JP2946786B2 - 昇華型感熱転写材 - Google Patents

昇華型感熱転写材

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JP2946786B2 JP3046978A JP4697891A JP2946786B2 JP 2946786 B2 JP2946786 B2 JP 2946786B2 JP 3046978 A JP3046978 A JP 3046978A JP 4697891 A JP4697891 A JP 4697891A JP 2946786 B2 JP2946786 B2 JP 2946786B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は昇華型感熱転写材に関
し、更に詳しくは高温多湿の環境下においてもインキ層
の密着性に優れ、かつ階調性に優れた昇華型感熱転写材
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル二軸配向フイルムはその機
械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、耐熱性な
どに優れた性質を有することから磁気記録材料、包装材
料、電気絶縁材料、各種写真材料、グラフィックア−ツ
材料などの多くの用途の基材フイルムとして広く使用さ
れている。特に近年、OA、FA用の感熱転写材とし
て、著しい伸びを示している。感熱転写材には大別する
とワックスなどのバインダ−中に各種顔料を混入したイ
ンキ層が熱によって溶融し、被転写紙に転写されるもの
と、バインダ−中に熱昇華性を有する染料を混入し、熱
によって染料のみが昇華し、被転写紙の受容層に吸収さ
れ階調性の画像を形成するものがある。上記の内、昇華
型感熱転写材は染料のみを昇華させるため、バインダ−
と基材フイルム間には高い密着性が要求され、特に環境
変化や経時によって密着性の低下のないことが重要であ
る。しかし、一般に二軸配向ポリエステルフイルム表面
は高度に結晶配向しているため、接着性に乏しく直接昇
華型インキ層を塗布しても全く密着しない。このためイ
ンキ層との接着性を強靭なものとするためにフイルム表
面上に各種ガス雰囲気下でのコロナ放電処理、プラズマ
処理、紫外線照射処理などの物理的処理やアルカリ、ト
リクロロ酢酸、アミン、フェノ−ル類などによる化学的
処理、あるいはこれらを併用した処理方法などが試みら
れているがいずれも充分な密着性が得られていない。ま
たポリエステルフイルムの表面のプライマ−処理による
易接着化が処理工程、作業上の安全性およびフイルム加
工商品の高品質維持などの利点があることで広く行われ
ており、しかもポリエステルフイルム製造工程内で一気
にプライマ−処理(例えばポリエステル、アクリル、ウ
レタンなどの水性塗料を塗布後、延伸して塗膜層を形
成)を行う方法が工程簡略化や製造コストの点で有力視
され、盛んに実施されている。
【0003】例えばアクリルとポリエステルの反応物を
塗布後、延伸した塗布層を設けたもの(特開平1-171988
号公報)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし前述した従来の
技術には次のような問題点がある。すなわち水溶性ポリ
エステルあるいは水分散性ポリエステルを積層した場合
には所望の易接着性が得られたとしても塗膜の耐湿性、
耐水性が劣るため、高湿下での密着性が劣ること、及び
バインダ−中の染料によって易接着層が染着されやすい
ため、受容紙に転写した時に本来の色濃度や階調性が不
充分であるなどの問題がある。
【0005】本発明はこれらの欠点を解消せしめ、昇華
性インキ層との密着性に優れ、かつ高温多湿下での密着
性の低下がなく、階調性に優れた転写像を得る昇華型感
熱転写材を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はポリエステルフ
イルムの片面に、分子内に少なくとも1種以上の架橋性
官能基を有するアクリル樹脂(A)とアミノ基を有する
シランカップリング剤(B)とを主たる構成成分とする
易接着性塗膜を有し、さらに該塗膜上に昇華型インキ層
が形成され、該インキ層を設けたポリエステルフイルム
の反対面に易滑層が形成されたことを特徴とする昇華型
感熱転写材をその骨子とするものである。
【0007】本発明でいうポリエステルフイルムのポリ
エステルとはエステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする
高分子の総称であるが特に好ましいポリエステルとして
