JP3319021B2 - 織機の緯入れ装置 - Google Patents

織機の緯入れ装置

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JP3319021B2 JP08647693A JP8647693A JP3319021B2 JP 3319021 B2 JP3319021 B2 JP 3319021B2 JP 08647693 A JP08647693 A JP 08647693A JP 8647693 A JP8647693 A JP 8647693A JP 3319021 B2 JP3319021 B2 JP 3319021B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、織機において、緯糸を
ローラによる牽引(送出し)と噴射流体による牽引(姿
勢制御)とにより緯入れする装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来この種の装置としては、特開平4−
136237号公報に示されるように、緯糸の測長貯留
装置と緯入れ用のノズル(以下姿勢制御ノズルと称す)
との間に、ローラ式牽引装置を設けて、ローラによる牽
引と、姿勢制御ノズルの噴射流体による牽引とにより、
緯入れを行うようにしたものがある。
【0003】具体的には、このローラ式牽引装置は、接
離可能な一対のローラを備え、これらのローラ間に緯糸
を挟持した状態でのローラの回転により緯糸を牽引する
ものである。緯入れにあたっては、測長貯留装置の係止
爪の抜き出しと共に姿勢制御ノズルの流体噴射を開始
し、これと同時又はやや遅れて一対のローラを圧接して
緯糸を挟持すると共にローラの回転を開始して、緯糸を
牽引することにより緯入れする。そして、緯入れの途中
で一対のローラを離間し、以降は姿勢制御ノズルの噴射
流体のみで緯糸を牽引して緯入れを終了させる。
【0004】以上のように、ローラによって緯糸を直接
牽引する場合、噴射流体のみによる牽引、すなわち流体
と緯糸との摩擦により緯糸を牽引するものに比して、エ
ネルギー損失が少ない。また、姿勢制御ノズルはローラ
により牽引され送出される緯糸の姿勢を制御するだけで
よいので、流量を大幅に削減でき、トータル的に大幅な
エネルギー消費量の低減が図れる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の緯入れ装置にあっては、ローラによる牽引を
開始する際に、ローラが高速で回転していると、ローラ
による緯糸牽引速度が急激に立上がって、姿勢制御ノズ
ルの噴射流体による緯糸牽引速度よりも大きくなり、ロ
ーラと姿勢制御ノズルとの間で緯糸のたるみが発生し、
緯入れ不良が発生することがあった。
【0006】このため、前記公報には、ローラをサーボ
モータで駆動して、牽引初期にローラの回転速度を充分
低下させることが開示されているが、高速化する際の追
従性の面で不利となり、また高価なモータや高度な回転
制御が必要でコスト高となり、採用しがたい。本発明
は、このような実情に鑑み、ローラの回転速度を変化さ
せることなく、ローラによる牽引初期の緯糸牽引速度を
変化させて、ローラによる牽引と姿勢制御ノズルの噴射
流体による牽引とにより好適に緯入れを行うことのでき
る装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】このため、本発明は、
対のローラによる牽引と、姿勢制御ノズルの噴射流体に
よる牽引とにより、緯糸を経糸開口内に緯入れする織機
の緯入れ装置において、前記一対のローラにより緯糸を
圧接して牽引する初期に、圧接力を変化させる手段とし
て、一方のローラの緯糸圧接部に他方のローラとの間隙
が減少する部位を設ける構成としたものである。
【0008】
【作用】上記の構成においては、ローラにより緯糸を圧
接して牽引する初期に、ローラによる圧接力を変化させ
ることにより、ローラの回転速度を変化させずとも、緯
糸牽引速度を変化させることが可能となり、より具体的
