JP3355921B2 - スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

スチレン系樹脂組成物

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JP3355921B2
JP3355921B2 JP10480496A JP10480496A JP3355921B2 JP 3355921 B2 JP3355921 B2 JP 3355921B2 JP 10480496 A JP10480496 A JP 10480496A JP 10480496 A JP10480496 A JP 10480496A JP 3355921 B2 JP3355921 B2 JP 3355921B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインジェクションブ
ロー成形に適したゴム変性スチレン系樹脂組成物に関す
る。更に詳しくは、インジェクションブロー成形により
強度に優れた中空容器を効率良く生産するのに適したゴ
ム変性スチレン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴム変性スチレン系樹脂はその優れた成
形性と実用強度から、射出成形、押出成形、発泡成形の
他、ブロー成形用の材料としても工業的に広く使用され
ている。一方、中空容器はブロー成形で成形される主要
な成形体の一つであるが、中でもインジェクションブロ
ー成形は、深い容器が成形しやすく、また口部だけを肉
厚にすることができるため、口部をヒートシールする深
い容器の製造に広く用いられている。
【0003】そして、この分野では近年大型の容器に適
した成形材料や、薄肉軽量化しても一定の強度を保つ優
れた成形材料の開発が求められている。しかし、容器は
薄肉化することにより、口部強度が低下し成形工場から
容器貯蔵タンクへ空送する際などに割れが発生し易く、
生産性低下という問題が生じる。この割れに対する強度
を改良するにはゴム含有量を上げることが有効である
が、ゴム含有量を上げると流動性が低下してインジェク
ションの段階の生産性が低下し、また容器の透明性が低
下して満足できるものが得られない。
【0004】そこで、流動性の低下を防ごうとして樹脂
部分の分子量を低くするとパリソンをインジェクション
の金型から温かい内にブローの金型に反転させるときに
糸曳きを発生してうまく成形できないという問題点を生
ずる。また、容器改良の技術が特開昭62−13295
1号公報に開示されているが、内容積が小さいものに
は、有効であるが容積の大型化、薄肉化には不十分であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況にある
ため結局、成形性、容器強度、透明性が全て充分高いイ
ンジェクションブロー成形用ゴム変性スチレン系樹脂組
成物は存在しなかった。本発明は、これらの要求を全て
満足するインジェクションブロー成形用材料を提供しよ
うとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記問題
を解決するため鋭意検討を加えた結果、特定の分子量分
布の連続相中に特定の粒子サイズを有する分散粒子とミ
ネラルオイルと高級脂肪酸と高級脂肪酸金属塩とを特定
量含有する樹脂組成物がこれらの要求を全て満たすこと
を見出し、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、
スチレン系重合体を内包したゴム状重合体を分散粒子と
して含む、ゴム変性スチレン系樹脂組成物であって、
(a)分散粒子含有量が12〜22wt%の範囲であ
り、(b)分散粒子の平均粒子径が、1.8〜4.5μ
mの範囲であり、(c)連続相をなすスチレン系重合体
の重量平均分子量が14万〜22万の範囲であり、
(d)ミネラルオイルを1.0〜4.0wt%の範囲で
含有し、(e)高級脂肪酸及び高級脂肪酸の金属塩を
0.10〜0.5wt%の範囲で含有することを特徴と
するゴム変性スチレン系樹脂組成物である。
【0007】また、上記特徴を有するゴム変性スチレン
系樹脂組成物であって、成分であるゴム状重合体が全二
重結合の5〜45%が水添されたブタジエン系ゴム状重
合体であるゴム変性スチレン系樹脂組成物である。
【0008】また、上記特徴を有するゴム変性スチレン
系樹脂組成物であって、(a)分散粒子含有量が15〜
20wt%の範囲であり、(b)分散粒子の平均粒子径
が、2.0〜4.0μmの範囲であり、(c)連続相を
なすスチレン系重合体の重量平均分子量が15万〜20
万の範囲であり、(d)ミネラルオイルを1.5〜3.
