JP4529140B2 - 水蒸気センサー - Google Patents

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Description

本発明は、水蒸気センサーに関し、詳しくは、極微量の水蒸気を測定するための電量式水蒸気センサーに関する。
サンプル中に存在する種々の化合物を検知および測定するための多様な電気化学的センサー(すなわち、陽極、陰極、および電解質を備えた電解槽を用いるセンサー)が開発され、使用されてきた。
特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4のそれぞれには、電解質としてリン酸を用いて水蒸気を検知および測定する電気化学的センサーが開示されている。しかし、これらのセンサーの構成および設計では、センサーの精度、感度、応答性、および寿命が著しく限定されていた。
米国特許第2,830,945号明細書 米国特許第4,800,000号明細書 米国特許第4,842,709号明細書 米国特許第5,119,295号明細書
従来、特定の産業分野には、サンプル中に含まれる水蒸気を、数ppb(parts per billion)程度の低濃度まで迅速かつ正確に検知および測定でき、かつ、費用対効果の高いセンサーに対する強い要望がある。しかしながら、従来のセンサーは、上記特許文献に記載されたものも含めて、これらの要求に適うものではなかった。
したがって、サンプル中に含まれる水蒸気を、数ppb程度の低濃度まで迅速かつ正確に検知および測定でき、かつ、費用対効果の高いセンサーには、引き続き強い要望がある。
本発明は、気体サンプル中の水蒸気を検知するための水蒸気センサーを提供するものである。本発明に係る水蒸気センサーは、(a)板状の陽極と、(b)板状の陰極と、(c)前記陽極と前記陰極との間に介在する電解質と、(d)前記気体サンプルが通過して前記電解質と接触できるように前記陽極及び前記陰極のうちのいずれか一方の中央領域を貫通する吸気孔と、(e)水蒸気センサーの外部から前記気体サンプルを導入するために前記吸気孔に連通する吸気管と、(f)前記陽極及び前記陰極のうちの他方の周縁部に設けられ、前記吸気孔を通じて注入された前記気体サンプルが前記電解質中を放射状に流れて到達する出口通路と、を含むことを特徴とする。
さらに詳細には、本発明に係る水蒸気センサーは、(a)内向きの主面および外向きの主面を有する板状の陽極と、(b)内向きの主面および外向きの主面を有する板状の陰極と、(c)前記陽極の前記内向きの主面と前記陰極の前記内向きの主面との間に介在すると共に、前記陽極の前記内向きの主面と前記陰極の前記内向きの主面との間に間隙を形成する、電気絶縁性の多孔体である分離器と、(d)前記間隙内の電解質と、(e)前記陽極及び前記陰極のうちのいずれか一方を貫通し、気体サンプルを通過させて前記間隙の中央領域に注入することができる吸気孔と、(f)水蒸気センサーの外部から前記気体サンプルを導入するために前記吸気孔に連通する吸気管と、(g)前記陽極及び前記陰極のうちの他方の周縁部に設けられ、前記吸気孔を通じて注入された前記気体サンプルが前記電解質中を放射状に流れて到達して、前記間隙から流出することができる出口通路と、を含むことを特徴とする。
本発明に係る水蒸気センサーは、好ましくは、(a)第1端部および第2端部を有する内孔を長手方向に形成する円筒形のハウジングと、(b)前記内孔の前記第1端部を覆い、かつ、前記ハウジングに対して長手方向の位置関係が固定された第1エンドキャップと、(c)前記内孔の前記第2端部を覆い、かつ、前記ハウジングに対して長手方向の位置関係が固定された第2エンドキャップと、(d)前記内孔の前記第1および第2エンドキャップの間に保持される装置と、を含んでおり、該装置は、(i)第1支持プレート、(ii)圧縮された圧縮ばね、(iii)長手方向に移動可能な第2支持プレート、(iv)前記第1端部側から前記第2端部側に長手方向に順に配列された、(