JP2008241325A - 気泡除去機能を有する全有機体炭素計 - Google Patents

気泡除去機能を有する全有機体炭素計 Download PDF

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Abstract

【課題】流路中の気泡を除去する。
【解決手段】試料水Wが流される第一流路1と、測定対象水が流される第二流路2とを、液体が通過せずにガス成分が移動できるガス交換膜5を介して接続し、両流路1,2間に圧力差を設ける。更に、少なくとも第二流路2における上流側で脱イオン水Wm2を加熱する温度制御部7と、更にその上流に配置された溶存気体除去部6とを設ける。当該構成により、第二流路2において、ガス交換膜5より下流に気泡が至るのを防止する。
【選択図】図1

Description

本発明は、試料水に含まれる有機炭素物由来の二酸化炭素を別流路の脱イオン水に移動させ、当該脱イオン水の導電率を測定することにより、全有機炭素量を推定する全有機体炭素計において、脱イオン水から気泡を除去する技術に関する。
試料水中の全有機体炭素を測定する全有機体炭素測定装置としては、有機体炭素を二酸化炭素に変換する有機物酸化分解部、有機物酸化分解部で発生した二酸化炭素を脱イオン水へ抽出する二酸化炭素分離部、及び二酸化炭素分離部で抽出した二酸化炭素量を測定するために二酸化炭素分離部の脱イオン水の導電率を測定する検出部を備えたものがある。
そのような全有機体炭素測定装置において、二酸化炭素分離部は有機物酸化分解部で酸化処理が施された試料水から二酸化炭素を脱イオン水に移動させるために、試料水と脱イオン水をガス交換膜で隔てて配置することにより、試料水中の二酸化炭素をそのガス交換膜を介して脱イオン水に移させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−300633号公報
上記のごとき全有機体炭素測定装置において、測定精度を向上させるためには、脱イオン水の温度を常温よりも少し高めに制御する必要がある。かかる場合、加熱により、脱イオン水に溶存していた気体などの気体が気泡となって表れて、導電率の測定に悪影響を及ぼしていた。
本発明は導電率測定部に気泡が移動するのを適切に防止することのできる全有機体炭素測定装置を提供することを目的とするものである。
上述の課題を解決するために、本発明は、試料水を流す第一流路と、脱イオン水を流す第二流路と、それらの間に設けられたガス交換膜と、前記第一流路の上流側に配置された有機物酸化分解部と、前記第二流路の前記ガス交換膜より下流側に設けられた導電率測定部と、前記ガス交換膜が設けられた領域又はその一部領域において、第二流路の圧力が第一流路より高くなるようにする圧力制御部と、前記第二流路の前記ガス交換膜よりも上流側に設けられた溶存気体除去部と、少なくとも前記溶存気体除去部と前記ガス交換膜の間の領域において、脱イオン水の温度を制御する温度制御部とを備えることを特徴とする。
この場合、溶存気体除去部は、多孔質膜と吸気ポンプとから構成されることが望ましい。多孔質膜は、シリコン又はPTFEを主成分とすることでき、より好ましくはPTFEとすることである。
また、前記圧力制御部は、前記第二流路の、前記ガス交換膜よりも下流に設けられた流路抵抗部品によることができる。当該流路抵抗部品は、抵抗管に代表される。
また、ガス交換膜は、膜を貫通した多数の孔が形成されたメンブレンフィルタ又はガス透過膜であることが望ましく、膜を貫通した多数の孔が形成されたメンブレンフィルタと、前記メンブレンフィルタに形成され前記孔を通して液体が移動せずに液体に含まれるガス成分の移動だけができる隙間を形成している疎水性材料からなるガス透過層とからなるものであってもよい。
また、本発明は、少なくとも、前記第一流路の一部領域と、前記ガス交換膜と、前記第二流路の一部領域と、前記導電率測定部とが、一体の積層チップとして形成されていることが望ましい。この場合において、前記温度制御部は、前記積層チップの周囲に配置される金属製ブロックと、当該金属製ブロックを加熱するヒータまたはペルチェ素子とを含むことも望ましい。更に、前記温度制御部は、前記脱イオン水の温度を測定する温度センサ及び/又は金属製ブロックの温度を測定する温度センサを含むことがより望ましい。
