JP2001281204A - 隔膜式センサ - Google Patents

隔膜式センサ

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JP2001281204A JP2000132990A JP2000132990A JP2001281204A JP 2001281204 A JP2001281204 A JP 2001281204A JP 2000132990 A JP2000132990 A JP 2000132990A JP 2000132990 A JP2000132990 A JP 2000132990A JP 2001281204 A JP2001281204 A JP 2001281204A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微小化した場合にも、低濃度ガスの測定にも
対応できる充分なガス透過性を確保できると共に、内部
液も確実に保持でき、しかも、検知電極と気液分離膜の
位置関係を一定する等の精密な加工が可能なことにより
良好な測定精度が得られる隔膜式センサを提供する。 【解決手段】 センサ本体1と、気液分離膜4と、電解
液7と、検知電極2及び対極3とを備える隔膜式センサ
において、センサ本体1が、同一平面に平行して設けら
れて気液分離膜が接合される一対の膜接合面5a,5b
と、膜接合面5a,5bに挟まれる位置に設けられた底
面が長方形の電解液収容溝6と、電解液収容溝6の底面
から突設され先端が膜接合面5a,5bと同一平面上の
近傍にまで伸張する先端面が膜接合面5a,5bと平行
する長方形の検知電極台8とを有すると共に、このセン
サ本体1の検知電極台8の先端面に検知電極2を、電解
液収容溝6の底面に対極3とを各々設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、センサ本体と気液
分離膜で、内部に検知極、対極、電解液(内部液)など
を保持した構造の隔膜式センサに関する。さらに詳しく
は、塩素の漏洩ガス等、低濃度ガスの検知に適し、かつ
微小に製作が可能な隔膜式センサに関する。
【0002】
【従来の技術】塩素ガス等の毒性ガス検知用センサとし
ては、従来からセンチメートルサイズの電量式及び定電
位電解式センサが実用化されている。漏洩ガス検知警報
器などに広く用いられており、許容濃度(ACGIH又
は日本産業衛生学会の勧告値)付近の低濃度ガスに対し
ても迅速に応答する性能を有したセンサとなっている。
【0003】これらの電量式及び定電位電解式塩素ガス
センサは、気液分離膜(隔膜)とセンサ本体等の内部
に、作用極(検知極)・対極などとともに内部液(電解
液)などを保持した構造となっている。両方式は、作用
極一対極間に適当な電圧を印加しながらセンサ出力とし
ての電流を測定するなど類似点も多く、最近では測定原
理上の区分にかかわりなく、他の類似した測定方式をも
含めてアンペロメトリックセンサや電流測定式センサ、
或いは電気化学センサやEC(Electrochem
ical)センサと呼ばれるケースが多くなってきてい
る。
【0004】図9に上記従来技術に係るECセンサの一
例を示す。図9のECセンサは、筒状のセンサ本体51
と、中央に多孔質の隔膜52を保持した隔膜保持体53
とを備えている。そして、ナット54をセンサ本体51
と螺合することにより、隔膜保持体53がOリング55
を介してセンサ本体51の先端に装着されている。ま
た、電極本体51の中央空間に、センサ上部(図示せ
ず)から電極支持体56が垂下されており、電極支持体
56の先端には検知電極57が、中間の凹部には対極5
8が各々支持されている。そして、これら各部材の間に
形成される空間に電解液59が充填されている。このE
Cセンサ全体の大きさは、例えば、26mmΦ×58m
mである。
【0005】一方、微小ガスセンサの研究開発はこれま
でにも多くの研究者によって行われてきており、報告も
多数となっている。しかし、微小ECセンサに関する報
告の殆どは、酸素センサ又はバイオセンサに関する内容
である。このことは、これらの微小センサのニーズが医
療などの分野に存在していることや、また、測定対象物
質となる酸素が高濃度(%オーダー)であるためにポア
サイズや気孔率が小さい気液分離膜で使用可能であり、