A)板状の陽極、電気絶縁性の多孔体である分離器、中央領域に吸気孔を備えた板状の陰極、または、(B)板状の陰極、電気絶縁性の多孔体である分離器、中央領域に吸気孔を備えた板状の陽極、のいずれか一方を含む長手方向に移動可能な検知部アセンブリー、および、(v)前記ハウジングに対して密封を保持して外周部を結合すると共に、前記陽極及び陰極のうちのいずれか一方の中央領域に位置する前記吸気孔と密封を保持して流体的に結合する吸気孔を中央領域に備えるシールプレートが、前記第1端部側から前記第2端部側に長手方向に順に配列されてなり、さらに、前記シールプレートの吸気孔から前記第2エンドキャップを貫通して長手方向に延在し、水蒸気センサーの外部から気体サンプルを導入するための吸気管と、前記第1端部側の電極の周縁部及び前記第2支持プレートの周縁部に設けられ、前記第2端部側の電極の吸気孔を通じて注入された前記気体サンプルが前記電解質中を放射状に流れて到達して、前記検知部アセンブリーから流出することができる出口通路と、を備えるものである。
〔定義〕
本明細書および請求項において、「中央領域」という用語は、物体の与えられた面の50%の面積を有する領域であって、その与えられた面と同一の形状を有し、かつ、その与えられた面に対して同心に位置する領域を意味する。以下に、2つの例を示す。
円形:直径4cmの円形面の「中央領域」は、以下のように算出される直径を備えた同心円である。
円形面の面積=(π)(2cm)2=12.56cm2
円形面の中央領域の面積=(1/2)(12.56cm2)=6.28cm2
中央領域をなす円の直径=(2)(√(6.28cm2/π))=1.42cm
正方形:1辺の長さが4cmの正方形面の「中央領域」は、以下のように算出される1辺の長さを備えた同心の正方形である。
正方形面の面積=(4cm)2=16cm2
正方形面の中央領域の面積=(1/2)(16cm2)=8cm2
中央領域をなす正方形の1辺の長さ=(√(8cm2))=2.83cm
〔説明〕
(構成)
本実施形態は、気体サンプル(図示省略)中の水蒸気を検知するためのセンサー10を提供するものである。図1および図4に示すように、センサー10には、検知部アセンブリー40が含まれており、検知部アセンブリー40は、固定システム(その全体を示す符号は付していない)によってハウジング20内の定位置に保持されている。
(ハウジング20)
図1および図4に示すように、ハウジング20は、センサー10の構成要素(特に、検知部アセンブリー40)を取り囲んで保護するものであり、また、被験体である気体サンプルの制御流が検知部アセンブリー40に接触できるようにしつつ、センサー10の構成要素が安定した寸法で互いに定位置に保持されるようにするものである。ハウジング20は、これらの機能を達成するために効果的な任意の所望の大きさおよび形状を有するものであり、このような形状には、図1および図4に示すような中空の円筒形またはチューブ形が含まれる。
ハウジング20は、十分な構造保全性(structural integrity)を有する任意の材料から構成することができる。その材料には、アルミニウム、銅、亜鉛、鋼材等の金属材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ポリビニル、ポリウレタン等のプラスチック材料、ガラス、および、木材等が含まれるが、これらに限定されるものではない。一般的には、高度に不活性かつ安定な性質を有することから、ガラスが好適である。
(検知部アセンブリー40)
図1〜図4に示すように、検知部アセンブリー40は、ハウジング20の内孔29に保持される。検知部アセンブリー40には、陽極50、陰極60、および陽極50と陰極60との間に介在する電解質(図示省略)が含まれる。図1〜図4に示す検知部アセンブリー40では、陽極50が陰極60の上流に配置されているが、陰極60を陽極50の上流に配置するものであってもよい。
(陽極50)
