JP2691320B2 - 伸縮性不織布 - Google Patents

伸縮性不織布

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JP2691320B2
JP2691320B2 JP12277391A JP12277391A JP2691320B2 JP 2691320 B2 JP2691320 B2 JP 2691320B2 JP 12277391 A JP12277391 A JP 12277391A JP 12277391 A JP12277391 A JP 12277391A JP 2691320 B2 JP2691320 B2 JP 2691320B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、伸縮性、嵩高性及び柔
軟性に優れた伸縮性不織布に関し、特に伸縮性即ち伸長
性及び伸長回復性に優れた伸縮性不織布に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来より、捲縮繊維を構成繊維とする不
織布が、パップ材やサポーター等の医療衛生材の基布と
して用いられている。この不織布は、構成繊維である捲
縮繊維の伸縮性に起因して、良好な伸縮性を持ち、人体
に適用する医療衛生材の基布として好ましいものであ
る。また、使い捨ておしめや生理用ナプキン等の表面材
としても、好ましいものである。
【0003】このような伸縮性不織布として、種々の不
織布が提案されている。例えば、特公平1-21257号公報
には、医療衛生材の基布等に好適に使用しうる不織布と
して、潜在捲縮性複合繊維よりなる繊維ウェブを熱処理
して、潜在捲縮性複合繊維に捲縮を発現させてなる不織
布が提案されている。しかし、この不織布は、潜在捲縮
性複合繊維と共に熱接着性複合繊維を使用し、且つこの
熱接着性複合繊維によって捲縮繊維相互間を不織布の全
域に亙って融着させたものであり、伸縮性即ち伸長性及
び伸長回復性が未だ十分ではなかった。即ち、捲縮繊維
相互間が固定されているため、伸長しにくく、且つ捲縮
繊維相互間の固定が解ける程度に伸長すると、回復しに
くいという欠点があった。
【0004】また、特開平2-191757号公報にも、医療衛
生材の基布等に好適に使用しうる不織布として、潜在捲
縮性繊維よりなる繊維ウェブを熱処理して、潜在捲縮性
繊維に捲縮を発現させてなる不織布が提案されている。
この不織布も、潜在捲縮性繊維と共に熱接着性複合繊維
を使用したものであるが、前記の不織布とは異なり、不
織布の全域ではなく部分的に点融着区域を設けて、その
区域で捲縮繊維相互間を熱接着性複合繊維で融着させた
ものである。従って、ある程度伸縮性には優れているも
のの、現実に特開平2-191757号公報に記載された方法で
得られた不織布は、30%伸長時の伸長回復率は15%程度
であり、医療衛生材用の基布として十分な伸縮性を持つ
ものではなかった。この理由は定かではないが、捲縮発
現温度や点融着区域を設ける際の温度(エンボス温度)
の設定に十分な配慮がないために、点融着区域以外の区
域においても、捲縮繊維が熱接着性複合繊維によって融
着されているためであると考えられる。従って、特公平
1-21257号公報記載の伸縮性不織布と同様の欠点があっ
たのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、捲
縮繊維と熱接着性繊維とで構成され、且つ点融着区域を
持つ不織布でありながら、点融着区域以外の区域におい
ては捲縮繊維と熱接着性繊維とが殆ど融着しないように
して、大きな伸縮性を不織布に与えようとするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記の
構造を具備する不織布であって、30%伸長時の伸長回復
率は縦横共に25%以上であり、圧縮剛軟度は80g以下で
あり、見掛け密度は0.1g/cm3以下であることを特徴と
する伸縮性不織布に関するものである。 記 (a)該不織布中には、ポリプロピレン系捲縮繊維(以
下、「A繊維」という。)と熱接着性繊維(以下、「B
繊維」という。)とが含有されており、両者の重量比率
は、A繊維:B繊維=100(重量部):5〜400(重量
部)であること。 (b)A繊維は、第一成分(以下、「A1成分」という。)
と第二成分(以下、「A2成分」という。)とよりなる
複合繊維であって、A1成分の融点(以下、「A1m」と
いう。)はA2成分の融点(以下、「A2m」という。)
より低いこと。 (c)B繊維は、第一成分(以下、「B1成分」という。)
と第二成分(以下、「B2成分」という。)とよりなる
複合繊維であって、B1成分の融点(以下、「B1m」と
いう。)はA1mより低く、且つB2成分の融点(以下、
「B2m」という。)はB1mより高いこと。 (d)該不織布には間歇的に点融着区域が設けられてお
り、該点融着区域においては、該B繊維の該B1成分の
溶融固化によって、該A繊維と該B繊維相互間が融着さ
れており、不織布形態を保持していること。 (e)該点融着区域以外の非融着区域においては、該A繊
維同士、該B繊維同士、及び該A繊維と該B繊維とが各
々融着点を持たないこと。 (f)該A繊維の捲縮は、ポリプロピレン系潜在捲縮性繊
