JP3320050B2 - 有機炭素含量の測定方法及び測定装置 - Google Patents

有機炭素含量の測定方法及び測定装置

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JP3320050B2 JP37597899A JP37597899A JP3320050B2 JP 3320050 B2 JP3320050 B2 JP 3320050B2 JP 37597899 A JP37597899 A JP 37597899A JP 37597899 A JP37597899 A JP 37597899A JP 3320050 B2 JP3320050 B2 JP 3320050B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として超純水等
の全有機炭素含量(TOC)を測定するための有機炭素
含量測定方法及び測定装置に関し、さらに詳しくは、超
純水等の試料液に紫外線を照射し、生成する有機酸や二
酸化炭素により変化する試料液の導電率を測定すること
によって、試料液中の有機炭素含量を測定する装置及び
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現代の高度な工業的製造プロセス等にお
いては、高度に精製された「超純水」がしばしば大量に
用いられている。例えば半導体の洗浄、医療用薬品や注
射液などの製造、化学分析等においては、不純物、例え
ば微粒子、各種イオン、細菌等の微生物、有機化合物等
の溶解物質を実質的に含んでいない純水が必要不可欠で
ある。かかる純水を製造するシステムは通常、逆浸透
法、蒸留法、イオン交換法、吸着法、真空脱気法、紫外
線酸化法、限外濾過法を含む種々の濾過手段を組み合わ
せて用いている。特に、例えば半導体製造分野では、L
SIの集積度の増大につれ回路の間隔が狭くなっている
ので、回路短絡を防止するために半導体洗浄水を一層高
純度にする必要があり、イオンのみならず、微粒子、細
菌や有機物質も可能な限り除去しなければならない。
【0003】純水の清浄度を表す方式の一つとして、水
中の有機物中の炭素量で汚染度を表す全有機炭素(TO
C)値がある。純水のTOC値を測定する手段として、
紫外線(UV)酸化方式のTOC計が広く利用されてい
る。かかるTOC計では、試料液を紫外線照射部へ導入
し、ここで試料液に紫外線を照射して試料液中の有機炭
素を有機酸や二酸化炭素に変化させる。そして、これに
より得られる試料液の導電率変化に基づいて試料液のT
OC値を求めている。
【0004】かかる紫外線酸化方式のTOC計として
は、種々のものが利用されているが、例えば、特公昭6
3−46375号公報で開示されている装置が知られて
いる。これは、試料セル内で静止させた超純水試料に紫
外線を照射すると共に、この間の導電率変化を試料セル
内に配置した導電率検知電極で計測する。そして、紫外
線による酸化反応が実質的に完了したことを導電率の変
化率によって確認した上で、それまでの導電率の変化量
から有機炭素含量を求めるものである。
【0005】また、紫外線照射部の前後に第1及び第2
の導電率センサを配置した測定ラインを設け、これに超
純水を一定流量で連続して流し、第1及び第2の導電率
センサで得た導電率の差に基づいて有機炭素含量を測定
する装置も知られている。この装置は、紫外線照射部を
超純水が流れる流量が一定であれば、単位体積あたりの
超純水が受ける紫外線量が一定、すなわち、酸化反応の
進行度合いが一定であることを前提としている。この場
合、紫外線による酸化反応を完了させることなく、連続
して流したまま測定を行えるので、有機炭素含量を連続
測定することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の装置の内、
前者の紫外線による酸化反応が実質的に完了するまでの
導電率の変化量から有機炭素含量を求める方式の装置で
は、次のような問題点があった。まず、酸化反応が完了
するまでの時間は、試料液の成分や紫外線強度にもよる
が、10分から20分程度にもなる。そのため、試料液
の監視をリアルタイムで行うことが困難である。
【0007】また、酸化反応が完了するまで試料液を試
料セル内で静止させておくため、試料セルや導電率検知
電極を構成する材質等からの溶出物が試料液に混入し導
電率を上昇させる。一方、発生した二酸化炭素が漏洩し
て導電率が低下することもある。従って、これらの有機
炭素含量に依存しない導電率変化を考慮して測定値を補
正しなければならない。
【0008】さらに、酸化反応の進行状態を導電率の変
化で判断するため、導電率検知電極は必ず試料セル内に
