JP3321352B2 - 木造建築用免震ゴム体を組み込んだ木造建築用免震連結構造 - Google Patents

木造建築用免震ゴム体を組み込んだ木造建築用免震連結構造

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JP3321352B2
JP3321352B2 JP01706096A JP1706096A JP3321352B2 JP 3321352 B2 JP3321352 B2 JP 3321352B2 JP 01706096 A JP01706096 A JP 01706096A JP 1706096 A JP1706096 A JP 1706096A JP 3321352 B2 JP3321352 B2 JP 3321352B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,木造建造物にお
いて,木製建築用構造材と他の建築用構造材とを連結す
るのに用いられる連結金具と共に使用される木造建築用
免震ゴム体を組み込んだ木造建築用免震連結構造に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般家屋等の木造建築の建築方法として
は,大きく分けて次の二つの方法が用いられている。一
つの方法は,我が国伝来の工法である柱や梁,筋交い等
の強度を担う木製の構造材即ち木製建築用構造材を組む
在来軸組工法であり,他の方法は,北米で生まれて発達
してきた工法であって規格材を組んだ枠即ち柱材に構造
用合板の板材を張って作られた壁,床,屋根等のパネル
即ち枠組材を組み立てていく所謂2×4(ツーバイフォ
ー)工法である。後者の工法は,枠組壁工法とも称され
ており,使用木材や施工が規格化,単純化された合理的
な工法である一方で,耐震性や耐火性に特性を有する工
法として我が国に導入されている。
【0003】いずれの工法であっても,木造建築物であ
る家屋自身の重量や家屋内に据え付けたり収納した物品
の重量は,床,根太,桁,柱等の構造材を介して地盤に
打設したコンクリート製の基礎に支持される。一階と基
礎との間においては,地盤に打設したコンクリート製の
基礎の上に木製の土台を載せた基礎構造や大引を支える
束が用いられている。土台の上には柱が立設されたり,
大引,根太等の建築用構造材が架け渡される。二階以上
の上階においても,柱と梁との間や柱と胴差との間のよ
うに,木製建築用構造材を組んで連結し,上部からの荷
重を支えると共にその荷重を他の建築用構造材で支持し
ている。
【0004】一方,最近の都市部での一戸当たりの宅地
面積が小面積化していることに対応して従来の建築制限
の緩和が図られ,木造建築物においても,広い容積率を
確保することができる三階建ての建物が普及しつつあ
る。三階建ての木造建築においては,基礎,基礎に載置
される土台及び土台の上に立設される柱からなる基礎連
結構造材に作用する荷重が従来の二階建ての場合に比較
して格段に大きくなるので,基礎連結構造材は大きな荷
重に耐える必要がある。また,一階と二階の間の柱と梁
との間の連結構造について,木製の構造材のみで二階以
上の家屋とその収容物の荷重を支え且つ歪みを生じない
ようにする必要がある。従って,通常,柱等の建築構造
材の連結にはホールダウン金具等の連結金具が用いられ
ている。
【0005】三階建ての建造物に限らず,二階建ての建
造物において,各構造材間において,建物の構造の骨格
を維持するために連結金具を用いた主要な連結構造が存
在する。主要な連結構造の一つが,コンクリート製の基
礎と該基礎の上に載置される木製土台との間の連結構造
である。従来,基礎と土台とは,基礎にアンカーボルト
等の連結金具を埋設し,上方に突出した連結金具の上部
を土台に形成した貫通穴に通し,連結金具の上端に形成
した雄ねじに座金を介してナットを螺合することによっ
て互いに連結されている。土台に加わる荷重は,土台の
下面と基礎の上面からなる対向面を介して基礎に支持さ
れる(例えば,特開平4−272373号公報参照)。
上記連結構造は,基礎と土台との間に適宜の間隔を置い
て挿入される震動緩衝装置が相当の高さであり,簡素な
構造とは言えない。土台と基礎との間には,湿気の侵入
を防ぐために防湿パッキン等のシート材を介在させるこ
ともあるが,本来的に耐震性を考慮して設けられていな
い。また,従来の木造建築用連結構造は,アンカーボル
トによる連結具との関連の観点から耐震性の向上が考慮
されていない。
【0006】また,別の連結構造は,土台と柱との間,
又は枠組壁工法による建築の場合に床根太を挟んで配置
される上下階の壁枠組構造の間のものである。該連結構
造の連結金具として,ホールダウン金具が用いられてい
る。ホールダウン金具が柱に対してボルト等の固着具に
よって固定され,土台や根太を貫通した連結軸部がホー
ルダウン金具に係合されることによって,家屋が地震に
襲われた時にも,柱と土台や根太との間で位置のずれや
姿勢の歪みが生じないように拘束している。
【0007】また,在来の軸組工法による建築の場合,
隅柱のような縦構造材と胴差や梁のような横構造材との
間には,羽子板ボルト等の連結金具を用いた連結構造が
ある。羽子板ボルトは,平板部分を横設構造材に対して
連結し,ボルト部分を柱に貫通させて係合させることに
より,家屋が地震に襲われた時にも,柱と胴差とは当初
の組付け位置及び角度を維持できるように,両構造材を
拘束している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】地震等による地盤の振
動が基礎に作用した場合,防湿パッキン等のシート材で
は制振作用を期待することができないので,振動が基礎
から土台に直接伝達される。震源が近いほど最初の縦地
震波(縦揺れ)と,次いで来襲する横地震波(横揺れ)
とは,殆ど時間をおかず,第一撃となって襲来する。地
震による揺れは,基礎から土台の上部に構築されている
各階の柱,胴差,根太等の構造材に伝達され,これらの
構造材が強い振動に晒される。構造材の連結構造が完全
な剛性を有することは,何等の減衰をせずに二階等の他
の家屋部分に地震の揺れがそのまま伝わることを意味
し,かえって家屋全体の揺れを大きくする。木造家屋
は,特に構造材の連結部分が地震の第一撃に耐えて持ち
堪えることができなければ,建物全体が倒壊するか,又
は一部破壊であっても住居としての機能を持つことがで
きない損害を被る。逆に,構造材の連結部分が地震の第
一撃に耐えることができれば,後続する地震の揺れにも
耐えることができ,建物としての機能を損わずに済む可
能性が高い。従って,木造建築における基礎と土台との
間,土台と柱との間,上下階の柱間,或いは柱と胴差と
の間等の木造建築に用いられる主として木製の構造材間
での連結において,通常は堅固に連結するが,地震によ
る震動に晒された時は,特に地震の第一撃を緩和する連
結具が望まれている。
【0009】一方,従来から,基礎からの振動が土台に
直接伝達されないようにするために,或いは階下から階
上への振動の伝播を減衰させるために,連結構造に震動
減衰用のばねの要素を含ませる等,免震構造として種々
の技術が提案されてきているが,基礎構造の高さを増や
すことなく縦揺れと横揺れを十分に吸収したり緩衝する
ことができるものは得られていない。免震構造の高さが
嵩高になると,法令や協定等により種々の建築制限があ
る地域においては,建築しようとする建物の仕様に制限
が加わり,居住性が悪化する等の不具合がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は,地震
の第一撃と構造材の連結構造との間に上記の関係がある
