JP3345983B2 - 積層ポリエステルフイルム - Google Patents

積層ポリエステルフイルム

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JP3345983B2
JP3345983B2 JP23010593A JP23010593A JP3345983B2 JP 3345983 B2 JP3345983 B2 JP 3345983B2 JP 23010593 A JP23010593 A JP 23010593A JP 23010593 A JP23010593 A JP 23010593A JP 3345983 B2 JP3345983 B2 JP 3345983B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は積層ポリエステルフイル
ムに関し、更に詳しくは感熱転写材用基材フィルムに好
適な積層ポリエステルフイルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、オフィスオ−トメ−ションの発展
に伴い、各種の記録方式が開発されているが、その中で
印字の際に騒音が少なく、かつ操作が簡単な感熱記録方
式が注目されている。感熱記録方式ではサ−マルプリン
タ−などの熱記録装置を用い、記録紙と感熱転写材の感
熱インク層とを接触させ、インク層と反対側にある加熱
ヘッドからパルス信号によりフイルムを選択加熱する。
これによりフイルムを通じて加熱されたインクが溶融ま
たは昇華して記録紙に転写される。この感熱転写材とし
ては一般に熱効率を上げるため、薄葉のプラスチックフ
イルムが用いられている。
【0003】しかしながら、一般にプラスチックフイル
ムを感熱転写材の基材フイルムとした場合には、フイル
ムがサ−マルヘッドより与えられる熱量により、一部サ
−マルヘッドに融着するという現象が現われる。この現
象はスティック現象と呼ばれ、この現象が起きると感熱
転写材がスム−スに走行しないばかりか、サ−マルヘッ
ドを著しく汚染し、印字の鮮明さを損なうという問題が
生じる。このスティック現象を回避するために、プラス
チックフイルムのサ−マルヘッドと接触する面に各種の
表面処理を施すことが提案されている。例えばシリコ−
ンやメラミン、フェノ−ル、エポキシ、ポリイミドなど
の耐熱保護層を設けたもの(特開昭55−7467号公
報)、滑性の高い無機顔料と耐熱性の高い樹脂よりなる
スティック防止層を設けたものがある(特開昭56−1
55794号公報)。また、水溶性あるいは水分散性の
シリコ−ンと樹脂よりなる層を設けたもの(特開昭60
−192628号公報)、水分散性フッ素系樹脂と水性
高分子よりなる層を設けたもの(特開昭60−1926
30号公報)、ワックスそして/または常温で液状ない
しペ−スト状物質を塗布あるいは転写させたもの(特開
昭59−148697、特開昭60−56583号公
報)がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記耐
熱保護層を設けたものはヘッドとの滑りが不足するた
め、低パルス幅のプリンタ−やプラテン駆動型のプリン
タ−では熱転写リボンの走行性が悪く、印字斑や極端な
場合には走行がストップする欠点がある。また無機系顔
料を添加したものはサ−マルヘッドとの摩擦によりヘッ
ド寿命を低下させたり、表面が粗面化されているため熱
伝導性が悪く、鮮明な印字が得られないという問題があ
る。シリコ−ン樹脂やフッソ素樹脂を積層したものは、
ロ−ルに巻いたあとインクを塗布する面へのこれらの樹
脂の転写が起こりやすく、それによるインク塗布時のは
じきやインクの密着性不良などの問題が生じていた。ワ
ックスなどをプラスチックフイルムに塗布し乾燥した形
で得られた積層フイルムは、サ−マルヘッドとの潤滑作
用には優れるものの、プリンタ−の固定シャフトなどと
の滑りが悪く、結果的にはスティックが発生するという
欠点を有していた。特に近年、感熱転写用プリンタは、
印字速度がより高速化される方向にあり、これに対応で
きる感熱転写材の開発が望まれている。
【0005】本発明の目的は上記欠点のないもの、すな