ふっ素化合物やシリコーンなどのフィルムも使用できる
ために比較的簡単に気液分離構造を構築できること、及
び酸素センサの内部液はほぼ塩化カリウム溶液に近い組
成であるために周囲のセンサ部材等を侵食したりするこ
とも殆どないこと、などが大きく関与し、研究報告も多
数に及んでいると考えられる。
【0006】図10に、上記微小センサの一例として、
特公平6−1254号公報に記載された酸素電極を示
す。図10において、シリコン基板71は、異方性エッ
チングにより作成された溝を有すると共に、その全面に
絶縁膜72を被着せしめられている。シリコン基板71
の溝には、2本の金電極73A及び73Bが対をなして
接着せしめられている。金電極73A及び73Bは、そ
れぞれの先端が溝の外側まで延在している。また、シリ
コン基板71の溝には、電解液を含ませたゲル74が満
たされている。さらに、溝の上部には、シリコン基板7
1の上部の全面を覆う形で、液体状の材料を塗布するこ
とにより形成されたガス透過性膜75が被覆されてい
る。このセンサの大きさは、幅4mm×長さ15mm×
厚さ350μmである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図9に示す従来のEC
センサにおいても、発生源となり得る箇所の近傍の狭い
場所への設置を可能としたり、低コスト化を促進する観
点から微小化が望まれている。また、省エネルギーや、
電解液をはじめとする廃棄物の少量化という環境上の配
慮からも微小化が望まれている。
【0008】しかし、これをそのままの構造で微小化し
て製作することはできない。すなわち、電解液59を確
実に内部に保持するために使用されているOリング55
やナット54等は、サイズを小さくしようとしても限界
がある。また、検知電極57と隔膜52との位置関係
は、隔膜52を透過した被測定ガスが溶解する電解液5
9の層の厚さや、被測定ガスが検知電極57に到達する
までの距離等のセンサの感度に影響を及ぼす事項に直接
かかわるので、厳密な管理が必要である。しかしなが
ら、たとえOリング55等を微小化できたとしても、ナ
ットの締め付けという方法で検知電極57と隔膜52と
の位置関係を微小サイズにおいて厳密に管理することは
困難である。
【0009】一方、図10に示した酸素電極のような構
成は、毒性ガス測定用の微小ECセンサには応用されて
いない。なぜなら、上記構成では、以下の理由により測
定対象ガスがppb〜ppmオーダーと低濃度ガスであ
り、しかも迅速な応答や長期安定性などが要求されると
いう仕様を達成することが困難だからである。
【0010】すなわち、低濃度測定の場合には、十分な
ガス透過性が確保されつつも、内部液を確実に保持でき
る気液分離膜を用いなければならない。しかしながら、
上記酸素電極における液体状の材料の塗布により形成さ
れた膜は非多孔質膜である。この場合、気体は連続膜を
構成する分子間を通って透過することになるので、膜に
接した気体の極一部しか透過できない。酸素のように、
20%前後のガスを測定するのであればこれで構わない
が、ppb〜ppmオーダーの低濃度ガスを対象とする
場合には、充分な透過量を確保できない。
【0011】また、図10の酸素電極では、電解液を非
液体としてある程度の機械的強度を持たせ、これにより
気液分離膜を形成する液体状材料の塗布を可能としてい
る。そのため、気液分離膜と検知電極との位置関係を一
定にしにくく、低濃度測定の場合、精度上問題が生じ
る。
【0012】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、微小化した場合にも、低濃度ガスの測定にも対応で
きる充分なガス透過性を確保できると共に、内部液も確
実に保持でき、しかも、検知電極と気液分離膜の位置関
係を一定する等の精密な加工が可能なことにより良好な
測定精度が得られる隔膜式センサを提供することを課題
とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
検討した結果、請求項1の発明として、センサ本体と、
気液分離膜と、センサ本体と気液分離膜との間に充填さ
れた電解液と、電解液に接触する検知電極及び対極とを
備える隔膜式センサにおいて、センサ本体が、同一平面
に設けられて気液分離膜が接合される一以上の膜接合面
