JP4462099B2 - 全有機体炭素測定装置 - Google Patents
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Description
TOCの測定方法としては、試料水中の有機体を酸化反応器で二酸化炭素へ転化する工程と、二酸化炭素を選択的に通過させるガス透過膜により、導電率測定機構を有する二酸化炭素検出機構の中に試料水を通す工程と、二酸化炭素検出機構で導電率を測定する工程とによってTOCを測定する方法がある(特許文献1参照。)。
その一例として、Anatel社製のA−1000などが挙げられる。
また、TOCを精度よく測定するために、イオン性の不純物の影響を低減する目的で二酸化炭素分離部を設け、二酸化炭素分離部を介して試料水から測定水に二酸化炭素のみを移動させ、得られた測定水の導電率を測定して計算によりTOCを求める方法が比較的小型の装置で精度良くできる手法を用いた装置として知られている。その一例として、SIEVERS社製の900型TOCアナライザーが挙げられる。
また、装置構成が大きいことから試料水及び測定水を多く必要としていたため、溶存二酸化炭素の移動を促進するための酸や、有機物の分解を保証するための酸化物(例えば、ペルオキソニ硫酸カリウム)を添加して、試料水及び測定水を低減することを行っていた。
本発明は、装置の小型化及び測定精度を向上させることのできる全有機体炭素測定装置を提供することを目的とする。
上記測定水流路と測定セルは、基板に設けられた貫通穴によってつながるようにすることができる。
上記試料水流路と酸化用流路は、基板に設けられた貫通穴によってつながるようにすることができる。
図1は全有機体炭素測定装置の断面図である。
本発明の全有機体炭素測定装置は、二酸化炭素分離ユニットが、上側の有機物酸化ユニットと下方の導電率測定ユニットによって挟まれて一体化している。
基板31には測定水の供給流路37が貫通穴として設けられ、その供給流路37は基板21の貫通穴27を介して測定水流路5につながっているとともに、第2基板21と第3基板31により形成されている分岐流路23を介して貫通穴として設けられた排出口39につながっている。
酸化用流路9の一端は、貫通穴として設けられた試料水用の供給流路47につながり、他端は基板11に設けられた貫通穴17を介して試料水流路3につながっている。試料水流路3は試料水を排出するために基板11に設けられた貫通穴15と、基板41の貫通穴15である排出穴45につながっている。
二酸化炭素分離ユニットは、試料水側で酸化されて二酸化炭素になった有機炭素を測定水側に透過させる領域であり、ガス透過膜1とその両側の基板11,21により形成されている試料水流路3及び測定水流路5からなる。
試料水流路3は、基板11の下面に微小な溝(幅0.01〜10mm、深さ0.01〜0.5mm、長さ数mm〜数百mm)を形成することで作製でき、例えば幅1mm、深さ0.2mm、長さ200mmのものを用いる。流路はウェットエッチング技術やドライエッチング技術、サンドブラスト加工を用いた微細加工技術により加工できる。
測定水流路5は、基板21の上面に微小な溝(幅0.01〜10mm、深さ0.01〜0.5mm、長さ数mm〜数百mm)を形成することで作製でき、例えば幅1mm、深さ0.2mm、長さ200mmのものを用いる。測定流路5は試料水流路3と同様の加工技術により設けることができる。
ガス透過膜1としては、疎水性多孔質膜が好ましく、例えば、多孔質フッ素樹脂膜(例えば、住友電工社製のポアフロン(登録商標))などを用いることができる。
有機物酸化ユニットは試料中の有機物を紫外線照射により酸化する領域であり、基板41と基板11に挟まれた酸化用流路9からなる。
酸化用流路9は、基板11の上面に微小な溝(幅0.01〜数mm、深さ0.01〜1mm、長さ100mm〜数1000mm)を形成することで作製でき、例えば幅1mm、深さ0.2mm、長さ200mmのものを用いる。流路はウェットエッチング技術やドライエッチング技術、サンドブラスト加工を用いた微細加工技術により加工できる。
基板41は酸化用流路9に紫外線を透過する材質のものとして、例えば、石英ガラス基板を用い、基板11は酸化膜つきシリコン製基板を用いる。これらの基板41,11間は、フッ酸接合法などにより容易に接合できる。
基板41の上側からは紫外線が照射され、二酸化炭素に変換された有機物は即座に試料水流路3に送られることから、TOCを迅速に測定することができる。これにより、測定の精度を上げることができる。
導電率測定ユニットは測定水側に透過された二酸化炭素を検出する領域であり、測定電極7を中心としており、基板31と基板21に挟まれた測定セル内の流路に配置されている。
