JP5910820B2 - 摺動部材 - Google Patents

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本発明は、自然界に主に存在する安定同位体(12C)よりも質量数の大きい13Cまたは14Cを含むダイヤモンドからなる表面被膜で被覆された摺動部材に関する。
並進運動や回転運動などの相対運動を伴う機械や装置の殆どは、少なくとも一部に摺動部を備える。このような機械等の高効率化やエネルギーの有効活用を図る上で、エネルギーロス等の原因となる摺動部における摩擦の低減が非常に重要となる。
そこで、接触表面粗さの向上、接触面間に介在する潤滑剤の改良等の他、低摩擦被膜の形成等による摩擦係数の低減がなされてきた。いずれも摺接界面に着目して摺動特性の改善を図ったものである。ところが、摩擦現象は未だ十分に解明されている訳ではなく、摩擦係数の低減策は従前の方法以外にも存在し得る。最近では、下記の非特許文献1に示すように、従来と異なる視点から摩擦係数の低減に関する提案がされている。
特開2003−51609号公報 WO2009/044882号公報
R. J. Cannara, M. J. Brukman, K. Cimatu, A. V. Sumant, S. Baldelli, and R.W. Carpick, Science 318, 780 (2007) Y. M.o、 M. H. Muser、 and I. Szulufarska、 Phys. Rev. B 80 (2009) 155438
非特許文献1には、ダイヤモンドやシリコン基板の表面を、水素(H)と同位体である重水素(D)で終端処理することにより、その表面における摩擦が低減される旨の記載がある。この理由として、非特許文献2では、シミュレーション結果に基づき、DがHよりも重いため、Dが表面から離脱し難くなり、表面の化学的な安定性が高くなったためと述べている。
特許文献1および特許文献2には、炭素の同位体組成比が層間で異なる積層体に関して記載されている。しかし、これら文献はいずれも電子・ホールの閉込効果を利用した電子デバイスに関連したものであり、摩擦現象や摺動部材に関する記載は一切ない。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、従来とは異なる手法により摺動面における摩擦を低減できる摺動部材を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、質量数が大きい同位体(13C)からなるダイヤモンド薄膜は、安定同位体(12C)からなるダイヤモンド薄膜より、摩擦係数が小さくなることを発見した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《摺動部材》
(1)本発明の摺動部材は、基材と、該基材の表面の少なくとも一部を被覆する表面被膜と、からなる摺動部材であって、前記表面被膜は、炭素(C)の安定同位体(12C)よりも質量数が大きい同位体である13Cまたは14Cの少なくとも一方を、天然の存在割合である天然比よりも多く含むダイヤモンドからなり、該ダイヤモンドは、該ダイヤモンド全体を100質量%(単に「%」という。)としたときに 13 Cと 14 Cを合計で50%以上含むことを特徴とする。
(2)本発明の摺動部材によれば、摺動部材の摺動面における摩擦係数が従来よりも大幅に低減される。もっとも、本発明に係るダイヤモンドからなる表面被膜により摩擦係数が低減される理由は必ずしも定かではない。現状では次のように考えられる。
摩擦は、摺接する二固体間で生じる界面現象である。このため従来は、その界面における固体表面特性(例えば、表面吸着物、表面電子状態等)に着目して摩擦現象が解析されてきた。しかし、摩擦現象は、固体の表面特性のみならず、その表面に連なる固体内部の特性にも影響され得ることがわかってきた。つまり、摩擦現象は、エネルギー散逸機構を担う固体内部の特性、特に格子振動特性(フォノン)の影響等も受け得る。
本発明に係る表面被膜を構成するダイヤモンドは、少なくとも一部が安定同位体である12Cより質量数の大きな13Cまたは14Cを含む。このダイヤモンドは、通常のダイヤモンドよりも全体としての原子質量が大きくなる。この結果、表面被膜を構成するダイヤモンドの内部特性である格子振動特性(フォノン)も従来と異なる。つまり、摩擦に伴って生じるエネルギーの散逸が従来よりも少なくなる。こうして本発明に係るダイヤモンドからなる表面被膜では、摺接界面における摩擦によるエネルギーロスが抑制され、摩擦係数が従来のダイヤモンドからなる表面被膜よりも大幅に低減されたと考えられる。