陽極50は、使用中に陽極50の内面(内側を向いた主面)51で発生する高濃度の原子酸素および電解質に長期間さらされることに耐え得る材料である限り、電界槽中で陽極として使用するために適切な任意の周知の材料から構成することができる。電解質がリン酸の場合、好適な材料は、酸化イリジウムで被覆(コーティング)されたチタンである。
図1、図2、および図4に示すように、陽極50には、陽極50の中央領域(符号省略)を貫通する吸気孔50aが設けられており、これによって、気体サンプルは、陽極50を通過して分離器70の中央部で電解質と接触することができる。あるいは、陽極50と陰極60の長手方向の相対位置を交換して、陰極60(負電位源への接続は保持する)を陽極50(正電位源への接続は保持する)の上流に配置した場合、この吸気孔(図示省略)は、陽極50ではなく、陰極60の中央領域(符号省略)を貫通するように設けられる。
(陰極60)
陰極60は、陽極50と同様に、使用中に陰極60の内面(内側を向いた主面)61で発生する高濃度の水素および電解質に長期間さらされることに耐え得る材料である限り、電界槽中で陰極として使用するために適切な任意の周知の材料から構成することができる。電解質がリン酸の場合、好適な材料は、プラチナで被覆(クラッディング)されたニオブである。
(電解質)
電解質は、電界槽で使用するために適切な任意の周知の電解質から選択できる。好適な電解質は、液体として適用されて後に乾燥される液体電解質である。センサー10で使用するために好適な液体電解質は、主として気体サンプル中の水蒸気の吸着に対する高い親和性を有することから、10%(w/w)水溶液として適用されるリン酸である。
電解質は、陽極50と陰極60の間の間隙79に配置されている。気体サンプルがこの間隙79を通過すると、電解質により気体サンプル中のすべての水蒸気が捕捉される。次いで、捕捉された水分子は、陽極50と陰極60により間隙79内に発生する電界によって、即座に1個のO-2陰イオンと2個のH+陽イオンにイオン化する。O-2陰イオンは陽極50に引き寄せられ、H+陽イオンは陰極60に引き寄せられる。陽極50でO-2陰イオンが酸化されてOになり、陰極60でH+陽イオンが還元されてHになると、検出可能な電気信号が発生する。
(分離器70)
図1〜図4に示すように、分離器70は、陽極50の内面51と陰極60の内面61との間に設けられている。分離器70は、陽極50と陰極60との間に間隙79を形成して保持するための機械的分離手段として機能すると共に、電解質を担う担体として機能するものである。分離器70は、その一方の主面(第1主面)が陽極50の内面51と直接物理的に接触し、他方の主面(第2主面)が陰極60の内面61と直接物理的に接触するものであるため、偽信号の発生を防ぐために電気絶縁材料により構成する必要がある。また、分離器70は、気体および水蒸気が適度な背圧を伴って分離器を通過できるようにするために十分な多孔体である必要がある。さらに、分離器70は、次のような特性を有する材料で構成する必要がある。すなわち、(i)電解質が絶縁体を介して陽極50および陰極60への良好な導電性を得るために、電解質に対して良好な濡れ性を有し、(ii)水を直接吸収することがなく、(iii)間隙79内の電気的および化学的に過酷な環境(すわなち、リン酸、O-2、O、H+、Hに対する長期的な曝露、および、恒常的な電位差の存在)において劣化することのない耐性を有しており、気体サンプルを汚染しないことである。
分離器70は、その厚みを薄くすることにより応答性が向上し、また、厚くすることにより、分離器70が保持する電解質の量が増大する結果、耐用寿命が延びるものである。分離器70は、両方の利点を適切に調整するために、第1主面と第2主面との間に、約0.2mm〜1mm、好ましくは、約0.2mm〜0.8mmの厚みを有するものである。
また、分離器70は、好ましくは、約2〜10cmの高さと、約2〜10cmの幅とを有しており、分離器70を円盤形に形成する場合には、約2〜6cmの直径を有するものである。
