JP3337240B2 - プラズマエッチング用電極板及び治具 - Google Patents

プラズマエッチング用電極板及び治具

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一夫 斉藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体集積回路の製造
に際し、ウエハのプラズマエッチング加工に用いるプラ
ズマエッチング用電極板及び治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近になって、半導体集積回路の微細化
技術と高密度化技術の発展と共に、平行平板形電極を使
用し、ウエハ上に微細なパターンを高精度に形成するこ
とのできるプラズマエッチング技術の重要性が高まって
いる。
【0003】このプラズマエッチングに用いられる電極
板を形成するための素材には、導電性や化学的安定性等
が必要とされ、従来より、例えば黒鉛材料の使用が試み
られている。しかし、この黒鉛材料は、コークス或いは
カーボンの粉砕物をタールやピッチ等のバインダー成分
と混合した後、成形し、更に焼成して黒鉛化することに
よって製造されているものであって、緻密且つ均質な組
織を得ることが困難であるばかりか、プラズマエッチン
グ装置に装着してウエハのプラズマエッチング加工をす
る際に、組成を構成する粒体が脱落して消耗を早めた
り、ウエハを汚損してパターン形成を阻害する等の欠点
を有している。
【0004】このような背景の中、等方性の組成を有し
高硬度であるガラス状炭素を、プラズマエッチング用電
極板として利用することが検討されており、現在、プラ
ズマエッチング用電極板としての利用或いはその検討が
なされているものには、例えば次の方法で製造されるガ
ラス状炭素がある。
【0005】即ち、特開昭62−252942号公報に
は、高純度のガラス状炭素からなるプラズマエッチング
用電極板が開示されているのであり、このガラス状炭素
は、液状フラン樹脂、フェノール樹脂又はこれらの混合
樹脂、若しくはこれらの液状樹脂に同一種類の硬化性樹
脂粉末を添加混合したものを平板状に硬化させ、その平
板状の硬化物を不活性雰囲気下で焼成することにより得
られるとされている。そして、このようにして製造され
たガラス状炭素の一例は、かさ比重1.45g/c
3、気孔率3%、ショア硬さ75、曲げ強度580k
gf/cm2、弾性率2430kgf/cm2という物性
を有すると記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
製造方法により得られるガラス状炭素においては、成形
時に形成される空隙がそのまま残ったり、熱処理時に揮
発成分が散逸すること等により、大きな径(例えば約2
μm)の気孔が多数発生してしまうという難点のあるこ
とが指摘されている(特開平3−285086号公報参
照)。
【0007】又、特開平3−285086号公報には、
変成フラン樹脂等の熱硬化性樹脂を脱泡処理した後、板
状に硬化させ、その後に不活性雰囲気中で焼成するとい
う、基本的に前記特開昭62−252942号公報に開
示されている方法と同様の製造方法により得られるガラ
ス状炭素が開示されているが、この方法により製造され
たガラス状炭素も、やはり0.02〜0.2%の気孔率
を示すものとなってしまう。
【0008】尚、上記特開平3−285086号公報に
は気孔率以外の物性の記載はないが、原料及び製造方法
が基本的に前記特開昭62−252942号公報と同様
であるため、気孔率以外の物性その他も特開昭62−2
52942号に開示されているガラス状炭素とほぼ同程
度と考えられる。
【0009】このように、従来のガラス状炭素の製造方
法では、フェノール系樹脂やフラン系樹脂を用いるた
め、硬化反応させる際に脱水反応で縮合水が発生し、従
って硬化後の樹脂を焼成した場合に気孔の発生を避ける
ことができない。そして、この発生した気孔は、得られ
るガラス状炭素をプラズマエッチング用電極板として使
用した場合、比表面積が増大し、且つ、酸化特性や強度
が低下するなどの不都合が生じる原因になってしまうの
である。
【0010】又、従来方法により得られるガラス状炭素
にあっては、硬化後の樹脂そのものの強度不足に加え、
脱水反応で生じる上記気孔が、力学特性に限界を与えて
しまう。
【0011】本発明は、上記従来技術の難点を解決する
ためになされたものであり、高精度なエッチング加工を
行うことができ、しかも耐久性に優れたプラズマエッチ
ング用電極板及び治具を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明が採用したプラズマエッチング用電極板の構成
は、ポリカルボジイミド樹脂を原料として製造し、その
嵩密度が1.53乃至1.55cm 3 であるガラス状炭
素材からなることを特徴とするとするものである。
【0013】即ち、本発明の発明者らは、プラズマエッ
チング用電極板として利用することのできるガラス状炭
素材について種々検討した結果、硬化段階で付加反応を
起こし、且つ、焼成後の強度にも優れたポリカルボジイ
ミド樹脂に注目し、検討を行った結果、ポリカルボジイ
ミド樹脂を焼成したガラス状炭素材が気孔を有しておら
ず、しかもプラズマエッチング用電極板として要求され
る特性並びに実用性能を十分に満足し得ることを見い出
し、本発明を完成したのである。
【0014】以下に本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明において使用するポリガルボジイミ
ド樹脂は、例えば特開昭51−61599号公報に開示
されている方法、或いは、特開平2−292316号公
報に開示されている方法などによって製造することがで
きるものであって、例えば有機ジイソシアネートの脱二
酸化炭素を伴う縮合反応により容易に製造することがで
きる。
【0016】上記ポリカルボジイミド樹脂の製造に使用
される有機ジイソシアネートとしては、脂肪族系、脂環
式系、芳香族系或いは芳香−脂肪族系等のいずれのタイ
プのものであってもよく、これらは単独で用いても、或
いは、2種類以上を組み合わせて共重合体として使用し
てもよい。
【0017】更に具体的には、2,4−トリレンジイソ
シアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,
