JP3148782B2 - 積層ポリエステルフイルム - Google Patents

積層ポリエステルフイルム

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JP3148782B2
JP3148782B2 JP23010693A JP23010693A JP3148782B2 JP 3148782 B2 JP3148782 B2 JP 3148782B2 JP 23010693 A JP23010693 A JP 23010693A JP 23010693 A JP23010693 A JP 23010693A JP 3148782 B2 JP3148782 B2 JP 3148782B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は積層ポリエステルフイル
ムに関し、更に詳しくは感熱転写材用基材フイルムに好
適な積層ポリエステルフイルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、オフィスオ−トメ−ションの発展
に伴い、各種の記録方式が開発されているが、その中で
印字の際に騒音が少なく、かつ操作が簡単な感熱記録方
式が注目されている。感熱記録方式ではサ−マルプリン
タ−などの熱記録装置を用い、記録紙と感熱転写材の感
熱インク層とを接触させインク層と反対側にある加熱ヘ
ッドからパルス信号によりフイルムを選択加熱する。こ
れによりフイルムを通じて加熱されたインクが溶融また
は昇華して記録紙に転写される。この感熱転写材として
は一般に熱効率を上げるため薄葉のプラスチックフイル
ムが用いられている。
【0003】しかしながら、一般にプラスチックフイル
ムを感熱転写材の基材フイルムとした場合には、フイル
ムがサ−マルヘッドより与えられる熱量により一部サ−
マルヘッドに融着するという現象が現われる。この現象
はスティック現象と呼ばれ、この現象が起きると感熱転
写材がスム−スに走行しないばかりか、サ−マルヘッド
を著しく汚染し、印字の鮮明さを損なうという問題が生
じる。このスティック現象を回避するためにプラスチッ
クフイルムのサ−マルヘッドと接触する面に各種の表面
処理を施すことが提案されている。例えばシリコ−ンや
メラミン、フェノ−ル、エポキシ、ポリイミドなどの耐
熱保護層を設けたもの(特開昭55−7467号公
報)、滑性の高い無機顔料と耐熱性の高い樹脂よりなる
スティック防止層を設けたものがある(特開昭56−1
55794号公報)。また水溶性あるいは水分散性のシ
リコ−ンと樹脂よりなる層を設けたもの(特開昭60−
192628号公報)、水分散性フッ素系樹脂と水性高
分子よりなる層を設けたもの(特開昭60−19263
0号公報)、ワックスそして/または常温で液状ないし
ペ−スト状物質を塗布あるいは転写させたもの(特開昭
59−148697、特開昭60−56583号公報)
がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記耐
熱保護層を設けたものはヘッドとの滑りが不足するた
め、低パルス幅のプリンタ−やプラテン駆動型のプリン
タ−では熱転写リボンの走行性が悪く、印字斑や極端な
場合には走行がストップする欠点がある。また無機系顔
料を添加したものは、サ−マルヘッドとの摩擦によりヘ
ッド寿命を低下させたり、表面が粗面化されているため
熱伝導性が悪く、鮮明な印字が得られないという問題が
ある。シリコ−ン樹脂やフッソ素樹脂を積層したもの
は、ロ−ルに巻いたあとインクを塗布する面へのこれら
の樹脂の転写が起こりやすく、それによるインク塗布時
のはじきやインクの密着性不良などの問題が生じてい
た。ワックスなどをプラスチックフイルムに塗布し、乾
燥した形で得られた積層フイルムは、サ−マルヘッドと
の潤滑作用には優れるものの、プリンタ−の固定シャフ
トなどとの滑りが悪く、結果的にはスティックが発生す
るという欠点を有していた。特に近年、感熱転写用プリ
ンタは、印字速度がより高速化される方向にあり、これ
に対応できる感熱転写材の開発が望まれている。
【0005】本発明の目的は上記欠点のないもの、すな
わちスティックが発生せず、ワ−ドプロセッサ−、ファ
クシミリ、バ−コ−ドプリンタ−のような低パルス幅領
域からビデオプリンタ−のような高パルス幅領域までの
広範囲の領域での走行性が良好であり、ヘッド摩耗やヘ
ッド汚染が極めて少なく、かつインク塗布時のはじきが
なく、インクの密着性,印字の鮮明度に優れた感熱転写