ことの知見に基づいて,木製建築用構造材と他の建築用
構造材とを互いに連結するのに用いられる連結金具と共
に使用され,前記建築用構造材間の連結構造の強度を低
下させることなく,通常は適度な剛性を示しつつ地震時
にはその第一撃,引き続く地震の衝撃を緩和させること
ができる木造建築用免震ゴム体を組み込んだ木造建築用
免震連結構造を提供することである。
【0011】この発明は,木製建築用構造材に形成され
た貫通孔に挿通され且つ前記貫通孔の内周面に接触する
部分的な凸部と前記凸部間の凹部とを外周面に備えると
共に長手方向に形成された挿通孔を備えたゴム製筒体か
ら成る木造建築用免震ゴム体と,前記木製建築用構造材
を他の建築用構造材に対して連結される連結部,前記筒
体の前記挿通孔に挿通される軸部及び前記木製建築用構
造材から前記筒体の抜け出しを防止する抜止め手段を有
する前記木製建築用構造材を前記建築用構造材に連結す
る連結金具とから構成され,前記木製建築用構造材と前
記連結金具の前記抜止め手段を構成する前記木製建築用
構造材の前記貫通孔から突出したねじ部に螺合するナッ
トとの対向面間には,表面に多数の凸部と凹部が形成さ
れた免震ゴム座金が介装されていることから成る木造建
築用免震連結構造に関する。
【0012】前記連結金具は前記建築用構造材としての
コンクリート製基礎に前記連結部が埋設されたアンカー
ボルトであり,前記木製建築用構造材は前記基礎の上に
載置された前記貫通孔を備えた木製土台であり,前記抜
止め手段は前記アンカーボルトの先端に形成された前記
土台の前記貫通孔から突出した前記ねじ部と前記ねじ部
に螺合する前記ナットから構成されている。前記アンカ
ーボルトを土台に挿通し,前記アンカーボルトの先端に
形成されたねじ部にナットを螺合させ,前記ナットを締
め付けて免震ゴム体を軸線方向に圧縮すると,免震ゴム
体の外周面に形成された部分的な凸部が土台の貫通孔の
内面に強く圧接されて間隙を無くし,基礎と土台との間
の水平方向の震動を緩和するようになる。
【0013】前記木製建築用構造材と前記建築用構造材
との対向面間には,表面に多数の凸部と凹部が形成され
た免震ゴムマットが介装されている。また,免震ゴム座
金を免震ゴムマットと合わせて使用すると,土台と基礎
及びアンカーボルトの三者間では直接的な接触が完全に
回避され,いかなる方向からの震動に対しても衝撃が緩
和される。従って,この木造建築用免震連結構造は,土
台とアンカーボルトとの直接的な接触を回避して震動の
伝達を更に緩和させることができ,免震ゴム座金は,上
下方向の震動がコンクリート製基礎からアンカーボルト
を介してナットから木製土台に直接伝達されるのを防止
し,衝撃を緩和することができる。
【0014】前記連結金具は,前記木製建築用構造材を
構成する柱に連結される連結部と,前記土台に形成され
た貫通孔又は前記土台と前記木製建築用構造材を構成す
る根太とに形成された貫通孔に挿通された前記木造建築
用免震ゴム体の挿通孔に挿通する軸部とから成るホール
ダウン金具である。また,前記抜止め手段は,前記連結
金具の前記軸部の先端において前記土台の下面と係合す
る平板部,又は前記土台を載置する前記基礎への埋設部
から構成されている。
【0015】この木造建築用免震連結構造は,在来軸組
工法による木造建築においては,土台の上には柱が立設
されており,上記のように,土台に形成された貫通孔に
免震ゴム体が装填される。地震による震動が土台と柱と
の間に作用すると,柱は土台に対して傾いたり位置ずれ
をする力を受ける。この時,コンクリート製基礎と柱と
に連結されたホールダウン金具の軸部が,木造建築用免
震ゴム体を挿通しているので,上記力を緩衝しつつ歪み
に対抗する力やモーメントを生じさせる。木造建築用免
震ゴム体は,震動のうち特に水平方向成分を緩和し,土
台と柱との組付け当初の位置と姿勢とを維持する。
【0016】前記木製建築用構造材は,他の建築用構造
材としての柱を立設する側根太及び前記側根太を上に載
置した土台となる。土台の上に側根太を敷き,側根太の
上に柱を立設する構造は,特に枠組壁工法による木造建
築において見られる構造である。この木造建築用免震連
結構造は,土台と側根太に形成された貫通孔に免震ゴム
体が装填されており,免震ゴム体の軸心部を軸部が挿通
するホールダウン金具の上下両端が,それぞれ上下階の
柱に連結される。震動が土台及び側根太と,壁枠組の柱
との間に作用する時,免震ゴム体の機能は,在来軸組工
法の木造建築に用いられるホールダウン金具と同様であ
る。震動のうち特に水平方向成分は,土台の貫通孔に装
填された免震ゴム体によって緩和され,土台や側根太と
壁枠組との間の位置と姿勢とが維持される。また,震動
が上下階の間で伝わると,上下階の柱間の特に水平方向
の変位は,免震ゴム体で緩衝し,両柱と側根太の位置や
姿勢を維持する。
【0017】枠組壁工法では,建築用構造材としての壁
枠組を構成する柱は,断面矩形木材を薄板厚方向で且つ
貫通孔の貫通方向に複数枚重ね合わせた合わせ材で構成
されることがある。この場合,通しボルトは,ホールダ
ウン金具である連結金具の柱への連結に用いるのみなら
ず,軸部の両端において前記合わせ材を挟着結合する働
きを有する。即ち,柱が合わせ材である場合は,柱の合
わせ方向に貫通孔を形成して,前記貫通孔に前記貫通孔
の内面に対して部分的に当接する凸部を有する免震ゴム
体を装填し,免震ゴム体の軸心部に形成した挿通孔に通
しボルトの軸部を挿通させて,通しボルトの頭部とねじ
部に螺合するナットによって合わせ材を挟着することが
できる。柱とホールダウン金具とは,木造建築用免震ゴ
ム体を介して連結されることになり,両者間に作用する
震動に対しては,緩衝しつつ歪みを生じないように対抗
する。
【0018】前記連結金具を,一端を一方の前記柱に対
して連結し,他端を他方の前記柱に対して連結したホー
ルダウン金具とすると,前記木製建築用構造材は,上下
階における前記他の建築用構造材としての柱と交差する
床構造としての側根太となる。側根太を貫通したホール
ダウン金具で上下階における柱を直接に連結する構造
は,特に枠組壁工法による木造建築において見られる構
造である。
【0019】前記木製建築用構造材は柱材と前記柱材に
固定された板材から成る枠組材から構成され,前記枠組
材に形成された貫通孔内に前記木造建築用免震ゴム体が
挿入され,前記連結金具は前記木造建築用免震ゴム体の
前記挿通孔に挿通して前記枠組材に係合する挿通ボルト
で構成されている。
【0020】前記連結金具は,前記木製建築用構造材を
構成する胴差や梁の横設構造材に連結される板部,前記
横設構造材に対して連結された前記木製建築用構造材を
構成する柱に形成された貫通孔に挿通した前記木造建築
用免震ゴム体の前記挿通孔に挿通したボルト部,及び前
記柱から前記木造建築用免震ゴム体の抜け出しを防止す
る前記ボルト部のねじに螺入する前記抜止め手段から構
成されている。また,前記免震ゴム体が軸方向に圧縮さ
れ,前記部分的な凸部が前記木製建築用構造材の前記貫
通孔の内面に圧接されている。
【0021】前記連結金具の前記他の建築用構造材とし
ての柱又は横設構造材に対する連結部にも,免震ゴム体
を用いることができる。即ち,特に在来軸組工法におい
て,他の建築用構造材である柱や梁を構成する角材にも
貫通孔を形成し,ゴム製筒体から成り且つ前記筒体の外
周面に形成された前記貫通孔の内周面に接触する部分的
な凸部,前記凸部間の凹部及び前記筒体の軸心部に形成
された挿通孔を備えた免震ゴム体を前記貫通孔に装填
し,前記挿通孔に挿しボルトの軸部を挿通することによ
って,連結金具の前記他の建築用構造材に対する連結に
も,震動の緩衝機能を備えることができる。
【0022】また,この発明は,隅柱と胴差とを連結す