は、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレン2,6
−ナフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエ
チレンα、β−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン
4,4, −ジカルボキシレ−トなどであり、これらの中
でも品質、経済性などを総合的に勘案するとポリエチレ
ンテレフタレ−トが最も好ましい。そのため以後はポリ
エチレンテレフタレ−ト(以後PETと略称する)をポ
リエステルの代表例として記述を進める。
【0008】PETとは80モル%以上、好ましくは9
0モル%以上、更に好ましくは95モル%以上がエチレ
ンテレフタレ−トを繰り返し単位とするものであるが、
この限定量範囲内で他のジカルボン酸成分、ジオ−ル成
分としても良い。またこのPET中に公知の添加剤、例
えば耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸
収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微
粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などを配合しても良
い。上述したPETフイルムの極限粘度(25℃のオル
ソクロロフェノ−ル中で測定)は0.40〜1.20d
l/g好ましくは0.50〜0.80dl/gの範囲に
あるものが本発明の内容に適したものである。
【0009】上記PETを使用したPETフイルムは塗
布層が積層された状態においては二軸配向されたもので
あるのが好ましく、二軸配向PETフイルムとは、無延
伸状態のPETシ−トまたはフイルムを長手方向および
幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸されて作られるもの
であり、広角X線回折で二軸配向のパタ−ンを示すもの
をいう。
【0010】PETフイルムの厚みは特に限定されるも
のではないが、機械的強度、熱伝達性の点から通常1〜
30μm、好ましくは2〜15μm、更に好ましくは3
〜10μmである。
【0011】またPETフイルムは搬送性などの点で表
面がある程度粗面化されたものが好ましく、JIS B
0601−1976に準じて測定(カットオフ:0.
25mm)した中心線平均粗さが0.05〜0.4μm
の表面を有するものが好ましい。
【0012】本発明の易接着性塗膜層の主たる構成成分
であるアクリル樹脂は分子内少なくとも1種以上の架橋
性官能基を有するものである。このような官能基として
はカルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、アミド基、
アミノ基、エポキシ基などが挙げられるが特にこれに限
定するものではない。
【0013】このようなアクリル樹脂は公知の方法によ
って製造することができ、該樹脂を構成するモノマ成分
として下記のものを例示することができるが上記要件を
満たすものであれば特に限定するものではない。アクリ
ル樹脂の重合に供するモノマとしてはアルキルアクリレ
−ト、アルキルメタクリレ−ト(アルキル基としてはメ
チル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、
n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチ
ルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキ
シル基、フェニル基、ベンジル基など)を基本骨格と
し、更に上記官能基を付与するため以下のようなモノマ
と共重合される。すなわち官能基としてはカルボキシル
基、酸無水物基、スルホン酸基、アミド基またはアルキ
ロ−ル化されたアミド基、アミノ基(置換アミノ基を含
む)あるいはアルキロ−ル化されたアミノ基、水酸基、
エポキシ基などを例示することができ、これらの塩、エ
ステル化物を共重合しても良い。カルボキシル基および
/またはその塩、あるいは酸無水物基を有する化合物と
しては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレ
イン酸、フマル酸、クロトン酸、これらのカルボン酸の
アルカリ金属塩、アンモニウム塩、あるいは無水物など
が挙げられる。
【0014】スルホン酸基および/またはその塩を有す
る化合物としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホ
ン酸、これらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などが
