JP3316535B2 - ダニアレルゲンの改変体およびその製造法 - Google Patents
ダニアレルゲンの改変体およびその製造法Info
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Description
技術分野 本発明は、遺伝子工学によるヒョウヒダニの主要アレ
ルゲン(Der f II)を改変した改変アレルゲン、その製
造法に関するものであり、この製造法により製造された
改変アレルゲンは、アレルギー疾患の治療薬として応用
できる。 背景技術 アレルギー疾患の多くは、その疾患の原因抗原に感作
されることにより、血清および組織においてアレルゲン
に特異的なIgE抗体が産生され、再びその抗原に暴露さ
れることによって、各組織上で抗原とIgE抗体が抗原抗
体反応を起こし、その際生じる種々の症状によるものと
考えられている。特に、肥満細胞および好塩基球上のIg
E抗体に抗原が結合し、IgE抗体間に架橋が起こることに
よって、肥満細胞あるいは好塩基球から種々の化学伝達
物質が放出されて、即時型反応が生じると考えられてい
る。 このアレルギー疾患を治療する方法として、抗原がIg
E抗体に結合することを制御する方法が考えられてい
る。抗原がIgE抗体に結合することを抑制すれば、肥満
細胞あるいは好塩基球上のIgE抗体間の架橋が起こらず
化学伝達物質の放出が抑制されて治療効果が得られるも
のと考えられている。 一方、気管支喘息、小児喘息、アトピー性皮膚炎など
のアレルギー疾患は、室内塵中に生息しているダニに対
するアレルギーが主な原因であることが明らかになって
おり、既にいくつかのダニ主要アレルゲンタンパク質が
同定されている(プラッツミルズ(Platts−Mills)
ら、ザ・ジャーナル・オブ・アレルギー・アンド・クリ
ニカル・イムノロジー(J.Allergy Clin.Immunol.,80
巻、755頁、1987年)。また、精製ダニ主要アレルゲン
を多量に調製する方法も既に開示されている(結城ら、
アレルギー(Japanese J.Allergology)、39巻、557
頁、1990年および特願平3−254683)。さらに、前述の
精製ダニ主要アレルゲンの一部を改変したアレルゲンお
よびその製造法も出願されている(特願平5−13979
3)。 しかしながら、これまで報告されている同定されたダ
ニ主要アレルゲンタンパク質においては、アレルゲンと
しての活性が高いために減感作療法を行った場合にアレ
ルギー反応であるアナフィラキシーショックを起こす欠
点があった。 一方、IgE抗体との結合活性もしくはアレルゲン活性
が低下し、かつ抗原(Der f II)とIgE抗体の結合を阻
害する改変ダニ主要アレルゲンが得られれば、抗原投与
によるアレルギー反応のアナフィラキシーショックが生
じることがなく、抗原に特異的であるために他の免疫系
に影響を及ぼさない特徴を有する有効なアレルギー治療
薬を提供できる。改変ダニ主要アレルゲンとしては、既
に特願平5−139793、特願平5−275897がある。前者で
は、改変したアミノ酸残基によって立体構造が大きく変
化したため、免疫原性の維持および安定性の点で問題が
残っており、後者では改変する部位の特定が十分ではな
く、かつ置換するアミノ酸がアラニンのみであるため、
構造変化を最小にしてかつアレルゲン性を低下させる点
で十分ではなかった。 本発明者等は、既に開示されているダニ主要アレルゲ
ンDer f IIの特定部分のアミノ酸をそのアミノ酸と極め
て類似したアミノ酸に置換し、構造変化を最小にした状
態で、IgE結合活性を変化させ得ることを見出した。そ
の改変ダニ主要アレルゲンの中には、抗原(Der f II)
がIgEに結合することを阻害する活性が、野生型と差異
のないものがあることを見いだした。 本発明の目的は、遺伝子工学を用いてダニ主要アレル
ゲンDer f IIのアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換
した改変ダニ主要アレルゲンを多量に調製する方法を提
供することである。すなわち、本発明は、ダニアレルゲ
ンに起因するアレルギー疾患の治療薬に応用できる物質
を製造することを目的とする。 発明の開示 本発明は、コナヒョウヒダニ主要アレルゲン(Der f
II)を遺伝子工学的に改変し、そのアミノ酸残基を他の
アミノ酸残基に置換した改変ダニ主要アレルゲン、Der
f IIをコードする遺伝子を含む複製ベクターで形質転換
した原核生物または真核生物を培養し、培養物から改変
ダニ主要アレルゲンを取得することを特徴とする。 ダニ主要アレルゲンDer f IIは、6個のシステイン残
基を有し、ジスルフィド結合によって分子内架橋を3カ
所(アミノ酸残基8番目と119番目、21番目と27番目お
よび73番目と78番目)所有することが既に開示されてい
る(西山ら、インターナショナル・アーカイブス・オブ
・アレルギー・アンド・イムノロジー(International
Archives of Allergy and Immunilogy)、101巻、159
頁、1993年)。また、遺伝子工学的手法を用いて分子内
に存在するジスルフィド結合を3カ所から2カ所に減ら
した置換体を作製してIgEとの結合活性に与える影響が
開示されている(特願平5−139793)。これによれば、
8番目と119番目のジスルフィド結合が結合活性に大き
く影響するとされている。 本発明者等は、さらに検討を重ね73番目のシステイン
と78番目のシステインがジスルフィド結合している領域
もIgE結合に関与していることを見いだした。また、置
換するアミノ酸もアラニンのみではなく、本来のアミノ
酸に極めて近い性質を有するアミノ酸、例えば7番目の
アスパラギン酸をグルタミン酸あるいはアスパラギンに
変更しても大幅にIgE結合能を低下できることを見いだ
した。また、19番目のアスパラギン酸にあってはグルタ
ミン酸に変更してもIgE結合能の低下は認められない
が、アスパラギンに変更すると大幅にIgE結合能が低下
し、このアミノ酸残基にあっては電荷の有無が大きな影
響をもつことを見いだした。加えて、例えば9番目のア
ラニンでいえば、ロイシンに置換すると結合活性は30%
程度であるのに対し、本発明で示すようにプロリンに変
更することにより10%以下まで結合活性を低下させ得る
ことを見いだした。これら結合活性が大きく変化した改
変体のうち、ダニアレルギーを生じせしめたマウスを用
いた動物実験により、有効な改変体を見いだした。これ
により、ダニアレルギー患者の減感作治療に有効である
改変体を見いだし本発明を完成した。 本発明の置換体は合目的な任意の方法で製造すること
ができるが、部位特異的変異の方法が望ましい。部位特
異的変異を行う手法は既に確立されており、様々な方法
があるがPCR法を用いるのが簡便である(伊藤ら、ジー
ン(Gene)102巻、67頁、1991年)。例えば配列表1−
aに示したDNA鎖より7番目のアスパラギン酸残基をグ
ルタミン酸残基に置換する方法を1例として示すと次の
通りである。 配列表1から7番目のアスパラギン酸残基に対応する
