JP3223480B2 - 内燃エンジンの蒸発燃料処理装置 - Google Patents

内燃エンジンの蒸発燃料処理装置

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JP3223480B2
JP3223480B2 JP24993393A JP24993393A JP3223480B2 JP 3223480 B2 JP3223480 B2 JP 3223480B2 JP 24993393 A JP24993393 A JP 24993393A JP 24993393 A JP24993393 A JP 24993393A JP 3223480 B2 JP3223480 B2 JP 3223480B2
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將嘉 山中
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    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02MSUPPLYING COMBUSTION ENGINES IN GENERAL WITH COMBUSTIBLE MIXTURES OR CONSTITUENTS THEREOF
    • F02M25/00Engine-pertinent apparatus for adding non-fuel substances or small quantities of secondary fuel to combustion-air, main fuel or fuel-air mixture
    • F02M25/08Engine-pertinent apparatus for adding non-fuel substances or small quantities of secondary fuel to combustion-air, main fuel or fuel-air mixture adding fuel vapours drawn from engine fuel reservoir
    • F02M25/0809Judging failure of purge control system

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃料タンクより発生す
る蒸発燃料を内燃エンジンの吸気系へ放出する内燃エン
ジンの蒸発燃料処理装置に関し、特にその故障診断が可
能な内燃エンジンの蒸発燃料処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料タンクと、該燃料タンクと連通する
キャニスタと、該キャニスタと内燃エンジンの吸気系と
を連通するパージ通路に設けられたパージ制御弁(第1
の制御弁)とを備え、燃料タンクで発生する蒸発燃料を
キャニスタに一時的に貯蔵し、適宜内燃エンジンの吸気
系にパージするようにした蒸発燃料処理装置の異常判定
手法としては、次のようなものが従来より知られてい
る。
【0003】例えば特表平4−505491号には、蒸
発燃料処理装置内の圧力を検出する圧力検出手段と、キ
ャニスタの大気開放通路に開閉可能な制御弁とを設け、
該制御弁を閉弁して前記パージ制御弁を開弁することに
より蒸発燃料処理装置内を負圧状態にできたとき、蒸発
燃料処理装置は正常であると判断する手法が開示されて
いる。
【0004】さらに、特開平4−362264号には、
蒸発燃料処理装置内を負圧にした後に前記パージ制御弁
を閉弁して、所定時間内における蒸発燃料処理装置内の
圧力の変化により異常を検出する手法が開示されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の異常判定手法では、装置全体を負圧にするに際し、
キャニスタに蒸発燃料が多量に吸着しているとき、また
は燃料タンク内で蒸発燃料が多量に発生する状況のと
き、その蒸発燃料がエンジンの吸気系へ供給されるた
め、混合気の空燃比が過度にリッチになり運転性及び排
気エミッション特性が悪化する虞があった。
【0006】さらに、このような状態においては、蒸発
燃料処理装置を所定の負圧に減圧することができないこ
とがあり、装置が正常であっても異常と誤判定する虞が
あった。
【0007】運転性及び排気エミッション特性の良好に
保ち、しかも簡単な構成且つ低コストで高精度な故障診
断が行える内燃エンジンの蒸発燃料処理装置を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、燃料タンクと、該燃料タンク内に発生する
蒸発燃料を吸着するキャニスタと、該キャニスタと前記
燃料タンクとを連通するチャージ通路と、前記キャニス
タと内燃エンジンの吸気系とを連通し、前記キャニスタ
に吸着された蒸発燃料を前記吸気系にパージするパージ
通路と、前記キャニスタを大気に開放する大気通路と、
前記パージ通路を開閉する第1の制御弁と、前記大気通
路を開閉する第2の制御弁とを有する蒸発燃料処理手
段、前記蒸発燃料処理手段内の圧力を検出する圧力検出
手段、及び前記第1の制御弁を開弁し、前記第2の制御
弁を閉弁して前記蒸発燃料処理手段内を負圧状態に減圧
する減圧手段を含み、前記圧力検出手段によって検出さ
れた圧力により前記蒸発燃料処理手段の異常を検出する
異常検出手段を備えた内燃エンジンの蒸発燃料処理装置
において、前記エンジンの排気系に設けられ排気中の特
定成分濃度を検出する排気濃度センサと、前記第1の制
御弁を開弁したときの前記排気濃度センサの出力に応じ
て前記蒸発燃料処理手段内の蒸発燃料量を検出する蒸発
燃料量検出手段と、前記蒸発燃料量検出手段により検出
された蒸発燃料量が所定量より多いときに、前記吸気系
にパージされた蒸発燃料の積算流量が所定値に達するま
前記異常検出手段の作動を制限する制限手段とを備え
たことを特徴とする。
【0009】また、好ましくは、前記蒸発燃料量検出手
段は、前記排気濃度センサの出力に基づいて算出されエ
ンジンへ供給される燃料量を補正する空燃比補正係数に
より、前記蒸発燃料処理手段内の蒸発燃料量を検出する
ように構成され、前記制限手段は、前記空燃比補正係数
が所定値より小さいときに、前記積算流量が前記所定値
に達するまで前記異常検出手段の作動を制限するように
構成される。
【0010】さらに好ましくは、前記蒸発燃料量検出手
段は、前記排気濃度センサの出力に基づいて算出されエ
ンジンへ供給される燃料量を補正する空燃比補正係数の
平均値により、前記蒸発燃料処理手段内の蒸発燃料量を
検出するように構成され、前記制限手段は、前記空燃比
補正係数の平均値が所定値より小さいときに、前記積算
流量が前記所定値に達するまで前記異常検出手段の作動
を制限するように構成される。
【0011】
【作用】上記構成により本発明によれば、蒸発燃料量検
出手段は、第1の制御弁の開弁時における例えば空燃比
補正係数、好ましくはその平均値により蒸発燃料処理手
段内の蒸発燃料量を検出する。そして、制限手段は、前
記空燃比補正係数またはその平均値が所定値より小さい
ときには蒸発燃料量の発生量が多いと判断して吸気系に
パージされた蒸発燃料の積算流量が所定値に達するまで
異常検出手段の作動を制限する。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。
【0013】図1は本発明の一実施例に係る内燃エンジ
ンの蒸発燃料処理装置の全体構成図である。
【0014】図中、1は例えば4気筒を有する内燃エン
ジン(以下、単に「エンジン」という)であって、該エ
ンジン1の吸気管2の途中にはスロットル弁3が配され
ている。また、スロットル弁3にはスロットル弁開度
(θTH)センサ4が連結されており、当該スロットル
弁3の開度に応じた電気信号を出力して電子コントロー
ルユニット(以下「ECU」という)5に供給する。
【0015】燃料噴射弁6は、吸気管2の途中であって
エンジン1とスロットル弁3との間の図示しない吸気弁
の少し上流側に各気筒毎に設けられている。また、各燃
料噴射弁6は燃料供給管7を介して燃料タンク9に接続
されており、燃料供給管7の途中には燃料ポンプ8が設
けられている。燃料噴射弁6はECU5に電気的に接続
され、該ECU5からの信号により燃料噴射の開弁時期
が制御される。
【0016】吸気管2の前記スロットル弁3の下流側に
は吸気管内絶対圧PBAを検出する吸気管内絶対圧(P
BA)センサ13及び吸気温TAを検出する吸気温(T
A)センサ14が装着されており、これらのセンサの検
出信号はECU5に供給される。
【0017】エンジン1のシリンダブロックの冷却水が
充満した気筒周壁にはサーミスタ等からなるエンジン水
温(TW)センサ15が挿着され、該TWセンサ15に
より検出されたエンジン冷却水温TWは電気信号に変換
されてECU5に供給される。
【0018】エンジン1の図示しないカム軸周囲または
クランク軸周囲にはエンジン回転数(NE)センサ16
が取り付けられている。
【0019】NEセンサ16はエンジン1のクランク軸
の180度回転毎に所定のクランク角度位置で信号パル
ス(以下、「TDC信号パルス」という)を出力し、該
TDC信号パルスはECU5に供給される。
【0020】排気管12の途中には、排気濃度センサと
してのO2センサ32が装着されており、排気ガス中の
酸素濃度を検出してその検出値VO2に応じた信号を出
力しECU5に供給する。排気管12のO2センサ32
の下流には、排気ガス浄化装置である三元触媒33が設
けられている。
【0021】またECU5には、エンジン1が搭載され
た車両の走行速度VPを検出する車速センサ17、バッ
テリ電圧VBを検出するバッテリ電圧センサ18及び大
気圧PAを検出する大気圧センサ19が接続されてお
り、これらのセンサの検出信号はECU5に供給され
る。
【0022】次に燃料タンク9、チャージ通路20、キ
ャニスタ25、パージ通路27等から構成される蒸発燃
料排出抑止系(以下「排出抑止系」という)31につい
て説明する。
【0023】燃料タンク9はチャージ通路20を介して
キャニスタ25に接続されており、チャージ通路20は
エンジンルーム内に設けられた第1〜第3の分岐部20
a〜20cを有する。そして、この分岐部20a〜20
c側のチャージ通路20にはタンク内圧センサ11が取
り付けられている。第1の分岐部20aには、一方向弁
21及びパフロス弁22が設けられている。一方向弁2
1は、タンク内圧PTNKが大気圧より12〜13mm
Hg程度高くなったときのみ開弁作動するように構成さ
れている。パフロス弁22は、後述するパージ実行中に
開弁され、エンジン停止中は閉弁される電磁弁であり、
その作動はECU5により制御される。
【0024】第2の分岐部20bには二方向弁23が設
けられている。二方向弁23は、タンク内圧PTNKが
大気圧より20mmHg程度高くなっとき及びタンク内
