JP3325517B2 - 蒸発燃料処理装置 - Google Patents

蒸発燃料処理装置

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JP3325517B2 JP14826498A JP14826498A JP3325517B2 JP 3325517 B2 JP3325517 B2 JP 3325517B2 JP 14826498 A JP14826498 A JP 14826498A JP 14826498 A JP14826498 A JP 14826498A JP 3325517 B2 JP3325517 B2 JP 3325517B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関に燃料を
供給する燃料タンク内で発生する蒸発燃料を処理する蒸
発燃料処理手段を有する蒸発燃料処理装置に関し、特に
蒸発燃料処理手段の正常・異常を判定する機能を有する
ものに関する。
【0002】
【従来の技術】燃料タンク内で発生する蒸発燃料を吸着
するキャニスタ、キャニスタと燃料タンクとを連通する
チャージ通路、及びキャニスタと内燃機関の吸気系とを
接続するパージ通路などから成る蒸発燃料処理手段を備
えた蒸発燃料処理装置において、蒸発燃料処理手段の正
常・異常を判定する手法は、種々提案されている。
【0003】例えば機関の冷間始動時は、蒸発燃料の発
生量が少なく蒸発燃料の影響を無視できるので、上記異
常判定を正確に行う上で有利であることから、機関始動
時における機関冷却水温と吸気温とがともに所定温度範
囲内にあり、かつ冷却水温と吸気温との温度差の絶対値
が所定温度差以下のとき、判定実行条件が満たされた判
別して、正常・異常判定を実行する手法が既に提案され
ている(特願平8−149728号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図7は機関停止後の冷
却水温TW及び吸気温TAの推移を示すタイムチャート
であり、同図においてTLMTHは上記所定温度範囲の
上限値である。従来のように機関停止後の冷却水温TW
と吸気温TAとの温度差の絶対値が所定温度差以下とい
う判定実行条件では、時刻t11からt12のモニタ期
間TMON1において正常・異常判定が実行される。し
かしながら、同図の時刻t12以後に示すように吸気温
TAが冷却水温TWより所定温度差以上高くなる場合も
あり(朝から昼にかけての外気温上昇時にこのような状
態となる)、このような場合でも機関停止後十分な時間
が経過しているので、時刻t12以後の期間TMON2
において機関が始動された場合にも正常・異常判定を実
行し、判定の実行機会を増加させることが望ましい。
【0005】ところが吸気温TA、すなわち外気温が冷
却水温TWに比べて大幅に高い場合は、燃料タンク内の
圧力が蒸発燃料の影響で上昇する傾向があるので、この
ような場合に正常・異常判定を実行すると、リークがあ
るのに正常と誤判定するおそれがあった。
【0006】本発明はこの点に着目してなされたもので
あり、蒸発燃料処理手段の正常・異常判定の実行機会を
増加させて蒸発燃料処理手段の異常をいち早く検知し、
しかも正確な判定を行うことができるようにした蒸発燃
料処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、内燃機関の燃料タンクに発生する蒸発燃料を
処理する蒸発燃料処理手段と、該蒸発燃料処理手段の内
部の圧力を検出する圧力検出手段と、前記機関の冷却水
温を検出する冷却水温検出手段と、前記機関の吸気温を
検出する吸気温検出手段と、前記機関の始動時における
冷却水温と吸気温がともに所定温度範囲内にあるとき、
前記圧力検出手段による検出圧力に基づいて前記蒸発燃
料処理手段が正常であるか異常であるかを判定する判定
手段とを有する蒸発燃料処理装置において、前記機関の
始動時における吸気温が冷却水温より所定温度差以上高
いときには、前記機関の始動直後に前記検出圧力の変化
量が所定圧以上である場合における前記判定手段による
正常判定を抑制する判定抑制手段を有し、前記判定手段
は、前記機関の始動時における吸気温と冷却水温との温
度差が前記所定温度差より小さいとき、及び前記機関の
始動時における吸気温が冷却水温より前記所定温度差以
上高いときに前記判定を実行することを特徴とする。
【0008】ここで「所定温度範囲」は、正常・異常判
定に対する蒸発燃料の影響がほぼ無視できる温度範囲
(例えば−7から35℃の範囲)であり、「所定温度