維に、点融着区域を設けると同時に又は直後に、熱を与
えることにより発現したものであること。
【0007】まず、本発明に係る不織布の構成繊維の一
つであるA繊維について説明する。A繊維は、A1成分
とA2成分とよりなるポリプロピレン系複合繊維であ
る。そして、A1mはA2mよりも低いものである。なお、
本発明において融点とは、パーキンエルマ社製示差走査
型熱量計DSC-2型を用い、昇温速度20℃/分で測定した
融解吸収曲線の極値を与える温度を言う。
【0008】このA繊維は、ポリプロピレン系潜在捲縮
性繊維(以下、「原A繊維」という。)に熱を与えるこ
とにより、捲縮を発現させたものである。この原A繊維
としては、例えば以下に示す如き繊維を使用することが
できる。
【0009】この原A繊維はA繊維が未だ捲縮を発現し
ていない状態のものであり、従って、A繊維と同様にA
1成分とA2成分とよりなる複合繊維である。A1成分の
原料としては、プロピレンとエチレン等とをランダム共
重合したポリプロピレン系重合体を使用するのが、一般
的である。このポリプロピレン系重合体は、プロピレン
単独を重合したポリプロピレン重合体と比較して、融点
が降下しており、A1成分の原料として一般的である。
特に、プロピレンとエチレンとを共重合させると、融点
が降下すると共に熱収縮率が大きくなり、A1成分の原
料として好ましい。プロピレンとエチレンとを共重合さ
せる場合、両者の重量比を次のようにするのが好まし
い。即ち、プロピレンを92〜97重量%とし、エチレンを
3〜8重量%として共重合するのが、好ましい。このよ
うなポリプロピレン系重合体の融点、即ちA1成分の融
点(A1m)は、130〜150℃であるが、好ましくは132〜1
48℃、最も好ましくは135〜145℃である。エチレンの重
量比を3重量%未満にすると、融点の降下が少なく、熱
収縮率が低下し、ひいては捲縮発現が低下する傾向とな
る。また、エチレンの重量比を8重量%より多くするこ
とは、ポリプロピレン系重合体の生産性が低下する傾向
となる。即ち、このような共重合体を得る際に、重合溶
媒(炭化水素)に可溶性の副生成物の割合が増加して、
生産性が低下し、工業的に不経済となる傾向が生じる。
プロピレンとエチレンのランダム共重合の形態として
は、エチレンが無作為に共重合されたものと、エチレン
同士がある程度複数結合してプロピレン間に挿入されて
共重合されたもの即ちブロック共重合とがあるが、本発
明においては前者の形態のものを使用するのが好まし
い。後者の形態のものを使用すると、ポリプロピレンの
主鎖中にエチレンよりなる構造部がブロック単位で存在
するために、熱収縮特性が不均一となり、しかも曳糸性
が極度に低下し、溶融紡糸して繊維形態とするのが困難
になるからである。
【0010】A2成分の原料としても、プロピレンとエ
チレン等とをランダム共重合したポリプロピレン系重合
体を使用するのが一般的であり、特にプロピレンとエチ
レンを共重合したポリプロピレン系重合体を使用するの
が好ましいが、その融点(A2m)をA1成分の融点(A
1m)よりも高くしなければならない。従って、A2成分
の原料のエチレンの量は、A1成分のエチレンの量より
も少なくしなければならない。即ち、プロピレンを97〜
100重量%とし、エチレンを0〜3重量%として共重合
するのが、好ましい。エチレンの量が3重量%を超える
と、A2mとA1m及び熱収縮率の差が少なくなり、原A繊
維に熱を与えた時の捲縮発現性が低下する傾向となる。
【0011】A1成分とA2成分とが複合されて原A繊維
となるわけであるが、この複合形態としては、並列複合
型,偏心円型芯鞘複合型或いは異形断面複合型とするこ
とができる。特に、A1成分とA2成分との熱収縮率差を
強調し、A繊維の捲縮発現性を大とするためには、並列
複合型が好ましい。また、偏心円型芯鞘複合型とする場
合には、次式で定義される偏心率を15以上とすること
が、好ましい。偏心率=[(単繊維径の中心と芯成分径
の中心の距離)×100]/(単繊維半径)。偏心率が15
未満であると、捲縮発現性が低下する傾向となる。
【0012】以上の如き原A繊維は、一般的に捲縮発現
温度が[(A1m)−40℃]以上である。この捲縮発現温
度は、最低値が小さく且つその範囲が広いことが好まし
い。これは、捲縮発現の温度設定が容易になり、品質的
に安定した不織布が得られるからである。捲縮発現温度
が[(A1m)−40℃]未満であると、原A繊維製造時に
おける繊維の乾燥工程で捲縮発現が生じる恐れがある。
特に、このような捲縮発現が生じると、原A繊維を短繊
維とし、カードで開繊して繊維ウェブを得る際に、繊維
ウェブにネップ(未開繊の繊維の塊)が発生する恐れが
ある。また、現実に原A繊維に捲縮を発現させる温度
は、A1m以下とするのが、一般的である。A1mを超える
温度で捲縮発現を行なうと、不織布の点融着区域以外の
区域においても、A繊維同士或いはA繊維とB繊維とが
融着する恐れがあるからである。従って、現実に、原A
繊維の捲縮発現温度として採用する温度は、[(A1m
−35℃]〜[(A1m)−5℃]が好ましく、更に[(A
1m)−30℃]〜[(A1m)−10℃]が最も好ましい。
【0013】このような原A繊維を使用する場合におけ
