JPH091949A - 感熱転写用インクリボン - Google Patents

感熱転写用インクリボン

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JPH091949A
JPH091949A JP7157890A JP15789095A JPH091949A JP H091949 A JPH091949 A JP H091949A JP 7157890 A JP7157890 A JP 7157890A JP 15789095 A JP15789095 A JP 15789095A JP H091949 A JPH091949 A JP H091949A
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JP
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wax
layer
adhesive layer
film
ink
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JP7157890A
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Yoshiki Sato
嘉記 佐藤
Shigehiro Masuda
成裕 増田
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Diafoil Co Ltd
Original Assignee
Diafoil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶融転着型ワックスインクリボンでありなが
ら、低濃度印字の際にインク層がすべて支持フィルムか
ら剥離することがなく、十分にインクの付着する面積を
小さくでき、中間色および低濃度印字の際にも細かい面
積階調が可能であり、フルカラー印刷においても高精細
な画像が得られる感熱転写用インクリボンを提供する。 【構成】 ポリエステルフィルムの一方の面に中間接着
層、その上に溶融転着型ワックスインク層を順次設け、
前記ポリエステルフィルムのもう一方の面に耐熱層を設
けた構造を有する感熱転写用インクリボンにおいて、前
記中間接着層が、水溶性または水分散性ポリエステル樹
脂とワックスとを含有する塗布層であって、塗布層成分
に対するポリエステル樹脂成分の固形分濃度が30〜9
0重量%、ワックス成分の固形分濃度が10〜70重量
%であることを特徴とする感熱転写用インクリボン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感熱転写用インクリボ
ンに関する。詳しくは、本発明は階調性に優れた溶融型
感熱転写方式のインクリボンに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】感熱
転写方式による印刷は、ワープロ・パソコンなどのプリ
ンターによる文字や表の印字だけでなく、電子スチルカ
メラ・ビデオプリンターなどによるフルカラー印刷につ
いてもその需要が高まっている。感熱転写方式でフルカ
ラー印刷を行う場合には、昇華性染料を昇華しない樹脂
バインダー中に分散させ、サーマルヘッドで加熱された
部分の染料を昇華させ、印画紙に転着して印刷を行う、
いわゆる昇華型感熱方式が一般的である。ところが、昇
華型感熱方式では、染料が昇華性であるため、保存状態
によっては、印刷した画像が経時的に褪色する現象は免
れないところであった。一方で、染顔料をワックス中に
分散したインクを用い、サーマルヘッドでこれを加熱・
溶融させて印画紙に転着させて印刷を行う、いわゆる溶
融型感熱転写方式では、染顔料が昇華しないため、経時
の褪色という点では優れている。
【0003】しかしながら、溶融型感熱転写方式では、
フルカラー印刷で必要な階調性を得にくい欠点を有して
いる。この方式は、インクの付着した面積で階調を表現
する面積階調であるが、特に低濃度印字ではインクの付
着する面積を十分小さくすることができず、表現可能な
階調数が低下し、高精細な画像が得られないのがその理
由である。従来の溶融型感熱転写方式に用いられるイン
クリボンは、その印字部は、支持フィルムからインク層
全体が剥離して印画紙に転着することになるため、イン
クの付着する面積を十分に小さくできず、高精細なフル
カラー印刷に必要な階調数が得られなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意検討した結果、特定構成を有するフィルムに
よれば、溶融型感熱転写方式のインクリボンであって
も、低濃度印字の際もインク付着面積を十分小さくする
ことができ、階調数を低下させることなく、高精細なフ
ルカラー印刷を可能にできることを見いだし、本発明を
