JP3340001B2 - 耐摩耗性部材 - Google Patents

耐摩耗性部材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摺動部材や治工具
などに適した硬質炭素膜を被覆したステンレス鋼からな
る耐摩耗性部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンドは、硬度、耐摩耗性、固体
潤滑性、熱伝導性などに優れていることから、例えば摺
動部材、治工具類、研磨材、耐摩耗性機械部品などの各
種部材に利用されつつある。また近年、低圧下での気相
成長法によるダイヤモンド膜等の硬質炭素膜の合成が可
能となったため、前述したような用途に対して需要がさ
らに増加しつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、気相成長法に
より作製した硬質炭素膜被覆部材は、膜自体は高い硬
度、低い摩擦係数といった特性を有するものの、基体と
なる物質と膜との密着強度が不足しているため、膜の剥
離が起こり、硬質炭素膜の持つ高硬度及び低摩擦係数と
いった摺動部材や治工具などの耐摩耗性部材として優れ
た特性を発揮するには至っておらず、また、通常ダイヤ
モンド被覆部材の母材として従来から用いられる窒化珪
素や超硬合金等はその母材の製造コストが高価になると
いった欠点がある。
【0004】上記基体と、硬質炭素膜との密着強度が低
い理由としては (1)ダイヤモンドやダイヤモンド状炭素のような硬質炭
素は、他の物質との濡れ性が悪い。
【0005】(2)硬質炭素膜と基体との熱膨張係数の違
いにより残留応力が発生する。
【0006】等が考えられている。
【0007】前記(2) に対する解決策としては、例え
ば、特開昭61−291493号公報に、ダイヤモンド
と近似する熱膨張係数を持つ窒化ケイ素または炭化ケイ
素を主成分とするセラミック焼結体を基体として用いる
方法が記載されている。この方法によると、前記(2) の
熱膨張係数の問題は解決されるものの、前記(1) の理由
により密着強度が不足しているのが現状である。また、
摺動部材や治工具は過酷な環境で使用されることから、
高強度、高靭性が求められる。例えば、窒化ケイ素をは
じめとするセラミック焼結体を基体とする場合、靭性に
乏しいという欠点を有していた。
【0008】更に、耐摩耗性部材においては任意形状部
材の表面に均質な膜の形状が必要となる。このような部
材表面へのダイヤモンド合成手法としてはいわゆるEC
RプラズマCVD法が最も優れており、外部より磁場を
印加して均一なプラズマを生成するため基体は非磁性で
あることが望ましい。
【0009】従って、本発明は、上記問題を解決し、硬
質炭素膜の密着強度と、耐欠損性に優れた安価な硬質炭
素膜を被覆した耐摩耗性部材を提供することを目的とす
るものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的に
対して検討を重ねた結果、基体としてFe、Crおよび
Niを主成分とするオーステナイト系ステンレス鋼を用
い、その基体の表面に硬質炭素膜を被覆するにあたり、
上記基体と硬質炭素膜との間に少なくともダイヤモンド
と炭化珪素を含有する中間層を介在させるとともに、硬
質炭素膜の表面粗さ(Rmax)を2μm以下とし、さ
らには硬質炭素膜のラマン分光スペクトル分析において
1160±40cm-1にピークが存在することにより、
耐摩耗性部材として優れた密着性と耐摩耗性が達成され
ることを見いだしたものである。
【0011】
【作用】本発明によれば、基体にFe、CrおよびNi
を含有するオーステナイト系ステンレス鋼を採用するこ
とにより、安価なダイヤモンド被覆摺動部材を提供する
とともに、基体に対する密着性を高めることができる。
特に、硬質炭素膜とステンレス鋼基体との間に少なくと
もダイヤモンドと炭化珪素を含有する層を配することで
さらに硬質炭素膜の剥離を抑えることができる。
【0012】さらに、前記ステンレス鋼基体の表面に形
成される硬質炭素膜の表面粗さを小さくすることにより
耐摩耗性部材としての耐摩耗性を向上させるとともに被
摩耗部材への損傷を防止することができる。特に、硬質
炭素膜中に、微結晶のダイヤモンドを含ませて結晶性を
低下せしめることにより、硬質炭素膜の表面粗さを小さ
くすることができる。これにより膜の研磨工程を短縮す
ることができ、また相手材との接触において優れた耐摩
耗性、摺動特性を示すことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の耐摩耗性部材は、図1に
示すように、基体1と、中間層2と硬質炭素膜3により
構成される。
【0014】本発明おいて、基体1はFe、Crおよび
Niを主成分とするオーステナイト系ステンレス鋼から