0wt%の範囲で含有し、(e)高級脂肪酸1に対する
高級脂肪酸の金属塩の重量比率が1/3〜3.5である
ことを特徴とするインジェクションブロー成形に好適な
ゴム変性スチレン系樹脂組成物である。
【0009】以下本発明を詳細に説明する。本発明の樹
脂組成物は、スチレン系重合体を内包したゴム状重合体
を分散粒子として含有するゴム変性スチレン系樹脂組成
物であり、基本的にはゴム状重合体の存在下にスチレン
系単量体を重合し、必要な添加剤を加えることにより得
られるものである。
【0010】本発明の樹脂組成物は、連続相をなすスチ
レン系重合体、分散相をなすゴム状重合体、及び添加剤
等の低分子化合物群より成る。この3者は、以下の操作
で分離することができる。樹脂組成物の1グラムを20
ミリリットルのメチルエチルケトンに溶解し、5℃で3
0000〜40000Gの加速度の条件で1時間遠心分
離する。分離が終わったら直ちにデカンテーションによ
り、沈殿と上澄みを分離する。
【0011】沈殿物を80℃、1〜5mmHgの条件下
1時間に亘って乾燥したものが分散相である。上澄みは
室温(23℃)に戻した後、室温の200ミリリットル
のメタノールに攪拌しながら少量づつ投入する。重合体
が析出するのでこれをG3メッシュのガラスろ過器で吸
引ろ過する。濾取されたものを80℃、1〜5mmHg
の条件下1時間に亘って乾燥したものが連続相をなす重
合体であり、濾液に0.1規定の塩酸を0.2ミリリッ
トル加え、ロータリーエバポレータなどを用いて濃縮し
た後、80℃、1〜5mmHgの条件下1時間に亘って
乾燥した残さがメタノール可溶分である。
【0012】メタノール可溶分にはミネラルオイル、高
級脂肪酸の他スチレンオリゴマー類が含まれるが、これ
らは液体クロマトグラフィーで分離、定量が可能であ
る。また、以上の操作とは独立に、樹脂の5%トルエン
溶液から1規定の塩酸で抽出される金属分量を原子吸光
法で測定する。
【0013】本発明で言うゴム状重合体分散粒子とは、
室温(23℃)でゴム弾性を有する重合体よりなる分散
粒子のことであり、上述の分散相がこれにあたる。この
分散相の粘弾性を測定することによりゴム状重合体であ
ることが確かめられる。このような分散粒子を製造しう
る原料ゴムとしては、種々のゴムが挙げられるが、スチ
レン系単量体に溶解しうること、及びグラフト反応のた
めに不飽和結合を有することが好ましい。
【0014】このようなゴムとしては、共役ジエンゴ
ム、例えばポリブタジエン(ローシスポリブタジエン、
ハイシスポリブタジエン)スチレン−ブタジエン共重合
体(SBR、ランダム及びブロックSBR)ポリイソプ
レン、ブタジエン−イソプレン共重合体などが挙げられ
るが、特にブタジエン重合体、スチレン−ブタジエン共
重合体が好ましい。
【0015】更に、これら共役ジエンゴムの不飽和結合
の一部に水素を付加して得られる部分水添共役ジエンゴ
ムは最終的に得られる中空容器の強度が高く、特に好ま
しいものである。上述の共役ジエンゴムの水素添加の方
法は、例えば特開昭52−41890号公報、特開昭5
9−133203号公報、特開昭60−220147号
公報に開示されている。
【0016】その水素添加率は共役ジエン系ゴムの全二
重結合に対して5〜45%好ましくは10〜40%であ
る。水添率5%未満の共役ジエンゴムを用いても射出中
空容器の口部圧縮強度、圧縮たわみ等の向上は僅かであ
り、工程が多くなるだけで有意の効果は認められない。
一方水素添加率45%以上のものを使用すると、却って
容器の口部圧縮強度、圧縮たわみ、透明性が悪くなり好
ましくない。部分水素添加共役ジエンゴムと類似の特性
を備えたゴムは、共役ジエンと1価のオレフィンとの共
重合でも得ることができる。
【0017】これらの原料ゴムから作られた分散粒子
は、前述の方法で樹脂組成物から分離した分散相中の軟
質成分量と、不飽和結合量の比を共役ジエンより製造し
た分散粒子と比較することで確認することができる。ま
た、組成既知のゴムと熱分解ガスクロマトグラムを比較