こうして本発明に係る表面被膜は、元々ダイヤモンドが有する低摩擦性に加えて、上述した固体内部の同位体効果による摩擦低減も加味される結果、全体として非常に優れた低摩擦性を発揮し得る。そして、この表面被膜を有する本発明の摺動部材は、摩擦低減やそれに起因した耐摩耗性の向上等、優れた摺動特性を発揮し得る。
《その他》
(1)本発明に係るダイヤモンドは、結晶質であれば、単結晶体でも多結晶体でもよい。このダイヤモンド中には、種々の改質元素(ドープ元素)、コスト的または技術的な理由等により除去することが困難な不可避不純物が含まれてもよい。
(2)本発明の摺動部材はその形態を問わず、また表面被膜はその摺動部材の少なくとも一部に形成されていれば足る。本発明に係る表面被膜は、摺動する2部材の両方に形成されても、一方のみでもよい。
また表面被膜は、全体が均一な同位体組成である必要はなく、摺動面に作用する荷重等に応じて表面被膜の同位体組成が部分的または局所的に調整されてもよい。例えば、13Cまたは14Cを含むダイヤモンドからなる表面被膜は、基材の高荷重部分にだけ設けられてもよい。
(3)本明細書では、炭素の同位体元素全てを総括して、単に「炭素」または「C」という。
(4)特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。
走査型プローブ顕微鏡(SPM)により付着力を測定する様子を示す模式図である。 順次測定した各試料(水素終端処理あり)の摩擦係数と付着力を示すグラフである。 順次測定した各試料(水素終端処理なし)の摩擦係数と付着力を示すグラフである。
本明細書で説明する内容は、本発明の摺動部材のみならず、その製造方法にも該当し得る。製造方法に関する構成要素は、プロダクトバイプロセス・クレームとして理解すれば物に関する構成要素ともなり得る。上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《基材》
本発明に係る基材は、その材質を問わない。もっとも、後述する表面被膜の合成方法に適した特性(耐熱性、結晶構造等)を備えると好ましい。例えば、基材表面上に表面被膜となるダイヤモンドを成長させる場合、(001)、(110)、(111)または(113)結晶面をもつダイヤモンドが下地として基材表面に存在すると好ましい。この下地は、単結晶でも多結晶でも良い。例えば、下地が高圧高温合成されたまたはCVD法で形成された単結晶ダイヤモンドからなると、ホモエピタキシャル成長により、低欠陥で高品質なダイヤモンドからなる表面被膜が合成され得る。
ちなみに、本発明でいう基材にはダイヤモンドが含まれる。この基材としてのダイヤモンドの同位体組成は問わない。つまり、主に12Cからなっても、主に13Cまたは14Cからなっても、それらCが混在したものでもよい。このダイヤモンドも単結晶でも多結晶でも良いが、基材が前述した下地を兼ねる場合は単結晶であると好ましい。
なお、ダイヤモンドからなる基材上にダイヤモンドからなる表面被膜を形成した場合のように、両者が一体となり分離観察できない部材も本発明の摺動部材である。さらにいえば、表面被膜の有無を問わず、13Cまたは14Cの少なくとも一方を天然比よりも多く含むダイヤモンドからなる一体部材も、摺動面を有する限り、本発明の摺動部材に含めて考え得る。
《表面被膜》
(1)炭素の存在比(同位体組成)
本発明に係る表面被膜を構成するダイヤモンドは、13Cと14Cの少なくとも一方を自然界に存在する割合(天然比)より多く含む限り、その具体的な炭素の同位体組成を問わない。例えば、表面被膜は、実質的に13C単体または14C単体からなるダイヤモンドから構成されてもよいし、12C、13C、14Cが種々の割合で混在したダイヤモンドから構成されてもよい。
ちなみに、自然界にある各同位体の存在比(天然比)は、炭素全体を100質量%としたとき、12C:98.9%、13C:1.1%、14C:0%である。そこで敢えていうと、本発明に係るダイヤモンドは、全体を100質量%としたときに、13C:1.2%以上および/または14C:1%以上含むものであれば足る。
もっとも、13Cまたは14Cという同位体元素の含有量が少ないと、本発明に係るダイヤモンドからなる摺動面における摩擦係数の低減効果も少ない。そこで、ダイヤモンド全体を100質量%としたときに、13Cまたは14Cの合計量が50%以上、75%以上、90%以上さらには98%以上であると好ましい。
なお、本明細書の場合、被膜等を構成するダイヤモンド中の同位体組成は、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)を用いて確定される。
(2)ドープ元素の組成