材用基材フイルムとして好適な積層ポリエステルフイル
ムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はワックス成分を
含有した基材ポリエステルフイルムの少なくとも一方の
面にワックス成分を主成分とする積層膜を有する積層フ
イルムであって、該基材ポリエステルフイルム中のワッ
クス成分含有量が0.01〜5重量%であることを特徴
とする積層ポリエステルフイルムをその骨子とするもの
である。
【0007】本発明でいうポリエステルフイルムとはエ
ステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子フイルム
の総称であるが、特に感熱転写材用基材フイルムとして
好ましいのはポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレ−ト、ポリエチレン−α、β−ビ
ス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4´−ジカル
ボキシレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−トなどのフイ
ルムであり、これらの中でも品質、経済性などを総合的
に勘案するとポリエチレンテレフタレ−トフイルムが最
も好ましい。そのため以後はポリエチレンテレフタレ−
トフイルム(以下、ポリエチレンテレフタレ−トフイル
ムをPETフイルムと略称する)をポリエステルフイル
ムの代表例として記述を進める。
【0008】ここでポリエチレンテレフタレ−トとは8
0モル%以上、好ましくは90モル%以上、更に好まし
くは95モル%以上がエチレンテレフタレ−トを繰り返
し単位とするものであるが、酸成分およびグリコ−ル成
分の一部を下記のような第3成分と置き換えても良い。
【0009】−酸成分− イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,
5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカ
ルボン酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、4,4
´−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4´−ジフ
ェニルエ−テルジカルボン酸、p−β−ヒドロキシエト
キシ安息香酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタ
ル酸、ε−オキシカプロン酸、トリメリット酸、トリメ
シン酸、ピロメリット酸、α、β−ビスフェノキシエタ
ン−4,4´−ジカルボン酸、α、β−ビス(2−クロ
ルフェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸など。
【0010】−グリコ−ル成分− プロピレングリコ−ル、ブチレングリコ−ル、ヘキサメ
チレングリコ−ル、デカメチレングリコ−ル、ネオペン
チレングリコ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−
ル、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニ
ル)プロパン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェ
ニル)スルホン、ジエチレングリコ−ル、トリエチレン
グリコ−ル、ペンタエリスリト−ル、トリメチロ−ルプ
ロパン、ポリエチレングリコ−ル、ポリテトラメチレン
グリコ−ルなど。
【0011】また、このPETの中に公知の添加剤、例
えば耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸
収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機又は無機の微粒
子、充填剤、帯電防止剤、核剤などを配合しても良い。
特に無機および/または有機の微粒子を添加し、二軸配
向後のPETフイルムにおける平均表面粗さが0.03
〜0.4μm、好ましくは0.05〜0.2μmとした
場合には本発明の走行性を更に向上することができる。
【0012】上記のPETの極限粘度(25℃のオルソ
クロロフェノ−ル中で測定)は0.40〜1.20dl
/g、好ましくは0.50〜0.80dl/g、更に好
ましくは0.5〜0.75dl/gの範囲にあるものが