る免震連結具は,前記胴差に固定される羽子板ボルトと
前記隅柱に設けられた貫通孔内に挿通されるゴム製筒体
から成る免震ゴム体とから構成され,前記羽子板ボルト
のボルト部は前記免震ゴム体の前記筒体の内部を挿通
し,前記隅柱の前記貫通孔に挿通された前記免震ゴム体
は,前記隅柱の両側にフランジと免震ゴム座金とをそれ
ぞれ配設させて前記隅柱から突出した前記ボルト部のね
じにナットを螺入することによって軸線方向に圧縮さ
れ,前記羽子板ボルトは前記羽子板ボルトの平板部にお
いてボルトによって前記胴差に連結されていることから
成る木造建築用免震連結構造に関する。
【0023】前記木製建築用構造材が前記他の建築用構
造材としての胴差又は梁のような横設構造材と交差する
柱とすると,前記連結金具は,平板部を前記横設構造材
に対して連結し,ボルト部に螺合するナットを前記柱に
連結した羽子板ボルト金具となる。仕口で交差する柱と
梁とを羽子板ボルトで連結する構造は,特に在来軸組工
法で見られる構造である。前記ボルト部の先端に形成さ
れたねじ部に螺合するナットが柱に係合することによ
り,柱と横設構造材とが拘束される。震動が,柱と横設
構造材との間に作用すると,両者の仕口による連結を外
そうとしたり,歪みにより柱を傾けようとする力が作用
するが,柱の貫通孔内に装填された木造建築用免震ゴム
体の凸部が柱の貫通孔の内周面に当接することによって
対抗して組付け当初の位置と姿勢を維持する。
【0024】また,前記免震ゴム体の前記凸部は,周方
向に伸び且つ軸線方向に並列に順次設けられたリング状
突起部に形成され,また,前記凹部は,前記リング状突
起部間に形成されたリング状溝部に形成されている。或
いは,前記免震ゴム体の前記凸部は,軸線方向に螺旋状
に延びる螺旋状突起部に形成され,前記凹部は,前記螺
旋状突起部間に形成された螺旋状溝部に形成されてい
る。また,前記免震ゴム体を軸方向に圧縮して,免震ゴ
ム体の前記部分的な凸部を前記木製建築用構造材の前記
貫通孔の内面に圧接することができる。免震ゴム体の軸
方向の圧縮により,免震ゴム体は筒の径方向に僅かに膨
張し,免震ゴム体を前記貫通孔に装填した時に免震ゴム
体の部分的な凸部と貫通孔との間に残されていた間隙が
吸収される。震動が伝わった時に,免震ゴム体と貫通孔
との間にガタつきがなく,凸部による緩衝が直ちに機能
する。
【0025】前記免震ゴム体は,木造建築の構造材に地
震による震動が伝わると,その軸線方向と交差する方向
の震動に対しては,凸部が木製建築用構造材の貫通孔の
内周面に強く当接し変形するが,これらの凸部の変形は
凸部間に設けられた溝等の凹部が存在しているため,何
等の拘束を受けない。そのため,地震の第一撃の軸線方
向と交差する方向の成分を緩衝することができる。前記
凸部及び前記凹部の形状は,製造コストの点から好まし
いものである。しかしながら,前記凸部及び前記凹部の
これらの形状に限られることなく,種々の形状に形成す
ることもできる。例えば,前記凸部の形状は,前記凹部
の方向や形状等の構造に合わせて,矩形,菱形,円形等
の形状に形成することができる。前記凸部の形状をいず
れの形状としても,前記凸部は,前記筒体の外周面上を
均等に分布し且つ震動に対して適度に変形するがへたり
を容易に生じない面積と高さを有する構造に構成されて
いる。また,前記木造建築用免震ゴム体は,材料の観点
からすると,震動による衝撃に対して変形可能である反
面,通常は構造材を堅固に連結すると共に耐久性を有す
る合成ゴム等で製作されている。
【0026】この木造建築用免震連結構造は,木製建築
用構造材と連結されるべき他の建築用構造材との間に震
動による大きな力が作用すると,連結金具の軸部が貫通
孔を挿通する木造建築用免震ゴム体の凸部が,貫通孔の
内周面に対して当接して変形し,特に地震の第一撃を緩
和する。この木造建築用免震連結構造は,連結金具の軸
部を木造建築用免震ゴム体の貫通孔に挿通した一個の連
結具として扱うことができるので,建築作業現場での取
扱いも好都合である。連結金具の連結部を木製建築用構
造材に対して連結する作業は,連結の工程の最初に行っ
ても最後に行ってもよい。
【0027】一般的には,地震は,震動成分として横波
による水平方向成分と縦波による上下方向成分を有して
いるから,上下方向の震動に対しても衝撃を緩和する必
要がある。即ち,基礎と土台との対向面間に表面に多数
の凸部と凹部が形成された免震ゴムマットを介装すれ
ば,凸部が変形可能であるので,基礎と土台間や建築用
構造材間の連結において地震による衝撃を緩和すること
ができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下,図面を参照して,この発明
による木造建築用免震ゴム体を組み込んだ木造建築用免
震連結構造の実施例を説明する。図1ではこの木造建築
用免震連結構造の基本的な構造材を示しており,実際に
は必要となる各種の補強材等については図示を省略して
ある。
【0029】地盤1にはコンクリート製の布基礎等の基
礎2が打設され,固化した基礎2の上には免震ゴムマッ
トとしての免震兼脱気ゴムマット3を介して木製の土台
4が載置されている。土台4は,後述する免震ゴム体7
0及び免震ゴム座金87を介してアンカーボルト5によ
って基礎2に連結される。土台4には,所定の間隔で柱
6が立設されている。土台4に対して水平方向に交差す
る大引7が比較的に広い間隔を置いて設けられ,大引7
は基礎2や束8によって支えられている。土台4と大引
7上には,比較的狭い間隔を置いて複数の床根太9が平
行に載置されて釘等の手段により固定されている。三階
建ての場合,土台4に対して柱6を連結して直立状態に
保持するためにホールダウン金具10が設けられてい
る。柱6の外側には外壁パネル11が,柱6の内側には
内壁パネル12が施工される。一階部分においては,根
太9の上に免震兼脱気ゴムマット3を介して床板13が
敷かれ,天井部には天井板14が張り渡される。免震兼
脱気ゴムマット3は,床板13上で居住者等が振動を与
えた時に床根太9から大引7に至る床構造に対して加わ
る衝撃を緩和すると共に,当接する木製建築用構造材の
湿気を脱気するものである。床構造は床鳴りを生じるこ
とがあるが,免震兼脱気ゴムマット3は,床根太9から
大引7に伝わる衝撃を緩衝するので床鳴りを防止する働
きもある。
【0030】二階部分及び三階部分は,基本的に一階部
分と同様の構造が施工される。即ち,柱6と仕口で水平
に交差して各階の床構造となる胴差16が,羽子板ボル
ト18(図18)を用いた免震連結具124によって柱
6に対して強固に連結されている。胴差16の上には,
複数の床根太9が比較的狭い間隔を置いて載置されてい
る。床根太9の上には免震兼脱気ゴムマット3を介して
床板13が敷かれており,内装として内壁パネル12及
び天井板14が施工されている。三階屋根の桁20と横
桁21は,たる木及び野地板からなる屋根構造22を支
えている。在来の軸組工法では,建築物自体の荷重や収
納物の荷重は,桁や根太9から胴差16,柱6を介して
最終的にコンクリート基礎2,或いは束8に支えられ
る。軸組工法では,上下階の間における荷重を伝える構
造材は柱6であって,壁自体が面内で荷重を支えること
は殆どない。
【0031】図2には,2×4工法の枠組壁工法による
三階建て木造建築物の基礎から三階部分に至る一部は,
断面で示されている。枠組壁工法における基礎構造は,
図1に示した在来軸組工法による建築の基礎構造と同様
である。地盤31には,コンクリート製の布基礎等の基
礎32が打設され,基礎32の上には,免震兼脱気ゴム
マット3を介して木製の土台34が載置される。土台3
4は,アンカーボルト35によって基礎32に固定され
