JP3338805B2 - 汚泥掻寄機 - Google Patents

汚泥掻寄機

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JP3338805B2
JP3338805B2 JP26994499A JP26994499A JP3338805B2 JP 3338805 B2 JP3338805 B2 JP 3338805B2 JP 26994499 A JP26994499 A JP 26994499A JP 26994499 A JP26994499 A JP 26994499A JP 3338805 B2 JP3338805 B2 JP 3338805B2
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sludge scraping
moves
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敦夫 平井
徹生 山縣
肇 飯沼
卓矢 森澤
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日立機電工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、汚泥掻寄機に関
し、特に、汚水中に位置する駆動部をなくして装置の耐
久性を向上するようにした汚泥掻寄機に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、汚泥掻寄機(沈砂を対象とする沈
砂掻寄機を含み、本明細書において、単に、「汚泥掻寄
機」という。)は、一般には、図7に示すように、片端
に沈降した汚泥を掻き集めて一時貯留する汚泥ピットP
を備えた汚水処理槽1内に、槽底11及び水面に沿って
移動するエンドレス状のチェンCを張架し、このチェン
Cに所定間隔でスクレーパSを取り付け、モータMを駆
動することにより、チェンCを循環駆動し、往路側の槽
底に摺接する位置にあるスクレーパSによって、沈降し
た汚泥を掻き寄せ、汚泥ピットP内に集泥するととも
に、復路側の水面位置にあるスクレーパSによって、水
面に浮遊するスカムを掻き寄せ、スカムスキマKを介し
て排出するようにしている。なお、汚泥ピットP内に集
泥された汚泥は、汚泥引抜管2にて汚水処理槽1外に引
き抜き、排出するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の汚泥
掻寄機は、汚水中にエンドレス状のチェンCを張架し、
チェンCを循環駆動し、往路側の槽底に摺接する位置に
あるスクレーパSによって、沈降した汚泥を掻き寄せる
構造のため、チェンC及びチェンCを張架するためのス
プロケットホイルW等の駆動部が、必然的に汚水中に位
置することとなり、汚泥等の混入した汚水と接触するこ
とによって、駆動部が摩耗したり、腐食し、装置の耐久
性が低く、チェンC及びスプロケットホイルW等の駆動
部のメンテナンスに時間と費用がかかるという問題があ
った。また、槽底に沿って往復動するビームの下部にス
クレーパを多数取り付けた汚泥掻寄機においては、スク
レーパを取り付けるビームには型鋼あるいは角パイプ材
を用いているので、浮力が作用せず、汚泥掻寄時にスク
レーパにビームの荷重も加わり、スクレーパの摩耗が激
しく、また動力ロスも大きいという問題があった。
【0004】本発明は、上記従来の汚泥掻寄機の有する
問題点に鑑み、汚水中に位置する駆動部をなくして、駆
動部が、汚泥等の混入した汚水と接触することによっ
て、摩耗したり、腐食することを防止し、かつ動力ロス
を低減し、装置の耐久性を向上することができるように
した汚泥掻寄機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の汚泥掻寄機は、汚水処理槽の槽底に沿って
配設し、往復移動するようにした汚泥掻寄装置と、該汚
泥掻寄装置を吊垂支持して往復移動するようにした駆動
装置とからなる汚泥掻寄機において、前記駆動装置を水
面上に設置し、汚泥掻寄装置の前部分を、後部分に対し