挙げられる。
【0015】アミド基あるいはアルキロ−ル化されたア
ミド基を有する化合物としてはアクリルアミド、メタク
リルアミド、N−メチルメタクリルアミド、メチロ−ル
化アクリルアミド、メチロ−ル化メタクリルアミド、ウ
レイドビニルエ−テル、β−ウレイドイソブチルビニル
エ−テル、ウレイドエチルアクリレ−トなどが挙げられ
る。
【0016】アミノ基あるいはアルキロ−ル化されたア
ミノ基および/またはその塩を有する化合物としてはジ
エチルアミノエチルビニルエ−テル、2−アミノエチル
ビニルエ−テル、3−アミノプロピルビニルエ−テル、
2−アミノブチルビニルエ−テル、ジメチルアミノエチ
ルメタクリレ−ト、ジメチルアミノエチルビニルエ−テ
ル、およびそれらのアミノ基をメチロ−ル化したもの、
ハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸、サルトンなどによ
り四級塩化したものなどが挙げられる。
【0017】水酸基を有する化合物としては、β−ヒド
ロキシエチルアクリレ−ト、β−ヒドロキシエチルメタ
クリレ−ト、β−ヒドロキシプロピルアクリレ−ト、β
−ヒドロキシプロピルメタクリレ−ト、β−ヒドロキシ
ビニルエ−テル、5−ヒドロキシペンチルビニルエ−テ
ル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエ−テル、ポリエチ
レングリコ−ルモノアクリレ−ト、ポリエチレングリコ
−ルモノメタクリレ−ト、ポリプロピレングリコ−ルモ
ノアクリレ−ト、ポリプロピレングリコ−ルモノメタク
リレ−トなどが挙げられる。
【0018】エポキシ基を有する化合物としてはグリシ
ジルアクリレ−ト、グリシジルメタクリレ−トなどが挙
げられる。
【0019】上記架橋性官能基の内、カルボキシル基、
メチロ−ル化されたアミド基、メチロ−ル化されたアミ
ノ基が昇華型インキとの密着性の点で特に好ましい。
【0020】さらに上記以外に次のような化合物を併用
しても良い。すなわちアクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、スチレン類、ブチルビニルエ−テル、マレイン
酸モノあるいはジアルキルエステル、イタコン酸モノあ
るいはジアルキルエステル、メチルビニルケトン、塩化
ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルピリジ
ン、ビニルピロリドン、ビニルトリスアルコキシシラン
などであり、勿論これらに限定されるものではない。
【0021】これらの架橋性官能基を有するモノマおよ
び他の化合物は基本骨格となるモノマと任意の比率で共
重合され、2種以上のモノマを共重合させてもよい。
【0022】更にアクリル樹脂のガラス転移点が40℃
以上、好ましくは50℃以上、更に好ましくは60℃以
上となるようなモノマの組み合わせによって得られたア
クリル樹脂を用いた場合には易接着性塗膜上に設けられ
た昇華型インキ層の染料で易接着塗膜が染色されにくい
ため、鮮明なプリント画像を得ることができるし、耐湿
密着性も向上するので特に好ましい。
【0023】更にアクリル樹脂の重量平均分子量を45
万以上とすることにより、易接着性塗膜の強靭性が増す
ので特に好ましい。
【0024】本発明において結晶配向が完了する前のポ
リエステルフイルムに塗布し、延伸、熱処理により結晶
配向を完了させる方法によって易接着塗膜を設ける場合
には高温での熱処理が可能であることや、均一で薄膜の
易接着塗膜が得られ、更に配向した塗膜とすることがで
きるので特に好ましい。
【0025】上記方法によって易接着塗膜を積層する場
合にはアクリル樹脂は水に溶解あるいは乳化、懸濁し得
るものが環境汚染や防爆性の点で好ましく、このような
共重合体は親水性基を有するモノマ(アクリル酸、メタ
クリル酸、アクリルアミド、ビニルスルホン酸およびそ
の塩など)との共重合や界面活性剤を用いた乳化重合、
懸濁重合、あるいはソ−プフリ−重合など公知の方法に
よって作成することができる。
【0026】本発明においては上記アクリル樹脂とアミ
ノ基を有するシランカップリング剤との混合塗剤を主成
分とした易接着性塗膜を設けることを骨子とするもので
あり、アミノ基を有するシランカップリング剤を混入す
ることにより耐湿密着性が飛躍的に向上することを見出
したものである。もちろん先に述べた結晶配向前のポリ
エステルフイルムに塗布する方法を用いればその効果が
特に著しいものとなる。ここでアミノ基を有するシラン
カップリング剤とは分子内にアミノ基と易加水分解性の
アルコキシシラン基を有するものであれば特に限定する