これらの必要かつ望ましい特性を備えた周知の多様な材料が市販されている。好適な材料は、セラミックス多孔体であり、特に、トリコット状に編組された酸化ジルコニウムやトリコット状に編組された酸化ハフニウムのような、セラミックス(酸化物セラミックス)の編組体(woven ceramics)が好ましい。また、酸化ジルコニウム中には安定剤としてイットリウムが存在しており、イットリウムは時間の経過につれてリン酸と反応する傾向があるため、酸化ハフニウムがより好ましい。
電解質と気体サンプル中の水蒸気とを確実に接触させるため、分離器70の孔(図示省略)内は、電解質で表面被覆されることが好ましい。これによって、気体サンプルのための蛇行する移動経路が形成されると共に、電解質が保持される表面積が増大する。
図1および図4に示すように、検知部アセンブリー40は、固定システム(その全体を示す符号は付していない)によって、ハウジング20の内孔29内の定位置に保持される。この固定システムは、(i)ハウジング20の(内孔29の)第1端部21を覆うようにハウジング20に装着される第1エンドキャップ31と、(ii)ハウジング20の(内孔29の)第2端部22を覆うようにハウジング20に装着される第2エンドキャップ32と、(iii)長手方向に順に配列された(A)第1支持プレート81、(B)圧縮された圧縮ばね80、(C)第2支持プレート82、および(D)シールプレート90と、を含むものである。
(第1エンドキャップ31および第2エンドキャップ32)
図1に示すように、第1エンドキャップ31および第2エンドキャップ32は、センサー10を組立てた後、第1エンドキャップ31および第2エンドキャップ32に長手方向外向きの力がかかったとしても、それらが長手方向の定位置に保持されるような方法を用いて、ハウジング20の(内孔29の)第1端部21および第2部22にそれぞれ装着される。第1エンドキャップ31および第2エンドキャップ32は、ハウジング20に任意の適切な手段によって固定することができ、その手段には、接着、ねじ込みによる係合、摩擦嵌め、溶接、ラチェット機構等が含まれるが、これらに限定されるものではない。ハウジング20がガラスからなる場合、第1エンドキャップ31および第2エンドキャップ32は、好ましくは、デュロメータ値の高いゴムにより、内孔29の端部内への摩擦嵌めに適合する大きさを有するストッパーとして形成されるものである。
(圧縮ばね80、第1支持プレート81および第2支持プレート82)
図1に示すように、圧縮ばね80は、内孔29の長手軸29x回りに同軸に配置されて圧縮されており、それによって長手方向外向きの付勢力が発生する。圧縮ばね80は、第1エンドキャップ31に当接する第1支持プレート81と、第2支持プレート82との間に保持されている。第2支持プレート82は、その支持プレート82が内孔29内を長手方向に移動し、それによって、圧縮ばね80の長手方向外向きの付勢力が、第2支持プレート82と第2エンドキャップ32の間に配置された構成要素に作用するように構成および配置されている。所望の場合、第1支持プレート81を第1エンドキャップ31と一体に形成してもよい。
圧縮ばね80は、好ましくは、約34.475kPa(5psi)〜約137.9kPa(20psi)の間の外向きの力を作用するものである。約34.475kPa(5psi)よりも小さい力では、検知部アセンブリー40の寸法安定性を保証できず、一方、約137.9kPa(20psi)よりも大きい力では、分離器70を破損するおそれがある。
第1支持プレート81および第2支持プレート82は、その中央部から長手方向に延びる柱部81p、82pをそれぞれ有しており、圧縮ばね80の両端部(符号省略)を各柱部81p、82pに係合して保持するものである。
