JP3320902B2 - ガス湯沸器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、一般家庭の厨房などで
使用されるガス湯沸器に関し、さらに詳しくはガスバー
ナのガス供給系路に設けられる２シール構造のガス弁の
うち一方のガス弁にガス洩れがあれば、これを早めに検
知する早期対応型ガス洩れ検知式のガス湯沸器に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のガス湯沸器としては、例
えば、特開平４−１９８６１２号公報に示されるよう
に、給水管及び給湯管が配管される熱交換器と、この熱
交換器を加熱するガスバーナとを備え、このガスバーナ
のガス供給系路には前記給水管の水の流れに連動して開
かれる水圧自動弁のほかにマグネット安全弁と器具栓と
を備えたガス湯沸器がすでに知られている。

【０００３】このガス湯沸器によれば、ガスバーナの点
火操作ボタンを押すことにより点火スイッチがオンして
モータが駆動し、給水管に設けられる給止水栓が開かれ
ると同時にガスバーナのガス供給系路に設けられる水圧
自動弁が開き、そしてさらにモータの駆動によりマグネ
ット安全弁が電磁的に開放保持され、次いで時間差を置
いて器具栓が開くことによりガスバーナのガス供給系路
が完全に開かれ、イグナイタのオン信号による点火用電
極のスパークによってガスバーナが点火されるものであ
る。

【０００４】そしてこのようなガス湯沸器によれば、ガ
スバーナのガス供給系路には水圧自動弁はさておき、マ
グネット安全弁と器具栓の２つのガス弁が設けられた、
いわゆる２シール構造（水圧自動弁を除く）のガス洩れ
防止対策が採られているために、一般的にはこのガス器
具を使用していない状態においてガス洩れが生じること
はまず起こり得ない。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな２シール構造のガス湯沸器によっても、たとえば器
具栓の弁軸のガタツキや弁座部へのゴミ類の噛み込み等
があるとマグネット安全弁を開いたときにすでに器具栓
は開いているためにこのガスバーナより若干の生ガスの
洩れが生じる。このような状態であっても、マグネット
安全弁と器具栓との開弁が給湯操作による一連のシーケ
ンスに沿って実行されるため、両者の開弁時間差が短
く、弁異常に気付かない。しかし、このような点火直前
の生ガスの洩れに気づかずにそのままガス器具の使用を
継続していると、もう一方のバルブ（すなわち、マグネ
ット安全弁）がやはりガス洩れを生じる状態となったと
きに、水圧自動弁により止水時にガス流路を閉じるもの
であっても、水だけ使用（非燃焼中での通水）時におい
てはやはり生ガスが放出してしまうという問題があっ
た。

【０００６】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、その目的とするところは、ガ
スバーナのガス供給系路が２シール構造なるも万一、一
方のバルブがガス洩れ状態となったときにこれを検知
し、早期に対応を採れるようにしたガス湯沸器を提供す
ることにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明は、請求項１に記載されるように、給水管と出湯
管とが配管される熱交換器と、この熱交換器を加熱する
ガスバーナと、このガスバーナのガス供給系路に設けら
れるマグネット安全弁および器具栓と、このマグネット
安全弁と器具栓とを順次時間差を設けて開放させるモー
タ駆動手段と、ガスバーナ点火用のイグナイタをオンさ
せることにより前記マグネット安全弁を開いてから前記
器具栓が開かれるまでの間にガスバーナの炎を検出する
炎検出手段とを備えることを要旨とするものである。

【０００８】 その場合に、さらに前記炎検出手段により
炎が検出されたときに前記モータ駆動手段により駆動さ
れるモータをマグネット安全弁と器具栓のいずれもが閉
じられた元の起動位置で停止させるモータ停止手段を備
えるのが好ましい。

【０００９】

【作用】上記の構成を有する本発明のガス湯沸器によれ
ば、ガスバーナの点火動作により熱交換器の給水管から
出湯管へ水が流れるが、それに伴なってこのガスバーナ
のガス供給系路に設けられるマグネット安全弁と器具栓
とがモータの駆動により順次時間差を設けて開放され
る。このときにガスバーナ点火用のイグナイタをオンさ
せ、マグネット安全弁が解放された時、器具栓にガス洩
れが生じていなければその段階でガスバーナが点火され
ることはないが、もし器具栓のガス洩れが生じておれば
ガスバーナがその段階で点火されることになる。したが
ってガスバーナの炎の検知信号（ガス洩れ検知信号）に
よりガス洩れが発見されると、このガス器具を停止させ
たり、あるいはガス洩れ警報ランプの点滅等を行なわせ
て器具使用者に知らせるようにすれば、早期にガス洩れ
対策を採れることとなる。