ものではない。
【0027】このような化合物としてはγ−(2−アミ
ノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−
(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)
−γアミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−
アニリノプロピルトリメトキシシランなどを挙げること
ができる。このようなシランカップリング剤は市販のも
のを使用することができ、例えばSH6020,SZ6
023,SH6026,SZ6032,SZ6050、
SZ6083(いずれも東レ・ダウコ−ニングシリコ−
ン(株)製)などが好適である。
【0028】これらのシランカップリング剤は水を加え
ることによって容易に加水分解し、アルコキシシラン基
はシラノ−ル基となる。本発明においては塗液中で加水
分解した状態で使用するのが好ましい。
【0029】上記アクリル樹脂(A)とシランカップリ
ング剤(B)は任意の重量比率で混合しても良いが本発
明の効果をより顕著に発現させるには(A)/(B)が
固形分重量比(シランカプリング剤は加水分解前の状
態)で99/1〜50/50、好ましくは97/3〜7
0/30、更に好ましくは95/5〜80/20である
のが望ましい。本発明の易接着性塗膜は上記2種の構成
成分を主成分とした塗剤を塗布し、硬化させた塗膜であ
り、主成分とは上記2種が塗膜中において50重量%以
上、好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重
量%以上を占めることをいう。
【0030】また易接着性塗膜中には本発明の効果を阻
害しない範囲内で公知の添加剤、例えば耐熱安定剤、耐
酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑
剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯
電防止剤、核剤などを配合しても良い。
【0031】上記の好ましい易接着塗膜の積層方法はポ
リエステルフイルムの製造工程中に塗布し、基材と共に
延伸する方法が最も好適である。例えば溶融押し出しさ
れた結晶配向前のポリエステルフイルムを長手方向に
2.5〜5倍程度延伸し、連続的に塗布する面にコロナ
放電処理を施し、その処理面に塗剤を塗布する。塗布さ
れたフイルムは段階的に加熱されたゾ−ンを通過しつつ
乾燥され、幅方向に2.5〜5倍程度延伸される。さら
に連続的に150〜250℃の加熱ゾ−ンに導かれ結晶
配向を完了させる方法によって得られる。この場合に用
いる塗布液は環境汚染や防爆性の点で水系が好ましい。
【0032】このような方法によって設けられた易接着
塗膜はその上に形成する昇華型インキ層の昇華性染料に
よる染着が少なくなり、印字の際の色濃度、階調性の再
現性が優れたものとなる効果を有する。塗膜の厚みは特
に限定しないが通常は0.03〜5μm、好ましくは
0.05〜2μm、更に好ましくは0.07μm〜0.
5μmの範囲が好ましい。易接着層の厚みが厚過ぎると
染料が易接着層側に移行し、本来の諧調性や色濃度が得
られない場合がある。基材フイルム上への塗布の方法は
公知の塗布方法、例えばリバ−スコ−ト法、グラビアコ
−ト法、ロッドコ−ト法、ダイコ−ト法などを用いるこ
とができる。
【0033】次にポリエステルフイルムの易接着層を設
けた面の反対面にはポリエステルフイルムとサ−マルヘ
ッドとの融着(ステイッキング)を防止するため易滑層
を設ける必要がある。易滑層はシリコ−ン化合物、弗素
化合物およびこれらの変性物、共重合物、有機、無機の
滑剤など公知のものを使用し得るが、特に以下の組成物
とした時、より顕著な効果を有する。
【0034】すなわちワックス系組成物とオイル状組成
物の混合物を主成分とする塗剤によって形成させた塗膜
であって塗布膜厚が易滑層を設けた面の中心線平均粗さ
(Ra1 )より薄く、かつ易滑層の厚みが0.005μ
m以上となるように積層した場合、顕著なスティツキン
グ防止効果を有する。更に易滑層の表面に上記組成物よ
り形成される長手方向/幅方向の比が3以上の細長い突
起が20個/100μm2 以上存在させた場合、印字の
際に極めて優れた走行性を有するものとなる。このよう
な細長い表面突起を有する易滑層は塗布後、少なくとも
一方向に延伸することによってより顕著に発現させるこ
とができる。すなわち結晶配向前のポリエステルフイル
ムの昇華型インキ層を設ける面とは反対面に塗布し、乾
燥後、または乾燥しつつ延伸し、結晶配向を完了させる
方法であり、これはポリエステルフイルム製造工程中で