る。土台34には,所定の間隔で柱36が立設されてい
る。大引37は,土台34の長手方向に対して交差した
方向に比較的に広い間隔を置いて設けられ,基礎32や
束38によって支えられている。土台34と大引37上
には,比較的狭い間隔を置いて複数の床根太39が平行
に載置されて釘等の手段により固定されている。三階建
ての場合,柱36を土台34に対して直立状態に保持す
るホールダウン金具40が設けられている。
【0032】土台34の上において,根太は2本並べた
側根太41となっている。床根太39の上には,免震兼
脱気ゴムマット3を介して床板42が敷かれている。一
階の骨組が終了した後,柱36を含めた壁構造が施工さ
れる。即ち,柱36と,外側には外壁パネル45,内側
の内壁パネル46,床板42上の下枠47及び二階床構
造としての側根太41の下に位置する上枠48とで,枠
組としての壁枠組44が施工される。天井には天井板4
9が張り渡される。
【0033】二階部分と三階部分の構造は,基本的に一
階部分の構造と同様である。二階及び三階の側壁には,
柱36と,外壁パネル45,内壁パネル46,下枠47
及び上枠48とで,壁枠組44が施工される。二階床及
び三階の床根太50の上には免震兼脱気ゴムマット3が
敷かれて床板42を支持している。床板42の最側部
は,矩形断面の板材を横に並べた側根太51の上にあっ
て,一階部分と同様,壁枠組44の下枠47との間に免
震兼脱気ゴムマット3を挟んでいる。上階の壁枠組44
の柱36と下階の壁枠組44の柱36とは,ホールダウ
ン金具52によって互いに引き寄せられ,側根太51,
床板42及び免震兼脱気ゴムマット3は,上階の壁枠組
44の下枠47と下階の壁枠組44の上枠48との間で
挟み込まれて固定されている。
【0034】在来軸組工法及び枠組壁工法のいずれの工
法であっても,木造建築用免震連結構造は,基礎2,3
2と土台4,34との間,柱6と土台4との間,柱6と
胴差16との間のように木造建築用構造材が互いに当接
したり,連結したりする箇所に適用されるものであり,
アンカーボルト5,35,ホールダウン金具10,4
0,52及び羽子板ボルト18のような連結金具と関連
付けて適用されている。しかしながら,この木造建築用
免震連結構造は,これらの実施例に限られることはな
く,少なくとも一方の建築用構造材が木製の構造材であ
る建築用構造材間であれば適用可能である。
【0035】図3及び図4には,木造建築用免震連結構
造に組み込まれた連結金具と関連して用いられる木造建
築用免震ゴム体70,71が示されている。免震ゴム体
70,71は,合成ゴム,好ましくは硬質の合成ゴムか
ら作製され,例えば,概略円柱に成形されている。免震
ゴム体70,71は,アンカーボルト,ホールダウン金
具又は羽子板ボルト等の連結金具,或いはこれらの連結
金具に関連して用いられる挿通ボルトと組み合わせて用
いられる。免震ゴム体70,71の本体72の長手方向
には,連結金具の挿通軸部や通しボルト等が挿通する挿
通孔73が貫通して穿設されている。挿通孔73の径
は,連結金具の挿通軸部の径とほぼ同等に形成され,挿
通孔73に連結金具の軸部を挿通することが可能である
が,軸部を挿通した時に挿通孔73との間に間隙が形成
されない寸法に設定されている。
【0036】免震ゴム体70,71の軸方向長さや外径
は,連結すべき木製建築用構造材の寸法や形成する貫通
孔との関係で定められる。軸方向長さは,免震ゴム体7
0,71を装填する木製建築用構造材に形成する貫通孔
の長さよりも若干長く成形されている。その理由は,免
震ゴム体70,71を木製建築用構造材に形成した貫通
孔に装填した後,木製建築用構造材を他の建築用構造材
に連結する場合に,免震ゴム体70,71は両端面7
4,75に作用する力によって軸方向に若干圧縮される
ので,その変形量を予め見込む必要があるためである。
また,免震ゴム体70,71の軸方向の圧縮によって,
挿通孔73は連結金具の軸部を締め付けて両者の間隙を
吸収する。
【0037】免震ゴム体70,71の外周には,木製建
築用構造材の貫通孔と部分的に接触する凸部が形成され
ている。図3に示す免震ゴム体70では,凸部は,軸方
向に並列して形成された多数のリング状突起部76から
成る。リング状突起部76は隣接する凸部間にリング状
溝部77を形成することによって形成される。図4に示
す免震ゴム体71では,凸部は螺旋状突起部78によっ
て形成されている。図4に示された螺旋状突起部78
は,1条の螺旋であるが,複数条の螺旋でもよい。螺旋
状突起部78は,螺旋状溝部79を形成することによっ
て形成されている。リング状突起部76又は螺旋状突起
部78の凸部の頂面を包絡する円筒曲面の径は,後述す
る構造材の貫通孔の内径よりも僅かに小さく設定されて
いる。このような設定により,建築用構造材の貫通孔へ
の免震ゴム体70,71の装填作業に手間取ることがな
い。免震ゴム体70に形成される部分的な凸部の構造
は,図3及び図4に示したものに限られるおのでなく,
螺旋状溝部79を相互に逆方向に傾斜する溝として本体
72の外面には整列した多数の菱形状の凸部を形成して
もよい。周方向の幅を比較的狭い形状にすれば,軸線方
向と平行な多数の溝を形成してもよい。
【0038】図5には,図1に示した在来の軸組工法に
おいて,この木造建築用免震連結構造を木造建築物のコ
ンクリート製の基礎,木製の土台及び柱間に適用した実
施例が示されている。図6には,図2に示した枠組壁工
法においてこの木造建築用免震連結構造を木造建築物の
コンクリート製の基礎,木製の土台及び柱間に適用した
実施例が示されている。図7には,免震ゴム体をアンカ
ーボルトと共に用いた木造建築用免震連結構造の詳細が
示されている。これらの実施例は,免震兼脱気ゴムマッ
トが基礎と土台との間等の箇所に適用されたものであ
る。
【0039】図3及び図4に示すように,免震ゴム体7
0,71をアンカーボルト5,35と共に用いた免震連
結具80,81によって,コンクリート製の基礎2,3
2と木製の土台4,34との間が連結されている。免震
ゴム体70,71を土台4,34側と柱6,36側にお
いてそれぞれ利用し,ホールダウン金具10,40と共
に用いた免震連結具82,83によって木製の土台4,
34と柱6,36との間が連結されている。コンクリー
ト製の基礎2,32と土台4,34との間には,免震兼
脱気ゴムマット3が介装されている。免震兼脱気ゴムマ
ット3の幅は基礎2,32に合わせてあり,土台4,3
4は,下面全面で免震兼脱気ゴムマット3を介して基礎
2,32に支持されている。免震連結具80,81は基
本的に同等であるので,図7に基づいてのみ説明する。
【0040】免震連結具80は,木製建築用構造材であ
る土台4と他の建築用構造材である基礎2との間を,連
結金具としてのアンカーボルト5とアンカーボルト5の
軸部を挿通した免震ゴム体70とを用いて連結する。ア
ンカーボルト5の基礎2側端部は,L字状に曲げられて
いて,コンクリートに埋設されて強固に連結されてい
る。免震兼脱気ゴムマット3が,基礎2から突き出たア
ンカーボルト5に挿通孔84を通して,基礎2の上面に
載せられる。土台4に形成された貫通孔85にアンカー
ボルト5を通し,土台4を免震兼脱気ゴムマット3を介
して基礎2上に載置する。免震ゴム体70は,挿通孔7
3をアンカーボルト5の上端から挿通させつつ,土台4
に形成された貫通孔85内に装填される。更に,免震ゴ
ム体70の高さは,土台4の高さより若干高く設定され
ており,アンカーボルト5の先端に形成されたねじ部8
6に免震ゴム座金87を介してナット88によって締め
付けると,免震ゴム体70は縦方向に圧縮されて免震ゴ
ム座金87が土台4に当接したところで締め付け作業が