には、牽引初期にローラによる圧接力を小さくして次第
に大きくすることにより、緯糸牽引速度の急激な立上が
りを抑制し、姿勢制御ノズルの噴射流体による緯糸牽引
速度とバランスさせて、緯入れ不良の発生を防止するこ
とができる。
【0009】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。図1は本
発明の一実施例を示す緯入れ装置のシステム図である。
尚、この実施例はA色とB色の緯入れ装置を備えている
が、両緯入れ装置は同様の構成であるので、対応する部
分に同一符号を付して、主としてA色の緯入れ装置につ
いて説明する。
【0010】本緯入れ装置は、給糸体1からテンサー2
を介して供給される緯糸Yを測長して貯留する測長貯留
装置10と、ここからの緯糸Yを案内するヤーンガイド2
1,23と、ヤーンガイド21と23との間で緯糸Yを挟持し
て牽引することのできる一対の牽引用ローラ33,35と、
ヤーンガイド21と牽引用ローラ33,35との間に設けられ
て緯糸Yの経路を切換える切換装置50と、ヤーンガイド
23からの緯糸Yに接離自在で緯糸Yに走行抵抗を付与す
ることのできるブレーキ装置60と、このブレーキ装置60
からの緯糸Yを空気噴射により緯糸Yの姿勢を制御しつ
つ飛走させる姿勢制御ノズル(主ノズル)71と、この姿
勢制御ノズル71からの緯糸Yの先端部を空気噴射により
次々と吹き送る補助ノズル群72と、姿勢制御ノズル71の
先端部に近接して設けられたカッター装置80と、これら
の装置の作動を制御する制御装置100 とから構成されて
いる。
【0011】各装置につき詳述すると、測長貯留装置10
は、ドラム11を有する本体12を備えている。この本体12
には巻付けアーム13が回転自在に支持されており、本体
12内のモータにより回転駆動される。緯糸Yは、この巻
付けアーム13中を通り、巻付けアーム13の回転により、
静止状態に保持されているドラム11の周面に巻付けられ
て貯留される。この貯留された緯糸Yはドラム11の周面
の穴に突入した係止爪14に係止されつつ、ヤーンガイド
21の方に延在している。係止爪14は電磁駆動自己復帰型
のソレノイド15により駆動されるようになっていて、ソ
レノイド15への通電により係止爪14が抜き出されて緯糸
Yに対する係止が解除され、緯入れが行われる。ここ
で、ソレノイド15は制御装置100 からの信号により制御
される。
【0012】ヤーンガイド21,23は、いずれも測長貯留
装置10側が大径で緯糸Yの走行する下流に向かって次第
に小径になるように形成されており、下流側に設けた装
置の所定位置に緯糸Yを案内するようになっている。一
対の牽引用ローラ33,35のうち、大径のローラ33は、図
2に示すように、固定ベース26の縦壁27に固定されたモ
ータ31の縦壁27を貫通して突出する駆動軸32に取付けら
れており、制御装置100 からの信号によりモータ31で回
転駆動されて織機運転中ほぼ一定速度で回転するように
なっている。そして、この大径のローラ33の上方に対を
なす小径のローラ35が配置されている。この小径のロー
ラ35は、縦壁27に揺動可能に取付けられてスプリング39
により付勢されたアーム36の自由端に回転自在に取付け
られていて、大径のローラ33側に押付けられている。そ
して、両ローラ33,35間に挟持されることにより緯糸Y
が牽引されるようになっている。
【0013】図3は一対の牽引用ローラ33,35の動力伝
達を示している。これらのローラ33,35は、大径のロー
ラ33の周面と小径のローラ35の周面とが緯糸Yを介して
圧接することにより、モータ31で回転駆動されるローラ
33の駆動力がローラ35に伝達され、同一周速度で互いに
逆方向に回転されるようになっている。尚、本実施例で
は、A色とB色の2個のローラ33,33を1個のモータ31
で駆動するように構成したが、図1に鎖線で示すよう
に、2個のモータを用いて別個に回転駆動するように構
成してもよい。
【0014】切換装置50は、ロータリーソレノイド51を
備えている。ロータリーソレノイド51は、これへの通電