配置しなければならない。そのため、試料セルの構造が
複雑となり、製作が難しくなり勝ちである。
【0009】一方、上記従来の装置の内、後者の超純水
を一定流量で連続して流し、紫外線照射前後の導電率の
差から有機炭素含量を連続測定する装置では、次のよう
な問題点があった。まず、前述したように、酸化反応を
完了させることなく測定できるのは、紫外線照射部を超
純水が流れる流量が一定であれば、単位体積あたりの超
純水が受ける紫外線量が一定であることを前提としたも
のである。もしも、超純水が紫外線照射部を通過する流
量が増加すれば超純水の単位体積当たりの紫外線照射量
は減少するので、導電率の差は小さくなる。また、流量
が減少すれば超純水の単位体積当たりの紫外線照射量は
増加するので、導電率の差は大きくなる。すなわち、超
純水が紫外線照射部を通過する流量が変化した場合に
は、直ちに測定誤差を生じるものである。このような誤
差を回避しようとすれば、超純水の流量制御を非常に厳
密に行わなければならない。そのため、送液システムが
複雑化し、装置全体のコスト高を招きやすい。さらに、
紫外線照射前後の導電率の差を見るため、第1及び第2
の2つの導電率センサ、及びこれらのセンサからの信号
の処理回路等が必要である。従って、この面からも装置
の複雑化やコスト高を招きやすい。
【0010】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、実質的にリアルタイムでの有機炭素含量の監視を可
能とすると共に、厳密な流量制御を必要としない有機炭
素含量の測定方法及び測定装置を提供することを課題と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するため、流動する試料液への紫外線照射量を紫外光
源の点灯時間で制御することを検討した。その結果、試
料液を一定の流量以下にして酸化容器内を通過させれ
ば、紫外光源の点灯開始から消灯までの紫外線が総て照
射される試料液部分を存在させることができ、その場合
の当該試料液部分の紫外線照射量は、紫外光源の点灯時
間に依存することに想到した。
【0012】すなわち、本発明は上記課題を解決するた
めに、酸化容器に試料液を通過させると共に、この試料
液に紫外線を一定時間照射してから照射を中止し、前記
紫外線の点灯開始前のベース導電率と照射中止以後の最
大導電率とを前記酸化容器の出口近傍に設けた導電率検
知電極において計測し、このベース導電率と最大導電率
との差からこの試料液中の有機炭素含量を求める有機炭
素含量の測定方法であって、前記酸化容器内を試料液が
通過する流量Fと、前記導電率検知電極より上流側にお
ける前記酸化容器の紫外線が照射される範囲の内容積V
と、紫外線の照射時間TとがF≦V/Tの関係にあるこ
とを特徴とする有機炭素含量の測定方法を提供する。
【0013】なお、本明細書において、導電率検知電極
の配置場所である「酸化容器の出口近傍」とは、酸化容
器の出口より上流側である酸化容器内部と、下流側であ
る酸化容器外部の双方を含む概念である。そして、酸化
容器内部の場合には、紫外線が照射される範囲内と照射
される範囲外の双方の可能性が含まれる。
【0014】また、本明細書において、「紫外光の照射
時間T」は、完全な連続照射が継続している時間だけで
なく、一定の周波数で点滅する光源(例えば、キセノン
フラッシュランプ等)からの照射が継続している時間も
含む概念である。すなわち、照射時間T内における個別
の点滅は、照射と照射の中止、又は点灯と消灯にはあた
らない。
【0015】本発明によれば、紫外光源の点灯開始から
消灯までの紫外線が総て照射される試料液部分が存在
し、これが、紫外線照射時間に応じた酸化反応に基づく
最大導電率を示すので、流量変動に依存せずに有機炭素
含量を求めることができる。
【0016】前記最大導電率が計測された後には、前記
酸化容器内を試料液が通過する流量を増大させて前記酸
化容器内の試料液を置換することが望ましい。これによ
り、酸化容器等に残留している酸化生成物を含む試料液
を短時間で排出することができるので、次の測定までの
時間を短縮することができる。また、酸化容器内や導電
率検知電極等において気泡が発生しても、流量を増加さ
せたときに、これを流しだして除去することができる。
【0017】また、試料液中の有機炭素の紫外線酸化を
促進するために、光触媒を用いることが望ましい。これ
により、同一の紫外線照射時間でも、より大きい導電率
変化が得られるので、検出感度を改善することができ
る。
【0018】また、紫外線の光量を計測し、計測した光
量が所定の値より小さくなった場合に、警報を出力する
ようにしてもよい。これにより、光源の劣化等を使用者
に知らせることができる。
