JP2020117691A - ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】印画時に耐ヘッドカス性が優れたポリエステルフィルムを提供すること【解決手段】下記(1)および(2)を満たすワックスを片面に有するポリエステルフィルム。(1)空気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で300℃まで熱質量分析測定した際の、質量減少量が1.0質量%未満であること。(2)25℃の針入度が4〜10であること。【選択図】なし
Description
本発明は、片面にワックスを有するポリエステルフィルムに関する。
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートなどを用いたポリエステルフィルムは、機械特性、耐熱性、寸法安定性、耐薬剤性、コストパフォーマンス性などに優れることから、その性能を活かして多くの用途に使用されている。そのひとつに熱転写用リボンの基材が挙げられる。熱転写記録方式は、コストパフォーマンスやメンテナンス性、操作性などに優れることからFAX、バーコード印刷といった分野に用いられているが、近年はカラー熱転写インクを用いることで、高精細、高画質などの特性も加わり、カラー熱転写プリンターなどにも用いられている。
これらの熱転写方式は、顔料、染料等の色材と結合剤とを含む熱転写層を基材のポリエステルフィルム上に設けた熱転写インクリボンを受像シートと重ね、該熱転写インクリボンの裏側からサーマルヘッドにより熱を与え、前記熱転写層を溶融させて前記受像シート上に融着させることにより、該受像シート上に画像を形成する方式である。
熱転写インクリボンは、上記のとおりサーマルヘッドにより熱が加えられるため、熱転写インクリボン用に用いられるフィルムには、耐熱性が求められる。また、印画時におけるサーマルヘッドとポリエステルフィルムとの滑り(耐スティック性)を良好にし、画質を向上させる観点から、熱転写インクリボン用に用いられるフィルムには、滑り性も求められる。上記の特性を有するフィルムを得るために、耐熱性、耐スティック性の良好な滑性層を前記ポリエステルフィルム上に設けることが一般的に行われてきた。
また、ワックスを設けるフィルムの基材中にさらにワックスを添加して滑性性を向上させる方法(特許文献1)や、フィルムの静摩擦係数や3次元粗さを規定することでより耐スティック性に優れた滑性層を設ける方法(特許文献2)が検討されてきた。
この滑性層は耐スティック性を有するだけでなく、サーマルヘッドとの間でのヘッドカスの発生を抑制する特性(耐ヘッドカス性)を有することが好ましい。ヘッドカスとは、サーマルヘッドの押圧により、基材に設けられるワックスや、さらには基材となるフィルムが削られたりすることによって発生する。熱転写インクリボンのサーマルヘッドには、種々のタイプが存在し、受像シートとサーマルヘッドの接触の仕方によって、タイプが分かれている。例えば、受像シートとサーマルヘッドが平面的に接触する平面タイプのプリンターや、受像シートとサーマルヘッドが真上から押し当てる線で接触する端面タイプや角度をつけて接触するエッジタイプのプリンターなどがある。受像シートとサーマルヘッドが真上から押し当てる線で接触する端面タイプや角度をつけて接触するエッジタイプのプリンターは、受像シートとサーマルヘッドが平面的に接触する平面タイプのプリンターに比べて、記録メディア(用紙など)へ接する部分が面から線になることによって、単位面積当たりの荷重が大きくなるため、ヘッドカスが発生しやすくなる。このヘッドカスの発生は印画に影響するだけでなく、記録メディア側に混入することで品質問題を起こす可能性があり、発生を抑える必要がある。ヘッドカスの発生を低減させる試みとしてシリコンを含有する滑性層を設ける等行われてきたが、シリコンを含有する滑性層がインク層へ転写する問題や、シリコンを含有する滑性層は相性の良いインクが限られるという問題がある。そのため、ワックスを含有する滑性層でのヘッドカス低減が望まれていた。そこで、本発明はかかる問題を解決し、印画時に耐ヘッドカス性が優れたポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成をとる。すなわち、
(あ)下記(1)および(2)を満たすワックスを片面に有するポリエステルフィルム。
(1)空気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で300℃まで熱質量分析測定した際の、質量減少量が1.0%未満であること。
(2)25℃の針入度が4〜10であること。
(い)前記ワックスを有する面の140℃における動摩擦係数が0.020〜0.120であり、340℃における動摩擦係数が0.050〜0.150である、(あ)に記載のポリエステルフィルム。
(う)前記ワックスの厚みは、1nm〜50nmである、(あ)または(い)に記載のポリエステルフィルム。
(え)ポリエステルフィルムの厚みが1.5μm〜10.0μmである、(あ)〜(う)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
(お)熱転写リボンの基材層に用いられる、(あ)〜(え)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
(あ)下記(1)および(2)を満たすワックスを片面に有するポリエステルフィルム。
