JP5282703B2 - 送液装置及びそれを用いた全有機体炭素測定装置 - Google Patents

送液装置及びそれを用いた全有機体炭素測定装置 Download PDF

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Description

本発明は各種分析計や医療用装置を含む測定装置において流体を送液する送液装置と、その送液装置を利用した具体的な測定装置の一例として試料水中の全有機体炭素量(TOC)を測定する全有機体炭素測定装置(TOC計ともいう。)に関するものである。対象とする全有機体炭素測定装置は、例えば、純水や超純水と呼ばれる不純物の少ない水に含まれる有機性物質を二酸化炭素分離部により分離し、導電率によりTOCを評価する全有機体炭素測定装置である。
製薬用水、半導体製造工程水、冷却水、ボイラー水、水道水など不純物の少ない試料水の管理を目的として、それらの水に含まれる有機物のTOC測定が行なわれている。
TOCの測定方法としては、試料水中の有機体を酸化反応器で二酸化炭素へ転化する工程と、ガス透過膜を介して二酸化炭素を測定水へ移動させる工程と、二酸化炭素が移動した測定水を導電率計へ送って導電率を測定することにより二酸化炭素濃度を検出する工程とによってTOCを測定する方法がある(特許文献1,2参照。)。
半導体や製薬用水等のように不純物の少ない水を測定する際には、紫外光により有機物を分解して二酸化炭素とし、二酸化炭素分離部を介して導電率測定を行う方法が比較的小型の装置で精度よく測定できる手法として知られている。
全有機体炭素測定装置で使用する測定水としては脱イオン水を使用する。その測定水の供給流路は循環流路を構成しており、導電率計を通過して導電率を測定された測定水はいったんリザーバに戻され、リザーバからポンプにより送りだされ、イオン交換樹脂により脱イオン水として再生された後に再び測定水として使用される。
全有機体炭素測定装置に限らず、各種分析計や医療用装置などの他の測定装置においても、必要な流体が循環流路によって供給されるものがある。
そのような種々の循環流路において、ポンプによって流体を循環させる場合、気泡の混入やポンプ内の気泡が原因になって安定した流量で送液できないことがある。そのため、循環させる流体を初めに脱気させたり、又は気泡が混入してもポンプ内部に付着しないように気泡を細かくするフィルタを用いたりすることが行われている(特許文献3参照。)。
特許第2510368号公報 特開2006−90732号公報 特開2008−241325号公報
循環流路で脱気した流体を使用する場合、脱気直後は有効があるが、時間ともに溶存空気量が増えてくるため、長い時間にわたって連続的に循環させて使用するような用途では不向きである。
また、フィルタによる気泡混入の除去は長い時間の使用に耐えるが、配管構成が複雑になり、装置全体がコスト高になるという問題がある。
本発明は、脱気を随時又は定期的に行うことのできる簡単な機構を備えた送液装置と、そのような送液装置を備えた測定装置を提供することを目的とするものである。
本発明の送液装置は、測定装置が使用する流体を貯留し、底部に出口をもち、貯留した流体の上部が大気に開放された容器からなるリザーバと、送液用のポンプと、前記ポンプによりリザーバの前記出口からの流体を測定装置に供給し、測定装置を経た流体をリザーバに戻す循環流路と、循環流路のうちのポンプと測定装置の間に設けられた分岐点から分岐してリザーバに直接つながり、その分岐点から下流の循環流路よりも流路抵抗が小さくなっているバイパス流路と、その分岐点に設けられ、ポンプからの流体を循環流路とバイパス流路とのいずれかに切り換える流路切換え機構を備えている。
リザーバでは流体の上部が大気に開放されているので、気泡は大気に放出され、リザーバ底部の出口から気泡のない流体がポンプにより吸引されて循環流路に供給される。それでも測定動作時に流体中に発生した気泡がポンプ内に付着することがある。
流路切換え機構は、測定動作時はポンプからの流体が循環流路に流れるように流路を接続しておく。流路切換え機構は、随時に又は定期的にポンプからの流体がバイパス流路を経てリザーバにつながるように切り換えられる。ポンプの駆動力が測定動作時と同じに保たれていてもバイパス流路は循環流路よりも流路抵抗が小さいので、ポンプを測定動作時よりも大量の流体が流れる。流体をバイパス流路に流すときにポンプの駆動力を高めてもよい。ポンプを測定動作時よりも大量の流体が流れるときにポンプ内に付着していた気泡は流体とともにリザーバに排出され、リザーバから大気に放出される。