することによっても知ることができる。
【0018】本発明においては、このようにして分別、
同定、定量された各成分が前記(a)〜(e)の条件を
具備することが必要である。樹脂組成物中の分散粒子の
量は、10から25重量%の範囲であることが必要であ
る。好ましくは15〜20重量%である。分散粒子含有
量が10重量%未満の場合、射出中空容器の口部圧縮強
度、圧縮たわみ等は十分でなく、また25重量%越える
と容器の透明性が劣り好ましくない。
【0019】樹脂組成物中の分散粒子平均径は1.8〜
4.5μmであることが必要である。好ましくは2.0
〜4.0μmの範囲である。分散粒子径が1.8μm以
下では射出中空容器の口部圧縮強度、圧縮たわみ等は十
分でなく、分散粒子径4.5μm以上では容器の外観が
低下してしまう。
【0020】なお、ゴム粒子平均径は樹脂組成物をチオ
シアン酸アンモニウム(1vol%)のジメチルホルム
アミド溶液に溶解させ、得られた試料について粒径分布
測定装置(日科機社製コールタカウンターマルチサイ
ザ)により求めた体積メジアン径とする。
【0021】本発明でいう重量平均分子量及び数平均分
子量は、標準ポリスチレンで較正されたサイズ排除クロ
マトグラフィーによってポリスチレン換算値として得ら
れるものを指す。検出器としてはRI検出器を用い、溶
媒はTHFを使用する。
【0022】樹脂組成物中のスチレン系重合体の重量平
均分子量は、14万〜22万の範囲であることが必要で
あリ、好ましくは15万〜20万の範囲である。重量平
均分子量が14万以下だと、インジェクションブロー成
形に用いる場合に射出金型とパリソンの間に糸曳きとい
う不良現象が生じ易く、連続成形が困難となる。また、
重量平均分子量が22万以上は流動性が悪く充填不足と
なり成形温度及びコアー温度を上げることにより成形可
能となるが、離型バランスがくずれ偏肉し易く良品が得
られない。また成形サイクルを長くすることによっても
成形可能となるが、生産性が低下して好ましくない。な
お、分子量分布の好適な範囲はMw/Mnで2.0〜
3.5である。
【0023】本発明で用いられるスチレン系重合体の単
量体としてはスチレンの他に,P−メチルスチレン,P
−tert−ブチルスチレン、m−メチルスチレン、α
−メチルスチレン等のビニル芳香属系単量体、アクリル
酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸類及びこれらの
エステル類などが挙げられ、これらのコモノマーを10
重量%以下の範囲で共重合することができる。
【0024】さらに本発明の樹脂組成物にはミネラルオ
イルを1.0〜4.0重量%含んでいることが必要であ
る。好ましくは1.5〜3.0重量%の範囲である。ミ
ネラルオイルの含有量が4.0重量%を越えると耐熱温
度が下がり、得られる中空容器が変形し易くなり、ま
た、射出中空成形時に、糸曳きが発生し易くなる。ま
た、ミネラルオイルの含有量が1.0重量%より少ない
と、得られる容器の口部圧縮強度、圧縮たわみが低下
し、割れ易くなり好ましくない。
【0025】ミネラルオイルとしては種ゝのものが挙げ
られるが数平均分子量375〜425の範囲にあること
が好ましい。このようなミネラルオイルはASTMD1
160(10mmHg)で測定する2.5重量%初留温
度が230℃〜290℃の範囲にあるものである。ミネ
ラルオイルの含有量は前述の通り、メタノール可溶分を
液体クロマトグラフイーで分析することで求められる。
【0026】さらに本発明の樹脂組成物には滑剤として
高級脂肪酸と高級脂肪酸金属塩の両者を添加することが
必要である。インジェクションブロー成形では、射出さ
れたパリソンを温かい内に反転させる工程での高温離型
性と、ブローした後の成形品の低温での離型の両方が高
い生産性を達成するために求められる。高級脂肪酸1に
対して1/3〜3.5倍量の高級脂肪酸金属塩とを樹脂に
対し0.1〜0.4重量%の添加が適している。
【0027】滑剤が0.1重量%以下だと離型性が悪く