わちスティックが発生せず、ワ−ドプロセッサ−、ファ
クシミリ、バ−コ−ドプリンタ−のような低パルス幅領
域からビデオプリンタ−のような高パルス幅領域までの
広範囲の領域での走行性が良好であり、ヘッド摩耗やヘ
ッド汚染が極めて少なく、かつインク塗布時のはじきが
なく、インクの密着性,印字の鮮明度に優れた感熱転写
材用基材フイルムとして好適な積層ポリエステルフイル
ムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はポリエステルフ
イルムの少なくとも一方の面に酸化ワックスとリン酸エ
ステルおよび/又はアミノ酸エステルを主成分とする積
層膜を有する積層フイルムであって、該積層膜中のリン
酸エステルおよび/又はアミノ酸エステル含有量が2〜
40重量%であることを特徴とする積層ポリエステルフ
イルムをその骨子とするものである。
【0007】本発明でいうポリエステルフイルムとはエ
ステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子フイルム
の総称であるが、特に感熱転写材用基材フイルムとして
好ましいのはポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレ
ン2、6−ナフタレ−ト、ポリエチレンα、β−ビス
(2−クロルフェノキシ)エタン4、4, −ジカルボキ
シレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−トなどのフイルム
であり、これらの中でも品質、経済性などを総合的に勘
案するとポリエチレンテレフタレ−トフイルムが最も好
ましい。そのため以後はポリエチレンテレフタレ−トフ
イルム(以下、ポリエチレンテレフタレ−トフイルムを
PETフイルムと略称する)をポリエステルフイルムの
代表例として記述を進める。
【0008】ここでポリエチレンテレフタレ−トとは、
80モル%以上、好ましくは90モル%以上、更に好ま
しくは95モル%以上がエチレンテレフタレ−トを繰り
返し単位とするものであるが、酸成分およびグリコ−ル
成分の一部を下記のような第3成分と置き換えても良
い。
【0009】−酸成分− イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,
5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカ
ルボン酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、4,4
´−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4´−ジフ
ェニルエ−テルジカルボン酸、p−β−ヒドロキシエト
キシ安息香酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタ
ル酸、ε−オキシカプロン酸、トリメリット酸、トリメ
シン酸、ピロメリット酸、α、β−ビスフェノキシエタ
ン−4,4´−ジカルボン酸 、α、β−ビス(2−ク
ロルフェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸など。
【0010】−グリコ−ル成分− プロピレングリコ−ル、ブチレングリコ−ル、ヘキサメ
チレングリコ−ル、デカメチレングリコ−ル、ネオペン
チレングリコ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−
ル、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニ
ル)プロパン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェ
ニル)スルホン、ジエチレングリコ−ル、トリエチレン
グリコ−ル、ペンタエリスリト−ル、トリメチロ−ルプ
ロパン、ポリエチレングリコ−ル、ポリテトラメチレン
グリコ−ルなど。
【0011】また、このPETの中に公知の添加剤、例
えば耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸
収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機又は無機の微粒
子、充填剤、帯電防止剤、核剤などを配合しても良い。
特に無機および/または有機の微粒子を添加し、二軸配
向後のPETフイルムにおける平均表面粗さが0.03
〜0.4μm、好ましくは0.05〜0.2μmとした
場合には本発明の走行性を更に向上させることができ
る。また、有機の易滑剤、例えばワックス成分を基材ポ
リエステル中に含有せしめた場合には、スティッキング
性をより改良できるので好ましい。
【0012】上記PETの極限粘度(25℃のオルソク
ロロフェノ−ル中で測定)は0.40〜1.20dl/
g、好ましくは0.50〜0.80dl/g、更に好ま
しくは0.5〜0.75dl/gの範囲にあるものが本
発明内容に好適なものである。
【0013】PETフイルムは機械的強度、寸法安定性
の点から二軸配向されたものが好ましい。二軸配向PE
Tフイルム(以下PET−BOと略称する)とは、無延
伸状態のPETシ−トを長手方向および幅方向の、いわ
ゆる2軸方向に各々2.5〜5.0倍程度延伸し、更に
熱固定し、結晶配向を完了させて作られるものであり、
広角X線回折で2軸配向パタ−ンを示すものをいう。
【0014】PET−BOの厚みは特に限定しないが、
本発明の積層ポリエステルフイルムを感熱転写材用基材
フイルムとして用いる場合には、0.5μm以上30μ
m以下、好ましくは1μm以上10μ以下であるのが熱
伝達性、機械的強度の点から好ましい。
【0015】また、このPETフイルムの少なくとも片
面に、PETよりガラス転移点の高いポリエステル樹脂
を積層し、延伸したものを用いた場合には、印字エネル
ギ−によるフイルムのしわが発生しにくいため、印字の
鮮明度に優れ、特に好ましい。この積層は、サ−マルヘ
ッドが接触する側に設けるのが好ましい。このようなP
ETよりガラス転移点の高いポリエステルの代表的なも
のとして、ポリエチレン−2,6−ナフタレ−トを挙げ
ることができる。
【0016】本発明は上記ポリエステルフイルムの少な
くとも片面に酸化ワックスとリン酸エステルおよび/又
はアミノ酸エステルの混合物を主成分とする積層膜を有
する積層フイルムである。ここでいう主成分とは、積層
組成物中に占める重量比率が50%以上、好ましくは6
0%以上であることをいう。
【0017】
【0018】化ワックスの使用により易滑性を付与す
るための突起形成が可能となる。
【0019】
【0020】また本発明の積層膜中には、リン酸エステ
ルおよび/又はアミノ酸エステルを含有させることが必
要である。このリン酸エステルおよび/又はアミノ酸エ
ステルを積層膜中で酸化ワックスと共存させることによ
り、感熱転写材の背面処理層として用いた場合、極めて
易滑性に優れ、高負荷のエネルギ−を与えてもスティッ
キングを防止することができる効果を有するのである。
【0021】リン酸エステルは特に限定しないが、ステ
ィッキング防止効果の点で炭素数4〜25の非金属性エ
ステルのものが好ましく、モノエステル、ジエステル、
トリエステルのいすれでも良い。このような化合物とし
てはノニルフェニルホスフェ−ト、ジノニルフェニルホ
スフェ−ト、ドデシルフェニルホスフェ−ト、トリデシ
ルホスフェ−ト、ラウリルホスフェ−ト、オレイルホス
フェ−ト、ステアリルホスフェ−ト、エチレングリコ−
ルモノブチルホスフェ−ト、ノニルホスフェ−ト、トリ
オクチルホスフェ−ト、クレジルジフェニルホスフェ−
ト、オクチルジフェニルホスフェ−ト、トリラウリルホ
スフェ−ト、トリセチルホスフェ−ト、トリステアリル
ホスフェ−ト、トリオレイルホスフェ−ト,およびポリ
オキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチ
レンアルキルフェニル燐酸エステル(アルキル基として
はCn 2n+1でn=4〜25が好ましい)などをその一
例として挙げることができる。上記の内、易滑性に優
れ、本発明の耐スティッキング性がより効果的に発現す
る点で、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポ
リオキシエチレンアルキルフェニル燐酸エステルが好ま
しい。その1例を挙げればポリオキシエチレンラウリル
燐酸エステル、ポリオキシエチレンステアリル燐酸エス
テル、ポリオキシエチレンオレイル燐酸エステルポリオ
キシエチレンノニル燐酸エステル、オリオキシエチレン
ノニルフェニル燐酸エステル、ポリオキシエチレンジノ
ニルフェニル燐酸エステル、ポリオキシエチレンドデシ
ルフェニル燐酸エステルなどを例示することができる。
【0022】またアミノ酸エステルとは、分子内にカル
ボキシル基とアミノ基を有する化合物のエステルの総称
であって特に限定するものではない。その一例を挙げれ
ばグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシ
ンなどのモノアミノモノカルボン酸のエステル、リジ
ン、アルギニンなどのジアミノモノカルボン酸のエステ
ル、アスパラギン酸、グルタミン酸などのモノアミノジ
カルボン酸のエステル、フェニルアラニン、チロシンな
どの芳香族アミノ酸のエステル、システィン、シスチ
ン、メチオニンなどの含硫アミノ酸のエステル、セリ
ン、スレオニンなどのオキシアミノ酸のエステル、ヒス
チジン、トリプトファン、オキシプロリンなどの複素環
を持つアミノ酸のエステルなどを例示することができ
る。これらの内、アスパラギン酸エステルがワックスと
の混合系で、耐ホットスティック性の点で好ましく、N
−アルキルアスパラギン酸β−アルキルエステルが特に
好ましい。アルキル基としては特に限定しないが、比較
的長鎖のものが好ましく、通常炭素数8〜25のものが
好適である。このような化合物としてはN−ラウロイル
アスパラギン酸β−ラウリルエステル、N−ステアリル
アスパラギン酸β−ステアリルエステル、N−パルミチ
ルアスパラギン酸β−パルミチルエステル、N−オレイ
ルアスパラギン酸β−オレイルエステル、N−ミリスチ
ルアスパラギン酸β−ミリスチルエステルなどを例示で
きる。もちろん先のリン酸エステルとの混合物であって
も良いことは言うまでもない。
【0023】積層膜中におけるリン酸エステルおよび/
又はアミノ酸エステルの含有量は2〜40重量%であ
る。含有量が重量%に満たない場合には、高負荷下で
のスティッキング防止効果が不足する。また40重量%
を越える場合には易滑性が不足し、スティッキングが発
生し易い。また、酸化ワックスは積層膜中において98
〜60重量%の範囲で存在させるのが好ましい。すなわ
ち本発明の範囲において、積層膜中に酸化ワックスとリ
ン酸エステルおよび/又はアミノ酸エステルを共存させ
ることが、感熱転写材の背面処理層として極めて広範囲
の負荷に耐え、良好な印字走行性を付与できることを見
い出したものである。
【0024】また本発明では、上記積層膜組成物中に、
更にオイル状物質を加えた混合物とした場合に、高パル
ス幅領域での印字走行性が特に優れたものとすることが
できる。
【0025】ここでオイル状物質とは、常温で液体ある
いはペ−スト状のオイルであり、植物油、油脂、鉱物
油、合成潤滑油などを挙げることができる。植物油とし
てはアマニ油、カヤ油、サフラ−油、大豆油、シナギリ
油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヌカ油、綿実
油、オリ−ブ油、サザンカ油、つばき油、ヒマシ油、落
花生油、バ−ム油、椰子油などがあげられる。油脂とし
ては牛脂、豚油、羊油、カカオ油などであり、鉱物油と
してはマシン油、絶縁油、タ−ビン油、モ−タ−油、ギ
ヤ油、切削油、流動パラフィンなどが挙げられる。合成
潤滑油としては化学大辞典(共立出版社)に記載の要件
を満たすものを任意に使用することが出来、例えばオレ
フイン重合油、ジエステル油、ポリアルキレングリコ−
ル油などを挙げることができる。これらの中でも高パル
ス幅領域での走行性の良好な鉱物油、合成潤滑油が好適
である。またこれらの混合系であっても良い。
【0026】上記オイル状物質は前記積層膜組成物中に
1〜30重量%含有するのが好ましい。
【0027】上記組成物中には本発明の効果を阻害しな
い範囲内で各種添加剤を併用することができる。例えば
