JP3351699B2 - セグメント供給装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、シールド工法にお
いて、セグメントをエレクターに供給する装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】シールド工法は、外形円筒状のシールド
機本体の前部に設けられたカッタ装置で地山を掘削しつ
つ、シールド機本体内で円筒分割形状を有するセグメン
トをエレクターにて掘削孔の周方向に組み立て、更にこ
のセグメントの前端の反力をとってシールド機内部の推
進ジャッキを伸張させることでシールド機全体を前方に
推進させ、これらの工程を繰り返すことで地中にトンネ
ルを構築する工法である。従来、シールド工法による工
事において、セグメントをエレクターに供給する場合、
通常、ホイストクレーン等を用いて台車からセグメント
を吊り、直接、又は一時セグメント上に仮置してから搬
入していた。

【０００３】しかし、最近ではシールド工法技術が発達
して施工の高速化が図られた結果、セグメント組立作業
におけるセグメント供給作業の影響が大きくなってき
た。即ち、セグメント組立作業がセグメント供給作業に
制限される場合が見られるようになった。そこで、セグ
メントのエレクターへの供給効率の向上を図るための方
法がいくつか考え出されている。具体的には、２台のホ
イストクレーンを用い、一台のホイストクレーンで台車
から一時仮置き場へ仮置きさせ、もう一台のホイストク
レーンで仮置き場に仮置きされたセグメントを吊り上げ
てエレクターに供給する方法（ダブルホイストクレーン
法）や、後方台車に自動型のフィーダを上部或いは下部
に設け、セグメントを自動的にエレクターに供給する方
法（セグメントフィーダ法）等が知られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記説
明したダブルホイストクレーン法を用いたセグメント供
給の場合では、確かに、ホイストクレーンが一台の場合
に比べ、単位時間当たりのセグメントのエレクターへの
供給量は増加するものの、結局、少なくとも２回はホイ
ストクレーンで吊り上げてセグメントを移動させなくて
はならないので、本質的には一台のホイストクレーンを
用いてセグメントを供給する場合と変わりなく、セグメ
ントの供給の効率化にはなっていなかった。

【０００５】また、セグメントフィーダ法を用いたセグ
メント供給の場合では、後方台車に設けられたフィーダ
に載せられたセグメントが自動的にエレクターに供給さ
れるので、従来法に比べ、セグメントの供給はかなり効
率化されているが、セグメントフィーダが台車に組み込
まれているため、その構造上、装置自体が大規模にな
り、また、それ故に機械化、及び自動化する必要があ
り、セグメントフィーダ装置が非常に高価なものになっ
てしまうという問題があった。

【０００６】そこで、本発明は、上記事情を鑑みて為さ
れたものであって、シールド工法におけるセグメントの
エレクターへの供給を比較的簡易、且つ、安価な設備で
効率的に行うことが可能なセグメント供給装置を提供す
ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
シールド機を用いたシールド工法におけるセグメントの
供給装置であって、前記セグメントを複数載置すること
が可能な載置部と、上昇することによって、前記載置部
からセグメントを受け取って載置することが可能な受け
取り部と、前記受け取り部を昇降させることが可能な昇
降手段と、前記受け取り部を前後方向に移動させること
が可能な移動手段と、を備え、前記昇降手段は、前記受
け取り部を摺動自在に支持するスベリ台と、前記載置部
に固定され前記スベリ台が斜面に沿って摺動可能なスベ
リ台支持台と、前記載置部とスベリ台とを連結するジャ
ッキと、からなることを特徴としている

【０００８】昇降手段は、受け取り部を昇降させること
が出来れば、どのようなものであってもよく、例えば、
油圧ジャッキによって構成し、この油圧ジャッキを伸縮
させることによって、受け取り部を昇降させるようにす
ればよい。移動手段は、受け取り部を前後方向に移動さ
せることが出来れば、どのようなものであってもよく、
例えば、油圧ジャッキによって構成し、この油圧ジャッ
キを伸縮させることによって、受け取り部を前後方向に
移動させるようにすればよい。