生産性の低下を招き好ましくない。また滑剤を0.4重
量%越えて含有すると離型性はそれ以上には改善され
ず、むしろ高級脂肪酸の分解劣化による樹脂の変色や成
型品の焼けコゲ等の問題を生起する可能性がある。高級
脂肪酸とは炭素数12〜22の飽和直鎖カルボン酸であ
り、例えばステアリン酸、ラウリル酸、ベヘニ酸等が挙
げられる。これらは単独でも二種以上の混合物でも用い
ることが出来る。
【0028】高級脂肪酸の金属塩とは、上記高級脂肪酸
の金属塩であり金属の種類によって限定されるものでは
無いがアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛
の金属塩が好適である。例えばステアリン酸マグネシウ
ム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等が代
表である。
【0029】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物は
ゴム状重合体の存在下に芳香族モノビニル重合体を塊状
重合法や塊状懸濁重合法等によって重合して製造するこ
とが出来る。ここで重合条件は特に制限するものではな
いが、必用に応じてエチルベンゼン、トルエン等の溶剤
を使用し、ベンザイルパーオキサイド、パーオキシエス
テル、tert−ブチル−ハイドロパーオキサイド等の
有機過酸化物を重合開始剤として通常50〜180℃で
加熱下に重合することが好ましい。有機過酸化物の量
は、通常単量体に対して100〜1000ppmの範囲
が適当である。
【0030】また、この重合の際には分子量を調整する
上でメルカプタン類,α−メチルスチレン二量体などの
分子量調整剤(連鎖移動剤)を単量体に対して50〜2
000ppmの範囲で用いることが有効である。スチレ
ンの重合率は約60〜90重量%程度に達するまで重合
操作が行われる。
【0031】上記重合工程で、本発明の要件の(a)か
ら(c)までを満たす重合体を得るのであるが、要件
(a)の分散粒子の含有量は、用いるゴム状重合体の量
で調節することができる。通常分散粒子の含有量はゴム
状重合体含有量の1.6倍〜5倍程度の範囲となる。要
件(b)の分散粒子の平均粒子径は用いるゴム状重合体
の溶液粘度で制御可能であることは、例えば工業調査会
刊行の「新ポリマー製造プロセス」の193頁に記載さ
れている。
【0032】また、同じゴム状重合体を使用しても粒子
を形成する重合機での攪拌を激しくすることができ、ま
た前記有機過酸化物を使用することでも小さくすること
ができる。また要件(c)の連続相をなすスチレン系重
合体の重量平均分子量は重合温度でほぼ決まるが、溶剤
或いは前記連鎖移動剤への連鎖移動によって調整でき
る。溶剤ならびに連鎖移動剤への連鎖移動定数が各種便
覧に記載されており、これから目的の分子量に調節する
ための適切な使用量を見積もることができる。
【0033】かくして得られた重合液から未反応のビニ
ル芳香族単量体、溶剤等を加熱減圧除去装置で除去しゴ
ム変性スチレン系樹脂組成物を得る。更に、重合の際或
いは重合後押出機等を用いることによって滑剤、ミネラ
ルイル等の添加剤を必要量添加する。
【0034】
【発明の実施の形態】以下に、実施例及び比較例により
本発明の実施の形態を具体的に説明する。まず、分析、
評価の方法を以下に示す。分散粒子の遠心分離はメチル
エチルケトンとメタノールの9:1の混合液を溶媒とし
て、R20A2型ローターを備えた日立製作所製him
acCR20型機で、0℃、18000回転/分で60
分間に亘って行った。この条件は38900Gの重力加
速度に相当する。分子量および分子量分布の測定は東ソ
ー(株)製GPC装置(HLC−8010)を用い、T
HFを溶媒として行った。
【0035】実施例および比較例の樹脂組成物は射出中
空成形装置(住友重機製,SG125−NP)を用いて
成形温度240℃、コアー温度140℃、1サイクル
6.0sec、の条件で容量125cc、重さ5.88
gr(口径38mm、高さ90mm)の中空容器に成形