終了する。この時,免震ゴム体70は,軸線方向に圧縮
されるので軸線に交差する径方向に膨張し,外周に形成
された凸部が土台4の貫通孔85の内面に圧接すると共
に,軸心部の挿通孔73がアンカーボルト5の軸部を握
り締める。
【0041】免震兼脱気ゴムマット3は,上記免震ゴム
体70と同様の硬質ゴムから形成されている。図8及び
図9に示すように,免震兼脱気ゴムマット3のゴム基板
90の両面には,基礎2と土台4との対向面に対して部
分的に接触する多数の凸部が形成されている。凸部は,
格子点状に規則的に配列された比較的大径の円形突部9
1を含む。凸部には,周囲の円形突部91によって囲ま
れた位置において各々が配列された比較的小径の円形突
部92も含まれる。小径の円形突部92は,大径の円形
突部91よりも変形し易く,両突部を組み合わせること
により免震兼脱気ゴムマット3の制震特性を調節するこ
とができる。
【0042】円形突部91,92が形成される部分以外
の免震兼脱気ゴムマット3のゴム基板90の面状には,
互いに繋がった凹部93が形成されている。免震兼脱気
ゴムマット3が土台4を支えた時にすべての凸部が完全
に潰れることはないので,免震兼脱気ゴムマット3の上
面と土台4の下面との間,及び下面と基礎2との間に残
される繋がった凹部93は空気が流れ得る脱気路となっ
ている。脱気路は,免震兼脱気ゴムマット3の周囲に滞
る空気を外部に脱気することができる。免震兼脱気ゴム
マット3の所々には,両面間を貫通する脱気孔94が穿
設されている。脱気孔94の径をアンカーボルト5が挿
通することができる大きさとすることが好ましい。この
場合,免震兼脱気ゴムマット3に設ける孔の大きさを一
つの寸法だけにすることができ,製造上有利であると共
に,脱気孔94の幾つかをアンカーボルト5用の挿通孔
84として流用することができる。
【0043】脱気孔94は,免震兼脱気ゴムマット3の
両面において,凹部93を繋ぐ位置に設けられる。脱気
孔94が設けられる位置とその近傍には凸部を設けず,
脱気孔94の周囲をすべて凹部93とするのが,脱気効
率上好ましい。空気は脱気孔94を通って免震兼脱気ゴ
ムマット3の一方の表面から他方の表面へと流れ得る。
この流れに合わせて,免震兼脱気ゴムマット3の表面に
も外部から凹部93を通って脱気孔94への流入,又は
脱気孔94から凹部93を経て外部への空気の流出が生
じて,土台4の下面から湿気を奪って最終的には建物外
部へ脱気することができる。免震ゴム体70に軸線方向
に空気が流れることのできる脱気溝を形成するか,或い
は挿通孔85の内周に軸方向に伸びる脱気溝を設けれ
ば,アンカーボルト5の位置においても免震ゴム体70
を貫く方向の脱気作用を得ることができる。免震ゴム体
70は,下端を免震兼脱気ゴムマット3に当接させる代
わりに,免震兼脱気ゴムマット3に免震ゴム体70を嵌
めることができる程度の孔84を形成してもよい。
【0044】図10及び図11には免震ゴム座金が示さ
れている。免震ゴム座金87は,免震ゴム体や免震兼脱
気ゴムマットと同様な材料の硬質ゴムから製作されてお
り,ゴム基板95と,ゴム基板95の一側面(図11で
は,上側面)においてのみ形成された多数の凸部96と
から構成されている。基板95の他側面(図11では,
下側面)は,ナット88が当接する平坦面に形成されて
いる。凸部96以外の部分には,互いに繋がった凹部9
6aが形成されており,凸部96の変形を容易にしてい
る。免震ゴム座金87の中央には,アンカーボルト5の
ような連結金具の軸部のための挿通孔97が穿設されて
いる。ナット88によって免震ゴム座金87を締め付け
た時,多数の凸部96が変形可能であり,特に上下方向
の震動等によってナット88と土台4との間に加わる衝
撃を緩和することができる。なお,免震ゴム座金87
は,免震ゴム体70と共に用いる場合に限って使用する
必要はなく,在来軸組工法及び枠組壁工法による木造建
造物における全ての締付け金具において座金として適用
することができる。
【0045】建造物は,その慣性によりもとの状態即ち
静止している場合は静止のまま,そして一旦運動し始め
ればその運動状態を保とうとするから,震動が基礎2に
作用すると,地盤1と共に動こうとする基礎2と建築物
側の土台4との間には互いの連結を破壊しようとする大
きな力が作用する。この力は,地震初期の時,特に,縦
揺れと横揺れの第一撃の時に最も大きな値を示す。この
力には,水平方向の成分も上下方向の成分も存在する
が,衝撃の上下方向の成分に対しては,免震兼脱気ゴム
マット3と免震ゴム座金87が,凸部の潰れによる変形
によって衝撃をある程度吸収し,建築物の上部に伝わる
衝撃を緩和する。衝撃の水平方向の成分に対しては,免
震兼脱気ゴムマット3の両表面に形成した凸部が剪断力
を受けて変形することにより衝撃を緩和すると共に,土
台4の貫通孔85の内面に部分的に当接する免震ゴム体
70の外周に形成されている突部76,78が潰れるよ
うに変形したり,溝77,79内へ変形することによっ
て衝撃を緩和することができる。この実施例では,免震
ゴム体70は円筒形状であるので,水平面内のいかなる
方向の震動であっても衝撃を吸収することができる。
【0046】図12には,在来軸組工法による木造建築
において柱と土台との間の連結にホールダウン金具と免
震ゴム体とを用いた木造建築用免震連結構造の実施例が
示されている。図13及び図14には,枠組壁工法によ
る木造建築において柱と土台との間の連結にホールダウ
ン金具と免震ゴム体とを用いた木造建築用免震連結構造
の実施例が示されている。これらの実施例は,基礎と土
台との間,及び基礎,土台及び側根太,下枠の間におい
て,免震兼脱気ゴムマットが適用されたものとして示さ
れている。
【0047】ホールダウン金具10は,柱6に沿う基板
98と基板98の土台4側の端部に固定されているブラ
ケット99とから形成されている。柱6には,長手方向
に沿って等間隔に適宜の数の貫通孔,図示の実施例で
は,三つの貫通孔101が一列に穿設されている。各貫
通孔101には,免震ゴム体70が装填される。各免震
ゴム体70の内部に挿通された通しボルト102の先端
ねじ部に螺合するナット103を締め付けた時に,ナッ
ト103が柱6の一側面と免震ゴム体70の一側の端面
に当接し,ホールダウン金具10の基板98が柱6の他
側面と免震ゴム体70の他側の端面に当接する。軸方向
に圧縮された免震ゴム体70は,柱6の貫通孔101の
内面に圧接される。ナット103と関連して,免震連結
具80について用いられた免震ゴム座金87を用いても
よい。
【0048】土台4に穿設された貫通孔104には免震
ゴム体70が装填される。免震ゴム体70の内部に挿通
された長尺ボルト100の先端に形成された平坦部10
5が,貫通孔104の下端に拡大して形成された凹部1
07内で土台4と係合して,土台4と柱6とを拘束して
いる。長尺ボルト100の他端は,ブラケット99に設
けられた孔を通り,ナット106によってブラケット9
9に対して抜け止め係合される。長尺ボルト100は,
土台4に対して免震ゴム体70を介して連結されるの
で,地震による震動が作用した時に,免震ゴム体70が
貫通孔104の内面に対して部分的に接触する凸部の変
形によって土台4と柱6との間に作用する,特に水平方
向の衝撃や柱を倒そうとする衝撃が緩和される。長尺ボ
ルト100と連結されるホールダウン金具10は柱6に
対して免震ゴム体70を介して固定されるので,柱6に
対する衝撃が緩和される。なお,筋交い108は,柱6
を土台4や胴差に対して対角線方向に支える構造材であ
り,筋交い金物109が土台4,柱6及び筋交い108
の三者を繋ぎ部分で固定している。