圧PTNKが二方向弁23のキャニスタ25側の圧力よ
り所定圧だけ低くなったときに開弁作動するように構成
されている。
【0025】第3の分岐部20cには、バイパス弁24
が設けられている。バイパス弁24は、通常は閉弁状態
とされ、後述する異常判定実行中開閉される電磁弁であ
り、その作動はECU5により制御される。
【0026】キャニスタ25は、燃料蒸気を吸着する活
性炭を内蔵し、通路26aを介して大気に連通する吸気
口(図示せず)を有する。通路26aの途中には、ドレ
ンシャット弁26が設けられている。ドレンシャット弁
26は、通常は開弁状態に保持され、後述する異常判定
実行中、一時的に閉弁される電磁弁であり、その作動は
ECU5により制御される。
【0027】キャニスタ25は、パージ通路27を介し
て吸気管2のスロットル弁3の下流側に接続されてお
り、パージ通路27は第1及び第2の分岐部27a,2
7bを有する。第1の分岐部27aにはジェットオリフ
ィス28及びジェットパージ制御弁29が設けられ、第
2の分岐部27bにパージ制御弁30が設けられてい
る。ジェットパージ制御弁29は、パージ制御弁30で
は正確に制御できないような小流量のパージ燃料混合気
を制御するための電磁弁であり、パージ制御弁30は、
その制御信号のオン−オフデューディ比を変更すること
により流量を連続的に制御することができるように構成
された電磁弁であり、これらの電磁弁29,30の作動
はECU5により制御される。
【0028】ECU5は、上述の各種センサからの入力
信号波形を整形して電圧レベルを所定レベルに修正し、
アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を
有する入力回路と、中央演算処理回路(以下「CPU」
という)と、該CPUで実行する演算プログラムや演算
結果等を記憶する記憶手段と、前記燃料噴射弁6、パプ
ロス弁22、バイパス弁24、ジェットパージ制御29
及びパージ制御弁30に駆動信号を供給する出力回路と
を備えている。
【0029】ECU5は上述の各種エンジンパラメータ
信号に基づいて、O2センサ32により検出される排ガ
ス中の酸素濃度に応じたフィードバック(O2フィード
バック)制御運転領域やオープンループ制御運転領域等
の種々のエンジン運転状態を判別するとともに、エンジ
ン運転状態に応じ、次式(1)に基づき、前記TDC信
号パルスに同期する燃料噴射弁6の燃料噴射時間Tou
tを演算する。
【0030】 Tout=Ti×K1×KO2+K2 …(1) ここに、Tiは燃料噴射弁6の噴射時間Toutの基準
値であり、エンジン回転数NEと吸気管絶対圧PBAに
応じて設定されたTiマップから読み出される。
【0031】KO2は空燃比補正係数であってフィード
バック制御時、O2センサ32により検出される排気ガ
ス中の酸素濃度に応じて設定され、更にフィードバック
制御を行わない複数のオープンループ制御運転領域では
各運転領域に応じた値に設定される係数である。
【0032】K1及びK2は夫々各種エンジンパラメータ
信号に応じて演算される他の補正係数及び補正変数であ
り、エンジン運転状態に応じた燃費特性、エンジン加速
特性等の諸特性の最適化が図られるような所定値に設定
される。
【0033】以上のように構成される本実施例の蒸発燃
料処理装置の異常診断処理は、後に詳細に説明するよう
に、PTANKモニタ(図2〜図4)と、KO2変動モ
ニタ(図5〜図8)と、キャニスタモニタ(図9〜図1
6)と、タンクモニタ(図17〜図25)とを順次実行
することにより行われる。
【0034】図2、図3及び図4は、本実施例のPTA
NKモニタを示すフローチャートである。
【0035】まずステップS1では、後述するタンクモ
ニタ及びキャニスタモニタが終了したことを“1”で示
すフラグFDONE90が“1”であるか否かを判別す
る。最初はその答が否定(NO)であるので、ステップ
S2へ進んでエンジン1が始動モードにあるか否かを判
別する。その答が肯定(YES)である始動モードのと
きに、タンク内圧PTの最小値PTKMIN及び最大値
PTKMAXを記憶すると共に、圧力キャンセル用のt
CANCELタイマを所定時間T1にセットする(ステ
ップS3)。
【0036】続いて、燃料タンク側1でリークが発生し
ている可能性が大きいことを“1”で示すフラグFNG
KUSAを“0”にセットし(ステップS4)、さらに
後述するPTANK値の合計値PTKSUMを“0”に
セットしておくと共に、当該PTANKモニタの実施回
数(サンプリング回数)をカウントするカウンタCPT
ANKを所定値(例えば255)にセットする(ステッ
プS5)。その後、現時点のタンク内圧PTをPT変動
量算出用の基準値PTKBASEとして設定し、またタ
ンク内圧PTをサンプリングするためのtPTANKタ
イマを所定時間T2(例えば5sec)にセットして本
ルーチンを終了する(ステップS6)。
【0037】前記ステップS2の答が否定(NO)とな
ってエンジン1が通常モードへ移行したときはステップ
S7へ進み、前記tCANCELタイマが“0”になっ
て所定時間T1が経過したか否かを判別する。その答が
否定(NO)のときは本ルーチンを終了し、肯定(YE
S)のときは現在のタンク内圧PTANKを読込む(ス
テップS8)。続くステップS9では、今回のPTAN
K値から前記基準値PTKBASEを差分した絶対値が
所定の閾値BASELMTよりも大きいか否かを判別
し、その答が肯定(YES)のときはPTANK値の変
動が大きいと判断し、安定したタンク内圧のみを読込む
べく前記ステップS6の処理を再度行う。すなわち、基
準値PTKBASEを現時点のタンク内圧PTANK
に、tPTANKタイマをT2値にそれぞれセットし直
す。
【0038】また、前記ステップS9の答が否定(N
O)のときは、PTANK値の変動が大きくなくPTA
NKモニタを行うのに適していると判断し、ステップS
10でtPTANKタイマが“0”か否かを判別する。
その答が否定(NO)のときは本ルーチンを終了し、肯
定(YES)のときは前記tPTANKタイマが所定時
間T2経過したと判断して次のステップS11に進む。
【0039】これにより、タンク内圧センサ11の出力
変動が大きくない場合におけるタンク内圧PTANKの
値が、所定時間T2の間隔で取り込まれることになる。
【0040】ステップS11では、前記カウンタCPT
ANKの値が“0”か否かを判別し、最初はその答が否
定(NO)であるのでステップS12へ進み、今回読込
まれたPTANK値が前記最小値PTKMINよりも小
さいか否かを判別し、その答が肯定(YES)のときは
この最小値PTKMINにPTANK値の今回値を設定
する(ステップS13)。また、前記ステップS12の
答が否定(NO)のときは、今回読込まれたPTANK
が最大値PTKMAXよりも大きいか否かを判別する
(ステップS14)。その答が肯定(YES)のときは
該最大値PTKMAXにPTANK値の今回値を設定す
る(ステップS15)。
【0041】次のステップS16では、当該PTANK
モニタによるパフロス弁22の閉弁を“1”で示すフラ
グFPLCLが“1”であるか否かを判別する。最初は
その答が否定(NO)であるのでステップS17へ進
み、前記最小値PTKMINが所定値PTKLM1(例
えば−5mmHg)よりも大きいか否かを判別する。そ
の答が否定(NO)のときは燃料タンク9はリークがな
く正常状態にあると判断し、フラグFTANKOKを
“1”に設定して(ステップS18)次のステップS1
9へ進む。
【0042】ここで、タンク内圧の最小値PTKMIN
が所定値PTKLM1(例えば−5mmHg)より小さ
いとき燃料タンク9はリークがなく正常状態にあると判
断するのは、燃料タンク9内の圧力が一方向弁21及び
二方向弁22にて調整されていて燃料タンク9が正常状
態でリークがない場合は、タンク内の蒸発燃料が冷やさ
れて液化し、これによってタンク内が負圧になり、これ
に対して、燃料タンク9にリークがある場合には、燃料
タンク内は大気圧より小さくなることがないという実験
結果に基づいている。すなわち、タンク内圧の最小値P
TKMINが負圧の所定値PTKLM1以下になると
き、燃料タンク9からリークが発生していないと判断で
きる。
【0043】また、ステップS17の答が肯定(YE
S)であるときは、前記ステップS18をスキップして
ステップS19へ進む。ステップS19では、前回まで
のPTANK値の合計値PTKSUMに今回のPTAN
K値を加えて今回の合計値PTKSUMとすると共に、
カウンタCPTANKをディクリメントする。そして、
前記ステップS6の処理を再度行って本ルーチンを終了
する。
【0044】以上の処理を255回繰り返すと、カウン
タCPTANKの値が“0”となって前記ステップS1
1の答が肯定(YES)となる。この時点では、tPT
ANKタイマで設定された所定時間T2間隔毎に1個ず
つ取込まれたPTANK値が合計255個となってい
る。
【0045】続くステップS22では、PTANK値の
合計値PTKSUMが所定負圧値PTKLM2(例えば
−5mmHg)と所定正圧値PTKLM3(例えば5m
mHg)との間にあり、かつ前記最大値PTKMAXと
最小値PTKMINの差分がが所定値PTKLM4(例
えば3mmHg)より小さいか否かを判別する。その答
が否定(NO)の場合は、タンク内圧PTANKに変動
があると判断して前記ステップS4へ進んでフラグFN
GKUSAを“0”に設定してステップS5以降の処理
を繰り返す。
【0046】また、前記ステップS22の答が肯定(Y
ES)のときは、タンク内圧PTANKが大気圧近傍で
固定状態にあると判断し、さらに前記最小値PTKMI
Nが前記所定値PTKLM1よりも大きいか否かを判別
し(ステップS23)、その答が否定(NO)のときは
燃料タンク側がサンプリング中に少なくとも1回は負圧
状態にあったと判断して前記ステップS5以降の処理を
繰り返す。前記ステップS23の答が肯定(YES)の
ときはタンク内圧PTANKが1回も負圧でなく大気圧
近傍で固定状態にあると判断してステップS24以降へ
進む。
【0047】ここで、タンク内圧PTANKが負圧でな
く大気圧近傍で固定状態となる場合には、(1)大規模
なリークがあるとき、(2)小規模なリークがあり且つ
蒸発燃料の発生量が少ないとき、(3)リークが無く且
つ蒸発燃料の発生量が少ないとき、(4)蒸発燃料の発
生量が多い場合でタンク内圧PTが一方向弁21の開弁
圧(5mmHg)に制御されているときの、4通りが考
えられる。
【0048】前記(4)で示したように、一方向弁21
の開弁圧に制御されている場合にタンク内圧PTANK
が大気圧近傍で固定状態を示すことがあるが、これは、
タンク内圧センサ11の出力値のずれ(ゼロ点ばらつ
き)が±5mmHg程度あり、例えばタンク内圧センサ
11の出力値が正規の値よりも5mmHg低くなるよう
な場合は、たとえタンク内圧PTANKが一方向弁21