し、下記の方法で容器の物性を評価した。
【0036】成形性の評価は以下のように行なった。中
空容器を製作するのに際し、有底円筒状のもの(一般に
パリソン)を成形し、この成形品が熱くて柔らかいうち
に、コアー(射出成形の雄金型)に付けたまま中空成形
用金型に反転させコアーから圧気を送り込み中空成型品
を得るが、この際ゲートからの樹脂切れが悪いとパリソ
ンが反転するときに糸曳き現象を起こし、ひどい場合に
は底部に穴が空きブロー不能となる。それほどひどくな
い場合でも、糸状の樹脂が容器に付着し良品が得られな
い。
【0037】また、樹脂の高温での離型性が悪いと、う
まく反転しない場合があり、連続成形不可となる。1サ
イクル6秒で良品が成形できた場合でも中空金型からの
中空成型品の常温での離型のしやすさにより、成形性の
評価が別れる。離型性は中空成型品を加圧空気で突きだ
した時の落下状態で評価でき、離型が悪いと成形品の落
下がスムースではなくバラバラに落ちたり遠くへ飛んだ
りする。
【0038】以上の成形の状態を観察し、連続成形が不
可の場合を××、連続成形可能だが糸の付着等成形品の
不良が多い場合を×、良品が連続成形できるものの成形
品の落下がスムースでない場合を○、良品が連続成形で
き、成形品の落下もスムースな場合を◎とした。
【0039】容器口部圧縮強度、圧縮たわみの評価は以
下のように行なった。圧縮試験機の圧縮冶具を錐にして
口部ウェルドラインに錐が直角になるように設置し20
0mm/minの速度で圧縮し容器が降伏した時の荷重
を口部圧縮強度とし、kgf・cm2 で表わした。ま
た、容器が降伏するまでの変形量を口部圧縮たわみと
し、mmで表わした。(容器10ケの平均値)
【0040】容器の透明性の評価は以下のように行なっ
た。射出中空容器の側面を30mm×30mmの大きさ
に切り出して、光線透過率を測定し、75%未満を×、
75%〜77.5%を△、77.5%〜80%を○、8
0%以上を◎とした。
【0041】原材料として以下のものを使用した。 α−メチルスチレンダイマー:日本油脂(株)製ノフマ
ーMSD 1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5トリ
メチルシクロヘキサン:日本油脂(株)製パーヘキサ3
M ミネラルオイル:松村石油研究所製スモイルPS260 PBI:旭化成製ポリブタジエンゴム「ジエン55A
G」 PB3:旭化成製ポリブタジエンゴム「ジエン35A」
【0042】PB2は上記PB3を原料として次の方法
で作製した。内容積10リットルの攪拌機、ジャケット
つきの反応機内にPB3の20重量%n−ヘキサン溶液
を8リットル作製し、60℃に保った。これに水素添加
触媒としてジ−P−トリル−ビス(1−シクロペンタジ
エニル)チタニウム/シクロヘキサン溶液(濃度1.2
ミリモル/リットル)250mlとn−ブチルリチウム
溶液(濃度6ミリモル/リットル)50mlとを0℃、
2.0kg/cm2 の水素圧下で混合したものを添加
し、水素分圧2.5kg/cm2 にて、30分間反応さ
せた。得られた部分的に水素添加されたゴム溶液から溶
剤のn−ヘキサンを除去してゴム状重合体PB2とし
た。
【0043】
【実施例】
実施例1 ゴムとして、5%トルエン溶液粘度が170センチポイ
ズのミドルシスポリブタジエンゴム(上記のPB1)を
使用し、以下の組成の重合原液を作製した。 ゴム状重合体 (PB1) 2.88 スチレン 84.775 エチルベンゼン 9.50 ミネラルオイル 2.8 αーメチルスチレンダイマー 0.03 1,1ビス(tーブチルパーオキシ)3,3,5トリメ
チルシクロヘキサン0.015重量%
【0044】攪拌機及びジャケットを備えた容量6.2
リットルの塔式反応機(第一反応機)へ3.5リットル
/Hrにて連続的に送液した。第一反応機の攪拌数60
rpmとし、出口の固形分濃度25、2%となるように
機内温度制御した。次いで同様な構造と容量を持つ第二
反応機、第三反応機へ順次送液し各々の反応機出口の固
