JP4835122B2 - 気液分離チップ、その製造方法及びそれを用いた全有機体炭素測定装置 - Google Patents
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ぬれ技術ハンドブック(石井淑夫監修)2001年初版発行p25 シリコンマイクロ加工の基礎(M.エルベンスポーク、H.V.ヤンセン著)2001年発行p323−326 Henri Jansen et al., J. Micromech. Microeng.5, 115 (1995).
cosθr=r・cosθ (1)
ここで、cosθrは荒れた表面の接触角、rは平滑面に比べて表面積が何倍になったかを示す因子、cosθは平滑面の接触角である。
上記針状突起物の表面には疎水化処理がなされていることが好ましい。
気液分離フィルタ部の針状突起物間の隙間に気体が流れる流路が接続されるようにすれば、気液分離された気体を外部に排出したり、液体に溶け込ませるガスを供給することができるようになる。
図1(D)は本発明で実現する気液分離チップの一実施例であり、(A)〜(D)はその作製工程の概略断面図を示している。
図1(D)の気液分離チップでは、気液分離フィルタ部3はシリコン基板1に異方性ドライエッチングにより形成された多数の針状突起物を有するブラックシリコンと称されるものである。針状突起物の表面には疎水化処理がなされている。シリコン基板1上には接着性フッ素樹脂5によってガラス基板4が接合されて流路6が形成されている。気液分離フィルタ部3と流路6はともに紙面垂直方向に延びている。
気液分離フィルタ部3の疎水化処理は要求される撥水性の程度によっては省略することもできる。
例えば、シリコン基板1の表面を酸素雰囲気下にて110℃で熱酸化(ウエット酸化)することで、厚さ1μm程度のシリコン酸化膜2を形成する。
フォトリソグラフィー技術を用いてシリコン酸化膜2上にレジストパターンを形成し、それをマスクにしてシリコン酸化膜2をパターン化して、流路となる幅300μmの溝状の開口を形成する。
パターン化されたシリコン酸化膜2の開口部分に露出したシリコン基板にドライエッチングを行なうことで気液分離フィルタ部としてのブラックシリコンを形成する。このときの作製条件は非特許文献3に記載されているブラック表面手法のドライエッチング条件、例えば、SF6ガス流量を20sccm、O2ガス流量を15sccm、圧力を2.7Pa、印加パワーを50Wとして15分間実行した。これにより、開口部にブラックシリコンと呼ばれる多数の針状突起物が形成される。この溝の深さは2μm程度で、その底に高さが1μm程度の針状突起物が間隔0.1〜0.2μmで多数形成された状態となる。
気液分離フィルタ部3において接触角を増大するために、ブラックシリコンの表面にフルオロカーボンを堆積して疎水化処理し、撥水性にする。フルオロカーボンの堆積厚さは特に限定されるものではなく、100nm以下でよい。
その後、基板1,4と接着性フッ素樹脂5によって流路6を形成するように、間に接着性フッ素樹脂5を挟んでガラス基板4とシリコン基板1を接合する。接着性フッ素樹脂5は特定の温度、例えば150℃以上でガラス基板、金属板、シリコン基板など、他の概の基板に対しても接着性を発現し、それより低い温度では接着性が消えてフッ素樹脂としての性質を示すものである。接着性フッ素樹脂としてはネオフロンEFEP(登録商標、ダイキン工業株式会社の製品)などを使用することができる。
2枚の基板1,4を接着性フッ素樹脂によって接合すれば、接着性フッ素樹脂によって流路幅を確保できるとともに、基板同士の接着を行なうこともできるため、構造及び製造工程が簡易になる。
また、液体に溶存しているガスを分離して除去する目的にも使用することができる。この場合は、流路6にガスを溶存した液体を流し、気液分離フィルタ部3で分離されたガスを気液分離フィルタ部3の突起の隙間を経て外部に排出するようにすればよい。
図4は気液分離チップの他の実施例を示す概略断面図である。
気液分離フィルタ部3は図1の実施例と同様にシリコン基板1に異方性ドライエッチングにより形成された多数の針状突起物を有するブラックシリコンと称されるものである。ただし、この実施例の気液分離フィルタ部3は紙面垂直方向に延びる流路ではなく、紙面垂直方向に両端をもつ凹部として形成されたものである。針状突起物の表面には疎水化処理がなされている。シリコン基板1上には接着性フッ素樹脂5によってガラス基板4が接合されて流路11,12が形成されている。流路11,12はそれらの間に残された接着性フッ素樹脂10によって互いに並行で、紙面垂直方向に延びるように形成されている。
気液分離フィルタ部3は接合された基板1,3の間で紙面垂直方向の両端が閉じられており、その幅は2つの流路11,12を結ぶ大きさに形成されている。気液分離フィルタ部3を介して両流路11,12間で、矢印で示されるように、気体が移動できる。
この場合も、気液分離フィルタ部3の疎水化処理は要求される撥水性の程度によっては省略することもできる。
耐圧試験においては、気体が通過していることを確認した後、水を流した際の耐圧を測定した。その測定値は40〜240kPaであった。
Δp=γLG{(1/h)cosθ1+(1/h+2/d)cosθ2} (2)