本発明内容に好適なものである。
【0013】PETフイルムは機械的強度、寸法安定性
の点から二軸配向されたものが好ましい。二軸配向PE
Tフイルム(以下PET−BOと略称する)とは、無延
伸状態のPETシ−トを長手方向および幅方向の、いわ
ゆる2軸方向に各々2.5〜5.0倍程度延伸され、更
に熱固定し結晶配向を完了させて作られるものであり、
広角X線回折で2軸配向パタ−ンを示すものをいう。
【0014】PET−BOの厚みは特に限定しないが、
本発明の積層ポリエステルフイルムを感熱転写材用基材
フイルムとして用いる場合には、0.5μm以上30μ
m以下、好ましくは1μm以上10μ以下であるのが熱
伝達性、機械的強度の点から好ましい。
【0015】またこのPETフイルムの少なくとも片面
に、PETよりガラス転移点の高いポリエステル樹脂を
積層し、延伸したものを用いた場合には印字エネルギ−
によるフイルムのしわが発生しにくいため印字の鮮明度
に優れ特に好ましい。この積層はサ−マルヘッドが接触
する側に設けるのが好ましい。このようなPETよりガ
ラス転移点の高いポリエステルの代表的なものとしてポ
リエチレン−2,6−ナフタレ−トを挙げることができ
る。
【0016】本発明は上記基材ポリエステルフイルム中
に0.01〜5重量%のワックス成分を含有させ、更に
該基材ポリエステルフイルム上にワックスを主たる構成
成分とする積層膜を設けることにより、極めて易滑性に
優れ、プリンタ−の固定ロ−ルの摩擦抵抗を減少させ、
更に耐スティッキング性を向上させる効果を有するもの
である。
【0017】ここで基材ポリエステルフイルム中に含有
させるワックス成分および積層膜の主成分とするワック
ス成分は特に分別する必要はなく、以下に記述するよう
な任意のワックスが使用できる。ワックス成分として
は、市販の各種のワックス、例えば石油系ワックス、植
物系ワックス、鉱物系ワックス、動物系ワックス、低分
子量ポリオレフイン類などを使用することができ、特に
制限されるものではないが、本発明においては石油系ワ
ックス、植物系ワックスの使用が耐スティック性の点で
好ましい。
【0018】石油系ワックスとしてはパラフインワック
ス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックスなど
が挙げられるが、これらの中でも酸化ワックスの使用が
易滑性を付与するための突起形成性の点で特に好まし
い。また植物性ワックスとしてはキャンデリラワック
ス、カルナウバワックス、木ロウ、オリキュ−リ−ワッ
クス、さとうきびロウ、ロジン変性ワックスなどがあげ
られるが、本発明においては特に下記化合物から成る組
成物が好ましい。すなわち{ロジン又は不均化ロジン、
又は水添ロジン・α、β置換エチレン(α置換基::カ
ルボキシル、β置換基:水素またはメチルまたはカルボ
キシル)付加物}・アルキル又はアルケニル(各炭素数
1〜8)ポリ(繰り返し単位:1〜6)アルコ−ルのエ
ステル付加物を用いるのが易滑性や離型性の点で好まし
く、更に上記酸化ワックスとの混合系で用いるとより好
ましい。
【0019】基材ポリエステルフイルムへワックス成分
を含有させるには、ポリエステルの重合末期に添加する
方法、ポリエステルペレットとワックスを混合して溶融
混練する方法、ワックス系積層膜を有する積層ポリエス
テルフイルムを粉砕後、ペレット化してポリエステルと
混合し、溶融製膜する方法など任意の方法で行なうこと
ができる。
【0020】基材ポリエステルフイルム中のワックス成
分の含有量は0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜
3重量%とする必要がある。ワックス成分含有量が0.
01重量%未満では易滑性の向上効果がなく、5重量%
を越える場合にはポリエステルフイルム製膜時の環境汚
染(発煙)、フイルム成型性、フイルムの強度などの問
題が生じる。
【0021】また本発明では積層膜組成物中に更にオイ
ル状物質を加えた混合物とした時には高パルス幅領域で
の印字走行性が優れたものとすることができる。ここで
オイル状物質とは常温で液体あるいはペ−スト状のオイ
ルであり、植物油、油脂、鉱物油、合成潤滑油などを挙
げることができる。植物油としてはアマニ油、カヤ油、
サフラ−油、大豆油、シナギリ油、ゴマ油、トウモロコ
シ油、ナタネ油、ヌカ油、綿実油、オリ−ブ油、サザン
カ油、つばき油、ヒマシ油、落花生油、バ−ム油、椰子
油などがあげられる。油脂としては牛脂、豚油、羊油、
カカオ油などであり、鉱物油としてはマシン油、絶縁