により出力軸を一方向に回転駆動し、通電停止されると
ばねにより出力軸を逆方向に回動して自己復帰する電磁
駆動自己復帰型になっており、図2に示すように、固定
ベース26の底壁28に取付けられている。そして、ロータ
リーソレノイド51の上方に位置する出力軸にトラバース
レバー52の基端部を固定的に取付けてある。トラバース
レバー52の先端部は一対の牽引用ローラ33,35の接触面
近傍に延設されており、この延長端部は上方に折曲げら
れていて、ここに緯糸Yが挿通される導糸孔53が形成さ
れている。
【0015】図4には、切換装置50のトラバースレバー
52の動作により、緯糸Yが一対の牽引用ローラ33,35間
に引き込まれたり、一対の牽引用ローラ33,35間から引
き抜かれたりする様子を示している。すなわち、切換装
置50のトラバースレバー52がロータリーソレノイド51の
ばねによる自己復帰により、実線示の位置に停止してい
る場合には、緯糸Yは、ローラ33,35間の経路Y1から
変位した経路Y2にあって、ローラ33,35間から引き抜
かれている。ここで、ロータリーソレノイド51は制御装
置100 からの信号により制御される。
【0016】ここで、切換装置50のトラバースレバー52
により緯糸Yの圧接状態が切換られる一対の牽引用ロー
ラ33,35の周面には、図5に詳細に示すように、切換装
置50によりローラ33,35間に緯糸Yが出し入れしやすい
ように、出し入れ側に比較的急傾斜のテーパを付して緯
糸導入部301 を形成し、これに続いて緯糸圧接部302を
形成してあるが、大径のローラ33の緯糸圧接部302 に
は、圧接力を変化させる手段として、緯糸Yの挿入方向
(ローラ軸線方向外側から内側に向かう方向)に小径の
ローラ35との間隙が減少するように緩傾斜部303 を設け
てある。具体的には、トラバースレバー52の動く量を12
mm(緯糸圧接部入口からは 8.5mm程度)、緯糸Yの径を
0.3〜 0.5mmとすると、緩傾斜部303 は長さが6mm程度
で、高さが0.3mm程度変化する。
【0017】又は、図6に詳細に示すように、大径のロ
ーラ33の緯糸圧接部302 に、圧接力を変化させる手段と
して、緯糸Yの挿入方向に小径のローラ35との間隙が階
段状に減少するように段差部304a,304b,304cを設けて
ある。具体的には、段差部304a,304b,304cは、それぞ
れ長さ2mm毎に高さが 0.1mm程度、3段階に変化する。
【0018】尚、大径のローラ33は金属製であるが、小
径のローラ35の少なくとも緯糸Yと接触する部分の表面
は、例えばウレタンゴムのような軟質ゴムで緯糸Yとの
摩擦力を高めるように構成してある。ブレーキ装置60
は、図7に示すように、ヤーンガイド23の下流側に近接
して設けられており、固定ベース26上に取付けられてい
るブラケット62と、このブラケット62に取付けられた電
磁駆動自己復帰型のロータリーソレノイド63と、このロ
ータリーソレノイド63の出力軸に取付けられた棒状の作
動子64とから構成されている。ここにおいて、制御装置
100 からの信号を受けないとき、すなわちロータリーソ
レノイド63が電磁駆動されないときに、自己復帰によ
り、作動子64が緯糸Yを下方へ押圧して緯糸Yをヤーン
ガイド23の端縁に圧接し、緯糸Yに走行抵抗を付与する
ようになっている(図8のY2参照)。そして、制御装
置100 からの信号を受けると、ロータリーソレノイド63
の出力軸が回動し、これにより作動子64が緯糸Yから離
間して、ブレーキ作用を解除するようになっている(図
8のY1参照)。尚、ブレーキ装置60はヤーンガイド23
の上流側に近接して設けてもよい。
【0019】姿勢制御ノズル71は、筬3を保持して揺動
運動する筬保持体(図示せず)の緯入れ側端部に取付け
られていて、経糸開口を指向している。この姿勢制御ノ
ズル71への空気供給経路について説明すれば、加圧空気
供給源74に調圧弁75を介して接続された圧力タンク76を
備えている。そして、圧力タンク76の吐出側は、電磁駆