なるもので、かかるステンレス鋼は、非磁性で安価に入
手することができる。
【0015】本発明において用いられるステンレス鋼
は、具体的には、Fe以外の成分として、16〜20重
量%のCrと、7〜15重量%のNiを含有する非磁性
のオーステナイト系ステンレス鋼であり、より望ましく
はCrを16〜18重量%、Niを10〜14重量%、
さらには、Moを2〜3重量%の割合で含有するオース
テナイト系ステンレス鋼であることが望ましい。また、
上記以外の成分として、炭素(C)、Ti、Ta、N
b、Mo、Mn、Cu、Si、Alのうちの少なくとも
1種以上が含まれる場合もある。
【0016】かかるステンレス鋼としては、JIS規格
によれば、SUS302、SUS304、SUS309
S、SUS310S、SUS316、SUS321,S
US347等が知られている。
【0017】さらに、本発明によれば、耐摩耗性部材と
して充分利用できるだけの密着強度を得るために、図1
に示すように、硬質炭素膜3と基体1との間に少なくと
もダイヤモンド4と炭化珪素5を含有する中間層2を設
けることが重要である。
【0018】このような中間層2の形成により、硬質炭
素膜と基体との密着強度が向上する理由は次のように考
えられる。原子同士は電子を介在することにより結合さ
れているが、一般に、原子間の電子が一方に存在して電
気的な結び付きにより結合しているイオン結合よりも、
電子を双方の原子で共有している共有結合の方が強い結
合力を持つ。ダイヤモンドは炭素の共有結合により構成
されているので強い結合力を有している。
【0019】したがって、ダイヤモンドと異種化合物と
の密着強度を向上させるためには類似の結合様式である
共有結合性の化合物であることが望ましいと考えられ
る。また、ダイヤモンドの成分である炭素を含む化合物
の方がより整合性がよいと思われる。炭素化合物は数多
く存在するがその多くはイオン性結合を主体としたもの
である。本発明によれば、共有結合性化合物である炭化
珪素とダイヤモンドが混在する層を硬質炭素膜と基体と
の間に形成することにより、硬質炭素膜と基体との密着
強度が向上する。
【0020】また、この中間層におけるダイヤモンド4
と金属炭化物5は層状に分離して存在しているのではな
く、図1に示されるように、ダイヤモンド4の周りを金
属炭化物5が取り囲むような構造、すなわち、ダイヤモ
ンドが島状に分布することにより、いわゆるアンカー効
果が期待でき、硬質炭素膜3と基体1との密着強度が向
上すると考えられる。なお、中間層2は、0.1〜10
μm、特に0.5〜5μmの厚みで形成されることが望
ましい。また、硬質炭素膜3と中間層2との全体厚み
は、1〜100μm、特に2〜20μmが望ましい。
【0021】本発明の耐摩耗性部材は、オーステナイト
系ステンレス鋼からなる基体の表面に硬質炭素膜を被覆
してなるものであるが、特にその硬質炭素膜の表面粗さ
を2μm以下に制御することが重要である。これは摩擦
相手材との接触面における硬質炭素膜の表面粗さが、耐
摩耗性、摺動性に大きく影響を与えるためである。よっ
て、硬質炭素膜の表面粗さが2μmを越えると、相手材
が硬質炭素膜により削られたり、傷つけられたりする。
膜の表面粗さは特に1μm以下であることが望ましい。
【0022】硬質炭素膜の表面粗さは、膜の結晶性に大
きく影響を受ける。硬質炭素膜の結晶性が高く、ダイヤ
モンドを主体として構成される場合には、膜を構成する
結晶粒径が大きくなる傾向にあるために膜の表面粗さも
大きくなる。これに対して、硬質炭素膜の結晶性を低く
し、微結晶ダイヤモンドを存在せしめることにより膜の
表面粗さを小さく制御することできる。しかも、耐摩耗
性の点からも微結晶ダイヤモンドを含む方が耐摩耗性に
優れる。
【0023】このような微結晶ダイヤモンドは、ラマン
分光スペクトル分析において、1160±40cm-1
ピークとしてその存在を確認できる。従って、このピー
ク強度が大きいほど微結晶ダイヤモンドが多数存在し、
膜の表面粗さも小さくなる傾向にある。このような膜構
成にすることにより、硬質炭素膜の研磨工程の短縮する
ことができ、さらに生産性が向上する。この微結晶ダイ
ヤモンドのピーク強度I2 は、ラマン分光スペクトル分
析におけるダイヤモンドの主結晶のピークである133
3±10cm-1のピーク強度I1 に対する強度比(I2
/I1 )が0.02以上、特に0.15以上であること
が望ましい。
【0024】本発明の耐摩耗性部材を作製する方法とし
ては、気相成長法において、前述したオーステナイト系
ステンレス鋼からなる基体を反応室内に設置する。そし
て、先ず、反応室内に前記中間層を形成するための原料
ガスとして例えば、水素と炭素含有ガスを導入し、特に
中間層成分の1つとして炭化ケイ素を生成させる場合に
は、さらに珪素含有ガスを導入し、励起することにより
ダイヤモンドと炭化珪素が混在する中間層を形成するこ