差」は、吸気温と冷却水温とがほぼ同一と見なしうる温
度差(例えば10℃)であり、「所定圧」は、上記変化
量を検出する時間間隔に応じて実験的に設定される圧力
である。
【0009】この構成によれば、機関の始動時における
吸気温と冷却水温との温度差が所定温度差より小さいと
き、及び機関の始動時における吸気温が冷却水温より前
記所定温度差以上高いときに、蒸発燃料処理手段の正常
・異常の判定が実行され、機関の始動時における吸気温
が冷却水温より前記所定温度差以上高いときには、圧力
検出手段の検出圧力が機関始動直後において所定圧以上
変化したときに、蒸発燃料処理手段が正常であると判定
することが抑制されるので、従来に比べて正常・異常の
判定機会が増加し、異常をいち早く検知することが可能
となり、しかも異常があるにもかかわらず正常と誤判定
することを防止して、正確な判定を行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
参照して説明する。
【0011】(第1の実施形態)図1は本発明の実施の
一形態に係る内燃機関及びその蒸発燃料処理装置の全体
構成図である。図中、1は例えば4気筒を有する内燃機
関(以下、「エンジン」という)であって、該エンジン
1の吸気管2の途中にはスロットル弁3が配されてい
る。また、スロットル弁3にはスロットル弁開度(θT
H)センサ4が連結されており、当該スロットル弁3の
開度に応じた電気信号を出力して電子コントロールユニ
ット(以下「ECU」という)5に供給する。
【0012】燃料噴射弁6は、吸気管2の途中であって
エンジン1とスロットル弁3との間の図示しない吸気弁
の少し上流側に各気筒毎に設けられている。また、各燃
料噴射弁6は燃料供給管7を介して燃料タンク9に接続
されており、燃料供給管7の途中には燃料ポンプ8が設
けられている。燃料噴射弁6はECU5に電気的に接続
され、該ECU5からの信号により燃料噴射弁6の開弁
時間が制御される。
【0013】吸気管2の前記スロットル弁3の下流側に
は吸気管内絶対圧PBAを検出する吸気管内絶対圧(P
BA)センサ13及び吸気温TAを検出する吸気温(T
A)センサ(吸気温検出手段)14が装着されており、
これらのセンサの検出信号はECU5に供給される。
【0014】エンジン1のシリンダブロックの冷却水が
充満した気筒周壁にはサーミスタ等からなるエンジン水
温(TW)センサ(冷却水温度検出手段)15が挿着さ
れ、該TWセンサ15により検出されたエンジン冷却水
の温度(以下「エンジン水温TW」という)は電気信号
に変換されてECU5に供給される。
【0015】エンジン1の図示しないカム軸周囲または
クランク軸周囲にはエンジン回転数(NE)センサ16
が取り付けられている。NEセンサ16はエンジン1の
クランク軸の180度回転毎に所定のクランク角度位置
で信号パルス(以下、「TDC信号パルス」という)を
出力し、該TDC信号パルスはECU5に供給される。
【0016】排気管12の途中には、排気濃度センサと
してのO2センサ32が装着されており、排気ガス中の
酸素濃度を検出してその検出値VO2に応じた信号を出
力しECU5に供給する。排気管12のO2センサ32
の下流には、排気ガス浄化装置である三元触媒33が設
けられている。
【0017】またECU5には、エンジン1が搭載され
た車両の走行速度VPを検出する車速センサ17、バッ
テリ電圧VBを検出するバッテリ電圧センサ18及び大
気圧PAを検出する大気圧センサ19が接続されてお
り、これらのセンサの検出信号はECU5に供給され
る。
【0018】次に燃料タンク9、チャージ通路20、キ
ャニスタ25、パージ通路27等から構成される蒸発燃
料処理手段としての蒸発燃料排出抑止系(以下「排出抑
止系」という)31について説明する。
【0019】燃料タンク9はチャージ通路20を介して
キャニスタ25に接続されており、チャージ通路20は
当該車両のエンジンルーム内に設けられた第1及び第2
の分岐部20a,20bを有する。そして、この分岐部
20a,20bと燃料タンク9との間のチャージ通路2
0には、チャージ通路20内の圧力(この圧力は定常状
態においては燃料タンク9内の圧力とほぼ等しいので、
以下「タンク内圧」という)PTANKを検出する圧力
センサ(圧力検出手段)11が取り付けられており、そ
の検出信号がECU5に供給される。
【0020】第1の分岐部20aには二方向弁23が設
けられている。二方向弁23は、タンク内圧PTANK
が大気圧より20mmHg程度高くなったとき開弁する