完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明の要旨は、ポリエステル
フィルムの一方の面に中間接着層、その上に溶融転着型
ワックスインク層を順次設け、前記ポリエステルフィル
ムのもう一方の面に耐熱層を設けた構造を有する感熱転
写用インクリボンにおいて、前記中間接着層が、水溶性
または水分散性ポリエステル樹脂とワックスとを含有す
る塗布層であって、塗布層成分に対するポリエステル樹
脂成分の固形分濃度が30〜90重量%、ワックス成分
の固形分濃度が10〜70重量%であることを特徴とす
る感熱転写用インクリボンに存する。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
感熱転写用リボンに用いる支持体であるポリエステルフ
ィルムは、二軸配向されたポリエステルフィルムである
ことが好ましく、ポリエステルの構成単位は80モル%
以上がエチレンテレフタレートあるいはエチレン2、6
−ナフタレートあるいは1,4−シクロヘキシレンジメ
チレンテレフタレートであることが好ましい。これらの
ポリエステルは20モル%未満であれば、例えば共重合
成分として、ジエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4ブタ
ンヂオールなどのジオール成分、イソフタル酸、2,6
−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカ
ルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、スル
ホニルイソフタル酸などのジカルボン酸成分、p−オキ
シ安息香酸体などのオキシモノカルボン酸などを含有さ
せたものも用いることができる。
【0007】本発明で用いるポリエステルフィルムに
は、インクリボンへの加工の際、およびインクリボンと
しての走行性を確保するため、フィルム表面に突起を形
成する添加粒子をフィルム中に存在させること好まし
い。この目的のために用いる粒子としては、シリカ、カ
オリン、タルク、クレー、炭酸カルシウム、リン酸カル
シウム、硫酸バリウム、テレフタル酸カルシウム、酸化
チタン、酸化アルミニウム、フッ化リチウム、カーボン
ブラック、架橋有機粒子などを挙げることができ、その
平均粒子径は通常、0.1〜10μm、好ましくは0.
5〜5.0μmの範囲から選択し、含有量は通常、0.
05〜5.0重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%
の範囲から選択する。また、支持ポリエステルフィルム
の厚みは、1.0〜12μm、さらには1.5〜10μ
mの範囲にあることが好ましい。
【0008】本発明で用いるポリエステルフィルムは、
少なくとも一方の表面に、水溶性または水分散性ポリエ
ステル樹脂とワックスとを含有する中間接着層を有して
いることが必要である。この中間接着層は、特に低濃度
(低エネルギー)印字の際に、細かい面積階調が可能と
なるように付与するものであって、その作用は必要以上
にワックスインクが印画紙に転着するのを防ぐことであ
る。通常、溶融転着型ワックスインクリボンでは、印字
の際にインク層がすべて支持フィルムから剥離するが、
これでは十分にインクの付着する面積を小さくできず、
低濃度印字での細かい面積階調を行うことはできない。
中間接着層は、インク層がすべて剥離・転着するのを防
ぎ、インク層内で凝集破壊させて、インクの付着する面
積を十分小さくさせるものである。
【0009】この中間接着層として用いることができる
水溶性または水分散性ポリエステル樹脂としては、以下
に示す多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物を構
成成分とするポリエステルが例示できる。すなわち、多
価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、
オルトフタル酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカ
ルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカ
ルボン酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、5−ソジ
ウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、
セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハ
ク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、無水トリメリッ
