)を用いて該蛋白の発現を確
認した(図1)。発現された蛋白の分子量はアミノ酸配
列から算出される値よりも約 23K 小さかった。上述の
如く HEK293-EBNA 細胞にて発現させた MDTS6TSP1 のN
末端配列は、C末端にFLAG タグが付加していることを
利用して、実施例 7-1 の方法でアフィニィティ精製し
た後、PVDF 膜に転写し、Ponceau S 染色された MDTS6T
SP1 のN末端配列を ABI 社 494 型ペプチドシークエン
サーで解析することにより決定した。その結果、配列番
号1の 213 番目の Phe から始まっており、他の ADAMT
S 分子同様に、プロ領域と金属プロテアーゼドメインの
間にある furin プロテアーゼ認識配列で切断された成
熟蛋白(配列番号1の 213 番から 583 番)になること
が示された。また、MDTS6 全長蛋白についても実施例5
で得られた発現プラスミドを用い、上記 MDTS6TSP1 の蛋
白発現と同様に取得し、MDTS6TSP1 と同様に、プロ領域
と金属プロテアーゼドメインの間にある furin プロテ
アーゼ認識配列で切断され成熟蛋白(配列番号1の 213
番から 950 番)になることを確認した。
(実施例7)動物細胞を宿主に発現した MDTS6TSP1 蛋
白の酵素活性の検出 (実施例 7-1)組換えアグリカン G1G2 の調製 報告されているヒトアグリカンの遺伝子配列(Doege
K, et al. Biochem Soc Trans., 18, 200-202, 1990)
をもとに合成した配列番号11と配列番号12で示されるオ
リゴ DNA をプライマー、ヒト胎盤の Marathon-ReadyTM
cDNA を鋳型、PyroBestTM DNA ポリメラーゼを DNA ポ
リメラーゼとして、94℃1 分の後、98℃10 秒、68℃2
分のサイクルを 40 回、続いて68℃7 分の反応を行っ
た。生成したDNA 断片を制限酵素 BamHI で切断し、pCE
P-SigFla の BamHI 部位に導入し、ヒトアグリカンの球
状ドメイン1(G1)-球状ドメイン2(G2)のN末に FLAG
タグ、C末に His タグの付加した蛋白を発現するため
に用いる発現プラスミド pCEP-rAgg を作製した。pCEP-
SigFla は pCEP4d のHindIII、XhoI 部位に配列番号 13
と配列番号 14 で示されるオリゴ DNA の二重鎖を導入
したものであり、プロモーターの下流に、文献(Guan X
-M. et al., J. Biol. Chem. 267, 21995-21998, 1992)
に示されたインフルエンザウィルスの hemaglutinin 由
来の分泌シグナル配列と FLAG タグ配列、続いて、BamH
I 認識配列を有する発現ベクターである。
pCEP-rAgg を HEK293-EBNA 細胞に導入し、3-7 日培
養して目的蛋白を発現、生産した。培養液上清からの目
的蛋白の精製は、N 末端に FLAG タグが付加しているこ
とを利用して、アフィニィティ精製した。すなわち、培
養上清をカラムに詰めた M2-agarose(Sigma 社製)に
アプライし、20 mM Tris-HCl(pH7.4)/150 mM NaCl(以
下、TBS という)で洗浄した後、0.1 M Gly-HCl (pH 3.