第1支持プレート81および第2支持プレート82は、十分な構造保全性を有する任意の適切な材料により構成することができ、その材料には、アルミニウム、銅、亜鉛、および鋼材等の金属材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ポリビニル、ポリウレタン等のプラスチック材料、ガラス、および木材等が含まれるが、これらに限定されるものではない。一般に、高い構造保全性、コストの低さ、および大部分の金属は不活性であることから、例えば鋼材等の金属材料が好ましい。
(シールプレート90)
図1に示すように、シールプレート90は、第2エンドキャップ32に当接しており、シールプレート90と第2支持プレート82との間には、検知部アセンブリー40が挟持されている。シールプレート90は、検知部アセンブリー40の上流に位置し、シールプレート90の中央部を貫通する吸気孔90aを含んでいる。シールプレート90は、吸気孔90aの回りに、密封性を保ちつつ吸気管101を結合するための内部Oリング91を備えており、同様に、シールプレート90の外周回りには、密封性を保ちつつハウジング20を結合するための外部Oリング92を備えている。所望の場合、シールプレート90を第2エンドキャップ32と一体に形成してもよい。
第1支持プレート81および第2支持プレート82と同様に、シールプレート90は、十分な構造保全性を有する任意の適切な材料により構成することができ、その材料には、アルミニウム、銅、亜鉛、および鋼材等の金属材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ポリビニル、ポリウレタン等のプラスチック材料、ガラス、および木材等が含まれるが、これらに限定されるものではない。一般に、高い構造保全性、コストの低さ、および大部分の金属は不活性であることから、例えば鋼材等の金属材料が好ましい。
(吸気管101および排気管102)
図1、図2、および図4に示すように、吸気管101は、シールプレート90と一体に形成され、それによって、シールプレート90の中央部を貫通する吸気孔90aが形成される。吸気管101は、エンドキャップ32の中央部(符号省略)を長手方向に延びる吸気孔32aを通じて延在する。シールプレート90と陽極50は、シールプレート90の中央部を貫通する吸気孔90aの回りの部分が、内部Oリング91により密封性を保ちつつ結合する。この構成によって、気体サンプルを、間隙79内へ供給する前には吸気管101と陽極50以外のものには接触させることなく、間隙79内へ供給することができる。
吸気管101は、内部Oリング91を使用して効果的なシールを形成可能であり、かつ、吸気管101を通過する気体サンプルを汚染しない、任意の適切な不活性材料から構成することができる。多様な好適な材料が周知であるが、高度に不活性な性質から、ステンレス鋼が好ましい。
図2および図3に示すように、陰極60および第2支持プレート82の外周は、ハウジング20から離れており、それによって、陰極60の外周回りに周縁部通路(出口通路)60cが形成され、第2支持プレート82の外周回りに周縁部通路(出口通路)82cが形成される。これらの周縁部通路60c、82cによって、間隙79内に供給された気体サンプルは、分離器70内を放射状に流れ、分離器70の外周部において分離器70から流出する際に、周縁部通路60c、82cを通ってハウジング20の第1端部21へ向かうことができる。
図1、図2、および図3に示すように、周縁部通路60c、82cは、円筒形の内孔29と円盤形の陰極60および第2支持プレート82とを用いて、陰極60および第2支持プレート82の直径を内孔29の直径よりも僅かに小さくするだけで、容易に形成することができる。組立て時には、小径に作成された陰極60と第2支持プレート82は、陰極60および第2支持プレート82の外周上の1点のみでハウジング20と接触するため、陰極60の外周回りに周縁部通路60cが形成され、第2支持プレート82の外周回りに周縁部通路82cが形成される。