と、膜接合面に囲まれる位置に設けられた電解液収容溝
と、電解液収容溝底面から膜接合面と離間して突設され
先端が膜接合面と同一平面上の近傍にまで伸張する検知
電極台とを有すると共に、このセンサ本体の検知電極台
の先端に検知電極を、電解液収容溝の底面に対極とを各
々設けたことを特徴とする隔膜式センサを提供する。
【0014】本発明における気液分離膜は一般に隔膜と
も称される。また、電解液は内部液とも称される。ま
た、検知電極及び対極は、各々、電流測定式センサにお
いて作用極及び対極とも称されるものである。また両極
は、電子授受の方向性を考慮して、何れかをアノード、
何れかをカソードと称される場合もある。さらに、電圧
測定式センサにおいて、検知極及び対極は、各々感応電
極(膜)及び参照電極とも称されるものである。本発明
における隔膜式センサは、これら種々の測定原理や代替
の名称の有無を問わず、検知極と対極との間において、
気液分離膜を通過して電解液に入る測定対象ガスに対応
して得られる電気信号を何らかの方式で検知する隔膜式
センサを総て対象とするものである。
【0015】本発明において、電解液としては、液体状
の他、加粘性物質を加えたゾル状や、ゲル形成物質や樹
脂等にしみ込ませた半固体状や固体状等、非液体状のも
のも採用できる。膜接合面は、ドーナツ状や四角枠等、
内部に電解液収容溝を囲む単一の面として形成しても良
いし、2以上の膜接合面を、電解液収容溝を囲むよう
に、同一平面上に配置しても良い。
【0016】本発明においては、センサ本体が簡単な構
造のため、微小なサイズ・形状が精度良く加工できる。
そして、その膜接合面に気液分離膜を接合するので、充
分なガス透過性を確保できる気液分離膜を選択して装着
可能である。気液分離膜と検知電極とは、膜接合面と検
知電極台によって安定した位置関係を保持できる。従っ
て、微小サイズであっても、精度良い測定が可能とな
る。また、内部液も液体、非液体にかかわらず確実に保
持できる。
【0017】請求項1の発明は、センサ本体の形状をよ
り特定することにより、さらに加工が容易となる。すな
わち、請求項2に記載した発明の如く、センサ本体と、
気液分離膜と、センサ本体と気液分離膜との間に充填さ
れた電解液と、電解液に接触する検知電極及び対極とを
備える隔膜式センサにおいて、センサ本体が、同一平面
に平行して設けられて気液分離膜が接合される一対の膜
接合面と、膜接合面に挟まれる位置に設けられた底面が
長方形の電解液収容溝と、電解液収容溝底面から突設さ
れ先端が膜接合面と同一平面上の近傍にまで伸張する先
端面が膜接合面と平行する長方形の検知電極台とを有す
ると共に、このセンサ本体の検知電極台の先端面に検知
電極を、電解液収容溝の底面に対極とを各々設けたこと
を特徴とする隔膜式センサとすることができる。
【0018】本発明によれば、電解液収容溝や検知電極
台を、直線加工により設けることができるので、製作が
容易である。なお、センサ本体全体の形状は特に限定さ
れず、例えば円柱等としてもよいが、直方体の如く直線
で囲まれた形状にすれば、より製作が容易となる。
【0019】センサ本体の材質に特に限定はないが、請
求項3に記載した如く、石英等のガラス製とすることに
より、安価な材料で、精度良い加工を迅速に行うことが
できる。また、電解液による腐食を受けにくく、種々の
測定原理の隔膜電極に対応できる。センサ本体の材質と
しては、この他、樹脂材等を適宜使用できる。
【0020】気液分離膜は、請求項4に記載の如く、電
解液に面する内面が親水性で、試料ガスに面する外面が
撥水性の多孔質膜とすることができる。本発明によれ
ば、外面を撥水性としたので、外部に電解液が漏出しに
くい。そのため、充分なガス透過を確保できる気孔率の
高い多孔質膜を採用できる。また、外部からの汚れの影
響も受けにくくなる。さらに、電解液に接する内面を親
水性としたので、電解液とのなじみが良い。そのため、
検知電極と気液分離膜との距離を極限まで狭くしても検
知電極が電解液に接することができる。したがって、セ
ンサ全体をより小さく形成することができる。
【0021】本発明は、請求項5に記載の如く、検知電
極と対極との間に電圧を印加し、気液分離膜を透過した
測定対象ガスによって、両極間の分極が解除された際に
流れる電流を検知する方式、すなわち電量式とすること
ができる。電量式の場合、化学的浸食性のほとんどない