動自己復帰型の開閉弁77を介して、姿勢制御ノズル71に
接続されている。そして、制御装置100 からの信号によ
り開閉弁77が開閉し、空気の噴射、停止が行われる。こ
の噴射により、牽引用ローラ33,35により牽引された緯
糸Yが姿勢を制御されながら反緯入れ側に飛走する。
【0020】補助ノズル群72は、補助ノズルを例えば3
本ずつブロック化したもので、筬3に沿って複数設けら
れている。補助ノズル群72への空気供給経路について
は、図示は省略するが、各空気供給経路に電磁駆動自己
復帰型の開閉弁をそれぞれ設けてある。これらの開閉弁
は、制御装置100 からの信号により、緯入れ側から反緯
入れ側へと所定の開期間をもって順次開弁する。これに
より、複数の補助ノズル群72が、緯糸Yの飛走先端部を
追いかけるように加圧空気をリレー噴射し、このリレー
噴射によって緯糸Yが筬3に形成された緯糸案内溝を通
って経糸開口内を飛走し、緯入れされる。
【0021】カッター装置80は、織前側に固定して設け
られて前後方向に延在して取付けられたカッター81と、
このカッター81の下刃を回転駆動するロータリーソレノ
イド82とからなっており、緯入れ後に筬打された緯糸Y
を姿勢制御ノズル71の先端部にて切断する。一方、経糸
列(図示せず)の反緯入れ側には、緯入れされた緯糸Y
の到達タイミングを検出するために、緯糸到達センサ90
を設けてある。そして、緯糸到達センサ90の出力信号
と、織機主軸5の回転角度を検出するアングルセンサ6
の出力信号とが、制御装置100 に入力されている。
【0022】制御装置100 は、織機本体制御装置101
と、緯糸選択指令装置102 と、アクチュエータ駆動指令
発生装置103 と、インバータ104 とから構成されてい
る。織機本体制御装置101 と、緯糸選択指令装置102
と、アクチュエータ駆動指令発生装置103 とは、相互に
電気的に接続されており、織機主軸5に取付けられたア
ングルセンサ6の信号が直接、各装置101 〜103 に入力
されるようになっているので、これら各装置101 〜103
は、アングルセンサ6により検出される織機主軸5の回
転角度に従って独立して順次作動を行う。
【0023】織機本体制御装置101 は、緯糸到達センサ
90やアングルセンサ6からの信号の他、準備ボタン121
、起動ボタン122 、停止ボタン123 からの信号、更に
は織機回転数、織り幅、糸種等の製織条件の入力器124
からの信号が入力されるようになっており、織機運転信
号を発して織機メインモータ7の起動、停止を制御し、
また、ローラ回転指令信号を発して牽引用ローラ33駆動
用モータ31の起動、停止をインバータ104 を介して制御
する他、各種アクチュエータの作動タイミングを定めて
アクチュエータ駆動指令発生装置103 へ設定信号を出力
する。尚、準備ボタン121 は織機運転に際し最初に押す
もので、これにより例えば正規の回転数に達するまでに
時間を要するモータ31のインバータ104 の起動を指示す
る。起動ボタン122 は、織機運転の準備完了の信号が出
てから押すボタンで、これにより織機メインモータ7を
起動する。停止ボタン123 は、織機停止用で、必要に応
じて適時押すことができる。
【0024】緯糸選択指令装置102 は、多色織りの際に
予めプログラムされた順序に従って、次の緯入れに用い
る緯糸(A色又はB色)をアクチュエータ駆動指令発生
装置103 に指示するものである。この指示は主軸角度で
前のサイクルの約 300度あたりから出力される。アクチ
ュエータ駆動指令発生装置103 は、アングルセンサ6の
信号に従って、順次各アクチュエータをドライバを介し
て作動させるものである。主なドライバを示すと、ドラ
イバ15aはA色側の係止爪14のソレノイド15作動用であ
り、ドライバ15bはB色側の係止爪14のソレノイド15作
動用である。以下同様にして、ドライバ51aはA色側の
ロータリーソレノイド51作動用、ドライバ51bはB色側
のロータリーソレノイド51作動用、ドライバ77aはA色
側の開閉弁77作動用、ドライバ77bはB色側の開閉弁77