油、タ−ビン油、モ−タ−油、ギヤ油、切削油、流動パ
ラフィンなどが挙げられる。合成潤滑油としては化学大
辞典(共立出版社)に記載の要件を満たすものを任意に
使用することができ、例えばオレフイン重合油、ジエス
テル油、ポリアルキレングリコ−ル油などを挙げること
ができる。これらの中でも高パルス幅領域での走行性の
良好な鉱物油、合成潤滑油が好適である。またこれらの
混合系であっても良い。上記オイル状物質は前記積層膜
組成物中に1〜30重量%含有するのが好ましい。
【0022】上記組成物中には、本発明の効果を阻害し
ない範囲内で各種添加剤を併用することができる。例え
ば帯電防止剤、耐熱剤、耐酸化防止剤、有機、無機の粒
子、顔料などが挙げられる。
【0023】また塗料中には、水への分散性を向上した
り、塗布性を向上させる目的で各種添加剤、例えば分散
助剤、界面活性剤、防腐剤、消泡剤などを添加しても良
い。本発明の積層膜は均一な膜形成、および上記組成物
による表面の突起形成の点からフイルム製造工程中で塗
布する方法(インラインコ−ト法)を用いるのが好まし
い。そのためには積層膜形成塗剤は防爆性や環境汚染防
止の点で水に溶解、乳化、懸濁させた状態で用いるのが
好ましい。例えばワックス成分の水分散体は従来公知の
方法(例えば特開昭59−90625号公報など)によ
って得ることができる。
【0024】本発明において更に易滑性を向上させ、ス
ティッキング防止効果を向上させるためには、積層膜表
面に長さ方向/幅方向の比が3以上の細長い突起を20
個/100μm2 以上有する表面とするのが有効であ
る。このような突起は上記積層膜組成物の混合水系塗剤
を結晶配向が完了する前のポリエステルフイルムに塗布
後、1方向に延伸することによって得ることができる。
【0025】突起形成の点で好ましい組成物は石油系ワ
ックスであり、特に酸化ワックスを使用するのが有効で
ある。
【0026】また積層膜を設けた積層ポリエステルフイ
ルム中にはサ−マルヘッドの破壊を防止する点でカリウ
ム、ナトリウム、塩素の総含有量が500ppm以下で
あるのが好ましく、基材ポリエステルフイルムおよび積
層膜形成組成物には、これらの元素を含有しない組成物
を用いるのが好ましい。
【0027】積層膜の厚みは特に限定しないが、スティ
ッキング防止、サ−マルヘッドの汚染防止の点から0.
005μm以上0.3μm以下、好ましくは0.01μ
m以上0.15μm以下であるのが望ましい。塗布の方
法は各種の塗布装置、例えばロ−ルコ−タ−、グラビア
コ−タ−、リバ−スコ−タ−、キスコ−タ−、バ−コ−
タ−などを用いて塗布することができる。
【0028】次に本発明の積層ポリエステルフイルムの
製造方法の具体例として感熱転写材用積層ポリエステル
フイルムをその代表例として説明するが、当然これに限
定されるものではない。重合工程で析出した、いわゆる
析出粒子と無機粒子(例えば平均粒子径1μmのシリ
カ)を含有するPETを常法に従って乾燥後、所定量の
ワックス添加し、2軸押出機に供給して溶融混練し、ワ
ックス含有ポリエステルペレットを作成する。このペレ
ットを充分に真空乾燥した後、シ−ト状に溶融押出し、
押出されたシ−ト状溶融体を冷却固化せしめて未延伸P
ETフイルムを作る。このフイルムを80〜120℃に
加熱して、長手方向に2.0〜5.0倍延伸して一軸配
向フイルムとする。このフイルムの片面に空気雰囲気中
でコロナ放電処理を施し、この処理面に所定の濃度に希
釈したワックス成分を含有した水分散塗液を塗布する。
次いでこの塗布されたフイルムを90〜140℃に加熱
しつつ幅方向に3〜5倍延伸し、引き続いて140〜2
40℃の熱処理ゾ−ン中へ導き1〜10秒間熱処理を行
う。この熱処理中に必要に応じて幅方向に3〜12%の
弛緩処理を施しても良い。かくして得られたフイルムを
適宜の幅にスリットし、感熱転写材用二軸配向積層ポリ
エステルフイルムとする。このフイルムを感熱転写材と
して使用する場合には、非塗布面側に熱溶融型あるいは
熱昇華型のインクを塗布し、適宜希望の幅にスリットす
ることによって得ることができる。 かくして得られた
感熱転写材用二軸延伸積層ポリエステルフイルムは用途
に応じたインク層を設けることにより、各種感熱転写用
材料、例えばワ−ドプロセッサ−、ファクシミリ、パソ
コン用プリンタ−、ビデオ用プリンタ−、バ−コ−ド用
プリンタ−、タイプライタ−、プレ−ンペ−パ−コピア
などの文字あるいは画像のプリントアウトに使用される
ものであり、特に高負荷エネルギ−の付与されるプリン
タ−に好適である。