【0019】本発明はまた、試料液が通過する酸化容器
と、酸化容器内の試料液に紫外線を照射する紫外光源
と、この紫外光源を一定時間点灯させた後に消灯する点
灯制御手段と、前記酸化容器の出口近傍に設けられた導
電率検知電極と、この導電率検知電極によって計測され
る前記紫外線の点灯開始前のベース導電率と消灯以後の
最大導電率との差からこの試料液中の有機炭素含量を演
算する演算装置とを備えると共に、前記酸化容器内を試
料液が通過する流量Fと、前記導電率検知電極より上流
側における前記酸化容器の紫外線が照射される範囲の内
容積Vと、紫外線の照射時間TとがF≦V/Tの関係に
なるように、前記流量Fを制御する流量制御手段を備え
ることを特徴とする有機炭素含量の測定装置を提供す
る。
【0020】本発明によれば、紫外光源の点灯開始から
消灯までの紫外線が総て照射される試料液部分を存在さ
せることができ、導電率検知電極において、紫外線照射
時間に応じた酸化反応に基づく最大導電率を得られるの
で、流量変動に依存せずに有機炭素含量を求めることが
できる。
【0021】上述のとおり、前記最大導電率が計測され
た後には、前記酸化容器内を試料液が通過する流量を増
大させて前記酸化容器内の試料液を置換することが望ま
しい。また、試料液中の有機炭素の紫外線酸化を促進す
るために、酸化容器内に光触媒を備えることが望まし
い。
【0022】酸化容器内に光触媒を備える場合に望まし
い構成としては、酸化容器を外筒と紫外線を実質的に透
過する材質からなる内筒との間を試料液が通過する二重
管構造とし、外筒の内側に光触媒を被覆し、内筒側に紫
外光源を配置する構成を提供する。この場合、紫外光源
は内筒の内側に収容してもよいし、紫外光源の外管が酸
化容器の内筒を兼ねるようにしてもよい。
【0023】また、本発明の装置は紫外光源からの紫外
線の光量を計測する光量計を備えることが望ましい。こ
れにより、光量計が計測した光量が一定の値以下になっ
た場合に警報を出力する等して、使用者に紫外光源の交
換時期を知らせることができる。また、紫外線の光量の
変動や減少を考慮して、有機炭素含量を補正することも
考えられる。
【0024】さらに、本発明の装置は、酸化容器内を試
料液が通過する流量Fを確認する手段を有することが望
ましい。これにより、流量Fと、前記導電率検知電極よ
り上流側における前記酸化容器の紫外線が照射される範
囲の内容積Vと、紫外線の照射時間Tとが、何らかの理
由によりF≦V/Tの関係を保てなくなった場合に、警
報の出力等を行うことが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、図に沿って本発明の実施形
態を説明する。図1は本発明に係る有機炭素含量測定装
置の1実施形態である。試料液が通過する酸化容器1内
には、紫外光源(図示せず)の紫外線が所定の時間T照
射される紫外線照射領域2(斜線部)が存在している。
また、酸化容器1の出口1aよりやや上流側の紫外線照
射領域2内に導電率検知電極3が配置されている。入口
管4から酸化容器1を経て出口管5へと流れる試料液の
流量Fは、導電率検知電極3より上流側における紫外線
照射領域2の内容積V、及び紫外線の照射時間Tと、F
≦V/Tの関係になるように、流量制御手段(図示せ
ず)により制御可能となっている。
【0026】酸化容器1と紫外光源の形態に特に限定は
ないが、後述の実施例で詳述するような、二重管からな
る酸化容器の内管側から照射する形態が好適に使用でき
る。その他、管状の酸化容器の側面外側に紫外光源を配
置する形態や、筒状紫外光源の外側にスパイラル状に巻
き付けた管を酸化容器とする形態等、種々の形態を適宜
採用できる。なお、紫外光源としては水銀ランプが好適
に使用できるが、これに特に限定はされず、キセノンフ
ラッシュランプや、無声放電による紫外線ランプ等も使
用可能である。
【0027】酸化容器内には、有機炭素の紫外線酸化を
促進するための光触媒が備えられている。光触媒として
は、酸化チタン(TiO)が最も好適に使用できる
が、その他としては、SrTiO、CDS、WO
Fe、MO等を挙げることができる。光触媒を
酸化容器内に備えるには、触媒をそのまま容器内に充填
してもよいし、酸化容器内壁や、酸化容器内に充填した
ビーズ等にコーティングしてもよい。
【0028】また、流量制御手段としては、流量を一定
にできるポンプが採用できるのは勿論であるが、試料液
の供給圧調整や出口5側への背圧付加等の圧力調整を行
うための調圧弁やオリフィス等を流量制御手段として採
用してもよい。また、流量制御手段は、上記F≦V/T
の関係を保つように働くほか、これよりも大きな流量に
切り替えられるようになっている。具体的には、大流量
とするときに開く弁、流量の違うポンプを介装した2流