ト酸、無水フタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、トリメ
リット酸モノカリウム塩およびそれらのエステル形成性
誘導体などを用いることができ、多価ヒドロキシ化合物
としては、エチレングリコール、1,2−プロピレング
リコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−プ
ロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノール、p−キシリレングリコール、ビスフェノ
ールA−エチレングリコール付加物、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ジ
メチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロール
プロパン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、
ジメチロールプロピオン酸カリウムなどを用いることが
できる。これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以
上選択して、常法の重縮合反応によりポリエステル系樹
脂を合成する。
【0010】なお、上記のほか、特開平1−16563
3号公報に記載されている、いわゆるアクリルグラフト
ポリエステルや、ポリエステルポリオールをイソシアネ
ートで鎖延長したポリエステルポリウレタンなどのポリ
エステル成分を有する複合高分子も本発明で用いること
のできるポリエステル樹脂に含まれる。中間塗布層中の
ポリエステル樹脂の固形分濃度は30〜90重量%、好
ましくは40重量%を超え70重量%未満である。ポリ
エステル樹脂が30重量%未満では、ポリエステルフィ
ルムと中間接着層との接着力が不足し、90重量%を超
えるとワックスインク層と中間接着層との接着性が劣る
ようになるため、いずれにしても特に低濃度部分での印
字階調性が劣るようになる。
【0011】一方、かかるポリエステル樹脂と同時に中
間接着層に含有するワックス成分としては、公知のもの
を用いることができる。ワックス成分の例としては、天
然ワックスとしてカルナウバワックス、キャンデリラワ
ックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油、みつろ
う、ラノリン、モンタンワックス、オゾケライト、セレ
シン等、石油ワックスとしてパラフィンワックス、マイ
クロクリスタリンワックス、ペトロラタム等、合成ワッ
クスとしてポリエチレンワックス、モンタンワックス誘
導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリ
ンワックス誘導体、硬化ひまし油およびその誘導体、高
級脂肪酸およびその誘導体等が挙げられ、これらの一種
を用いてもよく、二種以上を配合して使用してもよい。
【0012】かかるワックス成分の含有量は、塗布成分
の固形分濃度として10〜70重量%、さらには20〜
60重量%が好ましく、最も好ましくは30重量%を超
え、60重量%未満である。ワックス成分が70重量%
を超えると、中間接着層を塗布により形成する際、塗布
ムラが発生しやすくなったり、ポリエステルフィルムと
中間接着層との間の接着性が不十分となるため好ましく
ない。一方、10重量%未満では中間接着層とワックス
インク層との接着性が不十分となるため好ましくない。
また、本発明の中間接着層は、ポリエステル樹脂、ワッ
クス成分以外にも、当該接着層の膜強度や耐熱性、耐溶
剤性等の特性向上のため、ウレタン系樹脂、アクリル系
樹脂、シリコン系樹脂等の一種以上を、ポリエステル樹
脂よりも少ない量で含有させることができる。
【0013】本発明における中間接着層は、安全衛生
上、水を溶媒として、水溶性あるいは水分散性樹脂を含
む塗布液を支持フィルム上に塗布することが望ましい
が、本発明の要旨を越えない範囲内で、水溶性または水
分散性樹脂の助剤として有機溶剤を含有していてもよ
い。しかしこの場合でも、塗布液中の有機溶剤の割合
は、20重量%を超えないことが好ましい。
【0014】水分散性樹脂を中間接着層に使用する場合
は、界面活性剤を使用して強制分散化することも可能で
ある。界面活性剤にはポリエーテル類のような親水性の
ノニオン成分や、四級アンモニウム塩のようなカチオン
性基を有する自己分散型塗布剤であり、さらに好ましく
は、スルホン酸、カルボン酸、リン酸などの塩を有する
アニオン性基を有するものを挙げることができる。
【0015】本発明の支持体ポリエステルフィルムの中
間接着層には、固着性(ブロッキング性)、耐水性、耐
溶剤性、機械的強度の改良のために架橋剤としてイソシ
アネート系化合物、エポキシ系化合物、オキサゾリン系
化合物、アジリジン化合物、メラミン系化合物、シラン
カップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコ−アル
ミネート系カップリング剤などを含有してもよい。ま
た、中間接着層の樹脂成分に架橋反応点があれば、過酸
化物、アミン類などの反応開始剤や、感光性樹脂などに
増感剤を含有してもよい。
【0016】また、固着性や滑り性改良のために、中間
接着層中に無機系微粒子としてシリカ、シリカゾル、ア
ルミナ、アルミナゾル、ジルコニウムゾル、カオリン、
タルク、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化チタ
ン、硫酸バリウム、カーボンブラック、硫化モリブデ
ン、酸化アンチモンゾルなどを、有機系微粒子としてポ
リスチレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステ
ル、ポリアクリル酸エステル、エポキシ樹脂、シリコー
ン樹脂、フッ素樹脂などを、後述する表面粗さの範囲内
となるように含有していてもよい。さらに、必要に応じ
て消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、有機系
潤滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔
料などを含有していてもよい。
【0017】本発明の中間接着層は、ポリエステルフィ
ルムに塗布することにより形成させるが、塗布方法につ
いては公知の方法が採用される。特に、塗布層とポリエ
ステルフィルムとの密着性を向上させるため、ポリエス
テルフィルムの配向結晶化の完了前に塗布されて、乾燥
・延伸・熱固定を施されたものであることが好ましい。
中間接着層には、サーマルヘッドからの電熱を阻害しな
い薄さ、および接着性に影響を及ぼさない厚み精度が要
求される。このため、ポリエステルフィルムの製膜工程
内で中間接着層の塗布を行い、この後フィルムが延伸さ
れると同時に塗布層も均一に薄くすることが可能な方法
を採用することが好ましい。さらに、薄膜化・厚み精度
の点以外にも、中間接着層と支持ポリエステルフィルム
との密着性の点で有利である。一般に、同じ組成の塗布
液を用いて、ポリエステルフィルムの配向結晶化前に塗
布し、乾燥・延伸・熱固定を施した場合と、配向結晶化
後に塗布し、これを乾燥して付与した場合とでは、塗布
層とポリエステルフィルムとの界面での剥離が、後者の
方が著しい。かかる理由は必ずしも明確ではないが、延
伸・熱固定の際にポリエステル分子鎖は大変動を受ける
が、このときに塗布層が存在すると、塗布層分子とポリ
エステル分子との親和性の良好な部位がお互いに強く結
びつく、あるいは絡み合う結果、密着性がよくなり、一
方、配向結晶化が完了してしまったフィルムでは、もは
やポリエステル分子鎖が大変動する自由度はなく、塗布
層分子との相互作用が少ないため、密着性が低いものと
推測される。
【0018】フィルム製造工程内で塗布する段階として
は、ポリエステル未延伸フィルムに塗布液を塗布し、逐
次あるいは、同時に二軸延伸する場合、一軸延伸された
ポリエステルフィルムに塗布し、さらに先の一軸延伸方
向と直角の方向に延伸する場合、あるいは二軸延伸ポリ
エステルフィルムに塗布し、さらに横および/または縦
方向に延伸する場合などが挙げられる。
【0019】上述の延伸工程は、好ましくは60〜15
0℃で行われ、延伸倍率は、面積倍率で少なくとも4倍
以上、さらに6〜20倍が好ましい。延伸されたフィル
ムは通常150〜250℃で熱処理される。さらに、熱
処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクー
リングゾーンにて縦方向および横方向に0.2〜20%
弛緩することが好ましい。特に、60〜150℃でロー
ル延伸法により2〜6倍延伸された一軸延伸ポリエステ
ルフィルムに塗布液を塗布し、適当な乾燥を施し、ある
いは乾燥を施さずポリエステル一軸延伸フィルムを直ち
に先の延伸方向とは直角方向に80〜150℃で2〜6
倍に延伸し、150〜250℃で1〜600秒間熱処理
を行う方法が好ましい。
【0020】また、前述した塗布液をポリエステルフィ
ルムに塗布する方法としては原崎勇次著、槙書店、19
79年発行、「コーティング方式」に示されるリバース
ロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、
エアドクターコーター等の装置を用いて塗布する方法が
挙げることができる。また必要に応じて、塗布を行う前
にポリエステルフィルムの表面にコロナ処理等の易接着
化処理を行ってもよい。特に塗布液中のワックス成分の
含有量が多くなってポリエステルとの親和性が低下する
場合はかかる処理を行うことが好ましい。
【0021】中間接着層の厚さは、0.01〜2μmの
範囲が好ましく、さらに好ましくは0.02〜1μmの
範囲である。中間接着層の厚さは、熱伝導の点から薄く
するのが好ましいが、0.01μm未満の場合には、ワ
ックスインクとの接着性が不足したり、塗布ムラや塗布
ヌケが発生する問題が生ずることがある。
【0022】また、上記のように形成された塗布層表面
の中心線平均粗さ(Ra)は、ポリエステルフィルムに
添加された粒子の影響も含めてトータルとして、好まし
くは0.005〜0.5μmの範囲であり、さらに好ま
しくは0.02〜0.3μmの範囲であり、最も好まし
くは0.05〜0.1μmの範囲である。Raが0.0
05μm未満では、フィルムの滑り性が不十分となる傾
向があり、作業性が悪化する恐れがある。一方、Raが
0.5μmを超えてもフィルムの滑り性改善効果はすで
に飽和しているばかりか、フィルムの生産性を悪化させ
ることもある。
【0023】本発明の感熱転写用インクリボンの溶融イ
ンク層に熱溶融性物質として用いるワックス成分として
は従来公知のものを用いることができ、中間接着層に含
有させるものと同様のものが例示できるが、中でも特に
融点が40〜110℃の固体または半固体状であるもの
が好ましい。また、樹脂バインダーとしては、ポリエチ
レン、ポリスチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、酢
酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラー
ル、塩化ビニリデン、メタクリル樹脂、あるいはそれら
の共重合ポリマー、ポリエステル、ポリアミド等のポリ
マーを用いることができる。さらに粘着付与剤として、
ロジンおよびその誘導体、ポリテルペン等を用いること
ができる。これらの他、インク層中には、必要に応じて
有機系または無機系の粒子、分散剤、帯電防止剤、潤滑
剤、消泡剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、粘度調
整剤等の添加剤を添加することができる。
【0024】また、溶融ワックスインクに含有させる色
素も、従来公知の色素の中から適宜選択すればよく、例
えば顔料としてカーボンブラックのような無機顔料、ア
ゾ系、縮合多環系の各種有機顔料が用いられ、また染料
として例えばスルホン酸基を含む酸性染料、塩基性染
料、金属錯塩染料、分散染料、油溶性染料等を用いるこ
とができる。
【0025】上記溶融型ワックスインクを、ポリエステ
ルフィルムの片面に、中間接着層を介して付与する手段
は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ
る。例えばワックスインク組成物をホットメルトコーテ
ィングするか、またはこの組成物を適宜の溶媒に溶解ま
たは分散させた塗布液をソルベントコーティングして形
成することができる。
【0026】本発明の感熱転写インクリボンは、ポリエ
ステルフィルムのワックスインクが付与された反対面に
耐熱層を設けられる必要がある。この耐熱層は、サーマ
ルヘッドと接する際に、熱によるスティッキングを防止
する目的で付与されるものであり、これには従来知られ
ている公知のものを使用することができる。例えば、ワ
ックス類・高級脂肪酸およびその誘導体・シリコン系化
合物・フッ素系化合物などの潤滑剤を主成分としたも
の、あるいは無機粒子・架橋有機粒子・フッ素樹脂粒子
を潤滑剤に併用したものなどを用いることができる。
【0027】またこの耐熱層をポリエステルフィルムに
付与する方法は、中間接着層と同様に、ポリエステルフ
ィルムの製膜工程内で、水溶性あるいは水分散体として
塗布した後、乾燥・延伸・熱固定を行う方法を用いても
よいし、配向結晶化が完了したポリエステルフィルム
に、水系あるいは溶剤系の塗布を行った後、乾燥して設
ける方法を用いてもよい。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下
の実施例によって限定されるものではない。なお、実施
例中の評価方法は下記のとおりである。実施例および比
較例中、「部」とあるのは「重量部」を示す。 (1)中心線平均粗さ(Ra) JIS B0601−1976記載の方法に従って行っ
た。測定には小坂研究所(株)製表面粗さ計SE−3F
を用いた。触針径2μm、触針加重30mg、カットオ
フ値0.08mm、測定長2.5mmの条件で、中心線
平均粗さを求め、これを12か所の測定点で行い、この
うち最大値と最小値をそれぞれカットし、10点の平均
値を求めてRaとした。
【0029】(2)低濃度印字時の階調性 作成した溶融転着型インクリボンを、低濃度印字での階
調性を評価するため印字テストを行った。テストには、
昇華型および溶融型転写の両方を行えるプリンター(Vi
ew Photo Witer PRN-11 緑電子(株)製)を用いて行
い、印画紙には上質紙を用いた。パソコンで256色モ
ードの印字テストパターンおよびグラデーションパター
ンを作り、作成した溶融転着型インクリボンと、プリン
ターに付属の昇華型転写リボンとで同じパターンを印刷
して両者を比較して、その画質を次のようにランク付け
した。 ランクA:印字テストパターンの中間色、グラデーショ
ンの低濃度部分ともに昇華型転写リボンでの印字と遜色
ない ランクB:印字テストパターンの中間色、グラデーショ
ンの低濃度部分ともに昇華型転写リボンでの印字より若
干劣る ランクC:印字テストパターンの中間色、グラデーショ
ンの低濃度部分ともに昇華型転写リボンでの印字より劣
る ランクD:印字テストパターンの中間色、グラデーショ
ンの低濃度部分ともににじみが著しい
【0030】実施例1 平均粒径1.2μmのシリカ粒子を0.2重量%含有す
る固有粘度0.66のポリエチレンテレフタレートを2
90℃で溶融押出し無定形シートとした後、ロール延伸
法を用いて縦方向に90℃で4.0倍延伸した後、スル
ホニルイソフタル酸ソーダ変性ポリエステル(互応化学
工業(株)製、商品名RZ−105)水分散体に、軟化
点110℃の酸化ポリエチレンワックスを固形分量比で
ポリエステル成分/ワックス成分が60/40となるよ
うに添加した塗布液をフィルムの片面に塗布した。次い
で、横方向に110℃で4.0倍延伸し、230℃で熱
処理を行い、中間接着層の厚さ0.07μm、支持ポリ
エステルフィルムの厚さ5μmの二軸配向ポリエステル
フィルムを得た。中間接着層表面の中心線平均粗さは
0.065μmであった。
【0031】次に、この支持ポリエステルフィルムの中
間接着層を付与していない面に、耐熱層塗布液(シリコ
ン変性アクリル樹脂10部,フルオロカーボン3部,ト
ルエン50部,キシレン37部)を、乾燥後の厚みで
0.7μmとなるように塗布し、乾燥して耐熱層を設け
た。次いでこのフィルムの中間接着層の上に、下記表1
の組成からなる溶融転着型ワックスインクを、イエロ
ー、マゼンダ、シアン、ブラックの順で、各々3μmの
厚みになるようにホットメルトコーティングにより塗布
した。
【0032】
【表1】
【0033】このように作成した溶融転着型インクリボ
ンを、A4サイズの印刷ができるように裁断した後、巻
き取った。このインクリボンの低濃度印字時の階調性を
評価したところ、ランクAであった。
【0034】実施例2 実施例1において、中間接着層の組成を、ポリエステル
成分/ワックス成分として90/10となるようにした
こと以外は実施例1と同様に製膜を行い、中間接着層の
厚さ0.07μm、支持ポリエステルフィルムの厚さ5
μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。中間接着
層表面の中心線平均粗さは0.065μmであった。次
いでこのフィルムを、実施例1と全く同様に、耐熱層お
よび溶融転着型ワックスインクを付与して、裁断し巻き
取った。このインクリボンの低濃度印字時の階調性を評
価したところ、ランクBであった。
【0035】実施例3 実施例1において、中間接着層の組成を、メチルメタク
リレート・イソブチルメタクリレート・アクリル酸・メ
タクリル酸・グリシジルメタクリレート共重合体アンモ
ニウム塩構造の自己架橋性ハイドロゾル型アクリル系樹
脂(日本純薬(株)製、商品名ジュリマーSEK−72
5)と、スルホニルイソフタル酸ソーダ・テレフタル酸
・イソフタル酸・エチレングリコール・ジエチレングリ
コール共重合ポリエステル(日本合成化学工業(株)
製、商品名ポリエスターWF−901)と、実施例1で
用いた酸化ポリエチレンワックスとの混合物水分散体と
し、固形分重量比をアクリル成分/ポリエステル成分/
ワックス成分(10/40/50)とする以外は実施例
1と同様に製膜を行い、中間接着層の厚さ0.07μ
m、支持ポリエステルフィルムの厚さ5μmの二軸配向
ポリエステルフィルムを得た。中間接着層表面の中心線
平均粗さは0.065μmであった。次いでこのフィル
ムを、実施例1と全く同様に、耐熱層および溶融転着型
ワックスインクを付与して、裁断し巻き取った。このイ
ンクリボンの低濃度印字時の階調性を評価したところ、
ランクAであった。
【0036】実施例4 実施例1における、中間接着層の組成をポリエステル成
分/ワックス成分(65/35)とし、中間接着層の反
対面に、シリコン変性アクリルグラフト樹脂(東亜合成
化学工業(株)製、商品名サイマックUS−450)水
分散体を用いて、中間接着層用塗布液と耐熱層用塗布液
を、縦方向の延伸を行った後のフィルムの表裏に同時に
塗布し、次いで実施例1と同様に横方向の延伸および熱
固定を行い、中間接着層の厚さ0.07μm、耐熱層厚
み0.11μm、支持ポリエステルフィルムの厚さ5μ