る、熱収縮率(乾熱収縮率)の一般的な指標は、次のと
おりである。即ち、温度100℃における乾熱収縮率が30
%以上、温度120℃における乾熱収縮率が35%以上であ
る。乾熱収縮率がこの値よりも小さいと、捲縮発現の程
度が少なく、得られる不織布に十分な伸縮性と嵩高性を
付与しえない傾向が生じる。なお、乾熱収縮率の測定方
法は、以下のとおりである。即ち、単繊維計15本を試料
とし、各単繊維ごとに初荷重2mmg/デニールをかけ
て、そのときの長さa(cm)を測定し、次いでエアーオ
ーブン型熱処理機中で120℃×15分間熱処理した後の長
さb(cm)を測定し、次式により収縮率を算出し、その
平均値を乾熱収縮率とした。収縮率(%)=[(a−
b)×100]/aである。また、原A繊維に熱を与えた
場合における捲縮発現の程度の一般的な指標は、次のと
おりである。即ち、温度100℃において40個/25mm以
上、温度120℃において60個/25mm以上である。捲縮発
現の程度がこれよりも少ないと、得られる不織布に十分
な伸縮性を付与しえない傾向が生じる。
【0014】次に、本発明に係る不織布の構成繊維の一
つであるB繊維について説明する。B繊維は、B1成分
とB2成分とよりなる複合繊維である。B1mはA1mより
低いものである。また、B2mはB1mよりも高いものであ
る。従って、このB1成分は、本発明に係る不織布の点
融着区域において、各繊維間を接着させる役割を果たす
ものである。このB繊維として複合繊維を用いる理由
は、以下のとおりである。即ち、低融点成分であるB1
成分のみでB繊維を構成した場合には、点融着区域にお
いてB繊維が繊維形態を失ってしまい、点融着区域と非
融着区域との境界でB繊維が切断しやすくなり、伸長回
復性に悪影響を与えるからである。また、B繊維の繊維
強度が低くなり、ひいては不織布強度が低下する恐れも
ある。更には、B繊維を短繊維としてカードを通過させ
る場合、カード適性を向上させるためにB繊維に屈曲を
与えなければならないが、この屈曲付与が困難となる傾
向もある。
【0015】このB繊維は、潜在捲縮性繊維に熱を与え
ことにより、捲縮を発現させたものであってもよいし、
非潜在捲縮性繊維で捲縮を発現させないものであっても
よいなお、このB繊維を得るための原料となる繊維
を、以下「原B繊維」という。原B繊維を潜在捲縮性繊
維とするためには、原A繊維の場合と同様に、B成分
成分とを、並列複合型,偏心円型芯鞘複合型或いは
異形断面複合型として複合すればよい。また、非潜在捲
縮性繊維とするためには、同心円型芯鞘複合型又は点対
称分割型等でB成分とB成分とを複合すればよい。
更に、B成分とB成分とに熱収縮率の差を設けなか
ったり、又はB成分のメルトフローレートを調整して
捲縮が発現しないようにしてもよい。B成分の原料と
しては、ポリエチレン,共重合ポリプロピレン,共重合
ポリエチレンテレフタレート,共重合ポリブチレンテレ
フタレート,共重合ナイロン,エチレン−ビニルアルコ
ール共重合体等の変性熱可塑性重合体を使用することが
できる。また、B成分の原料としては、ポリプロピレ
ン,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフ
タレート,ナイロン,エチレン−ビニルアルコール共重
合体等の熱可塑性重合体及びそれらの変性熱可塑性重合
体を使用することができる。
【0016】以上説明したA繊維とB繊維とが、本発明
に係る伸縮性不織布の構成繊維となっている。伸縮性不
織布中におけるA繊維とB繊維との重量比率は、A繊
維:B繊維=100(重量部):5〜400(重量部)であ
る。特に好ましくはA繊維:B繊維=100(重量部):1
0〜300(重量部)であり、最も好ましくはA繊維:B繊
維=100(重量部):15〜250(重量部)である。B繊維
の重量比率が5重量部未満になると、点融着区域におけ
る融着成分であるB1成分の量が相対的に少なくなっ
て、A繊維とB繊維との融着が不十分となり、不織布形
態が保持できないので、好ましくない。また、B繊維の
重量比率が400重量部を超えると相対的にA繊維の量が
少なくなって、捲縮に起因する不織布の伸縮性が低下す
るので、好ましくない。なお、本発明に係る伸縮性不織
布中には、このA繊維及びB繊維以外に他種の繊維が混
入されていていもよい。例えば、風合,吸湿性或いは制
電性を改良するために、羊毛,綿,麻等の天然繊維、ア
セテート,レーヨン等のセルローズ系繊維、カーボンブ
ラック等を練り込んだ複合導電繊維、又はその他改質さ
れた熱可塑性繊維が混入されていてもよい。
【0017】本発明に係る伸縮性不織布には、間歇的に
点融着区域が設けられている。この点融着区域において
は、B繊維のB1成分の溶融固化によって、A繊維とB
繊維相互間が融着されている。この点融着によって、本
発明に係る伸縮性不織布は、その形態が保持されている
のである。この点融着区域は、原A繊維と原B繊維とよ
りなる繊維ウェブを形成し、この繊維ウェブを公知のエ
ンボスロールに導入することによって形成される。エン
ボスロールの温度は、[B1m−15℃]〜A1mであるのが
好ましい。エンボスロールの温度が[B1m−15℃]より
低いと、点融着区域において、B1成分の溶融固化が生
じにくく、A繊維とB繊維相互間が融着しにくくなり、