中性付近の電解液を用いることができる。そのため、ガ
ラス等に限らず、種々の材質を用いることができるの
で、半導体加工技術を用いてのセンサの微小化にも適応
できる。
【0022】電量式ガスセンサは、請求項6に記載の如
く、例えば塩素ガスセンサとして構成できる。この場
合、電解液としては臭化物イオン溶液を用いる。なお、
検知電極及び対極の材質としては、白金、銀、金、プラ
セオジム、パラジウム、イリジウム、ロジウム等種々の
貴金属が選択できる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図に沿って本発明の実施形
態を説明する。図1は本発明に係る隔膜式センサの1実
施形態を示す分解斜視図である。図1の隔膜式センサ
は、センサ本体1と、センサ本体1に設けられた検知電
極2及び対極3と、気液分離膜4とから構成されてい
る。
【0024】図1の隔膜式センサについて、図2〜図7
を適宜参照しながらさらに詳しく説明する。なお、図2
は平面図、図3は気液分離膜4を除いた平面図、図3〜
図7は、各々図2におけるIV〜VII断面図である。
【0025】図3及び図4に示すように、センサ本体1
は膜接合面5a,5bとを備えている。膜接合面5a,
5bは長方形で、同一平面上に互いに平行して設けられ
ている。また、膜接合面5a,5bに挟まれる位置に底
面が長方形の電解液収容溝6が設けられており、電解液
7が収容されるようになっている。また、電解液収容溝
6の中央部分に、検知電極台8が突設されている。この
検知電極台8の先端は、膜接合面5a,5bと同一平面
上の近傍にまで伸張しており、その先端面は、膜接合面
5a,5bと平行する長方形となっている。
【0026】検知電極2は、検知電極台8の先端面に設
けられている。また、対極3は、電解液収容溝6の検知
電極台8が設けられていない残りの底面部分に、検知電
極台8を挟むように設けられている。検知電極2から
は、図5にも示すようにリード線9が導出されている。
また、対極3からは図6にも示すようにリード線10が
導出されている。なお、図1においては、これらリード
線9,10の図示を省略してある。
【0027】気液分離膜4は、図7に示すように膜接合
面5b(及び5a)に接合され、図2に示すようにリー
ド線9,10の導出を妨げない位置までセンサ本体1を
覆っている。また、センサ本体1自身にも、リード線
9,10を導出しやすくするために気液分離膜4で覆わ
れていない部分に切り込みが設けられている。また、セ
ンサ本体1には、検知極2と対極3との間の電気的絶縁
を図ることを目的として、薄い切り込みが各部分に適宜
設けられている。
【0028】本実施形態において、センサ本体1は石英
ガラス製で、精密ダイシングソーにより、所望の寸法形
状に、精密に加工されている。なお、センサ本体の加工
方法としては、この他、レーザー加工等を用いてもよ
く、エッチング等、半導体加工技術を適宜採用してもよ
い。検知電極及び対極は、蒸着、スバッタ、イオン蒸着
(I−BAD)等公知の方法により、センサ本体上に膜
状に形成されている。両極からのリード線9,10に
は、極細の金線等が用いられる。
【0029】気液分離膜4としては、図9の従来技術に
係る電極ではテトラフルオロエチレン等のフッ素化合物
製の多孔質メンプレン等が用いられているが、緩みやす
いため、微小電極として作成するには適していない。検
討の結果、シリコンウエハーをDeepRIE(反応性
イオンエッチング)により孔あけ加工した膜材や、アル
ミナを陽極酸化して多孔質化した膜材等が好適に使用で
きた。例えば、厚さ160μmのシリコンウェハーに、
DeepRIEにより、ポアサイズがφ30μmからφ
100μm程度の貫通孔をあけることができる。また、
厚さ10μmのアルミナに陽極酸化法によって、ポアサ
イズφ0.08μm程度の貫通口をあけることができ
る。
【0030】また、気液分離膜4の撥水化には、シラン
化処理やプラズマCVD(化学的気相堆積)法が好適に
使用できる。撥水化の処理は、膜の両面に行ってもよい
が、試料ガスに接する外側片面のみとする方が、気液分
離膜4と検知電極2との間を極限まで近接させることが
できるので、より微細な電極とすることが可能となる。
【0031】気液分離膜4のセンサ本体1への接合方法
は、接着、陽極接合、ふっ化酸接合、水ガラス結合等の