このように構成された全有機体炭素計は、次のように作用する。
試料水に含まれる有機体炭素由来の二酸化炭素は、ガス交換膜を介して脱イオン水へ移動する。一方、脱イオン水の溶存気体のほとんどは、溶存気体除去部により除去される。わずかに残存した溶存気体は、温度制御部により脱イオン水が加熱されたときに、気泡となる場合がある。ここで、ガス交換膜が設けられた領域では、圧力制御部によって、第二流路の圧力が、第一流路より高く維持されている。従って、気泡は、その圧力差により第一流路へ移動する。
かかる作用により、第二流路から気泡が除去されて、導電率測定部に気泡が到達するのを防止することができる。従って試料水に含まれる有機体炭素由来の二酸化炭素の濃度を、気泡による誤差無く測定することができる。
また、溶存気体除去部を多孔質膜と吸気ポンプとから構成することにより、窒素を用いたバブリング等の方法に比べて、溶存気体を的確に除去することができる。
更に、多孔質膜をシリコン製とすれば、比較的安価に構成することができる。一方、PTFEは導電率に影響を及ぼす成分が溶融することがなく、高精度な導電率の測定に寄与する。
また、圧力制御部を、前記ガス交換膜よりも下流に設けられた流路抵抗部品によることにすれば、構成を極めて簡略化することができる。
また、ガス交換膜はメンブレンフィルタ又はガス透過膜を用いて実現することもできるが、メンブレンフィルタと疎水性材料のガス透過層とからなるものや、液体が移動せずに液体に含まれるガス成分の移動だけができる複数の溝で両流路間を結ぶものを使用すれば、ガス透過膜よりも透過速度を速くし、メンブレンフィルタよりも高い送液圧力を可能にすることができる。
また、少なくとも、前記第一流路の一部領域と、前記ガス交換膜と、前記第二流路の一部領域と、前記導電率測定部とを、一体の積層チップとすれば、装置が小型になるだけでなく、流路を接続する部材が不要になるので、そのような部材からの異物の侵入を抑えることができる。
更に、導電率測定部の直前で水温が変化すると、そのときに気泡が生じてしまう恐れがある。しかし、積層チップを金属製ブロックで覆い、当該金属製ブロックをヒータにより加熱することにより、脱イオン水の温度を制御すれば、積層チップ全体の温度を略均一に保つことができるので、導電率測定部の直前で気泡が発生するのを防止することができる。ヒータの代わりにペルチェ素子を用いれば、加熱だけではなく冷却も可能であるので、温度の制御をより正確かつ迅速に行うことができる。
本件発明にかかる全有機体炭素計は、図1に示すように、第一流路1と第二流路2とが、ガス交換膜3を介して接続されている。以下、第一流路1及び第二流路におけるガス交換膜3が設けられた領域をガス交換部と呼ぶ。
第一流路1におけるガス交換部の上流側には、試料水導入口11、無機炭素除去部4、有機物酸化分解部5が設けられている。また、下流側には、試料水排水口12が設けられている。
無機炭素除去部4は、試料水Wに溶存する無機炭素体を除去して無機炭素除去試料水Ws1を生成する。
また、有機物酸化分解部5は、無機炭素除去試料水Ws1に含まれる有機炭素体を二酸化炭素に変換して、有機炭素変換試料水Ws2を生成する。
生成された有機炭素変換試料水Ws2は、第一流路1におけるガス交換部を通過した後、廃液Ws3として、試料水排水口12から排水される。
一方、第二流路2は、測定対象水Wを循環させる流路を形成しており、ガス交換部から下流方向に向けて、導電率測定部8、脱イオン部9、溶存気体除去部6、及び、循環ポンプ21が接続されている。また、少なくともガス交換部より上流において、第二流路2の温度を制御する温度制御部7が設けられている。測定対象水Wは、脱イオン部9により、導電率に影響を与えるイオンを除去されて、脱イオン水Wm1となる。脱イオン部9は、一般的に知られたイオン交換水精製器などを用いることができる。
第二流路2を循環流路とすれば、測定対象水Wに気体が混入しにくいため好適であるが、脱イオン部9が必要となる。従って、循環流路とせず、別途脱イオン水を供給する場合には、脱イオン部9を省略することも可能である。
次に、脱イオン水Wm1は、溶存気体除去部6により、溶存している気体が除去されて、溶存気体除去後の脱イオン水(Wm2)となる。
溶存気体除去部6の詳細を図2に示す。溶存気体除去部6は、真空ポンプ61により低圧にされた真空室62内にチューブ63を配置して構成されている。