行うことができる。
【0035】上記の易滑層中には本発明の効果を阻害し
ない範囲内で公知の添加剤、例えば耐熱安定剤、耐酸化
安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔
料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止
剤、核剤などを配合しても良いが易滑層の主成分も含め
てサ−マルヘッドの破壊を防止する点で塩素、アルカリ
金属を含むもの、サ−マルヘッドを摩耗する可能性があ
る無機系粒子を含有しないのが望ましい。
【0036】易接着層上に設ける昇華型インキ層は特に
限定されず、適宜公知のものを用いることができる。染
料を分散させるバインダ−としてはヒドロキシエチルセ
ルロ−スのようなセルロ−ス類、ポリビニルアルコ−
ル、ポリアミド系樹脂などであり、昇華性染料としては
イエロ−、マゼンタ、シアン、ブラックなどの分散染
料、塩基性染料、油溶性染料をその代表例として挙げる
ことができる。
【0037】インキ層の厚みは特に限定しないが通常は
0.1〜15μm,好ましくは1〜6μmである。
【0038】昇華性染料のインキ中での含有量は多い
程、高濃度に染着されるが、インキ中での分散性などで
制限されるため、必要に応じて選択される。
【0039】次に本発明の昇華型感熱転写材の製造方法
の一例について説明するが当然これに限定されるもので
はない。
【0040】重合工程で析出した、いわゆる析出粒子と
無機粒子(例えば平均粒子径1μmのシリカ粒子)を含
有する極限粘度0.63dl/gのPETを常法に従っ
て乾燥後、溶融押出し、押出されたシ−ト状溶融体を冷
却固化せしめて未延伸PETフイルムを作る。このフイ
ルムを80〜120℃に加熱して長手方向に2.0〜
5.0倍延伸して一軸配向フイルムとする。このフイル
ムの両面にコロナ放電処理を施し、一方の面に易接着層
形成水系塗剤を塗布し、連続的に他方の面に易滑層形成
水系塗剤を塗布する。
【0041】この塗布されたフイルムを90〜140℃
に加熱しつつ幅方向に2.5〜5.0倍延伸し、引き続
いて160〜240℃の熱処理ゾ−ン中へ導き、1〜1
0秒間熱処理を行う。この熱処理中に必要に応じて幅方
向に3〜12%の弛緩処理を施しても良い。かくして得
られた両面積層ポリエステルフイルムの易接着層側に昇
華型インキを塗布し、本発明の昇華型感熱転写材を得
る。この転写材を用途に応じた幅にスリットし、目的と
する昇華型感熱転写材を得る。
【0042】かくして得られた昇華型感熱転写材は主と
して写真階調を必要とする用途、例えばビデオプリンタ
−などに好適に使用される。
【0043】
【特性の測定方法および効果の評価方法】本発明におけ
る特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりで
ある。
【0044】(1)昇華型インキ密着性 下記の昇華型インキを乾燥後の厚みが5μmとなるよう
にバ−コ−タ−を用いて塗布した。塗布後、120℃で
2分間乾燥し、乾燥後のインキ層上にメンディングテ−
プ(3M(株)製)を貼付け、手で強く圧着した後、1
80度方向に急速に剥離した。この時の転写材側に残存
したインキ層の残存面積率を測定し、全く剥離しないも
のを[◎],残存面積率90%以上を[○]とし、それ
に満たないものは全て[×]とした。
【0045】 [昇華型インキ層組成] 分散染料KST−B−136 4重量部 (日本火薬(株)製) エチルヒドロキシエチルセルロ−ス 6重量部 メチルエチルケトン 45重量部 トルエン 45重量部 (2)耐湿密着性 上記(1)で作成した昇華型感熱転写材を50℃×80
%RHの雰囲気下に1週間放置し、取り出し後、5分以
内に上記(1)と同様の密着性の評価を行った。
【0046】(3)色濃度、階調性 上記(1)で作成した昇華型感熱転写材をシャ−プカラ
−ビデオプリンタ−GZ−P11W(シャ−プ(株)
製)を用い、通常の使用条件でテレビのテストパタ−ン
を走行印字させた。受容紙は上記プリンタ−付属のもの
を使用した。
【0047】インキ層の受容紙側への転写(過転写→イ
ンキ層中の樹脂成分が受容紙側へ移行する現象)がな
く、鮮明な画像が得られたものを○、過転写はないが色
濃度が薄いものを△、過転写が発生したものを×とし
た。
【0048】(4)プリンタ走行性 上記(3)の条件で昇華型感熱転写材を走行させスティ
ックが発生せず、画像のゆがみやずれがなく、色調の再
現性の良いものを(○)、スティックはないが画像再現
性が悪いものを(△)、スティツクが発生し走行不良の
ものを(×)とし、(○)のレベルを良好とした。