【００１０】 そしてこの場合に請求項２に記載されるよ
うに、器具栓のガス洩れが検出されたときにモータが元
の位置で停止するようにすれば、マグネット安全弁が閉
じられた状態となり、取りあえずはガス洩れの生じさせ
ることなくこの器具は停止されることとなる。

【００１１】

【実施例】以下に、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明する。図１は、本発明が適用されるガス湯沸
器の概略構成を示したものである。図示されるように、
このガス湯沸器１０は、器具本体内に、給水管１６と出
湯管１８とを備える熱交換器１２と、この熱交換器１２
を加熱するためのガスバーナ１４とが配置される。そし
て給水管１６の元には給止水栓２０が接続され、前記ガ
スバーナ１４へガスを供給するガス管２２の元には給ガ
ス栓２４が接続されている。前記給止水栓２０には水栓
パイロットバルブ２６が設けられ、この水栓パイロット
バルブ２６がモータ２８の駆動により連動レバー３０お
よび３２を介して開かれると、水が給水管１６を流れる
ようになっている。

【００１２】 一方、前記ガスバーナ１４のガス管２２に
設けられた給ガス栓２４には、給水管１６に水が流れる
と連動して開かれる水圧自動弁３４と、点火トラブル等
の未然防止のために設けられるマグネット安全弁３６
と、給ガス流路を開閉するために設けられる器具栓３８
とがそれぞれ備えられている。そして前述の水栓パイロ
ットバルブ２６と水圧自動弁３４とは弁軸４０等を介し
て連繋され、水栓パイロットバルブ２６が開くことによ
り水が流れると、水圧自動弁３４が自動的に開かれるよ
うになっている。

【００１３】 またマグネット安全弁３６は、モータ２８
の駆動により弁作動杆４２が押され、マグネット保持電
流が流れて励磁されることにより開放状態に保持される
ようになっている。そしてマグネット安全弁３６が開放
保持されたあと次いで器具栓３８が、モータ２８の駆動
によって開かれ、これによって給ガス栓２４内の給ガス
流路は完全に開かれ、ガスバーナ１４へガスが供給され
ると共に、イグナイタのオン動作に伴なう点火用電極４
４の連続スパークによってガスバーナ１４が点火される
ようになっている。

【００１４】 またモータ２８に近接してカムスイッチ４
６，４８が設けられ、モータ２８の駆動に伴なうこのカ
ムスイッチ４６、４８のオン／オフ信号の組合せにより
前記給止水栓２０の水栓パイロットバルブ２６が開かれ
たこと，マグネット安全弁３６が励磁によって開放保持
されたこと，器具栓３８が開かれたこと，給止水栓２０
・マグネット安全弁３６・器具栓３８の全てが閉じられ
たこと等が検知されるようになっている。

【００１５】 尚、前述の水栓パイロットバルブ２６と水
圧自動弁３４とを連繋する弁軸４０に近接して水流検知
スイッチ５０が設けられ、この弁軸４０の移動によって
水流検知スイッチ５０がオンされることにより給水管１
６の水の流れが検知されると共に、この水流検知スイッ
チ５０のオン信号により前記したモータ２８の駆動およ
びイグナイタによるガスバーナ１４の点火動作が開始さ
れるようになっている。

【００１６】 かくして本発明では、ガスバーナ１４の近
傍に、ガスバーナ１４の炎を検知するフレームガード
（フレームロッド型の電極棒）５２が配置されている。
そしてこのフレームガード５２は水流検知スイッチ５０
のオン信号により起動され、前述のマグネット安全弁３
６が開いてから器具栓３８が開くまでの間にイグナイタ
のオン動作によりガスバーナ１４が着火されるか否かを
検知すると共に器具栓開弁後のガスバーナ１４に着火し
たことを検知するためのものである。