本発明に係るダイヤモンドは、上述したC以外の元素(ドープ元素)を含むドープダイヤモンドでもよい。ドープ元素として、例えば、ホウ素(B)、リン(P)、ニッケル(Ni)、窒素(N)、リチウム(Li)、硫黄(S)等がある。ドープ元素は、ダイヤモンド全体を100%としたときに、合計で10〜1000ppmさらには50〜500ppm含まれると好ましい。
(3)終端処理
本発明では、表面被膜を構成するダイヤモンドの内部特性、つまり摩擦界面(摺接界面)で生じた摩擦エネルギーが原子の振動を介して内部へ散逸される機構に着目している。従って、摺動面を構成する最外層に配列された原子中に、必ずしも13Cまたは14Cが含まれる必要はない。
このような最外層は、炭素やドープ元素以外の別の元素が結合していてもよい。例えば、重水素(H)が内部の炭素と結合して最外層を構成していてもよい。これにより表面被膜の最表面を均一な状態にできる。なお、終端処理は、Hで行ってもよいが、Hで行うと、摩擦界面の安定性が高まり、摩擦係数のさらなる低減が期待される。本明細書では、このように摩擦界面にC以外の元素からなる最外層を形成することを終端処理という。
《製造方法》
本発明に係る表面被膜を構成するダイヤモンドの合成方法は問わない。例えば、マイクロ波プラズマCVD法、hot-filament法、電子衝撃(electron assisted)法、Plasma Torche法、電子サイクロトロン共鳴(ECR: Electron Cyclotron Resonance)法、直流放電プラズマ(DC discharge plasma)法、高周波プラズマ(RF plasma)法、高周波誘導熱プラズマ(RF induction thermal Plasma)法、直流プラズマジェット(DC plasma Jet)法、燃焼炎法等の化学気相堆積(CVD)法により行い得る。
特にマイクロ波プラズマCDV法を用いると、低欠陥で原子レベルの平坦性を有するダイヤモンド薄膜の合成が可能となり好ましい。マイクロ波プラズマCDV法は、例えば、ステンレス製等の反応容器と、マイクロ波電源と、基板温度制御手段と、原料ガス供給手段と、真空排気手段等を備えるマイクロ波プラズマCVD装置により行える。
原料ガスには、メタンガス(CH)、二酸化炭素(CO)、一酸化炭素(CO)などを使用できる。もっとも、同位体ガスの入手し易さと、マイクロ波プラズマによる分解効率の高さから、同位体濃縮された13CHガスまたは14CHガスを原料ガスとすると好ましい。また合成時に用いる水素ガスは、CO、CO等の残留不純物を除去した純度9Nの水素ガスを使用するとよい。
《用途》
本発明の摺動部材は、その具体的な形態や用途を問わない。例えば、エンジン動弁系のバルブリフター、ピストンリング、すべり軸受けのすべり面等の部材に好適である。
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
<実施例1>
《試料の製造》
(1)成膜工程
質量数の異なる12Cと13Cからなるダイヤモンド薄膜をそれぞれ基板(基材)上に成膜した。この基板は高圧高温で合成されたダイヤモンド単結晶からなる。本実施例では、適宜、12Cに係る試料を試料1、13Cに係る試料を試料2という。
それぞれの試料に係るダイヤモンド薄膜は、マイクロ波プラズマ化学気相堆積(CVD)法により、ホモエピタキシャル成長させて成膜した。この際、原料ガスには同位体濃縮されたメタンガス(12CHまたは13CH)を用いた。この原料ガスと水素発生器から得られた水素ガスを、マニホールドで均一に混合し、この混合ガスを市販のダイヤモンド合成装置の反応容器に導入した。
混合する原料ガスと水素ガスは、それぞれ、マニホールド手前に設けたマスフローコントローラーにより流量制御した。水素ガスには、CO、CO、炭化水素(CH等)などの残留不純物を混合直前に除去した化学純度9N以上のものを使用した。混合ガスの大部分を占める水素ガス中の残留炭素の影響を抑制するためである。
ダイヤモンド薄膜の成膜は、基板温度:800℃、マイクロ波パワー:750W、全ガス圧力:25Torr(3333Pa)、全ガス流量:400sccm、水素ガスとメタンガスの混合体積比(CH/H):0.15%として行った。
(2)終端処理工程
こうして得られたダイヤモンド薄膜の表面状態をそろえるために水素終端処理を次のようにして行った。すなわち、成膜後の基板を反応容器に入れたまま、先ず、その雰囲気をメタンガスが含まれない水素ガス雰囲気とした。次に、上記の条件の下で、反応容器内に水素プラズマを発生させ、その水素プラズマに成膜後の試料を曝露して終端処理を行った。
《観察・測定》
(1)被膜性状
成長速度から見積もると、各試料はいずれも、基板表面上に約1.5μmの膜厚からなるダイヤモンド薄膜が形成されていた。また、各試料のダイヤモンド薄膜の表面粗さをSPMで測定したところ、いずれもRzjis1nm以下であった。なお、各ダイヤモンド薄膜をTOF−SIMSで測定したところ炭素の同位体比率は、それぞれダイヤモンド薄膜全体に対して試料1で99.9質量%、試料2で98.8質量%であった。