とができる。そして中間層形成後、珪素含有ガスの供給
を停止すれば、硬質炭素膜を形成することができる。
【0025】このように各ガス種の供給量をコントロー
ルするだけで本発明の硬質炭素膜被覆耐摩耗性部材を合
成することができるので生産性も従来と変わらず優れた
部材を提供することができる。
【0026】膜形成において用いる炭素含有ガスとして
は、例えば、メタン、エタン、プロパンなどのアルカン
類、エチレン、プロピレンなどのアルケン類、アセチレ
ンなどのアルキン類、ベンゼンなどの芳香族炭化水素
類、シクロプロパンなどのシクロパラフィン類、シクロ
ペンテンなどのシクロオレフィン類などが挙げられる。
【0027】また一酸化炭素、二酸化炭素、メチルアル
コール、エチルアルコール、アセトンなどの含酸素炭素
化合物、モノ(ジ、トリ)メチルアミン、モノ(ジ、ト
リ)エチルアミンなどの含窒素炭素化合物なども炭素源
ガスとして使用することができる。これらは単独で用い
ることもできるし、二種以上で併用することもできる。
【0028】前記珪素含有ガスとしては、四フッ化ケイ
素、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素などのハロゲン化物、
二酸化ケイ素などの酸化物の他に、モノ(ジ、トリ、テ
トラ、ペンタ)シラン、モノ(ジ、トリ、テトラ)メチ
ルシランなどのシラン化合物、トリメチルシラノールな
どのシラノール化合物などが挙げられる。これらも一種
単独で用いることもできるし、二種以上で併用すること
もできる。
【0029】また、硬質炭素膜を形成する上記の原料ガ
ス中には、キャリアガスとして水素、アルゴン、ヘリウ
ムガスの他に、酸素含有ガスを導入することにより膜質
を向上し成膜速度を高めることができる。用いる酸素含
有ガスとしては、O2 、CO、CO2 、NO、NO2
2 O,H2 2 などの2〜4つの原子からなる構成さ
れる化合物、メチルアルコール、エチルアルコールなど
のアルコール類、エチルエーテルなどのエーテル類、ア
セトンなどのケトン類、アセトアルデヒドなどのアルデ
ヒド類、酢酸などの酸、または酸エステル類、エチレン
グリコールなどのグリコール類などの有機酸素含有化合
物も用いることができる。
【0030】これらの原料ガスを反応室に1×10-3
1torrの圧力で導入し、外部より磁場を印加しそこ
にマイクロ波を導入してECRプラズマを発生させ、2
00〜1000℃に加熱された基体を晒すことにより、
基体表面に炭化珪素とダイヤモンドとが混在した中間層
あるいは硬質炭素膜を形成することができる。
【0031】また、前述したように、硬質炭素膜の表面
粗さ(Rmax)が2μm以下となるように調整するこ
とが必要であるが、表面粗さは、生成された硬質炭素膜
を研磨すればよいが、後述する実施例から明らかなよう
に、成膜過程で炭素含有ガス濃度を比較的高くするとと
もに、原料ガス中の酸素の割合を少なくすることにより
微結晶のダイヤモンドを含む硬質炭素膜を形成すること
ができる。その場合には成膜後の表面粗さが小さいため
に、硬質炭素膜を研磨する必要がないか、必要であって
も短時間で調整できる。
【0032】なお、本発明の耐摩耗性部材は、金属加工
用の治具、線引きダイス、スライダー部材など種々の摺
動部材、ワイヤー放電加工機用のガイド部品、研磨材等
の耐摩耗性機械部品、治工具として使用できる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を次の例で説明する。 実施例1 反応炉内に原料ガスを導入して、反応室内圧力を0.0
5torr、基体温度600℃に設定した。なお、原料
ガスの種類、流量は表1に示す。
【0034】ECRプラズマCVD法により最大2kガ
ウスの強度の磁場を印加させ、マイクロ波出力3.0K
Wの条件で、SUS316(Cr16重量%、Ni11
重量%、Mn2%以下、Si1%以下、残部Fe)基体
に成膜を行った(試料No.1)。成膜時の原料ガス流量
及び圧力の変化を成膜時間の経過と共に表1に示す。
【0035】なお、試料No.1についてラマン分光分析
結果を図2に示した。
【0036】
【表1】
【0037】また、基体をSUS304(Cr18重量
%、Ni8重量%、Mn2%以下、Si1%以下、残部
Fe)に代えて、同様の手法でコーテイングを行った
(試料No.2,3,4,5)。作製した試料に対してい
ずれも20分の研磨工程を行った。
【0038】さらに、比較例として、前記表1に示す原
料ガス組成のうち、Si(CH3 4 を供給しない他は
前述と同様の手法で比較試料(試料No.6、7、8)を
作製した。
【0039】得られた膜に対して、X線回折測定により
検出相を同定し結果を表3に示した。また、顕微ラマン
分光法によりスペクトル測定を行い、1333±10c
-1のピーク強度I1 、1160±40cm-1のピーク