不織布形態を保持するのに十分な強力が得られない傾向
となる。逆に、エンボスロールの温度がA1mよりも高い
と、原A繊維のA1成分が溶融する恐れがあり、原A繊
維の捲縮が十分に発現しない傾向になると共に、点融着
区域以外の区域においてもA繊維相互間等が融着する恐
れがある。なお、点融着区域の総面積は、不織布全面積
に対して6%以上であることが、好ましい。前記したよ
うに点融着区域は、不織布形態の保持のためになされる
ものであるため、6%未満であると、不織布形態の保持
が不十分となる傾向が生じる。また、逆に点融着区域の
総面積を50%以上とすると、非融着区域が相対的に少な
くなり、A繊維が自由に伸縮する長さが短くなって、伸
縮性が低下する傾向となる。更に、点融着区域が相対的
に多くなって、不織布の風合が低下する傾向も生じる。
従って、点融着区域の総面積は、8〜45%程度が好まし
く、特に10〜40%程度が最も好ましい。なお、不織布の
点融着区域の総面積は、以下の如き測定方法で測定され
るものである。即ち、不織布の数個の小片を用い、走査
型電子顕微鏡で拡大撮影し、最小繰返単位の面積に対し
て点融着されている部分の面積の総和の比率を個々に10
回測定した時の平均値で、不織布の点融着区域の総面積
を測定した。
【0018】この点融着区域以外の区域、即ち非融着区
域においては、A繊維同士、B繊維同士及びA繊維とB
繊維とが、各々融着点を持っていない。従って、非融着
区域は、捲縮したA繊維が結合点を持たずに存在してお
り、外力を加えると自由に伸長し、且つその外力を解除
すると自由に元の状態に回復する。例えて言えば、非融
着区域にはスパイラル状のバネが自由な状態で存在して
いるようなものである。そして、このスパイラル状のバ
ネの両端が点融着区域において固定されているのであ
る。従って、この非融着区域の存在が、本発明に係る伸
縮性不織布の良好な伸縮性を具現するのである。この非
融着区域におけるA繊維の捲縮は、原A繊維に熱を与え
ることにより発現させたものである。そして、この捲縮
発現は、点融着区域を設けると同時にか又は直後に行な
われるものである。例えば、この捲縮発現を点融着区域
を設ける前に行なうと、良好な伸縮性を不織布に付与し
えなくなるのである。この理由は定かではないが、A繊
維の捲縮部分の一部が点融着区域によって結合されてし
まい、A繊維の捲縮に伴う良好な伸縮性が阻害されるた
めであると考えられる。
【0019】以上の如き本発明に係る伸縮性不織布は、
30%伸長時の伸長回復率が縦横共に25%以上である。こ
こで、30%伸長時の伸長回復率とは、以下の測定方法に
よって求められるものである。即ち、東洋ボールドウイ
ン社製テンシロンUTM-4-1-100を用い、JIS L-1096Aに記
載のストリップ法にしたがい、試料幅2.5cm,試料長10c
mの試料片に引張速度10cm/分で引張試験を実施し、伸
度が30%時点の強力−伸度曲線を描き(図1のE線)、
その後試料片から引張を解除して試料片の強力−伸度曲
線を描いた(図1のR線)。そして、図1に示す点線部
の面積(X)と斜線部の面積(Y)とを測定し、次式に
よって求めたものである。即ち、30%伸長時の伸長回復
率(%)=100Y/(X+Y)である。また、不織布の
縦とは、不織布製造時における機械の配列方向を言い、
不織布の横とは、この縦方向と直交する方向を言う。不
織布の縦又は横のいずれか一方でも、この30%伸長時の
伸長回復率が25%未満であると、本発明の目的とする伸
縮性を得ることができない。
【0020】また、本発明に係る伸縮性不織布の圧縮剛
軟度は、80g以下である。圧縮剛軟度は、不織布の柔軟
性を表わすものであり、圧縮剛軟度の値が小さいほど柔
軟性に富むものとなる。ここで、圧縮剛軟度は以下の方
法で測定されるものである。即ち、不織布の機械方向
(不織布の縦)に50mmの試料幅を取り、この方向と直交
する方向に100mmの試料長を取った試料片を5個準備し
て、個々の試料片をその試料長方向に曲げて円筒状と
し、その両端部を接合して試料を作成した後、東洋ボー
ルドウイン社製テンシロンUTM-4-1-100を用い、50mm/
分の圧縮速度で試料を試料幅方向に圧縮し、その最大荷
重時の応力を測定し、その平均値を圧縮剛軟度とした。
不織布の圧縮剛軟度が80gを超えると、不織布の柔軟性
が低下し、粗硬感が現われるので、好ましくない。本発
明においては、特に圧縮剛軟度を50g以下とするのが好
ましく、更に30g以下とするのが最も好ましい。
【0021】また、本発明に係る伸縮性不織布の見掛け
密度は0.1g/cm3以下である。見掛け密度は、不織布の
嵩高性を表わすものであり、その値が小さいほど嵩高性
に富むものとなる。ここで、見掛け密度は以下の方法で
測定されるものである。即ち、試料幅10cm,試料長10cm
の試料片を5個準備し、各試料片ごとに目付(g/
2)を測定した後、大栄科学精機製作所製厚み測定器
を用いて、試料片に4.5g/cm2の荷重を印加し、10秒放
置した後の厚み(t)を測定し、次式により見掛け密度
を算出し、その平均値を不織布の見掛け密度とした。見
掛け密度(g/cm3)=[目付(g/m2)/1000t(m
m)]である。見掛け密度が0.1g/cm3を超えると、本
発明の目的とする嵩高性を得ることができない。