コドンはGATである。このコドンをグルタミン酸残基に
対応するコドン、例えばGAGに置き換えることとした。
そのためにアスパラギン酸残基周辺のDNA配列と同一で
かつアスパラギン酸残基のコドン(GAT)のみグルタミ
ン酸残基のコドン(GAG)に置換したオリゴヌクレオチ
ドを合成した(表1、F−D7E)。この合成は、既知の
合成法によって合成することができるが、自動合成機を
用いる事が便利である(例えばModel 381 DNA Synthesi
zer;Applied Biosystems社製)。 PCR法による増幅のための鋳型DNAは配列表1に示した
Der f IIのcDNAを含んでいれば任意のDNA鎖が利用でき
るが、ここではpFLT11(図1)を使用した。鋳型とする
pFLT11に対し、pFLT11上、Der f IIをクローニングして
いる部位の下流側にあるHind III認識配列を含む領域と
同じ配列の合成ヌクレオチドR1(表1)と前途の合成ヌ
クレオチドF−D7Eをプライマーとして用いPCR反応を行
った。 PCR反応後、得られる増幅DNA断片はダイデオキシ法
(サンガー(Sanger)ら、ジャーナル・オブ・モレキュ
ラー・バイオロジー(J.Mol.Biol.)、162巻、729−773
頁、1982年)などを用いてその塩基配列を決定できる。 かくして、確かに変異が導入されていることを確認し
た置換DNAは適当な発現ベクターのクローニング部位に
挿入して、改変Der f IIを発現させる事ができる。この
発現には大腸菌で安定的に存在するプラスミドベクター
ならば任意であるが、例えばpGEMEX1(Promega社製)を
用いるのが便利である。本ベクターは発現プロモータに
T7プロモータを用いており、その発現量が多く組換え蛋
白は大腸菌中で封入体として蓄積することが知られてい
る。これらの一連の操作は従来用いられてきた種々の方
法を使用することができる(マニアチス(Maniatis)
ら、モレキュラー・クローニング(Molecular Clonin
g)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー
(Cold Spring Harbor Laboratory)、1982年)。 また本DNAは適当なベクター、例えばYEp13(ブローチ
(Broach)ら、ジーン(Gene)、8巻、121−133頁、19
79年)などを用いて、酵母中で発現させることができ
る。本発明に従った改変Der f II遺伝子を伴う発現カセ
ットを持つ酵母ベクターを用い、適当な酵母細胞を形質
転換することができる。この目的のため、本発明に従っ
たDNA配列は、大腸菌プロモータではなく、真核性プロ
モータ、例えばΔP8(大竹ら、アグリカルチュラル・ア
ンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agric.Biol.Che
m.)、52巻、2753−2762頁、1988年)などの制御下にお
かなければならない。 このようにして、ダニ主要アレルゲンDer f IIのN末
端側から第7番目、第9番目、第19番目、第128番目、
第129番目のアミノ酸をそれぞれアラニンを除く別種の
アミノ酸に置換した改変プラスミドを作製し、それぞれ
を大腸菌で発現させた。 次に、改変Der f IIのIgE抗体結合活性を定量的に測
定した。それに先だって、それぞれの改変Der f II蛋白
の精製が必要となる。その概略を以下に示す。発現誘導
後のホスト大腸菌BL21の菌体を回収し、超音波により菌
体を破砕後、遠心分離にて封入体の形で存在するDer f
II蛋白を回収した。6M尿素で封入体を可溶化した後、20
mMトリス塩酸緩衝液(pH8.5)に透析して尿素を除去す
ると共に蛋白の再生を行った。次に、陰イオン交換クロ
マトグラフィーによりDer f II画分を分離精製した。す
なわち、再生画分をDEAE−Toyopearl(Tosoh社製)カラ
ムに吸着させ、NaCl濃度80mMで溶出させると、Der f II
は単一の蛋白として溶出された。 こうして得られた精製改変Der f IIを用いIgE抗体結
合活性を定量的に測定した。このためにはRAST−EIAキ
ット(Pharmacia社製)を用いるのが便利である。先
ず、0.1Mほう酸緩衝液(pH8.5)で希釈した精製改変Der
f II溶液50μlにブロムシアン活性化濾紙1枚を浸し
室温で一夜静置して、蛋白を濾紙に結合させた。洗浄し
た後、キット付属の緩衝液で4倍希釈したダニアレルギ
ー患者血清50μlに濾紙を浸し、37℃で2時間静置して
血清中のヒト抗Der f II IgE抗体と濾紙に結合している
抗原を結合させた。この後、キットの反応プロトコール
に従い反応を進めた。全反応終了後の試料の420nmの吸
光度がIgE抗体結合能の指標となる。この結果を相対値
として図2に示す。この中で特に注目すべきは、7番目
及び19番目のアスパラギン酸をアラニン、アスパラギ
ン、グルタミン酸に置換した改変体である。7番目に関
しては、いずれのアミノ酸に置換してもIgEとの結合能
は、本来のアスパラギン酸であるものと比較して大幅に
低下していることから、7番目のアミノ酸はアスパラギ
ン酸であることがIgE結合に必須であることがわかる。
一方、19番目に関してはアラニン、グルタミンに置換し
た改変体では結合能の大幅な低下が認められるが、グル
タミン酸に置換した改変体ではほとんどその結合能が低
下していない。このことから、この位置では酸性アミノ
酸であることがIgE結合能に必要と考えられる。9番目
のアラニンについては、ロイシンに置換した改変体では
本来の約30%の結合能を持っているのに対し、プロリン
に置換した改変体では10%以下に結合活性が低下してい
ることから、蛋白の構造変化に大きく寄与するアミノ酸
への置換はその結合能を低下させることが判明した。 次に、これらIgE結合活性が低下した改変体を用いた
動物実験を行い、減感作治療に有効か否かを確かめた。
すなわち、7週齢の雄A/JマウスにDer f II10μgを100
μgのフロイントアジュバンドと共に腹腔内に投与して
Der f II感作マウスを作成した。続いて作成した感作マ
ウスに改変体を1mg/mlの量を週2回、3週間経鼻投与し
免疫療法を行った。対照は生理食塩水を同量投与した。
最終の投与の1週間後にマウスを小動物用吸入チャンバ
ーに入れ霧化した5mg/mlのDer f IIを30分間吸入させ
た。吸入終了後24時間後にマウスを放血致死させ、気管
を通じ肺内を1mlのPBSで洗浄した。この肺胞洗浄液(以
下、BALFと略す)200μlについては塗末標本を作製
し、ディフクイック染色した。標本を倍率400倍にて検
鏡し、一定視野あたりの白血球(マクロファージ、好中
球、好酸球、エンパ球)数を測定し、気道炎症の程度の
指標とした。感作していないマウスでは抗原吸入後のBA
LF中の白血球はマクロファージ以外ほとんど観察されな
いのに対し、免疫したマウスでは非免疫群に比較して多
数の好中球、リンパ球が確認され、全白血球数は約2.5