0)で、溶出、分画し、直ちに 1M Tris-HCl (pH 8.0)で
中和した。
(実施例 7-2)MDTS6TSP1 蛋白の組換えアグリカン G1G
2 分解活性の検出 実施例6において、発現プラスミド導入後 12-16 時
間で培地を無血清に置換した後、さらに 32-36 時間培
養を継続し、培養上清を回収した。この培養上清と上記
で精製した組換えアグリカンを混合し、37℃で1夜反応
させ、SDS-PAGE後、実施例6に記載した方法で、PVDF
膜に転写、ブロッキング後、抗 Hisx6 ポリクローナル
抗体(sc-803;Santa Cruz Biotechnology 社製)、西
洋わさびパーオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギ IgG ポリ
クローナル抗体(MBL 社製)を順次反応させた。反応
後、ECL ウエスタンブロッティング検出システム(アマ
シャムファルマシア社製)を用いて組換えアグリカンを
検出した。その結果、発現プラスミドのみを導入したコ
ントロールではみられない組換えアグリカンの分解物が
検出された(図2)。
(実施例 7-3)抗アグリカナーゼネオエピトープ抗体に
よる解析 アグリカナーゼはアグリカンの Glu373-Ala374 の間
を選択的に切断する金属プロテアーゼである。この切断
により生じたC側のネオエピトープを認識する抗体を常
法に従い、配列番号 32 で示される合成ペプチドと KLH
とのコンジュゲートをマウスに5回免疫を繰り返すこと
により調製した。実施例 7-2 と同様に転写、ブロッキ
ングしたPVDF 膜とこの抗体を反応させ、続いて、パー
オキシダーゼ標識ヤギ抗マウス IgG ポリクローナル抗
体(Tago 社製)と反応させた後、ECL ウエスタンブロ
ッティング検出システム(アマシャムファルマシア社
製)を用いて検出した。その結果、MDTS6 により生じた
組換えアグリカン G1G2 分解物が抗アグリカナーゼネオ
エピトープ抗体と反応し、検出されたバンドの分子量は
実施例 7-2 で検出された分解物の分子量と一致した
(図3)。アグリカナーゼネオエピトープを認識する B
C-3 抗体(Hughes C. E. et al., Biochemical J.305,
799-804, 1995)でも同じ結果が得られた。
(実施例8)IL-1によるMDTS6 mRNAの発現誘導 マウス細胞株ATDC5はインスリン処理により軟骨様細
胞とへと分化することが知られている(Atsumi T. et a
l., Cell Differ. Dev. 30,109-116, 1990)。I型コラ
ーゲンコート6ウエルプレート(旭テクノグラス社製)
にATDC5細胞を4×105/wellで蒔き、DMEM/HamF12(1:1)/5
%FCS培地で2日間培養した後、インスリン(終濃度30ng/
ml)、50μ g/ml L-アスコルピン酸含有DMEM/HamF12(1:
1)/5%FCS培地に交換し5日培養を継続し、IL-Iβ(終濃
度5ng/ml)を添加して0、1、2、4、8時間処理した。各
処理群よりISOGEN(日本ジーン社製)を用いてtotal RN
Aを調製し、その1μgを鋳型としてBcaBESTTMRNA PCR
Kit(宝酒造社製)を用いRT-PCRを行った。逆転写反応
は添付の指示書に従い、Oligo dT-Adaptor primerをプ
ライマーとして行い、PCRはMDTS6の3'非翻訳領域の配列
を基に合成した配列番号15および配列番号16で示される
オリゴ DNA をプライマーとして、94℃2分の後、94℃30
秒、60℃30秒、72℃30秒のサイクルを40回、続いて72℃
7分の反応で行った。反応液を1%アガロースにて電気泳
動し、生成した約0.3kbpのバンドの濃さを比較した。そ
の結果、MDTS6 mRNA は IL-1 により一過性に発現誘導
されることが判明した(図4)。
(実施例9)MDTS6 による天然型アグリカン分解 (実施例 9-1)各種短長 MDTS6 蛋白の発現と組換えア
グリカン G1G2 分解活性 pCEP4dE2-FLAG を骨格として作製した発現プラスミド
を FuGENETM6 Transfection Reagent(Boeringer Mannh
eim 社製)を用いて添付指示書に従いHEK293-EBNA 細胞
(invirogen 社製)に導入した。プラスミド導入後、1
夜培養後、PBS 緩衝液で洗い、無血清培地に交換し、さ