正圧弁23a及びタンク内圧PTANKが二方向弁23
のキャニスタ25側の圧力より所定圧だけ低くなったと
きに開弁作動する負圧弁23bより構成されている機械
式の弁である。
【0021】第2の分岐部20bには、バイパス弁24
が設けられている。バイパス弁24は、通常は閉弁状態
とされ、後述するタンクモニタ処理実行中に開閉される
電磁弁であり、その作動はECU5により制御される。
【0022】キャニスタ25は、蒸発燃料を吸着する活
性炭を内蔵し、通路26aを介して大気に連通する吸気
口を有する。通路26aの途中には、ベントシャット弁
26が設けられている。ベントシャット弁26は、通常
は開弁状態に保持され、所定の作動状態において閉弁さ
れる電磁弁であり、その作動はECU5により制御され
る。
【0023】キャニスタ25は、パージ通路27を介し
て吸気管2のスロットル弁3の下流側に接続されてお
り、パージ通路27にはパージ制御弁30が設けられて
いる。パージ制御弁30は、その制御信号のオン−オフ
デューディ比を変更することにより流量を連続的に制御
することができるように構成された電磁弁であり、その
作動はECU5により制御される。
【0024】以下の説明では、便宜上、排出抑止系31
を、排出抑止系31のうちチャージ通路20のバイパス
弁24より燃料タンク9側の燃料タンク9を含む部分
(以下「タンク系」という)と、排出抑止系31のうち
タンク系以外の部分、すなわちチャージ通路20のバイ
パス弁24よりキャニスタ側のキャニスタ25及びパー
ジ通路27を含む部分(以下「キャニスタ系」という)
とに二分する。
【0025】ECU5は、上述の各種センサからの入力
信号波形を整形して電圧レベルを所定レベルに修正し、
アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を
有する入力回路と、中央演算処理回路(以下「CPU」
という)と、該CPUで実行する演算プログラムや演算
結果等を記憶する記憶回路と、前記燃料噴射弁6、バイ
パス弁24及びパージ制御弁30に駆動信号を供給する
出力回路と、エンジン1が停止してから再始動されるま
での時間を計時するタイマ(ソーク時間タイマ)とを備
えている。
【0026】以上の構成において、ECU5のCPU
は、後述するタンクモニタ処理(図2、図3)を実行す
る。ここで、タンクモニタ処理とは、エンジン1の冷間
始動時において、タンク内圧センサ11により検出され
るタンク内圧PTANKに基づいてタンク系に漏れがあ
るか否かを判定するための処理である。
【0027】図2及び図3は、本実施の形態に係る蒸発
燃料処理装置におけるタンクモニタ処理の制御手順を示
すフローチャートである。本処理は所定時間毎(例えば
80msec)に実行される。
【0028】まず、図2のステップS201では、エン
ジン1が始動モードであるか否かを判別する。始動モー
ドであるか否かは、前回のTDC信号パルスの発生から
今回のTDC信号パルスの発生までの経過時間から算出
したエンジン1の回転数NEにより判別し、回転数NE
が始動時回転数(例えば400rpm)以下であるとき
に始動モードであると判別する。その判別の結果、エン
ジン1が始動モードであるときは、ステップS202に
進み、吸気温センサ14又はエンジン水温センサ15の
故障が検知されたか否かを判別する。その判別の結果、
これらのセンサ14または15の故障が検知されている
ときは、タンク系の漏れ検出(タンクモニタ)を実行を
許可しないこととし、タンクモニタの実行を許可するこ
とを「1」で示すタンクモニタ実行許可フラグFPTA
NINを「0」に設定し(ステップS213)、本処理
を終了する。
【0029】一方、前記ステップS202の判別の結
果、吸気温センサ14及びエンジン水温センサ15のい
ずれの故障も検知されていないときは、吸気温TAが下
限値TWASTL(例えば−7℃)及び上限値TWAS
TH(35℃)の範囲内にあるか否かを判別し(ステッ
プS203)、吸気温TAがこの範囲内にあるときは、
エンジン水温TWが下限値TWASTL及び上限値TW
ASTHの範囲内にあるか否かを判別し(ステップS2
04)、エンジン水温TWがこの範囲内にあるときは、
エンジン水温TWと吸気温TAとの温度差DTWA(=
TW−TA)が所定温度差DTWAST(例えば、10
℃)より大きいか否かを判別する(ステップS20
5)。そして、ステップS203又はステップS204
において吸気温TA及びエンジン水温TWのいずれかが