接合方法が適宜採用できる。なお、気液分離膜4と検知
電極2との位置関係をより安定させるために、検知電極
台8の先端面に適当なスペーサを設けて、このスペーサ
と膜接合面5a,5bで気液分離膜4を支えるようにし
ても差し支えない。
【0032】電解液7は、気液分離膜4をセンサ本体1
に接合した後に、細いシリンジやチューブ等を介して電
解液収容溝6内に注入される。なお、電解液7は、セン
サ本体を小さく形成することにより、そのままでも毛細
管現象により、気液分離膜4に接する位置まで充分に保
持されるが、電解液7の露出部分に接着剤等をコーティ
ングすることにより、蒸発や漏出が的確に防止でき、扱
いがより容易となる。
【0033】本実施形態によれば、センサ本体1の加工
が容易であり、全体を5mm×5mm×3mm程度のミ
リメートルサイズで精度良く製作できる。また、このセ
ンサ本体1の膜接合面5a,5bに気液分離膜を接合す
ることにより、気液分離膜4と検知電極2の位置関係を
良好に安定させることができる。さらに、気液分離膜4
は、低濃度ガスの測定にも対応できる充分なガス透過性
を確保できると共に、内部液も確実に保持できる。すな
わち、本実施形態によれば、毒性ガス等の低濃度ガスの
測定が可能な微小電極を提供できるものである。
【0034】
【実施例】本発明の一実施例として、実施形態として図
1〜図7に示した構造で、塩素センサを作成した。本実
施例において、センサ本体1は、精密ダイシングソーに
より、5mm×5mm×3mmの石英ガラスブロックを
加工することにより製作した。具体的には、両サイドに
膜接合面5a,5bを略1mm幅ずつ残し、電解液収容
溝6を、石英ガラスブロックの中央部に幅3mmで、さ
らにその中央に検知電極台8の基台部分を幅1mmで設
けた。検知電極台8の先端面と、膜接合面5a,5bが
存在する平面との距離は、約0.1mmとした。
【0035】検知電極2及び対極3は白金製で、電解液
7としては、濃厚な臭化物イオン溶液を用いた。検知電
極2及び対極3は、膜接合面5a,5bを予めレジスト
しておいてから、ECRスパッタにより設けた。具体的
には、レジストは、石英ガラスブロックに密着強化剤を
スピンコートした上に、ポジタイプのレジストをスピン
コートすることにより行った。また、ECRスパッタ
は、エリオニクス社製EIS−200ER装置を用い
て、チタンをバインダーとして行った。この後、エタノ
ールを使用して超音波洗浄を行い、レジストを除去し、
膜接合面4にスパッタされたチタン及び白金を除去し
た。これにより、チタン層が12nm程度、白金層が1
20nm程度の電極が成膜できた。検知電極2は、表面
積が0.1mm×3.3mmとなるよう、検知電極台8
ごと、両端をダイシングソーによりカットした。対極3
は、電解液収容溝6の底面の検知電極台8を挟む位置
に、1mm×5mmの表面積のものが各々形成された。
両極には、リード線9,10として、φ25μmの金線
をワイヤボンディングした。
【0036】気液分離膜4としては、厚さ160μmの
シリコンウエハーにDeepRIEによりポアサイズが
φ30μmの貫通孔をあけたものを、シラン化処理によ
り撥水化して用いた。シラン化処理は、処理剤として
1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの入
ったデシケータ中にDeepRIE加工後の膜を24時
間放置することにより行った。気液分離膜4のセンサ本
体1への接合は、シリコーン接着剤を薄く塗布した後に
貼り合わせ、24時間以上放置して接着硬化させること
により行った。
【0037】以上のように製作したセンサの両電極間に
電圧(250〜300mV)を印加すると、対極3で次
反応が起こり分極し、一旦電流は停止する。 2H+2e→H (1) そこに、電解液7に気液分離膜4を透過してきた塩素ガ
スが入ると、ハロゲン交換反応が起こり、検知電極2で
臭素ガスが発生する。 2Br+Cl→Br+2Cl (2) そして、これらの臭素と水素が反応して分極が解除(復
極)し、電流が流れる。 Br+H→2Br+2H (3) この電流を検知することにより、試料ガス中の塩素濃度
を求められるものである。
【0038】図8に、上記実施例の塩素センサにより得
られたデータを示す。図8に示すように、得られる電流
Iと塩素濃度Cとの関係は、I=−15.35C−1.