(1)空気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で300℃まで熱質量分析測定した際の、質量減少量が1.0%未満であること。
(2)25℃の針入度が4〜10であること。
(い)前記ワックスを有する面の140℃における動摩擦係数が0.020〜0.120であり、340℃における動摩擦係数が0.050〜0.150である、(あ)に記載のポリエステルフィルム。
(う)前記ワックスの厚みは、1nm〜50nmである、(あ)または(い)に記載のポリエステルフィルム。
(え)ポリエステルフィルムの厚みが1.5μm〜10.0μmである、(あ)〜(う)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
(お)熱転写リボンの基材層に用いられる、(あ)〜(え)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
本発明のフィルムを熱転写リボン用に用いられる際に、印画時のヘッドカスの発生量を飛躍的に低減せしめることができる。
本発明に係るポリエステルフィルムに用いられるポリエステルは、延伸に伴う分子配向によって高強度フィルムとなり得るポリエステルであればよい。ポリエチレンテレフタレート、もしくはポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。これらはポリエステル共重合体であってもよいが、その繰り返し構造単位のうち、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレートもしくはエチレン−2,6−ナフタレートであることが好ましい。他のポリエステル共重合体成分としては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、p−キシレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール成分、またはアジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分、ないしはトリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能ジカルボン酸成分やp−ヒドロキシエトキシ安息香酸などが挙げられる。また、上記のポリエステルに、該ポリエステルと反応性のないスルホン酸のアルカリ金属塩誘導体、あるいは該ポリエステルに不溶なポリアルキレングリコールや脂肪族ポリエステルなどのうち一種以上を、5%を超えない程度ならば共重合ないしブレンドしてもよい。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの片面にワックスを有してなるフィルムであることが必要である。この構成とすることで、熱転写インクリボンとした際のサーマルヘッドとインクリボンの走行性が良好となる。
本発明のポリエステルフィルムの片面に有するワックスは、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で300℃まで熱質量分析測定した際の、質量減少量が1.0%未満であることが必要である。好ましくは、0.5%以下である。下限は設ける必要がないが、実質的に揮発および分解成分がないことが好ましいため、現実的には0.0001%である。この質量減少量とすることで、ワックス由来のヘッドカスの発生を抑えることができる。例えば熱転写リボンに用いた際、サーマルヘッドからの押圧が強くなってもヘッドカスの発生を抑制し、熱転写インクリボンと印画紙との間にヘッドカスが入り込まず印画性を良好なものとせしめることが可能である。300℃までの質量減少率が1.0%以上になると、サーマルヘッドと熱転写インクリボンの間でワックス成分の揮発および分解物の発生量が多くなる。ワックス成分の揮発および分解物が発生すると、サーマルヘッド部へ分解物が付着するところ、分解物を除去するには頻繁にヘッドクリーニングを実施する必要が生じる。ワックス成分の揮発および分解物が多量に発生するとヘッドクリーニングを実施しても付着物の除去が困難となることもある。サーマルヘッド部へのワックス成分の揮発成分および分解物の付着は短期的には印画性に大きな影響を与えないものの、長期間使用での印画を行う際には、サーマルヘッドに付着した分解物がより印画性に影響を与えるヘッドカスとなる。当該サーマルヘッドに付着したヘッドカスは、サーマルヘッドからの押圧で熱転写インクリボンを介して受像シートに凹凸欠陥となり印画性に影響を及ぼす場合がある。
本発明のポリエステルフィルムの片側の表面に有するワックスの厚みは、1nm〜50nmであることが好ましい。1nm〜50nmであると、熱転写インクリボンとした際のサーマルヘッドとの接触時の滑り(耐スティック性)が良好となる。耐スティック性の観点から下限は、10nm以上であることが好ましく、さらに好ましくは20nm以上である。1nm未満では十分な耐スティック性が得られない場合があり、熱転写インクリボンがシワとなり印画性に影響を与える場合がある。50nmより厚いとサーマルヘッドとの間でのヘッドカス発生量が多くなり、印画に影響を及ぼす場合がある。ここでいうワックスの厚みとは、後述する測定方法において、フィルム断面を観察することにより求めることができるものである。
本発明のポリエステルフィルムの片側の表面に有するワックスは、印画時のサーマルヘッドとの融着を防止する点、熱転写インクとのブロッキングを防止する点で滑性層として必要である。ワックスは、市販の各種のワックス、例えば石油系ワックス、植物性ワックス、動物系ワックス、低分子量ポリオレフィン類などを使用することができ、特に制限されるものではないが、石油系ワックスの使用が易滑性の点で好ましい。