の開弁圧(5mmHg)の状態にあるときであっても、
タンク内圧センサ11の出力値は大気圧(0mmHg)
を示すことになるからである。即ち、タンク内圧センサ
11の出力値が−5mmHg〜+5mmHgのときはタ
ンク内圧PTANKは略大気圧に等しいと見做さざるを
得ない。
【0049】前記(1)〜(3)の場合はタンク内圧が
真に大気圧近傍にある状況であってリークの可能性が大
きいが、前記(4)の場合は一方向弁21の開弁圧まで
蒸発燃料が発生している状況であってリークの可能性が
小さい。そこで、本実施例では、タンク内圧PTANK
がこの(4)で示した状態にあるか否かを次のステップ
S24以降で判別するようにしている。これにより、タ
ンク内圧PTANKが負圧でなく大気圧近傍で固定状態
となる場合は、前記(4)で示した状態であるか、ある
いはそれ以外の上記(1)〜(3)の状態であるかを区
別することができる。
【0050】ステップS24では、前記フラグFPLC
Lが“1”であるか否かを判別し、最初はパフロス弁2
2が開弁状態(1ウェイコントロール)にあるのでその
答が否定(NO)となってステップS25へ進み、2ウ
ェイコントロールの実施を“1”で示すフラグF2WA
Yが“1”か否かを判別する。1ウェイコントロール時
ではフラグF2WAYが“0”となっているので、ステ
ップS26へ進み、1方向弁21の貼り付き基準圧力P
PLVLVとして前記最大値PTKMAXを設定すると
共に、前記フラグF2WAYを“1”に設定し、さらに
フラグFPLCLを“1”にしてパフロス弁22を閉弁
し2ウェイコントロールに設定する。
【0051】その後、前記ステップS5以降を繰り返し
て、タンク内圧PTANKの変動状態を調べる。すなわ
ち、tPTANKタイマで設定された所定時間T2間隔
毎に1個ずつPTANK値が取込まれる。その際、前記
ステップS16の答が肯定(YES)となり、最大値P
TKMAXから1方向弁21の貼り付き基準圧力PPL
VLVを差し引いた値が、所定値DP1WAYよりも小
さいか否かを判別し(ステップS20)、その答が肯定
(YES)のときは、この2ウェイコントロール時にタ
ンク内圧PTANKの上昇がないと判断して前記ステッ
プS17以降へ進む。
【0052】前記ステップS20の答が否定(NO)の
ときは、2ウェイコントロール時にタンク内圧PTAN
Kが上昇したと判断してステップS21へ進み、フラグ
FPLCLを“0”に設定して1ウェイコントロールに
戻し、さらに前記ステップS19以降へ進む。取込まれ
たPTANK値が255個になると、カウンタCPTA
NKの値が“0”となって前記ステップS11の答が再
び肯定(YES)となる。
【0053】そして、その間にタンク内圧PTANKが
上昇すれば、それに応じて最大値PTKMAXが変わる
ので、前記ステップS22の答が否定(NO)となり、
前記ステップS4でフラグFNGKUSAが“0”に設
定される。すなわち、パフロス弁22を閉弁して2ウェ
イコントロールに設定した状態の下において、リークが
なく蒸発燃料の発生量が多い状態でタンク内圧PTAN
Kが一方向弁21の開弁圧(5mmHg)に制御されて
いる状態(前記(4)で示した状態)であれば、その後
のタンク内圧PTANKは上昇するはずである。従っ
て、前記(4)で示すような状態では燃料タンク9が正
常である可能性が高いとしてフラグFNGKUSAを
“0”に設定した後、前記ステップS4以降を繰り返し
実行する。
【0054】また、タンク内圧PTANKの変動状態を
調べた結果、負圧になく大気圧近傍で変動がない状態の
ままであれば、前記ステップS22及びステップS23
の答が肯定(YES)となる。そして、前記ステップS
26で2ウェイコトロールに設定した結果、ステップS
24の答は肯定(YES)となってステップS27へ進
む。ステップS27では、このような状況は燃料タンク
側において、前述した(1)大規模なリークがあると
き、(2)小規模なリークがあり且つ蒸発燃料の発生量
が少ないとき、(3)リークが無く且つ蒸発燃料の発生
量が少ないとき、のいずれかであると判断して実際に燃
料タンク側の負圧診断(タンクモニタ:後述する)を行
うべく前記フラグFTANKOKを“0”に、フラグF
GKUSAを“1”にそれぞれ設定すると共に、フラグ
FPLCLを“0”に戻す。その後、前記ステップS5
及び前記ステップS6の処理を経て本ルーチンを終了す
る。図5、図6及び図7は、本実施例におけるKO2変
動モニタを示すフローチャートである。
【0055】まず、ステップS31(図5)において、
本実施例の異常診断処理が終了したことを“1”で示す
フラグFDONE90が“0”であるか否かを判別す
る。最初はその答が肯定(YES)であるので、O2フ
ィードバック制御中であるか否かを判別し(ステップS
32)、その答が肯定(YES)であるときには、さら
にパージ流量(エアーフロー)があることを“1”で示
すフラグFKO2OKが“0”であるか否かを判別する
(ステップS33)。
【0056】ステップS33の答が肯定(YES)であ
るときには、タンクモニタが実行中であることを“1”
で示すフラグFTANKMON、及びキャニスタモニタ
が実行中であることを“1”で示すフラグFCANIM
ONがそれぞれ“0”であるか否かを判別し(ステップ
S34)、その答が肯定(YES)であるときには、ス
テップS35へ進む。
【0057】一方、前記ステップS31〜ステップS3
4のいずれかの答が否定(NO)であるときには、後述
するKO2の平均値KO2VPFの算出に用いられるt
KO2CKタイマを所定値T3にセットしてスタートさ
せると共に、KO2平均値KO2VPFを初期化したこ
とを“1”で示すフラグFKO2VPFを“0”に設定
して本ルーチンを終了する(ステップS36)。
【0058】ステップS35では、当該KO2変動モニ
タの実行回数をカウントするCKO2カウンタが“0”
であるか否かを判別し、最初はその答が否定(NO)で
あるので、ステップS37へ進む。なお、このCKO2
カウンタはエンジン始動時においてのみ所定値にセット
される。
【0059】ステップS37では、エンジン始動時のエ
ンジン水温TWSTが所定値TWEVPSTよりも大き
いか否かを判別し、その答が肯定(YES)のときに
は、エンジン始動時のエンジン水温が高水温状態にある
と判断してステップS38へ進み、パージが許可されて
いることを“1”で示すフラグFPRGONが“1”か
否かを判別する。その答が否定(NO)のときには、ス
テップS39へ進み、当該KO2変動モニタが実行済み
であることを“1”で示すフラグFKO2DONE、及
びパージ制御弁30によって実際のパージ実行の指示が
あることを“1”で示すフラグFPRGGOをそれぞれ
“0”に設定して前記ステップS36の処理を経て本ル
ーチンを終了する。
【0060】また、パージが許可されているとしてステ
ップS38の答が肯定(YES)のとなるときには、前
記フラグFKO2DONEが“1”か否かを判別し(ス
テップS40)、最初はその答が否定(NO)となるの
で、ステップS41(図6)へ進み、前記ステップS3
6でスタートさせたtKO2CKタイマが“0”となっ
たか否かを判別する。最初はその答は否定(NO)であ
るので、ステップS42へ進み、KO2変動チェック用
のtVPCKタイマを所定時間T4(例えば5秒間)に
セットしてスタートさせると共に、パージが許可されて
から所定時間T3に亘ってKO2平均値KO2VPFの
算出を行う。このKO2平均値KO2VPFは所定時間
T3に亘って更新され、最終的に所定時間T3経過時点
のKO2平均値KO2VPFが変動基準値KO2STと
して設定される。
【0061】前記所定時間T3が経過して(tKO2C
K=0)前記ステップS41の答が肯定(YES)とな
ると、実際にパージを行うべくフラグFPRGGOを
“1”に設定する(ステップS43)。その後、ステッ
プS44で図8に示すフローチャートに従ってKO2平
均値KO2VPFの初期化を行う。
【0062】図8において、KO2平均値KO2VPF
の初期化処理は、まずステップS71において、前記フ
ラグFKO2VPFが“1”であるか否かを判別する。
最初はその答は否定(NO)、即ちKO2平均値KO2
VPFの初期化が終了していないので、ステップS72
へ進み、KO2平均値KO2VPFを現在のKO2値に
設定する。続くステップS73では、KO2値が1回反
転したか否かを判別し、この答が肯定(YES)となる
まで、前記ステップS71,S72,S73の処理を繰
り返す。
【0063】KO2値が1回反転してステップS73の
答が肯定(YES)となると、ステップS74へ進み、
前記フラグFKO2VPFを“1”に設定して図6のル
ーチンへ戻る。すなわち、初期化処理においては、1回
反転した時のKO2値をKO2平均値KO2VPFの初
期値として使用するのである。
【0064】図6のステップS45では、前記ステップ
S42でスタートしたtVPCKタイマが“0”になっ
たか否かを判別し、所定時間T4が経過中でその答が否
定(NO)であるときは、ステップS46へ進み、KO
2値がリーン側リミット値に貼り付いたことを“1”で
示すフラグFKO2LMTが“1”か否かを判別する。
その答が肯定(YES)であるときにはステップS47
へ進み、多量の蒸発燃料がパージされていると判断し
て、前記フラグFKO2OKを“1”に設定すると共
に、後述のキャニスタモニタにおける前条件成立判断の
ために用いる積算流量DQPAIRTを“0”にリセッ
トする。さらに前記フラグFKO2DONEを“1”に
設定すると共に、前記CKO2カウンタをディクリメン
トして(ステップS48)本ルーチンを終了する。
【0065】その後、ステップS42でスタートしたt
VPCKタイマが“0”となって所定時間T4が経過す
ると、前記ステップS45の答が肯定(YES)とな
り、所定時間T4におけるKO2平均値KO2VPFが
算出されたとして、次のステップS49へ進む。ステッ
プS49では、前記変動基準値KO2STから該KO2
平均値KO2VPFを差し引いた値(KO2VPF値の
変動量)が所定閾値KO2CHKよりも大きいか否かを
判別し、その答が肯定(YES)のときには、多量の蒸
発燃料がパージされていると判断して、前記ステップS
47及びS48の処理を経て本ルーチンを終了する。ま
た、ステップS49の答が否定(NO)のときには、ス
テップS47をスキップしてステップS48を経て本ル
ーチンを終了する。CKO2カウンタをディクリメント
して(ステップS48)本ルーチンを終了する。そし
て、次回以降のステップS40の処理においては、その
答が肯定(YES)側に進み、前記ステップS36の処
理を経て本ルーチンを終了する。
【0066】一方、TWST≦TWEVPSTであって
前記ステップS37の答が否定(NO)となるときに
は、始動時のエンジン1が低水温にあると判断してステ
ップS50へ進む。そして、これ以降で述べる、始動時
のエンジン1が低水温にあった場合のKO2変動処理が