らに 2-3 日間培養した。この培養液を 9,000rpm、10
分で遠心分離し、上清を MDTS6 の酵素源とした。この
際、実施例4および実施例5で示した発現プラスミド以
外に、各種短長 MDTS6 蛋白の発現プラスミドとして、
配列番号1の1番から 447 番のアミノ酸のC末に配列
番号 33 で示されるポリペプチドが付加した蛋白(以
降、MDTS6Pro とする)、配列番号1の1番から 518 番
のアミノ酸のC末に配列番号 33 で示されるポリペプチ
ドが付加した蛋白(以降、MDTS6Dis とする)、配列番
号1の1番から 687 番のアミノ酸のC末に配列番号 33
で示されるポリペプチドが付加した蛋白(以降、MDTS6C
ys とする)の3つの蛋白の発現プラスミドをデザイン
した。すなわち、MDTS6Cys の発現プラスミドは、実施
例5で構築した全長蛋白発現プラスミドを鋳型、配列番
号7と配列番号 17 で示されるオリゴ DNA をプライマ
ーとして、PyroBest DNA polymerase を用いた PCR に
て増幅した遺伝子を制限酵素 XbaI、NotI で切断し pCE
P4dE2-FLAG の Xbal、NotI 部位に挿入して構築した。
また、MDTS6Pro の発現プラスミド、及び、MDTS6Dis の発
現プラスミドは、上記 MDTS6Cysで作製したプラスミドと
同様に作製し、具体的にはPyroBest DNA polymeraseを
用いた PCR にて増幅した遺伝子を制限酵素 XbaI、NotI
で切断しpCEP4dE2-FLAG の XbaI、NotI 部位に挿入し
て構築した。但し、 PCR のプライマーとしては、MDTS6
Pro の場合は、配列番号7で示されるオリゴ DNA と配
列番号 34 で示されるオリゴ DNA を用い、MDTS6Dis の
場合は、配列番号7で示されるオリゴ DNA と配列番号
35 で示されるオリゴ DNA の組み合わせをそれぞれ用い
た。
上述の各種 MDTS6 蛋白(MDTS6Cys、MDTS6Pro、MDTS6
Dis)の蛋白発現は、(実施例6)に記載の MDTS6TSP1
及び MDTS6 全長蛋白の動物細胞株での発現と同様に発
現させた。上述の各種 MDTS6 蛋白のアグリカナーゼ活
性を実施例 7-3 の方法で検討した結果、MDTS6Cys を発
現した培養上清にはアグリカナーゼ活性が検出された
が、MDTS6Pro、MDTS6Dis を発現した培養上清にはアグ
リカナーゼ活性が検出されなかった。なお、発現された
主要な蛋白の分子量はアミノ酸配列から計算される値よ
りも約 23K 小さく、実施例6で示された MDTS6TSP1 と
同じく、furin プロテアーゼ認識配列でプロ領域が切断
・除去された成熟蛋白であった。この結果、N末から数
えて1個目の TSP-1 繰り返し配列が MDTS6 のアグリカ
ナーゼ活性の発揮に必須であることが判明した。
(実施例 9-2)天然型アグリカンの分解 実施例 9-1 で調製した MDTS6 酵素液 90μlと天然
型アグリカン(生化学工業社製)10μg/10μl TBS を
試験チューブ内で混合し、37℃で一夜反応させた。この
反応産物を SpeedVac にて乾燥した後、Chondroitinase
ABC 0.06 単位(生化学工業社製)、keratanase I 0.0
24 単位(生化学工業社製)、keratanase II 0.0004 単
位(生化学工業社製)、5μ M PMSF、10mM EDTA を含む
10mM Tris-Acetate緩衝液(pH7.6) 100μlに溶解し、37
℃で一夜反応させた。この反応液の一部を SDS-PAGE
後、実施例 7-3 に示す通りにマウス抗アグリカナーゼネ
オエピトープ抗体で検出した。この際、パーオキシダー
ゼ標識ヤギ抗マウス IgG ポリクローナル抗体は Biosou
rce 社製を用いた。アグリカナーゼネオエピトープを認
識する BC-3 抗体(Hughes C. E. et al, Biochemical
J. 305, 799-804, 1995)でも同じ結果が得られた。
その結果、MDTS6Cys では約 150KDa のバンドに加
え、80-90KDa のバンドが検出された。この切断パター
ンはヒトのOA、RAを含む関節疾患患者の関節滑液中
に認められる主要な分子(いずれもアグリカナーゼ分解
で生じた)のパターン(Sandy J. D. et al. J. Clin.