あるいは、周縁部通路60c、82cは、陰極60および第2支持プレート82のそれぞれの外周回りに均等に配置されて放射状に延びる少なくとも3つの突起部(図示省略)によって形成することもできる。例えば、隆起部、長手方向直線状の歯、または円筒形の柱部等からなるこれらの突起部がハウジング20と接触することによって、陰極60の外周および第2支持プレート82の外周がハウジング20から離間し、周縁部通路60c、82cがそれぞれ形成される。
図1に示すように、排気管102は、第1エンドキャップ31の中央部(符号省略)を長手方向に延びる排気孔31a、および、第1支持プレート81の中央部(符号省略)の排気孔81aを通じて延在する。排気管102の基端部102pは、第1エンドキャップ31と第2エンドキャップ32との間の任意の位置で終端させることができる。
排気管102は、気体サンプルが検知部アセンブリー40を通過した後に初めて気体サンプルと接触するものであるため、その密封性や「使用済み」の気体サンプルを汚染するか否かに関わらず、任意の材料により構成することができる。したがって、広範な材料を使用することができるが、一般には、吸気管101と排気管102の両方に同じ材料を使用するのが最も簡便である。
(電気配線)
図1および図2に示すように、陽極50は、陽極用リード線121を介して電源(図示省略)の正極端子に接続される。シールプレート90および第2エンドキャップ32には、貫通孔90b、30bがそれぞれ設けられ、陽極用リード線121は、長手方向に配列された貫通孔90b、30bを通して配線される。陰極60は、陰極用リード線122を介して電源(図示省略)の負極端子に接続される。陰極用リード線122は、第2支持プレート82、第1支持プレート81、および第1エンドキャップ31にそれぞれ設けられ、長手方向に配列された貫通孔82b、81b、31bを通して配線される。
陽極50と陰極60との間には、電解質に捕捉された水をすべて電気分解するために必要な電圧を印加する必要がある。電気分解を達成するためには、最低限約2ボルトの電圧が必要である。この電圧を増大すると、センサー10の効率および応答性が向上するが、一方、センサー10の耐用寿命は低減する。このような特徴を調整するために、約2〜20ボルト、好ましくは、約10〜15ボルトの電圧を印加するのが効果的である。
(使用法)
センサー10を使用する際には、既知の流量でセンサー10を通過するように気体サンプルを吸入排出する。この流量は、分離器70の大きさおよび多孔率に応じて、最小約2cm3/分と最大約60〜120cm3/分との間に維持するものである。流量を約2cm3/分よりも小さくすると正確な制御が困難になる。一方、流量を約60〜120cm3/分よりも大きくすると、電解質が水蒸気を捕捉および保持できない速度で水蒸気が分離器70を移動することにより、センサー10の効率が低下する可能性がある。
吸気管101に吸入された気体サンプルは、(i)吸気管101を通じて、第2エンドキャップ32の中央部を長手方向に延びる吸気孔32a、および、シールプレート90の中央部の吸気孔90aを通過し、次いで、(ii)陽極50の中央部の吸気孔50aを通じて、(iii)間隙79そして分離器70の孔に流入する。ここで、気体サンプルは、(A)センサー10の長手軸xに沿った軸流から、長手軸xから360°半径方向rに流れる半径流に、その流れの方向を変化させ、(B)陽極50と陰極60により発生する電界および電解質に曝される。
次いで、使用済みの気体サンプル(すなわち、検知部アセンブリー40によりすべての水蒸気を除去した後の気体サンプル)は、(iv)分離器70の外周部73を通じて間隙70から流出し、次いで、(v)陰極60の周縁部通路60cおよび第2支持プレート82の周縁部通路82cを通過し、次いで、(vi)圧縮ばね80を通り過ぎて(vii)排気管102に流入し、第1支持プレート81の中央部を長手方向に延びる排気孔81a、および、第1エンドキャップ31の中央部を長手方向に延びる排気孔31aを通過して、センサー10から流出する。