強度I2 との強度比(I1 /I2 )を表3に示した。さ
らに、表面粗さ(Rmax)を触針式表面粗さ計により
測定した。
【0040】また、これらの部材に対して、耐摩耗摺動
特性(ピンの摩耗量及び摩擦係数)をピンオンディスク
法により評価した。摺動試験の条件は、室温、大気中、
無潤滑において、荷重39.2N、摺動速度2m/se
c、24時間で行った。ピンはアルミニウム製のものを
用いた。試験前後のアルミニウムピンの重量変化でピン
の摩耗量を評価した。ピンの摩耗量と摩擦係数を表3に
示す。
【0041】さらに、ビッカース硬度計を用いて、膜に
荷重をかけて基体表面から膜を浮かせ、膜と基体との付
着力を評価した。膜に剥離が生じはじめた荷重(臨界荷
重)を測定した結果を表3に示す。
【0042】実施例2 次に、基体としてSUS316を用いて、原料ガスを表
2に示すように調整する以外は実施例1と全く同様にし
て、結晶性の良い硬質炭素膜を形成し、試料No.5につ
いては、研磨工程を20分間行い、試料No.6、7につ
いてはいずれも40時間行った。
【0043】
【表2】
【0044】得られた硬質炭素膜被覆部材に対して、実
施例1と同様にして、ラマン分光スペクトルによる結晶
相の同定、ピーク強度比、表面粗さ、摺動特性、臨界荷
重を測定し表3に示した。
【0045】
【表3】
【0046】表3において、試料No.3,4は、Si
(CH3 4 ガスを導入することなく、中間層を形成し
なかったものであり、これらの試料は摩耗試験において
はいずれも試験開始後5分以内で膜の剥離が生じたの
で、途中で試験を中止した。膜の剥離が容易に生じたこ
とから耐摩耗性部材として膜と基板との密着強度が充分
でないことがわかる。また、臨界荷重も本発明品に比べ
て極めて低い値である。
【0047】試料No.5は、結晶性のよいダイヤモンド
膜を中間層を介して形成したものであるが、表面粗さが
2μmを越えるために、耐摩耗性が不十分であり、ピン
の摩耗が極めて早く、試験開始後30分で試験を中止し
た。
【0048】上記以外の本発明の試料は、いずれも摺動
試験において剥離は起こらず、ピンの摩耗量は0.03
g以下の優れた摺動性を示した。ただし、試料No.1と
試料No.6、試料No.2と試料No.7との対比から明ら
かなように、1160±40cm-1のピークが存在しな
い試料No.6、No.7では、研磨工程に100倍以上の
時間を要した上に、他に比べてやや大きい摩耗量を示
し、試料No.1、試料No.2に比べて特性、生産性がや
や劣ることがわかる。
【0049】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明の耐摩耗
性部材は、硬質炭素膜と基体との密着強度に優れ、また
膜自体が耐摩耗性に優れていることから、耐摩耗性部材
や摺動部材に適していることがわかる。また、本発明は
ステンレス鋼を基体としていることから安価なダイヤモ
ンド被覆の耐摩耗性部材や摺動部材を提供することが可
能となった。さらに、硬質炭素膜中に微結晶ダイヤモン
ドを含むことにより、成膜後の膜表面の平滑性に優れ、
膜の表面の研磨を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐摩耗性部材の構造を説明するための
模式図である。
【図2】本発明における硬質炭素膜のラマン分光分析結
果を示す図である。
【符号の説明】
1 基体 2 中間層 3 硬質炭素膜 4 ダイヤモンド 5 金属炭化物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−306610(JP,A) 特開 平4−354873(JP,A) 特開 平5−169162(JP,A) 特開 平7−70756(JP,A) 特開 平7−173631(JP,A) 特開 平7−90553(JP,A) 特開 昭60−123203(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 16/56 C01B 31/00 - 31/36 C30B 29/04 F16C 33/00 - 33/28 B23B 27/14 B23P 15/28

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Fe、CrおよびNiを含有するオーステ
    ナイト系ステンレス鋼からなる基体の表面に少なくとも
    ダイヤモンドと炭化珪素を含有する中間層を介して硬質
    炭素膜を被覆してなり、前記硬質炭素膜の表面粗さ(R
    max)が2μm以下であり、且つラマン分光スペクト
    ル分析において1160±40cm -1 にピークが存在す
    ことを特徴とする耐摩耗性部材。
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