終了したことを“1”で示すフラグFKO2DONE1
が“1”であるか否かを判別し、最初はその答が否定
(NO)であるのでステップS51へ進む。
【0067】ステップS51では、現在のエンジン水温
TWが所定値TWAVEST以上であるか否かを判別す
る。現在もエンジン1が低水温のままである場合にはそ
の答が否定(NO)となり、前記ステップS36を経て
本ルーチンを終了する。また、現在のエンジン1が高水
温となってステップS51の答が肯定(YES)となっ
たときにはステップS52へ進む。
【0068】ステップS52では、前記フラグFPRG
ONが“1”か否かを判別し、その答が否定(NO)の
ときには、まだパージが許可されていないと判断して前
記ステップS42の処理を経て本ルーチンを終了し、そ
の答が肯定(YES)のときには、パージが許可された
と判断してステップS53へ進む。ステップS53で
は、実際にパージを行うべくフラグFPRGGOを
“1”に設定する。
【0069】続くステップS54では、前記ステップS
36でスタートしたtKO2CKタイマが“0”となっ
たか否かを判別し、所定時間T3の経過中はその答が否
定(NO)となり、前記フラグFKO2DONE1及び
前記フラグFKO2DONEをそれぞれ“1”に設定し
て(ステップS55)、本ルーチンを終了する。その
後、tKO2CK=0となって前記ステップS54の答
が肯定(YES)となったときには、前述した図8に示
すものと同様の手法で、KO2平均値KO2VPFの初
期化を行う(ステップS56)。
【0070】その後は、前述したステップS45〜ステ
ップS47及びステップS49と同様の処理を、ステッ
プS57〜ステップS60で行って、前記ステップS5
5の処理を経て本ルーチンを終了する。
【0071】以上の如く、上記のKO2変動モニタで
は、パージを実行したときのKO2値の変動量により、
蒸発燃料の発生量を検出するようにしている。
【0072】次に、キャニスタ側の負圧診断手法につい
て詳述する。
【0073】図9は、本実施例におけるキャニスタモニ
タの全体構成を示すフローチャートであり、図10は、
本実施例のキャニスタモニタにおけるパフロス弁22、
バイパス弁24、ドレンシャット弁26、パージ制御弁
30及びジェットパージ制御弁29の作動パターンとそ
のときのタンク内圧PTANKの推移を示す図である。
【0074】図9において、ステップS81では、後述
する前条件判断処理(図11)において前条件が成立し
たことを“1”で示すフラグFCANIMONが“1”
であるか否かを判別し、その答が肯定(YES)である
ときには、後述するサブルーチンに従って、排出抑止系
31を大気に開放する大気開放処理(ステップS82)
と、燃料タンク側まで負圧をかけないでキャニスタ側を
負圧するキャニスタ減圧処理(ステップS83)と、キ
ャニスタ減圧処理後においてキャニスタ側のみを独立さ
せてその状態を所定時間保持する内圧安定チェック(ス
テップS84)と、キャニスタ側のみのリークチェック
を行うキャニスタリークチェック(ステップS85)と
を順次実行して本ルーチンを終了する。これらの処理に
おける各弁の作動パターン及びその時のタンク内圧PT
ANKの推移は図10に示す通りであり、詳細は後述す
る各処理のサブルーチンと共に説明する。
【0075】一方、前条件が成立から不成立に移行して
前記ステップS81の答が否定(NO)となったときに
は、ステップS86へ進んで、前条件判断処理(図1
1)において前条件成立時に所定時間T5にセットされ
るtCANCELタイマが“0”であるか否かを判別す
る。最初はその答が否定(NO)であるので、ステップ
S87へ進む。
【0076】ステップS87では、バイパス弁24、パ
フロス弁22、ドレンシャット弁26、及びジェットパ
ージ制御弁29を開弁状態とすると共に、パージ制御弁
30を閉弁状態にして圧力キャンセルし、排出抑止系3
1を大気開放する。そして、続くステップS88へ進
み、前記ステップS82で行われる大気開放処理に要す
る所定時間T6をtATMOPタイマにセットすると共
に、キャニスタ側の減圧が終了したことを“1”で示す
フラグFCANIGENを“0”に設定して本ルーチン
を終了する。
【0077】その後、tCANCELタイマが“0”と
なり、所定時間T5が経過して前記ステップS86の答
が肯定(YES)となったときには、ステップS89へ
進み、バイパス弁24を閉弁し、パフロス弁22及びド
レンシャット弁26は開弁状態に維持し、さらに前記ス
テップS88の処理を経て本ルーチンを終了する。
【0078】ここで、前記ステップS86〜S89の処
理は、当該キャニスタモニタが終了したとき、あるいは
該モニタの前条件がモニタ途中で成立から不成立に移行
してモニタを途中で抜けたとき、この後に再度実行され
る上述のPTANKモニタで読み込まれるデータに悪影
響を与えることのないように、所定時間T5に亘ってモ
ニタを禁止して排出抑止系31を大気に開放するもので
ある。
【0079】図11は、前記ステップS81(図9)で
成立の有無が判別されるキャニスタモニタの前条件判断
処理を示すフローチャートである。
【0080】まず、ステップS91において、本実施例
における燃料タンク側及びキャニスタ側の異常診断処理
が終了したことを“1”で示すフラグFDONE90が
“0”であるか否かを判別する。最初はその答が肯定
(YES)であるので、ステップS92へ進み、タンク
モニタ(後述する)の前条件が成立していることを
“1”で示すフラグFTANKMONが“0”であるか
否かを判別する。フラグFTANKMONが“1”でそ
の答が否定(NO)となるときには、今回はタンクモニ
タ中であるため当該キャニスタモニタを支障なく行うこ
とができないと判断し、キャニスタモニタの前条件の成
立を“1”で示すフラグFCANIMONを“0”(前
条件不成立)に設定して(ステップS93)本ルーチン
を終了する。
【0081】前記フラグFTANKMONが“0”でス
テップS92の答が肯定(YES)となるときには、キ
ャニスタ側はリークがなく正常であることを“1”で示
すフラグFCANIOKが“0”か否かを判別し(ステ
ップS94)、最初はその答が肯定(YES)となって
ステップS95へ進む。ステップS95では、キャニス
タ側の減圧が終了したことを“1”で示すフラグCAN
IGENが“0”か否かを判別し、最初はその答が肯定
(YES)であるので、ステップS96へ進み、エンジ
ン1が所定の運転状態にあるか否かを判別する。該所定
の運転状態は、例えば、吸気温、冷却水温、スロットル
弁開度、吸気管内絶対圧がそれぞれ所定の中庸値範囲内
にある運転状態を云う。
【0082】前記ステップS96の答が肯定(YES)
であるときにはステップS97へ進む。ステップS97
では、キャニスタモニタ前のタンク内圧(初期圧)PC
ONが所定上限値PL1MH以下であり、大気開放後の
タンク内圧PATMが所定上限値PATMH以下である
か否かを判別し、その答が肯定(YES)のときには、
蒸発燃料の発生量は多くないと判断してステップS98
へ進む。ステップS98では、パージ積算流量DQPA
IRTが所定値QPTLMT以上か否かを判別し、その
答が肯定(YES)であるときには、キャニスタ25に
蓄積されている燃料蒸気量が多くなく、しかもパージが
促進されており、キャニスタモニタを実行しても空燃比
変動が大きくならないと判断してステップS99へ進
む。ここで、パージ積算流量DQPAIRTは、パージ
制御弁30の開度及びその前後の圧力差(差圧)PBG
に応じて算出されるパージ流量をエンジン始動時から積
算したものである。
【0083】一方、前記ステップS91、ステップS9
4、ステップS96、ステップS97、及びステップS
98の答のいずれかが否定(NO)であるときには、前
条件不成立であると判断して、tEVAPタイマを所定
時間T7にセットした後(ステップS100)、初期圧
PCONとして、今回読み込まれたタンク内圧PTAN
Kを設定すると共に、大気開放後のタンク内圧PATM
を“0”に設定し(ステップS101)、さらに前記フ
ラグFCANIMONを“0”に設定して(前条件不成
立)本ルーチンを終了する(ステップS93)。
【0084】ところで、上述したKO2変動モニタにお
いて、KO2値の変動量が所定閾値KO2CHKよりも
大きいときには、多量の蒸発燃料がパージされていると
判断して、前記フラグFKO2OKを“1”に設定する
と共に、積算流量DQPAIRTを“0”にリセットす
るようにした(図6のステップS47)。このように、
KO2変動モニタにおいてフラグFKO2OKが“1”
となるときは、積算流量DQPAIRTが“0”となる
ので、この時点から再び積算流量DQPAIRTが積算
されていくことになる。その一方でパージ積算流量DQ
PAIRTが所定値QPTLMT以上にならないとキャ
ニスタモニタの前条件が不成立となる。従って、フラグ
FKO2OKが“1”となった時点から前記テップS4
9の判別処理が行われるまでに、パージ積算流量DQP
AIRTが所定値QPTLMTに達していないときには
キャニスタモニタの前条件を不成立とすることができ
る。これにより、本実施例では、フラグFKO2OKが
“1”となる多量の蒸発燃料がパージされているときに
は、前条件不成立としてキャニスタモニタを禁止し、空
燃比が過度にリッチになることによる運転性及び排気エ
ミッション特性が悪化することを未然に防ぐようにして
いる。
【0085】ステップS99では、前記ステップS10
0で所定時間T7にセットされたtEVAPタイマが
“0”となったか否かを判別する。その答が肯定(YE
S)であるときには、先に示された各モニタ条件が所定
時間T7に亘って満たされて前条件が成立していると判
断し、前記フラグFCANIMONを“1”に設定する
と共に、前記図9に示すメインルーチンで示したtCA
NCELタイマを所定時間T5にセットして、本ルーチ
ンを終了する(ステップS102)。
【0086】また、前記ステップS99の答が否定(N
O)であるときには、前述の各モニタ条件が所定時間に
亘って満たされていなく前条件不成立と判断して、前記
ステップS101の処理を経て、前記フラグFCANI
MONを“0”に設定して本ルーチンを終了する(ステ
ップS93)。
【0087】その後、後述するサブルーチンの実行によ
り、キャニスタ側の減圧が終了したことを“1”で示す
前記フラグCANIGENが“1”となって前記ステッ
プS95の答が否定(NO)となったときには、前条件
が成立しているとして、前記ステップS96、ステップ
S97、ステップS98、及びステップS99をスキッ
プして、前記ステップS102へ進み、本ルーチンを終
了する。
【0088】図12は、前記ステップS82(図9)で
実行される大気開放処理を示すフローチャートである。
【0089】まず、ステップS111では、前記ステッ
プS88(図9)で所定時間T6にセットされたtAT
MOPタイマが“0”になっているか否かを判別する。
