JP3333884B2 - 水中油型エマルジョンの製造方法 - Google Patents

水中油型エマルジョンの製造方法

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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、モノ長鎖アルキル基を有する第4級アンモ
ニウム塩あるいはアミノ酸系カチオン界面活性剤と、高
級アルコールとの組合せによる水中油型エマルジョンの
製造方法に関する。
従来の技術 カチオン界面活性剤を分散質とする水中油型エマルジ
ョンの製造方法としては、低温水相中に油相を高剪断力
で分散し水中油型エマルジョンとする方法(特開昭58−
143830号公報)、油相を含有する水溶液に相転移温度以
上で撹拌を与え、二分子膜小胞体を製造する方法(特開
昭60−255141号公報)、油相と水相を膜成分物質の相転
移温度以上で混和し、次に必要量の水を相転移温度以上
で混合撹拌しリポソームを製造する方法(特開昭60−79
34号公報)等が知られている。しかしこれらはいずれ
も、得られる水中油型エマルジョンの流動性が悪く、ま
た、経日により増粘してしまうという問題があり、これ
を防止するために、多種、多量の乳化剤を使用して安定
化させているのが現状であった。
また、特開平2−68137号公報には、ジまたはトリ長
鎖アルキルタイプの第4級アンモニウム型カチオン界面
活性剤を含む油相と水相の一部とを混合して液晶相を形
成させた後、さらに水相を混合して転相させる水中油型
エマルジョンの製造方法が記載されている。
発明が解決しようとする課題 本発明は、流動性が改善され、しかも経日による増粘
が抑制された水中油型エマルジョンを製造することを目
的とする。
発明の構成 本発明の水中油型エマルジョンの製造方法は、一般式
(A)で表わされる第4級アンモニウム塩および/また
はアミノ酸系カチオン界面活性剤の1種または2種以上
と一般式(B)で表わされる高級アルコールとを含有す
る油相と、水相の一部とを、重量比 油相/水相=1.0/
0.7〜1.0/1.2の範囲で混合して液晶を形成させた後、さ
らに水相を加えて転相させることを特徴とする。
(R1:C10〜22のアルキル基またはアルケニル基 R2,R3:C1〜3のアルキル基 R4:C1〜3のアルキル基またはベンジル基 X:ClまたはBr) R5−OH …(B) (R5:C12〜22のアルキル基) 以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明では、先ず、最終的に混合される水相の一部適
量に油相を添加するか、油相に水相の一部適量を添加し
て液晶を形成させる。
ここで上記の油相は、カチオン界面活性剤と高級アル
コールとを含み、さらに乳化剤、油成分および低温安定
化剤などを含有することができる。
カチオン界面活性剤としては、上述の一般式(I)の
第4級アンモニウム塩またはアミノ酸系カチオン界面活
性剤が用いられる。第4類アンモニウム塩は、モル長鎖
アルキル基またはアルケニル基を有し、好ましくは、長
鎖アルキル基を有する。これらの具体例としては、ドデ
シルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリ
メチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモ
ニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムク
ロリド、アラキルトリメチルアンモニウムクロリド、ベ
ヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジ
メチルアンモニウムクロリド、セチルジメチルエチルア
ンモニウムクロリド、ステアリルジメチルエチルアンモ
ニウムクロリド、アラキルジメチルエチルアンモニウム
クロリド、ベヘニルジメチルエチルアンモニウムクロリ
ド、ミリスチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、
セチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ステアリ
ルジエチルメチルアンモニウムクロリド、アラキルジエ
チルメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジエチルメ
チルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルミリスチ
ルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルセチルアン
モニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモ
ニウムクロリド、ヤシ油脂肪酸L−アルギニンエチル−
DL−ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
高級アルコールとしては、ドデシルアルコール、セチ
ルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリル
アルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。
乳化剤としては、モノラウリン酸ソルビタン、セスキ
オレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンステアリル
エーテル、ポリオキシエチレンソルビットテトラオレー
ト、モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ポリオ
キシエチレングリセリン、ポリオキシエチレングリセリ
ルトリイソステアレート、モノステアリン酸プロピレン
グリコール、モノステアリン酸ソルビタン、ピログルタ
ミン酸イソステアリン酸等が用いられる。
油成分としては、ジメチルポリシロキサン、流動パラ
フィン等が用いられる。
また、低温安定化剤としては、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ブチレングリコール、エタノー