下限値TWASTL及び上限値TWASTHの範囲外に
あると判別された場合、またはステップS205におい
てエンジン水温TWが吸気温TAより所定温度差DTW
ASTを越えて高いときは、タンクモニタの実行を許可
しないこととして前記ステップS213に進む。
【0030】ステップS205の答が否定(NO)、す
なわちTW−TA≦DTWASTであるときは、温度差
DTWAの絶対値|TW−TA|が前記所定温度差DT
WASTより小さい否か、すなわち吸気温TAとエンジ
ン水温TWとが略等しいか否かを判別する(ステップS
206)。その結果、温度差DTWAの絶対値が所定温
度差DTWAST以上であるとき(図7の期間TMON
2に相当するとき)は、後述するステップS228にお
ける正常判定を行わない(ステップS228をパスす
る)ことを「1」で示すパスフラグFOKPASSを
「1」に設定する(ステップS208)一方、温度差D
TWAの絶対値が所定温度差DTWASTより小さく、
吸気温TAとエンジン水温TWとがほぼ等しいとき(図
7の期間TMON1に相当するとき)は、パスフラグF
OKPASSを「0」に設定して(ステップS20
7)、ステップS209に進む。
【0031】本実施形態では、ステップS205により
タンクモニタが不許可とされるのは、エンジン水温TW
が吸気温TAより所定温度差DTWASTを越えて高い
場合であり、吸気温TAがエンジン水温TWより所定温
度差DTWAST以上高い場合、すなわち図7の期間T
MON2にエンジンが始動されたような場合でも、タン
クモニタが許可されるので、タンク系の正常・異常の判
定機会を増加させ、蒸発燃料処理手段の異常をいち早く
検知することができる。しかも、ステップS206及び
S208の処理により、図7の期間TMON2において
エンジンが始動されたような場合には、蒸発燃料処理手
段が正常であると判定(正常判定)するステップS22
8がパスされるので、外気温の上昇に伴う蒸発燃料の増
加の影響で、タンク系に漏れがあるにも拘わらず正常と
誤判定することを防止することができる。
【0032】ステップS209では、ソーク時間タイマ
の値tsが所定基準時間tsREF(例えば、6時間)
より大きいか否かを判別し、ソーク時間タイマの値ts
が所定基準時間tsREFより大きいときは、吸気温T
A及びエンジン水温が外気温Tと略等しい状態、すなわ
ち冷間始動時であると見做し、ステップS210に進
む。一方、ソーク時間タイマの値tsが所定基準時間t
sREFに達していないときは、タンクモニタを実行し
ないことととして前記ステップS213に進む。
【0033】ステップS210では、タンクモニタ実行
許可フラグFPTANINを「1」に設定し、今回のタ
ンク内圧PTANKを、始動時におけるタンク系内の始
動時初期圧PTANSTとして記憶し(ステップS21
1)、ダウンカウントタイマであるタンク内圧監視タイ
マtmPTINに所定監視時間TPTIN(例えば20
秒)をセットしてスタートさせ(ステップS212)、
本処理を終了する。
【0034】上記ソーク時間タイマは、エンジン1が停
止された時点からエンジン1が次に始動される時点まで
の経過時間を計時するタイマである。また、所定基準時
間tsREFは、エンジン1が停止されてから吸気温T
A及びエンジン水温TWが外気温Tと略等しくなるのに
十分な時間として設定されているものであり、実験的に
求められる値である。なお、この所定基準時間tsRE
Fは、単一の値として設定してもよく、また、ECU5
に設けられる記憶手段に所定基準時間tsREFとして
複数の値を記憶しておき、エンジン停止時の吸気温TA
及びエンジン水温TWの値に応じて記憶されている値の
中から適切な値を選択するようにしてもよい。
【0035】図4は、本実施の形態において行われる、
冷間始動時を判別する手法、より具体的には、図7のモ
ニタ実行期間TMON1の開始時期を具体的に説明する
ための、吸気温TA及びエンジン水温TWの時間変化を
示す説明図である。
【0036】同図において、エンジン1が停止された時
刻t1から吸気温TA及びエンジン水温TWは徐々に低
下し、所定基準時間tsREF経過していない時刻t2
では、すでに、吸気温TA及びエンジン水温TWがいず
れも下限値TWASTL及び上限値TWASTHの範囲
内にあり、且つ吸気温TAとエンジン水温TWとの差D
TWAの絶対値が基準値DTWASTより小さい状態と
なっている。しかし本実施形態では、ソーク時間タイマ
の値tsが所定基準時間tsREFに達していないの
で、ステップS209の判別によりタンクモニタは不許