033(nA)、相関係数=0.999となり、良好な
直線性が得られた。繰り返し性・応答速度などでも図9
に示す従来センサーと同等の良好な特性が得られ、毒性
ガスとしての許容濃度付近の低濃度測定にも対応可能な
性能を有していることが確認された。
【0039】なお、電流値は、検知する塩素ガス濃度に
比例するので、本実施例のセンサによって得られる電流
はnAレベルで、図9の従来センサによって得られるμ
Aレベルよりも著しく小さい。このことにより、アンプ
の消費電流が低減されるので、装置全体の消費電力を著
しく減少させることができる。すなわち、センサの微小
化は、単に小さいサイズによる取扱いの便利さだけでな
く、消費電力低減という効果をもたらし、装置全体の電
池駆動等も可能とするものである。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、微小化した場合にも、
低濃度ガスの測定にも対応できる充分なガス透過性を確
保できると共に、内部液も確実に保持でき、しかも、検
知電極と気液分離膜の位置関係を一定する等の精密な加
工が可能なことにより良好な測定精度が得られる隔膜式
センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る隔膜式センサの分解
斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る隔膜式センサの平面
図である。
【図3】図2の平面図から、気液分離膜4を除いた平面
図である。
【図4】図2の平面図のIV−IV断面図である。
【図5】図2の平面図のV−V断面図である。
【図6】図2の平面図のVI一VI断面図である。
【図7】図2の平面図のVII−VII断面図である。
【図8】本発明の一実施例に係る塩素センサにより得ら
れたデータである。
【図9】従来技術に係るECセンサの一例である。
【図10】従来技術に係る微小酸素電極である。
【符号の説明】
1 センサ本体 2 検知電極 3 対極 4 気液分離膜 5a,5b 膜接合面 6 電解液収容溝 7 電解液 8 検知電極台 9,10 リード線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 根岸 学 東京都武蔵野市吉祥寺北町4丁目13番14号 電気化学計器株式会社内 (72)発明者 楊 明 東京都八王子市南大沢1−1 東京都立大 学工学部内 (72)発明者 大屋 誠志郎 海老名市下今泉705−1 神奈川県産業技 術総合研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 センサ本体と、気液分離膜と、センサ本
    体と気液分離膜との間に充填された電解液と、電解液に
    接触する検知電極及び対極とを備える隔膜式センサにお
    いて、センサ本体が、同一平面に設けられて気液分離膜
    が接合される一以上の膜接合面と、膜接合面に囲まれる
    位置に設けられた電解液収容溝と、電解液収容溝底面か
    ら膜接合面と離間して突設され先端が膜接合面と同一平
    面上の近傍にまで伸張する検知電極台とを有すると共
    に、このセンサ本体の検知電極台の先端に検知電極を、
    電解液収容溝の底面に対極とを各々設けたことを特徴と
    する隔膜式センサ。
  2. 【請求項2】 センサ本体と、気液分離膜と、センサ本
    体と気液分離膜との間に充填された電解液と、電解液に
    接触する検知電極及び対極とを備える隔膜式センサにお
    いて、センサ本体が、同一平面に平行して設けられて気
    液分離膜が接合される一対の膜接合面と、膜接合面に挟
    まれる位置に設けられた底面が長方形の電解液収容溝
    と、電解液収容溝底面から突設され先端が膜接合面と同
    一平面上の近傍にまで伸張する先端面が膜接合面と平行
    する長方形の検知電極台とを有すると共に、このセンサ
    本体の検知電極台の先端面に検知電極を、電解液収容溝
    の底面に対極とを各々設けたことを特徴とする隔膜式セ
    ンサ。
  3. 【請求項3】 センサ本体がガラス製であることを特徴
    とする請求項1又は請求項2に記載の隔膜式センサ。
  4. 【請求項4】 気液分離膜が、電解液に面する内面が親
    水性で、試料ガスに面する外面が撥水性の多孔質膜であ
    ることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記
    載の隔膜式センサ。
  5. 【請求項5】 検知電極と対極との間に電圧を印加し、
    気液分離膜を透過した測定対象ガスによって、両極間の
    分極が解除された際に流れる電流を検知することを特徴
    とする請求項1から請求項4の何れかに記載の隔膜式セ
    ンサ。
  6. 【請求項6】 測定対象ガスが塩素ガスであり、電解液
    として臭化物イオン溶液を用いたことを特徴とする請求
    項5に記載の隔膜式センサ。
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