最初はその答は否定(NO)であるので、ステップS1
12へ進み、初期圧PCONが所定閾値PZERO以上
であるか否かを判別し、その答が肯定(YES)である
ときには、図10に示すように通常運転時のパージモー
ドにおいて、閉弁状態であったバイパス弁24を開弁状
態にすると共に、開弁状態にあったパフロス弁22及び
ドレンシャット弁26をそのままの状態に維持し(ステ
ップS113)、さらに通常運転時のパージモードにお
いて、開弁状態にあったパージ制御弁30を閉弁状態に
すると共にジェットパージ制御弁29をそのままの開弁
状態に維持して(ステップS114)排出抑止系31の
大気開放を行い、ステップS115へ進む。このとき、
図10の一点鎖線で示すように通常運転時のパージモー
ド時に例えば6mmHg程度の負圧にあったキャニスタ
内圧は、大気圧と等しくなる。また、図10の実線で示
すように通常運転時のパージモード時に例えば2mmH
g程度の正圧にあったタンク内圧(タンク内圧センサ1
1の出力)PTANKも、略大気圧と等しくなる。
【0090】一方、前記ステップS112の答が否定
(NO)であるときは、キャニスタモニタ前からキャニ
スタ側が負圧であったと判断して、当該大気開放処理を
パスすべくtATMOPタイマを“0”に設定し(ステ
ップS116)、ステップS115へ進む。ステップS
115では、次のキャニスタ減圧処理に要する所定時間
T8にtPRGタイマをセットし、本ルーチンを終了す
る。
【0091】図13及び図14は、前記ステップS83
(図9)で実行されるキャニスタ減圧処理を示すフロー
チャートである。
【0092】まず、ステップS121では、キャニスタ
側の減圧が終了したことを“1”で示すフラグFCAN
IGENが“0”であるか否かを判別し、最初はその答
が肯定(YES)であるのでステップS122へ進み、
前記ステップS115(図12)でキャニスタ減圧処理
に要する所定時間T8にセットされたtPRGタイマが
“0”であるか否かを判別する。最初はその答は否定
(NO)であるのでステップS123へ進み、図10に
示すようにバイパス弁24を開弁状態に維持すると共
に、パフロス弁22及びドレンシャット弁26を閉弁状
態にした後、続くステップS124において、今回、パ
ージ制御弁30で制御されるべきパージ流量QPFRQ
Eを、キャニスタ減圧流量QCANIからジェットパー
ジ制御弁29における流量QPJETを差し引いて算出
する。
【0093】そして、ステップS125では、前記ステ
ップS124で算出されたパージ流量QPFRQEが
“0”以上か否かを判別し、その答が肯定(YES)の
ときには、さらに該パージ流量QPFRQEが所定上限
値QPBLIM以下か否かを判別し(ステップS12
6)、その答が肯定(YES)のときにはステップS1
29へ進む。また、これらステップS125,S126
の答が否定(NO)のときには、ステップS127でQ
PFRQE値を下限値“0”に、ステップS128でQ
PFRQE値を所定上限値QPBLIMにそれぞれリミ
ット設定してステップS129へ進む。
【0094】これら前記ステップS124〜S128の
処理により、吸気負圧に応じたパージ制御弁30のデュ
ーディ比が算出でき、しかもこのデューディ比は、パー
ジ流量QPFRQEが前記上下限値の範囲内で一定に保
たれるように制御される。これにより当該キャニスタ減
圧処理中の空燃比の変動を小さくすることができる。
【0095】ステップS129では、前記デューディ比
に応じた開度でパージ制御弁30を開弁する共に、ジェ
ットパージ制御弁29は開弁状態を維持する(図10参
照)。その後、ステップS130へ進み、空燃比補正係
数KO2が所定閾値以上か否かを判別し、その答が否定
(NO)であるときには、かなり多量の蒸発燃料が発生
していて、KO2値がリーンリミットに向かって大きく
変動する恐れがあると判断し、ステップS131へ進
み、当該キャニスタモニタを禁止すべく上記ステップS
98(図11)で示したパージ積算流量DQPAIRT
を“0”に設定して本ルーチンを終了する。
【0096】前記ステップS130の答が肯定(YE
S)であるときには、蒸発燃料が発生量が小さく安定し
た空燃比の下で当該キャニスタモニタが実行できると判
断し、ステップS132へ進む。ステップS132で
は、現時点のタンク内圧PTANKを読込み、続くステ
ップS133でそのPTANK値が所定閾値PKO2以
下であるか否かを判別し、その答が肯定(YES)であ
るときには、パージ制御弁30を介して吸気管27への
混合気の供給(エアーフロー)があり、燃料蒸気がパー
ジされてキャニスタ側が負圧になっていると判断し、エ
アーフローがあったことを“1”で示すフラグFKO2
OKを“1”に設定する(ステップS134)。
【0097】そして、ステップS135において、タン
ク内圧PTANKがキャニスタ減圧目標値PLVL2
(但し、PKO2>PLVL2)よりも大きいか否かを
判別し、その答が否定(NO)である(例えば−30m
mHg;図10参照)ときには、キャニスタ側が負圧状
態になっていると判断し、従ってキャニスタ側の減圧は
終了したとして、前記フラグCANIGENを“1”に
設定した後(ステップS136)、tANTEIタイマ
を内圧安定チェックに要する所定時間T9にセットして
(ステップS137)本ルーチンを終了する。なお、こ
の時のキャニスタ25の内圧はタンク内圧センサ11の
出力値よりも更に負圧の例えば−53mmHg程度とな
っている(図10参照)。
【0098】本実施例の減圧処理では、燃料タンク側ま
で負圧にせずにキャニスタ側が負圧になった時点で終了
するので、短時間で減圧処理を行うことができる。
【0099】また、前記ステップS133の答が否定
(NO)、即ちPTANK>PKO2であるとき、また
はステップS135の答が肯定(YES)、即ちPTA
NK>PLVL2であるときには、そのまま前記ステッ
プS137の処理を経て本ルーチンを終了する。
【0100】この減圧処理中にtPRG=0となって前
記ステップS122の答が肯定(YES)となったとき
には、所定時間T8内でキャニスタ側をキャニスタ減圧
目標値PLVL2まで減圧することができなく、キャニ
スタ側に大規模なリークがあると判断し、キャニスタ側
にリークがあることを“1”で示すフラグFFSD9
0、及び負圧診断処理が終了したことを“1”で示す前
記フラグFDONE90をそれぞれ“1”に設定して
(ステップS138)キャニスタモニタを終了する。
【0101】図15は、前記ステップS84(図9)で
実行される内圧安定チェックを示すフローチャートであ
る。
【0102】まず、ステップS141では、前記ステッ
プS137(図14)で所定時間T9にセットされたt
ANTEIタイマが“0”となったか否かを判別する。
最初はその答が否定(NO)であるので、ステップS1
42へ進み、バイパス弁24を閉弁状態にすると共に、
パフロス弁22及びドレンシャット弁26を閉弁状態に
維持し、さらにステップS143において、パージ制御
弁30及びジェットパージ制御弁29を閉弁状態にし
て、パージ制御弁30及びジェットパージ制御弁29か
ら一方向弁21、二方向弁23及びバイパス弁24まで
のキャニスタ側を独立した状態にする。
【0103】この状態を当該内圧安定チェックが終了す
るまで維持してタンク内圧PTANKをPANTEIと
して読み込む(ステップS144)。この間、二方向弁
23から燃料タンク側の内圧である該PANTEI値は
略大気圧を示すが、キャニスタの内圧は53mmHg程
度の負圧に保持される(図10参照)。しかしながら、
キャニスタ側にリークが有るときには、図10の二点鎖
線で示したように上昇し、内圧安定チェックの終了時点
のキャニスタ内圧は略大気圧となっている。
【0104】次のステップS145では、タイマ+CA
NILEAKにキャニスタリークチェックに要する所定
時間tCANILEAKをセットする。その後、tAN
TEIタイマが“0”となって前記ステップS141の
答が肯定(YES)となると、当該内圧安定チェックが
終了したと判断して本ルーチンを終了する。
【0105】図16は、前記ステップS85(図9)で
実行されるキャニスタリークチェックを示すフローチャ
ートである。
【0106】まず、ステップS151では、前記ステッ
プS145(図15)で所定時間T10にセットされた
tCANILEAKタイマが“0”となったか否かを判
別し、最初はその答が否定(NO)であるのでステップ
S152以降へ進む。ステップS152,S153で
は、パフロス弁22、ドレンシャット弁26、ジェット
パージ制御弁29及びパージ制御弁30を閉弁状態に維
持しておき、バイパス弁24のみを開弁状態にする。
【0107】そして、上述の内圧安定チェックにおいて
読み込まれたPANTEI値から現時点のタンク内圧P
TANKを差し引いた値が所定閾値P1よりも大きいか
否かを判別し(ステップS154)、その答が肯定(Y
ES)のときには、キャニスタ側はリークがなく正常で
あると判断して前記フラグFCANIOKを“1”に設
定して(ステップS155)、本ルーチンを終了する。
【0108】すなわち、キャニスタ側にリークがない場
合は、上述したように内圧安定チェックにおいて、燃料
タンク側の内圧であるPANTEI値が略大気圧を示す
が、キャニスタ側の内圧は53mmHg程度の負圧に保
持されている。この状態で、前記ステップS152でバ
イパス弁24のみを開弁状態にすると、燃料タンク側と
キャニスタ側との圧力差が大きいため、双方の間に流れ
が生じてタンク内圧センサ11の近傍で負圧(例えば−
25mmHg;図10のA1参照)が生ずる。この負圧
A1が生じたときには、前記ステップS154の答が肯
定(YES)となるのである。本実施例では、タンク内
圧センサ11が燃料タンク9から離れた分岐部20a〜
20c側に取り付けられているので、この負圧A1の検
知を正確に行うことができる。
【0109】一方、キャニスタ側にリークが有るときに
は、内圧安定チェックの終了時点のキャニスタ内圧は略
大気圧となっているので、前述した負圧A1は生じな
い。従って、前記ステップS154の答が否定(N
O)、即ちPANTEI値から現時点のタンク内圧PT
ANKを差し引いた値が所定閾値P1よりも小さくな
る。
【0110】そして、内圧安定チェック中にtCANI
LEAK=0となると、ステップS151の答が否定
(NO)となり、ステップS156へ進んでキャニスタ
側にリークがあることを“1”で示すフラグFFSD9
0、及び負圧診断処理が終了したことを“1”で示す前
記フラグFDONE90をそれぞれ“1”に設定してキ
ャニスタモニタを終了する。
【0111】このように一連のキャニスタモニタが終了
した後は、通常運転時のパージモードに戻るべくバイパ
ス弁24を閉弁状態とし、さらにパフロス弁22、ドレ
ンシャット弁26、パージ制御弁30及びジェットパー
ジ制御弁29を開弁状態にする。
【0112】次に、燃料タンク側の負圧診断手法につい
て詳述する。
【0113】図17は、本実施例におけるタンクモニタ
の前条件断処理を示すフローチャートである。
【0114】まず、ステップS161において、本実施
例における燃料タンク側及びキャニスタ側の異常診断処
理が終了したことを“1”で示すフラグFDOME90
が“0”であるか否かを判別する。最初はその答が肯定
(YES)であるので、ステップS162へ進み、上記
のキャニスタモニタの前条件が成立していることを
“1”で示すフラグFCANIMONが“0”であるか
否かを判別する。フラグFCANIMONが“1”でそ
の答が否定(NO)となるときには、今回はキャニスタ
モニタ中であるため当該タンクモニタを支障なく行うこ
とができないと判断し、タンクモニタの前条件の成立を
“1”で示すフラグFTANKMONを“0”(前条件
不成立)に設定して(ステップS163)本ルーチンを
終了する。
【0115】前記フラグFCANIMONが“0”でス
テップS162の答が肯定(YES)となるときには、
燃料タンク側にはリークがなく正常であることを“1”
で示すフラグFTANKOKが“0”か否かを判別し
(ステップS164)、最初はその答が肯定(YES)
となってステップS165へ進み、当該蒸発燃料処理装
置の異常診断処理以外の他の故障診断処理が実行されて
いないか否かを判別する。その答が肯定(YES)のと
きには、当該タンクモニタを実施しても他の故障診断処
理に悪影響を及ぼす恐れがないと判断して、続くステッ
プS166へ進む。ステップS166ではエンジン1が
前記所定の運転状態にあるか否かを判別し、その答が肯
定(YES)のときにはステップS167へ進む。
【0116】前記ステップS161,S164〜S16
6のいずれかの答が否定(NO)となるときには、タン
クモニタ前のタンク内圧(初期圧)PCON1を、今回
読み込まれたタンク内圧PTANKに設定すると共に、
大気開放後のタンク内圧PATM1を“0”に設定し
(ステップS168)、さらに前記フラグFTAMKM
ONを“0”に設定して(前条件不成立)本ルーチンを
終了する(ステップS163)。
【0117】ステップS167では、後述するタンク減
圧処理が終了したことを“1”で示すフラグFPLVL
が“1”であるか否かを判別し、最初はその答が否定
(NO)となり、続くステップS169で、初期圧PC
ON1が所定上限値PL1MH以下であり、大気開放後
のタンク内圧PATMが所定上限値PATMH以下であ
るか否かを判別し、その答が肯定(YES)のときに
は、蒸発燃料の発生量は多くないと判断してステップS
170へ進む。
【0118】ステップS170では、パージ積算流量D
QPAIRTが所定値QPTLMT以上か否かを判別
し、その答が肯定(YES)であるときには、キャニス
タ25に蓄積されている燃料蒸気量が多くなく、しかも
パージが促進されており、タンクモニタを実行しても空
燃比変動が大きくならないと判断し、ステップS171
へ進んでフラグFTANKMONを“1”に設定する
(前条件成立)。またステップS170の答が否定(N
O)のときには、前記ステップS168の処理を経て、
前記ステップS163でフラグFTANKMONを
“0”に設定して(前条件不成立)本ルーチンを終了す
る。
【0119】ところで、上述したKO2変動モニタにお
いて、KO2値の変動量が所定閾値KO2CHKよりも
大きいときには、多量の蒸発燃料がパージされていると
判断して、前記フラグFKO2OKを“1”に設定する
と共に、積算流量DQPAIRTを“0”にリセットす
るようにした(図6ステップS47)。このように、K
O2変動モニタにおいてフラグFKO2OKが“1”と
なるときは、積算流量DQPAIRTが“0”となるの
で、この時点から再び積算流量DQPAIRTが積算さ
れていくことになる。その一方でパージ積算流量DQP
AIRTが所定値QPTLMT以上にならないと当該タ
ンクモニタの前条件が不成立となる。従って、フラグF
KO2OKが“1”となった時点から前記テップS17
0の判別処理が行われるまでに、パージ積算流量DQP
AIRTが所定値QPTLMTに達していないときには
タンクモニタの前条件を不成立とすることができる。こ
れにより、本実施例では、フラグFKO2OKが“1”
となる多量の蒸発燃料がパージされているときには、前
条件不成立としてタンクモニタを禁止し、空燃比が過度
にリッチになることによる運転性及び排気エミッション
特性が悪化することを未然に防ぐようにしている。
【0120】図18及び図19は、本実施例のタンクモ
ニタの全体構成を示すフローチャートである。
【0121】まず、ステップS181では、前述した前
条件断処理で前条件が成立してフラグFTANKMON
が“1”となったか否かを判別し、その答が否定(N
O)のときには、後に実施される大気開放処理に要する
所定時間T11にtATMOPタイマをセットしてスタ
ートさせると共に(ステップS182)、後述するフィ
ードバック減圧処理を実行することを“1”で示すフラ
グFPFBを“0”に設定し(ステップS183)、通
常パージモードへ戻って本ルーチンを終了する(ステッ
プS184;図19)。
【0122】一方、ステップS181の答が肯定(YE
S)のときには、ステップS185へ進み、前記tAT
MOPタイマが“0”か否かを判別し、最初はその答が
否定(NO)であるので、ステップS186へ進み、初
期値PCON1が所定閾値PZERO以上であるか否か
を判別する。その答が肯定(YES)であるときには、
ステップS187へ進み、排出抑止系31を大気に開放
すべく、バイパス弁24、パフロス弁22、及びドレン
シャット弁26を開弁状態にすると共に、パージ制御弁
30を閉弁状態にし、且つジェットパージ制御弁28を
開弁状態にする。そして、続くステップS188で、後
に実施されるタンク減圧処理に要する所定時間T12に
tPRG1タイマをセットしてスタートさせて本ルーチ
ンを終了する。
【0123】また、前記ステップS186の答が否定
(NO)であるときには、既に燃料タンク側が負圧にあ
ると判断して、大気開放処理をパスしてtATMOPタ
イマを“0”に設定した後(ステップS189)、前記
ステップS188の処理を経て本ルーチンを終了する。
【0124】tATMOP=0となり前記ステップS1
85の答が肯定(YES)となるときには、ステップS
190で大気開放後のタンク内圧PATMを現在のタン
ク内圧PTANKに設定し、続くステップS191で、
前記フラグFPLVLが“1”であるか否かを判別し、
最初はタンク減圧処理を終了していないのでその答が否
定(NO)となり、タンク減圧処理を行うべくステップ
S192,S193へ進む。
【0125】ステップS192では、前記tPRG1タ
イマが“0”か否かを判別する。最初はその答が否定
(NO)となるので、ステップS193へ進み、図20
及び図21のフローチャートに従ってタンク減圧処理を
実施する。
【0126】本実施例では、タンク内圧センサ11を燃
料タンク9内に取り付けず、エンジンルーム内の分岐部
20a〜20c側のチャージ通路20に取り付けるよう
にしたので、減圧中に圧力損失によってタンク内圧セン
サ11の出力値と実際の燃料タンク内圧力と差が大きく
なる。従って、正確に燃料タンク内圧力を検出すること
ができず、燃料タンク9を正確に目標圧力まで減圧でき
ない恐れがある。
【0127】そこで、本実施例のタンク減圧処理では、
図20及び図21のフローチャートに示す手法によりタ
ンク内圧センサ11の出力値に基づいて燃料タンク9内
の圧力を推定し、これによって燃料タンク9を目標圧力
まで正確に減圧させるようにしている。
【0128】図20のステップS221では、バイパス
弁24を開弁状態にし、且つパフロス弁22及びドレン
シャット弁26を閉弁状態にする。その後、ステップS
222へ進み、PTANK値がその下限値を下まわって
おり減圧目標POBJがその上限値側であることを
“1”で示すフラグFPOBJが“1”であるか否かを
判別する。最初は略大気圧値を示しているのでその答が
否定(NO)となり、ステップS223へ進み、現在の
タンク内圧PTANKが減圧目標POBJの下限値PO
BJLよりも小さいか否かを判別する。このときも最初
はその答が否定(NO)となるので、続くステップS2
24へ進む。
【0129】ステップS224では、PTANK値が下
限値POBJLを一度下まわったときに“1”に設定さ
れるフラグFPFBが“1”であるか否かを判別する。
最初はその答が否定(NO)であるので、オープン減圧
処理を行うべくステップS225へ進む。ステップS2
25では、予めECU5の記憶手段に記憶されている目
標流量テーブルを検索して、目標パージ流量QEVAP
を現在のタンク内圧PTANKに応じて決定する。ここ
で、この目標流量テーブルは、PTANK値が大きくほ
ど大きい値に設定されている。
【0130】続いてステップS226で、タンク内圧P
TANKが前記下限値POBJLよりも小さいか否かを
判別し、最初はその答が否定(NO)であるので、ステ
ップS227(図21)へ進む。なお、オープン減圧処
理中の減圧目標POBJの下限値POBJLは、後述す
るフィードバック(F/B)減圧処理時で使用されるP
OBJLテーブルのCFB(カウンタ)=0の値に設定
されている。
【0131】ステップS227では、今回、パージ制御
弁30で制御されるべきパージ流量QPFRQEを、前
記ステップS225で検索された目標パージ流量QEV
APからジェットパージ制御弁29における流量QPJ
ETを差し引いて算出する。続くステップS228で
は、前記ステップS227で算出されたパージ流量QP
FRQEが“0”以上か否かを判別し、その答が肯定
(YES)のときには、さらに該パージ流量QPFRQ
Eが所定上限値QPBLIM以下か否かを判別し(ステ
ップS229)、その答が肯定(YES)のときには、
0≦QPFRQE≦QPBLIMが成立するとしてステ
ップS230へ進む。
【0132】また、これらステップS228,S229
の答が否定(NO)のときには、ステップS231でQ
PFRQE値を下限値“0”に、ステップS232でQ
PFRQE値を所定上限値QPBLIMにそれぞれリミ
ット設定してステップS230へ進む。
【0133】これらの処理により、吸気負圧に応じたパ
ージ制御弁30のデューディ比が算出でき、しかもこの
デューディ比は、パージ流量QPFRQEが前記上下限
値の範囲内で一定に保たれるように制御される。これに
より当該タンク減圧処理中の空燃比の変動を小さくする
ことができる。
【0134】ステップS230では、前記デューディ比
に応じた開度でパージ制御弁30を開弁する共に、ジェ
ットパージ制御弁29は開弁状態を維持する。その後、
ステップS233へ進み、空燃比補正係数KO2が所定
閾値EVPLMT以上か否かを判別し、その答が否定
(NO)であるときには、かなり多量の蒸発燃料が発生
していて、KO2値がリーンリミットに向かって大きく