帯電防止剤、耐熱剤、耐酸化防止剤、有機、無機の粒
子、顔料などが挙げられる。また塗料中には水への分散
性を向上したり、塗布性を向上させる目的で各種添加
剤、例えば分散助剤、界面活性剤、防腐剤、消泡剤など
を添加しても良い。
【0028】本発明の積層膜は均一な膜形成、および上
記組成物による表面の突起形成の点から、フイルム製造
工程中で塗布する方法(インラインコ−ト法)を用いる
のが好ましい。そのためには積層膜形成塗剤は防爆性や
環境汚染防止の点で水に溶解、乳化、懸濁させた状態で
用いるのが好ましい。例えば、ワックス系組成物の水分
散体は従来公知の方法(例えば特開昭59−90625
号公報など)によって得ることができる。
【0029】本発明において更に易滑性を向上させ、ス
ティッキング防止効果を向上させるためには、積層膜表
面に長さ方向/幅方向の比が3以上の細長い突起を20
個/100μm2 以上有する表面とするのが有効であ
る。このような突起は、上記積層膜組成物の混合水系塗
剤を結晶配向が完了する前のポリエステルフイルムに塗
布後、1方向に延伸することによって得ることができ
る。突起形成の点で酸化ワックス使用するのが有効で
ある。
【0030】また積層膜を設けた積層ポリエステルフル
ム中には、サ−マルヘッドの破壊を防止する点でカリウ
ム、ナトリウム、塩素の総含有量が500ppm以下で
あるのが好ましく、基材ポリエステルフイルムおよび積
層膜形成組成物にはこれらの元素を含有しない組成物を
用いるのが好ましい。
【0031】積層膜の厚みは特に限定しないが、スティ
ッキング防止、サ−マルヘッドの汚染防止の点から、
0.005μm以上0.3μm以下、好ましくは0.0
1μm以上0.15μm以下であるのが望ましい。
【0032】塗布の方法は各種の塗布装置、例えばロ−
ルコ−タ−、グラビアコ−タ−、リバ−スコ−タ−、キ
スコ−タ−、バ−コ−タ−などを用いて塗布することが
できる。
【0033】次に本発明の積層ポリエステルフイルムの
製造方法の具体例として、感熱転写材用積層ポリエステ
ルフイルムをその代表例として説明するが、当然これに
限定されるものではない。重合工程で析出した、いわゆ
る析出粒子と無機粒子(例えば平均粒子径1μmのシリ
カ)を含有するPETを常法に従って乾燥後、溶融押出
し、押出されたシ−ト状溶融体を冷却固化せしめて未延
伸PETフイルムを作る。このフイルムを80〜120
℃に加熱して、長手方向に2.0〜5.0倍延伸して一
軸配向フイルムとする。このフイルムの片面に空気雰囲
気中でコロナ放電処理を施し、この処理面に所定の濃度
に希釈した酸化ワックスとリン酸エステルおよび/又は
アミノ酸エステルを含有した水分散塗液を塗布する。次
いでこの塗布されたフイルムを90〜140℃に加熱し
つつ、幅方向に3〜5倍延伸し、引き続いて140〜2
40℃の熱処理ゾ−ン中へ導き1〜10秒間熱処理を行
う。この熱処理中に必要に応じて幅方向に3〜12%の
弛緩処理を施しても良い。かくして得られたフイルムを
適宜の幅にスリットし、感熱転写材用二軸配向積層ポリ
エステルフイルムとする。このフイルムを感熱転写材と
して使用する場合には非塗布面側に熱溶融型あるいは熱
昇華型のインクを塗布し、適宜希望の幅にスリットする
ことによって得ることができる。
【0034】かくして得られた感熱転写材用二軸延伸積
層ポリエステルフイルムは用途に応じたインク層を設け
ることにより、各種感熱転写用材料、例えばワ−ドプロ
セッサ−、ファクシミリ、パソコン用プリンタ−、ビデ
オ用プリンタ−、バ−コ−ド用プリンタ−、タイプライ
タ−、プレ−ンペ−パ−コピアなどの文字あるいは画像
のプリントアウトに使用されるものであり、特に高負荷
エネルギ−の付与されるプリンタ−に好適である。
【0035】
【特性の測定方法および効果の評価方法】本発明におけ
る特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりで
ある。
【0036】( 1) 積層厚み 塗布層を設けた二軸配向ポリエステルフイルムの断面を
切り出し、10万倍の電子顕微鏡観察写真より実測し
た。厚みは1視野内の最大厚みと最低厚みの平均とし、