4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイ
ソシアネートの混合物、粗トリレンジイソシアネート、
キシレンジイソシアネート、m−フェニルジイソシアネ
ート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、4,
4’−ビフェニレンジイソシアネートや3,3’−ジメ
トキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、或い
はこれらの混合物を上記有機ジイソシアネートとして例
示することができる。
【0018】従って、本発明で使用するポリカルボジイ
ミド樹脂には、式 −R−N=C=N− で示される少なくとも1種の繰り返し単位からなる単独
重合体又は共重合体が包含される(尚、式中のRは有機
ジイソシアネート残基を示す)。
【0019】有機ジイソシアネート分子から2つのイソ
シアネート基(NCO)を除いた残りの部分である上記
有機ジイソシアネート残基は、好適には芳香族ジイソシ
アネート残基である。
【0020】又、上記ポリカルボジイミド樹脂は、その
分子量を、モノイソシアネートの一種以上を用いて重縮
合を停止させる等して低下させたものでもよい。このよ
うにポリカルボジイミドの端末を封止してその分子量を
制御するためのモノイソシアネートしては、フェニルイ
ソシアネート、(オルト、メタ、パラ)−トリルイソシ
アネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘ
キシルイソシアネート、メチルイソシアネート等を例示
することができる。
【0021】このポリカルボジイミド樹脂を板状に硬化
させた後、好ましくは不活性雰囲気下、例えば1000
℃以上の温度で炭化し、本発明で使用するガラス状炭素
を得る。
【0022】尚、ポリカルボジイミド樹脂の成形方法、
硬化時間及び焼成時間は適宜選択することができるが、
硬化及び焼成は緩やかに行う方が好ましい。
【0023】このようにして得られたガラス状炭素材は
気孔を全く乃至は殆ど含んでおらず、従って気孔率は0
乃至0.02%である。そして、この極めて低い気孔率
と、硬化後のポリカルボジイミド樹脂自体の強度によ
り、本発明で使用するガラス状炭素は、例えば曲げ強度
1300乃至1900kgf/cm2、嵩密度1.53
乃至1.55g/cm3という物性を示すものである。
【0024】尚、プラズマエッチング用電極板として使
用するには、上記ガラス状炭素材に含まれる不純物は5
ppm以下であることが要求される。又、上記ガラス状
炭素材は、プラズマエッチング用電極板としてのみなら
ずプラズマエッチング治具としても広く使用することが
できる。
【0025】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に詳細に説明
する。
【0026】実施例1 2,4−トリレンジイソシアネート/2,6−トリレン
ジイソシアネートの混合物(80:20)[TD1]5
4gを、テトラクロロエチレン500ml中で、カルボ
ジイミド化触媒(1−フェニル−3−メチルホスフォレ
ンオキサイド)0.12gと共に、120℃で5時間反
応させ、ポリカルボジイミド溶液を得た。ガラスシャー
レーに反応液を流し、60℃で20時間、120℃で2
0時間乾燥した後、1℃/時間の昇温速度で200℃ま
で加熱し、硬化した板を得た。得られた硬化板を、2℃
/時間の昇温速度で1000℃まで昇温した。その後、
この厚さ3mmの平板に、2mmの等間隔で直径0.5
mmの貫通孔を放電加工により開けた後、2300℃に
てハロゲンガスを流して高純度化を行い、ガラス状炭素
板を得た。
【0027】次に、このようにして得られたガラス状炭
素板を電極板としてエッチング装置に取付け、CF4
Ar、O2の混合ガスを流してプラズマを発生させ、シ
リコンウエハをエッチングした。初期厚みを3mmと
し、残留厚みが0.5mmになった点をライフとした。
本発明プラズマエッチング用電極板の物性値及び測定値
を表1に示す。
【0028】比較例1 液状フェノール樹脂を用い、実施例1と同様な方法によ
りガラス状炭素を得、実施例1と同様に試験を行った。
この結果を表1に示す。
【0029】比較例2特開平3−285086号公報の実施例1〜3の記載に
従い、 フルフリルアルコールにp−トルエンスルホン酸
を0.4重量部加え、混合した。この重合物を脱泡処理
した後、ガラスシャーレーにあけ、実施例1と同様の方
法によりガラス状炭素板を得、実施例1と同様に試験を
行った。その結果を表1に示す。
【0030】比較例3 フルフリルアルコールにp−トルエンスルホン酸を0.
4重量部加え、混合した。この重合物を脱泡処理した
後、ガラスシャーレーにあけ、200℃まで1℃/時間
の条件で硬化させた。次に、これを粉砕して平均粒形3
0〜70μmの粉末を得た。この粉末に同種のフラン樹
脂を混合し、再度、実施例1と同様の条件によりガラス
状炭素板を得、実施例1と同様に試験を行った。その結
果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】本発明は以上のとおりであり、本発明のプ
ラズマエッチング用電極板は高精度なエッチング加工を
行うことができ、しかも耐久性に優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/3065 C23F 4/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカルボジイミド樹脂を原料として製
    造し、その嵩密度が1.53乃至1.55cm 3 である
    ガラス状炭素材からなることを特徴とするプラズマエッ
    チング用電極板。
  2. 【請求項2】 ガラス状炭素材は、その気孔率が0乃至
    0.02%である請求項1に記載のプラズマエッチング
    用電極板。
  3. 【請求項3】 ガラス状炭素材は、その曲げ強度13
    00乃至1900kgf/cm2である請求項1に記載
    のプラズマエッチング用電極板。
  4. 【請求項4】 ポリカルボジイミド樹脂を原料として製
    造し、その嵩密度が1.53乃至1.55cm 3 である
    ガラス状炭素材からなることを特徴とするプラズマエッ
    チング用治具。
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