て揺動可能に配設し、駆動装置により、汚泥掻寄方向に
前進移動するときは、汚泥掻寄装置の前部分のスクレー
パが槽底に接して移動し、反対方向に後退移動するとき
は、汚泥掻寄装置の前部分のスクレーパが槽底から離れ
て移動するように構成するとともに、少なくとも汚泥掻
寄装置の後部分のスクレーパを、汚泥掻寄方向に前進移
動するときは、汚泥を掻き寄せるように、反対方向に後
退移動するときは、沈降した汚泥に潜り込むように、前
面及び背面の形状を異ならせて形成したことを特徴とす
る。
【0006】この汚泥掻寄機は、駆動装置を水面上に設
置して汚水中に位置する駆動部をなくし、駆動部が汚泥
等の混入した汚水と接触することによって、摩耗した
り、腐食することを防止し、装置の耐久性を向上するこ
とができる。また、汚泥掻寄装置の前部分を、後部分に
対して揺動可能に配設し、駆動装置により、汚泥掻寄方
向に前進移動するときは、汚泥掻寄装置の前部分のスク
レーパが槽底に接して移動し、反対方向に後退移動する
ときは、汚泥掻寄装置の前部分のスクレーパが槽底から
離れて移動するように構成することにより、沈降する汚
泥量が多く、さらに、汚泥掻寄装置によって掻き寄せら
れることにより、多量の汚泥が堆積する汚泥掻寄装置の
前部分の往復移動を円滑に行うことができ、沈降した汚
泥の掻き寄せを、確実に、かつ、安定して行うことがで
きる。また、少なくとも汚泥掻寄装置の後部分のスクレ
ーパを、汚泥掻寄方向に前進移動するときは、汚泥を掻
き寄せるように、反対方向に後退移動するときは、沈降
した汚泥に潜り込むように、前面及び背面の形状を異な
らせて形成することにより、汚水処理槽の槽底に沿って
配設した汚泥掻寄装置の後部分を単に往復移動させるこ
とによって、沈降した汚泥を掻き寄せることができる。
【0007】この場合において、スクレーパを取り付け
たビームを浮力を得ることができるように中空に形成す
ることができる。
【0008】これにより、ビームに浮力が作用し、スク
レーパが槽底に接して移動する際の摺動抵抗を少なくし
て摩耗を低減するとともに、駆動力のロスを低減するこ
とができる。
【0009】また、スクレーパを取り付けたビームに浮
力材を配設することができる。
【0010】これにより、例えば、中空に形成したビー
ムに腐食等により孔があいても、浮力材により浮力が確
保され、長期に亘って、スクレーパが槽底に接して移動
する際の摺動抵抗を少なくして摩耗を低減するととも
に、駆動力のロスを低減することができる。
【0011】この場合において、駆動装置を、ピンラッ
クを備え、長円形に形成したガイドレールと、ピンラッ
クに噛合し、ガイドレールに沿って周回移動するピンホ
イルと、該ピンホイルを駆動するモータとより構成する
ことができる。
【0012】これにより、簡易な駆動装置により、汚泥
掻寄装置の前部分が、汚泥掻寄方向に前進移動するとき
は、槽底に接して移動し、反対方向に後退移動するとき
は、槽底から離れて移動するように構成することができ
る。
【0013】また、汚泥掻寄装置に、スクレーパを、汚
泥掻寄装置の往復移動のストローク長と等しいか、スト
ローク長よりも短い間隔に配設することができる。
【0014】これにより、汚水処理槽の槽底に沿って配
設した汚泥掻寄装置を往復移動させることによって、沈
降した汚泥を確実に掻き寄せることができる。
【0015】また、汚泥掻寄装置のスクレーパを、前面
を略鉛直面に、背面を傾斜面に形成することができる。
【0016】これにより、簡易な構造のスクレーパによ
り、スクレーパを、汚泥掻寄方向に前進移動するとき
は、汚泥を掻き寄せるように、反対方向に後退移動する
ときは、沈降した汚泥に潜り込むようにすることがで
き、沈降した汚泥の掻き寄せを、確実に、かつ、安定し
て行うことができる。
【0017】また、駆動装置を、汚泥掻寄装置が汚泥掻
寄方向に前進移動するときは低速で、反対方向に後退移
動するときは高速で、移動するように構成することがで
きる。
【0018】これにより、汚泥掻寄装置に配設したスク
レーパにより、沈降した汚泥の掻き寄せを、確実に、か
つ、安定して行うことができるとともに、スクレーパを
