JP3331622B2 - 透明ガスバリア性フィルムの製造方法 - Google Patents

透明ガスバリア性フィルムの製造方法

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JP3331622B2 JP14595092A JP14595092A JP3331622B2 JP 3331622 B2 JP3331622 B2 JP 3331622B2 JP 14595092 A JP14595092 A JP 14595092A JP 14595092 A JP14595092 A JP 14595092A JP 3331622 B2 JP3331622 B2 JP 3331622B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸素および水蒸気の遮
断性に優れた透明ガスバリア性フィルムの製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】食品や薬品を長期間保存するためには、
腐敗や変質を促進する外気からの酸素や水蒸気の侵入を
遮断する効果を持った、いわゆるガスバリア性に優れた
包装を行なう必要がある。この目的に使用されるガスバ
リア性に優れたフィルム包装材料に、近年特に内容物の
状態を確認できる透明性が要求される傾向が強くなって
いる。
【0003】金属酸化物を高分子樹脂フィルム基材上に
形成したものがガスバリア性と透明性に優れていること
は従来よりよく知られている。これらの中で特に酸化珪
素を高分子樹脂フィルム基材上に形成したものが特公昭
53−12953号公報により、酸化アルミニウムを高
分子樹脂フィルム上に形成したものが特公昭62−17
9935号公報により知られている。
【0004】ところで酸化珪素薄膜は、例えば独LEY
BOLD社のT.G.KrugらがBarrier P
ack Conference(London, Ma
y21 and 22, 1990)で発表したもの
や、雑誌「コンバーテック」1990.6 30〜36
ページ(海保恵亮氏著)にあるように、高いガスバリア
性(酸素透過率2cc/m2 ・day以下、水蒸気透過
率2g/m2 ・day以下)を確保するためには50n
m程度の膜厚が必要とされる。さらに完全酸化膜のSi
2 という組成ではガスバリア性が発現しないために酸
素が欠損した組成すなわち、SiOX (X <2.0)と
いう組成の薄膜が形成される。従って透明ではあるが、
短波長側での吸収が大きくなり蒸着膜に黄色い着色があ
り、中に食品を入れた場合、変質の状況が分かりにく
い、あるいは変質していないにもかかわらず変質してい
るように見えるといった問題がある。また膜厚が大きい
ために薄い基材のフィルムを用いた場合、カールしやす
く、このためにハンドリング性が悪くなり乱暴に扱うと
蒸着膜にクラック(割れ)が入りガスバリア性が低下す
るという問題もある。
【0005】一方アルミニウムの酸化膜は無色透明で、
ある程度のガスバリア性を発現することができる。しか
し、透明な酸化アルミニウム膜を得ようとすると、アル
ミニウムの蒸発量に対して反応させる酸素量を多くして
アルミニウムを完全に酸化させる必要があるが、必要以
上に酸素を導入すると急激にガスバリア性が低下し、従
来の酸素の導入方法ではこれらの制御が極めて困難であ
った。この改良された方法に特公平4−20383号公
報にある、アルミニウム蒸発量に対する酸素導入量を限
定する方法があるが、雑誌「ジャパンフードサイエン
ス」1990.12 58〜63ページ(渡邊英男氏
著)にあるように酸化珪素薄膜並のガスバリア性を発現
することは不可能であり、さらに製造方法を検討する必
要があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述のような
問題点を解決するアルミニウムの酸化膜による透明ガス
バリアフィルムを安定して製造することを目的とする。
すなわち本発明は、特に透明性が高く、ガスバリア性に
優れたフィルムを安定して製造することを目的とするも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、高分子樹脂フ
ィルム基材を連続的に走行させ、アルミニウム蒸気と酸
素を該高分子樹脂フィルム基材上で反応させることによ
