JP3322868B1 - 不織布用繊維と不織布及びこれらの製造方法 - Google Patents

不織布用繊維と不織布及びこれらの製造方法

Info

Publication number
JP3322868B1
JP3322868B1 JP2002012065A JP2002012065A JP3322868B1 JP 3322868 B1 JP3322868 B1 JP 3322868B1 JP 2002012065 A JP2002012065 A JP 2002012065A JP 2002012065 A JP2002012065 A JP 2002012065A JP 3322868 B1 JP3322868 B1 JP 3322868B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nonwoven fabric
sheath
fiber
undrawn yarn
web
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002012065A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003119625A (ja
Inventor
梶田篤史
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube-Nitto Kasei Co Ltd
Original Assignee
Ube-Nitto Kasei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube-Nitto Kasei Co Ltd filed Critical Ube-Nitto Kasei Co Ltd
Priority to JP2002012065A priority Critical patent/JP3322868B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3322868B1 publication Critical patent/JP3322868B1/ja
Priority to TW92101291A priority patent/TWI285689B/zh
Publication of JP2003119625A publication Critical patent/JP2003119625A/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

【要約】 【課題】 溶融紡糸して得られる鞘芯型複合繊維を未延
伸状態で形成した不織布用繊維と該不織布用繊維からな
るウエッブを熱融着して得られる強度及び嵩高性に優れ
る不織布及びこれらの製造方法を提供すること。 【解決手段】 低融点のポリプロピレン系共重合体から
なる鞘部と、高融点のアイソタチックポリプロピレンか
らなる芯部と、から構成される鞘芯型複合繊維を溶融紡
糸して得られる未延伸糸に捲縮が施こされ、短繊維に切
断された構成を備える不織布用繊維Fと該不織布用繊維
Fから形成される不織布Nを提供し、また、前記鞘芯型
複合繊維を溶融紡糸して未延伸糸を得る未延伸糸形成工
程Pと、前記未延伸糸の捲縮工程Pと、捲縮された
未延伸糸を切断して短繊維とする切断工程Pと、を備
える不織布用繊維の製造方法、工程P〜Pの工程に
より得られた単糸を用いてウエッブWを形成するウエッ
ブ形成工程Pと、前記ウエッブWを熱風融着する加熱
処理工程Pと、を備える不織布の製造方法を提供す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融紡糸して得ら
れた鞘芯型複合繊維を未延伸状態で捲縮、切断して得ら
れる短繊維状の不織布用繊維と、該繊維から形成された
ウエッブを加熱処理して得られる不織布及びこれらの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、不織布の製造に用いられる、低
融点成分からなる鞘部と高融点成分からなる芯部とから
構成された熱融着性の鞘芯型複合繊維から形成された短
繊維状の不織布用繊維(ステープルファイバー)は、溶
融紡糸機で溶融紡糸された後、延伸工程を経て適度な強
伸度が付与され、用途に応じた繊維長に切断されて形成
される。また、繊維と繊維の絡み合いを充分なものと
し、シート状のウエッブを形成し易くするため、切断前
には、延伸された直線状の繊維にクリンパー等で捲縮処
理を行い、クリンプ(捲縮)を付与することが一般的で
ある。
【0003】ここで、不織布用原綿の製造過程において
延伸を行うのは、未延伸状態では繊維内部の分子鎖の並
びが殆ど無秩序であるため、単繊維強度が低く使えない
ものとなるという常識化した知見に基づいている。即
ち、紡糸工程後に融点以下の温度で単繊維を数倍に引き
伸ばすと、繊維を構成する分子鎖が繊維軸方向に沿って
並んで(配向性が高くなって)、適度な強伸度を備える
不織布用繊維を得ることができるとされている。また、
延伸工程を設けることによって、溶融紡糸機の紡糸口金
の孔から繊維をより太く押し出しておき、延伸で所定の
太さの単糸を得ることができる。
【0004】ところで、仮に、従来では採用されること
がなかった延伸工程を行なわない製造方法を想定する
と、溶融紡糸の段階で繊維を細く押し出すために、紡糸
速度を高くする必要があるが、紡糸速度を高くすると糸
切れ等のトラブルが多発するため、溶融紡糸速度を低速
にする必要がある。このため、生産性が低下してしまう
ことが容易に予測される。このような理由から、従来
は、溶融紡糸後に延伸工程を行うのが技術常識とされ、
鞘芯型の複合繊維を用いる場合も例外ではなかったと考
えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
常識的な製造方法を適用して、鞘芯型複合繊維に延伸を
施すと、該延伸工程における負荷によって、鞘と芯の界
面が剥離してしまい単糸強度を著しく低下させてしまう
という技術的課題、並びに延伸を行うことで鞘成分の接
着性樹脂の分子鎖配向が進行し、樹脂自体の融点が上昇
するだけでなく、実用的に用いられる不織布物性を得る
ための接着温度範囲が狭くなるという技術的課題を、本
願発明者らは新たに見出した。
【0006】また、従来の延伸工程を備える製造方法で
は、低融点のポリプロピレン系共重合体からなる鞘部
と、高融点のアイソタチックポリプロピレンからなる芯
部と、から構成される鞘芯型複合繊維によって製造され