沈降した汚泥中に確実に潜り込ませることができる。
【0019】また、スカム掻寄装置に連動するようにス
カム掻寄用スクレーパを配設することができる。
【0020】これにより、水面に浮遊するスカムの掻き
寄せを、確実に、かつ、安定して行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の汚泥掻寄機の実施
の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】図1〜図3に、本発明の汚泥掻寄機を適用
した汚泥沈澱池、沈砂池等の汚水処理槽1を示す。
【0023】汚水処理槽1には、その一端側から汚水が
導入されるとともに、この汚水供給側の底部に汚泥引抜
管2を有する汚泥ピットPを備える。この汚水処理槽1
の槽底11は、好ましくは、汚水処理槽1を清掃する
際、汚水が汚泥ピットPに流入し易いように、汚泥ピッ
トP側が低くなるように傾斜して形成するようにする。
【0024】また、汚水処理槽1には、汚水処理槽1に
導入された汚水に含まれるスカム分が分離して浮遊する
位置、例えば、汚水処理槽1のほぼ中央付近の水面にス
カムスキマKを配設して、水面に浮遊するスカムを汚水
処理槽1外に排出するとともに、スカムスキマKの後方
の水面に複数の流出樋3を配設して、汚泥を沈降分離
し、かつスカムを除去した後の汚水を汚水処理槽1外に
排出するように構成する。
【0025】また、汚水処理槽1には、槽底11に沈降
した汚泥を、掻き寄せ、汚泥ピットPに集泥する汚泥掻
寄機Aを配置する。この汚泥掻寄機Aは、汚水処理槽1
の槽底11に沈降した汚泥を掻き寄せる汚泥掻寄装置4
と、この汚泥掻寄装置4を吊垂支持して所定のストロー
ク長L2で汚水処理槽1の長手方向に沿って往復移動さ
せる水面上に設置した駆動装置5と、汚泥掻寄装置4の
上方に一体に取り付けて水面に浮遊するスカムをスカム
スキマKに掻き寄せるスカム掻寄装置6とから構成す
る。
【0026】汚泥掻寄装置4は、汚水処理槽1の槽底1
1、例えば、汚泥ピットPとストローク長L2を除いた
槽底11の長手方向のほぼ全長に亘って、槽底11の幅
方向の両端部に2本の下ビーム41,41を平行に配設
し、この2本の下ビーム41,41間にスクレーパ42
を、図3に示すように、架設して構成する。
【0027】この汚泥掻寄装置4の下ビーム41は、図
5に示すように、汚泥掻寄装置4の下ビーム41の前部
分41Aを、後部分41Bに対して、屈曲部41Cを介
して、揺動可能に配設し、駆動装置5により、前部分4
1Aのスクレーパ42が、汚泥掻寄方向に前進移動する
ときは、槽底11に接して移動し、反対方向に後退移動
するときは、槽底11から離れて移動するように構成す
ることができる。この場合、屈曲部41Cは、ピン継手
構造、柔軟構造等、任意の屈曲構造を採用することがで
きる。これにより、沈降する汚泥量が多く、さらに、汚
泥掻寄装置4によって掻き寄せられることにより、多量
の汚泥が堆積する汚泥掻寄装置4の下ビーム41の前部
分41Aの往復移動を円滑に行うことができ、沈降した
汚泥の掻き寄せを、確実に、かつ、安定して行うことが
できるものとなる。
【0028】また、下ビーム41は、図6に示すよう
に、内部を中空に形成し、汚水等が浸入しないようにす
ることが好ましい。このように、下ビーム41を中空に
形成することにより、下ビーム41に浮力が作用し、ス
クレーパ42が槽底11に接して移動する際の摺動抵抗
を少なくして摩耗を低減するとともに、駆動力のロスを
低減することができる。また、中空に形成した下ビーム
41内には、図6(D)に示すように、独立気泡性の発
泡材等よりなる浮力材41Fを配設することができる。
このように、下ビーム41内に浮力材41Fを配設する
ことにより、例えば、中空に形成した下ビーム41に腐
食等により孔があいても、浮力材41Fにより浮力が確
保され、長期に亘って、スクレーパ42が槽底11に接
して移動する際の摺動抵抗を少なくして摩耗を低減する
とともに、駆動力のロスを低減することができる。な
お、浮力材41Fは、下ビーム41を中空に形成して、