【0049】図13及び図14に示す実施例は,基礎,
土台及び側根太,下枠間に免震兼脱気ゴムマットが適用
されたものとして示されている。柱36は,壁枠組44
の縦枠として用いられる構造材111を重ね合わせた合
わせ柱で構成されている。ホールダウン金具40に係合
される長尺ボルト112は,土台34の貫通孔113と
側根太41の貫通孔114とに渡って装填された免震ゴ
ム体70の軸心部に形成された貫通孔を挿通している。
免震ゴム体70の上端は床板42の下面に当接され,免
震ゴム体70の下端は基礎32の上に敷かれた免震兼脱
気ゴムマット3に当接されており,軸線方向に圧縮され
た免震ゴム体70は,貫通孔113及び114の内面に
対して部分的な凸部で当接している。長尺ボルト112
は,土台34までの長さとすることもできるが,図示の
とおり基礎32の内部に埋設することもできる。長尺ボ
ルト112及び免震ゴム体70は,土台34だけでなく
側根太41も貫通しており,枠組壁工法における基礎と
壁枠組44との連結を強固にしている。免震連結具83
において,ホールダウン金具40の構造や柱36との結
合等の細部は,在来軸組工法における免震連結具82と
同様であるので,重複する説明を省略する。
【0050】図15及び図16には,枠組壁工法による
三階建ての木造建築において,上下階の壁枠組の柱と床
梁との連結にホールダウン金具と免震ゴム体を用いた木
造建築用免震連結構造の実施例であり,免震兼脱気ゴム
マットが適用されたものが示されている。上下階の柱を
直接連結する免震連結具116は,上下階の柱36,3
6にそれぞれ固定されるホールダウン金具52と,ホー
ルダウン金具52のブラケット117,117間を連結
する長尺ボルト118と,長尺ボルト118の中間部分
が挿通し且つ側根太51に形成された貫通孔119内に
装填される免震ゴム体70とからなる。長尺ボルト11
8は,下から順に,下階の上枠48,上枠48の上に敷
かれた免震兼脱気ゴムマット3,頭つなぎ120,側根
太51,床板42,床板42上に敷かれた免震兼脱気ゴ
ムマット3,及び上階の下枠47を貫通している。免震
連結具116において,ホールダウン金具52の構造や
柱36,36との結合等の細部は,在来軸組工法におけ
る免震連結具82と同様であるので,重複する説明を省
略する。地震時の震動によって,木造建築物の上下階間
に衝撃が作用し,歪みを生じさせようとするが,免震連
結具116は,特に免震ゴム体70や免震兼脱気ゴムマ
ット3の部分的な凸部の変形が許容されることによっ
て,震動の第1撃を緩和することができる。免震連結具
116は,上下階の柱36,36を直接連結しているか
ら,柱36,36の真直性を確保すると共に,柱36,
36と床構造である側根太51との直交性をも確保して
地震による歪みが生じるのを極力防止することができ
る。
【0051】図17及び図18には,在来軸組工法によ
る木造建築において,隅柱と胴差のような横設構造材と
の間の連結に,羽子板ボルトと免震ゴム体とを用いた木
造建築用免震連結構造が示されている。隅柱122と胴
差123とを連結する免震連結具124は,胴差123
に固定される羽子板ボルト18と,隅柱122に設けら
れた貫通孔127内に装填される免震ゴム体70とから
なる。羽子板ボルト18のボルト部126は,免震ゴム
体70の内部を挿通しており,免震ゴム体70をフラン
ジ129とナット130及び座金131を介した免震ゴ
ム座金87とによって免震ゴム体70を軸線方向に圧縮
すると共に,隅柱122を挟み付けている。また,羽子
板ボルト18は,平板部125において,通しボルト1
32と免震ゴム体70を介して胴差123を両側で挟み
付けるようにして連結されている。震動に晒された時,
例えば,羽子板ボルト18のみによる連結では,図17
において想像線で示すように,衝撃を吸収するものが備
わっていないために隅柱122と胴差123とが傾斜す
るように変位するが,この実施例によれば,免震連結具
124は,隅柱122と胴差123とを,免震ゴム体7
0を介して衝撃を吸収しつつ強固に結合させているの
で,免震ゴム体70の外周の部分的な凸部が変形するこ
とによって地震の第一撃を緩和し,歪みが残ることを回
避することができる。免震連結具124は,縦横の関係
が異なる以外は,図5に示すホールダウン金具10を用
いた免震連結具82と類似しており,羽子板ボルト18
の胴差123に対する結合構造等の細部の説明を省略す
る。
【0052】図19には,枠組壁工法において三階建て
木造建築物の一階から三階及び屋根の壁枠組の脱気の模
様が示されている。図中の矢印で示すように,外壁パネ
ル11の内側に形成される通気路140を流れる空気の
一部は,各免震兼脱気ゴムマット3の両面の凹部からな
る脱気路と両面間を貫通する脱気孔94を通って,壁枠
組44の内部空間,天井空間又は屋根の空間に流れて木
製建築用構造材に含まれる湿気を取り除く作用をする。
一階の壁枠組44の幅は,図2に記載したものと比較し
てやや広く記載してあるが,図2と同様の幅にしてもよ
く,一階の壁枠組44に加わる荷重を考慮してその幅寸
法は設計により適宜定めることができるものである。基
礎32と一階壁枠組44との間の免震連結構造及び上下
階間の免震連結構造について,図20及び図21を参照
して次に詳細に説明する。
【0053】図20には,一階の壁枠組の下枠の脱気状
態が示されている。図20に示す木造建築用免震連結構
造において,側根太41と壁枠組44の下枠47との間
には,床板42が下側に,そして免震兼脱気ゴムマット
3が上側に位置するように介装されている。免震兼脱気
ゴムマット3の上面に当接する下枠47には,免震兼脱
気ゴムマット3の上面に設けられた凹部93(図8及び
図9)からなる脱気路に繋がる脱気孔141が形成され
ている。外壁パネル11の内側には通気路140が形成
されているので,通気路140を上昇する空気の一部
は,矢印で示すように免震兼脱気ゴムマット3と下枠4
7及び床42との間において免震兼脱気ゴムマット3の
上下両面の凹部93を通り,免震兼脱気ゴムマット3の
下表面の凹部93を通った空気は,その一部が免震兼脱
気ゴムマット3の脱気孔94を通る。更に,免震兼脱気
ゴムマット3の上面の凹部93を流れる空気の一部は,
下枠47に設けられた脱気孔141を通って壁枠組44
の内部空間142に流れ出ることができる。なお,空気
の流れ方向は,昼夜の時間帯によっては,逆になること
もある。
【0054】また,図21には,側根太を含む床構造
と,上下階の壁枠組の上枠及び下枠との脱気状態が示さ
れている。図21に示す木造建築用免震連結構造は,一
階と二階の間又は二階と三階の間のような上下階間にお
いて,床構造としての側根太51と上下の壁枠組44と
の間に免震兼脱気ゴムマット3を介装したものである。
床板42の上に敷かれた免震兼脱気ゴムマット3の上面
に当接する下枠47には,免震兼脱気ゴムマット3の上
面に設けられた凹部93に繋がる脱気孔141が形成さ
れている。同様に,側根太51の下側に設けられた頭つ
なぎ120と下階の壁枠組44の上枠48との間に介装
された免震兼脱気ゴムマット3の下面に当接する上枠4
8には,免震兼脱気ゴムマット3の下側表面に設けられ
た凹部93に繋がる脱気孔143が形成されている。
【0055】免震兼脱気ゴムマット3と壁枠組44の下
枠47の脱気孔141を流れる空気による湿気の排除に
ついては,図20に基づく説明と同様であるので,説明
を省略する。壁枠組44の内部空間142から上昇する
空気は,上枠48の脱気孔143を通って,免震兼脱気
ゴムマット3の下面の凹部93に至り,通気路140に
入るか,或いは室内側に向かって天井空間144に入
る。また,一部の空気は免震兼脱気ゴムマット3の脱気