分離器70に気体サンプルが流入する際に、分離器70の孔の表面を被覆する電解質によって、気体サンプル中のすべての水蒸気が捕捉される。次いで、捕捉された水分子は、陽極50と陰極60により間隙79内に発生する電界によって、即座に1個のO-2陰イオンと2個のH+陽イオンにイオン化する。O-2陰イオンは陽極50に引き寄せられ、H+陽イオンは陰極60に引き寄せられる。陽極50でO-2陰イオンが酸化されてOになり、陰極60でH+陽イオンが還元されてHになると、電気信号が発生する。検知部アセンブリー40で発生する電流は、検知部アセンブリー40内で分解された水量に正比例し、ファラデーの法則に従う。この電気信号は、周知の標準的な制御システムにより検知および測定することができる。
本発明の一実施形態を示す側断面図である。 図1に示す本発明の一実施形態において、その吸気側の端部を拡大して示す側断面図である。 図1に示す本発明の一実施形態において、その検知部アセンブリーをさらに拡大して示す側断面図である。 図1に示す本発明の一実施形態を、長手方向に分解して示す斜視図である。
符号の説明
10:センサー、20:ハウジング、21:第1端部、22:第2端部、29:内孔、29x:長手軸、31:第1エンドキャップ、32:第2エンドキャップ、40:検知部アセンブリー、50:陽極、50a:陽極の中央領域を貫通する吸気孔、51:陽極の内向きの主面、60:陰極、60c:周縁部通路(出口通路)61:陰極の内向きの主面、70:分離器、79:間隙、80:圧縮ばね、81:第1支持プレート、82:第2支持プレート、82c:周縁部通路(出口通路)、90:シールプレート

Claims (22)

  1. 気体サンプル中の水蒸気を検知するための水蒸気センサーであって、(a)板状の陽極と、(b)板状の陰極と、(c)前記陽極と前記陰極との間に介在する電解質と、(d)前記気体サンプルが通過して前記電解質と接触できるように前記陽極及び前記陰極のうちのいずれか一方の中央領域を貫通する吸気孔と、(e)水蒸気センサーの外部から前記気体サンプルを導入するために前記吸気孔に連通する吸気管と、(f)前記陽極及び前記陰極のうちの他方の周縁部に設けられ、前記吸気孔を通じて注入された前記気体サンプルが前記電解質中を放射状に流れて到達する出口通路と、を含むことを特徴とする水蒸気センサー。
  2. 前記陽極と前記陰極との間に介在する分離器をさらに含み、該分離器は、電気絶縁性の多孔体であり、かつ、前記陽極と前記陰極とを機械的に分離すると共に、前記分離器を通じて前記気体サンプルが流れることができることを特徴とする請求項1に記載の水蒸気センサー。
  3. 前記分離器の孔内は、前記電解質により表面被覆されることを特徴とする請求項2に記載の水蒸気センサー。
  4. 前記陽極は、酸化イリジウムで被覆されたチタン製であることを特徴とする請求項2に記載の水蒸気センサー。
  5. 前記陰極は、プラチナで被覆されたニオブ製であることを特徴とする請求項2に記載の水蒸気センサー。
  6. 前記電解質は、リン酸であることを特徴とする請求項3に記載の水蒸気センサー。
  7. 前記分離器は、酸化物セラミックスの編組体であることを特徴とする請求項3に記載の水蒸気センサー。
  8. 前記分離器は、酸化ジルコニウム編組体であることを特徴とする請求項7に記載の水蒸気センサー。
  9. 前記分離器は、酸化ハフニウム編組体であることを特徴とする請求項7に記載の水蒸気センサー。
  10. 前記分離器は、(i)前記陽極の内面と直接物理的に接触する第1主面と、(ii)前記陰極の内面と直接物理的に接触し、前記第1主面から0.2〜1mmの厚み分だけ離間する第2主面とを有し、2〜6cmの直径を有する円盤形であることを特徴とする請求項2に記載の水蒸気センサー。
  11. 前記分離器は、0.2〜0.8mmの厚みを有することを特徴とする請求項10に記載の水蒸気センサー。