(2)被膜特性
各試料に係るダイヤモンド薄膜(表面被膜)の摩擦特性を、走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて大気中で測定した。このとき、プローブとなるチップには、Nanoworld社製PNP−DBを用いた。このチップは耐熱ガラス(SiN)からなり、その先端の曲率半径は約10nmであった(図1参照)。
このチップの先端をダイヤモンド薄膜の表面(試料表面という。)に接触させ、走査速度:1μm/sで移動(摺動)させて、チップに生じる摩擦力(平均値)を測定した。この測定時の走査範囲は500nm×500nmとした。
こうして得られた摩擦力を、チップに印加した荷重と付着力との合力で除して摩擦係数を算出した。なお、ここでいう付着力は、チップの先端を試料表面に接触させた後、そのチップをその試料表面から離脱させる際に必要な力である。この付着力は、試料表面とチップとの間に作用するファンデルワールス力やメニスカス力に起因した引力であると考えられる(図1参照)。なお、この摩擦試験中にチップに印加した荷重は87±1nNとした。
こうして得られた付着力と摩擦係数を図2に示した。測定は、試料2(13C)→試料1(12C)→試料2(13C)→試料1(12C)の順序で、それぞれ2回ずつ行った。このように測定を交互に複数回行ったのは、測定中に生じるチップ摩耗によって、試料表面とチップ先端の接触状況が変化していないかを確認するためである。具体的には、各試料の摩擦試験終了毎に、上述した付着力を順次測定し、その変化を観察した。
《評価》
(1)先ず、図2から明らかなように、測定毎の付着力は、測定回数に依らずほぼ一定であった。従って、上述した摩擦試験中、試料表面とチップ先端の界面に大きな変化はなく、得られた結果は各試料の摩擦特性を適切に指標している。
(2)次に、図2から明らかなように、測定回数に関わらず、13Cからなるダイヤモンド薄膜を有する試料2の摩擦係数が、12Cからなるダイヤモンド薄膜を有する試料1の摩擦係数よりも小さくなった。試料1の摩擦係数(1回目:0.0266、2回目:0.0273)を基準にすると、試料2の摩擦係数(1回目:0.0243、2回目:0.0226)は、約10〜20%低減されたことになる。なお、摩擦係数は摩擦力/(荷重+付着力)で定義した。
こうして、質量数の大きい炭素の同位体(13Cまたは14C)からなるダイヤモンドの表面被膜を摺動面に有する摺動部材は、摩擦係数が小さく優れた摺動特性を発揮し得ることが確認された。
<実施例2>
上述した水素終端処理を行わない試料を、他は実施例1と同様にして製造した。本実施例では、適宜、12Cに係る試料を試料21、13Cに係る試料を試料22という。これら試料に係る摩擦特性も実施例1と同様に測定した。但し、チップに印可した荷重は18.9±1nNとした。得られた付着力と摩擦係数を図3に示した。なお、本実施例では、試料21(12C)→試料22(13C)→試料21(12C)の順序で測定した。
本実施例でも、各測定中、付着力はほぼ一定であった。このことから各試料とチップ先端の界面状態には大きな変化は生じておらず、得られた結果は各試料の摩擦特性を適切に指標していると考えられる。
また試料21の摩擦係数(1回目: 0.0336、2回目: 0.0325)に対し、試料22の摩擦係数(0.0288)は約10%低減された。この結果から、表面状態(水素終端処理の有無)に関わらず、同位体効果による摩擦低減効果が発現されることも確認された。

Claims (4)

  1. 基材と、
    該基材の表面の少なくとも一部を被覆する表面被膜と、
    からなる摺動部材であって、
    前記表面被膜は、炭素(C)の安定同位体(12C)よりも質量数が大きい同位体である13Cまたは14Cの少なくとも一方を含むダイヤモンドからなり、
    該ダイヤモンドは、該ダイヤモンド全体を100質量%(単に「%」という。)としたときに 13 Cと 14 Cを合計で50%以上含むことを特徴とする摺動部材。
  2. 前記ダイヤモンドは 13Cと14Cを合計で98%以上含む請求項1に記載の摺動部材。
  3. 前記ダイヤモンドは、C以外のドープ元素を含むドープダイヤモンドである請求項1または2に記載の摺動部材。
  4. 前記ドープ元素は、前記ダイヤモンド全体を100%としたときに合計で10〜1000ppm含まれる請求項3に記載の摺動部材。
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