【0022】
【実施例】まず、原A繊維として下記のA−1繊維及び
A−2繊維を準備した。 記 [A−1繊維]A1成分として、プロピレン96重量%と
エチレン4重量%とがランダム共重合されたポリプロピ
レン系重合体であって、融点(A1m)138℃,メルトフ
ローレート値10g/10分,Q値5.5のポリプロピレン系
重合体を使用し、A2成分として、融点(A2m)162℃,
メルトフローレート値30g/10分,Q値6.0のポリプロ
ピレン重合体を使用して、各々通常のエクストルーダー
型押し出し機で溶融した。なお、本実施例中において、
メルトフローレート値の測定方法は、ASTM D1238(L)に
準拠した。その後、紡糸孔径0.5mm,孔数300の並列型複
合紡糸口金を用い、単孔吐出量を各々0.5g/分、即ち
1成分とA2成分の比(重量比)を1/1として270℃
の紡糸温度で溶融紡糸した。溶融紡糸後、引き取り速度
1000m/分で引き取って、未延伸の並列型複合フィラメ
ント糸を得た。この未延伸並列型複合フィラメント糸
を、数十本集束してトウとした後、熱延伸した。延伸方
法は、2段熱ローラー延伸機を用い、延伸速度100m/
分,第一ローラー温度70℃,第二ローラー温度90℃,第
三ローラー温度25℃,延伸倍率は最大延伸倍率の80%と
なるようにして、行なった。この延伸トウをスタッファ
ボックスに供給して12個/25mmの屈曲を付与した後、仕
上げ油剤を付与して温度70℃で乾燥し、単繊維繊度2デ
ニール,繊維長51mmの並列型複合短繊維(A−1繊維)
の原綿を得た。このA−1繊維は、5.96g/dの強度及
び68%の伸度を持ち、また温度100℃における乾熱収縮
率が35%で、温度120℃における乾熱収縮率が53%であ
った。なお、本実施例中において、繊維の強伸度は、東
洋ボールドウイン社製テンシロンUTM-4-1-100を用い、
試料長20mmの試料を引張速度20mm/分で測定した。ま
た、「A−1」繊維は、温度100℃で熱処理した場合62
個/25mmの捲縮が発現し、温度120℃で熱処理した場合1
12個/25mmの捲縮が発現した。
【0023】[A−2繊維]A2成分として、プロピレ
ン97.5重量%とエチレン2.5重量%とがランダム共重合
されたポリプロピレン系重合体であって、融点149℃,
メルトフローレート値20g/10分,Q値5.7のポリプロ
ピレン系重合体を使用した以外は、前記A−1繊維の場
合と同様にして、A−2繊維を得た。このA−2繊維
は、温度100℃における乾熱収縮率が39%で、温度120℃
における乾熱収縮率が57%であった。また、温度100℃
で熱処理した場合82個/25mmの捲縮が発現し、温度120
℃で熱処理した場合132個/25mmの捲縮が発現した。
【0024】次に、原B繊維として下記のB−1〜6繊
維を準備した。 [B−1繊維]B1成分として、融点(B1m)132℃,密
度0.96g/cm3,メルトインデックス20の高密度ポリエ
チレンを使用し、B2成分として、融点(B2m)258℃,
テトラクロルエタンとフェノールとを等量混合した溶媒
で溶解した時の20℃における相対粘度が1.38のポリエチ
レンテレフタレートを使用して、各々通常のエクストル
ーダー型押し出し機で溶融した。なお、本実施例中にお
いて、メルトインデックスは、ASTM D1238(E)の方法で
測定した。その後、紡糸孔径0.5mm,孔数300の芯鞘型複
合紡糸口金を用い、単孔吐出量を各々0.3g/分、即ち
1成分とB2成分の比(重量比)を1/1として280℃
の紡糸温度で溶融紡糸した。なお、この溶融紡糸におい
て、B1成分が鞘となりB2成分が芯となるようにした。
溶融紡糸後、引き取り速度1000m/分で引き取って、未
延伸の芯鞘型複合フィラメント糸を得た。この未延伸芯
鞘型複合フィラメント糸を、数十本集束してトウとした
後、熱延伸した。延伸方法は、2段熱ローラー延伸機を
用い、延伸速度100m/分,第一ローラー温度65℃,第
二ローラー温度90℃,第三ローラー温度25℃,延伸倍率
3.0の条件で行なった。この延伸トウをスタッファボッ
クスに供給して11個/25mmの屈曲を付与した後、仕上げ
油剤を付与して温度70℃で乾燥し、単繊維繊度2デニー
ル,繊維長51mmの芯鞘型複合短繊維(B−1繊維)の原
綿を得た。この原綿を110℃の熱風乾燥機で熱処理して
捲縮数を測定したら、98個/25mmであった。
【0025】[B−2繊維]B1成分として、ナイロン
6とナイロン66とナイロン12とが共重合されてなるポリ
アミド系重合体であって、融点(B1m)120℃,96%濃
硫酸に溶解した時の25℃における相対粘度が1.92のポリ
アミド系重合体を使用し、B2成分として、融点
(B2m)225℃,96%濃硫酸に溶解した時の25℃におけ
る相対粘度が2.60のナイロン6を使用して、各々通常の
エクストルーダー型押し出し機で溶融した。その後、紡
糸孔径0.5mm,孔数96の芯鞘型複合紡糸口金を用い、単
孔吐出量を各々0.33g/分、即ちB1成分とB2成分の比
(重量比)を1/1として265℃の紡糸温度で溶融紡糸
した。なお、この溶融紡糸において、B1成分が鞘とな
りB2成分が芯となるようにした。溶融紡糸後、引き取
り速度3000m/分で引き取って、半延伸の芯鞘型複合フ