り該高分子樹脂フィルム基材上にアルミニウム酸化膜を
連続的に形成する反応性蒸着法において、アルミニウム
蒸気を蒸発させる蒸発源上に開口部を持つ防着板と該走
行フィルムに囲まれた反応蒸着部分を設け、該高分子樹
脂フィルムと該防着板の間のアルミニウム蒸気が飛来し
ない空間に酸素を導入することにより該反応蒸着部分の
フィルム走行方向に酸素の圧力分布を設け、酸化アルミ
ニウム膜中に少なくとも1層の金属アルミニウムを含有
した不完全酸化層を形成することを特徴とする透明ガス
バリア性フィルムの製造方法である。
【0008】以下本発明の構成要件について説明する。
高分子樹脂フィルム基材に連続的に薄膜を形成するに
は、ロール状のフィルム基材から蒸着を行なうための冷
却ドラムにフィルムを巻き出し、蒸着後ロール状に巻き
取る方法が一般的である。
【0009】本発明におけるアルミニウムの酸化膜を形
成するための方法は反応性蒸着による。本方法によりア
ルミニウム酸化膜は、アルミニウム金属を蒸発させ、高
分子樹脂フィルム基材上で酸素と反応させることにより
形成することができる。酸素は単独であってもよく、不
活性ガスで希釈したものでもよい。アルミニウムを蒸発
させる蒸発源としては抵抗加熱方式のボート形式や、輻
射あるいは高周波加熱によるルツボ形式や、電子ビーム
加熱による方式などがあるが、特に限定されない。
【0010】以下図を用いて従来技術と本発明の説明を
行なう。図2に前述の従来技術による反応性蒸着装置の
一般的な概略図を示す。巻き出しロール1からフィルム
9が巻き出され、冷却ドラム3に供給されドラム下部で
蒸発源5から蒸発されたアルミニウム蒸気と、酸素導入
経路7より導入された酸素が反応し酸化アルミニウム薄
膜が形成された後、巻き取りロール2に巻き取られる。
こういった蒸着装置は隔壁4により上部フィルム搬送部
と下部蒸着部が隔てられ、下部は上部の排気ポンプより
高性能の排気ポンプで排気され、蒸着に適した低い圧力
に保たれるのが一般的である。反応性蒸着は防着板6で
囲まれた領域で行なわれる。酸素はフィルム付近の導入
口8から導入される。しかし図2の構造の反応性蒸着装
置では導入した酸素が蒸発源5の方向に直接流れ出しや
すく、蒸発源の溶融アルミニウムの表面を酸化して蒸発
速度を下げるという問題があった。
【0011】図1に本発明の反応性蒸着装置の概略図を
示す。ただし図1は本発明の一例を示すものであり、本
発明はこの形状に制約あるいは限定を受けるものではな
い。本発明による酸化アルミニウムの形成法において
は、蒸発源5の上部に開口部12を有する防着板11と
冷却ドラム上の高分子樹脂フィルム基材9に囲まれた反
応蒸着部分を設け、酸素導入経路7より導入された酸素
が防着板とフィルム基材の間の空間でアルミニウム蒸気
が直接飛来しない位置の導入口8より導入され、反応蒸
着部において酸素圧力分布(この場合は左から右に酸素
圧力が減少する)を設けることが基本要件である。酸素
はフィルムの巻き出し側、巻き取り側どちらから導入し
てもよく、また両方から導入してもよい。
【0012】こういった構成を取ることにより、導入口
8より導入された酸素が開口部12の方向に拡散する間
に、冷却ドラム幅方向に均一化し、フィルム幅方向の蒸
着むらを減少させる効果も認められる。また蒸発源方向
に直接酸素が拡散せず、開口部を通してのみ蒸発源の方
向に拡散するため、導入した酸素の反応性蒸着に消費さ
れる効率が高くなり、蒸発源の溶融アルミニウムの表面
の酸化が起こりにくく、蒸着速度の減少という問題も解
決できる。このためには冷却ドラムと防着板のクリアラ
ンスを可能な限り小さくして開口部以外の方向に酸素が
流れないようにすることが重要である。これらの効果に
より、フィルムの幅および長さ方向に均一な蒸着膜を得
ることができる。こういった好ましい付随的効果も認め
られるが、本発明の最も重要な点は、アルミニウム蒸気
と酸素の反応を正確に制御できることである。本発明に
よる酸化アルミニウム膜中には少なくとも1層の金属ア
ルミニウムを含有した不完全酸化層が存在することが必
要であり、本発明によりこの酸化アルミニウム薄膜の層
構造が容易に達成できる原理を、以下図を用いて説明す
る。
【0013】図1の様にフィルム巻き出し側から酸素を
導入した場合の反応蒸着部の概略図を図3に示す。反応
蒸着部の14、15、16の位置を考えた場合、蒸着初