その内部に配設するほか、下ビーム41の上面等に直接
取り付けるようにすることもできる。また、浮力を調整
するために、必要に応じて、図6に示すように、下ビー
ム41の上面にウエイト41Wを配設することもでき
る。このウエイト41Wは、重量の異なるものを複数種
類準備しておき、これを適宜選択して配設することによ
り、対象となる汚泥の性状等に応じて下ビーム41の浮
力を適正に調整することができる。
【0029】スクレーパ42は、2本の下ビーム41,
41間に、好ましくは、ストローク長L2と等しいか、
ストローク長L2よりも短い所定の間隔L1で、略等間
隔に平行に架設するとともに、少なくとも汚泥掻寄装置
4の後部分41Bに配設するスクレーパ42は、汚泥掻
寄方向、すなわち、汚泥ピットPに向けて前進移動する
ときは、汚泥を掻き寄せるように、反対方向に後退移動
するときは、沈降した汚泥に潜り込むように、前面及び
背面の形状を異ならせて、より具体的には、前面が略鉛
直面、背面が傾斜面、底面が槽底11に沿う断面直角三
角形に形成して構成するようにする。なお、本実施例に
おいては、汚泥掻寄装置4の前部分41Aに配設するス
クレーパ42も、後部分41Bに配設するスクレーパ4
2と同様、断面直角三角形に形成するようにしている。
また、スクレーパ42は、下ビーム41,41に固定す
るようにしたり、あるいは、下ビーム41,41に対し
て若干揺動可能に支持するようにする。スクレーパ42
を、下ビーム41,41に対して若干揺動可能に支持す
るようにすることにより、前進移動するときは、スクレ
ーパ42の底面を槽底11に沿って移動させることがで
き、沈降した汚泥の掻き寄せを、確実に、かつ、安定し
て行うことができるとともに、後退移動するときは、ス
クレーパ42を沈降した汚泥中に確実に潜り込ませるこ
とができるものとなる。また、スクレーパ42を架設し
た下ビーム41,41が、汚水処理槽1の槽底11に沿
って円滑に往復移動するように、下ビーム41,41又
はスクレーパ42の適宜位置に、シュー又はローラ43
を配設することが望ましい。
【0030】駆動装置5は、図3〜図4に示すように、
汚水処理槽1の中央部より前方、すなわち、汚泥ピット
P側の水面上に設置した本体フレームFに取り付けるよ
うにする。この駆動装置5は、略水平に配設した内ガイ
ドレール51、この内ガイドレール51の中心に等間隔
に突設した多数のピンラック52及び内ガイドレール5
1の外周を囲むように配設した外ガイドレール53から
なるガイドレール50と、このピンラック52に噛合し
て内ガイドレール51及び外ガイドレール53に案内さ
れてガイドレール50に沿って周回移動(略矩形運動)
するピンホイル54と、ピンホイル54の軸55に取り
付けた原動機56とで構成する。
【0031】内ガイドレール51は、特に限定されるも
のではないが、内ガイドレール51と本体フレームF間
に取付台57を介して取り付けるようにし、内ガイドレ
ール51と本体フレームFの間に生じる隙間を利用し
て、ピンラック52を固定するようにする。なお、ピン
ラック52は、その先端側にピンラック取付板52Pを
配設することにより、強固に固定されるようにする。
【0032】このようにして、内ガイドレール51と外
ガイドレール53の間に、図4に示すように、ピンホイ
ル54のボス部54B(必要に応じて、ガイドローラ
(図示省略)を配設することができる。)を嵌挿、支持
する長円形のガイドレール50を形成するようにする。
そして、ガイドレール50の両端部は、ピンホイル54
が周回し易いように、円弧状に形成するとともに、ガイ
ドレール50の上ガイドレール50aと下ガイドレール
50bの間隔H1は、汚泥掻寄装置4の下ビーム41の
前部分41Aのスクレーパ42が、汚泥掻寄方向に前進
移動するときは、槽底11に接して移動し、反対方向に
後退移動するときは、槽底11から離れて移動すること
ができるように設定するようにする。
【0033】また、汚水処理槽1の幅方向に対設したガ
イドレール50,50に、それぞれピンホイル54,5
4を嵌挿、支持し、ピンホイル54,54のボス部54
B,54B間に軸55を掛け渡すようにして一体とし、