孔94を通って免震兼脱気ゴムマット3の上面の凹部に
出て,通気路140に入るか,或いは天井空間144に
入る。このようにして,側根太51又はその下側に設け
られる板材120の湿気を取り除くことができる。
【0056】
【発明の効果】この発明による木造建築用免震連結構造
は,上記のように,免震ゴム体を組み込むことにより,
通常は適度な剛性を示すが,免震ゴム体の軸線方向と交
差する方向の震動に対しては,部分的な凸部が木製建築
用構造材の貫通孔の内周面に強く当接し変形して緩和す
る。即ち,免震ゴム体を軸方向に圧縮すると,免震ゴム
体の前記部分的な凸部を前記木製建築用構造材の前記貫
通孔の内面に圧接することができ,免震ゴム体を軸方向
に圧縮により,免震ゴム体は筒の径方向に僅かに膨張
し,免震ゴム体を前記貫通孔に装填した時に免震ゴム体
の部分的な凸部と貫通孔との間に残されていた間隙が吸
収され,震動が伝わった時に,凸部の緩衝作用を直ちに
得ることができる。また,前記凸部は,軸線方向に並列
に設けられたリング状突起部や軸線を螺旋の軸線とした
螺旋状突起部によって形成すると,免震ゴム体の製造コ
ストを低減できる。また,木造建築に震動による大きな
力が作用すると,免震ゴム体の凸部が貫通孔の内周面に
対して当接して変形するため,既存の連結金具を用いつ
つ,簡単な構造を有する免震ゴム体を貫通孔に装填する
という簡素な連結構造によって,低コストでしかも木造
建築物の耐震性を向上させることができる。また,建築
現場での連結金具と免震ゴム体の取扱いも組立も非常に
簡単であって,建築作業への影響も少ない。
【0057】前記連結金具は,建築用構造材としてのコ
ンクリート製基礎に埋設されるアンカーボルトとするこ
とができ,前記アンカーボルトが挿通した免震ゴム体
が,基礎と土台との間の水平方向の震動のうち特に第一
撃を緩和する。基礎と土台との対向面間に,表面に多数
の凸部が形成された免震ゴムマットを介装すれば,凸部
が変形して垂直成分の震動に対しても衝撃を緩和するこ
とができる。免震ゴムマットの厚さは,十分薄いもので
あり,建物の高さに悪影響を与えるものではない。土台
とナットとの対向面間に,表面に多数の凸部が形成され
た免震ゴム座金を介装すると,土台とアンカーボルトと
の直接的な接触を回避して震動の伝達を緩和させること
ができる。土台と基礎及びアンカーボルトとは,免震ゴ
ムによって完全に分離され,全方向からの震動に対して
も衝撃を緩和することができる。
【0058】前記連結金具を在来軸組工法や枠組壁工法
における木造建築物の土台と柱との間,又は枠組壁工法
における木造建築物の上下階の柱間において用いられる
ホールダウン金具とすることができ,木造建築用免震ゴ
ム体が柱を傾けようとする力や柱を水平方向にずれさせ
ようとする力に対しては,部分的な凸部が変形しつつ,
歪みに対抗する力やモーメントを生じさせるので,震動
のうち特に水平方向成分を緩和すると共に,土台と柱と
の組付け当初の位置と姿勢とを維持する。
【0059】在来軸組工法の場合,前記木製建築用構造
材を他の建築用構造材としての胴差又は梁のような横設
構造材と交差する柱とすると,前記連結金具は平板部を
前記横設構造材に対して連結し,ボルト部に螺合するナ
ットを前記柱に連結した羽子板ボルト金具となる。前記
ボルト部の先端に形成されたねじ部に螺合するナットが
柱に係合することにより,柱と横設構造材とが拘束され
る。震動が柱と横設構造材との間に作用すると,柱を傾
けて歪ませようとする力が作用するが,柱の貫通孔内に
装填された木造建築用免震ゴム体の凸部が柱の貫通孔の
内周面に当接して対抗し,組付け当初の位置と姿勢を維
持する。このように,羽子板ボルトに対しても,免震ゴ
ム体を簡単な構造で適用することができて,柱と胴差等
の横設部材との間に歪みを生じさせない構造を簡単に得
ることができる。
【0060】前記連結金具の前記他の建築用構造材とし
ての柱又は横設構造材に対する連結部にこの免震ゴム体
を用いる場合には,連結金具の前記他の建築用構造材に
対する連結にも震動の緩衝機能を備えることができる。
在来軸組工法において,土台と柱との間をアンカーボル
トを用いて連結する時には,他の建築用構造材である柱
を構成する角材に形成した貫通孔に免震ゴム体を装填
し,前記挿通孔に挿しボルトの軸部を挿通して固定する
ことによって,柱とアンカーボルトとの間の衝撃を緩和
することができる。また,胴差と柱との間を羽子板ボル
トを用いて連結する時には,他の建築用構造材である胴
差を構成する角材にも貫通孔を形成し,前記貫通孔に免
震ゴム体を装填し,前記挿通孔に挿しボルトの軸部を挿
通して固定することによって,胴差と柱との間の衝撃を
緩和することができる。
【0061】枠組壁工法においては,前記他の建築用構
造材としての壁枠組の柱を,断面矩形木材を薄板厚方向
で且つ前記貫通孔の貫通方向に複数枚重合わせた合わせ
材で構成した場合,ホールダウン金具である前記連結金
具を柱に連結するのに,柱に形成した貫通孔に装填した
免震ゴム体と通しボルトを用いた時には,免震ゴム体の
軸心部に形成した挿通孔に挿通した通しボルトの軸部の
両端において,例えば通しボルトの頭部とねじ部に螺合
するナットによって,前記合わせ材を挟着結合すること
もできる。土台や側根太等の木製建築用構造材に対して
は,既に免震ゴム体を介して連結しているので,ホール
ダウン金具は,柱と土台や側根太との両方に対して免震
ゴム体を介して連結され,連結金具による連結に衝撃の
緩和作用がより確実になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による木造建築用免震連結構造を在来
の軸組工法によって建築された三階建ての木造建築物の
一部を示す概略図である。
【図2】この発明による木造建築用免震連結構造を枠組
壁工法によって建築された三階建ての木造建築物の一部
を示す概略図である。
【図3】この発明による木造建築用免震連結構造に組み
込まれた木造建築用免震ゴム体を示す断面図である。
【図4】この発明による木造建築用免震連結構造に組み
込まれた木造建築用免震ゴム体の別の例を示す断面図で
ある。
【図5】この発明による木造建築用免震連結構造を在来
軸組工法による木造建築物の基礎,土台及び柱間に適用
した実施例を示す斜視図である。
【図6】この発明による木造建築用免震連結構造を枠組
壁工法による木造建築物の基礎,土台及び柱間に適用し
た実施例を示す斜視図である。
【図7】この発明による木造建築用免震連結構造を適用
して土台と基礎とを連結した免震構造の実施例を示す断
面図である。
【図8】この発明による木造建築用免震連結構造に組み
込まれる免震兼脱気ゴムマットの一実施例を示す平面図
である。
【図9】図8の免震兼脱気ゴムマットを示す断面図であ
る。
【図10】この発明による木造建築用免震連結構造に組
み込まれる免震ゴム座金の一実施例を示す下面図であ
る。
【図11】図10の免震ゴム座金を示す断面図である。
【図12】この発明による木造建築用免震連結構造を在
来軸組工法による木造建築に適用した柱と土台とを連結
した免震連結構造の実施例を示す断面図である。
【図13】この発明による木造建築用免震連結構造を枠
組壁工法による木造建築に適用した柱と土台及び側根太
とを連結した実施例を示す断面図である。
【図14】図13に示した構造と直交する方向の構造の
断面図である。
【図15】この発明による木造建築用免震連結構造を枠
組壁工法による三階建ての木造建築に適用した上下階の
柱間を連結した免震連結構造を示す側面図である。
【図16】図15に示す木造建築用免震連結構造の正面
図である。
【図17】この発明による木造建築用免震連結構造を在
来軸組工法による木造建築に適用した隅柱と胴差とを連