た不織布は、鞘成分と芯成分の融点差が小さいことか
ら、従来専らポイントシール(加圧接触加熱加工)によ
って形成されている。このため、単糸に低収縮性と低温
接着性が要求される熱風融着加工に展開を図るのは困難
であり、熱風融着加工を行った場合には、熱風融着(エ
アスルー融着)される複合繊維として一般に普及してい
るポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維によって製造
された不織布と同等の嵩高性が得られ難かった。
【0007】更に、未延伸単糸は、延伸単糸と比較して
強度が下がり、かつ伸度が大きくなることから不織布の
強度が低下するので、不適であるとの一般認識が存在し
た。しかし、鞘芯型複合繊維では、延伸を行わないこと
による単糸強度の低下の問題はさほど影響せず、むしろ
延伸工程で鞘芯界面の剥離が一部発生してしまう問題の
方が大きく、不織布の強度は、ウエッブを熱融着させた
ときの繊維間同士で接着した鞘成分の芯成分からの完全
剥離による接着点破壊に大きく依存することが新たに判
明した。
【0008】そこで、本発明は、鞘芯型複合繊維の溶融
紡糸後に延伸工程を設ける必要があるという従来の発想
を大きく転換し、溶融紡糸して得られる鞘芯型複合繊維
を未延伸状態で形成した不織布用繊維と、該不織布用繊
維からなるウエッブを熱融着して得られる、強度、嵩高
性、ソフト性、耐へたり性およびヒートシール性に優れ
る不織布、そしてこれらの製造方法を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し、上記
技術的課題を解決するために、本発明では、まず、低融
点のポリプロピレン系共重合体からなる鞘部と、高融点
のアイソタチックポリプロピレンからなる芯部と、から
構成される鞘芯型複合繊維を溶融紡糸して得られる未延
伸糸に捲縮を施こして、短繊維に切断した不織布用繊維
を提供する。
【0010】なお、鞘部の共重合体には、エチレン−プ
ロピレンランダムコポリマー等の二元系共重合体、三元
系共重合体(タポリマー)のいずれも採用可能である。
鞘部にエチレン−プロピレンランダムコポリマーを用い
る場合、エチレンの含有率は2〜10%の範囲、好まし
くは3〜8%の範囲のものを用いることができる。ま
た、芯部に用いられるアイソタクチックポリプロピレン
は、公知の繊維用の結晶性ポリプロピレンであればよ
い。
【0011】本発明に係る不織布用繊維は、常法の紡糸
手段に基づいて、溶融紡糸により鞘芯型複合繊維を得、
得られた未延伸糸に8〜20個/インチ程度の機械捲縮
又は自然捲縮を施し、切断することによって得ることが
できる。
【0012】以上の手段では、溶融紡糸により得られた
鞘芯型複合繊維に延伸を施さないので、溶融紡糸された
単糸に延伸の負荷がかからない。このため、鞘部と芯部
の界面剥離を無くすことができるという利点がある。な
お、本発明で採用される熱接着性複合繊維の断面形状
は、同心型、偏芯型のいずれにも適用できる。
【0013】次に、本発明では、上記手段によって得ら
れた不織布用繊維は、熱収縮率が少なく、低温域での融
着性に優れ、且つ接着強力が大きいという特性を備えて
いるので、該不織布用繊維によって形成されたウエッブ
を熱風融着(エアスルー融着)処理することによって、
嵩高性、ソフト性、耐へたり性およびヒートシール性に
優れた新規品質の不織布を提供することができる。
【0014】このような不織布の新規品質は、まず本不
織布が、機械の流れ方向(MD)の破断伸度が100%
以上であって、かつ100%伸長後の伸長回復率が50
%であるという物性を備えることによって具現される
(以下、機械の流れ方向(MD)の破断伸度を単に「破
断伸度」、機械の流れ方向(MD)の100%伸長後の
伸長回復率を単に、「100%伸長後の伸長回復率」と
略記する)。
【0015】なお、本願において「伸度」とは、不織布
の初期長と比較した時の伸長割合(伸長率)を示し、例
えば100mmの長さの不織布を150mmに伸ばした
ときの伸度は50%、200mmに伸ばした時の伸度は
100%と示される。また、「破断伸度」とは、不織布
を伸ばした時の最大荷重時(破断点)の伸度を意味し、
「伸長回復率」とは、対象となる不織布を引っ張った
(伸長させた)時に、初期長に対してどの程度回復する
かを示す指標であり、例えば、「100%伸長後の伸長
回復率が50%」とは、初期長の2倍に引っ張って離し
たときに、初期長の1.5倍の長さにまで戻ることを意
味する。
【0016】即ち、本発明に係る不織布は、不織布を2
倍程度に引き延ばしても破断することがなく、しかも伸
度100%後においても伸長回復率が50%以上を示す
ので、ゴムの如き弾性体に近い特性を発揮する。このよ
うな物性は、上記新規品質に明らかに寄与するものであ
り、延伸された繊維で形成されてきた従来の熱風融着不
織布では、決して得られない物性である。
【0017】次に、本発明に係る不織布の上記新規品質
は、この不織布が、40%伸長時の易伸長弾性係数が1
000以下であるという物性を備えることによって具現
される。
【0018】なお、本願において「易伸長弾性係数」と
は、不織布の伸長容易性と伸長回復性を示す指標であ
り、{[伸長時荷重(gf)÷伸長回復率(%)]×目付
(g/m)×融着温度(℃)}÷100で求められ
る。この係数は、本発明に係る不織布が、未延伸繊維に
よって形成されたことによって、従来の不織布からは予
測できない格段に優れた新規弾性を備えることが判明し
たことから、この新規物性を的確に数値化して特定でき
るように、本願発明者らが鋭意検討を重ねた結果により
案出された指標である。即ち、この指標は、未延伸繊維
により形成された不織布に固有の指標であって、全く新
規な技術的思想に基づくものである。
【0019】この「易伸長弾性係数」の数値が小さい
程、不織布を小さい力で伸長でき、しかも回復性に優れ
ていることが客観的に判断できる。従来の延伸繊維で形
成された一般的な不織布は、易伸長弾性係数は1500
以上の数値を示す一方、本発明に係る不織布は、該係数
が1000以下であり、従来では予測し得ないような大
きな弾性を備えており、かかる物性は、上記新規品質に
明らかに寄与している。
【0020】また、本発明では、鞘部がエチレン−プロ
ピレンランダムコポリマーから構成されている場合で
は、132℃〜142℃の範囲内の融着温度領域で前記
熱風融着処理されたときに、嵩値が70cc/g以上を
保持する物性を備える不織布、又は132℃〜142℃