ィラメント糸を得た。この半延伸芯鞘型複合フィラメン
ト糸を、数十本集束してトウとして、スタッファボック
スに供給して15個/25mmの屈曲を付与した後、仕上げ油
剤を付与して温度70℃で乾燥し、単繊維繊度2デニー
ル,繊維長51mmの芯鞘型複合短繊維(B−2繊維)の原
綿を得た。
【0026】[B−3繊維]B1成分として、融点(B
1m)132℃,密度0.96g/cm3,メルトインデックス20の
高密度ポリエチレンを使用し、B2成分として、融点
(B2m)162℃,メルトフローレート値30g/分,Q値
6.0のポリプロピレン重合体を使用して、各々通常のエ
クストルーダー型押し出し機で溶融した。その後、紡糸
孔径0.5mm,孔数300の芯鞘型複合紡糸口金を用い、単孔
吐出量を各々0.5g/分、即ちB1成分とB2成分の比
(重量比)を1/1として230℃の紡糸温度で溶融紡糸
した。なお、この溶融紡糸において、B1成分が鞘とな
りB2成分が芯となるようにした。溶融紡糸後、引き取
り速度1000m/分で引き取って、未延伸の芯鞘型複合フ
ィラメント糸を得た。この未延伸芯鞘型複合フィラメン
ト糸を、数十本集束してトウとした後、B−1繊維の場
合と同様にして熱延伸し、更に仕上げ油剤を付与して温
度70℃で乾燥した。得られたB−3繊維は、単繊維繊度
2デニール,繊維長51mmの芯鞘型複合短繊維であった。
【0027】[B−4繊維」商品名メルティ<4080>
(ユニチカ株式会社製)を準備した。この繊維は、芯鞘
型複合繊維であって、鞘成分(B1成分)として融点
(B1m)110℃の変性ポリエステルを使用し、芯成分
(B2成分)としてポリエステルを使用したものであ
る。また、この繊維の繊度は2デニール,繊維長は51mm
である。
【0028】「B−5繊維」B1成分として、融点(B
1m)132℃,密度0.96g/cm3,メルトインデックス20の
高密度ポリエチレンを使用し、B2成分として、融点
(B2m)160℃,メルトフローレート値10g/10分,Q
値6.5のポリプロピレンを使用して、各々通常のエクス
トルーダー型押し出し機で溶融した。その後、紡糸孔径
0.5mm,孔数300の並列型複合紡糸口金を用い、単孔吐出
量を各々0.42g/分、即ちB1成分とB2成分の比(重量
比)を1/1として230℃の紡糸温度で溶融紡糸した。
溶融紡糸後、引き取り速度1000m/分で引き取って、未
延伸並列複合フィラメント糸を得た。この未延伸並列型
複合フィラメント糸を、数十本集束してトウとした後、
熱延伸した。延伸方法は、2段熱ローラー延伸機を用
い、延伸速度100m/分,第一ローラー温度65℃,第二
ローラー温度90℃,第三ローラー温度25℃,延伸倍率4.
0の条件で行なった。この延伸トウをスタッファボック
スに供給して11個/25mmの屈曲を付与した後、仕上げ油
剤を付与して温度70℃で乾燥し、単繊維繊度2デニー
ル,繊維長51mmの並列型複合短繊維(B−5繊維)の原
綿を得た。この原綿を110℃の熱風乾燥機で熱処理して
捲縮数を測定したところ、75個/25mmであった。
【0029】「B−6繊維」B1成分として、イソフタ
ル酸を40モル%共重合した、融点(B1m)110℃の共重
合ポリエステルであって、テトラクロルエタンとフェノ
ールとを等量混合した溶媒で溶解した時の20℃における
相対粘度が1.36の共重合ポリエステルを使用し、B2
分として、融点(B2m)258℃,テトラクロルエタンと
フェノールとを等量混合した溶媒で溶解した時の20℃に
おける相対粘度が1.38の共重合ポリエステルを使用し
て、各々通常のエクストルーダー型押し出し機で溶融し
た。その後、「B−5繊維」を得たのと同様の条件で、
原綿を得た。この原綿を110℃の熱風乾燥機で熱処理し
て捲縮数を測定したところ、82個/25mmであった。
【0030】また、その他の繊維として下記のC−1,
2繊維を準備した。 [C−1繊維」商品名<C−81>(ユニチカ株式会社
製)を準備した。この繊維は、並列型複合繊維であっ
て、第一成分(B1成分)として融点(B1m)243℃の変
性ポリエステルを使用し、第二成分(B2成分)として
ポリエステルを使用したものである。また、この繊維の
繊度は2デニール,繊維長は51mmである。
【0031】[C−2繊維」コットン繊維を準備した。
【0032】実施例1〜6及び比較例1及び2 表1に示したように、原A繊維,原B繊維及びその他の
繊維を所定の割合で使用して混綿し、フラットカード機
に供給して開繊し、目付50g/m2のカードウェブを作
成した。
【表1】 このカードウェブを由利ロール株式会社製のクリアラン
スカレンダー機に導入した。クリアランスカレンダー機
の下部ロールはスチール製のフラットロールであり、上
部ロールは多数の凸部を有するエンボスロールを使用し
た。このエンボスロールの凸部は、密度10個/cm2であ
り、ロール全面積に対する凸部の総面積は表1に示した
とおりであった。また、クリアランスカレンダー機にカ
ードウェブを導入する際の条件は、導入速度5m/分,
ロール間の線圧27kg/cm,ロール温度[B1m−5℃]と
した。なお、原B繊維を使用しない場合のロール温度は
実施例3と同一の温度とした。クリアランスカレンダー
機によってエンボス加工した後、熱風循環式熱処理機を