路への切替弁、流量が可変であるポンプ等によってかか
る機能が達成できる。
【0029】図2は本発明に係る有機炭素含量測定装置
の他の実施形態である。図2において、図1と同一の構
成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。本
実施形態においては、酸化容器1の出口1aよりやや上
流側かつ紫外線照射領域2の下流側に導電率検知電極3
が配置されている。流量Fは、紫外線照射領域2の内容
積V、及び紫外線の照射時間Tと、F≦V/Tの関係に
なるように、流量制御手段(図示せず)により制御可能
となっている。なお、紫外線照射領域2を通過した試料
液が導電率検知電極3に達するまでの間の内容積はVa
である。
【0030】図3は本発明に係る有機炭素含量測定装置
のさらに別の実施形態である。図3においても、図1と
同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略
する。本実施形態においては、酸化容器1の出口1aよ
りやや下流側に導電率検知電極3が配置されている。流
量Fは、紫外線照射領域2の内容積V、及び紫外線の照
射時間Tと、F≦V/Tの関係になるように、流量制御
手段(図示せず)により制御可能となっている。なお、
紫外線照射領域2を通過した試料液が導電率検知電極3
に達するまでの間の内容積はVbである。
【0031】図1に示した装置を一定流量Fで動作させ
た場合、導電率検知電極3で検知される導電率Cと点灯
開始後の時間tとの関係は、流量Fに応じて図4(a)
〜(c)に示す関係となる。
【0032】まず、(a)は、F=V/Tの場合の導電
率変化を示す。この場合、点灯開始時に紫外線照射領域
の入口にあった試料液部分は、消灯時(t=T)におい
てちょうど導電率検知電極3の位置に到達する。また、
消灯時において紫外線照射領域の入口にあった試料液部
分は、t=2Tにおいてちょうど導電率検知電極3の位
置に到達する。つまり、導電率検知電極3の位置には、
t=Tにおいて最も長い時間(T)の間紫外線照射され
た試料液部分が到達し、t=2Tにおいてt=0におけ
ると同様の紫外線照射をされていない試料液部分が到達
する。なお、tが0〜Tの間、導電率検知電極3の位置
には、時間tの間紫外線酸化された試料液部分が到達
し、tがT〜2Tの間、導電率検知電極3の位置には、
時間(2T−t)の間紫外線酸化された試料液部分が到
達する。そして、導電率Cは紫外線酸化が進行するに連
れて上昇するので、図に示すようにt=Tにおいて有機
炭素含量に応じた最大値Cをとる変化を示ようにな
る。
【0033】次に、(b)は、F<V/Tの場合の導電
率変化を示す。この場合、消灯時(t=T)において導
電率検知電極3の位置に到達するのは、点灯開始時に既
に紫外線照射領域2内に流入していた試料液部分であ
る。そして、点灯開始時に紫外線照射領域の入口にあっ
た試料液部分は、消灯時(t=T)を経過したt=t
において導電率検知電極3の位置に到達する。また、消
灯時において紫外線照射領域の入口にあった試料液部分
は、t=t(=t+T)においてちょうど導電率検
知電極3の位置に到達する。つまり、tがT〜tの間
導電率検知電極3の位置には、最も長い時間(T)の間
紫外線酸化された試料液部分が連続して到達し、t=t
においてt=0におけると同様の紫外線照射をされて
いない試料液部分が到達する。なお、tが0〜Tの間、
導電率検知電極3の位置には、時間tの間紫外線酸化さ
れた試料液部分が到達し、tがt〜tの間、導電率
検知電極3の位置には、時間(t−t)の間紫外線酸
化された試料液部分が到達する。そのため、導電率C
は、図に示すように、tがT〜tの間最大値Cを継
続する変化を示ようになる。
【0034】一方、(c)には、比較のためにF>V/
Tの場合の導電率変化を示す。この場合、点灯開始時に
紫外線照射領域の入口にあった試料液部分は、消灯時
(t=T)以前のt=tにおいて導電率検知電極3の
位置に到達する。消灯時(t=T)において導電率検知
電極3の位置に到達するのは、点灯開始時には未だ紫外
線照射領域2よりも上流側に存在していた試料液部分で
ある。また、消灯時において紫外線照射領域の入口にあ
った試料液部分は、t=t(=t+T)においてち
ょうど導電率検知電極3の位置に到達する。つまり、t
がt〜Tの間導電率検知電極3の位置には、Tよりも
短い時間だけ紫外線酸化された試料液部分が連続して到
達する。なお、tが0〜tの間、導電率検知電極3の
位置には、時間tの間紫外線酸化された試料液部分が到
達し、tがT〜tの間、導電率検知電極3の位置に
は、時間(t−t)の間紫外線酸化された試料液部分
が到達する。そのため、導電率Cは、図に示すように、