脱イオン水Wm1をチューブ63内に導入して、溶存ガスを除去することができる。チューブ63は、PTFEを主成分とする薄膜により形成されている。
PTFEは、その成分が脱イオン水Wm1に溶融しにくいため、薄膜の溶融に起因した測定対象水Wの導電率の変化を防ぐことができる。
本実施例では、PTFEを主成分とするチューブを用いることとしたが、これに限られない。例えば、材質は廉価で入手性の良いシリコンであっても良い。また、チューブ形状に限られず、薄膜を対向配置させたものであっても良い。更に、流路の一部に薄膜を配置する構成であっても良い。その他、液中に溶存する気体を除去する機能を有する限りにおいて、その態様を種々変更可能である。
更に、溶存気体除去後の脱イオン水Wm2は、ポンプ21によりガス交換へ流入する(図1参照)。この領域は、一体の積層チップとして構成されている。
図3に、積層チップの詳細な構造を示す。図3(a)は、上面図である。また、図3(b)は、図3(a)のA−A’断面図及び、各部に接続される制御回路を示す図である。図3(b)に示すように、積層チップは、ガス交換膜3と、第一流路1の一部領域と、第二流路2の一部領域と、導電率測定部8とを順に積層して構成されている。その積層チップは、アルミブロック73によって覆われており、当該アルミブロック73と、アルミブロック73の表面温度を測定する熱電対74と、アルミブロック73の温度を制御するペルチェ素子71と、熱電対74による検出温度に基づいて、ペルチェ素子71の駆動電流を制御する温度制御回路75とにより、温度制御部7を構成している。本実施例では、アルミブロック73は、ガス交換の上流側においても、第二流路2と接している。導電率測定部8は、流路内に設けられた電極対81と、電極対81間の抵抗値を測定する導電率測定回路82とから構成される。
積層チップのガス交換膜3以外の各層は、例えば石英ガラス基板などのガラス基板である。各流路は、およそ1mm程度の幅と、0.1mm程度の深さにした。ただし、流路の幅や深さは、取り扱う流量などによって種々変更可能である。
このような流路は例えばフォトリソグラフィとエッチングを用いた微細加工技術により形成することができる。また、孔は、例えばサンドブラスト法により形成することができる。
なお、必ずしも積層チップを構成する必要は無く、各部が完全に分離していてもよい。また、図1における有機物酸化分解部5をも一体として積層チップにしてもよい。ただし、第一流路1と第二流路2がガス交換膜3を介して接続されている構成は必須である。
温度制御部7は、制御回路75によって、アルミブロック73の表面温度を熱電対74により検出し、当該検出された温度が導電率測定時に所定の温度になるようにペルチェ素子71へ流す電流を制御する。所定の温度は、使用環境温度の上限に、温調のための上げ幅を加えた温度とするのが一般的である。例えば使用環境温度を40℃、温調のための上げ幅を5℃とすると、所定の温度は45℃となる。また、有機物酸化分解部5をも一体として積層チップにしている場合には、有機物の酸化分解に用いられるUVランプを近接配置する必要がある。UVランプは相当の高温となるため、アルミブロック73を通じて積層チップ全体の温度上昇を引き起こす。その温度上昇を10℃程度とすると、上記所定の温度は、55℃となる。
なお、導電率測定部8の温度を測定する熱電対を設け、当該熱電対により検出された温度が、導電率測定時に所定の温度になるように制御しても良い。あるいは、導電率測定時のみアルミブロック73の表面温度を測定する熱電対74によって検出される温度に基づいて制御し、それ以外のときは、導電率測定部8の温度を測定する熱電対によって検出される温度に基づいて制御するようにしても良い。
m2内には、溶存気体除去部6によって除去しきれなかった気体が残存していることがあり、当該残存した気体が、温度制御部7による加熱により気泡となって現れる場合がある。当該気泡が導電率測定部8へ到達すると、測定誤差の要因となる。
しかしながら、図3のように、アルミブロック73は、ガス交換膜3が設けられた領域より上流においても、溶存気体除去後の脱イオン水Wm2の温度を制御している。従って、気泡は、ガス交換膜3の上流側で発生する。