使用し、雰囲気温度をロール温度と同一にして、1分間
弛緩熱処理を行ない、伸縮性不織布を得た。この伸縮性
不織布の各物性を表2に示した。
【0033】
【表2】 表2の結果より明らかなとおり、実施例に係る伸縮性不
織布は、伸長回復性,嵩高性,柔軟性に優れていること
が分かる。但し、実施例6に係る伸縮性不織布は、相対
的にその他の繊維が多く、B繊維が少ないためKS強力
が低く、強度を必要とする用途には使用しにくいもので
あった。また、比較例1に係る不織布は、A繊維の量が
相対的に少ないため、伸縮性,嵩高性,柔軟性に劣るも
のであった。比較例2に係る不織布は、熱接着性繊維で
あるB繊維が存在しないため、クリアランスカレンダー
機によって、不織布に点融着区域を設けることができな
かった。
【0034】実施例7〜9及び比較例3 原A繊維としてA−1繊維50重量%と、原B繊維として
B−1繊維50重量%とを混綿して、カード機に供給して
開繊し、目付50g/m2のカードウェブを作成した。こ
のカードウェブを、由利ロール株式会社製のクリアラン
スカレンダー機に導入した。クリアランスカレンダー機
の下部ロールはスチール製のフラットロールであり、上
部ロールは表3に示すエンボスロール又はフラットロー
ルを使用した。また、クリアランスカレンダー機にカー
ドウェブを導入する際の条件は、導入速度5m/分,ロ
ール間の線圧27kg/cm,ロール温度125℃とした。その
結果得られた伸縮性不織布の物性を表3に示した。
【表3】 表3から明らかなとおり、実施例に係る伸縮性不織布
は、伸長回復性,嵩高性,柔軟性に優れていることが分
かる。一方、比較例3に係る不織布は、点融着区域が設
けられておらず、不織布全面が熱圧着されているため、
伸縮性,嵩高性,柔軟性に劣るものであった。
【0035】比較例4 原A繊維としてA−1繊維50重量%と、原B繊維として
B−3繊維50重量%とを混綿して、フラットカード機に
2回供給して開繊し、目付20g/m2のパラレルウェブ
を作成した。このパラレルウェブを、雰囲気温度140℃
に設定された熱風循環式ドライヤーに導入し、その後ド
ライヤー出口において室温のエンボス金属ロールとフラ
ットゴムロールとの間に導入して、エンボス型に型付け
された不織布を得た。この得られた不織布の物性等を表
4に示した。
【表4】 表4から明らかなとおり、この不織布は、型付けされた
以外の部分においてもA繊維相互,B繊維相互,及びA
繊維とB繊維相互間が接着しており、伸縮性及び柔軟性
に劣るものであった。これは、A1mよりも高い温度に設
定された熱風循環式ドライヤーに、パラレルウェブを導
入したためと考えられる。更に、この不織布は、各繊維
の収縮による目付斑が随所に現われ、地合い,品位共に
著しく劣っていた。従って、この不織布は、使い捨てお
しめや生理用ナプキン等の医療衛生材の表面材として不
適なものであった。
【0036】実施例10〜13及び比較例5 原A繊維としてA−1繊維70重量%と、原B繊維として
B−2繊維30重量%とを混綿して、カード機に供給して
開繊し、目付50g/m2のカードウェブを作成した。こ
のカードウェブを、由利ロール株式会社製のクリアラン
スカレンダー機に導入した。エンボスロールの温度(加
工温度)を表5に示すように変更し、その他の加工条件
は実施例1と同様にした。この結果得られた不織布の物
性等を表5に示した。
【表5】 表5から明らかなとおり、実施例に係る不織布は、伸長
回復性,嵩高性,柔軟性に優れていることが分かる。但
し、実施例13に係る伸縮性不織布は、加工温度が低いた
め、KS強力が低く、強度を必要とする用途には使用し
にくいものであった。また、比較例5に係る不織布は、
その製造過程で加工温度が高すぎて、点融着区域以外の
区域においても各繊維が部分的に溶融又は軟化し、その
結果エンボス加工直後に不織布がフラットロールに巻き
付いて、現実的に生産することができなかった。
【0037】実施例14〜19及び比較例7 表6に示した繊維配合によって、実施例1〜6と同様の
条件で伸縮性不織布を得た。従って、エンボスロール温
度は[B1m−5℃]とした。
【表6】 そして、得られた伸縮性不織布の各物性等を表7に示し
た。
【表7】 表7の結果より明らかなとおり、実施例に係る伸縮性不
織布は、伸長回復性,嵩高性,柔軟性に優れていること
が分かる。但し、実施例19に係る伸縮性不織布は、相対
的にその他の繊維が多く、B繊維が少ないためKS強力
が低く、強度を必要とする用途には使用しにくいもので
あった。また、比較例7に係る不織布は、A繊維の量が
相対的に少ないため、伸縮性,嵩高性,柔軟性に劣るも
のであった。
【0038】実施例20〜22及び比較例8 B−1繊維に代えて、B−5繊維を使用する以外は、実
施例7〜9及び比較例3の方法と同様にして、伸縮性不
織布を得た。その結果を表8に示した。
【表8】 表8から明らかなとおり、実施例に係る伸縮性不織布
は、伸長回復性,嵩高性,柔軟性に優れていることが分
かる。一方、比較例8に係る不織布は、点融着区域が設
けられておらず、不織布全面が熱圧着されているため、
伸縮性,嵩高性,柔軟性に劣るものであった。
【0039】比較例9〜12 表9に示したように、原A繊維,原B繊維及びその他の
繊維を所定の割合で使用して混綿し、フラットカード機