可とされる。
【0037】ソーク時間タイマの値tsが所定基準時間
tsREFを超える時刻t3より後の時刻t4において
エンジン1が再始動された場合は、吸気温TA及びエン
ジン水温TWはいずれも下限値TWASTL及び上限値
TWASTHの範囲内にあり、吸気温TAとエンジン水
温TWとの差の絶対値が基準値DTWASTより小さ
く、且つソーク時間タイマtsの値が所定基準時間ts
REFより大きいので、タンクモニタが許可される。
【0038】ステップS203〜S205の温度条件の
みでは、吸気温TA及びエンジン水温TWが外気温Tよ
りかなり高い場合でも、タンクモニタが実行され、蒸発
燃料の影響が大きくなって誤判定が起きやすいことを考
慮し、本実施形態では、ソーク時間が所定基準時間ts
REFに達した後に、タンクモニタを許可とするように
している。これにより、吸気温TA及びエンジン水温T
Wが外気温Tに略等しくなる程度に十分に時間が経過し
た状態でタンクモニタが実行されるので、正確な漏れ検
出を実行することが可能となる。
【0039】図2に戻り、上記ステップS201の判別
の結果、エンジン1が始動モードでないときは、図3の
ステップS221に進み、タンク系の正常・異常判定が
終了したことを「1」で示すタンクモニタ終了フラグF
DONE90Aが「0」に設定されているか否かを判別
する。その判別の結果、タンクモニタ終了フラグFDO
NE90Aが「1」に設定されているときは直ちに本処
理を終了する一方、「0」に設定されているときは、ス
テップS222に進む。
【0040】ステップS222では、タンクモニタ実行
許可フラグFPTANINが「1」に設定されているか
否かを判別する。その判別の結果、タンクモニタ実行許
可フラグFPTANINが「0」に設定されているとき
は直ちに本処理を終了する一方、「1」に設定されてい
るときは、ステップS223に進む。
【0041】ステップS223では、タンク内圧監視タ
イマtmPTINが「0」に達したか否かを判別する。
最初はtmPTIN>0であるので、今回のタンク内圧
PTANKを、バイパス弁24の開弁前における燃料タ
ンク9内の開弁前圧力PTANINIとして設定し(ス
テップS224)、ダウンカウントタイマであるバイパ
ス弁開制御タイマtmPTCUREに所定時間TPTC
UREをセットしてスタートさせ(ステップS22
5)、本処理を終了する。ここで、所定時間TPTCU
REは、例えば後述するバイパス弁24の開弁によりタ
ンク内圧PTANKが大気圧に同化するのに十分な時間
に設定する。
【0042】エンジン1の始動後所定監視時間TPTI
Nが経過し、ステップS223においてタンク内圧監視
タイマtmPTINが「0」に達したときは、ステップ
S226に進み、前記ステップS224で設定された開
弁前圧力PTANINIと前記ステップS211で設定
された始動時初期圧PTANSTとの差の絶対値AB1
が、基準値P1(例えば2mmHg)よりも大きいか否
かを判別する。その判別の結果、上記絶対値AB1が基
準値P1よりも大きいときは、前記パスフラグFOKP
ASSが「1」であるか否かを判別し(ステップS22
7)、FOKPASS=0であるときは、タンク系が正
常である(漏れがない)と判定し、そのことを「1」で
示すタンク系正常判定フラグFOK90Aを「1」に設
定して(ステップS228)ステップS229に進む一
方、FOKPASS=1であって図7の期間TMON2
においてエンジンが始動されたときは、ステップS22
8を実行することなくステップS229に進む。
【0043】すなわち、吸気温TAがエンジン水温TW
より所定温度差DTWAST以上高くなる、図7の期間
TMON2においてエンジンが始動されたような場合に
は、蒸発燃料処理手段が正常であると判定(正常判定)
するステップS228がパスされるので、蒸発燃料の影
響でタンク系に漏れがあるにも拘わらず正常と誤判定す
ることを防止することができる。なお、パスフラグFO
KPASSが「1」に設定されたときでも、正常判定の
ステップS228をパスするだけなので、異常がある場
合には、次の述べるステップS230以下の処理によ
り、正確な判定が可能である。
【0044】ステップS229では、タンクモニタ終了
フラグFDONE90Aを「1」に設定し、本処理を終
了する。
【0045】一方、前記ステップS226の判別の結
果、上記絶対値AB1が基準値P1以下であるときは、
ステップS230に進み、バイパス弁開制御タイマtm
PTCUREの値が「0」に達したか否かを判別する。