結した免震構造を示す側面図である。
【図18】図17に示す木造建築用免震連結構造の下面
図である。
【図19】枠組壁工法において三階建て木造建築物の一
階から三階及び屋根における壁内部の脱気の模様を示す
説明図である。
【図20】図19において,壁枠組の下枠の脱気状態を
示す説明図である。
【図21】図19において,側根太を含む床構造と,上
下階の壁枠組の上枠及び下枠との脱気状態を示す説明図
である。
【符号の説明】
1,31 地盤 2,32 基礎 3 免震兼脱気ゴムマット 4,34 土台 5,35 アンカーボルト 6,36 柱 9,39,50 床根太 10,40,52 ホールダウン金具 42 床板 16,123 胴差 18 羽子板ボルト 44 枠組 70,71 木造建築用免震ゴム体 73,84 挿通孔 76,78 突起部(凸部) 77,79 溝部(凹部) 80,81,82,83,116,124 免震連結
具 85,104,113,114,119,127 貫
通孔 87 免震ゴム座金 88 ナット 91,92 凸部 93 凹部 94 脱気孔 102,132 通しボルト 140 通気路 141,143 脱気孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B 1/98 E04B 1/58 507 E04B 1/58 508 E04B 1/64 E04B 1/26

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木製建築用構造材に形成された貫通孔に
    挿通され且つ前記貫通孔の内周面に接触する部分的な凸
    前記凸部間の凹部とを外周面に備えると共に長手方
    向に形成された挿通孔を備えたゴム製筒体から成る木造
    建築用免震ゴム体と,前記木製建築用構造材を他の建築
    用構造材に対して連結される連結部,前記筒体の前記挿
    通孔に挿通される軸部及び前記木製建築用構造材から前
    記筒体の抜け出しを防止する抜止め手段を有する前記木
    製建築用構造材を前記建築用構造材に連結する連結金具
    とから構成され, 前記木製建築用構造材と前記連結金具の前記抜止め手段
    を構成する前記木製建築用構造材の前記貫通孔から突出
    したねじ部に螺合するナットとの対向面間には,表面に
    多数の凸部と凹部が形成された免震ゴム座金が介装され
    ていること から成る木造建築用免震連結構造。
  2. 【請求項2】 前記連結金具は前記建築用構造材として
    のコンクリート製基礎に前記連結部が埋設されたアンカ
    ーボルトであり,前記木製建築用構造材は前記基礎の上
    に載置された前記貫通孔を備えた木製土台であり,前記
    抜止め手段は前記アンカーボルトの先端に形成された前
    記土台の前記貫通孔から突出した前記ねじ部と前記ねじ
    部に螺合する前記ナットから構成されていることから
    る請求項に記載の木造建築用免震連結構造。
  3. 【請求項3】 前記基礎と前記土台との対向面間には,
    表面に多数の凸部と凹部が形成された免震ゴムマットが
    介装されていることから成る請求項に記載の木造建築
    用免震連結構造。
  4. 【請求項4】 前記木製建築用構造材と前記建築用構造
    材との対向面間には,表面に多数の凸部と凹部が形成さ
    れた免震ゴムマットが介装されていることから成る請求
    1〜3のいずれか1項に記載の木造建築用免震連結構
    造。
  5. 【請求項5】 前記連結金具は,前記木製建築用構造材
    を構成する柱に連結される連結部と,前記土台に形成さ
    れた貫通孔又は前記土台と前記木製建築用構造材を構成
    する根太とに形成された貫通孔に挿通された前記木造建
    築用免震ゴム体の挿通孔に挿通する軸部とから成るホー
    ルダウン金具であることから成る請求項2〜4のいずれ
    か1項に記載の木造建築用免震連結構造。
  6. 【請求項6】 前記抜止め手段は,前記連結金具の前記
    軸部の先端において前記土台の下面と係合する平板部,
    又は前記土台を載置する前記基礎への埋設部から構成さ
    れていることから成る請求項に記載の木造建築用免震
    連結構造。
  7. 【請求項7】 前記連結金具は前記木製建築用構造材を
    構成する上下の階に設けられる両柱に連結される連結部
    と前記柱間に横設された床根太に形成された貫通孔に挿
    通された前記木製建築用構造材の前記挿通孔を挿通する
    軸部とから成るホールダウン金具から構成され,前記抜
    止め手段は一方の前記連結部で構成されていることから
    成る請求項1〜3のいずれか1項に記載の木造建築用免
    震連結構造。
  8. 【請求項8】 前記木製建築用構造材は柱材と前記柱材
    に固定された板材から成る枠組材から構成され,前記枠
    組材に形成された貫通孔内に前記木造建築用免震ゴム体
    が挿入され,前記連結金具は前記木造建築用免震ゴム体
    の前記挿通孔に挿通して前記枠組材に係合する挿通ボル
    トで構成されていることから成る請求項に記載の木造
    建築用免震連結構造。
  9. 【請求項9】 前記連結金具は,前記木製建築用構造材
    を構成する胴差や梁の横設構造材に連結される板部,前
    記横設構造材に対して連結された前記木製建築用構造材
    を構成する柱に形成された貫通孔に挿通した前記木造建
    築用免震ゴム体の前記挿通孔に挿通したボルト部,及び
    前記柱から前記木造建築用免震ゴム体の抜け出しを防止
    する前記ボルト部のねじに螺入する前記抜止め手段から
    構成されていることから成る請求項に記載の木造建築
    用免震連結構造。
  10. 【請求項10】 前記免震ゴム体が軸方向に圧縮され,
    前記部分的な凸部が前記木製建築用構造材の前記貫通孔
    の内面に圧接されていることから成る請求項1〜7のい
    ずれか1項に記載の木造建築用免震連結構造。
  11. 【請求項11】 隅柱と胴差とを連結する免震連結具
    は,前記胴差に固定される羽子板ボルトと前記隅柱に設
    けられた貫通孔内に挿通されるゴム製筒体から成る免震
    ゴム体とから構成され,前記羽子板ボルトのボルト部は
    前記免震ゴム体の前記筒体の内部を挿通し,前記隅柱の
    前記貫通孔に挿通された前記免震ゴム体 は,前記隅柱の
    両側にフランジと免震ゴム座金とをそれぞれ配設させて
    前記隅柱から突出した前記ボルト部のねじにナットを螺
    入することによって軸線方向に圧縮され,前記羽子板ボ
    ルトは前記羽子板ボルトの平板部においてボルトによっ
    て前記胴差に連結されていることから成る木造建築用免
    震連結構造。
  12. 【請求項12】 前記免震ゴム体の前記凸部は周方向に
    伸び且つ軸線方向に並列に順次設けられたリング状突起
    部に形成され,前記凹部は前記リング状突起部間に形成
    されたリング状溝部に形成されていることから成る請求
    項1〜11のいずれか1項に記載の木造建築用免震連結
    構造。
  13. 【請求項13】 前記免震ゴム体の前記凸部は軸線方向
    に螺旋状に延びる螺旋状突起部に形成され,前記凹部は
    前記螺旋状突起部間に形成された螺旋状溝部に形成され
    ていることから成る請求項1〜11のいずれか1項に記
    載の木造建築用免震連結構造。
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