この軸55を、軸受58を介して、パイプ状の駆動フレ
ーム59により支持し、この駆動フレーム59に原動機
56、例えば、減速機付モータを設置するようにする。
そして、原動機56を駆動することにより、軸55を介
して、ピンラック52に噛合するピンホイル54,54
を回転させることにより、ピンホイル54,54を、ガ
イドレール50に沿って周回移動するようにして、軸5
5及び駆動フレーム59を介して、汚泥掻寄装置4を往
復移動させるようにする。
【0034】この場合、駆動装置5と汚泥掻寄装置4と
は、図3に示すように、ロッド60,61にて連結する
ようにする。ここでは、駆動装置5の駆動フレーム59
の両端部に、それぞれのロッド60,61の上端を、吊
り下げるようにして取り付けるとともに、ロッド60,
61を汚水処理槽1の長手方向の前後方向にV字形に
し、下端を、下ビーム41の前部分41Aに取り付ける
ようにする。ロッド60,61の取付部は、ピン連結又
はボルト止めとする。
【0035】一方、スカム掻寄装置6は、図1に示すよ
うに、汚泥掻寄装置4の下ビーム41上に支柱62,6
3を樹立し、この支柱62,63の上端に、ほぼ水平に
なるように上ビーム64を架設して形成するようにす
る。この上ビーム64は、下ビーム41と同様、汚水処
理槽1の幅方向の両端部に2本の上ビーム64,64を
平行に配設し、この2本の上ビーム64,64間にスカ
ム掻寄用スクレーパ65を、図1(B)に示すように、
架設して構成する。これにより、スカム掻寄装置6は、
下ビームを持ち上げて移動される汚泥掻寄装置4の復路
側を移動する後退時において、スカム用掻寄スクレーパ
の位置が、水面に浮遊するスカムを反汚泥ピット側に掻
き寄せられるように設ける。なお、このスカム掻寄装置
6は、図2に示すように汚水処理槽1内に配設したスカ
ムスキマKと、復路側を移動するスカム掻寄装置6とが
互いに接触しない要に構成する。
【0036】以下、この汚泥掻寄機の作用について説明
する。汚水処理槽1内に流入した汚水は、その下流方向
へ流下する時、重力分離が行われて、汚泥分は沈降す
る。このとき、比重の大きいものは速く沈降するため、
比重の大きいものから順次汚水処理槽の上流側から下流
側の槽底11に沈降する。 一方、スカム分は水面に浮
遊し、汚泥分、スカム分が分離除去された汚水は、流出
樋3から排出される。槽底11に沈降する汚泥を、汚泥
ピットP側へ掻き寄せ、集泥する汚泥掻寄装置4は、駆
動装置5にて駆動されるが、この汚泥掻寄装置4の駆動
は、連続的、あるいは汚泥の沈降量に追従して間欠的に
行うことができ、これは汚水の流入量、汚泥の沈積量等
に応じて適宜選択的に行うことができる。
【0037】次に、汚泥掻寄装置4の駆動方法を、図1
〜図5に基づいて説明する。原動機56を駆動すると、
軸55の端部に固定されたピンホイル52が回転する。
このピンホイル54は、ピンラック52に噛合している
ので、ピンホイル54の回転に従って、ピンホイル54
は、ピンラック52に沿って移動し、内外ガイドレール
51,53にて形成される扁平ループ状のガイドレール
50に導かれて周回移動するものとなる。このピンホイ
ル54には、ロッド60,61を介して、汚泥掻寄装置
4、すなわち、スクレーパ42を配設した下ビーム41
が吊垂支持されているので、ピンホイル54の移動距離
に応じて、汚泥掻寄装置4の下ビーム41は、汚水処理
槽1の長手方向にストローク長L2だけ移動する。そし
て、この汚泥掻寄装置4の前後方向のストローク長L2
を、好ましくは、スクレーパ42を配設する間隔L1と
等しいか、間隔L1よりも長く設定することにより、汚
泥掻寄装置4が往復移動を繰り返すことにより、槽底1
1に沈降した汚泥を、汚泥ピットP側へ掻き寄せ、集泥
することができる。
【0038】この場合において、ピンラック52に噛合
して周回移動するピンホイル54が、図5(B)に示す
ように、ピンラック52の上側の上ガイドレール50a
を汚水処理槽1の下流方向へ移動するとき、図5(A)
に示す、ピンラック52の下側の下ガイドレール50b
を汚水処理槽1の上流方向へ移動するときと比較して、