に供給して開繊し、目付80g/m2のカードウェブを作
成した。
【表9】 このカードウェブを、雰囲気温度130℃に設定された熱
風循環式ドライヤーに導入し、1分間熱処理して、原A
繊維及び原B繊維共に捲縮を発現させ、目付100g/m2
の捲縮繊維ウェブとした。次に、スポットエンボス加工
機で、点融着密度1個/cm2,点融着面積1mm2/個とな
るようにして、点融着を施し不織布を得た。この不織布
の物性を表10に示した。
【表10】 表10からも分かるように、各比較例に係る不織布は、捲
縮発現後に点融着したため、捲縮繊維の捲縮部が固定さ
れ伸縮性に乏しいものであった。また、捲縮発現して見
掛け密度が大きくなった後に、点融着しているため、こ
の不織布は見掛け密度が大きく、且つ柔軟性にも乏しい
ものであった。しかも、この不織布は、原A繊維及び原
B繊維の捲縮による目付斑が随所に現われ、不織布の地
合い,品位共に著しく劣っており、使い捨ておしめや生
理用ナプキン等の医療衛生材の表面材としては不適であ
った。
【0040】実施例23及び比較例13,14 原A繊維としてA−2繊維50重量%と、原B繊維として
B−2繊維50重量%とを混綿して、カード機に供給して
開繊し、目付50g/m2のカードウェブを作成した。こ
のカードウェブを、由利ロール株式会社製のクリアラン
スカレンダー機に導入した。エンボスロールの温度(加
工温度)を表11に示すように変更し、その他の加工条件
は実施例1と同様にした。この結果得られた不織布の物
性等を表11に示した。
【表11】 表11から明らかなとおり、実施例に係る不織布は、伸長
回復性,嵩高性,柔軟性に優れていることが分かる。一
方、比較例13に係る不織布は、加工温度が低いため、点
融着部が形成できず、若干の伸長によって破壊し、伸長
回復率の測定ができなかった。また、比較例14に係る不
織布は、その製造過程で加工温度が高すぎて、点融着区
域以外の区域においても各繊維が部分的に溶融又は軟化
し、その結果エンボス加工直後に不織布がフラットロー
ルに巻き付いて、現実的に生産することができなかっ
た。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る伸縮
性不織布は、特定のA繊維と特定のB繊維とが特定量混
合されてなり、このA繊維とB繊維とは特定の形態で接
着し、且つこの不織布の物性値を一定の範囲内のものと
したので、伸縮性,柔軟性,嵩高性に優れ、パップ材や
サポーター等の医療衛生材の基布として、或いは使い捨
ておしめや生理用ナプキン等の衛生用品の表面材とし
て,好適に使用しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において使用する伸長回復率の定義を説
明するための強力−伸度曲線である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の構造を具備する不織布であって、
    30%伸長時の伸長回復率は縦横共に25%以上であり、圧
    縮剛軟度は80g以下であり、見掛け密度は0.1g/cm3
    下であることを特徴とする伸縮性不織布。 記 (a)該不織布中には、ポリプロピレン系捲縮繊維(以
    下、「A繊維」という。)と熱接着性繊維(以下、「B
    繊維」という。)とが含有されており、両者の重量比率
    は、A繊維:B繊維=100(重量部):5〜400(重量
    部)であること。 (b)A繊維は、第一成分(以下、「A1成分」という。)
    と第二成分(以下、「A2成分」という。)とよりなる
    複合繊維であって、A1成分の融点(以下、「A1m」と
    いう。)はA2成分の融点(以下、「A2m」という。)
    より低いこと。 (c)B繊維は、第一成分(以下、「B1成分」という。)
    と第二成分(以下、「B2成分」という。)とよりなる
    複合繊維であって、B1成分の融点(以下、「B1m」と
    いう。)はA1mより低く、且つB2成分の融点(以下、
    「B2m」という。)はB1mより高いこと。 (d)該不織布には間歇的に点融着区域が設けられてお
    り、該点融着区域においては、該B繊維の該B1成分の
    溶融固化によって、該A繊維と該B繊維相互間が融着さ
    れており、不織布形態を保持していること。 (e)該点融着区域以外の非融着区域においては、該A繊
    維同士、該B繊維同士、及び該A繊維と該B繊維とが各
    々融着点を持たないこと。 (f)該A繊維の捲縮は、ポリプロピレン系潜在捲縮性繊
    維に、点融着区域を設けると同時に又は直後に、熱を与
    えることにより発現したものであること。
  2. 【請求項2】 B繊維が捲縮繊維であって、該B繊維の
    捲縮は潜在捲縮性繊維に熱を与えることによって発現し
    たものである請求項1記載の伸縮性不織布。
  3. 【請求項3】 B繊維が非捲縮繊維である請求項1記載
    の伸縮性不織布。
  4. 【請求項4】 点融着区域の総面積は、不織布全面積に
    対して6%以上である請求項1記載の伸縮性不織布。
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