の範囲内の融着温度領域で前記熱風融着処理されたとき
に、定荷重変形量が150mm/g/mm以上を保持
する物性を備える不織布を提供することができる。
【0021】前記物性内容で特定された不織布は、少な
くとも当該134℃〜142℃の範囲において熱風融着
処理されたときに、前記所定値以上の嵩値又は前記所定
値以上の荷重変形量のいずれか又は両方を保持できる物
性を少なくとも備えていることを特徴とするものである
ことを特定したものであって、不織布製造工程の熱風融
着処理における融着温度の範囲自体を特定又は限定して
いるわけではない。即ち、本発明に係る不織布用繊維か
ら構成されたウエッブに対して、目的や製造条件に応じ
て前記融着温度範囲外で熱風融着処理を施すこと自体は
自由である。
【0022】なお、嵩高の上限値、荷重変形量の上限値
を規定していない理由は、本発明に係る不織布において
特徴的に発揮される嵩高性やソフト性の物性を下限値で
特定することのみによって、本発明以外の不織布の物性
と明確に区別又は判別することができるので、発明の外
延が不明確になることはないからである。
【0023】本発明に係る不織布に用いられる鞘芯型複
合繊維は、延伸が全く施されていないことに起因して、
鞘成分の分子配向が抑制され、熱収縮率が少なく、融点
の上昇がないので低温域での融着性に優れているという
特性を備えていることが本発明者によって実証されたこ
とから、熱風融着(エアスルー)処理に適したウエッブ
を提供することが可能となる。そして、このウエッブを
用いれば、嵩高性とソフト性、耐へたり性およびヒート
シール性に優れた不織布を提供できる。また、鞘部の融
解熱量も大きく、鞘芯界面剥離が起こらないことから、
実用上十分な不織布強度を得ることができる。
【0024】また、本発明に係る不織布は、未延伸の不
織布用繊維を採用していることから、より繊度の大きい
繊維から構成され、嵩高性に優れた不織布を提供するこ
とが容易になる。かかる不織布は、繊維間距離や空隙が
大きくなるため、液透過性が要求されるおむつのトップ
シートやサブレイヤー、生理用品等の表面材として好適
なものとなる。
【0025】更に、本発明に係る不織布は、弾力性に優
れているので、定荷重をかけたときの嵩回復性やよれや
引っ張りに対する形態回復性に優れている。また、荷重
時の厚みの変化が大きく、柔らかな触感、肌触り、風合
いを保持しているとともに、伸縮性にも優れるという特
性を備えていることから、上記の用途には特に好適であ
る。
【0026】次に、本発明では、次の(1)〜(3)の
工程から構成された「不織布用繊維の製造方法」を提供
する。 (1)低融点のポリプロピレン系共重合体からなる鞘部
と、高融点のアイソタチックポリプロピレンからなる芯
部と、から構成される鞘芯型複合繊維を溶融紡糸して未
延伸糸を得る未延伸糸形成工程。 (2)前記未延伸糸に捲縮を施す捲縮工程。 (3)捲縮された未延伸糸を切断して短繊維とする切断
工程。
【0027】そして、次の(4)、(5)の工程から構
成された「不織布の製造方法」を提供する。 (4)前記(1)〜(3)の工程より得られた単糸を用
いてウエッブを形成するウエッブ形成工程。 (5)前記ウエッブを熱風融着する熱処理工程。
【0028】この製造方法では、上記した特性を備える
不織布用繊維と不織布を提供できるとともに、工程中に
延伸工程が全く含まれていないので、延伸装置そのもの
が不要となるという大きな利点がある。即ち、製造工程
で使用する装置コストを低減でき、また、延伸時に発生
する手間や蒸気や電気に係わるエネルギーを節約できる
ので、生産コストも低減できる。
【0029】以上のように、本発明は、溶融紡糸された
鞘芯型複合繊維を未延伸状態で使用して得られる高品質
な不織布用繊維及び不織布、並びにこれらの製造技術を
不織布製造業界、衣服製造業界、サニタリー業界等に提
供するという技術的意義を有している。また、低融点の
ポリプロピレン系共重合体からなる鞘部と、高融点のア
イソタチックポリプロピレンからなる芯部と、から構成
される鞘芯型複合繊維を、未延伸とすることによって低
収縮性と低温接着性を備えるように改善し、熱風融着加
工での不織布製造を可能にするという技術的意義を有し
ている。
【0030】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好適な実施形態に
ついて、添付した図面、表を参照しながら、説明する。
まず、本発明に係る不織布用繊維並びに該不織布用繊維
から得られる不織布の好適な製造方法について説明す
る。図1(A)は、本発明に係る不織布用繊維の製造方
法の工程を簡易に表す工程フロー図である。
【0031】図1(A)の符号Pで示す工程は、低融
点のエチレン−プロピレンランダムコポリマーその他の
ランダムコポリマー等の共重合体からなる鞘部と、高融
点のアイソタチックポリプロピレンからなる芯部と、か
ら構成される鞘芯型複合繊維を溶融紡糸して、集束油剤
を付与して引き取るまでの未延伸糸を得る「未延伸糸形
成工程」を表している。本工程Pにおける溶融紡糸
は、既存の鞘芯型複合繊維紡糸設備を用いることが可能
である。なお、溶融紡糸された単糸繊度は、1〜30d
tex(デシテックス)、より好ましくは2〜20dt
exである。
【0032】図1(A)の符号Pで示す工程は、前記
未延伸糸形成工程Pで得られた未延伸糸に捲縮を施す
捲縮工程を表している。この捲縮工程Pは、繊維と繊
維の絡み合いを充分なものとし、シート状のウエッブを
形成し易くすることを目的として行うものであり、直線
状の繊維に既存のスタフィングボックス型等のクリンパ
ー設備等を用いて機械捲縮又は自然捲縮を付与する。
【0033】なお、捲縮数は、8〜20個/インチ、よ
り好ましくは12〜18個/インチ、捲縮率は、10〜
20%、より好ましくは12〜18%である。この範囲
より低い捲縮率であると、単繊維を開繊シート(ウェ
ブ)化するカード機において、落綿等の発生などの不具
合が生じやすく生産効率が低下する等の問題があり、捲
縮率がこの範囲よりも高いと繊維の絡みが強すぎてカー
ド機でウェブを製造する際、地合斑が発生し易くなる等
の問題があるからである。
【0034】図1(A)の符号Pで示す工程は、捲縮
された未延伸糸を切断して短繊維とする工程である。こ
の切断工程Pは、捲縮された単糸に仕上げ油剤を付与
し、所定温度での乾燥処理を行って所定繊維長にカット
し、短繊維状のいわゆるステープルファイバーを得る工
程である。
【0035】以上の工程P〜Pによって、本発明に
係る不織布用繊維Fを製造することができる。この不織