Invest., 89, 1512-1516, 1992; Lohmander L. S. et a
l., Arthritis Rheum. 36, 1214-1222, 1993)に一致
し、また、ヒト膝関節軟骨の器官培養系において IL-
1、レチノイン酸処理 12-24 時間で生じる主要なアグリ
カナーゼネオエピトープを有する分子のパターン(Littl
e C. B.et al., Biochemical J., 344、 61-68, 1999)に
一致した(図5)。
(実施例 10)アグリカナーゼ活性を修飾する物質のス
クリーニング系 (実施例 10-1)MDTS6Cys および基質の調製 MDTS6Cys は精製せずとも実施例 9-1 の方法で調整し
た培養上清で上記組換えアグリカン G1G2 および天然型
アグリカンをGlu373-Ala374(以下、“aggrecanasesite")
の間を切断することを、実施例 9-2 に示したウエスタ
ンブロティングを用いた方法で確認した。また、実施例
9-1 で無血清培地に置換せず、10%FBS 含有培地で培養
を継続した培養上清を用いても、“aggrecanase site"
での切断が認められた。そのため、基質としては実施例
7-1 で調製した組換えアグリカンG1G2 を用いた。
(実施例 10-2)スクリーニング系 組換えアグリカンおよび天然型アグリカンを基質に実
施例 7-2 で示したウエスタンブロティングを用いた方
法でスクリーニング可能であるが、より大量の被験化合
物をスクリーニングするために下記の ELISA 系を構築
した。
MDTS6Cys 培養上清、組換えアグリカン G1G2、被験化
合物を混合し、37℃にて数時間反応させた産物を 96 穴
プレート(Nunc-ImmunoTM Plate MaxiSorpTM Surface #
439454;Nunc 社製)に吸着させ、1%BSA/TBS 溶液でブ
ロッキングした後、マウス抗アグリカナーゼネオエピト
ープ抗体、続いてHRP コンジュゲート抗マウス IgG 抗
体(Biosource 社製)を反応させ、添付説明書の条件に
したがい TMB Peroxidase EIA Substrate Kit(Bio-Rad
社製)で検出し、発色阻害を指標に被験化合物のアグ
リカナーゼ活性阻害強度を算出した。また、その変法と
して、組換えアグリカンを予め 96 穴プレート(Nunc
社製)に吸着させ、1%BSA/TBS 溶液でブロッキングした
後、MDTS6Cys 培養上清と被験化合物を添加し、37℃に
て数時間反応させた後、同様にマウス抗アグリカナーゼ
ネオエピトープ抗体、続いて HRP コンジュゲート抗マ
ウス IgG 抗体(Biosource 社製)を反応させ、TMB Per
oxidase EIA Substrate Kit(Bio-Rad 社製)で検出し、
発色阻害を指標に被験化合物のアグリカナーゼ活性阻害
強度を算出した。アグリカナーゼ活性を阻害する物質を
スクリーニングする基準は、阻害活性強度(IC50)に
おいて、好ましくは 10μM以下、さらに好ましくは 1.