【００１７】 尚、器具本体の操作パネル（図示せず）に
は、操作ボタン５４とこれの押圧によりオンされる点火
スイッチ５６が設けられ、また符号５８はガスバーナ１
４の立ち消えを検知する一次熱電対を示し、さらに符号
６０は熱交換器１２のフィン閉塞による不完全燃焼を防
止するために設けられる二次熱電対を示している。

【００１８】 しかしてこのように構成されたガス湯沸器
１０の動作説明をさらに図２に示したフローチャートに
基づいてさらに詳しく説明する。今、操作ボタン５４を
押す（ステップ１、以下単に「Ｓ１」と表記する。）
と、点火スイッチ５６がオンされ（Ｓ２），モータ２８
が駆動される（Ｓ３）。これにより水栓パイロットバル
ブ２６が開かれ、給止水栓２０および給水管１６に水が
流れる。

【００１９】 給止水栓２０が開かれ給水が開始されると
同時に第１カムスイッチ４６がオンされ、モータ２８は
この給止水栓２０が開いた状態の位置でいったん停止さ
れる（Ｓ４，Ｓ５）。そしてこのとき給止水栓２０内の
水の流れに連動して給ガス栓２４の水圧自動弁３４が弁
軸４０の移動によって開かれる。そのときに水流検知ス
イッチ５０がオンしたか否かの判断（Ｓ６）によって、
この水流検知スイッチ５０からのオン信号によりモータ
２８が再び駆動する（Ｓ７）と共にイグナイタがオンし
て点火用電極４４の連続スパークが開始される（Ｓ
８）、またモータ２８の回転に伴いマグネット安全弁３
６の弁作動杆４２が押されカムスイッチ４８もオンされ
た時点でマグネット保持電流が流れることにより内蔵の
電磁石が励磁されてマグネット安全弁３６が開放保持さ
れる（Ｓ９）。

【００２０】 このような状態でもし器具栓３８がその弁
軸のガタツキや弁座部へのゴミ類の噛み込み等によって
ガス洩れを生じている場合には、未だこの器具栓３８の
開動作が行われていなくともガスバーナ１４が点火され
ることになる。そこでフレームガード５２からの信号に
よりガスバーナ１４の炎が検知されたか否かがコントロ
ーラで判断され（Ｓ１０）、炎が検知された（Ｓ１０、
「ＮＯ」）と判断されれば、器具栓３８の閉弁不良が生
じている（Ｓ１１）のであってそのときにはイグナイタ
をオフする（Ｓ１２）と共にマグネット安全弁３６がオ
フされ（Ｓ１３）、その異常状態が警報ランプにより器
具使用者に知らされ（Ｓ１４）、さらにモータ２８が元
の起動位置で停止される（Ｓ１５）。

【００２１】 一方前述のステップ１０（Ｓ１０）におい
て、フレームガード５２によりガスバーナ１４の炎が検
出されない（Ｓ１０、「ＹＥＳ」）と判断されれば、次
いで器具栓３８がモータ２８の継続的駆動により開かれ
（Ｓ１６）、ガスバーナ１４が点火され（Ｓ１７）で正
常運転が行われる（Ｓ１８）。

【００２２】 図３は、この実施例に示したガス湯沸器に
おけるモータの駆動と各部材（水流検知スイッチ，イグ
ナイタ，フレームガード，水圧自動弁，マグネット安全
弁，器具栓）の動作との関係を示したタイミングチャー
トである。横軸はモータの回転角度（０〜３６０度）を
示している。

【００２３】 このタイミングチャートに基づいてもう一
度各部材の動作を説明すると、点火スイッチ５６のオン
動作によりモータ２８が駆動し、水栓パイロットバルブ
２６が開いた時点でカムスイッチ４６の信号によりモー
タ２８はいったん停止する。そしてその水栓パイロット
バルブ２６の開動作に連動して水圧自動弁３４が開くこ
とにより水流検知スイッチ５０がオンし、再びモータ２
８は駆動を再開すると同時にイグナイタはオンし、また
フレームガード５２によりガスバーナ１４の炎の有無が
検知される。このときマグネット安全弁３６はモータ駆
動により開かれるが器具栓３８は未だ開いていないの
で、フレームガード５２によりガスバーナ１４の炎が検
知されなければ器具栓３８のガス洩れは生じておらず、
もしガス洩れが生じておればこの時点でガスバーナ１４
の炎がフレームガード５２により検知されることにな
る。