リザーバはポンプよりも重力方向に対して高い位置に配置されていることが好ましい。リザーバの底部の出口から循環水を吸引する際にポンプが空気を吸引することを一層有効に阻止することができ、気泡がポンプ内部に混入することを一層有効に避けることができる。
本発明の送液装置を利用した測定装置の一例は全有機体炭素測定装置である。全有機体炭素測定装置は、供給された試料水中の有機物を酸化して二酸化炭素に変換する有機物酸化部と、試料水中で変換された二酸化炭素を測定水流路の測定水へ移動させる二酸化炭素分離部と、二酸化炭素分離部からの測定水の導電率を測定する導電率測定部と、二酸化炭素分離部を経て導電率測定部へ測定水を供給する測定水供給部を備えている。二酸化炭素分離部は有機物酸化部を経た試料水が流される試料水流路及び脱イオン水からなる測定水が流される測定水流路を備え、ガス透過膜を介して試料水流路から測定水流路へ二酸化炭素を移動させる。そして、本発明の全有機体炭素測定装置では、測定水供給部として、本発明の送液装置を使用する。その送液装置としては、流路切換え機構と二酸化炭素分離部との間に流体として脱イオン水を送液するためのイオン交換樹脂を配置したものを使用する。この場合、全有機体炭素測定装置内の二酸化炭素分離部と導電率測定部が送液装置内の測定装置に相当する。
この全有機体炭素測定装置の好ましい形態では、料水流路と測定水流路の間に試料水流路を流れる試料水よりも高いpH値をもつ中性領域の中間水が存在又は流通する中間水部を介在させ、試料水流路と中間水部の間及び中間水部と測定水流路の間がそれぞれガス透過膜を介して接しているようにする。
一般に、二酸化炭素分離部を備え測定水の導電率測定によりTOCを計測する手法では、溶存二酸化炭素成分の除去、測定水へのガス成分移動促進、測定の安定化などを目的として試料水には酸添加を行なうため、試料水は強酸性になっている。そのような強酸性条件下で尿素等の窒素化合物を含む試料水を紫外光で酸化分解すると、窒素化合物から硝酸と亜硝酸が生成される。
亜硝酸と亜硝酸イオンの存在比はpHによって変化、酸性下ではガス成分である亜硝酸として存在し、中性からアルカリ性にかけては亜硝酸イオンとして存在する。
二酸化炭素分離部で試料水と測定水がガス透過膜を介して接している場合は、酸性の試料水と中性の測定水がガス透過膜を介して接しているため、試料水中で生成した亜硝酸がガス透過膜を通って測定水へ移動し、亜硝酸イオンになる。その結果、亜硝酸は導電率測定において導電率が高くなる方向の正の妨害影響を与える。
一方、試料水流路と測定水流路の間に試料水流路を流れる試料水よりも高いpH値をもつ中性領域の中間水が存在する中間水部が介在すると、試料水で発生した亜硝酸はガス透過膜を透過して中間水部へ移動するが、中間水のpHを中性付近に保つことにより亜硝酸はガス成分としての存在比が減少して、亜硝酸イオンになる。亜硝酸イオンはガス透過膜を透過しないので、測定水への亜硝酸の移動を抑えることができるようになる。
本発明の送液装置では、流体から気泡を除去するために、流路切換え機構によりポンプからの流体がバイパス流路を経てリザーバにつながるように切り換えられると、ポンプを測定動作時よりも大量の流体が流れ、そのときにポンプ内に付着していた気泡は流体とともにリザーバに排出され、リザーバから大気に放出される。流路切換え機構により随時に又は定期的にポンプからの流体が循環流路からバイパス流路を経てリザーバにつながるように切り換えることにより、ポンプ内に付着した気泡を除去してポンプによる送液流量を正確に保つことができる。
高感度な全有機体炭素測定においては、気泡がポンプに混入することが原因となり流量が不安定になり圧力バランスが崩れ測定誤差をもたらすことがあるが、測定水供給部として本発明の送液装置を使用することにより、ポンプに気泡が混入することなく循環水である測定水を安定した流量で送液することが可能になり、測定誤差のない高精度かつ安定な測定ができるようになる。
本発明を概略的に示すブロック図である。 TOC計の第1の形態を示す概略図である。 TOC計の第2の形態を示す概略図である。 TOC計の第3の形態を示す概略図である。 一体化したTOC計の一実施例を示す断面図である。