【０００９】請求項１記載の発明によれば、載置部に載
置された複数のセグメントは、昇降手段により、載置部
から受け取り部に受け取られて載せられ、移動手段によ
り、受け取り部が前後方向に移動させられる。従って、
台車等から載置部に置かれたセグメントを、昇降手段と
移動手段により自動的に前方向に搬送することが出来る
ことにととなって、従来のダブルホイスト法を用いた場
合のように、台車から仮置きしたセグメントを再び所定
の場所に移動させる必要がなく、効率的なセグメント供
給作業を行うことが出来る。しかも、従来の後方台車に
組み込まれたセグメントフィーダ（後方台車型セグメン
ト供給装置）のように、設備が大規模になることなく、
簡易、且つ、安価な装置で、後方台車型セグメント供給
装置と同等の性能を得ることが出来ることとなって、装
置のコストダウンを図ることが可能となる。

【００１０】また、従来の後方台車型セグメント供給装
置のように、設備が大規模になることがなく、コンパク
トな装置となるので、比較的径の小さなトンネルでも使
用することが出来る。

【００１１】請求項２記載の発明は、請求項１記載のセ
グメント供給装置において、前記受け取り部の先端部に
チェーンやワイヤなどの紐状物を掛けることが可能な鉤
部を備えていることを特徴としている。

【００１２】ここで、鉤部は、チェーン等を掛けておく
ことが出来れば良く、例えば、フックのようなものでも
よい。

【００１３】請求項２記載の発明によれば、受け取り部
の先端部に鉤部が備えられているので、例えば、シール
ド機と鉤部を紐状物で連結することにより、シールド機
の移動と連動させてセグメント供給装置をけん引させた
り、或いは鉤部を固定した状態で移動手段を利用してセ
グメント供給装置を移動させることが出来る。従って、
セグメント供給装置の移動に対し、特別の動力装置を設
ける必要がないので、更にコストダウンを図ることが出
来る。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、図１〜図４を参照して本発
明に係るセグメント供給装置の実施の形態を詳細に説明
する。図１は、本発明に係るセグメント供給装置の一例
を示した斜視図であり、図２は、同じく正面図、図３
は、同じく側面図である。

【００１５】図１〜３に示すセグメント供給装置１は、
ベース台２、ロッド３、ラバー４、昇降装置５（図
３）、移動装置６（図３）等で構成されている。

【００１６】ベース台２は、通常時、セグメントＳ，
Ｓ，…を数個（例えば、６個）載置させる台であり、セ
グメントＳ，Ｓ，…を載置させる載置部２ａのセグメン
トＳ，Ｓ，…と接する部分に、セグメントＳ，Ｓ，…を
保護のためのラバー４が貼り付けられている。また、そ
の中央部に凹状の窪み部を有している。

【００１７】ロッド３は、逆凹型の形状を有し、ベース
台２の窪み部内に設けられ、その上部３ａには、セグメ
ントＳ，Ｓ，…保護のためのラバー４が貼り付けられて
いる。そして、昇降装置５（図３）により、ロッド３が
上昇してベース台２に載置されたセグメントＳ，Ｓ，…
が持ち上げられるようになっている。また、移動装置６
（図３）により、ロッド３が前後方向に動き、昇降装置
５（図３）と連動してベース台２に載置されたセグメン
トＳ，Ｓ，…が前後方向に移動することが出来るように
なっている。また、ロッド３の先端部には、図示しない
チェーン等を引っかけておくことが可能な鉤部３ｂが設
けられている。

【００１８】昇降装置５（図３）は、ベース台２の底部
に固定された支持台７、この支持台７に片端が回動自在
に連結された第１の油圧ジャッキ８、この第１の油圧ジ
ャッキ８のピストンロッド（第１のピストンロッド）
９、ロッド３を摺動自在に支持するスベリ台１０、ベー
ス台２に固定されスベリ台１０が摺動可能なスベリ台支
持台１１等から構成され、これらはロッド３の逆凹部の
内側の左右に対となるように設けられている。また、ス
ベリ台１０には、第１のピストンロッド９の先端部が回
動自在に連結されている。そして、この昇降装置５は、
第１の油圧ジャッキ８の第１のピストンロッド９を伸ば
すことによって、スベリ台１０がスベリ台支持台１１の
斜面に沿って上方に摺動してロッド３が上昇し、また、
第１のピストンロッド９を引き込むことによって、スベ
リ台１０がスベリ台支持台１１の斜面に沿って下方に摺
動してロッド３が下降するようになっている。