さらに、第二流路2には、圧力制御部として、ガス交換膜3と導電率測定部8との間に幅狭部24を設けているので、流路抵抗の相違により、両流路の流速を同じであっても、ポンプ21から幅狭部24の間における第二流路2の圧力が、第一流路1の圧力より高くなる。なお、図1においては、圧力制御部として抵抗管23を設けることにしていたが、これに代えて、積層チップ内部に幅狭部24を設けることにしている。
当該圧力差によって、溶存気体除去後の脱イオン水Wm2中の気泡は、ガス交換膜3を介して、有機炭素変換後の試料水Ws2へ移動する。試料水Ws2は、その後廃液Ws3として排出される。
なお、圧力制御部として幅狭部を設けることとしたが、単に第一流路1の断面積より、第二流路の断面積を大きくすることにしてもよい。また、流路にメッシュを配置したり、更にメッシュにガラス粒子を詰めて、流路抵抗を増加させるようにしたりしてもよい。その他、圧力差を設ける公知の技術を種々選択して適用可能である。
更に、圧力制御部を、ガス交換膜3と導電率測定部8との間に設けることにすれば、ガス交換膜3全体で、気泡の移動効果を得ることができ、好適である。ただし、ガス交換膜3の一部領域において、圧力差が生じるように、ガス交換膜3が設けられた領域の一部において、第二流路2に幅狭部を設けても良い。
その他、ガス交換膜3が設けられた全領域または一部領域において、第二流路の水圧が、第二流路の水圧よりも高くなるようにする限りにおいて、具体的な態様を種々変更可能である。
本実施形態のように、温度制御部7の構成部品としてペルチェ素子を用いれば、加熱及び冷却が可能である。従って、頻繁に設定温度や制御対象の流量や温度が変化し、設定温度に対する追従性が要求される場合には、ペルチェ素子を用いることが望ましい。しかし、このような特段の事情がなければ、ペルチェ素子71に変えて、加熱する機能のみを有する素子であっても良い。例えば電熱ヒータであってもよい。
また、ペルチェ素子71は、アルミブロック73の温度を制御しているため、実質的に積層チップ全体の温度が制御される。このような態様にすれば、積層チップの入口付近から出口にかけて、第二流路2を流れる測定対象水Wの温度を略一定に保つことができる。従って、第二流路2におけるガス交換部の下流で温度変化による気泡が発生せず、好適である。
ただし、少なくとも、ガス交換部の上流側で、第二流路2を流れる液体の温度を上昇させる機能を有する限り、残存する溶存気体を気泡化させた後、ガス交換部を介して、第一流路1側へ移動させることができる。従って、気泡が導電率測定部8へ到達する可能性を低減できる。
一方、第一流路1を流れる有機炭素変換後の試料水Ws2に含まれるCOは、ガス交換膜3を介して、溶存気体除去後の脱イオン水Wm2へ移動する。
ここで注目すべきは、気泡については両流路の圧力差に依存してガス交換膜3を介して移動するのに対して、溶存するCOの移動速度は、両流路の圧力差にほとんど依存せず、両流路のCO濃度差に依存することである。
従って、導電率測定部8へ気泡が到達するのを防止しつつ、試料水に含まれるCOを脱イオン水へ移動させることができる。
以下、ガス交換膜の詳細について説明する。
ガス交換膜としてのガス透過膜は、概略的には図4(a)に符号31として示されるような断面構造をもち、素材における分子と分子の隙間がランダムな方向に存在し、その隙間をガス成分が透過する。ガス透過膜ではガスの透過速度は遅いが、液体が膜を通じて漏れることはない。
ガス透過膜を単独で用いる場合、疎水性多孔質膜が好ましく、例えば、多孔質フッ素樹脂膜(例えば、住友電工社製のポアフロン(登録商標))を用いることができる。
メンブレンフィルタを単独でガス交換膜として用いる場合、厚さが10μm、孔径が0.2μm、気孔率が5〜20%のポリカーボネート製メンブレンフィルタ(ISOPORE MEMBRANE FILTER:MILLIPORE社の製品)を使用することができる。
更に、ガス交換膜として、メンブレンフィルタ及びその表面に形成されるガス透過層を用いることもできる。ガス透過層がメンブレンフィルタの両面から形成されているものは、概略的には図4(a)〜図4(e)のいずれか、又はそれらの組み合わされた構造になっている。
図4(c)の構造は、疎水性材料からなるガス透過層34がメンブレンフィルタ32の孔33を粗く埋めることにより、孔33を通じて液体が移動することを阻止し、液体に含まれるガス成分はガス透過層34の隙間を通って移動できるようになったものである。