図1は全有機体炭素測定装置を含み、測定水などの流体を循環流路により供給するようにした一般的な測定装置を示している。特に、その送液装置の部分を示したものである。
リザーバ28はこの測定装置が使用する流体を貯留し、底部に出口をもち、貯留した流体の上部が大気に開放された容器からなっている。リザーバ28はその底部の出口に流路68でつながる送液用のポンプ32よりも重力方向に対して高い位置に配置されている。図1中の符号Hは重力方向の高さの差を表している。高さの差Hの大きさは特に限定されるものではなく、数cm〜1mが適当である。
送液用のポンプ32はリザーバ28の底部の出口に流路68により接続され、リザーバ28から吸引した流路58から流路62を経て測定装置50に供給するものである。ポンプ32としてはダイヤフラムポンプが用いられている。ダイヤフラムポンプはポンプ内に気泡が付着すると正確な流量で送液することが困難になる。測定装置50を経た流体は流路66によりリザーバ66に戻される。流路58、62、66及び68は循環流路を構成している。
循環流路のうちのポンプ32と測定装置50の間に設けられた分岐点から分岐してリザーバ28につながるバイパス流路63が設けられている。その分岐点にはポンプ32からの流体をバイパス流路63と循環流路を構成する流路62のいずれかに切り換える流路切換え機構として三方コック59が設けられている。
三方コック59から下流の循環流路を構成する流路62は測定装置50内の二酸化炭素分離部や導電率測定部を経由するために流路抵抗が大きいのに対し、バイパス流路63は大気に開放されたリザーバ28に直接つながっているので、流路62よりも流路抵抗が小さくなっている。
リザーバ28では測定装置50からの循環流路66とバイパス流路63が接続されているが、リザーバ28に貯留されている流体に気泡が巻き込まれるのを防ぐために、流路66、63の先端はリザーバ28内の貯留流体中に浸るように配置されるのが望ましい。また流路66,63の先端とリザーバ28の底部との距離を十分にとることにより流体に気泡が巻き込まれるのを防いでいる。
測定装置50が機能するように、測定装置50には試料液の前処理や注入を行なう多機能シリンジポンプや有機物反応部などの前処理部52が流路54を介して接続されている。測定装置50に供給された試料液は測定後に流路56によりドレインに排出されるようになっている。
この測定装置50では、送液装置の三方コック59を循環流路側に接続してポンプ32を起動させると、流体はリザーバ28の下部から吸引されることにより空気を吸引することなく循環流路により測定装置50に供給される。
三方コック59をバイパス流路側に切り換えると、ポンプ32の駆動力を測定時のままにしてもポンプ32内を測定時の流量より多くの流量の流体が流れることによりポンプ32の内部にある気泡を除去することができる。気泡を除去する際には、ポンプ32の駆動力を測定時よりも強めてもよい。
三方コック59の切換え動作及びそのタイミングはこの測定装置の動作を制御する制御部としての専用コンピュータ又は汎用のパーソナルコンピュータにより自動的に制御されるようにプログラムを保持しておくのが好ましい。
図2はTOC計の第1の形態の概略図である。測定部50は二酸化炭素分離部20と導電率計34を含み、前処理部52は有機物酸化部24を含む。
二酸化炭素分離部20は、中間水部4を間に挟んで、試料水流路2、中間水部4及び測定水流路6が上下方向に積層されて一体化されている。供給された試料水中の有機物を酸化して二酸化炭素に変換する有機物酸化部24を経た試料水が試料水流路2に流される。中間水部4には試料水よりも高いpH値をもつ中性領域の中間水が流されるか封入されている。中間水部4は好ましくは流路となって中間水が流されるようになっている。測定水流路6には脱イオン水からなる測定水が流される。試料水流路2と中間水部4はガス透過膜8を介して接しており、中間水部4と測定水流路6はガス透過膜10を介して接している。
二酸化炭素分離部20に試料水を供給するために、その試料水流路には有機物酸化部24を介してポンプ22により試料水が供給される。有機物酸化部24は紫外線ランプ26からの紫外線が試料水に照射される紫外線照射部を備え、紫外線照射部を試料水が流れる間に紫外線照射により有機物が酸化されて二酸化炭素となる。有機物酸化部24は二酸化炭素分離部20と一体化されていてもよく、又は離れて構成されて流路で接続されていてもよい。二酸化炭素分離部20の試料水流路2を通った試料水は排出される。