変動する恐れがあると判断し、ステップS234へ進
み、当該タンクモニタを禁止すべくパージ積算流量DQ
PAIRTを“0”にリセットして本ルーチンを終了す
る。
【0135】前記ステップS233の答が肯定(YE
S)であるときには、蒸発燃料が発生量が小さく安定し
た空燃比の下で当該タンクモニタが実行できると判断
し、ステップS235へ進む。ステップS235ではそ
のPTANK値が所定閾値PKO2以下であるか否かを
判別し、その答が肯定(YES)であるときには、燃料
蒸気がパージされて燃料タンク側が負圧になっていると
判断し、エアーフローがあったことを“1”で示すフラ
グFKO2OKを“1”に設定して(ステップS23
6)、ステップS237へ進む。
【0136】そして、ステップS237では、後述する
F/B減圧処理時にスタートされるtPFBSTタイマ
が“0”になっているか否かを判別し、最初はオープン
減圧処理中であるのでその答が否定(NO)となり、本
ルーチンを終了する。
【0137】その後、タンク減圧処理中に、PTANK
<POBJLが成立して前記ステップS223(図2
0)の答が肯定(YES)となったときには、前記フラ
グFPOBJを“1”に設定する(ステップS24
0)。さらに、前記ステップS224及びステップS2
25の処理を経てステップS226の答が肯定(YE
S)となり、ステップS241へ進む。ステップS24
1では、前記フラグFPFBを“1”に設定すると共
に、目標パージ流量QEVAPを後述するF/B減圧処
理時のQEVAP値の初期値QEVAPSTとし、且つ
前記フラグFPOBJの反転回数をカウントするCFB
カウンタを“0”に設定する。次いで、前記ステップS
227〜ステップS237の処理を経てオープン減圧処
理を終了する。この時点は、図23の時刻t1に相当
し、PTANK値が下限値POBJLよりも小さくなる
まで減圧されている。
【0138】次回からは、前記フラグFPFBが“1”
となってステップS224の答が肯定(YES)とな
り、図22に示すフローチャートに従ってF/B減圧処
理を行う(ステップS250)。
【0139】図22のステップS251では、前記フラ
グFPOBJが“1”か否かを判別し、前記ステップS
240でFPOBJ=1となったので、最初はその答が
肯定(YES)となってステップS252へ進む。ステ
ップS252では、減圧目標POBJ値を前記上限値P
OBJHに設定する。続くステップS253では、F/
B減圧処理に入ってからフラグFPOBJが反転したか
否かを判別し、最初はその答が否定(NO)であるの
で、ステップS254へ進み、目標パージ流量QEVA
Pを減少させるべく次式(2)の値に設定する。
【0140】 QEVAP=QEVAP+IQ×(PTANK−POBJ)……(2) ここで、数式(2)中のIQは、パージ流量I(積分)
項である。
【0141】次いで、ステップS255へ進んで、後述
するPOBJLテーブル検索用のCFBカウンタをイン
クリメントした後、続くステップS256で目標パージ
流量QEVAPがその下限値QEVAPLよりも大きい
か否かを判別する。その答が肯定(YES)であるとき
にはステップS257へ進み、目標パージ流量QEVA
Pがその上限値QEVAPHより小さいか否かを判別
し、その答が肯定(YES)であるときには、QEVA
PL<QEVAP<QEVAPH、が成立するとしてQ
EVAP値リミット貼付き経過時間計測用のtPFBS
Tタイマを所定時間T13にセットしてスタートさせ
(ステップS258)、本ルーチンを終了する。
【0142】一方、前記ステップS256の答が否定
(NO)であるときには、目標パージ流量QEVAPを
その下限値QEVAPLに、また前記ステップS257
の答が否定(NO)であるときには、目標パージ流量Q
EVAPをその上限値QEVAPHにそれぞれリミット
設定して当該F/B減圧処理を終了する。そして、図2
1に戻り、前記同様にステップS227〜S237の処
理を経て本ルーチンを終了する。
【0143】その後は、前記フラグFPOBJが“1”
となっているので、前記ステップS222の答が肯定
(YES)となり、ステップS270へ進む。ステップ
S270では、現在のタンク内圧PTANKが減圧目標
の上限値POBJHより大きいか否かを判別し、最初は
PTANK<POBJHであってその答が否定(NO)
であるので、PTANK>POBJHとなるまで、前記
ステップS224以降の処理を繰り返す。
【0144】PTANK>POBJHとなって前記ステ
ップS270の答が肯定(YES)となると(図23の
時刻t2)、ステップS271へ進み、前記フラグFP
OBJを“0”に戻す。その結果、その後のF/B減圧
処理において、前記ステップS251(図22)の答が
否定(NO)となり、ステップS272へ進む。ステッ
プS272では、予めECU5の記憶手段に記憶されて
いるPOBJLテーブルを検索して、減圧目標POBJ
の下限値POBJLをCFBカウンタのカウンタ値(フ
ラグFPOBJの反転回数)に応じて決定し、その決定
された下限値POBJLを減圧目標POBJとする。こ
のPOBJLテーブルのPOBJL値は、CFBカウン
タのカウンタ値が大きくなるに従って上限値POBJH
に近づくように小さい値に設定されている。
【0145】そして、続くステップS253の答は肯定
(YES)となるので、ステップS273へ進み、FP
OBJ=0であるか否かを判別する。今回はその答が肯
定(YES)となるので、ステップS274へ進み、目
標パージ流量QEVAPを増加すべく次式(3)の値に
設定する。
【0146】QEVAP=QEVAP+PQ……(3) ここで、数式(3)中のPQは、パージ流量P(比例)
項である。
【0147】その後は、前記ステップS255以降の処
理を繰り返し実行し、そして次回以降のループでフラグ
FPOBJが反転して再びFPOBJ=1になったとき
には、(この時点は、図23のP3に示す時点に相当す
る)前記ステップS273の答が否定(NO)となり、
ステップS280へ進み、目標パージ流量QEVAPを
減少すべく次式(4)の値に設定する。
【0148】QEVAP=QEVAP−PQ……(4) そして、前記ステップS255以降の処理を繰り返し実
行し、次回以降のループでtPFBST=0となって前
記ステップS237の答が肯定(YES)となったとき
には(図23の時刻t4)、前記フラグFPOBJの反
転が所定時間T13に亘って行われてなく、その結果、
QEVAP値がリミット貼付ついてから所定時間T13
経過したと判断して、ステップS281へ進み、当該タ
ンク減圧処理が終了したことを“1”で示すフラグFP
LVLを“1”に設定して当該タンク減圧処理を終了す
る。
【0149】このように本実施例のタンク減圧処理で
は、オープン減圧処理の次に実施されるF/B減圧処理
で、タンク内圧センサ11の出力値PTANKよってパ
ージ流量を増減し、その際、減圧目標POBJの下限値
POBJLを小さく変えていくことにより、PTANK
値の振幅を減少させ、最終的にPTANK値を減圧目標
値に収束させる。この間、パージ流量は、全体として漸
減し、PTANK値が減圧目標値に収束する時は下限値
QEVAPLで一定となる。こうして、パージ流量を増
減しながらパージ流量を漸減させていくので、減圧中の
圧力損失がなくなり、よってPTANK値が減圧目標値
に収束するときにはタンク内圧センサ11の出力値PA
NKと実際の燃料タンク内圧力と差が略0となってい
る。これにより、減圧目標値に収束した時のPTANK
値が燃料タンク9の内圧と等しいと推定され、正確に減
圧目標値に減圧される。なお、図23中のP1は燃料タ
ンク9の推定内圧を示すものである。
【0150】図19に戻り、前記タンク減圧処理の終了
後、ステップS291へ進み、パージ積算流量DQPA
IRTが“0”か否かを判別する。前記ステップS19
3のタンク減圧処理中に、パージ積算流量DQPAIR
Tが“0”にリセットされたときには(図21のステッ
プS234)その答が肯定(YES)となり、本ルーチ
ンを終了する。このときには、その後のループで図17
の前記ステップS170の答が否定(NO)となり、タ
ンクモニタの前条件不成立となる。
【0151】前記ステップS291の答が否定(NO)
のときには、この後に実施されるリークダウンチェック
に要する所定時間T14をtLEAKタイマにセットし
てスタートさせ(ステップS292)、さらに、このと
き計測されたPTANKをPCLSとして記憶する(ス
テップS293)。
【0152】上記したタンク減圧処理が正常に行われる
と、FPLVL=1となって前記ステップS191の答
が肯定(YES)となるので、ステップS301へ進
む。なお、タンク減圧処理中にtPRG1=0となって
前記ステップS192の答が肯定(YES)となったと
きには、所定時間T12内に減圧処理が終了しなかった
ことを意味するので、リークの可能性があると判断して
リークダウンチェックを省略すべくtLEAK=0に設
定して(ステップS294)ステップS301(図1
9)へ進む。
【0153】ステップS301では、tLEAK=0か
否かを判別する。タンク減圧処理が正常に行われた場合
には、最初はその答が否定(NO)となるので、ステッ
プS302に進み、燃料タンク側1をリークダウンチェ
ックモードに設定する。すなわち、バイパス弁24、ジ
ェットパージ制御弁29及びパージ制御弁30を閉弁
し、パフロス弁22及びドレンシャット弁26は閉弁の
状態を維持してタンク内圧PTANKを計測し、この時
計測されたPTANKをPLEAKとして記憶する。
【0154】そして、計測したPLEAKに基づいて、
次式によりリークダウンチェック中における単位時間当
たりのタンク内圧PTANKの変動量PVARIBを算
出する(ステップS303)。
【0155】 PVARIB=(PLEAK−PCLS)/tLEAK さらに、後述する圧力キャンセル処理に要する時間を計
測するためのtCANCELタイマに所定時間T15を
セットして(ステップS304)本ルーチンを終了す
る。
【0156】一方、ステップS301の答が肯定(YE
S)になるときには、ステップS305へ進み、フラグ
FNGKUSAが“1”か否かを判別する。その答が否
定(NO)であるときは、ステップS306へ進んで前
記tCANCELタイマ1が“0”か否かを判別する。
最初はその答が否定(NO)であるので、ステップS3
07へ進み圧力キャンセル処理を行う。すなわち、パフ
ロス弁22及びパージ制御弁30を閉弁状態に維持し、
バイパス弁24、ドレンシャット弁26及びジェットパ
ージ制御弁29を開弁して排出抑止系31を略大気圧と
し、この時のタンク内圧PTANKをPATM1として
記憶する。そして、後述する補正用正圧チェックに要す
る時間を計測するためのtHOSEIタイマに所定時間
T16をセットして(ステップS308)本ルーチンを
終了する。
【0157】前記ステップS306の答が肯定(YE
S)となったときは、ステップS309へ進み、前記t