tがt〜Tの間最大値Cを継続する変化を示すが、
はCよりも小さい値となる。なお、CはFがよ
り大きくなるほど小さい値となる。
【0035】すなわち、(a)又は(b)に示す流量F
の条件(F≦V/T)では、導電率の最大値Cが得ら
れ、流量Fが変動しても、Cの値をとる継続時間が変
動するのみである。そのため、流量変動があっても、同
一の酸化条件に基いて最大導電率Cとベース導電率C
との差が得られ、この値から試料液中の有機炭素含量
を求めることができる。
【0036】次に、図2及び図3に示した装置を一定流
量Fで動作させた場合に、導電率検知電極3で検知され
る導電率Cと点灯開始後の時間tとの関係を図5に示
す。図4と同様に図5においても、(a)は、F=V/
Tの場合の導電率変化を、(b)には、F<V/Tの場
合の導電率変化を、(c)には、F<V/Tの場合の導
電率変化を示す。
【0037】図5に示すように(a)〜(c)いずれの
条件においても、紫外線照射領域2の出口から導電率検
知電極まで試料液が移動する時間であるtの時間分、
対応する図4の(a)〜(c)よりも遅れた応答が得ら
れる。なお、図2の装置の場合、t=Va/Fであ
り、図3の装置の場合には、t=Vb/Fである。つ
まり、tを小さくしてより早く最大導電率Cのデー
タを得るためには、Va、Vbをできるだけ小さくして
装置を製作することが望ましい。
【0038】図4及び図5は、説明のため流量Fを一定
として記載したが、望ましくは、最大導電率Cを得た
後には、Fを大流量にして、試料液の置換や気泡の排出
を行う。これにより、導電率Cは、速やかにベース導電
率Cに復帰するので、次の測定を早く開始できる。
【0039】大流量への切替は、点灯開始後、最大導電
率Cが確実に得られると判断できるまでの時間を予測
して、一律に時間で切り替えてもよい。また、ベース導
電率Cへの復帰をより早く行うには、最大導電率C
を得られたことを検知し、その時に直ちに切り替えを行
うとよい。導電率が最大となったことを検知するには、
通常行われているように、導電率Cの変化量(微分値)
が所定の値以下となったことを確認する方法等が考えら
れる。また、試料液の温度が紫外光源の発熱によって若
干変動することを利用して、温度が最大値となったとき
をもって、最大導電率Cを得られたときと判断しても
よい。
【0040】上記のように、導電率が最大となったこと
を導電率や温度で検知する場合には、それが検知される
までの時間から流量Fの概略値を知り、もしも、F≦V
/Tとなっていない場合(図1の実施形態の場合、図4
(c)に示す如くTよりも短時間で導電率が最大となっ
た場合)には警報出力等の対応をとることができる。な
お、流量Fを確認する手段として、流量計を別途用意し
てもよいことはもちろんである。
【0041】なお、図1から図3の実施形態を比較した
場合、図3のように、酸化容器1外に導電率検知電極3
を配置する形態が、導電率検知電極3の具体的構造が酸
化容器1の具体的構造に制約されないので、一般的には
製作が容易である。但し、図3よりも図2、図2よりも
図1の形態を採用した方が最大導電率を得るまでの時間
を短縮しやすい。また、図1の形態を採用した場合に
は、導電率検知電極3にも紫外線が照射されるので、導
電率検知に支障をきたす汚れが付着しにくいという利点
も有する。
【0042】
【実施例】図6に本発明の一実施例を示す。図6に示す
有機炭素含量測定装置は、酸化容器10と、酸化容器1
0内の試料液に内側から紫外線を照射する紫外光源20
と、この紫外光源20を一定時間点灯させた後に消灯す
る点灯制御手段21と、紫外光源20の光量を測定する
光量計としてのフォトダイオード22と、酸化容器10
の出口下流側に設けられた温度センサ内蔵の導電率検知
電極30と、この導電率検知電極30からのデータとフ
ォトダイオード22のデータが入力される演算装置40
とを備えている。
【0043】また、本装置は、圧力調整弁51、オリフ
ィス52、常閉弁53からなる流量制御手段を備えてい
る。圧力調整弁51は、一定の圧力以上の試料液を排水
側に逃し、その上流側で分岐する酸化容器10の入口配
管には一定範囲の圧力で試料液が供給されるように調整
するものである。オリフィス52は、導電率検知電極3
0の下流の排水側流路に設けられており、これによる背
圧と、圧力調整弁51による供給圧調整とにより、試料
液の流量Fと、酸化容器10内の紫外線照射領域の内容
積Vと、紫外線の照射時間Tとを、F≦V/Tの関係に
調整するようになっている。また、常閉弁53は、オリ
フィス51が介装された流路と平行して、導電率検知電
極30からの試料液を排水可能な流路に介装されてお
り、演算装置40からの指示で開閉するようになってい