ル、グリセリン等が用いられる。
油相中の(a)カチオン界面活性剤と(b)高級アル
コールとは、重量比で(a)/(b)=1/1.5〜1/3の範
囲で併用することが望ましい。
一方、水相は、水の他に、上記の如き低温安定化剤、
非イオン界面活性化剤、有機塩、無機塩、色素などを含
有することができる。
非イオン界面活性化剤としては、ポリオキシエチレン
ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチル
フェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル等の非イ
オン界面活性剤が挙げられる。
有機塩類としてはクエン酸塩、リンゴ酸塩、エチレン
ジアミン四酢酸塩などが、また、無機塩類としては塩化
ナトリウム等の塩酸塩、硫酸ナトリウム等の硫酸塩など
が挙げられる。
次に生成した液晶にさらに水相を添加して転相させる
ことにより、水中油型エマルジョンとする。このように
して得られた水中油型エマルジョンは、カチオン界面活
性剤を含む分散質がリジッドな液晶粒子となっており、
かつ、粒子化率が高いため、経日による増粘がほとんど
なく、また、流動性も良好である。よって、例えばヘア
リンス組成物の製造に応用したときは、髪への伸びが飛
躍的に改善される。
ここで、一旦液晶を形成させる段階を設けず、水相の
全量あるいは過剰量の水相と油相とを混合すると、液晶
粒子径が不均一となるとともに液晶の粒子化率が低く、
一部の油相がゲル状となり、流動性は悪く、経日での増
粘にもつながる。また、液晶を形成する段階での水相量
が不足した場合も同様であり、次に水相を添加した時に
転相不良となり、液晶粒子径の不均一化、液晶の粒子化
率の低下が起こり、一部の油相がゲル状となり、流動性
が低下し、経日での増粘にもつながる。
液晶形成段階においては、適切な水相量を選択するこ
とが重要であり、転相直前の液晶が形成されるように水
相量を制御することが望ましい。そのためには、重量比
油相/水相=1.0/0.7〜1.0/1.2の範囲で水相量を混合
する必要がある。これにより、次に水相を添加すると液
晶が転相直前のため、瞬時かつ均一に転相が起こり、液
晶粒子化率が高く、リジットで均一なものが得られる。
発明の効果 本発明によれば、特定のカチオン界面活性剤および高
級アルコールを含有する油相と一部の水相を混合して液
晶を形成せしめ、その後さらに水相を添加して転相させ
ることにより、液晶粒子径が均一で、また、リジットで
液晶の粒子化率が高い水中油型エマルジョンが得られ、
油分によるゲルネットワークの生成を抑制できる。よっ
て、水中油型エマルジョンの流動性が改善され、経日に
よる増粘も抑制され、乳化剤を使用する場合にもその量
を削減することができる。
本発明の水中油型エマルジョンの製造方法は、ヘアリ
ンスの経日安定性、流動性改善はもとより、柔軟剤、繊
維処理剤、クリーム、ローションなどの多岐にわたる分
野の製品の製造に応用できる。
実 施 例 油相および水相を後記表−1に示す通り調製した後、
第1段階として60℃の油相に60℃の水相を適量加える
か、あるいは、60℃の水相の適量に60℃の油相を加え撹
拌して液晶を形成させ、次いで、この液晶にさらに水相
を添加して、実施例1〜8の水中油型エマルジョンを製
造した。
得られた水中油型エマルジョンの特性を以下の通り測
定し、結果を後記比較例とともに表−1に示した。
(1)製造直後および経日後の粘度 B型粘度計(東京計器(株)製)を用い、No.3ロータ
ー、30rpm、20秒後の条件で測定した。経日後粘度は、4
5℃で1ケ月間保存後に測定した。
(2)流動性 常温で1ケ月間保存した後、ボトルにエマルジョンを
半量充填し、25℃において、ボトルを逆さに45度傾けた
時に内容物がボトルの口に達する時間を測定して流動性
(秒)とした。
実施例1〜8で得られたエマルジョンは、いずれも製
造直後の粘度が低く、かつ、経日でも粘度が大きく変化
しない。また、流動性も非常に良好である。
比較例1,2 実施例1,2と同一組成において、液晶形成時の水相量
を適当量より少量あるいは多量としてエマルジョンを調
製した。少量の場合は液晶が形成されないか、形成され
ても転相しにくい液晶となり、また、多量の場合は液晶
形成段階ですでに転相が起こり、実施例1,2に比べ経日
による増粘が激しく、流動性も悪くなっている。
比較例3,4 実施例1,2と同一組成において、油相と水相の全量を6
0℃あるいは25℃で撹拌分散してエマルジョンを調製し
た。
このエマルジョンは比較例1,2と同様に経日による増
粘が激しく、流動性も悪くなっている。
比較例5 比較例3と同一条件で、乳化剤を増量して調製した。
比較例3と比べて経日粘度が抑制され流動性も改善され
ているが、実施例1,2に比べると経日による増粘が激し
く、流動性も悪くなってい。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−68137(JP,A) 特開 昭56−89832(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 13/00 A61K 7/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(A)で表わされる第4級アンモニ
    ウム塩および/またはアミノ酸系カチオン界面活性剤の
    1種または2種以上と一般式(B)で表わされる高級ア
    ルコールとを含有する油相と、水相の一部とを、重量比
    油相/水相=1.0/0.7〜1.0/1.2の範囲で混合して液晶
    を形成させた後、さらに水相を加えて転相させることを
    特徴とする水中油型エマルジョンの製造方法。 (R1:C10〜22のアルキル基またはアルケニル基 R2,R3:C1〜3のアルキル基 R4:C1〜3のアルキル基またはベンジル基 X:ClまたはBr) R5−OH …(B) (R5:C12〜22のアルキル基またはアルケニル基)
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