期には14の位置で、蒸着終わりには16の位置で蒸着
が行なわれる。酸素は導入口8に近い方から消費される
ため14、15、16の順で徐々に酸素圧力が減少し、
図4に示す様な分布となる。一方アルミニウム蒸気強度
は、一般に知られているように蒸発源の法線方向からの
角度θ方向の蒸気の強度はcosn θに比例(n は一般
に2〜4の値)するためアルミニウム蒸気強度は同じく
図4に示す様な分布を取る。14および16の近傍のア
ルミニウム蒸気のビーム強度に対してはアルミニウムを
完全に酸化できるが15の近傍のアルミニウム蒸気のビ
ーム強度に対してはアルミニウムを十分には酸化できな
い程度の酸素分圧を与えた場合、14および16の近傍
すなわち蒸着初期および蒸着最後に酸素が十分供給され
た完全酸化層が形成され、15の中心部では酸素が不十
分な不完全酸化層が形成される。酸素圧力が場所によっ
て変化しない場合は不完全酸化層は15の中心部で形成
されるが、図3、4の場合は16側すなわち表面側にシ
フトした位置に不完全酸化層が形成される。図5、6の
様に巻き出し、巻き取り両側から酸素を導入した場合は
中心部が酸素不足であり、中心部に不完全酸化層が形成
される。図3、4と反対に巻き取り側から酸素を導入し
た場合は、フィルム界面に近い位置に不完全酸化層が形
成されることは容易に類推できる。
【0014】防着板より下の空間も含めて全体に均一な
酸素分圧を与える方法、すなわち防着板上下の部分に均
等に酸素雰囲気が導入される場合では、本発明のような
構成を有するアルミニウム酸化膜を得ることが極めて困
難となる。この理由は以下のとおりである。すなわち上
述のように防着板上の蒸着部分の酸素分圧を目的とする
値にしようとすると、蒸発源部分の酸素分圧が同時に上
昇し、蒸発源のアルミニウム溶融体表面に酸化皮膜が形
成されやすくなる。アルミニウム溶融体表面に酸化皮膜
が形成されるとアルミニウムの蒸発速度が急激に減少す
る。このためアルミニウム蒸気強度が全体的に減少し
て、形成される膜の酸化の程度が大きくなる。また同時
にアルミニウム蒸発速度が減少することによりアルミニ
ウムの酸化膜形成で消費される酸素が減少し酸素分圧が
上昇することも酸化の程度を大きくする原因である。こ
の結果として内部にアルミニウム金属成分を含有した層
を有するアルミニウム酸化膜を安定して形成することが
困難となる。
【0015】いずれにせよ、本発明のフィルムを得るた
めには酸素雰囲気を蒸着部分近く(高分子樹脂フィルム
基材近傍)に導入することが肝要である。また酸素が消
費される領域を囲み、反応蒸着部を設けることは、上述
のアルミニウム蒸気のビーム強度と酸素分圧の関係を正
確に制御し、また酸素を効率よく利用し、必要以上に排
気ポンプに負荷をかけないためにも重要である。本発明
の構成による、導入した酸素の反応性蒸着に消費される
効率は80%以上であることが好ましい。80%未満で
あると蒸発源の溶融アルミニウム表面が酸化されやす
い。酸素の反応性蒸着に消費される効率は以下の方法で
定義する。すなわち、アルミニウムの蒸発を行なわない
状態で酸素を導入した場合の圧力をP0 、蒸着を行なっ
ている場合の圧力をPとすると(P0 −P)は反応性蒸
着に消費される圧力分であるから(P0 −P)/P0
定義する。開口部面積が大きく、導入酸素が蒸発源に直
接流出しやすい構造であると、効率は低下し優れたガス
バリア性を有するフィルムを作製することが困難にな
る。
【0016】高分子樹脂フィルムとしては特に限定され
ないが、代表的なものとして、ポリエチレン、ポリプロ
ピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−
2、6−ナフタレートなどのポリエステル、ナイロン
6、ナイロン12などのポリアミド、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポ
リスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリ
ル、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリ
フェニレンサルファイド、芳香族ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、セルロース、酢酸セルロースな