る。そして、常閉弁53が開かれた場合には、V/Tよ
りも相当程度大きい流量Fが得られるようになってい
る。
【0044】酸化容器10の構造の具体例を図7に基づ
いて説明する。図7の酸化容器10は、外筒11及び内
筒12とを有し、それぞれの両端部を連結するリング状
の下底13及び上底14と共に二重管構造の空間を形成
している。そして、この空間に試料液を流入流出させる
ための入口管15及び出口管16とを備えている。この
外筒11の内側壁面には酸化チタンがコーティングされ
ている。また、内筒12は、石英硝子等の紫外線を通過
させる材質で形成されており、酸化チタン等のコーティ
ングはなされていない。図7において、紫外光源20は
酸化容器10の内筒12の内側に挿通されており、この
紫外光源20からの紫外線が及ぶ照射領域23を通過す
る試料液が紫外線で酸化されるようになっている。
【0045】酸化容器10の他の具体例を図8に基づい
て説明する。図8の酸化容器10は、外筒11及び両端
部のリング状下底13及び上底14を有している。ま
た、紫外光源20は酸化容器10の下底13及び上底1
4との間にパッキン17を用いて水密に外筒11の内側
に挿通されており、この紫外光源20の外管が酸化容器
10の内筒を兼ねるようになっている。そして、外筒1
1、下底13及び上底14と共に二重管構造の空間を形
成しており、この空間に試料液が入口管15から流入し
出口管16から流出するようになっている。外筒11の
内側壁面には酸化チタンがコーティングされている。こ
の場合も、紫外光源20からの紫外線が及ぶ照射領域2
3を通過する試料液が紫外線で酸化されるようになって
いる。
【0046】図7又は図8に示す酸化容器10では、酸
化チタンがコーティングされている外筒まで、紫外線が
実質的に遮られることなく到達して、そこに接触してい
る試料液の酸化反応を効率よく進行させることができ
る。また、外筒に酸化チタンがコーティングされている
と、紫外線は外筒から外部に漏洩しにくいことが確認さ
れた。すなわち、紫外線のエネルギーは、外部に漏れる
ことなくほぼ全量酸化反応のために消費される。また、
外部に紫外線が漏れて、周辺の機器を損傷したり、作業
者に悪影響を与えることもない。さらに、紫外光源20
を酸化容器10の内側に挿通しており、その外側を試料
液からなる液体の層が取り囲むことになるので、紫外光
源の温度変化を小さく抑えて、紫外光源の安定性を高め
ることができる。
【0047】図6に示す有機炭素含量測定装置の動作に
ついて図9を用いて説明する。まず、常閉弁53をオフ
にして閉じ、酸化容器10にF≦V/Tである流量で試
料液を流す。紫外光源20は常閉弁53のオフと同時に
点灯を開始し、時間T経過後に消灯する。この間、導電
率検知電極30で検知される導電率は、通過する試料液
部分の酸化状態に応じて次第に上昇し、やがて紫外光源
20の点灯時間と有機炭素含量に応じた最大導電率で一
定となる。この間、紫外光源の発熱の影響により、試料
液の温度が点灯中に上昇し消灯と共に下降する。導電率
検知電極30の温度センサによって検知される温度は、
紫外線照射領域を出た試料液部分がそこに到達するまで
の時間と若干の応答時間のため、紫外光源の点灯消灯に
遅れて、図に示すような上昇下降が観察される。
【0048】次に、常閉弁53をオンにして開くと、酸
化容器10から流出した試料液の大部分は常閉弁53を
通過するので、酸化容器10に流れる試料液の流量が急
増すこの常閉弁をオンにするタイミングは、時間で余裕
を見て一律に管理してもよいし、導電率の上昇が一定値
以下になったことを確認した時点としてもよい。また、
温度の最大値は、導電率の最大値が得られた後に得られ
るので、温度が最大になった時点でオンとしてもよい。
図に示すように、常閉弁53をオンとすると、導電率は
速やかに下降してベースの導電率に復帰する。
【0049】そして、導電率がベース導電率に復帰して
から再度常閉弁をオフにして上記動作を繰り返す。再度
常閉弁をオフにするタイミングも、時間で余裕を見て一
律に管理してもよいし、導電率の下降が一定値以下にな
ったことを確認した時点としてもよい
【0050】このようにして得られるベース導電率と最
大導電率のデータは、演算装置40に入力される。そし
て、温度センサのデータに基づき温度補償された上で、
有機炭素含量が演算される。また、光量計22の値が所
定値より小さくなった場合には、紫外光源20が劣化し
たものと判断して演算装置40から警報が出力される。
【0051】図10に、図6と同等の装置を用いて得た
実験値を示す。なお、試料液として用いた標準液の供給
圧が不足していたため、オリフィス52に代えて低流量
ポンプを用いた。また、常閉弁53に代えて、大流量ポ
ンプを用い、このポンプをオンとしたときに、酸化装置