作動用、ドライバ82aはカッター装置80のロータリーソ
レノイド82作動用である。
【0025】次に、本実施例の作動につき、図9のタイ
ムチャートを参照して説明する。図9は、織機が定常運
転を行っている場合の各アクチュエータの作動状態を示
すもので、A色とB色の緯糸を交互に緯入れする場合に
ついて示してある。但し、A色とB色の作動は同様なの
で、A色についてのみ説明する。織機主軸5の回転角度
が0度の筬打時点に達するわずか手前の状態では、緯糸
Yの先端部はすでに反緯入れ側に到達しており、この状
態では、測長貯留装置10において係止爪14が緯糸Yを係
止しており、また姿勢制御ノズル71は噴射していない。
また、牽引用ローラ33,35は回転しているが、切換装置
50のトラバースレバー52により緯糸Yは変位経路Y2に
あって牽引用ローラ33,35間から引き出されている。一
方、ブレーキ装置60は作動している。そして、回転角度
が0度を過ぎたところで、カッター装置80が作動して姿
勢制御ノズル71の先端部近傍にて緯糸Yを切断する。
【0026】織機主軸5の回転角度が60度になると、姿
勢制御ノズル71が空気噴射を始め、緯糸Yに牽引力が作
用するが、このときは未だ緯糸Yは係止爪14に係止され
ていて飛走しない。織機主軸5の回転角度が80度になる
と、測長貯留装置10においてドラム11から係止爪14が抜
き出されて、緯糸Yに対する係止が解除される結果、姿
勢制御ノズル71の噴射空気による牽引作用で緯糸Yがゆ
るやかに飛走を始める。これと同時にブレーキ装置60に
てブレーキ作用が解除される。このとき、緯糸Yには噴
射空気による牽引力が作用していたので、緯糸Yは急加
速する。また、補助ノズル群72も緯入れ側のものからリ
レー噴射を開始する。
【0027】織機主軸5の回転角度が 100度になると、
切換装置50のトラバースレバー52が作動して、緯糸Yは
飛走経路Y1に移動され、回転している一対の牽引用ロ
ーラ33,35間に挟持されて牽引され、これによって反緯
入れ側に飛走する。そして、緯糸Yは姿勢制御ノズル71
及び補助ノズル群72の空気噴射により姿勢を制御されな
がら反緯入れ側に送られる。
【0028】ここで、切換装置50を作動させて一対の牽
引用ローラ33,35による緯糸牽引を開始させるときに
は、トラバースレバー52により移動せしめられる緯糸Y
は牽引用ローラ33,35間の緯糸導入部301 から緯糸圧接
部302 に導かれた後、緯糸圧接部302 を移動する間、図
5の緩傾斜部303 又は図6の段差部304a,304b,304cに
より、圧接力が徐々に増大し、これにより、緯糸牽引速
度が比較的ゆるやかに上昇する。
【0029】これを図10により段差部304a,304b,304c
の例で説明する。トラバースレバーの動きに対し、緯糸
Yの動きが遅れるが、この緯糸Yの位置に応じてローラ
33,35間の間隙が変化する結果、圧接力が階段状に増大
し、これにより緯糸牽引速度も階段状に上昇する。この
ように、牽引初期にローラ33,35による圧接力を小さく
して次第に大きくすることにより、緯糸牽引速度の急激
な立上がりを抑制し、姿勢制御ノズル71の噴射空気によ
る緯糸牽引速度とバランスさせて、緯入れ不良の発生を
防止することができる。
【0030】また、姿勢制御ノズル71の噴射開始後に測
長貯留装置10の係止爪14を抜き出し、これによって緯糸
Yが助走した後に、切換装置50を作動させて一対の牽引
用ローラ33,35による緯糸牽引を開始させるので、緯糸
が常時回転するローラ33,35に挟持されて牽引を受ける
ときには、すでに緯糸Yがある程度助走していて、相対
速度差がさほど大きくないので、スムーズな牽引が可能
となる。
【0031】そして、緯入れの途中(例えば 140度)で
姿勢制御ノズル71の空気噴射を停止させ、以降は補助ノ
ズル群72のリレー噴射のみにより緯糸Yの姿勢を制御す
る。これにより、空気消費量を低減しつつ、反緯入れ側
での緯糸Yの先端部の姿勢を良好に保つことができる。
そして、緯入れ中に係止爪14の近傍に設けられた解舒セ