石油系ワックスとしてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム、酸化ワックスなどが挙げられるが、マイクロクリスタリンワックスが特に好ましい。マイクロクリスタリンワックスは主として原油の減圧蒸留残渣油分から取り出されるワックスで、構成している炭化水素は分岐炭化水素や飽和環状炭化水素が多いため、同分子量のパラフィンワックスに比べ耐熱性、特に、300℃までのワックス成分の揮発および分解物によるヘッドカス発生量が少ないため好ましい。
ワックスは、マイクロクリスタリンワックスと、フィッシャートロプシュワックスおよび/または酸化ワックスを混合して用いることが、針入度およびサーマルヘッドとの間でのワックス成分の揮発および分解物によるヘッドカス発生量を少なくできる点で好ましい。上記ワックスの混合比率は、質量比で、マイクロクリスタリンワックス:フィッシャートロプシュワックスと酸化ワックスの和=20:80〜80:20であることが好ましい。マイクロクリスタリンワックスが20%未満であると、ワックス成分の揮発および分解物によるヘッドカス発生量が多くなる場合がある。また、80%を超えると針入度が大きくなるためワックスコートで形成される被膜が柔らかくなりすぎ、ワックスコートおよび基材であるポリエステルフィルムが削れ、ヘッドカスが発生しやすくなる場合がある。より好ましくは、質量比で、マイクロクリスタリンワックス:フィッシャートロプシュワックスと酸化ワックスの和=30:70〜70:30であることが好ましい。また、別の好ましい態様としては、マイクロクリスタリンワックスとフィッシャートロプシュワックスを少なくとも混合して用い、その混合比率は、質量比で、マイクロクリスタリンワックス:フィッシャートロプシュワックス=40:60〜60:40であることが挙げられる。
上記ワックスには本発明の効果を阻害しない範囲内で各種添加剤を併用することができる。例えば帯電防止剤、耐熱剤、耐酸化防止剤、有機、無機の粒子、顔料などを用いることができる。
また、本発明のワックス中にはシリコンを含有しないことが好ましい。ワックス中にシリコンを含有する滑性層がインク層へ転写する問題や、シリコンを含有する滑性層は相性の良いインクが限られるという問題があるためである。
本発明のポリエステルフィルムのワックスは、25℃の針入度が4〜10であることが必要である。針入度が該範囲であると、ヘッドカスを低減することができる。25℃の針入度のより好ましい範囲は、6〜10である。針入度は、後述する測定方法により求められる硬さを表す指標であり、この値が小さいほど硬いことを表す。25℃の針入度が4より小さいと、後述するフィルムの製造後に設けられるワックスコートで形成される被膜が硬くなりすぎるため、熱転写インクリボンとした後に、サーマルヘッドとワックス層が接触した際、ワックスが脆く削れやすくヘッドカスが発生しやすくなる場合がある。一方、25℃の針入度が10より大きいと、ワックスコートで形成される被膜が柔らかくなりすぎるため、熱転写インクリボンとした際のサーマルヘッドの熱転写インクリボンへの押圧により、ワックスコートが削れるばかりか、基材であるポリエステルフィルムまで削れてしまい、さらにヘッドカスが発生しやすくなる場合がある。なお、ワックスの25℃の針入度は、用いるワックスの種類、混合比率により制御することができる。例えば、ワックス全体にしめる低融点のワックスの混合比率を高くすると、針入度を高くすることができる。低融点のワックスとしては、マイクロクリスタリンワックスが知られており、市販されている。
片面の表面にワックスを有してなるポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの片面に、ワックスを含んでなる塗液を塗布した後、乾燥することにより得ることが好ましい。ここで、塗液中のワックス濃度(固形分濃度)は、0.1質量%〜7.0質量%であることが好ましく、さらに好ましくは、1.0質量%〜5.0質量%とすることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、ワックスを有する表面の140℃における動摩擦係数が0.020〜0.120であることが好ましい。また、340℃における動摩擦係数が0.050〜0.150であることが好ましい。該ワックスを有するフィルム表面の動摩擦係数を上記の範囲とすることで、耐スティック性を付与したままヘッドカスの発生を抑制することが可能となる。ワックスを有する表面の動摩擦係数とは、加熱したソーダガラスとワックスを有するポリエステルフィルム表面との摩擦係数をいい、ソーダガラスとの動摩擦係数において上記の範囲とすることで、耐スティック性、ヘッドカスの低減性が特に優れたものとなる。140℃における動摩擦係数が0.120を超えると、また、340℃における動摩擦係数が0.150を超えると、フィルム表面での摩擦が大きく、耐スティック性が悪化する場合がある。また、140℃における動摩擦係数が0.020未満であると、また、340℃における動摩擦係数が0.050未満であると、耐スティック性は向上するが、全体に占めるワックスの量が高くなるため、ヘッドカスの発生量が増える場合がある。ワックスを有する表面の動摩擦係数を上記の範囲とする方法は特に限られるものでは無いが、ポリエステルフィルム中に含有する粒子の量を特定の範囲とすることや、フィルムの表面を特定の分散径に分散させたワックスを含む塗液を均一に塗布することによって達成できる。140℃における動摩擦係数は、より好ましくは0.030〜0.120である。また、340℃における動摩擦係数は、より好ましくは0.090〜0.150である。