0μM以下である。
本スクリーニング系により、先に記載した化合物A、
化合物B、化合物C及び化合物Dが選択することができ
た。アグリカナーゼ活性阻害強度(IC50)は、化合物
Aでは0.6μM、化合物Bでは1.0μM、化合物C
では2.9μM、化合物Dでは2.7μMを示した。
なお、化合物A、化合物B、化合物C及び化合物Dは
先に示した PCT 公開番号 WO90/05719 に記載された製
造法と同様に合成された。それぞれの化合物のマススペ
クトルは以下の通りである。化合物Aは MS=426
(MH)、化合物Bは MS=396(MH)、化
合物Cは MS=502(MH)、化合物Dは MS=
440(MH)。
(実施例 11) (実施例 11-1)ウサギ膝関節軟骨初代培養細胞の調製 ウサギ(日本白色種、オス、1.0〜1.5kg)を過剰麻酔
下で致死させた後、膝関節を摘出し、関節表面の軟骨層
をメスにて剥離、細断した。さらに、トリプシン-EDTA
(0.25%-1mM;GIBCO-BRL社製)にて 37℃、1時間処理
の後、1500rpm、5分の遠心分離し沈殿を DMEM で洗浄
した。続いてコラゲナーゼA(0.15%;ベーリンガー・マ
ンハイム社製)/DMEM にて 37℃、3〜4 時間処理した
後、ナイロンメッシュフィルター(100μm、 Falcon 社
製)通過画分を 1500rpm、5分の遠心分離にかけ、軟骨
細胞を沈殿させた。DMEM/10%FBS 培地で十分に洗浄した
後、DMEM/10%FBS 培地に 2X105cells/ml になるように
懸濁し、I型コラーゲンをコートした96穴プレート(旭
テクノグラス社製)に200μl/穴で蒔いた。3日後に培
地を 50μg/ml アスコルビン酸含有 DMEM/10%FBS 培地
(以下、アスコルビン酸培地)200μlに交換し、さら
に3日間培養した。I型コラーゲンをコートした6穴プ
レート(旭テクノグラス)を用いる場合は、上記細胞懸
濁液を 6ml/穴で蒔き、同様に培地交換を行い培養し
た。これらの細胞を以下の実験に供した。
(実施例 11-2)ウサギ膝関節軟骨初代培養細胞のプロ
テオグリカン分解 実施例 11-1 で示した 96 穴プレートのウサギ膝関節
軟骨初代培養細胞を終濃度 10 μCi/ml のNa2 35SO4含有
アスコルビン酸培地 200μlにて2日間培養、標識した
後、200μlのアスコルビン酸培地で3回洗浄し、200μ
lのアスコルビン酸培地で1日間培養した。IL-1 βお
よび all-trans レチノイン酸で刺激し、0時間後、24
時間後、48 時間後の培養上清を 20μlずつ回収し、ト
ップカウント(Packard 社製)を用い、放射活性を計測
した。その結果、0.01〜10ng/mlのIL-1 βで放射活性の
上昇、すなわちプロテオグリカンの遊離が認められ、0.1
〜10μMの all-trans レチノイン酸で濃度依存的かつ
強い放射活性の上昇、すなわちプロテオグリカンの遊離
が認められた(図6)。
(実施例 11-3)MDTS6 mRNA の発現誘導 実施例 11-1 で示した6穴プレートのウサギ膝関節軟
骨初代培養細胞をアスコルビン培地に交換しさらに3日
間培養した後、10ng/mlの IL-1 βもしくは10μMの al
l-trans レチノイン酸を添加し、2時間後および6時間
後の total RNAを ISOGEN(ニッポンジーン社製)を用
いて添付の指示書に従い調製した。さらに、DNase I 処
理(ニッポンジーン社製)を行い、フェノール/クロロ
ホルム処理後、エタノール沈殿にて回収・精製した tot
al RNA を DEPC 処理した滅菌水に溶解した。ランダム
ヘキサマーをプライマーとして、この total RNA1μg
をThermoscriptTM RT-PCR System(GIBCO-BRL 社製カタ
ログ番号 11146-016)を用い、添付の指示書に従い逆転
写反応、RNase H処理を行ったものを滅菌水で 10倍希釈
し、cDNA サンプルとした。この cDNA サンプル各5μ
lを鋳型、配列番号 18 および配列番号 19 で示される
オリゴ DNA をプライマーとして、94℃2 分の後、94℃3
0 秒、65℃30 秒、72℃30 秒のサイクルを 45 回、続い
て 72℃7 分のPCR 反応を行った。反応産物を 2%アガロ