布用繊維Fは、低融点、低収縮性、高い融解熱量を備え
ているので、延伸による鞘芯界面剥離がなく、不織布形
成の用途として特に好適である。
【0036】次に、図1(B)は、本発明に係る不織布
製造方法の製造工程を簡易に表す工程フロー図である。
まず、図1(B)に示す符号Pは、前記不織布用繊維
Fを分散、堆積させてシート状のウエッブWを形成する
工程である。例えば、不織布用繊維Fを既存のローラー
カード機等に通して、所望の目的に応じた所定目付の均
一な厚みのウエッブWを形成する。
【0037】図1(B)に示す符号Pは、ウエッブ形
成工程Pから得られたウエッブWを熱風融着する加熱
処理工程である。このウエッブ形成工程Pは、ウエッ
ブWの繊維を、脱落しないように結合させる目的で行わ
れる工程である。本工程Pは、所定風速に調節した熱
風融着(エアスルー)装置を選択的に採用し、この熱風
融着装置にウエッブWを所定速度で供給する。そして、
所定温度の熱風で、所定時間、加熱処理することによ
り、熱風融着不織布Nを得ることができる。
【0038】
【実施例】以下、本発明に係る不織布用繊維Fの実施例
及び比較例について説明する。
【0039】<実施例1−1(本発明に係る不織布用繊
維Fの実施例)>MFR(ASTM D(L)に基づい
て測定した値)が20で融点が135℃である、エチレ
ン含有率4.3%のエチレン−プロピレンランダムコポ
リマー(製品名:出光ポリプロY2043GP、出光石
油化学(株)製)を、鞘成分の低融点ポリマーとして使
用した。一方、MFRが20で、融点165℃である高
結晶性タイプのポリプロピレン(製品名:出光ポリプロ
Y2005GP、出光石油化学(株)製)を、芯成分
となる高融点ポリマーとして使用した。一軸押出機2台
とホール径0.4mmの複合繊維用ノズルとを備えた同
心鞘芯型複合繊維紡糸設備を用いて、紡糸温度280
℃、引き取り速度900m/分の条件で紡糸油剤を付着
しつつ溶融紡糸し、鞘部と芯部の断面積比が5:5で、
単糸繊度が3.7dtexである未延伸状態の同心鞘芯
型複合繊維を得た。次いで、この同心鞘芯型複合繊維か
らなるマルチフィラメントを集め、ステープルファイバ
ー試作設備において、第1延伸ローラー温度を30℃、
第2及び第3延伸ローラー温度を30℃とし、延伸槽は
加熱せず、第1延伸ローラーと第2延伸ローラー及び第
3延伸ローラーを同速度にして延伸倍率を掛けずに、ク
リンパーによって機械捲縮の付与を行った。続いて、仕
上げ油剤を付与して80℃で乾燥処理を行い、カッター
装置によって繊維長51mmに切断し、単糸繊度が3.
7dtexのステープルファイバーからなる不織布用繊
維を得た。得られた単糸の繊度、捲縮数、捲縮率、単糸
熱収縮率からなる物性を測定した。その測定結果を表1
に示した。なお、単糸の強度及び伸度、単糸熱収縮率
は、JIS L 1015に準じて測定した。
【0040】<実施例1−2(本発明に係る不織布用繊
維Fの実施例)>MFR(ASTM D(L)に基づい
て測定した値)が30で融点が132℃である、エチレ
ン含有率5.0%(実施例1−1よりも高い)のエチレ
ン−プロピレンランダムコポリマー(製品名:PM94
0M、サンアロマー(株)製)を、鞘成分の低融点ポリ
マーとして使用した。一方、芯成分となる高融点ポリマ
ーは、上記実施例1−1の芯成分で使用したものと同じ
融点165℃のポリマーを使用した。なお、繊維製造条
件は、上記実施例1−1と同じであるので、説明を割愛
する。
【0041】<比較例1(本発明に係る不織布用繊維F
の比較例)>上記実施例1と同様の材料を用いて溶融紡
糸を行い、同心鞘芯型複合繊維を得た後、実施例1と同
じステープルファイバー試作装置の第1延伸槽温度を9
0℃に設定して、第1延伸ローラーと第2延伸ローラー
との間で延伸倍率2.0倍の一段延伸を行い、単糸繊度
3.7dtexの熱接着性繊維を得、実施例1と同一の
条件で捲縮、切断を行った。得られた単糸の物性を、J
IS L 1015に準じて測定した。測定結果を表1
に示す。
【0042】
【表1】
【0043】前掲した表1から、実施例1−1、実施例
1−2に係る不織布用繊維の各熱収縮率は、比較例1の
1/4程度の0.6%、0.5%と非常に小さく、不織
布化したときの加熱による収縮が殆どないことが明らか
であり、熱風融着不織布の用途として好適な単糸熱収縮
率として想定される好適な1.5%以下、特に好適な
1.0%以下である。従って、本発明に係る不織布用繊
維は、不織布用途に非常に適している。
【0044】以下、本発明に係る不織布Nの実施例及び
比較例について説明する。
【0045】<実施例2(本発明に係る不織布Nの実施
例)>上記実施例1−1により得られた不織布用繊維を
幅350mmのローラーカード機(有限会社大和機工社
製、サンプルローラーカード:SC360DIR)に通
して、吐出速度9.5m/minの条件で、目付25g
/mの均一なウエッブを形成した。次いで、このウエ
ッブを風速2m/秒に調整した熱風融着装置に5m/分
の速度で供給し、熱風温度136℃で5秒間処理して、
熱風融着不織布を得た。また、熱風温度を134、13
8、140、142℃と変化させた以外は同一条件で、
それぞれ熱風融着不織布を得た。そして、各不織布の強
力、嵩、破断伸度、定荷重変形量、弾性減少率を測定し
た。測定結果を、後掲する表2に示した。
【0046】なお、上記実施例2と後述する実施例3〜
5及び比較例2で採用された不織布物性の測定方法は、
次の通りである。 <不織布の強力、破断伸度>機械の流れ方向の強力(M
D強力)は、得られた不織布から幅50mm、長さ14
0mmのサンプルを切り出し、このサンプルについて、
チャック間隔100mm、引っ張り速度40mm/mi
nの条件で測定した。機械の流れと直交する方向の強力
(CD強力)は、得られた不織布から幅50mm、長さ
100mmのサンプルを切り出し、この試料について、
チャック間隔60mm、引っ張り速度40mm/min
の条件で測定した。なお、不織布強力の単位はN(ニュ
ートン)(1kgf=1kg×9.80665m/s
=9.80665N)である。機械の流れ方向の破断伸
度は上記強力の測定においてのMD強力測定における最
大荷重点(破断点)の伸度である。 <不織布の嵩高>得られた不織布から5cm×5cmの
サンプルを10枚切り出し、これらのサンプルの体積
(V)と重量(M)に基づく、嵩高(cm/g)=V
/M=5×5×h(高さ)/Mからなる式で、嵩高を求
めた。なお、Vは、10枚のサンプルを重ねてその上に