最初はtmPTCURE>0であるので、バイパス弁2
4を開弁し(ステップS231)、今回のタンク内圧P
TANKと前記ステップS224で設定された開弁前圧
力PTANINIとの差の絶対値AB2が、基準値DP
TANIN(例えば2mmHg)以上であるか否かを判
別する(ステップS232)。ステップS232の判別
の結果、上記絶対値AB2が基準値DPTANIN以上
であるときは、タンク系が正常であると判定してタンク
系正常判定フラグFOK90Aを「1」に設定し(ステ
ップS233)、タンクモニタ終了フラグFDONE9
0Aを「1」に設定し(ステップS235)、本処理を
終了する。また、前記ステップS232の判別の結果、
上記絶対値AB2が基準値DPTANIN未満であると
きは、正常または異常との判定をすることなく直ちに本
処理を終了する。
【0046】バイパス弁24を開弁した時点から所定時
間TPTCUREが経過し、ステップS230において
バイパス弁開制御タイマtmPTCUREの値が「0」
に達したときは、タンク系が異常である(漏れがある)
と判定し、そのことを「1」で示すタンク系異常判定フ
ラグFNG90Aを「1」に設定し(ステップS23
4)、前記ステップS235に進む。
【0047】このように本タンクモニタ処理では、バイ
パス弁24を開弁し、所定時間TPTCURE内にタン
ク内圧PTANKの変動が見られた場合は正常(漏れが
ない)と判断し、変動が見られなかった場合は異常(漏
れがある)と判断する。
【0048】本タンクモニタ処理によれば、エンジン1
の冷間始動時と判定されたときその始動直後においてバ
イパス弁24を開弁し、燃料タンク9内の圧力が大気圧
になることを利用して、圧力センサ11の検出値の変化
に基づいてタンク系の漏れの有無を判定するので、圧力
センサ11の劣化やばらつき等による零点ずれに影響を
受けずにタンク系の異常の有無を判定することができ
る。従って判定閾値に過剰な余裕を設ける必要がないの
で、タンク系の異常の有無を確実且つ容易に判定するこ
とができる。また、蒸発燃料による影響を受けないエン
ジン1の冷間始動時に判定処理を行うので、開弁前圧力
PTANINIが大気圧に対して正圧/負圧であるとを
問わず判定することができる。
【0049】また、エンジン始動直後という早期にタン
ク系の異常の有無の判定が得られ、タンク系の異常の有
無の判定を一旦得れば、その後の運転時にタンク系の異
常判定処理を実行する必要がなくなり、処理工程を簡素
化することができる。また、新たなハード構成を必要と
しないので、構成の複雑化を回避することができる。
【0050】さらに、エンジン1の冷間始動時と判定さ
れた場合に、始動完了(始動モードの終了)から所定時
間TPTIN経過するまでの間のタンク内圧PTANK
の変動が基準値P1より大きいときは、上記バイパス弁
24の開弁による判定処理(ステップS219〜S22
4)を実行することなく、より早期にタンク系の正常判
定が得られる。ただし、エンジン始動時の吸気温TAが
エンジン水温TWより所定温度差DTWASTを越えて
高いとき(図7の期間TMON2)には、この正常判定
は実行しないようにしたので、十分なソーク時間経過
後、吸気温TAがエンジン水温TWに比べて速く上昇す
るような時間帯にエンジンが始動された場合において、
蒸発燃料の影響で漏れがあるにも拘わらず正常であると
誤判定することを回避することができ、より正確な判定
を行うことが可能となる。
【0051】本実施形態においては、図2及び3の処
理、特にステップS223以下の処理(ステップS22
7を除く)が判定手段に相当し、図2のステップS20
6,S207,S208及び図3のステップS227が
判定抑制手段に相当する。
【0052】(第2の実施形態)本実施形態は、図2及
び3の処理に代えて図5及び6の処理によりタンクモニ
タを実行するようにしたのである。より具体的は、図5
の処理は、図2のステップS207及びS208を、そ
れぞれS207a及びS208aに変更したものであ
り、図6の処理は、図3の処理のステップS227を削
除してステップS226から直接ステップS228に進
むように構成したものである。
【0053】上記以外の点は第1の実施形態と同一であ
る。
【0054】図5のステップS206の判別の結果、エ
ンジン水温TWと吸気温TAとの温度差DTWA(=T
W−TA)の絶対値が所定温度差DTWASTより小さ
いときは、ステップS226の判定に使用する基準値P
1を第1の値P1Aに設定し(ステップS207a)、