図4(d)の構造は、疎水性材料からなるガス透過層35がメンブレンフィルタ32の孔33の径を小さくすることにより、孔33を通じて液体が移動することを阻止し、液体に含まれるガス成分はガス透過層35の隙間を通って移動できるようになったものである。
図4(e)の構造は、疎水性材料からなるガス透過層36がメンブレンフィルタ32の表面を薄く被うことにより、メンブレンフィルタ32の孔33を通じて液体が移動することをガス透過層36が阻止し、液体に含まれるガス成分がそのガス透過層36の隙間を通って移動できるようになったものである。
図4(c),図4(d)の構造によれば、ガス透過層34の隙間又は小さくされたメンブレンフィルタ32の孔33の径は、従来のガス透過膜における分子間の隙間よりは大きいため、ガス成分は膜中を気体の拡散速度で移動することができる。またメンブレンフィルタ32そのものの孔33よりは径が小さくなって表面張力の効果が高まっているので、使用できる液体の送液圧力上限が大きくなるように改善される。
図4(e)の構造によれば、ガス成分は従来の透過膜と同様にガス透過層36の素材における分子と分子の隙間をガス成分が透過することになるが、従来の技術で作製できる透過膜の厚みより薄く作製できるため、ガス成分が透過する時間が短縮される。
メンブレンフィルタの好ましい例は、膜を貫通している孔が膜に垂直方向に形成されたものであり、ガス透過層の一例はフッ素系堆積薄膜である。メンブレンフィルタの孔が互いに交わっていなければメンブレンフィルタ内部でのガスの拡散が少なく、ガス成分の移動速度がより速くなる。
本実施例ではポリカーボネート製メンブレンフィルタを選択して使用することができる。メンブレンフィルタの表面には疎水性材料からなるガス透過層を形成するので、メンブレンフィルタ自体の材質は疎水性でも親水性でもよい。また、メンブレンフィルタの孔径は特に限定されるものではないが、大きすぎると液漏れが生じやすくなるので、ガス透過層を形成した状態で液漏れが生じないような大きさのものを選択する。逆に小さすぎるとガス透過層を形成した状態でガスの透過速度が遅くなる。
本発明でガス交換膜として使用することのあるメンブレンフィルタの一態様を図5(a)〜図5(b)に示す。図5(a)のメンブレンフィルタの孔を通して液体が移動せずに液体に含まれるガス成分の移動だけができる隙間を形成するために、疎水性材料からなるガス透過層を表面と裏面の両面に形成した状態を示したのが図5(b)の走査型電子顕微鏡画像である。ここでは、CHFを反応ガスとしてプラズマ処理することにより、メンブレンフィルタの両面にガス透過層としてフルオロカーボン層を成膜した。その成膜条件は、ガス流量50sccm、成膜圧力150mTorr、成膜時間が片面5分、印加パワー100Wであった。成膜レートは約16〜18nm/分で、成膜されたフルオロカーボン層の膜厚は約80〜90nmであった。
このガス透過フィルタの疎水化の評価は、メンブレンフィルタ表面と水滴の接触角を測定することにより行ない、接触角は未処理の場合(図5(a))は51°であったのに対し、処理後(図5(b))には96°へと増大し、疎水化されていることを確認できた。
全有機体炭素測定装置の一実施例を示す概略構成図である。 溶存気体除去部の詳細図である。 積層チップの上面図及び断面図である。 ガス透過膜の断面形状を比較するための図である。 メンブレンフィルタ表面状態をのSEM画像により比較する図である。
符号の説明
1 第一流路
11 試料水導入口
12 試料水排水口
2 第二流路
21 循環ポンプ
22 シリンジポンプ
23 抵抗管
3 ガス交換膜
4 無機炭素除去部
5 有機物酸化分解部
6 溶存気体除去部
61 真空ポンプ
62 真空室
63 チューブ
7 温度制御部
71 ペルチェ素子
73 アルミブロック
74 熱電対
75 温度制御回路
8 導電率測定部
81 電極対
82 導電率測定回路
9 脱イオン部
Ws 試料水
Ws1 無機炭素溶存試料水
Ws2 有機炭素変換後の試料水
Ws3 廃液
Wm 測定対象水
Wm1 脱イオン水
Wm2 溶存気体除去後の脱イオン水
Wm3 CO溶存脱イオン水

Claims (12)

  1. 試料水を流す第一流路と、
    脱イオン水を流す第二流路と、
    それらの間に設けられたガス交換膜と、