倍となった。すなわち、感作マウスにおいては抗原の吸
入により気道内炎症が惹起されたことを確認した。これ
に対して、野生型Der f IIあるいはその置換体を投与し
た群では、全白血球数が減少しており、減感作が成立し
ていることが明らかとなった。従って、IgE結合活性の
低下したアナフィラキシーショックの可能性が少ないDe
r f II改変体はアレルギー疾患の治療に有効であること
が明かである。 図面の簡単な説明 図1は、PCR法による増幅のため使用したpFLT11を示
す図。 図2は、実施例2において反応液の420nmにおける吸
収を測定し、この値を抗原Der f IIとヒトIgE結合活性
として評価を行った結果を示すグラフである。 発明を実施するための最良の形態 次に、実施例に基づき本発明を一層具体的に説明す
る。 実施例1 Der f IIアミノ酸置換変異体の発現ベクター
の構築 Der f IIの目的のアミノ酸残基を他のアミノ酸に置換
した変異体を発現するベクターはPCR法を用いた部位特
異的変異で作製した。PCR法を行うにあたり合成したオ
リゴヌクレオチドは、表1に示すとおりである。 Der f IIのN末端側から7番目のAspをGluまたはAsn
に変異させる場合、合成オリゴヌクレオチドは、変異さ
せる目的のアミノ酸のコドンをGluまたはAspのコドンと
する以外は野生型Der f IIと同じ配列とし、さらに開始
コドンの上流に制限酵素Nde 1の認識配列を新たに導入
するように設計した。鋳型とする野生型Der f IIの発現
ベクターpFLT11(特願平5−139793)に対し、pFLT11
上、Der f IIをクローニングしている部位の下流側にあ
るHind III認識配列を含む領域と相補的な配列の合成ヌ
クレオチドR1と、前述の合成ヌクレオチドF−D7E、あ
るいは−D7Nをプライマーとして用いPCR反応を行った。
PCR反応溶液は以下に示すとおり、鋳型となるプラスミ
ドpFLT11を1ngに、2種類のプライマー、F−D7EとR1、
あるいはF−D7NとR1を1μgずつ加え、TaqDNAポリメ
ラーゼ(東洋紡)添付の10×反応溶液、および25mM MgC
l2溶液を10μlずつ、dATP、dCTP、dGTP、dTTPをそれぞ
れ反応溶液100μlに対して終濃度200μMとなるように
添加し、蒸留水で反応溶液の容量を100μlとした後、T
aqDNAポリメラーゼを2.5ユニット加えた。この溶液を94
℃で1分間保持して鋳型の2本鎖DNAを変性させ1本鎖
とした後、37℃にて2分間保持して1本鎖の鋳型にプラ
イマーをアニーリングし、続く72℃3分間の反応でポリ
メラーゼによる相補鎖DNAの合成を行う。以上の工程を2
5サイクル繰り返して目的DNAフラグメントの増幅を行っ
た。 得られたDNAフラグメントをNde IおよびHind IIIで切
断後、プラスミドpGEME1−ΔNde I(特願平5−13979
3)のNde I、Hind III部位に挿入してそれぞれ変異体の
発現ベクターpFLT11−D7E、D7Nとした。一方、9番目の
アミノ酸や19番目のアミノ酸を置換する場合は、次に示
す二段階のPCR反応を行った。すなわち、表1に示すと
おり変異を導入するアミノ酸残基のコドンのみを目的の
コドンとし、それ以外は野生型Der f IIと同じ配列の合
成ヌクレオチドR−A9P、R−D19Nを作製し、これらの
いずれかとpFLT11のBgl II切断部位より約40bp上流と同
じ配列の合成ヌクレオチドF1をプライマーとし、pFLT11
を鋳型として用いてPCR反応を行った。同時に、pFLT11
上のBgl II部位を同酵素で切断不可能な配列となるよう
に設計したF2と前述のR1をプライマーとして用い、同じ
くpFLT11を鋳型としてPCR反応を行った。 PCR反応で得られたこれら2種類のDNAフラグメント10
ngずつを、先のPCR反応溶液からプライマーとポリメラ
ーゼを除いた溶液中に加え、94℃で10分間反応させた
後、30分間で37℃まで緩やかに冷却し、最後に37℃で15
分間保持することにより2本のフラグメントのアニーリ
ングを行った。続いてTaqポリメラーゼ2.5ユニットを加
え、60℃で3分間保持することにより、2本のDNAフラ
グメントの伸長を行った。ここに、先の2種類のプライ
マーR1とF1を0.5μgずつ加えた後、PCR反応を20サイク
ル行ってフラグメントを増幅した。以上の操作で、同じ
長さの2種類のDNAフラグメントが得られる。一つは、B
gl II認識配列を持ち、目的のアミノ酸部位に変異が導
入されたもので、もう一つは目的のアミノ酸の配列が野
生型と同じで、Bgl II認識配列が切断不可能に変異した
ものである。これらをBgl IIおよびHind IIIで切断後、
同じくBgl IIとHind IIIで処理したpGEMEX1−ΔNde Iに
連結することにより目的の変異が導入されたベクターの
みが得られた。このようにして9番目と19番目のアミノ
酸をそれぞれPro、Asnに置換した変異型Der f IIの発現
ベクター、pFLT11−A9P、pFLT11−D19Nを作製した。 128番目と129番目のアミノ酸を置換したDer f II変異
体R128D、R128K、D129Nを作製する場合、7番目のアミ
ノ酸の置換体と同様のPCR法で行った。ただしプライマ
ーはそれぞれR−R128D、R−R128K、またはR−D129N
と、Der f IIの開始コドンより約130bp上流と同じ配列
のF3という組合せで用い、それ以外の条件はD7E等の場
合と同一である。このPCR増幅断片をA9P等の場合と同
様、Bgl II、Hind IIIで切断し、pGEMEX1−ΔNde Iに挿
入した。 実施例2 RAST−EIA法によるDer f IIアミノ酸置換変
異体のIgE結合能の比較 実施例1で作製したDer f II変異体の発現ベクター
(pFLT11−D7E、pFLT11−D7N、pFLT11−A9P、pFLT11−D
19N)のそれぞれにより形質転換した大腸菌BL21をアン
ピシリン入り寒天培地(1%バクトトリプトン、0.5%
イーストエキストラクト、0.5%塩化ナトリウム、1.5%
バクトアガー(以上すべて単位は(W/V)、50μg/mlア
ンピシリン、pH7.4)上に生育させた後に生じたコロニ
ーを適宜アンピシリン入りL液体培地(アンピシリン入
りL寒天培地より寒天を除いたもの)5mlへ接種した。3
0℃で一晩振盪培養した後、これをアンピシリン入りL
液体培地500mlに添加してさらに30℃で振盪培養を行っ
た。この培養液の、600nmに於ける吸光度が0.4に達した
ところでイソプロビル−β−チオガラクトピラノシド
(IPTG)を0.1mMとなるように加えさらに5時間振盪培
養を継続することにより、目的蛋白質の発現誘導を行っ
た。次に各Der f II変異体を発現した大腸菌BL21の菌体
を遠心分離で回収し、超音波破砕で菌体を破壊した後、
再び遠心分離を行って封入体となっているDer f II変異
体を回収した。尿素を含む緩衝液(6M尿素、100mMトリ
ス塩酸、10mMエチレンジアミン4酢酸(EDTA)、pH7.