【0049】(5)細長い突起形成性 易滑層を1万倍以上の電子顕微鏡で観察し、その画像か
ら形成された単位面積あたりの細長い突起の数を計測
し、100μm2 あたりに換算した。
【0050】
【実施例】次に本発明を実施例に基ずいて説明するが必
ずしもこれに限定されるものではない。
【0051】実施例1 粒子径0.5〜1.5μmの析出粒子(重合工程中で析
出した粒子)を0.15重量%、および粒子径約1.5
μmの炭酸カルシウム粒子を0.2重量%含有するPE
Tペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空
乾燥した後、押出機に供給して280℃で溶融押出し、
10μmカットの金属焼結フイルタ−で瀘過した後、T
字型口金よりシ−ト状に押出し、これを表面温度30℃
の冷却ドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この間の
シ−トと冷却ドラム表面との密着性を向上させるため、
シ−ト側にワイヤ−電極を配置して6000Vの直流電
圧を印加した。かくして得られた未延伸PETフイルム
を95℃に加熱して長手方向に3.5倍延伸し、一軸延
伸フイルムとした。
【0052】このフイルムの両面に炭酸ガス雰囲気中で
コロナ放電処理を施し、一方の面に易接着層形成塗剤、
他方の面に易滑層形成塗剤をグラビアコ−ト方式で塗布
した。塗布厚みは二軸延伸後において易接着層が0.1
μm、易滑層が0.05μmとなるようにした。塗布し
た易接着層形成塗料、易滑層形成塗料は下記のとおりと
した。
【0053】[易接着層形成塗料] (A)メチルメタクリレ−ト/エチルアクリレ−ト/ア
クリル酸/N−メチロ−ルアクリルアミド(65/30
/3/2重量%)より成る重量平均分子量50万のアク
リル樹脂エマルジョン。
【0054】(B)γ−(2−アミノエチル)アミノプ
ロピルトリメトキシシラン。
【0055】(A)90重量部(固形分比)と(B)1
0重量部を混合し水で3重量%に希釈した水性塗剤を作
成した。
【0056】[易滑層形成塗料] (a)酸化ワックス 60重量部 (b)植物性ワックス 40重量部 {水添ロジン・αβ置換エチレン(α置換基:カルボキ
シル基、β置換基:メチル基)付加物}・アルキル(炭
素数6)ポリ(繰り返し単位5)アルコ−ルのエステル
化合物 (c)鉱物油 5重量部 上記(a)+(b)+(c)を水分散体とするため非イ
オン界面活性剤、燐酸エステル、オレイン酸アンモニウ
ム、2−アミノ−2−メチルプロパノ−ルを各1重量部
添加し、水中で強撹拌し、さらに超音波分散機で全固形
分比率が1重量%の水分散液を作成した。
【0057】塗布された一軸延伸フイルムを110℃に
加熱された予熱ゾ−ンに導き水分を乾燥させた後、連続
的に130℃の加熱ゾ−ンでクリップに把持して幅方向
に4.5倍延伸し、続いて225℃の加熱ゾ−ンで5秒
間熱処理を施し、易接着層厚み0.1μm、易滑層厚み
0.05μmを設けた厚み5.5μm、易滑層側の中心
線平均粗さ0.09μmの積層二軸配向ポリエステルフ
イルムを得た。このフイルムの易接着層面に下記組成の
昇華型インキを乾燥後の厚みが5μmになるように塗布
し昇華型感熱転写材を得た。
【0058】[昇華型インク層組成] 分散染料KST−B−136 4重量部 (日本火薬(株)製) エチルヒドロキシエチルセルロ−ス 6重量部 メチルエチルケトン 45重量部 トルエン 45重量部 この昇華型感熱転写材の評価結果を表1に示す。昇華型
インキ層の密着性に優れ、高温高湿下で経時後の密着性
の低下がなく、色濃度、階調性も良好なものであった。
【0059】比較例1 実施例1のアクリル樹脂を下記のものに変えた以外は実
施例1と同様にして昇華型感熱転写材を作成した。
【0060】[アクリル樹脂]メチルメタクリレ−ト/
ブチルアクリレ−ト (70/30重量%)で重量平均分子量40万のアクリ
ル共重合体エマルジョン。
【0061】アクリル樹脂が架橋性官能基を有していな
いため昇華型インキ層との密着性、耐湿密着性とも不十
分なものであった。
【0062】実施例2〜5 アクリル樹脂としてメチルメタクリレ−ト/エチルアク
リレ−ト(65/30重量%)を基本骨格とし、これに
5重量%の下記のモノマを共重合して得られた重量平均
分子量50万のアクリルエマルジョンを用いた以外は実
施例1と同様にして昇華型感熱転写材を作成した。
【0063】[共重合モノマ]アクリル酸(実施例
2)、N−メチロ−ルアクリルアミド(実施例3)、β
−ヒドロキシエチルアクリレ−ト(実施例4)、グリシ
ジルメタクリレ−ト(実施例5)。
【0064】これらのモノマを共重合したものは表1の
示すとおりいずれも良好な特性を示した。
【0065】
【表1】