20gの荷重を30秒かけたときの、除重から30秒後
の全体の体積(cm)、Mは、10枚のサンプルの合
計重量(g)、hは、10枚のサンプルを重ねてその上
に20gの荷重を30秒かけたときの、除重から30秒
後の全体の高さ(cm)で求めた。 <定荷重変形量>得られた不織布から5cm×5cmの
サンプルを10枚切り出して重ね、その上に5cm×5
cm×厚2mmのアクリル板を載せた。万能試験機(商
品名:RTA−100、ORIENTEC製)の圧縮試
験モードで、前記アクリル板にぎりぎり接触させない程
度まで圧縮点位置を移動する。この時、圧縮荷重がゼロ
になっていることを確認し、この点を圧縮変形変位の0
点とした。5mm/minの試験速度で圧縮し、圧縮荷
重が100g(0.04g/mm)になった時点で圧
縮を停止して、その時の変位量を読み、不織布定荷重変
形量(mm/g/mm)=変位量(mm)/0.04
(g/mm)という式に基づいて、定荷重変形量を算
出した。この定荷重変形量は、不織布の柔らかさ、触
感、風合の指標となり、この定荷重変形量が大きい場
合、小さい力で大きく変形する特性を備えることを示
し、その不織布が柔らかいことが分かる。 <弾性減少率>定荷重変形量測定と同じ条件と、圧縮荷
重が100gになった時点で圧縮を停止し、3mm放置
する。3分放置後の圧縮荷重を読み、次式により弾性減
少率を算出した。弾性減少率(%)=[(100−P)
/100]×100。Pは、3分放置後の圧縮荷重を表
す。この弾性減少率は、不織布の耐へたり性を表す指標
であり、弾性減少率が小さい場合、不織布の耐へたり性
が優れている。
【0047】<実施例3(本発明に係る不織布Nの実施
例)>引き取り速度680m/分で紡糸した以外は上記
実施例1−1と同じ条件で、単糸繊度6.6dtexの
不織布用繊維を得た。そして、上記実施例2と同じ製造
方法により、熱風温度134、136、138、14
0、142℃の各条件で、それぞれ熱風融着不織布を得
た。この熱風融着不織布の物性を、上記同様の方法で測
定した。測定結果を以下の表2に示す。
【0048】<実施例4(本発明に係る不織布Nの実施
例)>引き取り速度450m/分で紡糸した以外は上記
実施例1−1と同じ条件で、単糸繊度10dtexの不
織布用繊維を得た。そして、上記実施例2と同じ製造方
法により、熱風温度134、136、138、140、
142℃の各条件で、それぞれ熱風融着不織布を得た。
この熱風融着不織布の物性を、上記同様の方法で測定し
た。測定結果を後掲する表2に示す。
【0049】<実施例5(本発明に係る不織布Nの実施
例)>上記実施例1−2により得られた不織布用繊維
を、幅350mmのローラーカード機に通して、目付2
5g/mの均一なウエッブを形成した。次いで、この
ウエッブを風速2m/秒に調整した熱風融着装置に5m
/分の速度で供給し、熱風温度136℃で5秒間処理し
て、熱風融着不織布を得た。また、熱風温度を132、
134、136、138℃に変化させた以外は同一条件
として、それぞれ熱風融着不織布を得た。そして、各不
織布の強力、嵩、定荷重変形量、弾性減少率を測定し
た。測定結果を、後掲する表2に示した。
【0050】<比較例2(本発明に係る不織布Nの比較
例)>上記比較例1で得られた不織布用繊維を、上記実
施例2に示す不織布の製造条件の下で、熱風温度13
6、138、140、142、144℃の各条件で、熱
風融着不織布を得た。各熱風融着不織布の物性を上記同
様の方法で測定した。測定結果を次の表2に示す。な
お、表2中の「Et−cont」とは、鞘成分の低融点
ポリマーのエチレン含有率を表す。
【0051】
【表2】
【0052】この表2に示されたデータを基づき、融着
温度(℃)の変化に対する不織布強力(CD)、不織布
強力(MD)、嵩、破断伸度、定荷重変形、弾性減少率
それぞれの変化を図2〜図5に表した。
【0053】上記表2、図2〜図5から、本発明に係る
不織布は、132℃(実施例5)、134℃、136℃
の低温の融着温度でも不織布強力(CD、MD)が大き
い(表2、図2参照)。即ち、低温域でも接着力が大き
く、融着温度による強力変動がフラットであるので、使
用温度範囲が広い。一方、2倍延伸の繊維を用いた比較
例2の不織布では、融着温度139℃付近で、不織布強
力が急激に変化するので、使用温度範囲が狭い(図2参
照)。
【0054】また、本発明に係る不織布は、132〜1
42℃の実験融着温度全域に亘って、比較例2よりも嵩
高性に優れており(表2、図3参照)、134℃〜14
2℃の範囲内の融着温度領域で前記熱風融着処理された
ときに、嵩値が70cc/g以上を保持する物性を備え
ている。融着温度140、142℃でも、比較例2より
も嵩高に優れている。即ち、嵩高の点でも、使用できる
温度範囲が広いので、加工し易い。
【0055】また、破断伸度は、実施例2〜5のすべて
の不織布において、すべての融着温度で破断伸度が10
0%以上を示した。即ち、初期長の2倍に伸長させても
破断現象が発生しない。このことから、本発明に係る不
織布は、非破壊変形量が非常に大きいことが明らかにな
った。一方、延伸繊維を用いた比較例2の不織布は、融
着温度138℃で34.1%、融着温度144℃で6
5.2と低い。即ち、比較例2の不織布は、100%伸
長させることができない。このことから、比較例2の不
織布は、実施例2〜5の不織布に比較して非破壊変形量
が小さいことが明らかになった(表2、図4参照)。
【0056】そして、本発明に係る不織布は、実験温度
全範囲に亘って、不織布面の定荷重変形量が大きい(表
2、図5参照)。具体的には、132℃〜142℃の範
囲内の融着温度領域で前記熱風融着処理されたときに、
定荷重変形量が155mm/g/mm以上を保持する
物性を備えている。即ち、本発明に係る不織布は、小さ
な力で大きく変形することができる特性を備え、不織布
のソフト性(柔らかさ)の点でも優れている。
【0057】更に、本発明に係る不織布は、実験温度全
範囲に亘って、弾性率減少率19.9〜22.3%程度
と小さいことから(表2,図6参照)、不織布の耐へた
り性に優れていることか分かる。
【0058】このように、本発明に係る未延伸状態の繊
維Fを用いれば、132〜138℃の低温範囲を含む1
32〜142℃の広範囲な融着温度を自在に採用して、
不織布強力、嵩高性、弾性、ソフト性、耐へたり性に優
れた不織布を製造することができる。
【0059】次に、実施例2〜5及び比較例2の各不織
布の伸長回復性を検証するための「試験1」を行った。
まず、それぞれの不織布をMD方向に長さ140mm、