【００１９】移動装置６（図３）は、ベース台２の底部
に固定された支持台１２、この支持台１２に片端が回動
自在に連結された第２の油圧ジャッキ１３、この第２の
油圧ジャッキ１３のピストンロッド（第２のピストンロ
ッド）１４、ロッド３の凹部に固定された支持部材１５
等から構成され、これらはロッド３の逆凹部の内側の左
右に対となるように設けられている。そして、この移動
装置６は、第２の油圧ジャッキ１３の第２のピストンロ
ッド１４を伸ばすことによって、ロッド３が前方に移動
し、また、第２のピストンロッド１４を引き込むことに
より、ロッド３が後方に移動（即ち、元の位置に戻る）
するようになっている。

【００２０】次に、上記構成のセグメント供給装置１に
よるセグメントのエレクターへの供給の動作について図
４を用いて説明する。既設のセグメントＳ，Ｓ，…の上
に置かれたセグメント供給装置１においては、まず、第
１のステップ（図４の（ａ））として、第１の油圧ジャ
ッキ８に圧力をかけて第１のピストンロッド９を伸ばす
ことにより、スベリ台１０がスベリ台支持台１１の斜面
に沿って上方に摺動してロッド３を上昇させる。そし
て、ロッド３は、ベース台２に載置されたセグメント
（１Ｐ〜６Ｐ）を持ち上げて載せる。続いて、第２のス
テップ（図４の（ｂ））として、ベース台２とロッド３
に支持台１２及び支持部材１５で連結されている第２の
油圧ジャッキ１３に圧力をかけて第２のピストンロッド
１４を伸ばすことによって、ロッド３をセグメント１個
分前方に移動させる。

【００２１】次に、第３のステップ（図４の（ｃ））と
して、セグメント（１Ｐ）を図示しないエレクターで把
持したまま、第１の油圧ジャッキ８の圧力を抜いて第１
のピストンロッド９を縮めることによって、ロッド３を
下降させ、セグメント（２Ｐ〜６Ｐ）をベース台２に載
置させる。そして、第４のステップ（図４の（ｄ））と
して、第２の油圧ジャッキ１３の圧力を抜いて第２のピ
ストンロッド１４を縮めることによって、ロッド３をセ
グメント１個分後方（即ち、元の位置）に移動させる。
この第１〜４のステップ（図４の（ａ）〜（ｄ））によ
り、セグメント（２Ｐ〜６Ｐ）がセグメント１個分前方
に移動され、ベース台２の最後方にセグメント１個分の
スペースが形成される。その後、図示しないエレクター
に把持したセグメント１Ｐをシールドテールスキンプレ
ートＢ上に載置させる。このとき、ベース台２の空いた
スペースに適宜、台車から図示しないホイストクレーン
などによりセグメント（７Ｐ）が載置される。

【００２２】そして、上記第１〜４のステップ（図４の
（ａ）〜（ｄ））の動作を繰り返して行うことにより、
１ラウンド（トンネルの周方向）のセグメントの組立を
行う。１ラウンドのセグメントの組立が終了した場合、
図示しないシールド機とロッド３の鉤部３ｂをチェーン
ロープ１６で連結して固定する。この状態で第２の油圧
ジャッキ１３の圧力を抜いて第２のピストンロッド１４
を縮めた場合、ロッド３はチェーン１６で固定されてい
るので後方に移動することが出来ないこととなって、逆
にベース台２がセグメント１個分前進する（図４の
（ｅ））。これにより、セグメント供給装置１を前方に
移動させることが出来る。

【００２３】以上説明したセグメント供給装置１によれ
ば、ベース台２（載置部）に載置された複数のセグメン
ト（１Ｐ〜６Ｐ）は、昇降装置５（昇降手段）により、
ベース台２からロッド３（受け取り部）に受け取られて
載せられ、移動装置６（移動手段）により、ロッド３が
前後方向に移動される。従って、図示しない台車等から
ベース台２に置かれたセグメント（１Ｐ〜６Ｐ）を、昇
降装置５と移動装置６により自動的に前方向に搬送する
ことが出来ることにととなって、従来のダブルホイスト
法を用いた場合のように、台車から仮置きしたセグメン
トを再び所定の場所に移動させる必要がなく、効率的な
運搬作業を行うことが出来る。しかも、従来の後方台車
に組み込まれたセグメントフィーダ（後方台車型セグメ
ント供給装置）のように、設備が大規模になることな
く、簡易、且つ、軽量な装置で、後方台車型セグメント
供給装置と同等の性能を得ることが出来ることとなっ
て、装置のコストダウンを図ることが可能となる。