温度差DTWAの絶対値が所定温度差DTWAST以上
であるときは、基準値P1を第1の値P1Aより大きい
第2の値P1B(例えば4mmHg)に設定する(ステ
ップS208a)。ここで、第1の値P1Aが、第1の
実施形態における基準値P1の値である。
【0055】これにより、基準値P1が第2の値P1B
に設定されたときは、第1の値P1Aに設定されたとき
に比べてステップS226の判別によって、蒸発燃料処
理手段が正常であると判定され難くなる。すなわち、本
実施形態では図5のステップS206,S207a及び
S208aによって判定抑制手段が構成される。
【0056】本実施形態によっても、吸気温TAがエン
ジン水温TWより所定温度差DTWAST以上高いとき
は、ステップS226によって正常であるとの判定がさ
れ難くなる、すなわち正常判定が抑制されるので、第1
の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、機
関の始動時における吸気温と冷却水温との温度差が所定
温度差より小さいとき、及び機関の始動時における吸気
温が冷却水温より前記所定温度差以上高いときに、蒸発
燃料処理手段の正常・異常の判定が実行され、機関の始
動時における吸気温が冷却水温より前記所定温度差以上
高いときには、圧力検出手段の検出圧力が機関始動直後
において所定圧以上変化したときに、蒸発燃料処理手段
が正常であると判定することが抑制されるので、従来に
比べて正常・異常の判定機会が増加し、異常をいち早く
検知することが可能となり、しかも異常があるにもかか
わらず正常と誤判定することを防止して、正確な判定を
行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる蒸発燃料処理装置
の構成を示す図である。
【図2】蒸発燃料処理手段のタンク系の正常・異常を判
定する処理のフローチャートである。
【図3】蒸発燃料処理手段のタンク系の正常・異常を判
定する処理のフローチャートである。
【図4】タンク系の正常・異常の判定の実行条件を説明
するためのタイムチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかる蒸発燃料処理
手段のタンク系の正常・異常を判定する処理のフローチ
ャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態にかかる蒸発燃料処理
手段のタンク系の正常・異常を判定する処理のフローチ
ャートである。
【図7】タンク系の正常・異常判定の実行条件を説明す
るためのタイムチャートである。
【符号の説明】
1 内燃機関 5 電子コントロールユニット(判定手段、判定抑制手
段) 9 燃料タンク 11 タンク内圧センサ(圧力検出手段) 14 吸気温センサ(吸気温検出手段) 15 エンジン水温センサ(冷却水温検出手段) 31 蒸発燃料排出抑止系(蒸発燃料処理手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02M 25/08 F02D 41/02 301 F02D 41/22 301 F02D 45/00 345

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の燃料タンクに発生する蒸発燃
    料を処理する蒸発燃料処理手段と、該蒸発燃料処理手段
    の内部の圧力を検出する圧力検出手段と、前記機関の冷
    却水温を検出する冷却水温検出手段と、前記機関の吸気
    温を検出する吸気温検出手段と、前記機関の始動時にお
    ける冷却水温と吸気温がともに所定温度範囲内にあると
    き、前記圧力検出手段による検出圧力に基づいて前記蒸
    発燃料処理手段が正常であるか異常であるかを判定する
    判定手段とを有する蒸発燃料処理装置において、 前記機関の始動時における吸気温が冷却水温より所定温
    度差以上高いときには、前記機関の始動直後に前記検出
    圧力の変化量が所定圧以上である場合における前記判定
    手段による正常判定を抑制する判定抑制手段を有し、 前記判定手段は、前記機関の始動時における吸気温と冷
    却水温との温度差が前記所定温度差より小さいとき、及
    び前記機関の始動時における吸気温が冷却水温より前記
    所定温度差以上高いときに前記判定を実行することを特
    徴とする蒸発燃料処理装置。
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