5)で封入体を可溶化した後、トリス緩衝液(20mMトリ
ス塩酸、pH8.5)に透析することにより再生を行った。
この溶液を、上記トリス緩衝液で平衡化したイオン交換
カラムDEAE−トヨパール(東ソー)へ供した後、塩化ナ
トリウムの濃度勾配(0から100mM)にて溶出を行っ
た。塩濃度約80mMにて溶出された画分をSDS−PAGEに供
した結果、分子量約14,000の単一バンドが観察され、こ
れを精製標品とした。 野生型Der f IIおよび各変異体についてヒトIgE結合
活性をファルマシア社製RAST−EIAキットを用いて測定
した。操作は以下に示すとおり、まず0.1Mほう酸緩衝液
(pH8.5)にて希釈した抗原溶液50μlにブロモシアン
で活性化した濾紙1枚を浸積し、室温で一晩放置するこ
とにより濾紙に抗原を吸着させた。つぎに抗原溶液を除
き、0.1M炭酸水素ナトリウム溶液500μlで濾紙の洗浄
を行った後、1Mβ−エタノールアミン(pH9.0)250μl
中に濾紙を浸し、室温で3時間静置して濾紙上への非特
異的吸着を防ぐブロッキング操作を行った。エタノール
アミン溶液を除き、0.1M炭酸水素ナトリウム溶液500μ
lで1回、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)500μl
で3回、キット付属の緩衝液500μlで2回の、計6回
洗浄を行った後、同じくキット付属の緩衝液で4倍に希
釈したアレルギー患者血清50μlを添加し、37℃で2時
間静置して血清中の抗Der f II−IgEと濾紙に吸着して
いる抗原を結合させた。 抗原抗体反応後血清を除き、キット付属の洗浄液2.5m
l中に濾紙を10分間浸して洗浄する操作を3回繰り返し
た後、キット付属のβ−D−ガラクトシダーゼ標識した
抗ヒトIgE−ウサギIgG溶液50μlを加えて室温にて16〜
20時間静置することにより、抗原に吸着しているIgEと
の結合反応を行った。酵素標識抗体溶液を除いて前述と
同様の方法で濾紙を洗浄し、基質であるキット付属のo
−ニトロフェノール−β−D−ガラクトペラノシド溶液
200μlを加えて37℃で2時間反応させた。最後にキッ
ト付属の停止液2mlを加えて酵素反応を停止した後、同
反応液の420nmにおける吸収を測定し、この値を抗原Der
f IIとヒトIgE結合活性として評価を行った。この結果
は、図2に示すとおりである。D7E、D7N、A9P、D19Nの
各Der f II変異体は、野生型と比べてIgE結合活性の著
しい低下が認められた。すなわち、Alaへの置換の実験
からDer f IIのヒトIgEエピトープを形成するのに重要
であると考えられたアミノ酸Asp7、Asp19を、Aspのよう
な負電荷を持たないAsnに置換することによっても、Ala
置換体と同様に著しくIgE結合活性が低下することが判
明した。Asp7については、Asp同様負電荷を持つアミノ
酸であるGluに置換しても、IgE結合活性が低下した。ま
た、Der f IIの認識部位、あるいはその近傍に存在する
と考えられるAla9を側鎖構造の全く異なるProに置換す
ることにより、変異体A9L(Ala9をLeuに置換した変異
体)より更にIgE結合活性が大きく低下した変異体を作
製することに成功した。 実施例3 Der f IIアミノ酸置換変異体の減感作療法に
おける有効性評価試験 [材料と方法] ・免疫 7週齢のA/J系♂マウス24匹に、2週間間隔で3回に
わたり10μgのリコンビナントDer f II(以下rDer f I
Iとする)と100μlのフロイントアジュバントを腹腔内
投与した。 ・試験群 免疫を行った24匹のマウスを1群6匹からなる。対照
群、rDer f II投与群、D7N投与群、およびD19N投与群の
4群に分けた。さらに陰性対照として、免疫を一再行わ
なかった3匹のマウスを非免疫群とした。 ・rDer f IIおよびそのアミノ酸残基置換体(D7N、D19
N)の投与 最終免疫の2週間後から対照群にはリン酸緩衝生理食
塩水(以下PBS)、rDer f II投与群には1mg/ml rDer f
II、D7N投与群には1mg/ml D7N、D19N投与群には1mg/ml
D19Nをそれぞれ1回20μl、週2回、3週間にわたり点
鼻投与した。非免疫群には何等処置を施さなかった。 ・遅発遅延型気道炎症誘発試験 点鼻投与終了の翌週、マウスを小動物用吸入チャンバ
ーの中に入れて霧化した5mg/mlのrDer f IIを30分間吸
入させた。吸入終了から24時間後に動物を放血致死さ
せ、気管を通じて肺内を1mlのPBSで洗浄した。この肺洗
浄液(以下BALF)200μlについて塗末標本を作製し、
ディフクイック染色を施した。標本を倍率400倍で検鏡
して一定視野あたりの白血球(マクロファージ、好中
球、好酸球、リンパ球)数を測定し、気道炎症の程度の
指標とした。 [結果] ・rDer f II吸入後のBALF中の白血球数 非免疫群ではBALF中にマクロファージ以外の白血球は
ほとんど見られなかったのに対し、免疫を行った対照群
では多数の好中球、リンパ球が確認された。対照群の全
白血球数は非免疫群の約2.5倍に達し、前者において抗
原の吸入により激しい気道内炎症が惹起されたことが確
認された。これに対しrDer f IIもしくはそのアミノ酸
残基置換体であるD7N、D19Nを投与した群では好中球数
および全白血球数が対照群よりも低下し、これらの点鼻
により減感作が成立したことが確認された。その結果を
表2に示す。 産業上の利用の可能性 遺伝子工学的に作成した本発明に従う改変Der f II
は、最小限の変異(129アミノ酸中1アミノ酸)で、そ
のIgE抗体結合活性が低下し、安全性の高いダニに起因
する各種のアレルギー疾患の治療に使用できる。
ルゲン(Der f II)を改変した改変アレルゲン、その製
造法に関するものであり、この製造法により製造された
改変アレルゲンは、アレルギー疾患の治療薬として応用
できる。 背景技術 アレルギー疾患の多くは、その疾患の原因抗原に感作
されることにより、血清および組織においてアレルゲン
に特異的なIgE抗体が産生され、再びその抗原に暴露さ
れることによって、各組織上で抗原とIgE抗体が抗原抗
体反応を起こし、その際生じる種々の症状によるものと
考えられている。特に、肥満細胞および好塩基球上のIg
E抗体に抗原が結合し、IgE抗体間に架橋が起こることに
よって、肥満細胞あるいは好塩基球から種々の化学伝達
物質が放出されて、即時型反応が生じると考えられてい
る。 このアレルギー疾患を治療する方法として、抗原がIg
E抗体に結合することを制御する方法が考えられてい
る。抗原がIgE抗体に結合することを抑制すれば、肥満