ここで、Δpは流入耐圧[Pa]、γは表面張力(=0.073)[Pa]、dはスパイク間隔[μm]、hはスパイク高さ[μm]、θは接触角[rad]である。
実験値と計算値を比較すると、実験値の一部は計算値と一致するが、バラツキが大きく下限は理論値より小さい。これはチップ作製時の接着状態の違いなどが原因であると考えられる。
図4の実施例の気液分離チップを導電率計と組み合わせた実施例ついて、図5を参照しながら説明する。
気液分離チップの部分では、図4の実施例と同様にシリコン基板1にブラックシリコンにより気液分離フィルタ部3が形成され、接着性フッ素樹脂5aによりガラス基板4aが接合されて、気液分離フィルタ部3を介してつながる2つの流路11,12が形成されている。流路11は図4と同様に紙面垂直方向に延びて試料水用流路となっている。一方、流路12は一端が紙面垂直方向に延びているが、他端が閉じられ、図5に示されるようにガラス基板4aに開けられた貫通穴を介してガラス基板4aの反対側に導かれている。
流路15内表面には二酸化炭素濃度などを測定するための導電率計を構成する一対の電極14が備えられている。
本発明の気液分離チップを用いた全有機体炭素測定装置の一実施例を図6を参照しながら説明する。
この全有機体炭素測定装置は、試料水中に最初から溶け込んでいる二酸化炭素を除去するIC除去部20、試料水中の有機体炭素を二酸化炭素に変換する有機物酸化分解部23、有機物酸化分解部23で発生した二酸化炭素を測定水としての純水へ抽出する二酸化炭素分離部25、及び二酸化炭素分離部25で抽出された二酸化炭素量を測定するために二酸化炭素分離部25からの測定水の導電率を測定する検出部26を備えている。
二酸化炭素分離部25として図4の実施例に示された気液分離チップを使用する。気液分離チップ25の流路11に有機物酸化分解部23からの試料水を流し、流路12に測定水として純水を流し、そのガス交換チップを経た測定水を検出部26に導く。
試料水はIC除去部20を経て有機物分解部23に送られ、二酸化炭素が除去された試料水中の有機物がUVランプ24によって照射された紫外線エネルギーと酸化剤の添加や触媒により酸化され、二酸化炭素になる。有機物の酸化分解により生じた二酸化炭素が溶存している試料水は二酸化炭素分離部25としての気液分離チップに送られ、試料水に含まれる二酸化炭素は測定水としての純水へ移動する。測定水は検出部26へ送られ、測定水の導電率が測定されることにより二酸化炭素濃度が定量される。
また、図7(B)に示すように、気液分離部3が形成された2枚のシリコン基板1a,1bをそれぞれの気液分離部3が対向するように接着性フッ素樹脂5により接合してもよい。このような形態は、気液分離フィルタ部3の表面積を増やすことができるので、気液分離の効率をあげることができる。
2 シリコン酸化膜
3 気液分離フィルタ部
4 ガラス基板
5 接着性フッ素樹脂
6,11,12,15 流路
13 排出口
14 電極
Claims (7)
- チップを構成する部材に液体が流れる流路と、前記流路に接して、液体が侵入せずに気体だけが通ることができる気液分離フィルタ部が形成され、その気液分離フィルタ部で液相と気相との界面でガスの移動が行なわれる気液分離チップにおいて、
前記気液分離フィルタ部は気体も液体も透過させない基板上に液体は浸入できず気体は隙間を移動できる多数の針状突起物を有するものであり、前記流路に対し液体がそれらの突起物の先端部と接触するように配置されていることを特徴とする気液分離チップ。 - 前記針状突起物は、シリコン基板への異方性ドライエッチングにより形成されたものである請求項1に記載の気液分離チップ。
- 前記針状突起物の表面には疎水化処理がなされている請求項1又は2に記載の気液分離チップ。
- 前記気液分離フィルタ部の針状突起物間の隙間は気体が流れる流路につながっている請求項1から3のいずれかに記載の気液分離チップ。
- 前記流路は互いに異なる液体が流れる2つの流路を備え、それらの2つの流路を結んで前記気液分離フィルタ部が配置されており、気液分離フィルタ部を介して両流路間で気体が移動する請求項1から3のいずれかに記載の気液分離チップ。
- 請求項1から5のいずれかに記載の気液分離チップであって、一対の基板を張り合わせることによりそれらの基板の対向部に前記流路と気液分離フィルタ部を形成したものを製造する方法において、
前記気液分離フィルタ部を形成するためにシリコン基板表面の一部に対して条件を選択した異方性ドライエッチングを施すことにより多数の針状突起物を形成する工程を含むことを特徴とする気液分離チップの製造方法。 - 試料水中の有機体炭素を二酸化炭素に変換する有機物酸化分解部、前記有機物酸化分解部で発生した二酸化炭素を純水へ抽出する二酸化炭素抽出部、及び前記二酸化炭素抽出部で抽出した二酸化炭素量を測定するために前記純水の導電率を測定する検出部を備えた全有機体炭素測定装置において、
前記二酸化炭素抽出部として請求項5に記載の気液分離チップを使用し、一方の流路に前記有機物酸化分解部からの試料水を流し、他方の流路に純水を流し、その気液分離フィルタ部を経た純水を前記検出部に導くことを特徴とする全有機体炭素測定装置。
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