測定電極7は、Pt/Ti膜(密着性向上のためにTi膜上にPt膜が形成されたもの)により、例えば、くし歯型の電極パターンを形成した石英ガラス基板31をベースとし、通常のフォトリソグラフィーとスパッタ成膜の組み合わせなどで形成可能である。測定電極7の上面の一部を含む基板31の表面には、流路部分23,33の領域を切り取ったPDMS(ポリジメチルシロキシサン;例えばコーニング社のシルガード184(登録商標))などの接着性の薄膜シート31aを貼り付け、貫通穴27,25および測定水流路5の溝加工を施した基板21でふたをするように接合する。
基板21と基板31の間に形成される流路23,33は、PDMSや接着性の有機膜、又は接着剤を塗布した薄膜シート31aを用いることで、基板21,31間の隙間によって実現することができる。これらの流路の深さは、10〜1000μmが好ましく、本実施例では、約100μmに形成した。
基板21,31に設けられた貫通穴、供給口および排出口は、例えば、サンドブラスト法によって形成することができる。
実施例に示した基板等の装置構成材料は、シリコン基板、石英ガラス、PDMS(ポリジメチルシロキサン)及び多孔質フッ素樹脂を用いて構成されており、いずれも溶出等の問題がほとんど無い材料である。このように、ユニット間に異種配管材料を用いる必要がなくなり、配管材料等の溶出による汚染の影響を減らすことができるとともに、ユニット間のデットボリュームが小さくなくことで、高感度かつ効率のよい測定を行うことができる。
試料水として、例えば、フタル酸水素カリウム水溶液を用いた。測定水としては、有機物を含まないものとして、例えば、イオン交換水を用いた。
試料水は供給流路47から0.1mL/min程度の流量で、酸化用流路9に供給される。試料中の有機物は紫外線を0.1〜5分間、好ましくは3分間照射されることにより酸化され、二酸化炭素として試料水中に溶存する。
ガス透過膜1でガス透過を終えた試料水は、貫通穴15を介して排水口45から排出される。二酸化炭素を吸収した測定水は、貫通穴25を介して測定セルに送られる。その後、測定水は流路33を流れ、測定電極7によってイオン交換水の導電率が測定される。
試料水に有機物及び二酸化炭素を全く含まないものを用いてバックグラウンドを測定し、試料水から得られた結果からバックグラウンドを差し引くことで、導電率から二酸化炭素の濃度を定量し、TOCに換算する。
本実施例では、くし歯型の測定電極の例を示したが、基板21と基板31に電極を形成した平行平板型の測定電極とするなど、他の構成とすることもできる。
試料水に無機体炭素が含まれている場合は、実施例での測定により全炭素が求められる。厳密な有機体炭素を求めるためには、紫外線照射を行って求めた全炭素値と、紫外線を行わないで求めた無機体炭素値の差を求めればよい。
3 試料水流路
5 測定水流路
7 導電率測定電極
9 酸化用流路
11,21,31,41 基板
15,17.25,27 貫通穴
21a 薄膜
31a 薄膜シート
35,39,45 排出口
37,47 供給流路
23,33 流路
Claims (4)
- 供給された試料水中の有機物を酸化して二酸化炭素に変換する有機物酸化ユニット、前記有機物酸化ユニットを経た試料水中の二酸化炭素を測定水中に移動させる二酸化炭素分離ユニット、及び前記二酸化炭素分離ユニットからの測定水の導電率を測定する導電率測定ユニットを具備した全有機体炭素測定装置において、
前記二酸化炭素分離ユニットはガス透過膜と、前記ガス透過膜との間に試料水流路を形成する第1基板と、前記ガス透過膜を介して前記試料水流路と対向する測定水流路を形成する第2基板とが積層して固定されたものであり、
前記導電率測定ユニットは、前記第2基板に対向して固着され第2基板との間に前記測定水流路につながる測定セルを形成する第3基板と、前記測定セル内に配置された導電率測定電極とを備えたものであることを特徴とする全有機体炭素測定装置。 - 前記有機物酸化ユニットは、前記第1基板に対向して固着された第4基板をさらに備え、第4基板と第1基板との間に前記試料水流路につながる酸化用流路が形成され、少なくとも前記酸化用流路の一部に外部からの紫外線が入射可能なように第4基板が透明材質となっていることにより、試料水の有機物が紫外線照射により酸化されるものである請求項1に記載の全有機体炭素測定装置。
- 前記第2基板と第3基板により、供給された測定水を前記測定水流路と他の流路に分岐する分岐流路が形成されている請求項1又は2に記載の全有機体炭素測定装置。
- 前記基板間の接合面の少なくとも一部には接着性有機膜が介在している請求項1から3のいずれかに記載の全有機体炭素測定装置。
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