ースにて電気泳動し、生成した DNA 断片の濃さを比較
した。その結果、MDTS6 mRNA は IL-1 βおよび all-tr
ans レチノイン酸により発現誘導し、その発現強度は実
施例 11-2 におけるプロテオグリカン分解の程度と相関
した(図7)。
(実施例 12)アグリカナーゼ活性を阻害する物質によ
るウサギ膝関節軟骨初代培養細胞のプロテオグリカン分
解抑制 実施例 10-2のスクリーニング系により選択された化
合物A、化合物B、化合物C及び化合物Dを実施例11-1
で示したウサギ膝関節軟骨初代培養細胞のプロテオグ
リカン分解系に10μMのall-transレチノイン酸刺激直
前に添加し、その抑制作用を検討した。その結果、化合
物A及び化合物Bは濃度依存的に抑制作用を示した(図
8)。化合物C及び化合物Dのプロテオグリカン分解抑
制作用(IC50)は、化合物Cは6.3μM、化合物D
は4.1μMとなった。一方、同じヒドロキサム酸骨格
を持つがアグリカナーゼ活性阻害が弱い化合物では100
μMでもプロテオグリカンの分解抑制作用は認められな
かった。
(実施例 13)MDTS6 プロモーター領域 DNA 配列の解析 MDTS6 のプロモーター領域に相当する DNA は Genome
Walker DNA Sca I Libraries(genome walkerTM Kits, C
LONTECH 社カタログ番号 K1803-1)より、PCR法を用いて
増幅した。forward primer としてキット添付のアダプ
タープライマーAP-1(配列番号 20)、AP-2(配列番号 2
1)のオリゴ DNA を、reverse primer として配列番号
22、配列番号 23 のオリゴ DNA を用いた。具体的な方
法はキットの添付説明書通りであるが、PCR には TAKAR
A LA Taq(TAKARA LA TaqTM、カタログ番号 RR002A)を
用いた。1回目の PCR 反応はプライマーとして配列番
号 20と配列番号 22 のオリゴ DNA を用い、98℃5 秒、
72℃3 分のサイクルを7 回、98℃5 秒、67℃3 分のサイ
クルを 32 回、67℃で4 分であった。2 回目の反応は1
回目の反応溶液を TE 緩衝液(10 mM Tris HCl, 1 mM ED
TA, pH 8.0)を用いて 50 倍希釈したもの5μlを鋳
型、配列番号 21 と配列番号 23 のオリゴ DNA をプラ
イマーとして、上記と同じ条件で行った。増幅された約
3.7kbp の DNA 断片を直接dideoxy terminator 法によ
り ABI377 DNA Sequencer (Applied Biosystems Inc)に
て配列解析した結果、解読できない2ヶ所のギャップで
分断された約 2.2kbp,0.36kbp, 0.8kbp の DNA 配列が
明らかになった。
次に、 PCR 増幅 DNA 断片の直接解析で解読できなか
った2カ所のギャップ部の配列を判読するために、この
DNA 断片をサブクローニングして、 DNA の塩基配列の
決定を行った。その結果、該ギャップ部の配列は決定した
8クローン(配列番号 24、25、26、27、28、29、30 及
び 31)で異なり、遺伝子多型の存在が示唆された。な
お、クローニングベクターとしては pZErOTM-2 vector
(Zero Background/ Kan Cloning Kit, Invitorogen 社
製、カタログ番号 K2600-01)を用いて、サブクローニン
グの操作は添付の説明書に従った。
上記 DNA 断片をレポータープラスミド pGV-B2(東洋
インキ社製)のKpnI、XhoI部位に挿入したプラスミドを F
uGene-6 を用い HEK293 細胞に導入し、通常の培養条件
で 28 時間または 48 時間培養後のルシフェラーゼ活性
を、PicaGene 発色キット(東洋インキ社製、カタログ
番号 PGK-L100)を用いて測定した。この際、測定値は
同時導入したβ-gal 発現プラスミド pCH110(アマシャ
ムファルマシアバイオテック社製、カタログ番号 27-45
08-01)より発現したβ-gal の活性値で補正した。β-ga
l 活性の測定は Galaclo-Light Plus キット(TROPIX