細胞あるいは好塩基球上のIgE抗体間の架橋が起こらず
化学伝達物質の放出が抑制されて治療効果が得られるも
のと考えられている。 一方、気管支喘息、小児喘息、アトピー性皮膚炎など
のアレルギー疾患は、室内塵中に生息しているダニに対
するアレルギーが主な原因であることが明らかになって
おり、既にいくつかのダニ主要アレルゲンタンパク質が
同定されている(プラッツミルズ(Platts−Mills)
ら、ザ・ジャーナル・オブ・アレルギー・アンド・クリ
ニカル・イムノロジー(J.Allergy Clin.Immunol.,80
巻、755頁、1987年)。また、精製ダニ主要アレルゲン
を多量に調製する方法も既に開示されている(結城ら、
アレルギー(Japanese J.Allergology)、39巻、557
頁、1990年および特願平3−254683)。さらに、前述の
精製ダニ主要アレルゲンの一部を改変したアレルゲンお
よびその製造法も出願されている(特願平5−13979
3)。 しかしながら、これまで報告されている同定されたダ
ニ主要アレルゲンタンパク質においては、アレルゲンと
しての活性が高いために減感作療法を行った場合にアレ
ルギー反応であるアナフィラキシーショックを起こす欠
点があった。 一方、IgE抗体との結合活性もしくはアレルゲン活性
が低下し、かつ抗原(Der f II)とIgE抗体の結合を阻
害する改変ダニ主要アレルゲンが得られれば、抗原投与
によるアレルギー反応のアナフィラキシーショックが生
じることがなく、抗原に特異的であるために他の免疫系
に影響を及ぼさない特徴を有する有効なアレルギー治療
薬を提供できる。改変ダニ主要アレルゲンとしては、既
に特願平5−139793、特願平5−275897がある。前者で
は、改変したアミノ酸残基によって立体構造が大きく変
化したため、免疫原性の維持および安定性の点で問題が
残っており、後者では改変する部位の特定が十分ではな
く、かつ置換するアミノ酸がアラニンのみであるため、
構造変化を最小にしてかつアレルゲン性を低下させる点
で十分ではなかった。 本発明者等は、既に開示されているダニ主要アレルゲ
ンDer f IIの特定部分のアミノ酸をそのアミノ酸と極め
て類似したアミノ酸に置換し、構造変化を最小にした状
態で、IgE結合活性を変化させ得ることを見出した。そ
の改変ダニ主要アレルゲンの中には、抗原(Der f II)
がIgEに結合することを阻害する活性が、野生型と差異
のないものがあることを見いだした。 本発明の目的は、遺伝子工学を用いてダニ主要アレル
ゲンDer f IIのアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換
した改変ダニ主要アレルゲンを多量に調製する方法を提
供することである。すなわち、本発明は、ダニアレルゲ
ンに起因するアレルギー疾患の治療薬に応用できる物質
を製造することを目的とする。 発明の開示 本発明は、コナヒョウヒダニ主要アレルゲン(Der f
II)を遺伝子工学的に改変し、そのアミノ酸残基を他の
アミノ酸残基に置換した改変ダニ主要アレルゲン、Der
f IIをコードする遺伝子を含む複製ベクターで形質転換
した原核生物または真核生物を培養し、培養物から改変
ダニ主要アレルゲンを取得することを特徴とする。 ダニ主要アレルゲンDer f IIは、6個のシステイン残
基を有し、ジスルフィド結合によって分子内架橋を3カ
所(アミノ酸残基8番目と119番目、21番目と27番目お
よび73番目と78番目)所有することが既に開示されてい
る(西山ら、インターナショナル・アーカイブス・オブ
・アレルギー・アンド・イムノロジー(International
Archives of Allergy and Immunilogy)、101巻、159
頁、1993年)。また、遺伝子工学的手法を用いて分子内
に存在するジスルフィド結合を3カ所から2カ所に減ら
した置換体を作製してIgEとの結合活性に与える影響が
開示されている(特願平5−139793)。これによれば、
8番目と119番目のジスルフィド結合が結合活性に大き
く影響するとされている。 本発明者等は、さらに検討を重ね73番目のシステイン
と78番目のシステインがジスルフィド結合している領域
もIgE結合に関与していることを見いだした。また、置
換するアミノ酸もアラニンのみではなく、本来のアミノ
酸に極めて近い性質を有するアミノ酸、例えば7番目の
アスパラギン酸をグルタミン酸あるいはアスパラギンに
変更しても大幅にIgE結合能を低下できることを見いだ
した。また、19番目のアスパラギン酸にあってはグルタ
ミン酸に変更してもIgE結合能の低下は認められない
が、アスパラギンに変更すると大幅にIgE結合能が低下
し、このアミノ酸残基にあっては電荷の有無が大きな影
響をもつことを見いだした。加えて、例えば9番目のア
ラニンでいえば、ロイシンに置換すると結合活性は30%
程度であるのに対し、本発明で示すようにプロリンに変
更することにより10%以下まで結合活性を低下させ得る
ことを見いだした。これら結合活性が大きく変化した改
変体のうち、ダニアレルギーを生じせしめたマウスを用
いた動物実験により、有効な改変体を見いだした。これ
により、ダニアレルギー患者の減感作治療に有効である
改変体を見いだし本発明を完成した。 本発明の置換体は合目的な任意の方法で製造すること
ができるが、部位特異的変異の方法が望ましい。部位特
異的変異を行う手法は既に確立されており、様々な方法
があるがPCR法を用いるのが簡便である(伊藤ら、ジー
ン(Gene)102巻、67頁、1991年)。例えば配列表1−
aに示したDNA鎖より7番目のアスパラギン酸残基をグ
ルタミン酸残基に置換する方法を1例として示すと次の
通りである。 配列表1から7番目のアスパラギン酸残基に対応する
コドンはGATである。このコドンをグルタミン酸残基に
対応するコドン、例えばGAGに置き換えることとした。
そのためにアスパラギン酸残基周辺のDNA配列と同一で
かつアスパラギン酸残基のコドン(GAT)のみグルタミ
ン酸残基のコドン(GAG)に置換したオリゴヌクレオチ
ドを合成した(表1、F−D7E)。この合成は、既知の
合成法によって合成することができるが、自動合成機を
用いる事が便利である(例えばModel 381 DNA Synthesi
zer;Applied Biosystems社製)。 PCR法による増幅のための鋳型DNAは配列表1に示した
Der f IIのcDNAを含んでいれば任意のDNA鎖が利用でき
るが、ここではpFLT11(図1)を使用した。鋳型とする
pFLT11に対し、pFLT11上、Der f IIをクローニングして