形分濃度56.0±2.0%,80.0±2.0%の範
囲になるよう機内温度を調整した。
【0045】次いで240℃、真空下の脱揮発分装置へ
連続的に送り込み、未反応スチレンやエチルベンゼン等
を除去した後ペレット化してゴム変性スチレン樹脂組成
物を得た。上途組成物に対し滑剤としてステアリン酸/
ステアリン酸カルシウムの1:3の混合物(R1)を
0.23重量部押出機で混練して、樹脂組成物を調製し
た。その物性を表1に示す。また、上記樹脂組成物を用
いて射出中空容器を成形し、その容器特性、成形性、結
果を表1に示す。
【0046】実施例2 第一反応機の回転数を110rpmとした以外は実施例
1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0047】実施例3 第一反応機の回転数を40rpmとした以外は実施例1
と同様に行った。結果を表1に示す。
【0048】実施例4 実施例1と同様の原材料を用い、PB1を2.2重量%
とし、スチレンを85.465重量%とし、α−メチル
スチレンダイマーを0.02重量%に変更した重合原液
を作製した。第1重合機の攪拌数を50rpmとした以
外は実施例1と同様に重合以降の工程を行った。結果を
表1に示す。
【0049】実施例5 実施例1と同様の原材料を用い、PB1を3.0重量%
とし、スチレンを84.645重量%とし、α−メチル
スチレンダイマーを0.04重量%に変更した重合原液
を作製した。第1重合機の攪拌数を110rpmとした
以外は実施例1と同様に重合以降の工程を行った。結果
を表1に示す。
【0050】実施例6 実施例1と同様の原材料を用い、重合原液中のミネラル
オイルの量を1.3重量%とし、スチレンを86.27
5重量%に変更した以外は実施例1と同様に行った。結
果を表1に示す。
【0051】実施例7 実施例1と同様の原材料を用い、重合原液中のミネラル
オイルの量を4.3重量%とし、スチレンを83.27
5重量%に変更した以外は実施例1と同様に行った。結
果を表1に示す。
【0052】実施例8 ゴム状物質として全二重結合のうち15%が水素添加さ
れた溶液粘度90のミドルシスブタジエンゴム(前記の
PB2)を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果
を表1に示す。たわみが著しく改良される。
【0053】比較例1 実施例1と同様の原材料を用い、重合原液中のゴム状重
合体(PB1)の量を2.0%にして、スチレンの量を
85.655%にした以外は実施例1と同様に行った。
結果を表1に示す。分散粒子量が不足しており、成形
性、強度、たわみが劣る。
【0054】比較例2 実施例1と同様の原材料を用い、重合原液中のゴム状重
合体(PB1)の量を3.88%にして、スチレンの量
を84.655%にした以外は実施例1と同様に行っ
た。結果を表1に示す。分散粒子量が多すぎ、成形性、
透明性が劣る。
【0055】比較例3 実施例1と同様の原材料を用い、重合原液中の1,1ビ
ス(tーブチルパーオキシ)3,3,5トリメチルシク
ロヘキサンの量を0.01重量%とし、第一反応機回転
数を30rpmとした以外は実施例1と同様に行った。
結果表1に示す。粒子径が大きく、容器の透明性に劣
る。
【0056】比較例4 実施例1の重合原液中のゴム状重合体を溶液粘度100
センチポイズのミドルシスポリブタジエンゴム(前記の
PB3)に変えた以外は実施例1と同様に行った。結果
を表1に示す。粒子径が小さく、強度、たわみが劣る。
【0057】比較例5 実施例1と同様の原材料を用い、重合原液中のエチルベ
ンゼンを8.0%とし、スチレンを86.295重量%
とし、αーメチルスチレンダイマーを0.01重量%に
変更して重合原液を作製した。第1重合機の攪拌数を4
0rpmとした以外は実施例1と同様に行った。結果表
1に示す。分子量が大きすぎ、所定の成形サイクルでは
連続成形できない。
【0058】比較例6 実施例1と同様の原材料を用い、エチルベンゼン13.