二酸化炭素分離部20の測定水流路6には、脱イオン水としてイオン交換水が供給される。イオン交換水は、リザーバ28に溜められている純水がリザーバ28の底部からポンプ32により吸引され、イオン交換樹脂30を経て二酸化炭素分離部20の測定水流路6に供給される。測定水流路6を通過した測定水は、導電率計34で導電率が測定される。その導電率は二酸化炭素分離部20で中間水から測定水に移動してきた二酸化炭素による導電率である。導電率計34を通過した測定水はリザーバ28に戻されて再利用される循環流路を構成している。導電率計34も二酸化炭素分離部20に一体として設けられていてもよく、又は離れて構成されて流路で接続されていてもよい。
ポンプ32とイオン交換樹脂30の間の流路には流路切換え機構の三方コック59が設けられ、三方コック59により分岐したバイパス流路63がリザーバ28に接続されている。
図2においても、以下の図3及び図4においても、リザーバ28はポンプ32よりも重力方向に対して高い位置に配置されている。
三方コック59は、TOC測定時はポンプ32からの流路がイオン交換樹脂30を経る循環流路を構成するように接続する。ポンプ32内に付着した気泡を除去するときはポンプ32からの流路がバイパス流路63を経てリザーバ28に接続されるように切り換えられる。
中間水流路4には中間水として純水や脱イオン水が供給される。イオン交換樹脂30を経た脱イオン水を中間水としても供給することができる。中間水は試料水流路側のガス透過膜8によって試料水と接触し、測定水流路側のガス透過膜10によって測定水とも接触する。中間水流路4を経た中間水は排出される。
図3はTOC計の第2の形態の概略図である。二酸化炭素分離部40は試料水側のガス交換部40aと測定水側のガス交換部40bに分離されている。中間水流路は試料水側の中間水流路4aと測定水側の流路4bに分離され、その間が連結用流路で接続されている。他の構成は図2に示されたTOC計と同じである。
図4は中間水流量と測定水流量の流量比を一定に保つために共通のシリンジポンプを使用した形態のTOC計の実施例である。二酸化炭素分離部20は、ここでは図2に示された実施例のものを示しているが、図3のように試料水側のガス交換部と測定水側のガス交換部に分離されたものであってもよい。中間水と測定水として同じイオン交換樹脂30を介してポンプ32で供給されたものを使用している。測定水は測定水流路6から導電率計34を経て流される。中間水は中間水流路4を流される。中間水と測定水がリザーバ28に戻される流路にはそれぞれバルブ48と50が設けられており、それぞれの流量を調整するために一台のシリンジポンプ46の2つのシリンジ42,44がそれぞれの流路に接続されている。中間水と測定水を流すときは、バルブ48,50が閉じられた状態で、中間水と測定水がそれぞれシリンジ42,44中に同時に吸引され、それぞれのシリンジ42,44の内径で決まる流量で中間水と測定水が流される。測定終了後は、バルブ48と50が開けられ、シリンジ42,44が吐出方向に切り替えられることによってシリンジ42,44中に吸引されていた中間水と測定水がリザーバ28に戻される。
この実施例でもポンプ32とイオン交換樹脂30の間の流路には流路切換え機構の三方コック59が設けられ、三方コック59により分岐したバイパス流路63がリザーバ28に接続されている。三方コック59は、TOC測定時はポンプ32からの流路がイオン交換樹脂30を経る循環流路を構成するように接続し、ポンプ32内に付着した気泡を除去するときはポンプ32からの流路がバイパス流路63を経てリザーバ28に接続されるように切り換えられる。
図4の実施例のように、一台のシリンジポンプ46に2個のシリンジ42,44を装着し、中間水流路4から排出される中間水と測定水流路6から排出される測定水を同時に吸引する場合には、シリンジ42,44の径を選択することにより、中間水と測定水との流速比を所定の一定値に保つことができる。中間水と測定水の流速比が一定に保たれることによって中間水から測定水へのガス成分の分配比が一定に保たれ、測定の再現性が高まる。
次に、有機物酸化部24、二酸化炭素分離部20、及び導電率計34を一体化した実施例を図5を参照して説明する。ここでは、測定水の送液装置の図示は省略されているが、図2〜図4中の送液装置と同様の構成をとることができる。中間水の送液装置は測定水とは別のものを使用してもよく、図4の実施例のように測定水の送液装置を兼用してもよい。なお、各基板の表面と裏面を区別して呼ぶときは、図5の状態で上側の面を「表面」、下側の面を「裏面」と呼ぶ。