【0029】
【特性の測定方法および効果の評価方法】本発明におけ
る特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりで
ある。
【0030】( 1) 製膜性 常法によるPETの溶融押出においてポリマ吐出時の発
煙状態およびシ−ト化時の成型性などを目視で評価し
た。
【0031】( 2) 積層厚み 塗布層を設けた二軸配向ポリエステルフイルムの断面を
切り出し10万倍の電子顕微鏡観察写真より実測した。
厚みは1視野内の最大厚みと最低厚みの平均とし、測定
点30個の平均値を積層厚みとした。
【0032】( 3) 動摩擦指数 HEIDON−14DR−ANL装置(新東科学(株)
製)を用い、25℃、65%RHの雰囲気下で直径10
mmのステンレス球との点接点における動摩擦指数を測
定した。測定は荷重200g,走行速度200mm/分
で行ない、4秒間測定したチャ−ト(2.0msec毎
にデ−タ記録)より測定開始1秒後から測定終了までの
摩擦抵抗の平均値を摩擦指数とした。
【0033】( 4) ホットスティック性−1 積層面とは反対面の積層二軸配向ポリエステルフイルム
に下記の熱溶融インクをホットメルト法により3〜4μ
m厚に塗布し、感熱転写材を作成した。
【0034】[熱溶融インク組成] カルナバワックス 100重量部 マイクロクリスタリンワックス 30重量部 酢酸ビニル・エチレン共重合体 15重量部 カ−ボンブラック 20重量部 評価はオ−トニクス社製熱転写プリンタ−BC−8MK
IIを用い、ヘッド抵抗500Ωのサ−マルヘッドで印加
電圧を変えてパルス幅0.5msecで印字走行させた
時にスティックが起こらない印加電圧レベルで評価し、
印加電圧10V以上を耐ステイック性良好とした。また
10V未満でもスティックの起こるものは[×]とし
た。なお、被転写紙には普通紙を用いた。
【0035】( 5) ホットスティック性−2 積層面とは反対面に、下記組成の昇華性インクを塗布、
乾燥せしめた後、適宜の幅にスリットして感熱転写材を
作った。
【0036】[昇華性インク組成] 分散染料KST−B−136 4重量部 (日本火薬(株)製) エチルヒドロキシエチルセルロ−ス 6重量部 メチルエチルケトン 45重量部 トルエン 45重量部 この感熱転写材を昇華型プリンタ−(シャ−プカラ−ビ
デオプリンタ−GZ−P11W)にかけて通常の使用条
件で走行させ、下記の基準で判定し(○)以上を良好と
した。
【0037】◎:全くステイックせず、極めて走行性が
良い。
【0038】○:走行性に問題なく、正常な印字ができ
るがべた印字部で若干のスティック音が発生する。
【0039】△:判読可能なレベル。
【0040】×:スティックが著しく判読不可能なレベ
ル。
【0041】(6)ホットスティック性−3 上記(4)で作成した感熱転写材を用い、高速感熱転写
プリンタ−(アンリツ(株)製KM705A)を用い1
20mm/秒の速度で印字した時のスティックの発生状
態を観察し、スティックが発生せず正常な印字ができる
ものを(○)、走行はするがスティック音が発生した
り、印字にユガミやずれが生じたものを(△)、スティ
ックによって走行不良となったものを(×)として評価
し、(○)以上を良好とした。
【0042】(7)ヘッド汚染性、摩耗性 上記(4)の条件で3000mの印字走行を行なった
後、サ−マルヘッドを取り外し、100倍の光学顕微鏡
でヘッドの汚染状態および摩耗状態を観察した。ヘッド
部の汚染面積が30%未満を[○]、30%以上を
[×]とし、かつ30%未満でもエチルアルコ−ルで拭
き取り除去できないものは[×]とした。またサ−マル
ヘッドのキズの発生状態を観察し全くキズのないものを
[○],キズが認められたものを[×]とした。
【0043】(8)インキング性、インク密着性 積層膜を設けた二軸配向ポリエステルフイルムの積層膜
面と接するように他のポリエステルフイルムを重ね合わ
せ、70℃で50kg/cm2 の荷重をかけ24時間放
置した。次に2枚のフイルムをはがし、上記の他のポリ
エステルフイルムが積層膜面と接触していた面に上記
(5)のインクを塗布し、ハジキの程度を観察した。イ
ンクの塗布はホットメルト法で行い、塗布厚は3〜4μ
mとした。はじきのないものを[○],若干でもはじき
の発生したものを[×]とした。またインク層を20g
/cm2 の粘着性を有するテ−プで剥離した時の剥離面
積が20%未満の場合を[○],20%以上の場合を
[×]とした。
【0044】
【実施例】次に本発明を実施例に基づいて説明するが、