ンサ(図示せず)がドラム11からの緯糸Yの所定の解舒
巻数を検出すると、直ちに係止爪14がドラム11の周面の
穴に突入する。この突入からほぼ1巻解舒後に、緯糸Y
が実際に係止爪14に係止され緯入れが終了する(約 220
度)。
【0032】また、実際に緯糸Yが係止される前に、切
換装置50のトラバースレバー52が緯糸Yを変位経路Y2
に切換えて、牽引用ローラ33,35間から緯糸Yを引き出
して、牽引作用を実質的に停止させ、同時にブレーキ装
置60が作動状態に入る。そして、緯糸Yが実際に係止さ
れると、ピーク張力が発生するが、所定の飛走速度に対
して最適に調整されたブレーキ装置60の作動により、こ
のピーク張力は大幅に低い張力に抑えられ、緯糸Yの係
止時の糸切れ防止効果が高まる。
【0033】ここで、切換装置50のトラバースレバー52
が牽引用ローラ33,35間から緯糸Yを引き出すタイミン
グは、緯糸到達センサ90により検出される緯糸Yの到達
タイミングに基づいて制御される。すなわち、緯糸Yの
到達が緯糸到達センサ90により検出されると、検出信号
が制御装置100 の織機本体制御装置101 に入力される。
この織機本体制御装置101においては、緯糸到達センサ9
0の検出信号入力時刻をアングルセンサ6により検出さ
れる回転角度に変換し、この変換した回転角度なる検出
到達タイミングと、予め基準値として記憶された設定到
達タイミングとの差を演算し、その差に基づいて、織機
運転の準備作業で作業者から入力された織機回転数と織
り幅とにより求められたトラバースレバー52の揺動タイ
ミングを補正するのである。
【0034】
【0035】更に、切換装置50のロータリーソレノイド
51を作動させる際に印加電圧を徐々に上昇させたり、カ
ム駆動等に変更してゆっくりと駆動したりして、トラバ
ースレバー52の動きを遅くするようにすれば、緯糸牽引
速度の立上がりを更にゆっくりにすることができる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ロ
ーラにより緯糸を圧接して牽引する初期に、ローラによ
る圧接力を変化させることにより、緯糸牽引速度の急激
な立上がりを抑制することができ、姿勢制御ノズルの噴
射流体による緯糸牽引速度とバランスさせて、緯入れ不
良の発生させることなく、好適に緯入れを行うことがで
きる。また、ローラの回転速度を変化させる必要がな
く、高価なモータと高度な回転制御が不要となり、コス
ト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す緯入れ装置のシステ
ム図
【図2】 同上実施例の要部斜視図
【図3】 同上実施例の要部側面図
【図4】 同上実施例の要部平面図
【図5】 牽引用ローラの形状を示す詳細図
【図6】 牽引用ローラの形状の他の実施例を示す詳細
【図7】 ブレーキ装置の斜視図
【図8】 ブレーキ装置の作用説明図
【図9】 織機運転中の各アクチュエータの作動タイム
チャート
【図10】 緯糸牽引速度の立上がり特性を示す図
【符号の説明】
1 給糸体 10 測長貯留装置 11 ドラム 14 係止爪 21,23 ヤーンガイド 31 モータ 33,35 牽引用ローラ 50 切換装置 52 トラバースレバー 60 ブレーキ装置 71 姿勢制御ノズル 72 補助ノズル群 100 制御装置 301 緯糸導入部 302 緯糸圧接部 303 緩傾斜部 304a,304b,304c 段差部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対のローラによる牽引と、姿勢制御ノズ
    ルの噴射流体による牽引とにより、緯糸を経糸開口内に
    緯入れする織機の緯入れ装置において、 前記一対のローラにより緯糸を圧接して牽引する初期
    に、圧接力を変化させる手段として、一方のローラの緯
    糸圧接部に他方のローラとの間隙が減少する部位を設け
    たことを特徴とする織機の緯入れ装置。
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