ロッド60(61)は、上ガイドレール50aと下ガイ
ドレール50bの間隔H1だけ引き上げられ、下ビーム
41の先端側は、槽底11から持ち上げられてスクレー
パ42は後退するようになり、槽底11に沈降した汚泥
は、下流方向への掻き寄せられず、逆方向に移動しない
ものとなる。さらに、汚泥掻寄装置4の下ビーム41の
前部分41Aを、後部分41Bに対して、屈曲部41C
を介して、揺動可能に配設し、駆動装置5により、前部
分41Aのスクレーパ42が、汚泥掻寄方向に前進移動
するときは、槽底11に接して移動し、反対方向に後退
移動するときは、槽底11から離れて移動するように構
成することにより、沈降する汚泥量が多く、さらに、汚
泥掻寄装置4によって掻き寄せられることにより、多量
の汚泥が堆積する汚泥掻寄装置4の下ビーム41の前部
分41Aの往復移動を円滑に行うことができ、沈降した
汚泥の掻き寄せを、確実に、かつ、安定して行うことが
できるものとなる。
【0039】さらに、スクレーパ42は、前面及び背面
の形状を異ならせて、より具体的には、前面が略鉛直
面、背面が傾斜面、底面が槽底11に沿う断面直角三角
形に形成して構成されているため、汚泥掻寄装置4の下
ビーム41に配設したスクレーパ42が、汚泥掻寄方向
に前進移動するときは、汚泥を掻き寄せるように、反対
方向に後退移動するときは、沈降した汚泥に潜り込むよ
うにすることができ、沈降した汚泥の掻き寄せを、確実
に、かつ、安定して行うことができる。
【0040】また、駆動装置5を、汚泥掻寄装置4が汚
泥掻寄方向に前進移動するときは低速で、反対方向に後
退移動するときは高速で、例えば、掻寄対象が下水汚泥
の場合には、前進移動するときは、0.5m/min程
度で、後退移動するときは、1.5m/min程度で移
動するように構成することが好ましく、これにより、汚
泥掻寄装置4の下ビーム41に配設したスクレーパ42
により、沈降した汚泥の掻き寄せを、確実に、かつ、安
定して行うことができるとともに、スクレーパ42を沈
降した汚泥中に確実に潜り込ませることができるものと
なる。なお、この速度制御は、特に限定されるものでは
ないが、駆動装置5のピンホイル54の位置や原動機5
6の負荷を検知し、これに基づいて、原動機56の回転
数を所定の値に制御することにより行うことができる。
【0041】また、汚泥掻寄装置4の往復移動に合わせ
て、汚泥掻寄装置4に支柱62,63を介して取り付け
られたスカム掻寄装置6が、上ガイドレール50aと下
ガイドレール50bの間隔H1だけ上下動しながら、汚
水処理槽1の長手方向にストローク長L2だけ移動す
る。この場合、スカム掻寄装置6が、後退移動、すなわ
ち、汚泥掻寄装置4が汚水処理槽1の下流方向へ移動す
る時には、スカム掻寄装置6が上昇位置にあって、スカ
ム掻寄用スクレーパ65が水面上の位置になり、水面に
浮遊するスカムを下流方向へ掻き寄せる。反対に、スカ
ム掻寄装置6が、前進移動、すなわち、汚泥掻寄装置4
が汚水処理槽1の上流方向へ移動する時には、スカム掻
寄装置6が下降位置にあって、スカム掻寄用スクレーパ
65が水面下の位置になり、水面に浮遊するスカムを上
流方向へ掻き寄せず、スカムが逆方向に移動しないよう
にされている。そして、スカム掻寄用スクレーパ65の
上下動と往復移動の繰り返し動作にて掻き寄せられたス
カムは、汚水処理槽1の下流側の水面位置に設置したス
カムスキマKを介して汚水処理槽1から排出される。
【0042】そして、このようにして、汚泥分、スカム
分が分離除去された汚水は、汚水処理槽1のスカムスキ
マKを設置した位置よりも下流側の水面位置に設置した
流出樋3から排出される。
【0043】
【発明の効果】本発明の汚泥掻寄機によれば、駆動装置
を水面上に設置して汚水中に位置する駆動部をなくし、
駆動部が汚泥等の混入した汚水と接触することによっ
て、摩耗したり、腐食することを防止し、装置の耐久性
を向上することができる。また、汚泥掻寄装置の前部分
を、後部分に対して揺動可能に配設し、駆動装置によ
り、汚泥掻寄方向に前進移動するときは、汚泥掻寄装置
の前部分のスクレーパが槽底に接して移動し、反対方向