いる部位の下流側にあるHind III認識配列を含む領域と
同じ配列の合成ヌクレオチドR1(表1)と前途の合成ヌ
クレオチドF−D7Eをプライマーとして用いPCR反応を行
った。 PCR反応後、得られる増幅DNA断片はダイデオキシ法
(サンガー(Sanger)ら、ジャーナル・オブ・モレキュ
ラー・バイオロジー(J.Mol.Biol.)、162巻、729−773
頁、1982年)などを用いてその塩基配列を決定できる。 かくして、確かに変異が導入されていることを確認し
た置換DNAは適当な発現ベクターのクローニング部位に
挿入して、改変Der f IIを発現させる事ができる。この
発現には大腸菌で安定的に存在するプラスミドベクター
ならば任意であるが、例えばpGEMEX1(Promega社製)を
用いるのが便利である。本ベクターは発現プロモータに
T7プロモータを用いており、その発現量が多く組換え蛋
白は大腸菌中で封入体として蓄積することが知られてい
る。これらの一連の操作は従来用いられてきた種々の方
法を使用することができる(マニアチス(Maniatis)
ら、モレキュラー・クローニング(Molecular Clonin
g)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー
(Cold Spring Harbor Laboratory)、1982年)。 また本DNAは適当なベクター、例えばYEp13(ブローチ
(Broach)ら、ジーン(Gene)、8巻、121−133頁、19
79年)などを用いて、酵母中で発現させることができ
る。本発明に従った改変Der f II遺伝子を伴う発現カセ
ットを持つ酵母ベクターを用い、適当な酵母細胞を形質
転換することができる。この目的のため、本発明に従っ
たDNA配列は、大腸菌プロモータではなく、真核性プロ
モータ、例えばΔP8(大竹ら、アグリカルチュラル・ア
ンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agric.Biol.Che
m.)、52巻、2753−2762頁、1988年)などの制御下にお
かなければならない。 このようにして、ダニ主要アレルゲンDer f IIのN末
端側から第7番目、第9番目、第19番目、第128番目、
第129番目のアミノ酸をそれぞれアラニンを除く別種の
アミノ酸に置換した改変プラスミドを作製し、それぞれ
を大腸菌で発現させた。 次に、改変Der f IIのIgE抗体結合活性を定量的に測
定した。それに先だって、それぞれの改変Der f II蛋白
の精製が必要となる。その概略を以下に示す。発現誘導
後のホスト大腸菌BL21の菌体を回収し、超音波により菌
体を破砕後、遠心分離にて封入体の形で存在するDer f
II蛋白を回収した。6M尿素で封入体を可溶化した後、20
mMトリス塩酸緩衝液(pH8.5)に透析して尿素を除去す
ると共に蛋白の再生を行った。次に、陰イオン交換クロ
マトグラフィーによりDer f II画分を分離精製した。す
なわち、再生画分をDEAE−Toyopearl(Tosoh社製)カラ
ムに吸着させ、NaCl濃度80mMで溶出させると、Der f II
は単一の蛋白として溶出された。 こうして得られた精製改変Der f IIを用いIgE抗体結
合活性を定量的に測定した。このためにはRAST−EIAキ
ット(Pharmacia社製)を用いるのが便利である。先
ず、0.1Mほう酸緩衝液(pH8.5)で希釈した精製改変Der
f II溶液50μlにブロムシアン活性化濾紙1枚を浸し
室温で一夜静置して、蛋白を濾紙に結合させた。洗浄し
た後、キット付属の緩衝液で4倍希釈したダニアレルギ
ー患者血清50μlに濾紙を浸し、37℃で2時間静置して
血清中のヒト抗Der f II IgE抗体と濾紙に結合している
抗原を結合させた。この後、キットの反応プロトコール
に従い反応を進めた。全反応終了後の試料の420nmの吸
光度がIgE抗体結合能の指標となる。この結果を相対値
として図2に示す。この中で特に注目すべきは、7番目
及び19番目のアスパラギン酸をアラニン、アスパラギ
ン、グルタミン酸に置換した改変体である。7番目に関
しては、いずれのアミノ酸に置換してもIgEとの結合能
は、本来のアスパラギン酸であるものと比較して大幅に
低下していることから、7番目のアミノ酸はアスパラギ
ン酸であることがIgE結合に必須であることがわかる。
一方、19番目に関してはアラニン、グルタミンに置換し
た改変体では結合能の大幅な低下が認められるが、グル
タミン酸に置換した改変体ではほとんどその結合能が低
下していない。このことから、この位置では酸性アミノ
酸であることがIgE結合能に必要と考えられる。9番目
のアラニンについては、ロイシンに置換した改変体では
本来の約30%の結合能を持っているのに対し、プロリン
に置換した改変体では10%以下に結合活性が低下してい
ることから、蛋白の構造変化に大きく寄与するアミノ酸
への置換はその結合能を低下させることが判明した。 次に、これらIgE結合活性が低下した改変体を用いた
動物実験を行い、減感作治療に有効か否かを確かめた。
すなわち、7週齢の雄A/JマウスにDer f II10μgを100
μgのフロイントアジュバンドと共に腹腔内に投与して
Der f II感作マウスを作成した。続いて作成した感作マ
ウスに改変体を1mg/mlの量を週2回、3週間経鼻投与し
免疫療法を行った。対照は生理食塩水を同量投与した。
最終の投与の1週間後にマウスを小動物用吸入チャンバ
ーに入れ霧化した5mg/mlのDer f IIを30分間吸入させ
た。吸入終了後24時間後にマウスを放血致死させ、気管
を通じ肺内を1mlのPBSで洗浄した。この肺胞洗浄液(以
下、BALFと略す)200μlについては塗末標本を作製
し、ディフクイック染色した。標本を倍率400倍にて検
鏡し、一定視野あたりの白血球(マクロファージ、好中
球、好酸球、エンパ球)数を測定し、気道炎症の程度の
指標とした。感作していないマウスでは抗原吸入後のBA
LF中の白血球はマクロファージ以外ほとんど観察されな
いのに対し、免疫したマウスでは非免疫群に比較して多
数の好中球、リンパ球が確認され、全白血球数は約2.5
倍となった。すなわち、感作マウスにおいては抗原の吸
入により気道内炎症が惹起されたことを確認した。これ
に対して、野生型Der f IIあるいはその置換体を投与し
た群では、全白血球数が減少しており、減感作が成立し
ていることが明らかとなった。従って、IgE結合活性の
低下したアナフィラキシーショックの可能性が少ないDe
r f II改変体はアレルギー疾患の治療に有効であること