【００２４】また、従来の後方台車型セグメント供給装
置のように、設備が大規模になることがなく、コンパク
トな装置となることとなって、比較的径の小さなトンネ
ルでも使用することが出来る。

【００２５】また、ロッド３の先端部に設けられた鉤部
３ｂと図示しないシールド機はチェーンロープ１６（紐
状物）で連結して固定され、この状態で第２の油圧ジャ
ッキ１３の圧力を抜いて第２のピストンロッド１４を縮
めることにより、ベース台２がセグメント１個分前進し
て、セグメント供給装置を移動させる。従って、セグメ
ント供給装置１の移動に対し、特別の動力装置を設ける
必要がないので、更にコストダウンを図ることが出来
る。

【００２６】なお、前記受け取り部（ロッド３）は、上
記構成に限るものではなく、セグメントを載置部（ベー
ス台２）から上方に離間させて受け取るようなものであ
れば、どのような構成のものであってもよい。

【００２７】また、受け取り部を昇降させる昇降手段
（昇降装置５）は、上記実施の形態で説明した油圧ジャ
ッキに限るものではなく、受け取り部を昇降させること
が出来る装置であれば、どのような装置であってもよ
い。

【００２８】また、受け取り部を移動させる移動手段
（移動装置６）は、上記実施の形態で説明した油圧ジャ
ッキに限るものではなく、受け取り部を移動させること
が出来る装置であれば、どのような装置であってもよ
い。

【００２９】また、セグメント供給装置の移動は、上記
実施の形態で説明した移動手段を利用したものに限るも
のではなく、シールド機の移動と連動させて行ってもよ
い。

【００３０】

【発明の効果】請求項１記載の発明によれば、台車等か
ら載置部に置かれたセグメントを、昇降手段と移動手段
により自動的に前方向に搬送することが出来ることにと
となって、従来のダブルホイスト法を用いた場合のよう
に、台車から仮置きしたセグメントを再び所定の場所に
移動させる必要がなく、効率的な運搬作業を行うことが
出来る。しかも、従来の後方台車に組み込まれたセグメ
ントフィーダ（後方台車型セグメント供給装置）のよう
に、設備が大規模になることなく、簡易、且つ、軽量な
装置で、後方台車型セグメント供給装置と同等の性能を
得ることが出来ることとなって、装置のコストダウンを
図ることが可能となる。

【００３１】また、従来の後方台車型セグメント供給装
置のように、設備が大規模になることがなく、コンパク
トな装置となることとなって、比較的径の小さなトンネ
ルでも使用することが出来る。

【００３２】請求項２記載の発明によれば、セグメント
供給装置の移動に対し、特別の動力装置を設ける必要が
ないので、更にコストダウンを図ることが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るセグメント供給装置の実施の形態
の一例を示した斜視図である。

【図２】本発明に係るセグメント供給装置の実施の形態
の一例を示した正面図である。

【図３】本発明に係るセグメント供給装置の実施の形態
の一例を示した縦断側面図である。

【図４】本発明に係るセグメント供給装置の動作を示し
た縦断側面図である。

【符号の説明】

１ セグメント供給装置 ２ ベース台 ２ａ ベース台上部 ３ ロッド ３ａ ロッド上部 ３ｂ 鉤部 ４ ラバー ５ 昇降装置 ６ 移動装置 ７ 支持台 ８ 第１の油圧ジャッキ ９ 第１のピストンロッド １０ スベリ台 １１ スベリ台支持台 １２ 支持台 １３ 第２の油圧ジャッキ １４ 第２のピストンロッド １５ 支持部材 １６ チェーンロープ Ｓ セグメント

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シールド機を用いたシールド工法における
   セグメントの供給装置であって、 前記セグメントを複数載置することが可能な載置部と、 上昇することによって、前記載置部からセグメントを受
   け取って載置することが可能な受け取り部と、 前記受け取り部を昇降させることが可能な昇降手段と、 前記受け取り部を前後方向に移動させることが可能な移
   動手段と、 を備え、 前記昇降手段は、 前記受け取り部を摺動自在に支持するスベリ台と、 前記載置部に固定され前記スベリ台が斜面に沿って摺動
   可能なスベリ台支持台と、 前記載置部とスベリ台とを連結するジャッキと、 からなることを特徴とするセグメント供給装置。
2. 【請求項２】前記受け取り部の先端部にチェーンやワイ
   ヤ等の紐状物を掛けることが可能な鉤部を備えているこ
   とを特徴とする請求項１記載のセグメント供給装置。