に後退移動するときは、汚泥掻寄装置の前部分のスクレ
ーパが槽底から離れて移動するように構成することによ
り、沈降する汚泥量が多く、さらに、汚泥掻寄装置によ
って掻き寄せられることにより、多量の汚泥が堆積する
汚泥掻寄装置の前部分の往復移動を円滑に行うことがで
き、沈降した汚泥の掻き寄せを、確実に、かつ、安定し
て行うことができる。また、少なくとも汚泥掻寄装置の
後部分のスクレーパを、汚泥掻寄方向に前進移動すると
きは、汚泥を掻き寄せるように、反対方向に後退移動す
るときは、沈降した汚泥に潜り込むように、前面及び背
面の形状を異ならせて形成することにより、汚水処理槽
の槽底に沿って配設した汚泥掻寄装置の後部分を単に往
復移動させることによって、沈降した汚泥を掻き寄せる
ことができる。
【0044】また、スクレーパを取り付けたビームを浮
力を得ることができるように中空に形成することによ
り、ビームに浮力が作用し、スクレーパが槽底に接して
移動する際の摺動抵抗を少なくして摩耗を低減するとと
もに、駆動力のロスを低減することができる。
【0045】また、スクレーパを取り付けたビームに浮
力材を配設することにより、例えば、中空に形成したビ
ームに腐食等により孔があいても、浮力材により浮力が
確保され、長期に亘って、スクレーパが槽底に接して移
動する際の摺動抵抗を少なくして摩耗を低減するととも
に、駆動力のロスを低減することができる。
【0046】また、駆動装置を、ピンラックを備え、長
円形に形成したガイドレールと、ピンラックに噛合し、
ガイドレールに沿って周回移動するピンホイルと、該ピ
ンホイルを駆動するモータとより構成することにより、
簡易な駆動装置により、汚泥掻寄装置の前部分が、汚泥
掻寄方向に前進移動するときは、槽底に接して移動し、
反対方向に後退移動するときは、槽底から離れて移動す
るように構成することができる。
【0047】また、汚泥掻寄装置に、スクレーパを、汚
泥掻寄装置の往復移動のストローク長と等しいか、スト
ローク長よりも短い間隔に配設することにより、汚水処
理槽の槽底に沿って配設した汚泥掻寄装置を往復移動さ
せることによって、沈降した汚泥を確実に掻き寄せるこ
とができる。
【0048】また、汚泥掻寄装置のスクレーパを、前面
を略鉛直面に、背面を傾斜面に形成することにより、簡
易な構造のスクレーパにより、スクレーパを、汚泥掻寄
方向に前進移動するときは、汚泥を掻き寄せるように、
反対方向に後退移動するときは、沈降した汚泥に潜り込
むようにすることができ、沈降した汚泥の掻き寄せを、
確実に、かつ、安定して行うことができる。
【0049】また、駆動装置を、汚泥掻寄装置が汚泥掻
寄方向に前進移動するときは低速で、反対方向に後退移
動するときは高速で、移動するように構成することによ
り、汚泥掻寄装置に配設したスクレーパにより、沈降し
た汚泥の掻き寄せを、確実に、かつ、安定して行うこと
ができるとともに、スクレーパを沈降した汚泥中に確実
に潜り込ませることができる。
【0050】また、スカム掻寄装置に連動するようにス
カム掻寄用スクレーパを配設することにより、水面に浮
遊するスカムの掻き寄せを、確実に、かつ、安定して行
うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の汚泥掻寄機の実施の形態を示し、
(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図2】本発明の汚泥掻寄機を適用した汚水処理槽の全
形を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図3】ガイドレールとピンホイルとの関係を示す側面
図である。
【図4】ガイドレールの正面図である。
【図5】本発明の汚泥掻寄機の動作説明図で、(A)は
汚泥掻寄機が前進移動して汚泥を掻き寄せている状態を
示す正面図、(B)は汚泥掻寄機が後退移動している状
態を示す正面図である。
【図6】スクレーパを備えた下ビームを示し、(A)は
平面図、(B)は正面図、(C)は断面図、(D)は浮
力材を配設した状態を示す断面図である。