が明かである。 図面の簡単な説明 図1は、PCR法による増幅のため使用したpFLT11を示
す図。 図2は、実施例2において反応液の420nmにおける吸
収を測定し、この値を抗原Der f IIとヒトIgE結合活性
として評価を行った結果を示すグラフである。 発明を実施するための最良の形態 次に、実施例に基づき本発明を一層具体的に説明す
る。 実施例1 Der f IIアミノ酸置換変異体の発現ベクター
の構築 Der f IIの目的のアミノ酸残基を他のアミノ酸に置換
した変異体を発現するベクターはPCR法を用いた部位特
異的変異で作製した。PCR法を行うにあたり合成したオ
リゴヌクレオチドは、表1に示すとおりである。 Der f IIのN末端側から7番目のAspをGluまたはAsn
に変異させる場合、合成オリゴヌクレオチドは、変異さ
せる目的のアミノ酸のコドンをGluまたはAspのコドンと
する以外は野生型Der f IIと同じ配列とし、さらに開始
コドンの上流に制限酵素Nde 1の認識配列を新たに導入
するように設計した。鋳型とする野生型Der f IIの発現
ベクターpFLT11(特願平5−139793)に対し、pFLT11
上、Der f IIをクローニングしている部位の下流側にあ
るHind III認識配列を含む領域と相補的な配列の合成ヌ
クレオチドR1と、前述の合成ヌクレオチドF−D7E、あ
るいは−D7Nをプライマーとして用いPCR反応を行った。
PCR反応溶液は以下に示すとおり、鋳型となるプラスミ
ドpFLT11を1ngに、2種類のプライマー、F−D7EとR1、
あるいはF−D7NとR1を1μgずつ加え、TaqDNAポリメ
ラーゼ(東洋紡)添付の10×反応溶液、および25mM MgC
l2溶液を10μlずつ、dATP、dCTP、dGTP、dTTPをそれぞ
れ反応溶液100μlに対して終濃度200μMとなるように
添加し、蒸留水で反応溶液の容量を100μlとした後、T
aqDNAポリメラーゼを2.5ユニット加えた。この溶液を94
℃で1分間保持して鋳型の2本鎖DNAを変性させ1本鎖
とした後、37℃にて2分間保持して1本鎖の鋳型にプラ
イマーをアニーリングし、続く72℃3分間の反応でポリ
メラーゼによる相補鎖DNAの合成を行う。以上の工程を2
5サイクル繰り返して目的DNAフラグメントの増幅を行っ
た。 得られたDNAフラグメントをNde IおよびHind IIIで切
断後、プラスミドpGEME1−ΔNde I(特願平5−13979
3)のNde I、Hind III部位に挿入してそれぞれ変異体の
発現ベクターpFLT11−D7E、D7Nとした。一方、9番目の
アミノ酸や19番目のアミノ酸を置換する場合は、次に示
す二段階のPCR反応を行った。すなわち、表1に示すと
おり変異を導入するアミノ酸残基のコドンのみを目的の
コドンとし、それ以外は野生型Der f IIと同じ配列の合
成ヌクレオチドR−A9P、R−D19Nを作製し、これらの
いずれかとpFLT11のBgl II切断部位より約40bp上流と同
じ配列の合成ヌクレオチドF1をプライマーとし、pFLT11
を鋳型として用いてPCR反応を行った。同時に、pFLT11
上のBgl II部位を同酵素で切断不可能な配列となるよう
に設計したF2と前述のR1をプライマーとして用い、同じ
くpFLT11を鋳型としてPCR反応を行った。 PCR反応で得られたこれら2種類のDNAフラグメント10
ngずつを、先のPCR反応溶液からプライマーとポリメラ
ーゼを除いた溶液中に加え、94℃で10分間反応させた
後、30分間で37℃まで緩やかに冷却し、最後に37℃で15
分間保持することにより2本のフラグメントのアニーリ
ングを行った。続いてTaqポリメラーゼ2.5ユニットを加
え、60℃で3分間保持することにより、2本のDNAフラ
グメントの伸長を行った。ここに、先の2種類のプライ
マーR1とF1を0.5μgずつ加えた後、PCR反応を20サイク
ル行ってフラグメントを増幅した。以上の操作で、同じ
長さの2種類のDNAフラグメントが得られる。一つは、B
gl II認識配列を持ち、目的のアミノ酸部位に変異が導
入されたもので、もう一つは目的のアミノ酸の配列が野
生型と同じで、Bgl II認識配列が切断不可能に変異した
ものである。これらをBgl IIおよびHind IIIで切断後、
同じくBgl IIとHind IIIで処理したpGEMEX1−ΔNde Iに
連結することにより目的の変異が導入されたベクターの
みが得られた。このようにして9番目と19番目のアミノ
酸をそれぞれPro、Asnに置換した変異型Der f IIの発現
ベクター、pFLT11−A9P、pFLT11−D19Nを作製した。 128番目と129番目のアミノ酸を置換したDer f II変異
体R128D、R128K、D129Nを作製する場合、7番目のアミ
ノ酸の置換体と同様のPCR法で行った。ただしプライマ
ーはそれぞれR−R128D、R−R128K、またはR−D129N
と、Der f IIの開始コドンより約130bp上流と同じ配列
のF3という組合せで用い、それ以外の条件はD7E等の場
合と同一である。このPCR増幅断片をA9P等の場合と同
様、Bgl II、Hind IIIで切断し、pGEMEX1−ΔNde Iに挿
入した。 実施例2 RAST−EIA法によるDer f IIアミノ酸置換変
異体のIgE結合能の比較 実施例1で作製したDer f II変異体の発現ベクター
(pFLT11−D7E、pFLT11−D7N、pFLT11−A9P、pFLT11−D
19N)のそれぞれにより形質転換した大腸菌BL21をアン
ピシリン入り寒天培地(1%バクトトリプトン、0.5%
イーストエキストラクト、0.5%塩化ナトリウム、1.5%
バクトアガー(以上すべて単位は(W/V)、50μg/mlア
ンピシリン、pH7.4)上に生育させた後に生じたコロニ
ーを適宜アンピシリン入りL液体培地(アンピシリン入
りL寒天培地より寒天を除いたもの)5mlへ接種した。3
0℃で一晩振盪培養した後、これをアンピシリン入りL
液体培地500mlに添加してさらに30℃で振盪培養を行っ
た。この培養液の、600nmに於ける吸光度が0.4に達した
ところでイソプロビル−β−チオガラクトピラノシド
(IPTG)を0.1mMとなるように加えさらに5時間振盪培
養を継続することにより、目的蛋白質の発現誘導を行っ
た。次に各Der f II変異体を発現した大腸菌BL21の菌体
を遠心分離で回収し、超音波破砕で菌体を破壊した後、
再び遠心分離を行って封入体となっているDer f II変異
体を回収した。尿素を含む緩衝液(6M尿素、100mMトリ
ス塩酸、10mMエチレンジアミン4酢酸(EDTA)、pH7.