幅50mmに切り出してサンプル不織布を得た。続い
て、万能試験機(商品名:RTA−100、ORIEN
TEC製)の引っ張り試験モードで、チャック間を10
0mmに設定し、不織布の弛みが無く、かつ荷重が0に
なるように、注意深くサンプル不織布を固定した。そし
て、サンプル不織布を試験速度50mm/minの条件
で、10、20、40、60、80、100%の各伸度
に伸長させた後、連続的に試験速度50mm/minの
条件で伸長を回復させた。この回復過程で、荷重0にな
った時の変位(mm)を読みとった。なお、変位は、サ
ンプル不織布を固定した時のチャック間100mmの時
を原点0とした位置である。
【0060】ここで、次式、 [伸長回復時荷重0の変位(mm)÷初期長100mm]
×100 により、伸長ひずみ率(%)を算出した。
【0061】次に、次式、 100−伸長ひずみ率(%) により、伸長回復率(%)を算出した。
【0062】伸長回復率の結果を次の表3に示す。
【0063】
【表3】
【0064】前掲した表3から、未延伸繊維で形成され
た実施例2〜5の不織布は、100%伸長率(2倍長に
伸長)の場合でも、50%以上の伸長回復率を示した。
このことから、本発明に係る不織布は、延伸繊維から形
成された不織布にはないゴムのような弾性体に近い物性
を有することが明らかになった。なお、「伸長率」と
は、初期長に比べてどの程度伸長させたかを示し、例え
ば伸長率50%は、初期長の1.5倍の長さに伸長させ
たことを意味する(後掲する表4でも同様)。
【0065】次に、実施例2〜5及び比較例2の各不織
布の易伸長弾性係数を調べるための「試験2」を行っ
た。10、20、40、60、80、100%の各伸度
における荷重を「伸長時荷重(gf)」とし、この伸長
時荷重(gf)と上記試験1で求めた実施例2〜5及び
比較例2の各伸度の伸長回復率(%)を用いた次式、 {[伸長時荷重(gf)÷伸長回復率(%)]×目付(g
/m2)×融着温度(℃)}÷100 により、易伸長弾性係数を求めた。その結果を以下の表
4に示す。なお、この式において、目付と融着温度を乗
じている理由は、目付が高くなる程、あるいは融着温度
が高くなる程、不織布が硬く、弾性が失われる傾向があ
るからである。
【0066】
【表4】
【0067】前掲した表4から、実施例2〜5の不織布
は、伸度40%における易伸長弾性係数を見ると、すべ
ての融着温度条件で1000以下であった。一方、比較
例2の不織布は、伸度40%、融着温度144℃で16
05.7を示した。この易伸長弾性係数は、不織布の伸
長容易性と、伸長回復性を的確に表す指標であり、その
数値が小さい程、不織布を小さな力で伸長でき、かつ伸
長回復性に優れていることを示す。このことから、本発
明に係る不織布は、伸長容易であり、かつ伸長回復性に
優れていることが明らかである。
【0068】以上から、本発明に係る不織布は、高い強
力と大きな弾性を備え、かつ嵩高性、ソフト性、風合さ
らには耐ヘタリ性にも優れているので、おむつのトップ
シートやサブレイヤー、生理用品等の表面材として特に
好適であり、また、ファスニングテープの雌材、フィル
ター用基材、パップ用基材にも適しているので、利用価
値が高い。
【0069】更には、一般に、熱風融着不織布として使
用されているポリエチレン/ポリプロピレン系の不織布
と比較しても、ホットメルトとの接着性及びヒートシー
ル性に優れているという特性を備えている。
【0070】
【発明の効果】本発明に係る不織布用繊維は、溶融紡糸
した鞘芯型複合繊維に延伸を施さないことから、鞘芯型
複合繊維に延伸の負荷がかからなくなるので、鞘部と芯
部の界面剥離を無くすことができる。
【0071】また、本発明に係る不織布用繊維は、熱収
縮率が少なく、低温域での融着性に優れ、且つ接着強力
が大きいという特性を備えているので、広い温度範囲の
温度での熱風融着(エアスルー)処理に適したウエッブ
を提供でき、このウエッブを用いて嵩高性に優れた不織
布を提供できる。
【0072】更に、本発明に係る不織布用繊維は、未延
伸であるため、より繊度の大きい単糸からなる不織布、
即ち嵩高性に優れ、繊維間距離や空隙が大きく液透過性
に優れた不織布を提供できる。
【0073】低融点のポリプロピレン系共重合体からな
る鞘部と、高融点のアイソタチックポリプロピレンから
なる芯部と、から構成される鞘芯型複合繊維を未延伸と
することにより、低収縮性と低温接着性を備えるように
なるので、熱風融着加工によって不織布を製造すること
ができるようになる。
【0074】次に、本発明に係る不織布は、嵩高が大き
く、弾力性が大きいので嵩回復性に優れ、よれや引っ張
りに対する形態回復性にも優れている。また、柔らかな
触感、肌触り、風合いを保持し、不織布横方向の伸縮性
も備える特性を備えているので、利用価値が高い。
【0075】次に、本発明に係る不織布用繊維の製造方
法及び不織布の製造方法では、工程中に延伸工程が含ま
れていないので、延伸装置そのものが不要であり、製造
工程で使用する装置コストを低減できるとともに、延伸
時に発生する手間や蒸気や電気に係わるエネルギーを節
約できるので、生産コストを低減できる。また、ウエッ
ブの広い融着温度の範囲に亘って、強力及び嵩高が大き
く、不織布加工時のシビアな温度管理が不必要で、かつ
柔らかい風合の不織布を製造できる。
【0076】以上のように、本発明は、未延伸状態の繊
維を用いた不織布及びその製造技術という従来に無かっ
た全く新規な技術潮流を創造するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)本発明に係る不織布用繊維の製造方法の
簡略な工程フロー図 (B)本発明に係る不織布の製造方法の簡略な工程フロ
ー図
【図2】(A)融着温度に対する不織布強力(CD)の
変化を示す図(グラフ)(縦軸単位は表2データに基づ
いて、N(ニュートン)を採用) (B)融着温度に対する不織布強力(MD)の変化を示
す図(グラフ)(縦軸単位は表2データに基づいてN
(ニュートン)を採用)
【図3】融着温度に対する不織布の嵩の変化を示す図
(グラフ)
【図4】融着温度に対する不織布の破断伸度の変化を示
す図(グラフ)
【図5】融着温度に対する不織布の定荷重変形の変化を
示す図(グラフ)
【図6】融着温度に対する不織布の弾性減少率の変化を
示す図(グラフ)
【符号の説明】
F 本発明に係る不織布用繊維 N 本発明に係る不織布 P〜P 本発明に係る不織布用繊維の製造方法の工
程 P〜P 本発明に係る不織布の製造方法の工程