10内の試料液流量を増加させて、試料液の置き換えが
できるようにした。
【0052】この実験値を得た具体的な条件は以下のと
おりである。まず、酸化容器10としては、図7に示す
構造であって、外筒の内径18mm、内筒の外径16m
m、全長225mm、全内容積12mLのものを用い
た。この内、照射領域23は長さ方向のほぼ中間位置に
あり、その長さは160mm、容積Vは8.5mLであ
る。導電率検知電極30は、内容積約1mL、セル定数
約0.1のフローセル型のものを使用した。酸化容器1
0と、導電率検知電極30との間は、内径4mmのテフ
ロンチューブ約25mmで連絡した。紫外光源20とし
ては、定格5Wの低圧水銀ランプを用い、これを90秒
間(T=1.5min)点灯し、次いで115秒間消灯
することを繰り返した。
【0053】試料液は、F≦V/T=8.5mL/1.
5min=5.7mL/minを満たすように、大流量
ポンプをオフとしているとき、約4〜5mL/min前
後の流量Fで酸化容器10を通過するように調整した。
また、大流量ポンプをオンにしたときには、約70mL
/minの流量で試料液が酸化容器10を通過するよう
に調整した。大流量ポンプは、紫外光源20の点灯開始
と共にオフにし、その150秒後に55秒間オンとする
動作を繰り返した。
【0054】試料液としては、1000ppm(炭素量
換算以下同じ)のメタノール標準液の流れと、有機炭素
を4ppb含むゼロ水の流れとを、流量比を調整しつつ
合流させる方法で、4〜1004ppbの標準液を調製
し供給した。図10の図中に示す数字が各ピークデータ
を得たときの試料液濃度(単位ppb)である。
【0055】図10に示すように、各濃度に応じた導電
率のピークが、205秒(約3.5分)に1回の間隔
で、再現性良く得られた。また、図10のデータから、
試料液の濃度に対する導電率変化(最大導電率とベース
導電率との差)の関係を求めたところ、図11に示すよ
うに良好な検量線が得られた。なお、図10において、
試料液濃度の切替時等に若干のピーク値の乱れが見られ
るが、これは、測定装置側の問題というよりも、試料液
調製側の置き換わり遅れの問題と考えられる。
【0056】次に試料液流量の影響を調べるために、低
流量ポンプの流量F(大流量ポンプをオフにしたときの
流量)を4.3mL/min〜5.5mL/minの間
で変化させ、上記と同様に調製した54ppbのメタノ
ール標準液を測定した。結果を図12に示す。図12中
の数字は、各ピークデータを得たときの流量Fの値であ
る。図に示すように、F≦V/T=8.5mL/1.5
min=5.7mL/minの条件を満たす範囲では、
流量変化にかかわらず、一定した導電率変化が得られる
ことが確認された。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、数分に一回という非常
に短い間隔で有機炭素含量の測定ができる。そのため、
実質的にリアルタイムでの有機炭素含量の監視が可能と
なる。しかも、測定値を得るために精密な流量制御を必
要としないため、簡単な構成の装置とすることができ
る。したがって、低コストかつ取扱いの容易な有機炭素
含量の測定装置を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る有機炭素測定装置であ
る。
【図2】本発明の他の実施形態に係る有機炭素測定装置
である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る有機炭素測定装置
である。
【図4】図1に示す実施形態に係る有機炭素測定装置の
動作説明図である。
【図5】図2又は図3に示す実施形態に係る有機炭素測
定装置の動作説明図である。
【図6】本発明の実施例に係る有機炭素測定装置であ
る。
【図7】本発明の実施例に係る有機炭素測定装置で使用
する酸化容器の具体例であり、(a)は縦断面図、
(b)は平面図である。
【図8】本発明の実施例に係る有機炭素測定装置で使用
する酸化容器の他の具体例であり、(a)は縦断面図、
(b)は平面図である。
【図9】本発明の実施例に係る有機炭素測定装置の動作
説明図である。
【図10】本発明の実施例に係る有機炭素測定装置でメ
タノール標準液を測定したデータである。
【図11】図10のデータから求めた検量線である。
【図12】本発明の実施例に係る有機炭素測定装置にお
いて、流量変化の影響を調べたデータである。
【符号の説明】