HOSEIタイマが“0”になったか否かを判別する。
最初はその答が否定(NO)であるので、ステップS3
10へ進んで補正用正圧チェックを行って本ルーチンを
終了する。この補正用正圧チェックでは、バイパス弁2
4を閉弁し、パフロス弁22及びパージ制御弁30を閉
弁状態に維持し、ドレンシャット弁26及びジェットパ
ージ制御弁29を開弁状態に維持し、その時のタンク内
圧PTANKをPENDとして記憶する。そして、PE
NDに基づいて、次式により補正用正圧チェック中にお
ける単位時間当たりのタンク内圧PTANKの変動量P
VARICを算出する(ステップS311)。
【0158】PVARIC=(PEND−PATM1)
/tHOSEI そして、前記ステップS309の答が肯定(YES)に
なったときは、ステップS312へ進んで後述する異常
診断処理を行う。
【0159】また、前記ステップS305の答が肯定
(YES)、即ちフラグFNGKUSAが“1”のとき
は、前述した圧力キャンセル処理及び補正用正圧チェッ
クを省略してPVARICを“0”に設定した後(ステ
ップS313)、前記ステップS312で異常判定処理
を行う。すなわち、フラグFNGKUSAが“1”のと
きは、前述したように大気圧近傍で固定状態にあり、補
正用正圧チェックの必要性がないため、圧力キャンセル
処理及び補正用正圧チェックを省略するのである。その
後は、パフロス弁22及びパージ制御弁30を開弁状態
に設定し、バイパス弁24は閉弁状態に、ドレンシャッ
ト弁26及びジェットパージ制御弁29を開弁状態に維
持して通常のパージモードに戻る(ステップS18
4)。
【0160】図24は、前記ステップS312(図1
9)で実行される異常判定処理を示すフローチャートで
ある。
【0161】まず、ステップS321では、前記タンク
減圧処理が所定時間T12内で完了したことを“1”で
示すフラグFPLVLが“1”か否かを判別する。その
答が肯定(YES)のときはステップS322へ進み、
PVARIBからKEVAP×PVARICを差引いた
値が所定値PVARIO以下であるか否かを判別し、そ
の答が肯定(YES)であるときは燃料タンク側が正常
であると判断してフラグFTANKOKを“1”に設定
し(ステップS323)、負圧診断処理が終了したこと
を“1”で示す前記フラグFDONE90を“1”に設
定して(ステップS324)本ルーチンを終了する。こ
こで、KEVAPは、当該モニタの減圧目標値に応じて
決定される係数であり、KEVAPテーブル(図示省
略)により減圧目標値が大きくなるに従って大きく設定
されている。これは、燃料タンク内の圧力によって蒸発
燃料の発生度合が変化するので、これを考慮して、減圧
目標値に応じて判定レベルを補正する必要があるために
付加されている。すなわち、PVARIBはリークダウ
ンチェック時における負圧状態(減圧目標値)からのタ
ンク内圧PTANKの変動量を示し、PVARICは、
補正用正圧チェック時における大気圧からのタンク内圧
PTANKの変動を示すものであり、燃料タンクの圧力
が高くなるほど蒸発燃料の発生は抑制されることから、
リークダウンチェック時と補正用正圧チェック時とでは
蒸発燃料の発生度合が異なる。本実施例では、この点を
考慮して係数KEVAPを付加して異常判定を行うの
で、判定精度が向上する。
【0162】前記ステップS322の答が否定(NO)
であるときは燃料タンク側にリークが発生していると判
断して異常と確定し(ステップS325)、さらにフラ
グFDONE90を“1”に設定して(ステップS32
4)本ルーチンを終了する。
【0163】一方、前記ステップS321の答が否定
(NO)、即ちフラグFPLVLが“0”のときはPV
ARICが前記所定値PVARIOよりも大きいか否か
を判別する(ステップS326)。その答が否定(N
O)のときは前記ステップS325へ進んで燃料タンク
側の異常を検出してフラグFFSD90を“1”とし前
記ステップS324の処理を経て本ルーチンを終了す
る。また、前記ステップS76の答が肯定(YES)の
ときは、そのまま前記ステップS324の処理を経て本
ルーチンを終了する。
【0164】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、蒸発燃料処理手段内の圧力を検出する圧力検出手段
と、第1の制御弁を開弁し、第2の制御弁を閉弁して蒸
発燃料処理手段内を負圧状態に減圧する減圧手段と、こ
の減圧手段を作動させて蒸発燃料処理手段の異常を検出
する異常検出手段と、エンジンの排気系に設けられ排気
中の特定成分濃度を検出する排気センサと、第1の制御
弁を開弁したときの排気濃度センサの出力に応じて蒸発
燃料処理手段内の蒸発燃料量を検出する蒸発燃料量検出
手段と、この蒸発燃料量検出手段により検出された蒸発
燃料量が所定量より多いときに、吸気系にパージされた
蒸発燃料の積算流量が所定値に達するまで異常検出手段
の作動を制限する制限手段とを備えたので、蒸発燃料の
エンジン吸気系への供給による運転性及び排気エミッシ
ョン特性の悪化を防止することができ、しかも高精度に
蒸発燃料処理手段の異常を検出することができると共
に、蒸発燃料量検出手段により検出された蒸発燃料量が
所定量より多いと判断されたときにでも、吸気系にパー
ジされた蒸発燃料の積算流量が所定値に達するまで、即
ち、蒸発燃料処理手段(キャニスタ)内の蒸発燃料量が
多くなく、しかもパージが促進されている状態になるま
で異常検出手段の作動を適切に制限するようにしたの
で、異常検出処理時の空燃比の変動や過度のリッチ化に
よる運転性及び排気エミッション特性の悪化を確実に
止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の蒸発燃料処理装置の全体構成
図である。
【図2】PTANKモニタを示すフローチャートであ
る。
【図3】図2の続きのフローチャートである。
【図4】図2及び図3の続くのフローチャートである。
【図5】KO2変動モニタを示すフローチャートであ
る。
【図6】図5の続きのフローチャートである。
【図7】図5及び図6の続きのフローチャートである。
【図8】KO2平均値の初期化処理を示すフローチャー
トである。
【図9】キャニスタモニタの全体構成を示すフローチャ
ートである。
【図10】キャニスタモニタ時の弁の作動状態及びタン
ク内圧PTANKの推移を示す図である。
【図11】キャニスタモニタの前条件処理を示すフロー
チャートである。
【図12】キャニスタモニタの大気解放処理を示すフロ
ーチャートである。
【図13】キャニスタモニタのキャニスタ減圧処理を示
すフローチャートである。
【図14】図13の続きのフローチャートである。
【図15】キャニスタモニタの内圧安定チェックを示す
フローチャートである。
【図16】キャニスタモニタのキャニスタリークチェッ
クを示すフローチャートである。
【図17】タンクモニタの前条件を示すフローチャート
である。
【図18】タンクモニタの全体構成を示すフローチャー
トである。
【図19】図18の続きのフローチャートである。
【図20】タンク減圧処理を示すフローチャートであ
る。
【図21】図20の続きのフローチャートである。
【図22】F/B減圧処理を示すローチャートである。
【図23】タンク減圧処理時のタイミングチャートであ
る。
【図24】タンクモニタの異常判定処理を示すフローチ
ャートである。
【符号の説明】
1 内燃エンジン 2 吸気管 5 ECU 9 燃料タンク 11 タンク内圧センサ 20 チャージ通路 22 パフロス弁 24 バイパス弁 26 ドレンシャット弁 29 ジェットパージ制御弁 30 パージ制御弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 関 康成 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 平6−241128(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02M 25/08 F02M 25/08 301

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料タンクと、該燃料タンク内に発生す
    る蒸発燃料を吸着するキャニスタと、該キャニスタと前
    記燃料タンクとを連通するチャージ通路と、前記キャニ
    スタと内燃エンジンの吸気系とを連通し、前記キャニス
    タに吸着された蒸発燃料を前記吸気系にパージするパー
    ジ通路と、前記キャニスタを大気に開放する大気通路
    と、前記パージ通路を開閉する第1の制御弁と、前記大
    気通路を開閉する第2の制御弁とを有する蒸発燃料処理
    手段、前記蒸発燃料処理手段内の圧力を検出する圧力検
    出手段、及び前記第1の制御弁を開弁し、前記第2の制
    御弁を閉弁して前記蒸発燃料処理手段内を負圧状態に減
    圧する減圧手段を含み、前記圧力検出手段によって検出
    された圧力により前記蒸発燃料処理手段の異常を検出す
    る異常検出手段を備えた内燃エンジンの蒸発燃料処理装
    置において 前記 エンジンの排気系に設けられ排気中の特定成分濃度
    を検出する排気濃度センサと、 前記第1の制御弁を開弁したときの前記排気濃度センサ
    の出力に応じて前記蒸発燃料処理手段内の蒸発燃料量を
    検出する蒸発燃料量検出手段と、 前記蒸発燃料量検出手段により検出された蒸発燃料量が
    所定量より多いときに、前記吸気系にパージされた蒸発
    燃料の積算流量が所定値に達するまで前記異常検出手段
    の作動を制限する制限手段とを備えたことを特徴とする
    内燃エンジンの蒸発燃料処理装置。
  2. 【請求項2】 前記蒸発燃料量検出手段は、前記排気濃
    度センサの出力に基づいて算出されエンジンへ供給され
    る燃料量を補正する空燃比補正係数により、前記蒸発燃
    料処理手段内の蒸発燃料量を検出するように構成され、 前記制限手段は、前記空燃比補正係数が所定値より小さ
    いときに、前記積算流量が前記所定値に達するまで前記
    異常検出手段の作動を制限することを特徴とする請求項
    1記載の内燃エンジンの蒸発燃料処理装置。
  3. 【請求項3】 前記蒸発燃料量検出手段は、前記排気濃
    度センサの出力に基づいて算出されエンジンへ供給され
    る燃料量を補正する空燃比補正係数の平均値により、前
    記蒸発燃料処理手段内の蒸発燃料量を検出するように構
    成され、 前記制限手段は、前記空燃比補正係数の平均値が所定値
    より小さいときに、前 記積算流量が前記所定値に達する
    まで前記異常検出手段の作動を制限することを特徴とす
    る請求項1記載の内燃エンジンの蒸発燃料処理装置。
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