有機物酸化部24は紫外線が入射する側の基板60とそれに接合された基板62とから構成されている。一方の基板60としては、紫外光により有機物の分解を行うために紫外光を透過する石英基板が使用されている。基板60のうち、紫外線が入射する部分は紫外線入射部となる。基板60には試料水導入口となる貫通穴64と試料水排出口となる貫通穴66が開けられている。他方の基板62としても石英基板が使用されている。基板62の表面には試料水導入口64の位置に一端をもつ酸化部流路68が形成されている。基板62の裏面には試料水排出口66に対応する位置に一端をもつ試料水流路2が形成されている。基板62には、酸化部流路68の他端と試料水流路2の他端を連結する貫通穴70と、試料水流路2の一端と試料水排出口66とを連結する貫通穴72が開けられている。基板62の裏面、すなわち基板60との接合面とは反対側の面には紫外線照射領域を画定する遮光用金属膜33が形成されている。遮光用金属膜33は、例えば厚さが0.05μm以上のPt/Ti膜(密着層としてチタン膜を成膜し、その上に白金膜を成膜したもの。)である。
酸化部流路68及び試料水流路2は、特に寸法が限定されるものではないが、例えば幅1mm、深さ0.2mm、長さ200mm程度のものであり、ウエットエッチングやドライエッチングなどの加工により形成することができ、貫通穴64,66,70はサンドブラスト加工等により形成することができる。基板60,62間の接合はふっ酸接合により実現できる。
導電率計34は、石英基板74上に形成されたPt/Ti膜による電極パターン76の上に、流路部分を切り取ったフィルム78を介して石英基板80の裏面が接合されて形成されている。
フィルム78としては、例えば、接着性フッ素樹脂(例えば、厚さ100μmのネオフロンEFEP(ダイキン工業株式会社の登録商標))フィルムやPDMS(ポリジメチルシロキサン)(例えば厚さ100μmのダウ・コーニング社のシルガード184(登録商標))フィルムを使用する。電極パターン76上にはフィルム78により測定水が流れる流路が形成されている。
電極パターン76は、Pt/Ti膜をスバッタ成膜し、半導体製造工程や微細加工技術の分野で使用されているフォトリソグラフィとエッチングによりパターン化して形成することができるが、電極パターン76の形成方法は特に限定されるものではない。また、電極パターン76上に流路を形成するためのフィルムは、ネオフロン膜やPDMS膜に限らず、接着性有機膜又は接着剤を塗布した薄膜などで実現することもできる。
石英基板80の表面には測定水流路6が形成され、石英基板80には測定水流路6の一端につながる測定水分岐流路82と、測定水流路6の他端を導電率計34の電極パターン76の流路に連結する貫通穴84が形成されている。また、石英基板80には中間水を導く中間水分岐流路となる貫通穴86と、中間水を排出する中間水排出口となる貫通穴88も開けられている。石英基板80の厚さは特に限定されるものではないが、例えば1mm厚みのものを用いる。
石英基板74には脱イオン水としてイオン交換水を供給するためのイオン交換水導入口となる貫通穴90と余分なイオン交換水を排出するイオン交換水排出口となる貫通穴92も開けられている。基板74と80に挟まれたPDMSフィルム78により形成された流路によって、イオン交換水導入口90が測定水分岐流路82、中間水分岐流路86及びイオン交換水排出口92とつながっている。
石英基板74には、導電率計34の電極パターン76の流路から検出後の測定水を排出する測定水排出口となる貫通穴94と、石英基板80の中間水排出用貫通穴88と連結されて中間水を排出する中間水排出口となる貫通穴96も開けられている。
有機物酸化部24を構成している基板62の裏面と、導電率計34のユニットを構成している基板の80の表面とが、間に二酸化炭素分離部を構成する2つのガス透過膜8,10を挟んで接合されている。ガス透過膜8,10の間にはPDMSフィルム98が挟みこまれ、そのPDMSフィルム98の厚みによって隙間が形成され、そのPDMSフィルム98のパターンによって中間水流路4が形成されている。中間水流路4は一端が石英基板80の中間水導入用の中間水分岐流路86につながり、他端が中間水排出用の貫通穴88につながる形状に形成されている。