    前記第一流路の上流に配置された有機物酸化分解部と、
    前記第二流路の前記ガス交換膜より下流に設けられた導電率測定部と、
    前記ガス交換膜が設けられた領域又はその一部領域において、第二流路の圧力が第一流路より高くなるようにする圧力制御部と、
    前記第二流路の前記ガス交換膜よりも上流に設けられた溶存気体除去部と、
    少なくとも前記溶存気体除去部と前記ガス交換膜の間の領域において、脱イオン水の温度を制御する温度制御部と、
    を備えることを特徴とする全有機体炭素計。
  2. 溶存気体除去部は、多孔質膜と、当該多孔質膜の周囲を減圧するための吸気ポンプとからなることを特徴とする請求項1に記載の全有機体炭素計。
  3. 前記多孔質膜はシリコンを主成分とすることを特徴とする請求項2に記載の全有機体炭素計。
  4. 前記多孔質膜はPTFEを主成分とすることを特徴とする請求項2に記載の全有機体炭素計。
  5. 前記圧力制御部は、前記第二流路の、前記ガス交換膜よりも下流に設けられた流路抵抗部品によることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の全有機体炭素計。
  6. 前記ガス交換膜は、膜を貫通した多数の孔が形成されたメンブレンフィルタ又はガス透過膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の全有機体炭素計。
  7. 前記ガス交換膜は、膜を貫通した多数の孔が形成されたメンブレンフィルタと、前記メンブレンフィルタに形成され前記孔を通して液体が移動せずに液体に含まれるガス成分の移動だけができる隙間を形成している疎水性材料からなるガス透過層とからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の全有機体炭素計。
  8. 少なくとも、前記第1流路の一部領域と、前記ガス交換膜と、前記第二流路の一部領域と、前記導電率測定部とが、一体の積層チップとして形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の全有機炭素計。
  9. 前記温度制御部は、前記積層チップの周囲に配置される金属製ブロックと、当該金属製ブロックを加熱するヒータとを含むことを特徴とする請求項8に記載の全有機炭素計。
  10. 前記温度制御部は、前記積層チップの周囲に配置される金属製ブロックと、当該金属製ブロックを加熱するペルチェ素子とを含むことを特徴とする請求項9に記載の全有機炭素計。
  11. 前記温度制御部は、前記脱イオン水の温度を測定する温度センサを含むことを特徴とする請求項9又は10に記載の全有機炭素計。
  12. 前記金属製ブロックの温度を測定する温度センサを含むことを特徴とする請求項9〜11に記載の全有機炭素計。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011053045A (ja) * 2009-09-01 2011-03-17 Shimadzu Corp 送液装置及びそれを用いた全有機体炭素測定装置
CN102565432A (zh) * 2011-12-22 2012-07-11 烟台大学 一种改进的toc分析仪用离子阱
JP2013160611A (ja) * 2012-02-03 2013-08-19 Shimadzu Corp 全有機体炭素測定装置
JP2014162745A (ja) * 2013-02-25 2014-09-08 Nippon Chem Ind Co Ltd ホスフィン−パラジウム錯体、その製造方法、置換アセチレン重合開始剤及び置換ポリアセチレンの製造方法
WO2022071111A1 (ja) * 2020-09-30 2022-04-07 ホリバ トカデロ ゲーエムベーハー 全有機炭素計及び燃焼反応ユニット
WO2022098928A1 (en) * 2020-11-06 2022-05-12 Bl Technologies, Inc. Combined transfer module with integrated conductivity measurement

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