1,10 酸化容器 2 紫外線照射領域 20 紫外光源 3,30 導電率検知電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−94572(JP,A) 特開 昭60−159642(JP,A) 特開 昭64−63859(JP,A) 特開2001−149930(JP,A) 実開 昭64−34555(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/00 - 27/24 G01N 33/18

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化容器に試料液を通過させると共に、
    この試料液に紫外線を一定時間照射してから照射を中止
    し、前記紫外線の点灯開始前のベース導電率と照射中止
    以後の最大導電率とを前記酸化容器の出口近傍に設けた
    導電率検知電極において計測し、このベース導電率と最
    大導電率との差からこの試料液中の有機炭素含量を求め
    る有機炭素含量の測定方法であって、前記酸化容器内を
    試料液が通過する流量Fと、前記導電率検知電極より上
    流側における前記酸化容器の紫外線が照射される範囲の
    内容積Vと、紫外線の照射時間TとがF≦V/Tの関係
    にあることを特徴とする有機炭素含量の測定方法。
  2. 【請求項2】 前記導電率検知電極によって前記最大導
    電率が計測された後に、前記酸化容器内を試料液が通過
    する流量を増大させて前記酸化容器内の試料液を置換す
    ることを特徴とする請求項1に記載の有機炭素含量の測
    定方法。
  3. 【請求項3】 前記試料液中の有機炭素の紫外線酸化を
    促進するために、光触媒を用いることを特徴とする請求
    項1又は請求項2に記載の有機炭素含量の測定方法。
  4. 【請求項4】 前記紫外線の光量を計測し、計測した光
    量が所定の値より小さくなった場合に、警報を出力する
    ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載
    の有機炭素含量の測定方法。
  5. 【請求項5】 試料液が通過する酸化容器と、酸化容器
    内の試料液に紫外線を照射する紫外光源と、この紫外光
    源を一定時間点灯させた後に消灯する点灯制御手段と、
    前記酸化容器の出口近傍に設けられた導電率検知電極
    と、この導電率検知電極によって計測される前記紫外線
    の点灯開始前のベース導電率と消灯以後の最大導電率と
    の差からこの試料液中の有機炭素含量を演算する演算装
    置とを備えると共に、 前記酸化容器内を試料液が通過する流量Fと、前記導電
    率検知電極より上流側における前記酸化容器の紫外線が
    照射される範囲の内容積Vと、紫外線の照射時間Tとが
    F≦V/Tの関係になるように、前記流量Fを制御する
    流量制御手段を備えることを特徴とする有機炭素含量の
    測定装置。
  6. 【請求項6】 前記導電率検知電極によって前記最大導
    電率が計測された後に、前記流量制御手段により前記酸
    化容器内を試料液が通過する流量を増大させて前記酸化
    容器内の試料液を置換することを特徴とする請求項5に
    記載の有機炭素含量の測定装置。
  7. 【請求項7】 前記酸化容器内に、試料液中の有機炭素
    の紫外線酸化を促進するための光触媒を備えたことを特
    徴とする請求項5又は請求項6に記載の有機炭素含量の
    測定装置。
  8. 【請求項8】 前記酸化容器が外筒と紫外線を実質的に
    透過する材質からなる内筒とを有し、この外筒と内筒と
    の間を試料液が通過する二重管構造であって、前記外筒
    の内側に光触媒が被覆されていると共に、前記紫外光源
    は前記内筒の内側に収容されていることを特徴とする請
    求項7に記載の有機炭素含量の測定装置。
  9. 【請求項9】 前記酸化容器が外筒と紫外線を実質的に
    透過する材質からなる内筒とを有し、この外筒と内筒と
    の間を試料液が通過する二重管構造であって、前記外筒
    の内側に光触媒が被覆されていると共に、前記内筒が前
    記紫外光源の外管から形成されていることを特徴とする
    請求項7に記載の有機炭素含量の測定装置。
  10. 【請求項10】 前記紫外光源からの紫外線の光量を計
    測する光量計を備えることを特徴とする請求項5から請
    求項9の何れかに記載の有機炭素含量の測定装置。
  11. 【請求項11】 前記酸化容器内を試料液が通過する流
    量Fを確認する手段を有することを特徴とする請求項5
    から請求項10の何れかに記載の有機炭素含量の測定装
    置。
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