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、1.5μm〜10.0μmであることが好ましい。1.5μm未満であると、熱転写リボンにした際に、印画シワ、穴あき等が発生しやすくなる場合がある。一方、10.0μmより厚いと、熱転写リボンにした際に印画感度が低くなる場合がある。ポリエステルフィルムの厚みは、より好ましくは2.0μm〜8.0μmである。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、フィルムの表面にワックスを設けるために、水分散させて塗布液を塗布する方法が上げられ、例えば、バーコート法、グラビアコート法があげられる。
本発明のポリエステルフィルムは、フィルムの少なくとも片側の表面上にワックスが点状(島状)に分布していることが、ヘッドカス発生抑制性優れるため好ましい。しかしながら、従来公知のバーコート法でただ単にポリエステルフィルムの片面にワックスを含む塗布液を塗布しただけでは、塗布液の表面張力により均一に塗布しにくいため、ワックスを点状に分布させることは困難である。一方、従来公知のグラビアコート法で塗布した場合には、均一に塗布することができるが、特定の分散径に分散させたワックスを塗布しなければ上記動摩擦係数を達成することが出来ない場合がある。特定の分散径に分散させたワックスとは、ワックスが水に溶解しているか、ワックスが水に分散している状態で、0.01μm〜0.3μmのワックスの粒子状物(分散体)が液体に浮遊あるいは懸濁している状態を示す。このワックスの粒子状物の平均分散径は0.2μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm〜0.2μmである。これは平均分散径が大きなワックスを含有する塗液を塗布に用いると、乾燥後にフィルムの表面上に分布する際にワックスの厚みが厚くなったり、均一に分布しないためにヘッドカスの量が増えてしまう場合がある。また、その分散径が小さすぎると、耐スティック性に劣る場合がある。
本発明のポリエステルフィルムは、粒子を含有することが好ましい。粒子をフィルム中に含有せしめると、フィルムの表面に粒子が析出し、突起を形成する。該表面にワックスを含む塗液を塗布すると、析出した粒子の表面張力によって粒子周辺にワックスが集まり、その状態で乾燥、更に200℃以上の温度で熱処理することで、ワックスが突起の頂上にのみ残った形になり、ワックスを効率よく点状(島状)に分布させることができる。上記効果により効率的にすべり性を付与できる。
基材のポリエステルフィルムに含有する粒子量は、フィルムの厚みやフィルムの表面に析出させる量にもよるが、フィルムの最終的に得られる厚みが1.5μm〜10.0μmである場合には、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して、0.1質量%〜0.7質量%含有させることが好ましい。0.1質量%未満では、フィルム表面に十分に粒子が析出されないため、すべり性が低く、耐スティック性に劣る場合がある。粒子含有量が0.7質量%を超えると、ポリエステルフィルムが破れやすくなり、製膜性が著しく低下する場合がある。
塗布液を塗布する前のフィルムの表面の放電処理としては、特開2012−206045号公報に開示される放電処理などが例に挙げられ、放電処理にムラが発生しないように処理を施すことが好ましいとされるが、本発明においてはフィルムの表面に放電処理を施さないことで、特に顕著な効果を得ることが出来る。放電処理を施さないことで、ワックス粒子をフィルム表面の突起の頂上に集める形で乾燥させることができ、効率的にすべり性を付与できる。
本発明のポリエステルフィルムは、粒子を含有し、該粒子がポリエステルフィルムの表面に露出していることが好ましい。さらに、該粒子の頂上にワックスを有することが好ましい。
フィルムに添加する粒子種は、特に限定されるものではないが、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、硫酸バリウムなどがあげられ、中でも細孔容積が高く、吸油性能が高く、二次粒子の凝集性が高いゲル法シリカによって製造された細孔シリカであることが好ましい。粒子の細孔容積は、1.0ml/g〜3.0ml/gである粒子ことが好ましい。
添加する粒子の大きさは、フィルムの厚みによっても変わるが、本発明のフィルムの厚みが1.5μm〜6μmである場合には、粒子の大きさは、2μm〜4μmであることが好ましい。粒子の大きさが小さすぎると、フィルムの表面に露出する粒子の高さが低くなり、効率よくすべり性を付与できない場合がある。また、粒子の大きさが大きすぎると、ポリエステルフィルムが破れやすくなり、製膜性が著しく低下する場合がある。なお、本発明でいう粒子の大きさとは、後述する測定方法により求められる平均粒子径のことを表す。
本発明のポリエステルフィルムは、ワックスを有する面の三次元表面粗さSRaは20nm〜70nmであることが好ましい。20nm未満では十分な滑り性が得られず、サーマルヘッドと基材であるポリエステルフィルムとの融着、サーマルヘッドが基材にひっかかることによる印画時の破れや穴あき等が発生する場合がある。70nmより大きいと、フィルム中に大量に粒子を含有させる必要があり、フィルム破れが発生しやすくなる等、製膜性が悪化する場合がある。