必ずしもこれに限定されるものではない。
【0045】実施例1 粒径0.5〜1.5μmの析出粒子(重合工程中に析出
した粒子)を0.15重量%、および平均粒子径1.5
μmの炭酸カルシウム粒子を0.2重量%含有するPE
Tペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空
加熱乾燥した後、酸化ワックスを1重量%添加混合し、
2軸押出機に供給してワックス含有量1重量%のペレッ
トを作成した。このペレットを充分に真空乾燥した後、
押出機に供給して280℃で溶融し、10μmカットの
金属焼結フイルタ−で濾過した後、T字型口金よりフイ
ルム状に押出し、これを表面温度30℃の冷却ドラムに
巻き付けて冷却固化せしめた。この間のフイルムと冷却
ドラム表面との密着性を向上させるため、フイルム側に
ワイヤ電極を配置して6KVの直流電圧を印加した。か
くして得られた未延伸PETフイルムを95℃に加熱し
て長手方向に3.5倍延伸し、一軸延伸フイルムとし
た。このフイルムの片面に空気中でコロナ放電処理を施
し、その処理面にグラビアコ−ト方式で下記組成の水分
散塗料を二軸延伸後の塗布厚みが0.05μmになるよ
うに塗布した。
【0046】 「塗料組成」 (a)酸化ワックス水分散体 60重量部(固形分比) (b)植物性ワックス水分散体 {水添ロジン・αβ置換エチレン(α置換基:カルボキシル、β置 換基:メチル)付加物}}・アルキル(炭素数:6)ポリ(繰り 返し単位:5)アルコ−ルのエステル付加物 40重量部(固形分比) 上記比率に混合した塗液を全固形分重量比率が1.0%
となるように水で希釈して作成した。
【0047】塗布された一軸延伸フイルムをクリップで
把持してテンタ−内に導き、110℃の余熱工程で水を
乾燥させた後、120℃に加熱しつつ幅方向に4.5倍
延伸し、続いて225℃で5秒間熱処理を施し、積層厚
み0.05μm、フイルム厚み5μmの積層ポリエステ
ルフイルムを得た。この積層ポリエステルフイルムを前
記評価方法に準じて感熱転写材を作成し評価した。結果
を表1に示す。
【0048】実施例2〜5、比較例1〜2 基材PETフイルムに添加するワックスの量を表1に示
すように変更した以外は実施例1と同様にして、積層ポ
リエステルフイルムを作成した。この積層ポリエステル
フイルムから作成した感熱転写材の評価結果を表1に示
す。
【0049】実施例6 実施例1の積層ポリエステルフイルムを粉砕した後、ペ
レット化してワックス含有PETペレットを作成した。
このペレット35重量%と実施例1のワックスを含有し
ないPETペレット65重量%を混合して実施例1と同
様にして溶融製膜し積層ポリエステルフイルムを作成し
た。この積層ポリエステルフイルムを用いて感熱転写材
を作成し評価した。結果を表1に示す。
【0050】比較例3 積層膜を設けない以外は実施例1と同様にしてポリエス
テルフイルムを作成した。このポリエステルフイルムを
用いて感熱転写材を作成し、評価を行った。結果を表1
に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】本発明はワックスを含有した基材ポリエ
ステルフイルムの少なくとも片面にワックス成分を主成
分とした積層膜を設けた積層フイルムにおいて基材ポリ
エステルフイルム中のワックス含有量を0.01〜5重
量%とすることにより、易滑性に優れ、感熱転写材とし
て用いた時、極めて耐ホットスティック性に優れるもの
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 9:00 (56)参考文献 特開 平5−77374(JP,A) 特開 平5−8568(JP,A) 特開 平4−126293(JP,A) 特開 昭62−253492(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C08J 7/04 - 7/06 B41M 5/26

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワックス成分を含有した基材ポリエステ
    ルフイルムの少なくとも一方の面にワックス成分を主成
    分とする積層膜を有する積層フイルムであって、該基材
    ポリエステルフイルム中のワックス成分含有量が0.0
    1〜5重量%であることを特徴とする積層ポリエステル
    フイルム。
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