どおよび、これらの共重合体や、他の有機物との共重合
体などを例示することができる。透明性、ガスバリア性
などの点で、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエ
ステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレ
フィンが好ましく、ポリエチレンテレフタレート系がよ
り好ましい。
【0017】これらの高分子樹脂フィルムは熱可塑性樹
脂の場合、未延伸、一軸延伸、二軸延伸のいずれでもよ
いが、寸法安定性や機械特性およびガスバリア性の安定
性の点から二軸延伸されたものが好ましい。また高分子
樹脂フィルム内には食品衛生上問題にならなければ公知
の添加剤、例えば帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、着色
防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤などが添加され
ていてもよい。
【0018】本発明に用いる高分子樹脂フィルムは透明
であることが好ましく、光線透過率が好ましくは40%
以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは8
0%以上である。また蒸着に先立ち、フィルム上に公知
の表面処理、例えばコロナ放電処理、グロー放電処理や
コーティングによるアンカーコート処理が施されてもよ
い。
【0019】さらに本発明に用いる高分子樹脂フィルム
のアルミニウム酸化膜を形成する表面は平滑であること
が望ましい。中心線平均荒さで0.5μm以下が好まし
く、より好ましくは0.2μm以下、さらに好ましくは
0.05μm以下である。この理由としてフィルム表面
上に大きな突起が存在すると、ガスバリア性蒸着膜が均
一に形成されないためである。
【0020】高分子樹脂フィルムの厚みは特に限定され
るものではないが、包装材料として適当な5μm〜50
0μmの範囲が好ましい。
【0021】本発明による透明ガスバリア性フィルムに
おいて、高分子樹脂フィルム上に形成されるアルミニウ
ムの酸化膜の全膜厚は6nm以上であることが好まし
い。全膜厚が6nm未満であるとガスバリア性能が不十
分となる。
【0022】またアルミニウムの酸化膜の全膜厚は50
nm未満であることが好ましい。この理由としては、酸
化珪素蒸着膜のところで述べたように全膜厚が大きいと
カールが発生しやすく、加工時にガスバリア性が急激に
低下するなどの問題が起こりうる場合がある。生産性の
点からも全膜厚は小さい方が好ましく、より好ましくは
全膜厚は30nm未満である。
【0023】本発明により製造される透明ガスバリア性
フィルムにおいては、アルミニウム酸化膜の内部にのみ
アルミニウムの金属成分が含有された不完全酸化層が少
なくとも1層存在することが重要となる。該金属成分を
含む不完全酸化層がアルミニウム酸化膜の内部に存在せ
ず、アルミニウム酸化膜全体が完全酸化膜で構成された
ものでは優れたガスバリア性を得ることは困難である。
一方、アルミニウム酸化膜全体が不完全酸化膜からな
り、アルミニウムの金属成分が認められるものにおいて
は、光線透過率が低いものとなりやすく好ましくない。
【0024】ここで、アルミニウム酸化膜中のアルミニ
ウムの金属成分含有の有無は、表面感度の非常に高い分
析手法であるX線光電子分光法(以下XPSと言うこと
がある。)分析によるAl2pスペクトルによって判別
することができる。すなわち、該スペクトルが酸化され
たアルミニウムの3価によるピーク(Al(III))
以外に金属成分の存在を示すAl(0)ピークを有する
とき、アルミニウムの金属成分が含有されていることが
分かる。また、アルミニウム酸化膜の内部にのみアルミ
ニウムの金属成分が含有されていることを確認するに
は、該XPS分析をアルミニウム酸化膜の表面から行な
うだけでなく、アルミニウム酸化膜を表面から少しずつ
イオンエッチングしながらXPS分析を行い、アルミニ
ウム酸化膜の深さ方向に沿ったAl2pスペクトルの変
化(以下デプスプロファイルと言う。)を追う必要があ
る。
【0025】
【特性の測定方法および効果の評価方法】本発明の特性
値は以下の測定法による。
【0026】(1)全膜厚 透過型電子顕微鏡による断面観察で校正した蛍光X線分