社製、カタログ番号 BL300P)を用いた。その結果、も
とのプラスミドである pGV-B2 では認められないルシフ
ェラーゼ活性の明らかな上昇が観察された。このことは
上記 DNA 断片中にプロモーター活性が存在することを
示している。
(実施例 14)変形性関節症患者の関節組織での MDTS6
発現 変形性関節症患者の疾患部の膝関節軟骨より total R
NA を調製し(Adams M. E.,el al., Anal. Biochem., 20
2, 89-95, 1992)、これを鋳型として実施例 11-3に準
じて RT-PCR を行うことにより、MDTS6 mRNA の存在を
確認した。また、マウス抗ヒト MDTS6 特異的ポリクロ
ーナル抗体を用いた免疫組織染色を行い、滑膜組織およ
びマクロファージに MDTS6 蛋白の存在を確認した。
なお、マウス抗ヒト MDTS6 特異的ポリクローナル抗
体は以下の如く調製した。まず、実施例6で調製したヒ
ト MDTS6TSP1 蛋白を KLH とコンジュゲートし、マウス
に 4-5 回免疫した後、抗血清を調製した。続いて、この
抗血清より、Protein G Sepharase 4 Fast Flow(Amash
am Pharmacia Biotech 社製)を用い、添付指示書に従
い、IgG を調製した。さらに、添付指示書に従い、ヒト
MDTS6TSP1 蛋白を CNBr-activated Sepharose 4 Fast F
low(Amasham Pharmacia Biotech 社製)に固定したカ
ラムを作製した。このカラムに結合し、対応するヒトAD
AMTS4TSP1 蛋白(aggrecanase-1; Tortorella M.D. et
al., Science., 284,1664-1666, 1999)、METH-1TSP1
蛋白(Vazquez F. et al., J. Biol. Chem., 274,23349
-57, 1999)、METH-2TSP1 蛋白(Vazquez F. et al., J.
Biol. Chem., 274,23349-57, 1999)を固定したカラム
に結合しない分画を調製した。
産業上の利用可能性 本発明で得られた「関節疾患アグリカナーゼ」は、ア
グリカナーゼ活性を有することにより、該アグリカナー
ゼを有意に阻害する物質(化合物、ペプチド、抗体又は
抗体断片)のスクリーニングに用いられることを特徴と
している。ここで、該「関節疾患アグリカナーゼ」を有
意に阻害する物質の医薬用途としては該アグリカナーゼ
活性の亢進、低下、変性等の異常に起因するあるいは該
異常を発現・併発する疾患の内、特にプロテオグリカン
分解亢進を示す疾患である関節疾患、なかでも変形性関
節症の予防・治療に有効であることが示唆される。
さらに、本発明の「関節疾患アグリカナーゼ」のプロ
モーター遺伝子は、該遺伝子のプロモーター活性を阻害
する物質(化合物、ペプチド、抗体又は抗体断片)をス
クリーニングに用いられることを特徴としてする。該プ
ロモーター活性を阻害する物質の用途としては、プロモ
ーター活性の阻害に起因する疾患の内、特にプロテオグ
リカン分解亢進を示す疾患である関節疾患、なかでも変
形性関節症の予防・治療に有効であることが示唆され
る。また、該プロモーター遺伝子には複数の変異体が存
在することにより、上記疾患との相関解析に用いられ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12N 1/19 C12N 1/21 1/21 C12Q 1/34 5/10 A61K 37/54 15/09 ZNA C12N 5/00 A C12Q 1/34 15/00 ZNAA (72)発明者 阿部 邦威 茨城県つくば市御幸が丘21 山之内製薬 株式会社内 (72)発明者 小原 収 千葉県木更津市請西二丁目20番25号 (72)発明者 長瀬 隆弘 千葉県木更津市清見台南二丁目6番5号 (72)発明者 野村 信夫 千葉県木更津市八幡台五丁目2番11号 (56)参考文献 FEBS Letters,1999,V ol.445,pages 223−225 Biochem.Biophys.R es.Commun.,July 1999,Vol.260,pages 318− 322 J.Biol.Chem.,Augu st 1999,Vol.274,pages 23443−23450 Science,June 1999,V ol.284,pages 1664−1666 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12N 9/48 WPI(DIALOG) BIOSIS(DIALOG)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1で表されるアミノ酸配列の第2