測定点30個の平均値を積層厚みとした。
【0037】( 2) 動摩擦指数 HEIDON−14DR−ANL装置(新東科学(株)
製)を用い、25℃、65%RHの雰囲気下で直径10
mmのステンレス球との点接点における動摩擦指数を測
定した。測定は荷重200g,走行速度200mm/分
で行ない、4秒間測定したチャ−ト(2.0msec毎
にデ−タ記録)より、測定開始1秒後から測定終了まで
の摩擦抵抗の平均値を摩擦指数とした。
【0038】( 3) ホットスティック性−1 積層面とは反対面の積層二軸配向ポリエステルフイルム
に、下記の熱溶融インクをホットメルト法により3〜4
μm厚に塗布し、感熱転写材を作成した。
【0039】[熱溶融インク組成] カルナバワックス 100重量部 マイクロクリスタリンワックス 30重量部 酢酸ビニル・エチレン共重合体 15重量部 カーボンブラック 20重量部 評価はオ−トニクス社製熱転写プリンタ−BC−8MK
IIを用い、ヘッド抵抗500Ωのサ−マルヘッドで印加
電圧を変えて、パルス幅0.5msecで印字走行させ
た時にスティックが起こらない印加電圧レベルで評価
し、印加電圧10V以上を耐ステイック性良好とした。
また10V未満でもスティックの起こるものは[×]と
した。なお、被転写紙には普通紙を用いた。
【0040】(4)ホットスティック性−2 積層面とは反対面に下記組成の昇華性インクを塗布、乾
燥せしめた後、適宜の幅にスリットして感熱転写材を作
った。
【0041】 [昇華性インク組成] 分散染料KST−B−136(日本火薬加部製) 4重量部 エチルヒドロキシエチルセルロ−ス 6重量部 メチルエチルケトン 45重量部 トルエン 45重量部 この感熱転写材を昇華型プリンタ−(シャ−プカラ−ビ
デオプリンタ−GZ−P11W)にかけて通常の使用条
件で走行させ、下記の基準で判定し、(○)以上を良好
とした。
【0042】◎:全くステイックせず、極めて走行性が
良い。
【0043】○:走行性に問題なく、正常な印字ができ
るがべた印字部で若干のスティック音が発生する。
【0044】△:判読可能なレベル。
【0045】×:スティックが著しく判読不可能なレベ
ル。
【0046】(5)ホットスティック性−3 上記(3)で作成した感熱転写材を用い、高速感熱転写
プリンタ−(アンリツ(株)製KM705A)を用い1
20mm/秒の速度で印字した時のスティックの発生状
態を観察し、スティックが発生せず正常な印字ができる
ものを(○)、走行はするがスティック音が発生した
り、印字にユガミやずれが生じたものを(△)、スティ
ックによって走行不良となったものを(×)として評価
し、(○)以上を良好とした。
【0047】(6)ヘッド汚染性、摩耗性 上記(3)の条件で3000mの印字走行を行なった
後、サ−マルヘッドを取り外し、100倍の光学顕微鏡
でヘッドの汚染状態および摩耗状態を観察した。ヘッド
部の汚染面積が30%未満を[○]、30%以上を
[×]とし、かつ30%未満でもエチルアルコ−ルで拭
き取り除去できないものは[×]とした。またサ−マル
ヘッドのキズの発生状態を観察し、全くキズのないもの
を[○]、キズが認められたものを[×]とした。
【0048】(7)インキング性、インク密着性 積層膜を設けた二軸配向ポリエステルフイルムの積層膜
面と接するように、他のポリエステルフイルムを重ね合
わせ、70℃で50kg/cm2 の荷重をかけ24時間
放置した。次に2枚のフイルムをはがし、上記の他のポ
リエステルフイルムが積層膜面と接触していた面に、上
記(3)のインクを塗布し、ハジキの程度を観察した。
インクの塗布はホットメルト法で行い、塗布厚は3〜4
μmとした。はじきのないものを[○]、若干でもはじ
きの発生したものを[×]とした。またインク層を20
g/cm2 の粘着性を有するテ−プで剥離した時の剥離
面積が20%未満の場合を[○],20%以上の場合を
[×]とした。
【0049】
【実施例】次に本発明を実施例に基づいて説明するが、
必ずしもこれに限定されるものではない。
【0050】実施例1 粒径0.5〜1.5μmの析出粒子(重合工程中に析出
した粒子)を0.15重量%、および平均粒子径1.5
μmの炭酸カルシウム粒子を0.2重量%含有するPE
Tペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空
加熱乾燥した後、押出機に供給して280℃で溶融し、
10μmカットの金属焼結フイルタ−で濾過した後、T
字型口金よりフイルム状に押出し、これを表面温度30
℃の冷却ドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この間
のフイルムと冷却ドラム表面との密着性を向上させるた
め、フイルム側にワイヤ電極を配置して6KVの直流電
圧を印加した。かくして得られた未延伸PETフイルム
を95℃に加熱して長手方向に3.5倍延伸し、一軸延
伸フイルムとした。このフイルムの片面に空気中でコロ
ナ放電処理を施し、その処理面にグラビアコ−ト方式で
下記組成の水分散塗料を二軸延伸後の塗布厚みが0.0
5μmになるように塗布した。
【0051】 「塗料組成」 (a)酸化ワックス水分散体 80重量部(固形分比) (b)ポリオキシエチレンアルキルフェニル燐酸エステル(ホスファノ−ル RE610東邦化学工業(株)製) 20重量部(固形分比) 上記比率に混合した塗液を全固形分重量比率が1.0%
となるように水で希釈して作成した。
【0052】塗布された一軸延伸フイルムをクリップで
把持してテンタ−内に導き、110℃の余熱工程で水を
乾燥させた後、120℃に加熱しつつ幅方向に4.5倍
延伸し、続いて225℃で5秒間熱処理を施し、積層厚
み0.05μm、フイルム厚み5μmの積層ポリエステ
ルフイルムを得た。この積層ポリエステルフイルムを前
記評価方法に準じて感熱転写材を作成し評価を行った。
結果を表1に示す。
【0053】実施例2〜、比較例1〜 実施例1の塗料組成(a)と(b)の混合比率を表1の
ように変更した以外は実施例1と同様にして積層ポリエ
ステルフイルムおよび感熱転写材を作成した。結果を表
1に示す。
【0054】実施例 実施例1の塗料組成(b)に代えて、塗料組成(c)と
してN−ラウロイルアスパラギン酸ラウリルエステルを
固形分比で20重量%用いた以外は実施例1と同様にし
て積層ポリエステルフイルムを作成した。この積層ポリ
エステルフイルムを用いた感熱転写材を作成し評価を行
った。結果を表2に示す。
【0055】実施例6、7、比較例6〜10 実施例の塗料組成の(a)と(c)の混合比率を表2
のように変更した以外は実施例と同様にして積層ポリ
エステルフイルムおよび感熱転写材を作成し評価した。
結果を表2に示す。
【0056】実施例 実施例1の塗料組成を下記のように変更した以外は実施
例1と同様にして積層ポリエステルフイルムおよび感熱
転写材を作成し評価した。結果を表2に示す。 「塗料組成」 (a)酸化ワックス水分散体 80重量%(固形分比) (b)ポリオキシエチレンアルキルフェニル燐酸エステル(ホスファノ−ル RE610東邦化学工業(株)製) 10重量%(固形分比) (c)N−ラウロイルアスパラギン酸ラウリルエステル 10重量%(固形分比)
【表1】
【表2】
【0057】
【発明の効果】本発明はポリエステルフイルムの少なく
とも片面に酸化ワックスとリン酸エステルおよび/又は
アミノ酸エステルを主成分とした積層膜において該積層
膜中の燐酸エステルおよび/又はアミノ酸エステル含有
量を2〜40重量%にすることにより、感熱転写材とし
て使用した時に極めて耐ホットスティック性に優れたも
のとすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B41M 5/40 C08J 7/04 - 7/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフイルムの少なくとも一方
    の面に、酸化ワックスとリン酸エステルおよび/又はア
    ミノ酸エステルを主成分とする積層膜を有する積層フイ
    ルムであって、該積層膜中のリン酸エステルおよび/又
    はアミノ酸エステル含有量が2〜40重量%であること
    を特徴とする積層ポリエステルフイルム。
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