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低融点のポリプロピレン系共重合体から
    なる鞘部と、高融点のアイソタチックポリプロピレンか
    らなる芯部と、から構成される鞘芯型複合繊維を溶融紡
    糸して得られる未延伸糸に捲縮が施こされ、短繊維に切
    断された構成を備えることを特徴とする不織布用繊維。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の未延伸の不織布用繊維に
    よって形成されたウエッブが熱風融着処理されて得られ
    ることを特徴とする不織布。
  3. 【請求項3】 機械の流れ方向(MD)の破断伸度が1
    00%以上であって、かつ100%伸長後の伸長回復率
    50%以上であることを特徴とする請求項2記載の不
    織布。
  4. 【請求項4】 40%伸長時の易伸長弾性係数が100
    0以下であることを特徴とする請求項2記載の不織布。
  5. 【請求項5】 前記鞘部がエチレン−プロピレンランダ
    ムコポリマーから構成されている場合において、132
    ℃〜142℃の範囲内の融着温度領域で前記熱風融着処
    理されたときに、嵩値が70cc/g以上を保持する物
    性を少なくとも備えることを特徴とする請求項2から4
    のいずれか一項に記載の不織布。
  6. 【請求項6】 前記鞘部がエチレン−プロピレンランダ
    ムコポリマーから構成されている場合において、132
    ℃〜142℃の範囲内の融着温度領域で前記熱風融着処
    理されたときに、定荷重変形量が155mm/g/mm
    以上を保持する物性を少なくとも備えることを特徴と
    する請求項2から4のいずれか一項に記載の不織布。
  7. 【請求項7】 低融点のポリプロピレン系共重合体から
    なる鞘部と、高融点のアイソタチックポリプロピレンか
    らなる芯部と、から構成される鞘芯型複合繊維を溶融紡
    糸して未延伸糸を得る未延伸糸形成工程と、 前記未延伸糸に捲縮を施す捲縮工程と、 捲縮された未延伸糸を切断して短繊維とする切断工程
    と、 を備えたことを特徴とする不織布用繊維の製造方法。
  8. 【請求項8】 低融点のポリプロピレン系共重合体から
    なる鞘部と、高融点のアイソタチックポリプロピレンか
    らなる芯部と、から構成される鞘芯型複合繊維を溶融紡
    糸して未延伸糸を得る未延伸糸形成工程と、 前記未延伸糸に捲縮を施す捲縮工程と、 捲縮された未延伸糸を切断して短繊維とする切断工程
    と、 以上の工程により得られた単糸を用いてウエッブを形成
    するウエッブ形成工程と、 前記ウエッブを熱風融着する熱処理工程と、 を備えたことを特徴とする不織布の製造方法。
JP2002012065A 2001-08-09 2002-01-21 不織布用繊維と不織布及びこれらの製造方法 Expired - Fee Related JP3322868B1 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002012065A JP3322868B1 (ja) 2001-08-09 2002-01-21 不織布用繊維と不織布及びこれらの製造方法
TW92101291A TWI285689B (en) 2002-01-21 2003-01-21 The method for producing the fiber for nonwoven fabrics, nonwoven fabrics and these products