光法によるアルミニウムのピーク強度で膜厚を決定し
た。蛍光X線分光はセイコー電子製SEA2001によ
り行なった。これら蛍光X線分光を行なったサンプルの
いくつかを透過型電子顕微鏡(日本電子製 JEM−1
200EX)により、超薄切片法により蒸着膜の断面を
切り出し観察し、蛍光X線のアルミニウムのピークの強
度と、実際の膜厚がよい比例関係にあることを確認し
た。
【0027】(2)アルミニウム金属存在の確認 X線光電子分光装置(SSI社 SSX−100)を用
い、X線源AlKα、X線出力10kV−10mA、光
電子の脱出角度をサンプル表面の法線に対して55度の
角度で測定した。デプスプロファイル測定のためのエッ
チングはArイオンを用い、加速電圧3kV、試料電流
10.3μAで行なった。
【0028】(3)水蒸気透過率 水蒸気透過率測定装置(ハネウェル(株)製、W82
5)を用いて40℃、100%RHの条件で測定した。
【0029】(4)酸素透過率 ASTM D−3985に準じて、酸素透過率測定装置
(モダンコントロール社製、OX−TRAN100)を
用いて20℃、0%RHの条件で測定した。
【0030】(5)比光線透過率 分光光度計(日立製作所(株)、自記分光光度計323
型)により、550nmの波長における高分子樹脂フィ
ルム基材の光線透過率に対するアルミニウム酸化膜を設
けた後の高分子樹脂フィルムの光線透過率の割合を比光
線透過率とした。
【0031】
【実施例】本発明を実施例により説明する。
【0032】実施例1〜3 図3に示した反応蒸着部分の構成でサンプルを作成し
た。蒸発源は電子ビーム加熱蒸発源であり、アルミナ製
ルツボに99.99%のアルミニウム金属を装填して蒸
着した。フィルムは東レ(株)製ポリエチレンテレフタ
レート(以下PETという。)フィルム“ルミラー”P
60(12μm)を用いた。ロール状で巻き出しロール
から冷却ドラム上に送膜し蒸発源直上で蒸着が行なわれ
る。酸素雰囲気として100%酸素を巻き出し側から導
入した。冷却ドラムは冷水により約20℃に冷却した。
蒸着の手順は以下のとおりである。フィルムおよび蒸着
用アルミニウムを連続蒸着機にセットし、真空排気を行
なう。到達圧力2×10−5Torr以下になったらフ
ィルムを走行させ、電子ビーム蒸発源に電力を投入しア
ルミニウムの蒸着を開始する。インラインの光線透過率
計および抵抗率計を用いて、目的とする蒸着速度になる
ように蒸発源の電力を調整した後、酸素ガスをマスフロ
ーコントローラを通して導入する。フィルム走行速度を
低速(例えば1m/min)にし、酸素を導入するにし
たがってインラインでモニタしている光線透過率が上が
ってくることを確認し、あらかじめ定めた光線透過率に
なるように酸素導入量を調整する。フィルム走行速度を
上げて目的とする膜厚になるようにし、サンプルを取
る。蒸着時の圧力は5×10−5 Torrで安定してお
り、アルミニウムの蒸発を停止した時の圧力は4×10
−4 Torrとなった。消費効率は88%である。
【0033】このように作成した蒸着膜厚を変化させた
サンプルを実施例1〜3とした。これらのサンプルはす
べてXPS分析のデプスプロファイルの分析により表面
およびPETフィルム界面では完全酸化膜が形成されて
おり、表面に近い部分で金属の含有された不完全酸化層
が存在することを確認した。
【0034】比較例1〜3 前述の従来技術による反応性蒸着装置により、蒸発源に
投入する電力、酸素流量を同じにして蒸着を行なった。
蒸着時の圧力は蒸着初期に9×10−5 Torrから蒸
着後半に1.3×10−4 Torrまで上昇した。アル
ミニウムの蒸発を停止した時の圧力は4×10−4 To
rrであり、消費効率は78%から68%に下がった。
蒸着初期と中間、および蒸着最後の3点でサンプリング
したものを比較例1〜3とした。いずれのサンプルもX
PS分析のデプスプロファイルで不完全酸化層が認めら
れなかった。
【0035】実施例4〜6 図5に示した反応蒸着部分の構成で、巻き出し側、巻き
取り側両方から等量の酸素を、総量で実施例1〜3と同
じにして蒸着を行なった。蒸着時の圧力は7×10−5
Torrで安定しており、やはり同じく蒸着停止時には
4×10−4 Torrとなった。効率は83%である。
膜厚を変化させたサンプルを実施例4〜6とした。XP