本発明におけるポリエステルフィルムは、ワックスを有する表面の25℃における動摩擦係数が0.080〜0.300であることが好ましい。25℃における動摩擦係数が0.30を超えると、フィルムロールにする際にエア抜けが悪くシワなく巻き上げることが困難になる場合がある。0.080未満では、エア抜けは良好になるが、ワックスによってフィルムが滑りすぎ、フィルムロールとする際にシワ等の欠点なく巻き上げることが困難になる場合がある。
本発明のポリエステルフィルムは、インク層、基材層、滑性層をその順に有する熱転写リボンに用いられることが好ましい。ここで、滑性層とは、基材層の片面に設けられ、サーマルヘッドとの熱融着を防止し、円滑なプリント走行性を付与させる層である。基材層とは、熱転写リボンを支持する層であり、片面にインク層が設けられ、インク層側とは反対の面に滑性層を有する層である。
本発明のポリエステルフィルムを熱転写リボンに用いる場合、ワックスを有する表面が滑性層であることが好ましい。ワックスを有する表面を滑性層とすることにより、走行性
に優れた滑性層が得られるためである。
に優れた滑性層が得られるためである。
本発明のポリエステルフィルムを製造するためには、以下に示した工程によって製造できるが、これに限定されるものではない。
ポリエステルフィルムの製造方法については、押出機を有する製膜装置において、粒子を含有するポリエステル樹脂を充分に真空乾燥した後に、270℃〜300℃に加熱された押出機に供給し、溶融された樹脂シートを表面温度10℃〜60℃に冷却されたドラム上で静電気によって密着冷却固化し、未延伸フィルムを作成する。該未延伸フィルムを80℃〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方向に4.0倍〜6.0倍延伸し、20℃〜30℃のロール群で冷却する。
本発明のポリエステルフィルムは、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルム少なくとも片面に、ワックスを含んでなる塗液を塗布した後、前記ポリエステルフィルムを少なくとも一軸方向に延伸し、その後、ポリエステルフィルムに熱処理を施して、該ポリエステルフィルムの結晶配向を完了させる工程により得られることが好ましい。この方法によれば、ポリエステルフィルムの製膜と、ワックスを含む塗液の塗布乾燥を同時に行うことができるため、歩留りを良くすることができ、また、ワックスを均一に分布させることができるため、好ましい。乾燥は、90℃以上で熱することによって、塗液中の溶媒(水)を蒸発させる(乾燥させる)ことができる。塗液の溶媒は、フィルム生産時ならびに加工時における防爆性、環境汚染防止の観点から水であることが好ましい。
次に、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き90℃〜140℃に加熱した雰囲気中で長手方向に垂直な方向に2倍〜5倍、横延伸する。
本発明におけるテンター内で予熱時にフィルムに当てる風速は15m/秒未満であることが好ましい。より好ましくは10m/秒未満であることが好ましい。15m/秒以上の風速で予熱をすると熱風により塗布状態が乱され、均一なワックスの分布の妨げとなるため好ましくない。
こうして得られたフィルムの平面性や寸法安定性を付与するために、200℃〜240℃で熱処理することが好ましい。熱処理温度が低すぎると、熱結晶化が十分進まず、結晶性の低いフィルムとなる場合がある。また、ワックスを突起の頂上にのみ分布させることができない場合がある。温度が高すぎると、熱結晶化が進みすぎ、延伸で進行した分子鎖の配向が低下してしまう場合がある。上記熱処理工程後に100℃〜150℃で幅方向に2%〜5%弛緩させて、ポリエステルフィルムを得ることができる。
本発明のポリエステルフィルムの製造方法によれば、フィルムの製造時や加工時における走行安定性に優れ、印画時に優れた耐スティック性に優れ、ヘッドカスの発生が極めて少ないポリエステルフィルムを提供することが可能となる。
[特性の測定方法・評価方法]
(a)動摩擦係数
動摩擦係数測定器(フジコピアン社製)を用い、12.7mm幅に裁断したフィルムに対し、次の条件で測定を行った。測定は3回行い、その平均値を動摩擦係数とした。
張力 0.98(N)
測定速度 2.5(mm/s)、25℃、140℃測定時
200(mm/s)、340℃測定時
(b)三次元表面粗さ(SRa)
フィルムの表面について、3次元表面粗さ計(小坂研究所製、ET−30HK)を用い、次の条件で触針法により測定を行った。
針径 2(μmR)
針圧 10(mg)
測定長 500(μm)
縦倍率 20000(倍)
CUT OFF 低域:0.25mm、高域:R+W
測定速度 100(μm/s)
測定間隔 5(μm)
記録本数 80本
ヒステリシス幅 ±0(nm)
基準面積 0.2(mm2)。
(a)動摩擦係数
動摩擦係数測定器(フジコピアン社製)を用い、12.7mm幅に裁断したフィルムに対し、次の条件で測定を行った。測定は3回行い、その平均値を動摩擦係数とした。
張力 0.98(N)
測定速度 2.5(mm/s)、25℃、140℃測定時
200(mm/s)、340℃測定時
(b)三次元表面粗さ(SRa)
フィルムの表面について、3次元表面粗さ計(小坂研究所製、ET−30HK)を用い、次の条件で触針法により測定を行った。
針径 2(μmR)
針圧 10(mg)
測定長 500(μm)
縦倍率 20000(倍)
CUT OFF 低域:0.25mm、高域:R+W
測定速度 100(μm/s)
測定間隔 5(μm)
記録本数 80本
ヒステリシス幅 ±0(nm)
基準面積 0.2(mm2)。
(c)耐スティック性評価、ヘッドカス評価、ヘッドクリーニング性評価
フィルムのワックスが設けられている面とは反対の転写層の面に、120℃で溶融攪拌した次に示す溶融型インクを、最終的に得られるインク層の厚みが2.0μmになるようにホットメルトコーターにて約100℃で塗布し、熱転写リボンを作成した。
(溶融型インク)
カルナウバワックス (カルナバ1号、東洋アドレ社製):30質量部
パラフィンワックス(HNP−10、日本精蝋社製):35質量部
カーボンブラック(MA−8、三菱化学社製):15質量部
エチレン酢酸ビニル共重合体(MB−11、住友化学社製):10質量部
<耐スティック性評価>
熱転写リボンを熱転写プリンター(ゼブラテクノロジーズ社製プリンターZebra 140 Xi III)で印画し、印画中に耐スティック性について確認を行い、次の基準で評価した。
○:融着無く、スムーズに走行。
△:軽く融着したが、シワなく走行した。
×:融着してシワが発生した。
<ヘッドカス評価>
ヘッドカス評価については、<耐スティック性評価>で用いた熱転写プリンターで10万回印画後、熱転写プリンターのサーマルヘッドを確認し、次の基準で評価した。
○:サーマルヘッドへのヘッドカスの付着が極めて少なく、目視で付着が確認できない。
△:サーマルヘッドへのヘッドカスの付着が少なく、目視でわずかに確認ができるがサーマルヘッドからヘッドカスの脱落がない。
×:サーマルヘッドへのヘッドカスの付着が目視で容易に確認でき、サーマルヘッドからヘッドカスが脱落する。
<ヘッドクリーニング性評価>
ヘッドクリーニング性評価については、<耐スティック性評価>で用いた熱転写プリンターで100回印画後、当該熱転写プリンターのヘッドクリーニング機能を使用した後、熱転写プリンターのサーマルヘッドを確認し、次の基準で評価した。
○:サーマルヘッドへの付着が極めて少なく、1回のヘッドクリーニングで容易に除去可能。
△:サーマルヘッドへの付着はあるが、2〜3回のヘッドクリーニングで除去可能。
×:サーマルヘッドへの付着が多く、4回以上ヘッドクリーニングしても除去困難。
フィルムのワックスが設けられている面とは反対の転写層の面に、120℃で溶融攪拌した次に示す溶融型インクを、最終的に得られるインク層の厚みが2.0μmになるようにホットメルトコーターにて約100℃で塗布し、熱転写リボンを作成した。
(溶融型インク)
カルナウバワックス (カルナバ1号、東洋アドレ社製):30質量部
パラフィンワックス(HNP−10、日本精蝋社製):35質量部
カーボンブラック(MA−8、三菱化学社製):15質量部
エチレン酢酸ビニル共重合体(MB−11、住友化学社製):10質量部
<耐スティック性評価>
熱転写リボンを熱転写プリンター(ゼブラテクノロジーズ社製プリンターZebra 140 Xi III)で印画し、印画中に耐スティック性について確認を行い、次の基準で評価した。
○:融着無く、スムーズに走行。
△:軽く融着したが、シワなく走行した。
×:融着してシワが発生した。
<ヘッドカス評価>
ヘッドカス評価については、<耐スティック性評価>で用いた熱転写プリンターで10万回印画後、熱転写プリンターのサーマルヘッドを確認し、次の基準で評価した。
○:サーマルヘッドへのヘッドカスの付着が極めて少なく、目視で付着が確認できない。
△:サーマルヘッドへのヘッドカスの付着が少なく、目視でわずかに確認ができるがサーマルヘッドからヘッドカスの脱落がない。
×:サーマルヘッドへのヘッドカスの付着が目視で容易に確認でき、サーマルヘッドからヘッドカスが脱落する。
<ヘッドクリーニング性評価>
ヘッドクリーニング性評価については、<耐スティック性評価>で用いた熱転写プリンターで100回印画後、当該熱転写プリンターのヘッドクリーニング機能を使用した後、熱転写プリンターのサーマルヘッドを確認し、次の基準で評価した。
○:サーマルヘッドへの付着が極めて少なく、1回のヘッドクリーニングで容易に除去可能。
△:サーマルヘッドへの付着はあるが、2〜3回のヘッドクリーニングで除去可能。
×:サーマルヘッドへの付着が多く、4回以上ヘッドクリーニングしても除去困難。
(d)粒子の含有量
フィルム1gを1N−KOHメタノール溶液200mlに投入して加熱還流し、溶解させた。溶解が終了した該溶液に200mlの水を加え、次いで該液体を遠心分離器にかけて不活性粒子を沈降させ、上澄み液を取り除いた。粒子にはさらに水を加えて洗浄、遠心分離を2回繰り返した。このようにして得られた粒子を乾燥させ、粒子の含有量を算出した。
フィルム1gを1N−KOHメタノール溶液200mlに投入して加熱還流し、溶解させた。溶解が終了した該溶液に200mlの水を加え、次いで該液体を遠心分離器にかけて不活性粒子を沈降させ、上澄み液を取り除いた。粒子にはさらに水を加えて洗浄、遠心分離を2回繰り返した。このようにして得られた粒子を乾燥させ、粒子の含有量を算出した。
(e)粒子の平均粒子径
JIS−H7804(2005)に従い走査電子顕微鏡(SEM)で倍率50000倍にて、樹脂(フィルム)に添加する前の各粒子について、100個ずつ任意に粒子径の測定をし、数平均粒子径を求めた値をいう。(粒子が球状でない場合には、最も形状の近い楕円に近似させ、その楕円の(長径+短径)/2にて求める)。
JIS−H7804(2005)に従い走査電子顕微鏡(SEM)で倍率50000倍にて、樹脂(フィルム)に添加する前の各粒子について、100個ずつ任意に粒子径の測定をし、数平均粒子径を求めた値をいう。(粒子が球状でない場合には、最も形状の近い楕円に近似させ、その楕円の(長径+短径)/2にて求める)。
(f)ポリエステルフィルム、ワックスの厚み
日立製作所(株)製透過型電子顕微鏡HU−12型を用い、ワックスを設けたフィルムの断面を観察した写真から、ポリエステルフィルムの厚みと、最大となるワックスの厚みを求めた。ポリエステルフィルムの厚みは測定視野内で、ワックスを含まないポリエステルフィルムの任意の点10点の厚みの平均値とした。また、ワックスの厚みは、一つの視野領域における最大のワックスの厚みの20点の平均値とした。
日立製作所(株)製透過型電子顕微鏡HU−12型を用い、ワックスを設けたフィルムの断面を観察した写真から、ポリエステルフィルムの厚みと、最大となるワックスの厚みを求めた。ポリエステルフィルムの厚みは測定視野内で、ワックスを含まないポリエステルフィルムの任意の点10点の厚みの平均値とした。また、ワックスの厚みは、一つの視野領域における最大のワックスの厚みの20点の平均値とした。
(g)ワックスの粒子状物の平均分散径
島津製作所(株)製島津ナノ粒子径分布測定装置SALD−7500を用いて、ワックスの粒子状物の平均分散径について求めた。
島津製作所(株)製島津ナノ粒子径分布測定装置SALD−7500を用いて、ワックスの粒子状物の平均分散径について求めた。
(h)熱質量分析(TGA)
固形状のワックスを秤量し、島津製作所社製熱質量分析装置(TGA−50)を用い、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で、室温から400℃まで昇温させ、吸湿分の影響を考慮し、100℃時点をゼロ点とし、300℃での質量減少率%を求めた。これを3回繰り返し、質量減少量の3回の測定結果の平均を熱質量分析(TGA)とし、以下のように判定した。
固形状のワックスを秤量し、島津製作所社製熱質量分析装置(TGA−50)を用い、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で、室温から400℃まで昇温させ、吸湿分の影響を考慮し、100℃時点をゼロ点とし、300℃での質量減少率%を求めた。これを3回繰り返し、質量減少量の3回の測定結果の平均を熱質量分析(TGA)とし、以下のように判定した。
質量減少率が0.5%未満:〇
質量減少率が0.5%以上1.0%未満:△
質量減少率が1.0%以上:×。
質量減少率が0.5%以上1.0%未満:△
質量減少率が1.0%以上:×。
(i)針入度
JIS−K2235(2009)に従い、固形状のワックスを秤量し、25℃におけるワックスの針入を測定した。測定を3回繰り返し、平均を針入度とした。
JIS−K2235(2009)に従い、固形状のワックスを秤量し、25℃におけるワックスの針入を測定した。測定を3回繰り返し、平均を針入度とした。
(j)製膜性
フィルムの製膜性について、次の基準で評価した。
フィルムの製膜性について、次の基準で評価した。
○:48時間以上フィルム破れの発生がなく、安定製膜している
△:48時間で1回〜3回のフィルム破れが発生し、製膜性が若干悪い
×:48時間で4回以上のフィルム破れが発生し、製膜性が悪い。
△:48時間で1回〜3回のフィルム破れが発生し、製膜性が若干悪い
×:48時間で4回以上のフィルム破れが発生し、製膜性が悪い。
[塗液の調製]
(1)マイクロクリスタリンワックスを60℃(溶融温度)で溶融後、非イオン性界面活性剤、リン酸エステル(ブトキシエチル化物)、オレイン酸アンモニウム、および、2−アミノ−2−メチルプロパノールを各1質量部添加し、100℃の水に加えて強撹拌し、更にホモジナイザーを用い、分散せしめ、平均分散径が0.20μmのマイクロクリスタリンワックス水分散体を得た。
また、ホモジナイザーの撹拌条件を変更することで、平均分散径が0.30μmまたは0.04μmのマイクロクリスタリンワックス水分散体も同様に得た。
(1)マイクロクリスタリンワックスを60℃(溶融温度)で溶融後、非イオン性界面活性剤、リン酸エステル(ブトキシエチル化物)、オレイン酸アンモニウム、および、2−アミノ−2−メチルプロパノールを各1質量部添加し、100℃の水に加えて強撹拌し、更にホモジナイザーを用い、分散せしめ、平均分散径が0.20μmのマイクロクリスタリンワックス水分散体を得た。
また、ホモジナイザーの撹拌条件を変更することで、平均分散径が0.30μmまたは0.04μmのマイクロクリスタリンワックス水分散体も同様に得た。
(2)フィッシャートロプシュワックスを120℃(溶融温度)で溶融後、非イオン性界面活性剤、リン酸エステル(ブトキシエチル化物)、オレイン酸アンモニウム、および、2−アミノ−2−メチルプロパノールを各1質量部添加し、100℃の水に加えて強撹拌し、更にホモジナイザーを用い、分散せしめ、平均分散径が0.15μmのフィッシャートロプシュワックス水分散体を得た。
また、ホモジナイザーの撹拌条件を変更することで、平均分散径が0.30μmまたは0.04μmのフィッシャートロプシュワックス水分散体も同様に得た。
また、ホモジナイザーの撹拌条件を変更することで、平均分散径が0.30μmまたは0.04μmのフィッシャートロプシュワックス水分散体も同様に得た。
(3)酸化ワックスを110℃(溶融温度)で溶融後、非イオン性界面活性剤、リン酸エステル(ブトキシエチル化物)、オレイン酸アンモニウム、2−アミノ−2−メチルプロパノールを各1質量部添加し、100℃の水に加えて強撹拌し、更にホモジナイザーを用い、分散せしめ、平均分散径が0.12μmの植物性ワックス水分散体を得た。
[実施例1]
富士シリシア社製、数平均粒径2.5μmの二酸化ケイ素粒子を0.4質量%含有した、固有粘度0.61の東レ製ポリエチレンテレフタレートを押出機中で285℃に溶融させ、口金からシート状に溶融押し出しし、25℃の回転冷却ドラムに密着させて固化させ、未延伸フィルムを得た。加熱したロールの周速差を用いてフィルムの長手方向に125℃で2.7倍に延伸(1段目延伸)を行い、ついで長手方向に115℃で2.2倍に延伸(2段目延伸)して、一軸延伸フィルムを得た。
富士シリシア社製、数平均粒径2.5μmの二酸化ケイ素粒子を0.4質量%含有した、固有粘度0.61の東レ製ポリエチレンテレフタレートを押出機中で285℃に溶融させ、口金からシート状に溶融押し出しし、25℃の回転冷却ドラムに密着させて固化させ、未延伸フィルムを得た。加熱したロールの周速差を用いてフィルムの長手方向に125℃で2.7倍に延伸(1段目延伸)を行い、ついで長手方向に115℃で2.2倍に延伸(2段目延伸)して、一軸延伸フィルムを得た。
一軸延伸したフィルムの片面をコーティング工程へ移動させ、フィルム表面に上記(1)、(2)にて得られたワックス水分散体を、下記の比率にて混合せしめ、さらに全固形分質量比率が3.68質量%となるように水で希釈せしめ、塗液を得た。
・フィッシャートロプシュワックス水分散体 50質量部(固形分比)
・マイクロクリスタリンワックス水分散体:50質量部(固形分比)
塗液の塗布はグラビアコーターを使用し、ウェット厚みを3.0μmとした。
・フィッシャートロプシュワックス水分散体 50質量部(固形分比)
・マイクロクリスタリンワックス水分散体:50質量部(固形分比)
塗液の塗布はグラビアコーターを使用し、ウェット厚みを3.0μmとした。
次にこのフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、110℃で予熱した後、幅方向に3.7倍に延伸し、さらに230℃で熱処理し、150℃で幅方向に3.0%弛緩させて、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
[実施例2〜16、比較例1〜5]
実施例1における塗液中のワックスの種類、混合比率、全固形分質量比率、ワックスの平均分散径、グラビアコーターでのウエット厚み調整によるワックス厚み、ポリエステルフィルム中の粒子量、ポリエステルフィルムの最終厚みを表1に示すように変更するほかは実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
実施例1における塗液中のワックスの種類、混合比率、全固形分質量比率、ワックスの平均分散径、グラビアコーターでのウエット厚み調整によるワックス厚み、ポリエステルフィルム中の粒子量、ポリエステルフィルムの最終厚みを表1に示すように変更するほかは実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
[評価結果のまとめ]
実施例1〜16は、TGAが好適な範囲にあり、耐スティック性が十分であり、耐ヘッドカス性に優れたフィルムであった。
実施例1〜16は、TGAが好適な範囲にあり、耐スティック性が十分であり、耐ヘッドカス性に優れたフィルムであった。
比較例1〜4は、実施例1のワックスの混合比率を変更したことにより、ヘッドカスが発生した。
比較例5は、実施例1のフィルム厚みを変更したことにより、フィルム破れが多発し、サンプルを採取することが出来なかった。
比較例5は、実施例1のフィルム厚みを変更したことにより、フィルム破れが多発し、サンプルを採取することが出来なかった。
本発明のポリエステルフィルムは熱転写リボン用に使用できるが、その応用範囲がこれに限られるものではない。
Claims (5)
- 下記(1)および(2)を満たすワックスを片面に有するポリエステルフィルム。
(1)空気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で300℃まで熱質量分析測定した際の、質量減少量が1.0質量%未満であること。
(2)25℃の針入度が4〜10であること。 - 前記ワックスを有する面の140℃における動摩擦係数が0.020〜0.120であり、340℃における動摩擦係数が0.050〜0.150である、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
- 前記ワックスの厚みは、1nm〜50nmである、請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
- ポリエステルフィルムの厚みが1.5μm〜10.0μmである、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
- 熱転写リボンの基材層に用いられる、請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
Applications Claiming Priority (2)
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- 2020-01-08 JP JP2020001269A patent/JP2020117691A/ja active Pending
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