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-241850 2001-08-09
JP2001241850 2001-08-09
JP2002012065A JP3322868B1 (ja) 2001-08-09 2002-01-21 不織布用繊維と不織布及びこれらの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP3322868B1 true JP3322868B1 (ja) 2002-09-09
JP2003119625A JP2003119625A (ja) 2003-04-23

Family

ID=26620260

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002012065A Expired - Fee Related JP3322868B1 (ja) 2001-08-09 2002-01-21 不織布用繊維と不織布及びこれらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3322868B1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7968481B2 (en) 2002-12-24 2011-06-28 Kao Corporation Hot-melt conjugate fiber

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5314075B2 (ja) * 2005-04-12 2013-10-16 ダイワボウホールディングス株式会社 熱接着性複合繊維及びその製造方法
JP4948127B2 (ja) * 2005-12-07 2012-06-06 花王株式会社 熱伸長性繊維
WO2007091662A1 (ja) * 2006-02-06 2007-08-16 Teijin Fibers Limited 熱接着性複合繊維及びその製造方法
JP4955278B2 (ja) * 2006-02-06 2012-06-20 帝人ファイバー株式会社 エアレイド不織布用ポリエステル系繊維およびその製造方法
JP4881026B2 (ja) * 2006-02-06 2012-02-22 帝人ファイバー株式会社 エアレイド不織布用熱接着性複合繊維およびその製造方法
JP5021938B2 (ja) * 2006-02-06 2012-09-12 帝人ファイバー株式会社 熱接着性複合繊維およびその製造方法
JP4820211B2 (ja) * 2006-05-12 2011-11-24 帝人ファイバー株式会社 自己伸長性熱接着性複合繊維及びその製造方法
JP4785700B2 (ja) * 2006-10-17 2011-10-05 花王株式会社 不織布の製造方法
JP2008106375A (ja) * 2006-10-23 2008-05-08 Kao Corp 伸縮性不織布
JP5502315B2 (ja) * 2008-12-10 2014-05-28 前田工繊株式会社 積層体、それを備える手袋及び手袋の製造方法
JP4945004B2 (ja) * 2011-08-22 2012-06-06 帝人ファイバー株式会社 エアレイド不織布用ポリエステル系繊維の製造方法
KR20180117183A (ko) * 2016-03-30 2018-10-26 미쓰이 가가쿠 가부시키가이샤 부직포의 제조 장치, 부직포의 제조 방법 및 부직포

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7968481B2 (en) 2002-12-24 2011-06-28 Kao Corporation Hot-melt conjugate fiber

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003119625A (ja) 2003-04-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3322868B1 (ja) 不織布用繊維と不織布及びこれらの製造方法
JP5961972B2 (ja) 伸縮性嵩高不織布およびその製造方法
JP2001502388A (ja) 熱接着性複合繊維およびそれを用いた不織布
WO2005021850A1 (ja) 潜在捲縮性複合繊維とその製造方法、および繊維集合物、ならびに不織布
JP3569972B2 (ja) 熱融着性複合繊維および熱融着不織布
JPH02127553A (ja) 伸縮性不織布及びその製造方法
JP2005536647A (ja) 改良されたネック付与均一性を持つ不織ウエブ
JP4599760B2 (ja) 熱融着性複合繊維及びこれを用いた繊維成形体
JP3844390B2 (ja) 不織布積層体
JP2009520123A (ja) 水流交絡弾性不織シート
CN109642369B (zh) 层叠无纺布
JPH04316608A (ja) 熱分割性複合繊維
JP7295495B2 (ja) 複合繊維を含む不織布及びその製造方法
JP2971919B2 (ja) 熱接着性繊維
JP3124017B2 (ja) 熱接着性繊維および不織布
JP2691320B2 (ja) 伸縮性不織布
TWI573906B (zh) 伸縮性不織布及其製造方法
JPH0814069B2 (ja) 熱接着性不織シ−ト
JPH03193958A (ja) 不織布及びその製造方法
JP2001040564A (ja) 柔軟性不織布及びその不織布積層体
JP4058247B2 (ja) 熱接着性複合繊維およびその製造方法、ならびにこれを用いた不織布および合繊紙
JPH0849166A (ja) ポリプロピレン繊維
JP3567892B2 (ja) 熱接着性複合繊維とこれを用いた不織布及び成形体
JPH0192413A (ja) 嵩高性複合繊維
JPH028048B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3322868

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090628

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100628

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100628

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110628

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110628

Year of fee payment: 9

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110628

Year of fee payment: 9

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110628

Year of fee payment: 9

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110628

Year of fee payment: 9

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110628

Year of fee payment: 9

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110628

Year of fee payment: 9

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130628

Year of fee payment: 11

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130628

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140628

Year of fee payment: 12

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees