JP3316607B2 - カセット式テーププレーヤ - Google Patents

カセット式テーププレーヤ

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願は、カセットの挿入,排出に
関与する案内部片と反転バネとの係止構造に改良を加え
たカセット式テーププレーヤに関する。
【0002】従来、カセットホルダを挿入したとき、カ
セットと係合してカセットホルダに設けた前後方向に延
びる案内溝に沿って前後方向に移動する前後動可能な案
内部片と、カセットホルダに基端が枢着された回動部片
と、この回動部片の遊端と前記案内部片とに両脚片がそ
れぞれ係止された反転バネと、一端がイジェクトレバー
に、他端が前記回動部片にそれぞれ係合された連結片と
から成り、カセットの挿入により案内部片が前方に移動
する過程で、前記反転バネを反転動作させると共に、そ
のときの反転バネに保有する弾力により、前記案内部片
に引込力を付与して、カセットの前方のプレー位置に導
き、かつ、イジェクトレバーの操作時に、連結片により
回動部片を回動して前記反転バネを反転させると共に、
そのときの反転バネに保有する弾力により、前記案内部
片を後退させて、カセットの排出を可能とした構成であ
って、前記連結片の両端係合部の少なくともその一方
に、回動部片の回動に伴い、その回動枢着点と反転バネ
の両端係止点とが一直線上に做う位置から回動部片の遊
端側の係止点が越えたときに、回動部片の反転を許容す
る長孔を設けて成るカセット式テーププレーヤは特公平
4−62427号公報において公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従
来構成のカセッ式テーププレーヤにおける反転バネと、
案内部片との係止構造は、図8で示すように、案内部片
50の幅方向の中心位置に厚味方向で貫通してその中間
位置に小径部51aを有した係止孔51を設け、この係
止孔51に、反転バネの一方の脚片53をL字状に折曲
して設けた係止片54を係挿して成るものであるので、
以下に述べるような不都合を有する。即ち案内部片50
は、係止孔51を有した位置の左右側面に、カセットホ
ルダ55に設けた案内溝56と摺動可能に係合する係合
凹部57を有しており、この係合凹部57と、案内溝5
6の側縁部との間には製作上から生じる間隙を有してお
り、また反転バネは複数回の巻回部を有し、かつ、その
係止片54と案内部片50の係止孔51の小径部51a
とは、厚味方向に段差があるので、案内部片50に対す
るバネ力は、水平方向のみならず上下方向にも作用する
ので、図8で示すように案内部片50は案内溝56の左
右側縁部と係合凹溝57との間の間隙に相当して図中右
下がりに大きく傾きこの傾きは、案内部片50の摺動及
び反転バネのバネ力の変化により変動するので、案内部
片50の円滑な摺動を妨げるという不都合を有し、この
傾向は反転バネのバネ力を増加する程大きくなる。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本願は上記した従
来の不都合を解消するために、カセットと係合してカセ
ットの挿脱に伴い、カセットホルダに設けた案内溝を摺
動して前後動する案内部片と、反転動作により前記案内
部片に前後方向のバネ力を付与する反転バネとを備えて
成るカセット式テーププレーヤにおいて、案内部片と反
転バネとの係止部を案内溝の幅方向の中心線より反転バ
ネの付勢方向に越えた位置に設けたことを特徴とするも
のであり、好ましくは、係着部を案内溝における反転バ
ネの付勢方向の一側縁を越えた位置に設けるものであ
る。案内部片としては、合成樹脂製の板片の中間位置
に、左右側面に案内溝の左右側縁と摺動可能に係合する
係合凹部を有した基部を一体に設けて成る場合と、合成
樹脂製の板片の中間位置に、案内溝の左右側縁部上面と
接する当接片を、また後端部位置の左右側面に、案内溝
の左右側縁部下面と接する突片をそれぞれ設けて成る場
合とがある。
【0005】
【作用】しかして、案内部片は、反転バネの付勢方向の
一方の側縁が案内溝の一方の側縁と圧接した状態で前後
方向に摺動すると共に、その圧接部に近接した位置に係
合孔が設けてあるので、案内部片はほぼ水平状態に前後
動する。
【0006】
【実施例】以下図面にもとづいて本願の実施例を詳述す
ると、図1はカセット式テーププレーヤの非プレー状態
を示す平面図であって、デッキプレート1の上部に、非
プレー状態で後述の作動部材により水平状態に保持さ
れ、プレー状態ではデッキプレート1の側板に先端左右
側部を枢支した軸ピン2,2を支点として下向きに傾動
する吊り部材3aと、この吊り部材3aの後縁部に連結
片4により連結されて非プレー状態で水平に保持され、
プレー状態で水平下降するカセットPの保持枠3bとか
ら成るカセットホルダ3が装備されており、前記吊り部
材3aの上面中央部には、前後方向に延びる案内溝5を
有し、これにカセットPの前方寄りのリールホールP’
と係脱可能な案内部片6が前後動可能に係合されてい
る。前記吊り部材3aの上面前方の左位置には、基端が
枢軸7により枢着された回動部片8が設けてあり、この
回動部片8の遊端部と前記案内部片6とに反転バネ9の
両脚片9a,9bがそれぞれ係止されており、図中a,
bはその係止点を示している。前記デッキプレート1の
側板に前後動自在に取り付けられたイジェクトレバー1
1の中間部には、支片12が水平状に設けてあり、この
支片12と前記回動部片8の中間部に設けた長孔13と
に、ステンレス鋼線から成る連結片14の両端部が係合
されている。
【0007】なお図中15はリール軸、16はカセット
Pがカセットホルダ3内に充分に挿入されたとき作動し
てカセットホルダ3を非プレー状態からプレー状態に下
動させる作動部材、17a,17bはテープ早送り用操
作杆、18はヘッド、19はモータを示している。
【0008】しかして、図1で示す非プレー位置の状態
から、同図仮想線で示すようにカセットPを手によって
カセットホルダ3に挿入すると、カセットPの前方寄り
のリールホールP’に案内部片6が係合してカセットP
と共に前方に移動し、その移動により反転バネ9は,そ
の他方の係止点bが一方の係止点aに接近しながら弾力
を漸増すると共に、この弾力により前記回動部片8に図
中反時計方向の回動力が付勢される。
【0009】次いで同図仮想線で示すように、反転バネ
9の他方の係止点bが案内部片6の前進に伴い回動部片
8の枢着点7と、反転バネ9の両端係止点a,bとが一
直線上に做ったとき(デッドポイントの位置)、反転バ
ネ9の弾力が最も大きくなると共に、回動部片8に対す
る反転バネ9の回動付勢力は零となり、この一直線上の
位置から一方の係止点bが越えると、反転バネ9が瞬時
に反転動作して回動部片8に時計方向の回動力が付勢さ
れ、この反転バネ9による大きな反転弾力によって、該
カセットPは案内部片6と共にカセットホルダ3内に自
動的に引き込まれる。カセットPがカセットホルダ3内
に充分に引き込まれるとき、吊り部材3aを水平に保持
している作動部材16が作動して吊り部材3aが下向き
に傾動すると共に、カセットPの保持枠3bは水平下降
してカセットPは図2で示すプレー状態にセットされ
る。
【0010】次に図2で示すプレー状態からイジェクト
レバー11をその付勢スプリング(図示せず)に抗して
前方に押圧すると、カセットPはプレー機構から解放さ
れてカセットホルダ3の吊り部材3aが上向きに復動
し、かつ、保持枠3bは水平状態で上動してカセットホ
ルダ3の非プレー状態は作動部材16の復動により保持
されると共に、イジェクトレバー11に連結された連結
片14が軸方向に押圧されて、回動部片8が反転バネ9
の弾力に抗して図中反時計方向に回動し、これに伴って
反転バネ9が一方の係止点aが他方の係止点bに接近し
ながら弾力を漸増する。
【0011】さらにイジェクトレバー11の押圧により
回動部片8が回動して同図仮想線で示すように、回動部
片8の枢着点7と、反転バネ9の両端係止点a,bとが
一直線上に做った位置(デッドポイントの位置)から一
方の係止点aが僅か越えると、反転バネ9は瞬時に反転
動作して回動部片8に図中反時計方向の回動力が付勢さ
れこの反転バネ9の大きな反転弾力よりカセットPは案
内部片6と共に、カセットホルダ3の後方に自動的に引
き出され、図1の状態に復元する。
【0012】上記した構成並びに作用は従来公知のカセ
ット式テーププレーヤと実質的に相違するところはな
く、本願は上記した構成のカセット式テーププレーヤに
おいて、反転バネ9の一方の脚片9bと案内部片6との
係止部に改良を加えたものである。
【0013】図3は案内部片6の斜視図を示しており、
該案内部片6は案内溝5内に介入する細長い合成樹脂製
の板片20の前端に、カセットPをカセットホルダ3に
挿入したときカセットPの前側面と当接する当接片21
が、また後端部には、カセットPをカセットホルダ3に
挿入したとき、カセットPの前方寄りのリールホール
P’と係合する係合突部22と、その両側面に水平状に
突出して前記案内溝5の左右側縁下面と接する突片2
3,23とがそれぞれ一体に設けてあると共に、前記板
片20の中間の僅か前方寄りには、左右側面に案内溝5
の左右側縁と摺動可能に係合する係合凹部24,24を
対称に有した分厚い基部25が一体に設けてあり、この
ように構成された案内部片6の前記基部25には、その
幅方向の中心線nより反転バネ9の付勢方向に越えた位
置に、反転バネ9の一方の脚片9bと係止する上下方向
に貫通した係止孔26が穿設されている。本例では図4
で示すように、従来と同様に係止孔26の中間部に細径
部27を有しており、また反転バネ9の一方の脚片9b
をL字状に折曲して、その折曲片9cを前記係止孔26
に挿通し、その下端をさらにL字状に折曲して抜止片9
dとした場合を示している。
【0014】しかして、すでに述べたように、案内部片
6は、カセットPの挿入及びイジェクトレバー11の押
圧操作に伴う反転バネ9の反転動作により、案内溝5に
沿って前後方向に摺動するが、係止孔26は、反転バネ
9による付勢方向の一側縁に片寄って設けられているの
で、即ち案内部片6が反転バネ9により付勢されて一方
の係合凹部24が案内溝5の一方の側縁に当接するその
当接位置に近接して係止孔26が設けられているので、
係合凹部24と案内溝5の側縁部との間に存在する間隙
に伴う案内部片6の傾きは大きく軽減され、案内部片6
はほぼ水平の状態で前後方向に摺動する。
【0015】図5,6は、左右側面に係合凹部24,2
4を有した分厚い基部25における反転バネ9の付勢方
向の一方の側面上部に、側方に突出する舌片30を延設
し、この舌片30に反転バネ9の一方の脚片9bを係止
する係止孔31を設けた場合の他の実施例を示してお
り、この構成によれば、係合凹部24と案内溝5の側縁
部とにおける上下方向のガタを殆ど無視することができ
て、案内部片6の円滑な摺動を保証することができる。
【0016】上記したいづれの実施例も、板片20の中
間から僅か前方寄りに、左右側面に係合凹部24,24
を有した分厚い基部25を一体に設けた場合を示した
が、前記基部25に代えて図7で示すように、板片20
の中間から僅か前方よりに、案内溝5の両側縁部上面と
摺接する摺接片35を設けてもよく、この構成によれ
ば、案内溝5の両側縁部の上下面を、摺接片35の両側
部と突片23,23が摺接することになる。
【0017】
【発明の効果】以上のように本願によれば、案内部片の
傾きは著しく軽減されて、案内部片を案内溝に対し極め
て円滑に摺動することができ、このことによって反転バ
ネのバネ力も小さくできるから、全体としてカセットの
挿脱操作を軽快に行うことができるという利点を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】非プレー状態の総体平面図
【図2】プレー状態の一部省略した平面図
【図3】案内部片の斜視図
【図4】案内部片の摺動状態の拡大断面図
【図5】案内部片の他の実施例における斜視図
【図6】案内部片の摺動状態の他の実施例における拡大
断面図
【図7】案内部片のさらに他の実施例における斜視図
【図8】図4に対応する従来構成の断面図
【符号の説明】
3 カセットホルダ 3a 吊り部材 3b 保持枠 5 案内溝 6 案内部片 9 反転バネ 9a,9b 脚片 9c 折曲片 9d 抜止片 20 板片 21 当接片 22 係合突部 23 突片 24 係合凹部 25 基部 26,31 係止孔 30 舌片 35 摺接片

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カセットと係合してカセットの挿脱に伴
    い、カセットホルダに設けた案内溝を摺動して前後動す
    る案内部片と、反転動作により前記案内部片に前後方向
    のバネ力を付与する反転バネとを備えて成るカセット式
    テーププレーヤにおいて、案内部片と反転バネとの係止
    部を案内溝の幅方向の中心線より反転バネの付勢方向に
    越えた位置に設けたことを特徴とするカセット式テープ
    プレーヤ。
  2. 【請求項2】 カセットと係合してカセットの挿脱に伴
    い、カセットホルダに設けた案内溝を摺動して前後動す
    る案内部片と、反転動作により前記案内部片に前後方向
    のバネ力を付与する反転バネとを備えて成るカセット式
    テーププレーヤにおいて、案内部片と反転バネとの係止
    部を案内溝における反転バネの付勢方向の一側縁を越え
    た位置に設けたことを特徴とするカセット式テーププレ
    ーヤ。
  3. 【請求項3】 案内部片が、合成樹脂製の板片の中間位
    置に、左右側面に案内溝の左右側縁と摺動可能に係合す
    る係合凹部を有した基部を一体に設けて成る請求項1ま
    たは2記載のカセット式テーププレーヤ。
  4. 【請求項4】 案内部片が、合成樹脂製の板片の中間位
    置に、案内溝の左右側縁部上面と接する当接片を、また
    後端部位置の左右側面に、案内溝の左右側縁部下面と接
    する突片をそれぞれ設けて成る請求項1または2記載の
    カセット式テーププレーヤ。
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