    13番から第583番のアミノ酸配列を含むアグリカナーゼ
    活性を有する、或いは、配列番号1で表されるアミノ酸
    配列の第213番から第583番のアミノ酸配列の中のいずれ
    かの1乃至10個の部位において、アミノ酸残基が置
    換、欠失、及び/または挿入されていて、かつ、アグリ
    カナーゼ活性を有する金属プロテアーゼ。
  2. 【請求項2】 配列番号1で表されるアミノ酸配列の第1
    番から第583番のアミノ酸配列を含むアグリカナーゼ活
    性を有する、或いは、第1番から第583番のアミノ酸配列
    の中のいずれかの1乃至10個の部位において、アミノ
    酸残基が置換、欠失、及び/または挿入されていて、か
    つ、アグリカナーゼ活性を有する金属プロテアーゼ。
  3. 【請求項3】 配列番号1で表されるアミノ酸配列、配
    列番号1で表されるアミノ酸配列の第1番から第687番の
    アミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列の第1
    番から第583番のアミノ酸配列、配列番号1で表されるア
    ミノ酸配列の第213番から第950番のアミノ酸配列、配列
    番号1で表されるアミノ酸配列の第213番から第687番の
    アミノ酸配列、若しくは、配列番号1で表されるアミノ
    酸配列の第213番から第583番のアミノ酸配列を有するア
    グリカナーゼ活性を有する、或いは、それぞれの配列の
    中のいずれかの1乃至10個の部位において、アミノ酸
    残基が置換、欠失、及び/または挿入されていて、か
    つ、アグリカナーゼ活性を有する金属プロテアーゼ。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3の何れかに記載のアグリ
    カナーゼ活性を有する金属プロテアーゼのアミノ酸配列
    をコードする遺伝子。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の遺伝子を含むベクタ
    ー。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のベクターを含む宿主細
    胞。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の宿主細胞を用いること
    を特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載のアグリ
    カナーゼ活性を有する金属プロテアーゼの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至3の何れかに記載のアグリ
    カナーゼ活性を有する金属プロテアーゼに対する抗体。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至3の何れかに記載のアグリ
    カナーゼ活性を有する金属プロテアーゼと被験化合物と
    を接触させることを特徴とする、当該金属プロテアーゼ
    のアグリカナーゼ活性を阻害する物質をスクリーニング
    する方法。
  10. 【請求項10】 配列番号24、25、26、27、28、29、30
    若しくは31で表される遺伝子、或いは、配列番号24、2
    5、26、27、28、29、30若しくは31記載の塩基配列の中
    のいずれかの1乃至10個の部位において、塩基が置
    換、欠失、及び/又は挿入されていて、かつ、関節疾患
    アグリカナーゼプロモーター活性を有する遺伝子。
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