S分析により膜のほぼ中央部に金属を含む不完全酸化層
が存在することを確認した。
【0036】これらの結果を、原反のPETフィルムと
まとめて特性を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明により、アルミニウムの酸化膜中
にアルミニウム金属を含有した不完全酸化層を有するア
ルミニウム酸化膜を安定して製造することができる。
【0039】本発明により製造される透明ガスバリア性
フィルムは、光線透過率が高く、かつ酸素および水蒸気
に対するガスバリア性能が高いという特長を持つ。ま
た、黄色味を帯びた着色もなく、実用上十分な加工適性
を有する。
【0040】本発明により製造される透明ガスバリア性
フィルムは、長期保存が必要な食品や薬品の包装材料と
して広く用いることができる。また食品をレトルトやボ
イルによる殺菌を行なって長期保存できるいわゆるレト
ルトパウチやスタンディングパウチといった包装形態に
も使用することができる。さらに光線透過率が高いため
に、内容物の状態を確認したいという要求に対応でき
る。また、マイクロ波の透過率が高いために、包装状態
でそのまま電子レンジにかけて内容物を調理するといっ
た要求にも応えることができる。またこの透明ガスバリ
ア性フィルムは、単独でも用いることができるが、さら
に、印刷を施したり、アルミニウム酸化膜の上から保護
層などをコーティングしたり、他のフィルムと積層した
り、あるいはこれらを組み合わせたりするなど、さらに
加工して用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による反応性蒸着装置の一例を示した概
略図である。
【図2】従来技術による反応性蒸着装置の一例を示した
概略図である。
【図3】本発明による反応性蒸着装置の反応蒸着部分の
一例を示した概略図である。
【図4】図3の場合のアルミ蒸気強度と酸素分圧の関係
を示す。
【図5】図3と同様、本発明による反応性蒸着装置の反
応蒸着部分の一例を示した概略図である。
【図6】図5の場合のアルミ蒸気強度と酸素分圧の関係
を示す。
【符号の説明】 1:巻き出しロール 2:巻き取りロール 3:冷却ドラム 4:隔壁 5:蒸発源 6:防着板 7:酸素導入経路 8:酸素導入口 9:フィルム 10:冷却ドラム回転方向 11:防着板 12:開口部 13:アルミニウム蒸気 14:蒸着位置 15:同上 16:同上 17:酸素導入口 18:酸素導入経路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08J 7/04 C08J 7/04 P C23C 14/06 C23C 14/06 N 14/08 14/08 A 14/56 14/56 A // B32B 9/00 B32B 9/00 A (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 14/58 B32B 7/02 B32B 27/06 B65D 65/40 B65D 81/26 C08J 7/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子樹脂フィルム基材を連続的に走行
    させ、アルミニウム蒸気と酸素を該高分子樹脂フィルム
    基材上で反応させることにより該高分子樹脂フィルム基
    材上にアルミニウム酸化膜を連続的に形成する反応性蒸
    着法において、アルミニウム蒸気を蒸発させる蒸発源上
    に開口部を持つ防着板と該走行フィルムに囲まれた反応
    蒸着部分を設け、該高分子樹脂フィルムと該防着板の間
    のアルミニウム蒸気が飛来しない空間に酸素を導入する
    ことにより該反応蒸着部分のフィルム走行方向に酸素の
    圧力分布を設け、酸化アルミニウム膜中に少なくとも1
    層の金属アルミニウムを含有した不完全酸化層を形成す
    ることを特徴とする透明ガスバリア性フィルムの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 導入した酸素の反応性蒸着に消費される
    効率が80%以上であることを特徴とする請求項1記載
    の透明ガスバリア性フィルムの製造方法。
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