【0066】比較例2〜3 実施例1でアクリル樹脂のみ用いた場合(比較例2)、
シランカップリング剤のみを用いた場合(比較例3)は
表2に示すように不十分なものであった。
【0067】比較例4〜5 実施例1のシランカップリング剤に変えて下記のシラン
カップリング剤を用いた以外は実施例1と同様にして昇
華型感熱転写材を作成した。
【0068】[シランカップリング剤]γ−グルシドキ
シプロピルトリメトキシシラン(比較例4)、メチルト
リメトキシシラン(比較例5)。
【0069】これらのシランカップリング剤を用いたも
のは表2に示すように密着性が不足した。
【0070】実施例6 2軸配向ポリエステルフイルム(厚み5.5μm,中心
線平均粗さ0.1μm)の両面に火炎処理を施し、一方
の面に実施例1の易接着層形成塗料をメイヤ−バ−を用
いて乾燥後の厚みが0.1μmになるように塗布し、1
50℃で2分間乾燥した。次にポリエステルフイルムの
もう一方の面に実施例1のアクリルエマルジョン50重
量部とエポキシポリエ−テル変性シリコ−ン(東レ・ダ
ウコ−ニングシリコ−ン(株)製SF8421EG)5
0重量部の混合塗剤を乾燥後の厚みが0.3μmになる
ように塗布した。この易接着塗膜上に昇華型インキ層を
設け昇華型感熱転写材を作成した。結果を表2に示す。
【0071】実施例7〜10 実施例1のアクリル樹脂(A)とシランカップリング剤
(B)の配合比を変えた以外は同様にして昇華型感熱転
写材を作成した。
【0072】 (A)/(B):99/1(実施例7) (A)/(B):95/5(実施例8) (A)/(B):80/20(実施例9) (A)/(B):60/40(実施例10) 結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
【発明の効果】本発明はポリエステルフイルムの片面に
分子内に1種以上の架橋性官能基を有するアクリル樹脂
とアミノ基を有するシランカップリング剤を主たる構成
成分とする易接着塗膜を設け、該易接着層上に形成され
た昇華型インキ層と該インキ層を設けたポリエステルフ
イルムの反対面に易滑層が形成された昇華型感熱転写材
であって、以下のような優れた効果を有するものであ
る。
【0075】(1)昇華型インキ層との密着性に優れ、
高温高湿下においても良好な密着性を有する。
【0076】(2)過転写が発生せず、色濃度、階調性
に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−171988(JP,A) 特開 昭63−158291(JP,A) 特開 平1−171989(JP,A) 特開 平2−147292(JP,A) 特開 平3−64305(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41M 5/38 - 5/40

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフイルムの片面に、分子内
    に少なくとも1種以上の架橋性官能基を有するアクリル
    樹脂(A)とアミノ基を有するシランカップリング剤
    (B)とを主たる構成成分とする易接着性塗膜を有し、
    さらに該塗膜上に昇華型インキ層が形成され、該インキ
    層を設けたポリエステルフイルムの反対面に易滑層が形
    成されたことを特徴とする昇華型感熱転写材。
  2. 【請求項2】 結晶配向が完了する前のポリエステルフ
    イルムの一方の面に易接着性塗膜形成塗剤を塗布し、他
    の面に易滑層形成塗剤を塗布後、少なくとも一方向に延
    伸し、結晶配向を完了させた積層2軸配向ポリエステル
    フイルムの易接着性塗膜上に昇華型インキ層を設けたこ
    とを特徴とする請求項1の昇華型感熱転写材。
  3. 【請求項3】 易接着性塗膜層が分子配向していること
    を特徴とする請求項1または2の昇華型感熱転写材。
  4. 【請求項4】 アクリル樹脂のガラス転移点が40℃以
    上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の昇華型感熱転写材。
  5. 【請求項5】 易滑層がワックス系組成物および/また
    はオイル状組成物とワックス系組成物との混合物を主成
    分とし、かつ易滑層表面に長手方向/幅方向の比が3以
    上の細長い突起を20個/100μm2 以上有すること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の昇華型感
    熱転写材。
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