mの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。中間接着層
表面の中心線平均粗さは0.065μmであった。次い
でこのフィルムを、実施例1と全く同様に、中間接着層
表面に溶融転着型ワックスインクを付与して、裁断し巻
き取った。このインクリボンの低濃度印字時の階調性を
評価したところ、ランクAであった。
【0037】比較例1 実施例1において、中間接着層の水分散体を塗布しない
ほかは全く同様に製膜を行って、厚さ5μmの二軸配向
ポリエステルフィルムを得た。フィルム表面の中心線平
均粗さは0.070μmであった。次にこのフィルムを
支持ポリエステルフィルムとして、その片面に耐熱層、
反対面に溶融転着型ワックスインクを、それぞれ実施例
1と全く同様に付与して、裁断し巻き取った。このイン
クリボンの低濃度印字時の階調性を評価したところ、ラ
ンクDであった。中間接着層を持たないこのインクリボ
ンは、昇華型リボンでの印字と比べて、低濃度印字部お
よび中間色印字部の画質が劣るものであった。
【0038】比較例2 実施例3において、中間接着層の組成を、ポリエステル
成分を含有させず、アクリル成分/ワックス成分(70
/30)とし、実施例4と同様に製膜を行い、中間接着
層の厚さ0.07μm、耐熱層厚み0.11μm、支持
ポリエステルフィルムの厚さ5μmの二軸配向ポリエス
テルフィルムを得た。中間接着層表面の中心線平均粗さ
は0.065μmであった。次いでこのフィルムを、実
施例1と同様に、中間接着層表面に溶融転着型ワックス
インク、反対面に耐熱層を付与して、裁断し巻き取っ
た。このインクリボンの低濃度印字時の階調性を評価し
たところ、ランクCであった。このインクリボンは、本
発明の範囲外の中間接着層組成であるため、フィルムと
中間接着層との接着力が不十分であり、印字の画質が劣
るものであった。
【0039】比較例3 実施例1において、中間接着層の組成をポリエステル成
分/ワックス成分(20/80)とした以外は実施例1
と同様に製膜を行い、中間接着層の厚さ0.08μm、
支持ポリエステルフィルムの厚さ5μmの二軸配向ポリ
エステルフィルムを得た。中間接着層表面の中心線平均
粗さは0.08μmであった。次いでこのフィルムを、
実施例1と同様に、中間接着層表面に溶融転着型ワック
スインク、反対面に耐熱層を付与して、裁断し巻き取っ
た。このインクリボンの低濃度印字時の階調性を評価し
たところ、ランクCであった。このインクリボンは、本
発明の範囲外の中間接着層組成であるため、中間接着層
とポリエステルフィルムとの接着力が不十分であり、印
字の画質が劣るものであった。
【0040】比較例4 実施例1において、中間接着層の組成をポリエステル成
分/ワックス成分(95/5)とした以外は実施例1と
同様に製膜を行い、中間接着層の厚さ0.07μm、耐
熱層厚み0.11μm、支持ポリエステルフィルムの厚
さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。中間
接着層表面の中心線平均粗さは0.065μmであっ
た。次いでこのフィルムを、実施例1と同様に、中間接
着層表面に溶融転着型ワックスインク、反対面に耐熱層
を付与して、裁断し巻き取った。このインクリボンの低
濃度印字時の階調性を評価したところ、ランクCであっ
た。このインクリボンは、本発明の範囲外の中間接着層
組成であるため、中間接着層とインク層との接着力が不
十分であり、印字の画質が劣るものであった。以上、得
られた結果をまとめて下記表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】本発明の感熱転写用インクリボンは、溶
融転着型ワックスインクリボンでありながら、低濃度印
字の際にインク層がすべて支持フィルムから剥離するこ
とがなく、十分にインクの付着する面積を小さくできる
ものである。この結果、中間色および低濃度印字の際に
も、細かい面積階調が可能となり、フルカラー印刷にお
いても高精細な画像が得られるものであり、その工業的
価値は高い。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの一方の面に中間
    接着層、その上に溶融転着型ワックスインク層を順次設
    け、前記ポリエステルフィルムのもう一方の面に耐熱層
    を設けた構造を有する感熱転写用インクリボンにおい
    て、前記中間接着層が、水溶性または水分散性ポリエス
    テル樹脂とワックスとを含有する塗布層であって、塗布
    層成分に対するポリエステル樹脂成分の固形分濃度が3
    0〜90重量%、ワックス成分の固形分濃度が10〜7
    0重量%であることを特徴とする感熱転写用インクリボ
    ン。
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