【図7】従来の汚泥掻寄機を示し、(A)は平面図、
(B)は正面図である。
【符号の説明】
1 汚水処理槽 11 槽底 4 汚泥掻寄装置 41 下ビーム 41F 浮力材 42 スクレーパ 5 駆動装置 51 内ガイドレール 52 ピンラック 53 外ガイドレール 54 ピンホイル 55 軸 56 モータ 6 スカム掻寄装置 60,61 ロッド 64 上ビーム 65 スカム掻寄用スクレーパ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森澤 卓矢 兵庫県尼崎市下坂部3丁目11番1号 日 立機電工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−80212(JP,A) 特開 平7−60010(JP,A) 特開2000−70613(JP,A) 特開 平8−84902(JP,A) 特開 平5−245308(JP,A) 特開2000−79303(JP,A) 特開 昭50−45450(JP,A) 実公 昭49−26353(JP,Y1) 実公 昭40−9261(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 21/00 - 21/34

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 汚水処理槽の槽底に沿って配設し、往復
    移動するようにした汚泥掻寄装置と、該汚泥掻寄装置を
    吊垂支持して往復移動するようにした駆動装置とからな
    る汚泥掻寄機において、前記駆動装置を水面上に設置
    し、汚泥掻寄装置の前部分を、後部分に対して揺動可能
    に配設し、駆動装置により、汚泥掻寄方向に前進移動す
    るときは、汚泥掻寄装置の前部分のスクレーパが槽底に
    接して移動し、反対方向に後退移動するときは、汚泥掻
    寄装置の前部分のスクレーパが槽底から離れて移動する
    ように構成するとともに、少なくとも汚泥掻寄装置の後
    部分のスクレーパを、汚泥掻寄方向に前進移動するとき
    は、汚泥を掻き寄せるように、反対方向に後退移動する
    ときは、沈降した汚泥に潜り込むように、前面及び背面
    の形状を異ならせて形成したことを特徴とする汚泥掻寄
    機。
  2. 【請求項2】 スクレーパを取り付けたビームを浮力を
    得ることができるように中空に形成したことを特徴とす
    る請求項1記載の汚泥掻寄機。
  3. 【請求項3】 スクレーパを取り付けたビームに浮力材
    を配設したことを特徴とする請求項1又は2記載の汚泥
    掻寄機。
  4. 【請求項4】 駆動装置を、ピンラックを備え、長円形
    に形成したガイドレールと、ピンラックに噛合し、ガイ
    ドレールに沿って周回移動するピンホイルと、該ピンホ
    イルを駆動するモータとより構成したことを特徴とする
    請求項1、2又は3記載の汚泥掻寄機。
  5. 【請求項5】 汚泥掻寄装置に、スクレーパを、汚泥掻
    寄装置の往復移動のストローク長と等しいか、ストロー
    ク長よりも短い間隔に配設したことを特徴とする請求項
    1、2、3又は4記載の汚泥掻寄機。
  6. 【請求項6】 汚泥掻寄装置のスクレーパを、前面を略
    鉛直面に、背面を傾斜面に形成したことを特徴とする請
    求項1、2、3、4又は5記載の汚泥掻寄機。
  7. 【請求項7】 駆動装置を、汚泥掻寄装置が汚泥掻寄方
    向に前進移動するときは低速で、反対方向に後退移動す
    るときは高速で、移動するように構成したことを特徴と
    する請求項1、2、3、4、5又は6記載の汚泥掻寄
    機。
  8. 【請求項8】 スカム掻寄装置に連動するようにスカム
    掻寄用スクレーパを配設したことを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5、6又は7記載の汚泥掻寄機。
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