【００２４】 そして器具栓３８にガス洩れが生じている
ときには、このタイミングチャートには示されていない
が、図２のフローチャートでも説明したようにイグナイ
タをオフし、マグネット安全弁３６を消磁させてオフす
ると共にモータを元の回転角度０度（３６０度）の位置
で停止させるし、一方正常運転の場合にはモータ駆動に
よりマグネット安全弁３６に続いて器具栓３８が開かれ
た後、この図３のタイミングチャートにも示されるよう
にガスバーナ１４が点火される。

【００２５】 尚、この図３のタイミングチャートに示さ
れるように器具栓３８が開放され始めるとフレームガー
ド５２による炎の検出は停止されているが、これは器具
栓３８が閉じている状態での炎の検出を確実ならしめる
ためである。器具栓３８のガス洩れが生じていないと判
断されて器具栓３８も開き正常な運転状態に入った時点
ではフレームガード５２による炎の検出は再開され、立
消え等の監視の役割を果たすことになる。

【００２６】 しかして上記実施例において説明したよう
に、ガスバーナのガス供給系路に設けられる給ガス栓２
４中のマグネット安全弁３６と器具栓３８との２シール
構造によるガス洩れ防止機構が設けられているガス湯沸
器において、マグネット安全弁３６が開かれた後器具栓
３８が開かれるまでの間にイグナイタをオンしてガスバ
ーナが点火されるか否かをみて、ガスバーナが点火され
なければ器具栓３８のガス洩れは生じておらずそのまま
正常運転に入るし、もし器具栓３８のガス洩れが生じて
いると判断されれば運転を停止し、器具使用者にはその
旨が知らされるものである。したがって器具使用者は、
器具栓３８のガス洩れが生じた時点で早めにガス器具サ
ービスステーション等への連絡あるいは器具の交換等に
より対応を採ることができるものである。勿論本発明は
上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣
旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更ができるものであ
る。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本
発明のガス湯沸器によれば、ガスバーナのガス供給系路
に設けられるマグネット安全弁と器具栓とが順次時間差
を置いて開き、点火動作を行なうに際し、マグネット安
全弁を開いてから器具栓が開かれるまでの間に器具栓の
ガス洩れが生じているかどうかがチェックされるもので
あるから、２シール構造によるガス洩れ防止の安全が図
られる上にさらに万が一、ガス弁のガタツキ等によりガ
ス洩れが生じたときには早期に対応できるものであり、
使用上の安全が一層確保され、産業上極めて有益なもの
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明が適用されるガス湯沸器の概略構成図で
ある。

【図２】このガス湯沸器の制御フローチャートである。

【図３】このガス湯沸器のモータ駆動とマグネット安全
弁，器具栓などの各部材との動作の関係を示すタイミン
グチャートである。

【符号の説明】

１０ ガス給湯器 １２ 熱交換器 １４ ガスバーナ １６ 給水管 １８ 出湯管 ２０ 給止水栓 ２２ ガス管 ２４ 給ガス栓 ２６ 水栓パイロットバルブ ２８ モータ ３４ 水圧自動弁 ３６ マグネット安全弁 ３８ 器具栓 ５０ 水流検知スイッチ ５２ フレームガード

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F23N 5/24 102 F23N 1/08 101

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 給水管と出湯管とが配管される熱交換器
   と、この熱交換器を加熱するガスバーナと、このガスバ
   ーナのガス供給系路に設けられるマグネット安全弁およ
   び器具栓と、このマグネット安全弁と器具栓とを順次時
   間差を設けて開放させるモータ駆動手段と、ガスバーナ
   点火用のイグナイタをオンさせることにより前記マグネ
   ット安全弁を開いてから前記器具栓が開かれるまでの間
   にガスバーナの炎を検出する炎検出手段とを備えること
   を特徴とするガス湯沸器。
2. 【請求項２】 請求項１に記載するガス湯沸器におい
   て、さらに前記炎検出手段により炎が検出されたときに
   前記モータ駆動手段により駆動されるモータをマグネッ
   ト安全弁および器具栓のいずれもが閉じられた元の起動
   位置で停止させるモータ停止手段を備えることを特徴と
   するガス湯沸器。