ガス透過膜8と基板62の間には試料水流路2が形成され、ガス透過膜10と基板80の間には測定水流路6が形成されるように、ガス透過膜8,10と基板62,80の間がPDMSフィルムなどのフィルムでシールされている。
ガス透過膜8,10は特に限定されるものではなく、二酸化炭素に対する選択性をもっていないものを使用する。そのようなガス透過膜8,10としては、例えば多孔質フッ素樹脂膜(例えば厚さが30μmのポアフロン;住友電工社製)などを用いることができる。
この実施例で、試料水は基板60の試料水導入口64から導入され、酸化部流路68から試料水流路2を通って試料水排出口66から排出される。試料水はその間に酸化部24で紫外光照射を受けて酸化され、二酸化炭素分離部20のガス透過膜8を介して中間水と接触し、二酸化炭酸などのガス成分は中間水に分配される。
イオン交換水はこの装置の外部で生成され、イオン水交換水導入口90から導入される。導入されたイオン交換水の大部分はイオン交換水排出口92からそのまま排出されるが、必要な流量のみ、測定水分岐流路82から測定水流路6へ供給され、中間水分岐流路86から中間水流路4に供給される。
中間水流路4は、試料水に接するガス透過膜8と測定水に接するガス透過膜10の両方に接しているため、試料水から入ってきたガス成分は中間水でイオンとの平衡に達しながら測定水にガス成分を分配し、中間水排出口88,96を経て外部に排出される。また、測定水は測定水流路6でガス成分を受け取った後、導電率計34を通り測定水排出口94から排出される。
2 試料水流路
4 中間水部
4a 試料水側中間水部
4b 測定水側中間水部
6 測定水流路
8,10 ガス透過膜
20,40 二酸化炭素分離部
24 有機物酸化部
26 紫外線ランプ
28 リザーバ
30 イオン交換樹脂
32 ポンプ
34 導電率計
50 測定部
52 前処理部
58,62,66,68 循環流路
59 三方コック
63 バイパス流路

Claims (4)

  1. 測定装置が使用する流体を貯留し、底部に出口をもち、貯留した流体の上部が大気に開放された容器からなるリザーバと、
    送液用のポンプと、
    前記ポンプにより前記リザーバの前記出口からの流体を前記測定装置に供給し、前記測定装置を経た流体を前記リザーバに戻す循環流路と、
    前記循環流路のうちの前記ポンプと前記測定装置の間に設けられた分岐点から分岐して前記リザーバに直接つながり、その分岐点から下流の前記循環流路よりも流路抵抗が小さくなっているバイパス流路と、
    前記分岐点に設けられ、前記ポンプからの流体を前記循環流路とバイパス流路のいずれかに切り換える流路切換え機構と、を備え
    前記ポンプは、流体が前記バイパス流路を流れるように前記流路切換え機構が切り換えられたときの送液の駆動力が、流体が前記循環流路を流れるときの駆動力と同じであるか又はそれよりも大きく設定されるものであることにより、流体が前記バイパス流路を流れるときは前記循環流路を流れるときよりも多くの流量が前記ポンプを流れるようになっている送液装置。
  2. 前記リザーバは前記ポンプよりも高い位置に配置されている請求項1に記載の送液装置。
  3. 供給された試料水中の有機物を酸化して二酸化炭素に変換する有機物酸化部と、
    前記有機物酸化部を経た試料水が流される試料水流路及び脱イオン水からなる測定水が流される測定水流路を備え、ガス透過膜を介して前記試料水流路から測定水流路へ二酸化炭素が移動する二酸化炭素分離部と、
    前記二酸化炭素分離部からの測定水の導電率を測定する導電率測定部と、
    前記二酸化炭素分離部を経て前記導電率測定部へ測定水を供給する測定水供給部と、を備え、
    前記測定水供給部として、請求項1又は2に記載の送液装置であって、前記流路切換え機構と前記測定装置を構成する前記二酸化炭素分離部との間に前記流体として脱イオン水を送液するためのイオン交換樹脂を配置したものを使用した全有機体炭素測定装置。
  4. 前記試料水流路と測定水流路の間に前記試料水流路を流れる試料水よりも高いpH値をもつ中性領域の中間水が存在又は流通する中間水部を介在させ、試料水流路と中間水部の間及び中間水部と測定水流路の間がそれぞれガス透過膜を介して接している請求項3に記載の全有機体炭素測定装置。
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