5)で封入体を可溶化した後、トリス緩衝液(20mMトリ
ス塩酸、pH8.5)に透析することにより再生を行った。
この溶液を、上記トリス緩衝液で平衡化したイオン交換
カラムDEAE−トヨパール(東ソー)へ供した後、塩化ナ
トリウムの濃度勾配(0から100mM)にて溶出を行っ
た。塩濃度約80mMにて溶出された画分をSDS−PAGEに供
した結果、分子量約14,000の単一バンドが観察され、こ
れを精製標品とした。 野生型Der f IIおよび各変異体についてヒトIgE結合
活性をファルマシア社製RAST−EIAキットを用いて測定
した。操作は以下に示すとおり、まず0.1Mほう酸緩衝液
(pH8.5)にて希釈した抗原溶液50μlにブロモシアン
で活性化した濾紙1枚を浸積し、室温で一晩放置するこ
とにより濾紙に抗原を吸着させた。つぎに抗原溶液を除
き、0.1M炭酸水素ナトリウム溶液500μlで濾紙の洗浄
を行った後、1Mβ−エタノールアミン(pH9.0)250μl
中に濾紙を浸し、室温で3時間静置して濾紙上への非特
異的吸着を防ぐブロッキング操作を行った。エタノール
アミン溶液を除き、0.1M炭酸水素ナトリウム溶液500μ
lで1回、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)500μl
で3回、キット付属の緩衝液500μlで2回の、計6回
洗浄を行った後、同じくキット付属の緩衝液で4倍に希
釈したアレルギー患者血清50μlを添加し、37℃で2時
間静置して血清中の抗Der f II−IgEと濾紙に吸着して
いる抗原を結合させた。 抗原抗体反応後血清を除き、キット付属の洗浄液2.5m
l中に濾紙を10分間浸して洗浄する操作を3回繰り返し
た後、キット付属のβ−D−ガラクトシダーゼ標識した
抗ヒトIgE−ウサギIgG溶液50μlを加えて室温にて16〜
20時間静置することにより、抗原に吸着しているIgEと
の結合反応を行った。酵素標識抗体溶液を除いて前述と
同様の方法で濾紙を洗浄し、基質であるキット付属のo
−ニトロフェノール−β−D−ガラクトペラノシド溶液
200μlを加えて37℃で2時間反応させた。最後にキッ
ト付属の停止液2mlを加えて酵素反応を停止した後、同
反応液の420nmにおける吸収を測定し、この値を抗原Der
f IIとヒトIgE結合活性として評価を行った。この結果
は、図2に示すとおりである。D7E、D7N、A9P、D19Nの
各Der f II変異体は、野生型と比べてIgE結合活性の著
しい低下が認められた。すなわち、Alaへの置換の実験
からDer f IIのヒトIgEエピトープを形成するのに重要
であると考えられたアミノ酸Asp7、Asp19を、Aspのよう
な負電荷を持たないAsnに置換することによっても、Ala
置換体と同様に著しくIgE結合活性が低下することが判
明した。Asp7については、Asp同様負電荷を持つアミノ
酸であるGluに置換しても、IgE結合活性が低下した。ま
た、Der f IIの認識部位、あるいはその近傍に存在する
と考えられるAla9を側鎖構造の全く異なるProに置換す
ることにより、変異体A9L(Ala9をLeuに置換した変異
体)より更にIgE結合活性が大きく低下した変異体を作
製することに成功した。 実施例3 Der f IIアミノ酸置換変異体の減感作療法に
おける有効性評価試験 [材料と方法] ・免疫 7週齢のA/J系♂マウス24匹に、2週間間隔で3回に
わたり10μgのリコンビナントDer f II(以下rDer f I
Iとする)と100μlのフロイントアジュバントを腹腔内
投与した。 ・試験群 免疫を行った24匹のマウスを1群6匹からなる。対照
群、rDer f II投与群、D7N投与群、およびD19N投与群の
4群に分けた。さらに陰性対照として、免疫を一再行わ
なかった3匹のマウスを非免疫群とした。 ・rDer f IIおよびそのアミノ酸残基置換体(D7N、D19
N)の投与 最終免疫の2週間後から対照群にはリン酸緩衝生理食
塩水(以下PBS)、rDer f II投与群には1mg/ml rDer f
II、D7N投与群には1mg/ml D7N、D19N投与群には1mg/ml
D19Nをそれぞれ1回20μl、週2回、3週間にわたり点
鼻投与した。非免疫群には何等処置を施さなかった。 ・遅発遅延型気道炎症誘発試験 点鼻投与終了の翌週、マウスを小動物用吸入チャンバ
ーの中に入れて霧化した5mg/mlのrDer f IIを30分間吸
入させた。吸入終了から24時間後に動物を放血致死さ
せ、気管を通じて肺内を1mlのPBSで洗浄した。この肺洗
浄液(以下BALF)200μlについて塗末標本を作製し、
ディフクイック染色を施した。標本を倍率400倍で検鏡
して一定視野あたりの白血球(マクロファージ、好中
球、好酸球、リンパ球)数を測定し、気道炎症の程度の
指標とした。 [結果] ・rDer f II吸入後のBALF中の白血球数 非免疫群ではBALF中にマクロファージ以外の白血球は
ほとんど見られなかったのに対し、免疫を行った対照群
では多数の好中球、リンパ球が確認された。対照群の全
白血球数は非免疫群の約2.5倍に達し、前者において抗
原の吸入により激しい気道内炎症が惹起されたことが確
認された。これに対しrDer f IIもしくはそのアミノ酸
残基置換体であるD7N、D19Nを投与した群では好中球数
および全白血球数が対照群よりも低下し、これらの点鼻
により減感作が成立したことが確認された。その結果を
表2に示す。 産業上の利用の可能性 遺伝子工学的に作成した本発明に従う改変Der f II
は、最小限の変異(129アミノ酸中1アミノ酸)で、そ
のIgE抗体結合活性が低下し、安全性の高いダニに起因
する各種のアレルギー疾患の治療に使用できる。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 結城 敏文 東京都大田区大森北2−13−1 アサヒ ビール株式会社基盤研究所内 (72)発明者 奥村 康 東京都大田区大森北2−13−1 アサヒ ビール株式会社基盤研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 21/02 A61K 38/17 C07K 14/435 C12N 15/00 - 15/30 BIOSIS(DIALOG)
Claims (4)
- 【請求項1】配列表の配列番号1(D7E)、2(D7N)、
3(D7K)、4(A9P)、5(D19E)、6(D19N)、7
(D19K)、8(R128D)、9(R128K)または10(D129
N)に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド。 - 【請求項2】請求項1に記載のいずれか一つのポリペプ
チドをコードするDNA鎖。 - 【請求項3】請求項1に記載のポリペプチドからなるダ
ニアレルギー治療剤。 - 【請求項4】請求項1に記載のポリペプチドからなるダ
ニアレルギー予防剤。
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