  12. (a)内向きの主面および外向きの主面を有する板状の陽極と、(b)内向きの主面および外向きの主面を有する板状の陰極と、(c)前記陽極の前記内向きの主面と前記陰極の前記内向きの主面との間に介在すると共に、前記陽極の前記内向きの主面と前記陰極の前記内向きの主面との間に間隙を形成する、電気絶縁性の多孔体である分離器と、(d)前記間隙内の電解質と、(e)前記陽極及び前記陰極のうちのいずれか一方を貫通し、気体サンプルを通過させて前記間隙の中央領域に注入することができる吸気孔と、(f)水蒸気センサーの外部から前記気体サンプルを導入するために前記吸気孔に連通する吸気管と、(g)前記陽極及び前記陰極のうちの他方の周縁部に設けられ、前記吸気孔を通じて注入された前記気体サンプルが前記電解質中を放射状に流れて到達して、前記間隙から流出することができる出口通路と、を含むことを特徴とする水蒸気センサー。
  13. 前記分離器の孔内は、前記電解質により表面被覆されることを特徴とする請求項12に記載の水蒸気センサー。
  14. 前記陽極は、酸化イリジウムで被覆されたチタン製であることを特徴とする請求項12に記載の水蒸気センサー。
  15. 前記陰極は、プラチナで被覆されたニオブ製であることを特徴とする請求項12に記載の水蒸気センサー。
  16. 前記電解質は、リン酸であることを特徴とする請求項1に記載の水蒸気センサー。
  17. 前記分離器は、酸化物セラミックスの編組体であることを特徴とする請求項1に記載の水蒸気センサー。
  18. 前記分離器は、酸化ジルコニウム編組体であることを特徴とする請求項1に記載の水蒸気センサー。
  19. 前記分離器は、酸化ハフニウム編組体であることを特徴とする請求項1に記載の水蒸気センサー。
  20. 前記分離器は、(i)前記陽極の前記内向きの主面と直接物理的に接触する第1主面と、(ii)前記陰極の前記内向きの主面と直接物理的に接触し、前記第1主面から0.2〜1mmの厚み分だけ離間する第2主面とを有し、2〜6cmの直径を有する円盤形であることを特徴とする請求項1に記載の水蒸気センサー。
  21. 前記分離器は、0.2〜0.8mmの厚みを有することを特徴とする請求項20に記載の水蒸気センサー。
  22. (a)第1端部および第2端部を有する内孔を長手方向に形成する円筒形のハウジングと、
    (b)前記内孔の前記第1端部を覆い、かつ、前記ハウジングに対して長手方向の位置関係が固定された第1エンドキャップと、
    (c)前記内孔の前記第2端部を覆い、かつ、前記ハウジングに対して長手方向の位置関係が固定された第2エンドキャップと、
    (d)前記内孔の前記第1および第2エンドキャップの間に保持される装置と、
    を含む水蒸気センサーであって、前記装置は、
    (i)第1支持プレート、
    (ii)圧縮された圧縮ばね、
    (iii)長手方向に移動可能な第2支持プレート、
    (iv)前記第1端部側から前記第2端部側に長手方向に順に配列された、(A)板状の陽極、電気絶縁性の多孔体である分離器、中央領域に吸気孔を備えた板状の陰極、または、(B)板状の陰極、電気絶縁性の多孔体である分離器、中央領域に吸気孔を備えた板状の陽極、のいずれか一方を含む長手方向に移動可能な検知部アセンブリー、および、
    (v)前記ハウジングに対して密封を保持して外周部を結合すると共に、前記陽極及び陰極のうちのいずれか一方の中央領域に位置する前記吸気孔と密封を保持して流体的に結合する吸気孔を中央領域に備えるシールプレートが、前記第1端部側から前記第2端部側に長手方向に順に配列されてなり、さらに、
    前記シールプレートの吸気孔から前記第2エンドキャップを貫通して長手方向に延在し、水蒸気センサーの外部から気体サンプルを導入するための吸気管と、前記第1端部側の電極の周縁部及び前記第2支持プレートの周縁部に設けられ、前記第2端部側の電極の吸気孔を通じて注入された前記気体サンプルが前記電解質中を放射状に流れて到達して、前記検知部アセンブリーから流出することができる出口通路と、を備えることを特徴とする水蒸気センサー。
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