5重量%とし,スチレン80.685重量%とし、αー
メチルスチレンダイマー0.12重量%とした以外は実
施例1と同様に行った。結果表1に示す。分子量が低
く、成形性、強度、たわみに劣る。
【0059】比較例7 実施例1と同様の原材料を用い、ミネラルオイルを0.
8重量%にし、スチレンを86.675重量%た以外は
実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。流動性が
低く成形性に劣り、強度、たわみも低い。
【0060】比較例8 実施例1と同様の原材料を用い、ミネラルオイルを4.
5重量%にし、スチレンを86.975重量%にした以
外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。糸曳
きが激しく、連続成形不能である。
【0061】比較例9 実施例1に於いて、滑剤をステアリン酸カルシウムのみ
(R2)の0.25重量%とした以外は実施例1と同様
に行った。結果を表1に示す。離型性に劣り、所定の成
形サイクルでの連続成形はできなかった。
【0062】比較例10 実施例1に於いて、滑剤の量を0.05重量%に変更し
た以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
離型性に劣り、所定の成形サイクルでの連続成形はでき
なかった。
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】本発明により得られるゴム変性スチレン
系樹脂組成物は射出中空容器の高速連続成形性に優れ、
且つ得られる成形品の口部圧縮強度及び圧縮たわみ透明
性に優れるため、中空容器の軽量化に適し、実用的価値
の高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−132951(JP,A) 特開 昭54−127454(JP,A) 特開 昭50−22041(JP,A) 特開 昭55−165939(JP,A) 特開 平1−275649(JP,A) 特開 平1−213349(JP,A) 特表 平8−504450(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 51/04 C08K 5/098 C08L 91/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系重合体を内包したゴム状重合
    体を分散粒子として含む、ゴム変性スチレン系樹脂組成
    物であって、(a)分散粒子含有量が12〜22wt%
    の範囲であり、(b)分散粒子の平均粒子径が、1.8
    〜4.5μmの範囲であり、(c)連続相をなすスチレ
    ン系重合体の重量平均分子量が14万〜22万の範囲で
    あり、(d)ミネラルオイルを1.0〜4.0wt%の
    範囲で含有し、(e)高級脂肪酸及び高級脂肪酸の金属
    塩を0.10〜0.4wt%含むことを特徴とするゴム
    変性スチレン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ゴム状重合体が全二重結合の5〜45%
    が水添されたブタジエン系ゴム状重合体である請求項第
    1項記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(a)分散粒子含有量が15〜20wt%
    の範囲であり、(b)分散粒子の平均粒子径が、2.0
    〜4.0μmの範囲であり、(c)連続相をなすスチレ
    ン系重合体の重量平均分子量が15万〜20万の範囲で
    あり、(d)ミネラルオイルを1.5〜3.0wt%の
    範囲で含有し、(e)高級脂肪酸1に対する高級脂肪酸
    の金属塩の重量比率が1/3〜3.5であることを特徴
    とする請求項第1項または請求項第2項記載のインジェ
    クションブロー成形用ゴム変性スチレン系樹脂組成物。
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